残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2010年 
* 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

 2010.11. 3 障がい者雇用率、脅威の7.8% 株式会社ウイングル
 2010.11. 3 入所者を突き落として殺害 入所の男「テレビめぐり口論」 秋田市の生活訓練施設
 2010.11. 9 知的障害、見過ごされる受刑者 出所後に福祉が支援
 2010.11. 9 知的障害者の預金1000万円を着服 宇都宮の更生施設施設長 社会福祉法人鳩巣会
 2010.11.10 特養の運営「社福に限定を」約5割―施設長有志団体
 2010.11.11 知的障害者ら原則同じ学級で授業…「多様な学び場必要」
 2010.11.11 障害者福祉施設の職員が障害者調理の弁当売上金480万円着服 社会福祉法人美谷会
 2010.11.12 「平成20年度社会保障給付費」を公表  国立社会保障・人口問題研究所
 2010.11.12 不正な手段で居宅介護・重度訪問介護事業所の指定取り消し=大阪府茨木市 Hank’s Friends株式会社
 2010.11.12 不正手段で指定、居宅介護事業所の指定取り消し  / 大阪府 ハンクスフレンズ株式会社
 2010.11.13 障害者主体の手作り弁当工房が好評/川崎
 2010.11.15 情報交換が医療・介護連携のすべて   理由なきおむつ利用は犯罪行為に等しい
 2010.11.16 全国知事会:介護・看護資格目指す外国人、支援策を県が提案
 2010.11.16 菅首相:介護職員の一部医療行為実施、厚労省に検討を指示
 2010.11.16 自立支援ケースワーカー 40人追加募集 市、生活保護受給者急増で  大阪
 2010.11.16 障害超え410人快走/四国てんとう虫マラソン
 2010.11.17 郡山の養護学校生事故死:損賠訴訟 福祉法人に支払い命令 県への請求は棄却 / 福島県
 2010.11.17 大阪府東住吉の障害者施設虐待問題 4件認定、市が改善指導 社会福祉法人今川学園 今林の里
 2010.11.17 大阪府東住吉の障害者施設虐待問題 4件認定、市が改善指導 今林の里
 2010.11.25 「介護や福祉に役立てて」 北本の男性 死亡で遺言執行 市へ4700万円寄付
 2010.11.27 障害者ら、助成金受け夢の喫茶店開店へ/川崎
 2010.11.27 コミュニケーション障害…市販薬で改善
 2010.11.29 知的障害者らがパンや菓子作りの技競う/横浜で全国大会


■2010.11.3  障がい者雇用率、脅威の7.8% 株式会社ウイングル
東京都障害者雇用優良企業に障がい者の雇用を支援する株式会社ウイングルが、障がい者雇用への取り組みが評価されたことにより、「東京都障害者雇用優良企業」として登録されました。

同制度は障がい者雇用に積極的な企業を登録し、その取り組みを周知することによって、障がい者雇用の拡大を図ることを目的としています。ウイングルの障がい者雇用率は7.8%で、東京都が定める登録用件2.1%を大きく上回っています。株式会社ウイングルは今後、障がい者雇用率10%の達成・維持を目指して活動してゆくとの事です。

■2010.11.3  入所者を突き落として殺害 入所の男「テレビめぐり口論」 秋田市の生活訓練施設
秋田臨港署は3日、秋田市下新城中野の障害者の生活訓練施設で、入所する男性を階段から突き落とし殺害したとして、殺人の疑いで入所者の無職、伊藤俊英容疑者(35)を逮捕した。

逮捕容疑は10月14日夜、施設2階の階段から無職舟木英一さん(56)を突き落とし殺害したとしている。舟木さんは頭の骨などを折り治療を受けていたが、同29日に死亡した。

同署によると、伊藤容疑者は「談話室でテレビをめぐって口論になり、カッとなって突き落としたが、殺すつもりはなかった」と容疑を一部否認しているという。

■2010.11.9  知的障害、見過ごされる受刑者 出所後に福祉が支援
法務省は来年度から、受刑者の知的障害の有無を刑務官ら現場職員が判断できるチェックシートを導入し、障害の正確な把握をめざすことを決めた。刑務所内での生活では支障は少なくても、出所後生活苦に陥り再び罪を犯すケースも多い。これまで知的障害が見過ごされがちだった受刑者を福祉の支援につなげ、再犯防止を図るのが狙いだ。

受刑者が刑務所に入る際に実施される能力検査では、全体の2割強にあたる毎年7000人前後がIQ(知能指数)相当値70未満。70未満は通常、知的障害の疑いがあるとされるが、刑務所の検査は正式なIQ検査ではなく、実態を反映していないとも指摘される。

法務省の統計上では、知的障害が確認される受刑者は療育手帳取得者など毎年200〜300人にとどまる。 刑務所の出入所を繰り返す累犯者の中には、障害に気づかれず福祉の支援がないまま生活が苦しくなって窃盗などの犯罪に再び手を染めるケースが多いとされる。

心理技官や社会福祉士がいる刑務所もあるが、受刑者全員にかかわる余裕はない。出所者を受け入れる福祉サイドから「刑務所内で知的障害が見落とされていることが多い」と、法務省矯正局に対応を求める声が寄せられていた。

来年度からチェックシートを用いる対象は、主に能力検査でIQ相当値70未満だった受刑者。過去に福祉の支援を受けたり、特別支援学級に在籍した経験などを聞き取るほか、足し算や引き算、漢字の使い方などを確かめる。服役後も、刑期満了日が言えるかや、ボタンの掛け外しができるかを診断する。知的障害があると判断された場合、出所前から保護観察所や各地の地域生活定着支援センターと連携し、福祉の支援先を探すという。

矯正局は「これまで、知的障害のある受刑者が『理解が悪い』、『やる気がない』と誤解されかねない状況にあった。現場の刑務官が『障害の存在』を意識して把握の漏れをなくし、出所後の福祉につなげたい」と話している。

■2010.11.9  知的障害者の預金1000万円を着服 宇都宮の更生施設施設長 社会福祉法人鳩巣会
宇都宮市飯田町の社会福祉法人「鳩巣会」が運営する知的障害者更生施設で、男性施設長(60)が同施設に入所する重度知的障害者ら7人の預かり金計約1千万円を着服していたことが8日までに、同法人への取材で分かった。

同法人によると、施設で預かっていた7人の定期預金を無断で解約、自らの事業資金に充てたとされる。同法人の調査に対し施設長は「借りたつもりだった」などと話し謝罪、全額を入所者に返済した。
同法人は2日付で施設長を懲戒解雇、刑事告発も検討している。

一方、県は同法人の報告を受け、宇都宮市とともに調査。「預かり金の管理が不適正」などとして8日までに、障害者自立支援法に基づく是正勧告を行った。是正勧告を受け同法人は12日までに、改善計画書を県に提出する。

同法人によると、元施設長は昨年7月ごろ、入所者の定期預金を無断で解約した。同様の更生施設を自ら運営する予定だったため、その資金に充てたとされる。定期預金の通帳は貸金庫に保管されていた。

今年9月、同法人が通帳がないことに気付き発覚。同法人が調査したところ、元施設長は「借りたつもりだった」と話したが、入所者の家族らに認識はなかったという。同法人と元施設長は入所者や家族に謝罪、元施設長が全額を返済した。

一方、同法人は、入所者の普通預金通帳も預かっているが、通帳と印鑑を同じ金庫内で保管していた。県によると、厚労省の通達で「通帳と印鑑は別の場所での管理」が規定されているという。 同法人は下野新聞社の取材に対し「(元施設長の着服は)非常に残念なこと」とし「1人で預かり金の管理ができないようにするなど再発防止を進めたい」などと話した。

この知的障害更生施設は2001年に事業を開始。知的障害者入所更生や日中一時支援事業などを実施している。現在、30人が入所しており、25人が重度の知的障害者という

■2010.11.10  特養の運営「社福に限定を」約5割―施設長有志団体
特別養護老人ホーム(特養)の施設長有志でつくる「21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会」は11月10日、「全国老人ホーム施設長アンケート」調査結果(速報)を発表した。

それによると、特養の運営主体を「社会福祉法人に限定」が好ましいと考えている施設長が約5割いることが分かった。

調査は、今年8月末から9月末にかけて、全国の特養などの施設長7005人を対象に郵送で実施。
有効回答は1638人で、このうち特養の施設長は1407人。

調査結果によると、現在、特養の運営主体として認められている「社会福祉法人に限定」とする回答が750人(45.8%)で最も多かった。
次いで、6月に政府の「規制・制度改革に関する分科会」がまとめた第一次報告書で、特養運営への参入を可能にする方向で検討することが明記された「社会医療法人なら可」が221人(13.5%)。
以下は、「非営利法人なら可」209人(12.8%)、「営利企業を含めて可」114人(7.0%)、「医療法人なら可」78人(4.8%)の順だった。

社会医療法人について、同連絡会の相羽孝昭代表幹事は、「もう少し(認める回答が)多くてもいいと思うが、制度自体が新しく、まだ認知されていないのではないか」と話している。

自由記述欄では、「介護は公的責任、公的制度によって支えることを堅持すべき」「利潤追求を目的とする法人などが第一種社会福祉事業の経営に参入すべきでない」などの意見が見られた。
■処遇改善交付金「介護報酬に組み入れを」6割■ 調査では、介護職員処遇改善交付金の今後の方向性に関しても尋ねた。その結果、「介護報酬に組み入れる」ことを望む人が977人(59.6%)と最多で、「公費補助として継続」の433人(26.4%)を大きく引き離した。「廃止する」は58人(3.5%)。 介護報酬への組み入れを望む理由としては、同交付金が介護従事者のみに補助されるため「現場に差別と分断の種を持ち込む」とする意見や、「(恒久的に給付される介護報酬と違い)一時的かつ暫定的な措置であり、将来展望が見えない」との回答などがあった。

■2010.11.11  知的障害者ら原則同じ学級で授業…「多様な学び場必要」
特別支援学校で学ぶ知的障害者らと、そのほかの子供を同じ学級で授業するように求める内閣府の意見書に慎重論が相次いでいる問題で、高木義明文部科学相は11日、参院文教科学委員会で「多様な学びの場が必要という観点で中教審(中央教育審議会)で議論しており、さらに議論を深めたい」と述べ、意見書に対して慎重姿勢を示した。公明党の草川昭三議員の質問に答えた。

今年6月にまとめられた内閣府「障がい者制度改革推進会議」の意見書は、障害者が学ぶ特別支援学校について「地域の子どもたちから分離される要因ともなっている」と批判。「地域の小・中学校に就学し、通常の学級に在籍すること」を原則にするように求めている。

内容を尊重するように閣議決定も行われているが、教育関係者らから「障害に応じた教育ができない」「現実的ではない」などという批判が続出。11日の委員会で、高木文科相はこうした慎重論に配慮した答弁をした。

■2010.11.11  障害者福祉施設の職員が障害者調理の弁当売上金480万円着服 社会福祉法人美谷会
社会福祉法人「美谷会」(岐阜県関市)は11日、運営する障害者福祉施設「美谷の風」の元女性職員(52)=8月20日付で懲戒解雇=が、施設を利用する知的障害者が調理、販売していた弁当の売上金約480万円を着服していたと発表した。全額が返済されており、同法人は刑事告訴はしない方針。  

施設は知的障害者の通所作業所で、10〜50代の約80人が利用。弁当を調理し、関市の高齢者施設や独居老人に一食360円で宅配販売している。  

元職員は昨年8月に弁当の宅配と集金の担当になったが、今年7月まで毎月の集金分30万〜50万円のほぼ全額を着服。出会い系サイトの利用料に使っていたという。  集金分は法人の口座に入金することになっていたが、経理担当者は入金がないことに気付かず、上司が7月に配達記録と領収書の控えを照合して発覚した。

井上あさ子理事長は「利用者にご迷惑をかけ、深くおわびする」と謝罪した。

■2010.11.12  「平成20年度社会保障給付費」を公表  国立社会保障・人口問題研究所
国立社会保障・人口問題研究所は11月12日に、平成20年度の社会保障給付費(概要)について発表した。平成20年度の社会保障給付費は94兆848億円で、前年度に比べ2兆6544億円、2.9%の増加となっている(p1参照)。内訳は、医療が29兆6117億円(全体に占める割合は31.5%)、年金が49兆5443億円(同52.7%)、福祉その他が14兆9289億円(同15.9%)となっている。

■2010.11.12  不正な手段で居宅介護・重度訪問介護事業所の指定取り消し=大阪府茨木市 Hank’s Friends株式会社
内容 PDFファイル
http://social-welfare.rgr.jp/databox/webpdf001a.pdf

■2010.11.12  不正手段で指定、居宅介護事業所の指定取り消し  / 大阪府 ハンクスフレンズ株式会社
不正な手段により指定を受けたなどとして、大阪府は11月11日、「ハンクスフレンズ株式会社」(茨木市)が運営する居宅介護・重度訪問介護事業所「ハンクスフレンズ」(同)について、障害者自立支援法に基づく指定を同日付で取り消した。

府によると、同事業所は指定申請時に必要な書類の中で管理者が常勤で勤務するとしていたが、実際には常勤勤務していなかった。また、居宅介護事業で、昨年9月から今年2月の間、実際には提供していないにもかかわらず、8回分の通院介助サービスを提供したと偽り、約7万4900円の介護給付費を不正に請求していた。

茨木市は、加算金を含む約10万4900円を返還請求している。また、市独自で実施している障害者への移動支援事業で、補助金を不正受給したとして約6万7900円を返還するよう求めている。

■2010.11.13  障害者主体の手作り弁当工房が好評/川崎
在日コリアンやお年寄りが多く住む川崎市川崎区桜本で人気を集めている“お弁当屋さん”がある。障害者就労支援を目指す「スペースほっと&ほっとカフェ 手づくり弁当工房」。家庭の味をテーマに知的障害者らがスタッフと作る弁当は開店から5カ月たった今も、注文の予約が絶えない。地域の憩いの場にもなっている店内には、おいしそうな香りに交じり笑い声が響いている。

平日の午前9時半。レゲエ歌手ボブ・マーリーの陽気な曲がかかる厨房(ちゅうぼう)に、活気にあふれた声が響く。「ホウレンソウを切って」「鍋をかき交ぜて」。この日のメニューはビビンパ。鍋で肉をいためる店長の鈴木寛さん(33)は、隣で野菜の水を切る中川雅代さん(34)に向かってほほ笑んだ。「今日も忙しいね」

店がオープンしたのは6月。喫茶店も兼ねた店内で、鈴木さんと中川さんとともに知的障害者と身体障害者が交代で働く。スタッフのほとんどが料理経験はなかったが、同店責任者の金惠玉さん(47)は仕事に制限をつけることはしなかった。「お弁当が売れることで出る利益は彼らの給料になる。自ら働き、給料をもらうことで働いた自信と満足が得られる」。メニュー作り、食材の買い出し、料理から配達、すべてを本人たちに任せたという。

当初は、野菜が見分けられなかったり、調味料の配分ができなかったり、苦労は尽きなかった。買い出しの帰り道で通行人からつばを吐きかけられたことや、「障害者は苦労して当たり前」といった心ない声が寄せられたこともあり、金さんは「障害者が働く環境はまだまだ厳しいと思った」と話す。

だがあるとき、女性店員がふと漏らした言葉にハッとさせられたという。「今まで『けがをするかもしれない』と包丁も火も使わせてもらえなかった。でも、もう『心配しなくて大丈夫』って言える」。金さんは言う。「本当はできるのに周囲ができないと勝手に判断し、彼らが働くことを難しくさせてしまっているのかもしれない」。変わるべきは、周りの自分たちなのかもしれないと感じたという。

いま、店は1日平均80食の注文が入る。「以前は『食べてもらえるだけでありがたい』と思っていた。でも今は自信を持って『食べてみて』と言える」と金さん。
店のうわさは広まり、支援者も日に日に増えている。弁当に毎日入る漬物は、近所に住む女性からの差し入れ。配達や調理はボランティアが手伝う。店は地元住人の“たまり場”となっていた。

店の名前「スペースほっと&ほっとカフェ 手づくり弁当工房」は、「ほっとできる場所」という意味が込められている。午後6時。一日の仕事を終えた鈴木さんと中川さんが、店のテーブルでおしゃべりに花を咲かせていた。「寛くん、得意料理って何?」「ピーマンの肉詰めかな。今度メニューに入れようか」…。

■2010.11.15  情報交換が医療・介護連携のすべて   理由なきおむつ利用は犯罪行為に等しい
明治安田システム・テクノロジーは11月15日、東京都内でケアマネジャー向けの医療・介護連携セミナーを開催した。

この中で、講師を務めた国際医療福祉大大学院の高橋泰教授は、在宅医療・介護の推進に必要とされる医療・介護の連携について、「具体的な手法は情報交換がすべて」と強調。
医師もケアマネジャーも職種間の情報交換に必要な知識を整理し、それを習得する重要性を訴えた。

高橋教授は、医師が疾病や症状、セラピストが身体機能低下、ケアマネジャーが活動制限・参加制約に着目し、それぞれ役割分担して医療・介護サービスを提供すると説明。

職種間の視点や役割の違いをそれぞれの職種が理解することで、医療・介護の連携が実現できるとした。その上で、具体的な連携について聴講者同士で話し合ってもらい、情報交換する以外に具体的な連携手法がないことを強調。介護が必要になる3大疾病(脳血管障害、糖尿病、がん)別の情報交換手法について解説した。

脳血管障害では、その基本的な医療知識を持ち、再発と廃用症候群の予防を考慮したケアプランを立てることが重要と指摘。利用者の身体機能回復や自立支援の外部環境を整えることなどによって、本人の自立支援を重視して過剰なケアに陥らないよう注意を促した。

糖尿病では、診断に有用な「HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)」の数値に着目し、投薬の副作用に注意しながら、食事と運動管理で進行を抑制することを、医師はケアマネジャーに求めていると指摘。こうした視点で医師や看護師と情報交換しながらケアプランを作ることが重要とした。がんでは、末期から介護が介入するため、「がん進行の正確な知識を持つことで、現場でケアマネジャーがあたふたしてはいけない」と指摘。がん末期に関する医療の基礎知識を持つケアマネジャーであれば、不必要に医師に連絡して入院させることが減り、「在宅での看取り率を引き上げることができる」とした。

■「理由なきおむつ利用は犯罪行為に等しい」■
また、高橋教授は医療と介護の長短について、「医療は診断と治療の具体的な方法が整理されているが、医師は患者一人ひとりの顔が見えなくなりがち。一方、福祉は個別対応が基本で、利用者一人ひとりの顔を見やすい」と指摘。その上で、「介護は個別性が行き過ぎた面もあり、例えば、勝手な判断でおむつを当てるのは、(廃用症候群を招く)犯罪行為に等しい」と、個別ケアに危険な一面もあることを訴えた。このため、「介護も医療のように、疾病別に一定のケアを決める基準が必要」とした。

■2010.11.16  全国知事会:介護・看護資格目指す外国人、支援策を県が提案
全国知事会は15日、国から権限の移譲を受けて自治体が政策を展開する構造改革特区に関し23案をまとめ、片山善博地域活性化担当相に提案した。

静岡県は、介護福祉士や看護師の資格を取るために来日する外国人の受け入れ促進や資格取得の支援を求めた。賛同する39都道府県と共同で提案した。県の提案は、EPA(経済連携協定)に基づいて来日する外国人について、(1)看護師を目指す人を病院に加え、介護保険施設でも受け入れる(2)介護福祉士を目指す人を介護保険施設の職員に算定する▽在留期間を、介護福祉士を目指す人(現在4年)、看護師を目指す人(現在3年)とも10年に延ばす−−の3点。

県長寿政策局などによると、国は08年、EPAで外国人の受け入れを始め、これまでに計1122人が来日。このうち県内では、09年24人▽10年7人−−を受け入れている。

ただ、県によると、現行の在留期間では、国家試験に合格できるまでの日本語を習得するのは難しいのが実情。また、介護福祉士の資格取得を目指す外国人を職員として組み込めないため、経営上、受け入れに難色を示す施設が多いなど制度に課題が多いという。

■2010.11.16  菅首相:介護職員の一部医療行為実施、厚労省に検討を指示
菅直人首相は26日、医師や看護師にしか認められていない「たんの吸引」など一部の医療行為について、介護福祉士などの介護職員もできるようにする法整備の早急な検討を厚生労働省に指示した。
同省は来年の通常国会に関連法の改正案提出を目指している。

首相はまた、介護職員を対象にした一部医療行為を可能とするためのレベルアップ研修事業の今年度中の実施や、介護・看護職の人材確保に向けた職員の待遇改善にも取り組むよう指示した。

介護職員による一部医療行為について、厚労省は一定の条件が整っている場合に限り、運用で認めている。しかし、介護の現場からは法律で明確に規定するよう求める声が上がっている。首相は同日、東京都青梅市の高齢者専門医療施設「青梅慶友病院」を視察し、「介護職員や看護職員が継続して働くことができるようなフォローを制度的にもしっかりしなければいけない」と記者団に語った。

■2010.11.16  自立支援ケースワーカー 40人追加募集 市、生活保護受給者急増で  大阪
生活保護受給者の急増を受けて今年度から自立支援担当のケースワーカーを大量採用している大阪市は15日、任期付き職員40人を追加募集すると発表した。

市は5月と10月に計194人を採用したが、内定者の辞退などにより欠員が生じていた。任期は来年4月1日から平成25年3月末までの2年間。受験資格は社会福祉主事の任用資格を持つ人か、採用予定日までに取得する見込みの人で、年齢制限はない。来年1月10日に第1次試験(論文)、2月に第2次試験(個別面接)を実施する。

生活保護受給世帯は20年秋以降の景気悪化で増加傾向に歯止めがかからず、市内の今年9月現在の受給世帯は11万3255世帯、受給者は14万6377人で、受給率は5・49%。市は今年度、人員不足が深刻なケースワーカーを24年度までの任期付き職員として242人雇用する計画だった。

■2010.11.16  障害超え410人快走/四国てんとう虫マラソン
「障害のある人もない人も一緒に楽しく走ろう」を合言葉に昨年スタートした「第2回四国てんとう虫マラソン大会」(同世話人会主催)14日、香川県高松市生島町の県総合運動公園周回コースで開かれた。

完走者は、テントウムシをかたどったメダルと点字を使った証明書を受け取り、達成感に満ちた表情を浮かべていた。大会はゴールの制限時間を設けておらず、ウオーキング(3・4キロ)、ジョギング(4・6キロ)、マラソン(11・5キロ)の3種目があり、11府県から410人が参加した。

沿道では、ボランティア約100人がハンドベルやギター、タンバリンなどで思い思いの演奏を披露し選手を後押し。10月末に千葉県であった全国障害者スポーツ大会の卓球に出場したという視覚障害者の古田周三さん(64)=高松市元山町・ジョギング=は、「しんどかったけど、みんなの声援や演奏が後押ししてくれた」と感謝していた。選手の送迎で苦労したという大会代表世話人、砂金則男さん(68)は「障害のある方は手助けがないと、なかなか外出できない」と話し、「みんなボランティア精神はあると思う。(大会が)その一歩を踏み出すきっかけになれば」と、支援の広がりに期待した。

■2010.11.17  郡山の養護学校生事故死:損賠訴訟 福祉法人に支払い命令 県への請求は棄却 / 福島県
県立あぶくま養護学校の男子生徒(当時18歳)が07年、実習中に死亡した事故を巡り、母親で郡山市のピアノ講師、小川直子さん(47)が「安全措置を怠った」などとして、県と実習先の福祉作業所を運営する社会福祉法人「安積愛育園」を相手取り、慰謝料など約1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が16日、福島地裁郡山支部であった。

清水響裁判長は同園の注意義務違反を認めて同法人に325万円の支払いを命じた。一方、同校には過失は認められないとして、県への請求は棄却した。

判決によると、生徒は07年11月29日、実習中に作業所から無断外出し、約3キロ離れたJR東北線で列車にはねられ死亡。生徒は知的障害があった。弁論で原告側は、作業所の職員は2人しかおらず、捜索も遅れて事故につながったと主張。作業所の体制や実習先を選んだ県の過失の有無などが争点となった。

清水裁判長は「作業所の職員が生徒の監視・監督を怠った」と認定。県の過失は「生徒の特性を作業所に連絡しており、事故防止措置を果たしていないとは言えない」とした。原告代理人の尾形昭弁護士は「主張は全面的に認められていないが、学校と作業所に強い警告のメッセージを送ることができた」とコメントした。同法人は「判決を重く受け止めている。今後の方針は判決内容の詳細をみて判断したい」とした。

■2010.11.17  大阪府東住吉の障害者施設虐待問題 4件認定、市が改善指導 社会福祉法人今川学園 今林の里
内容 PDFファイル http://social-welfare.rgr.jp/databox/webpdf002.jpg

■2010.11.17  大阪府東住吉の障害者施設虐待問題 4件認定、市が改善指導 今林の里
大阪市東住吉区の知的障害者施設「今林の里」で入所者が職員から虐待を受けたとされる問題で、市は16日、指導監査で身体的虐待を含む計4件の虐待を認定、施設を運営する社会福祉法人「今川学園」に対し、社会福祉法に基づく改善指導を行った。
虐待によるけがは確認されなかったという。

府も同日、同法人に対し、障害者自立支援法に基づく改善勧告を行った。虐待問題は今年5月、元職員が市に通報して発覚。市が指導監査した結果、施設では平成19年12月〜今年5月末、入浴時に他の利用者に殴りかかった男性利用者の首を押さえつけるなど身体的虐待が2件、就寝時に女性利用者に掛け布団を渡さないなどの心理的虐待が2件確認された。このほか、書面で家族の同意を得ないまま居室を施錠するなど不適切な行動制限が15件、手で叩(たた)いてきた利用者をとっさに叩き返すなど不適切な支援が21件確認された。

■2010.11.25  「介護や福祉に役立てて」 北本の男性 死亡で遺言執行 市へ4700万円寄付
埼玉県北本市は二十四日、市内で亡くなった匿名の男性から「介護や福祉分野に役立ててほしい」と約四千七百万円の寄付があったことを発表した。市は男性の遺志を尊重し、高齢者、障害者、児童の福祉に活用する「市福祉基金」を設置して全額積み立てることを決めた。三十日から始まる十二月定例議会に設置条例案を提案する。

市によると、寄付は今年九月、男性の遺言執行者を務める行政書士から申し出があったという。市が行政書士から聞いた話では、男性は生前「市にお世話になった」と話し、遺産を市へ寄付するよう遺言したという。

同市への寄付額としては過去最高。使い道は今後検討するとし、石津賢治市長は「早ければ来年度予算で、寄付者が最も喜ぶ形で使いたい」と話した。  この手のニュースでは億単位の寄付が話題になることも少なくないので、4700万円というのは驚くほど高額じゃありません。でも「介護や福祉分野に」と使途をきちんと指定しているのがいいですね。こうしたニュースをきっかけに、遺言に寄付の項を入れる人が一人でも増えることを望みます。

■2010.11.27  障害者ら、助成金受け夢の喫茶店開店へ/川崎
障害者就労支援施設「おかし工房しいの実」(川崎市中原区木月伊勢町)が来年4月の喫茶店開店を前に、みずほ福祉助成財団(東京都千代田区)から助成金を贈られることになった。

助成金は、同財団が社会福祉向上への寄与を目的に1980年にスタートさせた事業で、今年は全国から300件を超える応募があったという。厳しい審査を通り、強力な“応援”を受けることになった同工房は、「大変ありがたい」と喜んでいる。

26日にみずほ銀行武蔵小杉支店(川崎市中原区小杉町)で行われた贈呈式。同支店の鬼塚大成支店長から助成金の証書を受け取った工房のメンバーの一人(35)は満面の笑みを見せた。「夢がかなう。オープンが楽しみです」

同工房は「無添加、手作り」をモットーに焼き菓子やパン、ケーキの製造・販売を展開。現在、知的障害者約35人が働く。工房開設から10年目の今年、ついに喫茶店開設が決まったが、開店費用が足りず頭を悩ませていたという。

偶然、スタッフがインターネットで助成金のことを知り応募したが、同工房は「まさか審査を通るとは思っていなかった」と話す。県内での贈呈はわずか2件。厳しい審査を勝ち抜いた結果に、ほかのメンバー(27)は「うれしい。お客さんがたくさん来るお店をつくりたい」と張り切る。

メンバーのうれしそうな顔に、同支店の鬼塚支店長も「夢のお手伝いができてうれしい。すてきな喫茶店になるといいですね」と笑顔。同工房は助成金を使い、コーヒーメーカーなど設備機器などを購入する予定という。

■2010.11.27  コミュニケーション障害…市販薬で改善
アスペルガー症候群や高機能自閉症などの障害を持つ人のコミュニケーション力が、神経細胞を活発化する市販の従来薬の投与で改善されることを、芦屋大発達障害教育研究所(兵庫県芦屋市)と東京農工大大学院生物工学科(東京都府中市)の共同研究チームが突き止め、日本神経精神薬理学会などで発表した。

コミュニケーション障害の効果的な治療薬はほとんど開発されておらず、芦屋大で研究にあたる油井(ゆい)邦雄医師は「障害に悩む人の治療の選択肢を増やすことができる」としている。

アスペルガー症候群や高機能自閉症などを総称して自閉症スペクトラム障害といわれる。研究チームによると、一つのことに熱中、反復するなどの行動障害と他人の言葉の意味や気持ちの理解が困難なコミュニケーション障害がある。脳の神経発達不全が原因とされるが、これまでコミュニケーション障害の治療薬はほとんどなかった。

研究チームは、神経細胞の発達に効果があり、錠剤として市販もされているアラキドン酸に注目。自閉症スペクトラムと診断された7人に1日1回、アラキドン酸約240ミリグラムを含んだ錠剤を、6人に偽薬をそれぞれ投与したところ、4カ月後、アラキドン酸を投与したグループはコミュニケーション障害が軽減した。

その後の4カ月間にわたり全員にアラキドン酸錠剤を投与すると、この差はなくなり、最終的に13人中10人が目に見えて改善したという。顕著な例では、教室から頻繁に出ていく子供が静かに座って授業を受けられるようになったり、孤立状態だった人が積極的に人にかかわるようになったりしたといい、研究チームは今後さらに効果を確かめる。

■2010.11.29  知的障害者らがパンや菓子作りの技競う/横浜で全国大会
全国の知的障害者らがパンや焼き菓子作りの技を競う「ユニバーサルベーキングカップ」の決勝大会が28日、横浜市西区の国際フード製菓専門学校で行われた。8チームが競ったパン部門は「パン工房まりも」(熊本県)、6チームが出場した焼き菓子部門は「ぎんが工房」(山梨県)が大賞を受賞した。

大会はパン店や洋菓子店のオーナーらでつくる特定非営利活動法人(NPO法人)「NGBC」(横浜市神奈川区)が主催。2003年を皮切りに2年に1度開かれ、今年は4回目。全国58チームが応募した。

両部門とも商品の製造過程を披露。各チームは自家製の小麦や地元の特産品、天然水などの素材で個性をアピール。審査員は味や形、香りなどを基準に沿って評価していた。
事務局を担う澤畠光弘さん(62)は「最近では職員の手助けはほとんどなくなった。パン作りを通じて自立に向けて努力する人たちの励みにしてほしい」と話していた。

主な受賞者は次の通り。
【パン部門】▽銀賞 さつき福祉会グーチョキパン屋さん(大阪府)▽銅賞 さくらベーカリーJapan(さいたま市)
【焼き菓子部門】▽銀賞 けやきベーカリー(岩手県)▽銅賞 かすたねっと(東京都)

 

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