残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

Past news

残しておきたい福祉ニュース

 1996年 
* 2月 * 4月 5月 * * 8月 * 10月 11月 12月

 1996.12. 2 住み込みで働いていた知的障害のある従業員三人の障害基礎年金約六百万円を着服 和歌山
 1996.12.13 和歌山市内の縫製工場の経営者、知的障害者から横領 経営者らを相手取り返還を求める民事訴訟
 1996.12.18 滋賀県の元肩パット製造会社サン・グループ 国と県、和田賢太郎同社社長の三者を相手取り、総額四億五千三百万円の損害賠償を求める訴訟
 1996.12.29 1994年度の全国の障害者施設と保護施設と社会福祉法人の指導監査結果


■1996.12.2  住み込みで働いていた知的障害のある従業員三人の障害基礎年金約六百万円を着服 和歌山
和歌山県警は、和歌山市内の縫製工場の経営者が、住み込みで働いていた知的障害のある従業員三人の障害基礎年金約六百万円を着服し、預かっていた健康保険証を無断で使って消費者金融から約二百二十万円を借りたまま、工場を閉鎖して行方をくらまし、三人には他の消費者金融約二十社からも督促が相次ぎ、他の数人も同様に督促を受けていることから、横領や詐欺の疑いで捜査を開始した。

■1996.12.13  和歌山市内の縫製工場の経営者、知的障害者から横領 経営者らを相手取り返還を求める民事訴訟
和歌山県労働基準監督署は、知的障害者三人の年金など約六百万円を横領していた和歌山市内の縫製工場の経営者が、この三人を含む知的障害者九人の給料を、十八年間に渡って支払っていないことがわかり、労働基準法違反の疑いで調べている。

未払い賃金は最低でも計約一億二千万円にのぼるという。この経営者は知的障害者を住み込みで働かせ、帰省時に三万円を手渡すだけで、通帳には給料を積み立てる約束をしていたが積み立てていなかった。また、経営者に預けていた亡夫の遺産二千四百万円を着服されたとして、女性従業員(知的障害)が、経営者らを相手取り返還を求める民事訴訟を、和歌山地裁に起こしたこともわかった。

■1996.12.18  滋賀県の元肩パット製造会社サン・グループ 国と県、和田賢太郎同社社長の三者を相手取り、総額四億五千三百万円の損害賠償を求める訴訟
滋賀県の元肩パット製造会社「サン・グループ」の元従業員(知的障害)十五人と一九九〇年に死亡した男性従業員の両親二人は、国と県、和田賢太郎同社社長の三者を相手取り、総額四億五千三百万円の損害賠償を求める訴訟を、大阪地裁に起こした。

同社社長に対しては、横領した障害基礎年金などの返還分約六千五百万円、賃金未払い分一億八千五百万円、原告に支払われる年金を担保にして年金福祉事業団などから約千八百万円を借り入れ、年金を受給できなくしたり、強制的に休日や時間外に働かせ、暴行・虐待、従業員が死亡したなど、精神的苦痛を受けたとして慰謝料などを請求。

国に対しては、八日市労働基準監督署が従業員の申告で被害を知りながら、指導や監督を怠っていたこと、八日市公共職業安定所も労働実態を調査せず、原告の一人を紹介したのに就職後の援助をしなかったこと、県に対しては、県立福祉施設二園が事前調査をしないで退園者を同社に紹介していたこと、県障害福祉課と県内三カ所の福祉事務所が、被害の申告があったのに救済措置を取らなかったことなどを指摘。

被告三者に「共同不法行為者」として慰謝料一億八千五百万円を支払う連帯責任を負うべきとしている。

■1996.12.29  1994年度の全国の障害者施設と保護施設と社会福祉法人の指導監査結果
厚生省は、1994年度の全国の障害者施設と保護施設(調査対象は1032施設)と、それを経営する社会福祉法人(581法人)の指導監査結果を発表。

何らかの指摘を受けた施設は987施設で、そのうち266施設(27.0%)は「入所者の処遇上に問題がある」と指摘した。

内訳は、
「給食や検便や栄養確保が不十分」(79施設、29.7%)、
「入所者の預かり金の管理、取り扱いが不適切」(31施設、11.7%)、
「入所者の負担金を不適切に徴収」(18施設、6.8%)など。

運営管理上の問題を指摘された施設は532施設(53.9%)で、このうち一番多く指摘されたのは、「会計事務処理が不適正」で141施設(26.5%)あった。

社会福祉法人については、578法人になんらかの問題があることを指摘し、このうちに131法人には「理事会運営や監査の問題点」を指摘、内訳は「理事会運営が低調、形骸化」(74法人、32.0%)、「監事監査が形骸化」(28法人、12.1%)など。

 

トップへ フッターへ