残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

Past news

残しておきたい福祉ニュース

 2019年 
1月 * * * 5月 6月 7月 8月 9月 * * *

 2019. 9.11 熱帯夜続く中「体力の限界」 千葉停電 福祉、医療施設に深刻な影響
 2019. 9.12 停電の特養「いつまで持つか…」 体調崩す高齢者が続出
 2019. 9.14 高齢入所者が熱中症 搬送先も停電…守れなかった命 千葉・君津の施設 
 2019. 9.14 千葉停電、熱中症の死者3人目「電源車が来ていれば…」
 2019. 9.15 停電5日間117時間 老人ホームに電気戻る 千葉・茂原
 2019. 9.19 看護師足りず「危機的」 対策へ夜勤手当アップ むつ総合病院


■2019.9.11  熱帯夜続く中「体力の限界」 千葉停電 福祉、医療施設に深刻な影響
台風15号の通過後も真夏日の中で停電や断水が続く千葉県では、福祉、医療施設を中心に影響が深刻さを増している。強風による送電設備の損傷は大きく、東京電力は11日、同県で約39万戸が停電のままで、全面復旧はずれ込んで13日以降になると発表。住民は「早く元の生活に戻りたい」と、不安といらだちを募らせた。

停電が3日間続く千葉県茂原市の特別養護老人ホーム「真名実恵園(まんなじっけいえん)」。「入所者も職員も体力の限界だ」。伊藤利彦副施設長(52)はため息をついた。

熱帯夜が続く中、窓を全開にして自家発電装置で扇風機を動かし、籠もる熱を逃がす。扇風機は6台しかなく50人の入所者の大半を居室からホールに移した。だるさを訴えたり熱が出たりする入所者もいる。鮮魚店から板氷を調達して砕き、ビニール袋に入れ入所者の体に当てて冷やす。

水道が使えないため、職員が自宅でポリタンクに水を入れて運び込む。ガスも使えず、食事もレトルトの備蓄非常食を利用してきたが、底をつきそうだ。冷蔵庫にあった肉などは一部を廃棄した。

入所者の女性(92)は「おいしくないご飯だけど仕方ない」と話す。鶴岡一宏施設長(61)は「入所者の体調の変化にこまめに気を配っている」と気遣った。

5万戸以上が停電する市原市にある災害拠点病院、県循環器病センターは9日未明から11日昼すぎまで電気が止まった。自家発電装置で生命維持装置などは稼働させ続けたが、空調設備は動かさず、入院患者約100人の病室に扇風機を置き、保冷剤を配って暑さをしのいだ。外来の診察は11日朝に2時間だけ再開。長南町の男性(76)は「薬は処方されたが、必要な検査は受けられなかった」と嘆いた。電力供給が不安定で、12日も診察を受け付けられるかは不透明だ。

同市では電気の通る市内5カ所の避難所に計231人(11日午後5時現在)が避難する。ちはら台コミュニティセンターに10日夜から寝泊まりする主婦(58)は「涼しいだけでも助かるが、早く家に帰って普通の生活に戻りたい」。9日夜は子ども4人と孫3人の2世帯8人で車3台に分乗して車中泊した。

君津市が避難所にする生涯学習交流センターには、体の不自由な人や乳幼児のいる家族らが身を寄せる。長男(2)、次男(10カ月)と避難する鈴木晴さん(21)は「暑くて真っ暗で、長男はおびえて泣き出し、次男は汗だくになってオシッコも出ない。お風呂に入れてやりたい」と疲れた表情で話した。

農林水産業の被害総額126億円 千葉県

県によると、10日時点の農林水産業の被害総額は施設関連約90億円、農作物関連約32億円などで計約126億円。八街市では複数のビニールハウスが倒壊した。今月出荷予定のミニトマトのビニールハウス4棟が強風で倒壊した農家の瀬利正人さん(48)は「ここまで被害が大きいと、もう栽培をやめてしまおうかと考えてしまう」と肩を落とした。松戸市や白井市では台風の強風で収穫が迫った梨が大量に落下。白井市梨業組合の秋本享志(みちゆき)組合長(67)は「台風被害では過去最大。出荷できないのは残念だ」ともらした。

■2019.9.12  停電の特養「いつまで持つか…」 体調崩す高齢者が続出
台風15号に伴う停電が続く千葉県で、エアコンが使えなくなった介護施設では、体調不良を訴える高齢者が相次いでいる。熱中症が懸念されるなか、妊産婦ら配慮が必要な人を優先的に受け入れる避難所も出てきた。

ぐにゃりと折れた電柱が道をふさいでいた。千葉県君津市の特別養護老人ホーム「夢の郷」(定員80人)は、12日朝も停電が続く。台風直撃から丸3日間、電気もエアコンも使えず、日中は35度前後になる室内で入所者や職員は過ごす。

10日、6人が発熱した。看護師の池田好江さん(53)は嘱託医に相談し、点滴を準備して様子を見た。しかし、11日には、発熱する人が11人に。38・9度の高熱を出し、救急搬送された女性(82)もいた。エレベーターが使えず、救急隊員と職員計4人が簡易担架で3階の居室から1階へ運んだ。女性は搬送先の医療機関で、熱中症で脱水となり慢性心不全の状態が悪化したと診断され、入院した。池田さんは「夜になっても気温が下がらず、眠れない人もいる。暑さの疲れが出てきているのでは」と心配する。

自前で電気を確保しようと、施設はカセットガスで動く発電機約10台をフル活用している。酸素吸入が必要な入所者の部屋に置き、医務室とデイサービス用の冷蔵庫計2台を動かした。

しかし、停電で施設のポンプが動かず、水洗トイレも使えない。職員は20リットルのポリ容器を20個用意して水をくみ、バケツに移し、トイレを流している。
薄暗い食堂で、ご飯やおかゆ、みそ汁をつくり、簡単なおかずをつけた食事を出している。しかし、暑さも加わって食べる量が減ったり、用を足す回数を減らそうと水分を控えたりする入所者もいる。

普段は夕食後もリビングで過ごすが、今は日が暮れると、ほぼ真っ暗。「何かあっても暗くてわからないから」と、11日は午後6時ごろから、職員が入所者を居室へ連れていった。「暑くてごめんね」。天笠寛理事長(56)が声をかけると、ある女性入所者は「あなたのせいではないわよ」とほほ笑んだ。

インスタントラーメンなどの簡単な食事でしのぎながら、休日出勤する職員もいる。天笠理事長は「水分が足りず軽い熱中症など、体調が心配な入所者が出てきている。いつまで持つか……。高齢者が多く暮らす施設の復旧を急いでほしい」と訴える。

県によると、11日午後1時時点で、県内に709ある県所管の特養などの高齢者関係施設や障害者・児童関係施設のうち、少なくとも131施設が停電、98施設で断水していた。

妊産婦優先の「特別避難所」も

千葉県君津市は市生涯学習センターに電源車を配備し、冷房やトイレが使える「特別避難所」を開設。妊産婦らを優先的に受け入れている。12日午前5時半時点で28世帯66人が集まった。

1階は乳幼児連れや妊婦、2階の和室は体調が悪い人、多目的室では障害のある人が、横になって休める。プライバシーに配慮して間仕切りや授乳用のテントを置き、お湯の出るウォーターサーバーを設置してミルクや離乳食を作れる。

20代の女性は自宅が停電していた11日の日中、乳児を連れて避難した。「昨夜は暑くて子どもがぐずって大変だった。冷房もお湯もあって助かった」。軽い熱中症で搬送された後に訪れた女性(61)は「食べ物や飲み物ももらえてありがたいが、早く帰りたい。早く電気を通して」と訴えた。

千葉市も、障害者や寝たきりの高齢者を受け入れる「福祉避難室」を中央区のハーモニープラザに設けた。

災害医療に詳しい成田赤十字病院の立石順久・救急集中治療科副部長は「エアコンが使える避難所を早めに立ち上げることで、乳幼児や妊産婦、障害者ら要配慮者が体調不良になるのを防ぐだけでなく、熱中症などの治療を受けた後に、入院ほどではないが一定の注意が必要な人が帰れる場所になる」と、こうした避難所の必要性を指摘する。(松本江里加)

施設の停電「重大事故につながる恐れ」

台風15号の影響で千葉県の広域で停電が続いている状態を受け、厚生労働省は11日付で千葉県や千葉、柏、船橋の3市に対し、高齢者や障害者、子どもらが入所する社会福祉施設などが停電した場合、「重大な事故につながる恐れがあり、未然に防ぐ必要がある」として、特に医療的な配慮が必要な場合は、電源が確保された協力病院への一時避難などの安全対策を施設管理者に徹底させるよう求めた。

また、全都道府県に対しては、介護や支援が必要なひとり暮らしの高齢者らについて、地域包括支援センターを中心に、安否確認や課題を把握するよう求めた。

■2019.9.14  高齢入所者が熱中症 搬送先も停電…守れなかった命 千葉・君津の施設 
千葉県内の高齢者施設は13日現在も50施設で停電、28施設で断水が続いた。各施設は自家発電装置や電源車を頼りに命を守るが、12日に熱中症の症状で死亡した女性(82)が入所していた君津市の特別養護老人ホーム夢の郷の天笠寛理事長は「一刻も早く電気を」と訴えている。

天笠理事長は14日に毎日新聞の取材に応じ、女性が亡くなるまでの状況を説明した。

11日午前9時5分、要介護度5で車椅子を利用していた女性は朝食をとらず38・8度の高熱が出たため、施設は救急車を要請。施設の看護師も付き添って乗り込んだ。救急車から市内の病院など5カ所に受け入れを求めたが、いずれも停電などのため断られた。救急車は約40分間、施設に止まったままだった。

同10時過ぎ、外来診療を受け付けていた市内の病院に搬送された。医師の診察は受けたものの停電で十分な治療ができないため、正午過ぎに木更津市の災害拠点病院である君津中央病院に搬送された。11日の木更津市の最高気温は32度超。女性は12日朝に息を引き取った。

この間、施設では約100人の入所者のうち10人程度が熱中症とみられる体調の異常を訴えていた。施設職員は窓を開け放ち、ポリタンクに水を入れて階段で3階まで運び、ぬらしたタオルで入所者の首元を冷やすなどして対処したという。

13日未明になって電力会社の電源車が到着し、エアコンが使えるようになった。施設裏手の電柱は倒れたままで、電気の復旧の見通しは立っていない。

県によると13日現在、高齢者施設以外でも障害者など27施設が停電、19施設で断水が続いた。

■2019.9.14  千葉停電、熱中症の死者3人目「電源車が来ていれば…」
千葉県は13日、同県君津市の特別養護老人ホーム「夢の郷」(定員80人)の入所者の女性(82)が12日朝、搬送先の病院で死亡したと発表した。熱中症などの疑いで治療中だった。台風15号による停電で、この特養では9日早朝から冷房が使えなくなっていた。台風の通過後、県が把握した熱中症とみられる症状の死者は3人目。

県高齢者福祉課によると、女性は介護の必要度が最も重い要介護度5で、11日朝、車椅子の上でぐったりしていたという。顔色が悪く38・8度の高熱があったため、施設側が119番通報。午前10時ごろ、君津中央病院に搬送され、熱中症の疑いによる脱水と、足に血の塊(血栓)ができて、肺の動脈に詰まり呼吸が苦しくなる肺塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)の診断を受けた。翌12日朝、死亡した。

女性は10日の朝食は2割ほどしか食べなかったが、昼食を8割ほど食べ「調子は良いよ」と話していた。しかし、熱が出た11日は朝食を食べず、水分を取るだけで、顔色が悪かった。施設では、女性のほかに10人の入所者が発熱するなど、体調が悪化していたという。

特養によると、女性が搬送された11日やその前日、施設内の気温は35度前後あった。近くの電柱が倒れ、13日も停電が続いたが、この日未明に電源車が到着し、4日ぶりに入所者の居室で冷房が使えるようになったという。天笠寛理事長(56)は「もっと早く電源車が来ていれば……。残念です」と話した。

■2019.9.15  停電5日間117時間 老人ホームに電気戻る 千葉・茂原
停電が続いていた千葉県茂原市の特別養護老人ホーム「真名実恵園(まんなじっけいえん)」に13日深夜、電気が戻った。送電会社からは復旧が連休明けになると伝えられていたといい、「悪い方に想定していましたから気持ちが楽になった。入所者をお風呂にも入れてあげられる」と鶴岡一宏施設長(61)は安堵(あんど)の声を上げた。

カンテラの明かりだけの事務室に午後11時40分、室内の照明が前触れもなくともった。明けた14日朝。照明で明るくなった園内では職員の表情も少し穏やかになった。

換気が止まって熱の出る料理ができなかった調理室では久しぶりにガスコンロに火が入り、マーボー豆腐と、キャベツのみそ汁の調理が手際良く進んだ。調理員の中村紀子さん(61)は「電気が来て最高です。入所者は暑い最中でも温かいものを好み、お茶さえ喜んでくれます。普段通りの食事が出せるようになりうれしい」と笑顔で腕をふるった。

停電は5日間117時間に及んだ。冷房がきかない中で扇風機のあるホールに集めた入所者の数人が毎日代わる代わる熱を出した。脇の下などに氷袋をあて、氷水に足を浸し、冷たい飲み物を勧めた。冷房を入れた車で涼んでもらったりした。

停電初日に近くのスーパーで調達した20袋の氷はすぐになくなり苦心したが、停電していることが報道で伝わると、団体や企業などから氷や保存食の支援が相次いだ。他の福祉施設から自家発電機も届いた。使えない水洗トイレの代わりにおむつや簡易トイレで対処した。

内山明男総務課長(69)は「とにかく体を冷やして熱中症を防ぐことに集中し、できることは何でもした」と話し、体調を大きく崩した人がいなかったことにほっとした。

同市内の同じ法人の施設では10日朝にいったん復旧したが昼過ぎには再び停電し、12日夕方まで続いたという。「まだ手放しでは喜べない」としながら、鶴岡施設長は「状況を知った皆さんから励ましの声をかけてもらい力づけられました。改めて地域との結びつきの大切さを実感しました」と話した。

■2019.9.19  看護師足りず「危機的」 対策へ夜勤手当アップ むつ総合病院
青森県下北地方唯一の総合病院「むつ総合病院」(一般病床311床)で看護師不足が深刻化し、同病院を運営するむつ市など5市町村でつくる一部事務組合は看護師の処遇や労働環境の改善に乗り出した。組合議会は18日、看護師給与の増額などを盛り込んだ議案を可決。医師確保事業の財源を充て、優先して看護師確保に取り組む。

同病院の看護師不足について管理者の宮下宗一郎・むつ市長は、病棟の縮小に陥りかねない「危機的な状況」という。病院の看護師数は5月1日現在343人で、充足率は95・5%。2年前から看護師の退職者数が採用者数を上回るようになり、不足が表面化した。今年度は採用10人に対し退職は17人で、対策を取らなければ3年後には20人が不足すると試算している。

看護師確保へ18日の組合議会では、応援医師の通勤支援に予定していたヘリコプター実証運航を凍結。その予算850万円を看護師の夜勤手当引き上げに充てることを決めた。また病院に一定年数勤めれば返済が免除となる看護師修学資金(月5万円)を月10万円に増額した。

同病院によると40〜50代の看護師は、産休や育休の若手の代わりに夜勤回数が月8回以上と多い。看護師が減れば夜勤のシフトが組めなくなる事態が想定される。また若手は修学資金の返済免除期間まで勤めると給与などで好条件の都会の医療機関へ移る人も出始めているという。組合側では「今後も看護師の働きやすい環境づくりを整えていく」としている。

 

トップへ フッターへ