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 2010.12. 4 さぬきの特養老人ホーム虐待:「認知症入所者に虐待」 悪質性、県が指摘 /香川
 2010.12. 7 天皇、皇后両陛下:障害者を多く雇用する職場訪問 埼玉
 2010.12. 8 介護ベッド用手すりの重傷事故でメーカー公表―消費者庁
 2010.12. 8 児童虐待:福祉施設内09年度分公表 府に報告せず 発覚後、文書指導 /京都  ⇒京都市内では2職員が暴力
 2010.12. 8 2009年度、施設児童らへ虐待59件、「養護」職員が最多
 2010.12. 8 広がるオレンジリボン、児童虐待防止のシンボル…広島
 2010.12.10 ベッドの振動で異常察知 大分の老人ホーム 見守りシステム導入
 2010.12.10 横須賀市の社会福祉法人で不正経理
 2010.12.15 広島県アンケート 資格取っても別の仕事6割 ケアマネジャー3割「仕事続けたくない」
 2010.12.15 虐待防止条例 48時間以内の確認を義務化
 2010.12.15 高い技能を持つ障害者を「障害者山城地域マイスター」に認定する制度を創設
 2010.12.16 福井県内の公立小中学校で2008年度、発達障害があるとみられる児童生徒数が、3796人と全体の5.3%
 2010.12.16 児童虐待の父母、最長2年間親権停止
 2010.12.19 複数が関与 改善急務 園「法の適用違反」と異議 施設側は命令を不服として県に異議申立書を提出 社会福祉法人志度玉浦園
 2010.12.29 介護業界売上トップ10!2000億超の企業は?――帝国データバンク調査


■2010.12.4  さぬきの特養老人ホーム虐待:「認知症入所者に虐待」 悪質性、県が指摘 /香川
3日に明らかになったさぬき市志度の特別養護老人ホーム「志度玉浦園」の入所者虐待問題。
県は「複数の職員が複数の虐待行為を、訴えづらい認知症状の入所者にしており、悪質性が認められる」などと厳しく指摘した。

同園を運営する社会福祉法人の樫村正員理事長は「県の出した結論とうちの見方は違う」としながらも「職員から聞き取り、県の指導を参考に調査したい」と話している。

県によると、9月と11月に通報があり、11月中に立ち入り検査。七つの虐待行為と三つの組織的な違反行為が浮かび上がった。一部の虐待について園は把握していたが、実態調査や再発防止策など具体的な措置をとっていなかった。

虐待を受けていたのは、認知症状がある50〜90代の入所者9人。うち80代の女性は既に亡くなっているが、虐待行為との因果関係は認められないという。

虐待したのはいずれも介護職員で、20〜30代の男女。2年ほど前から最近まであり、職員が少なくなる夜から朝までの時間帯に集中しているという。

県が出した、老人福祉法に基づく改善命令と介護保険法に基づく改善勧告は、再発防止に向けた職員研修、入所者や家族への説明会などの実施や、高齢者虐待防止改善計画の策定、第三者による虐待防止委員会の設置などを求めている。さぬき市も近く、今回の問題に関する報告書を来週末までに求める意向を示した。

園によると、流動食を与えていなかったとして、20代の男性職員を既に7月15日付で減給処分(1カ月)にした。だが、新たに入所者をひもで縛り付ける虐待行為を指摘されたため、11月22日から自宅待機にしている。 流動食の問題以外で指摘された虐待行為などについては事実関係を調査中というが、県の調査で名前が挙がった入所者の家族には、大垣博信園長が既に謝罪した。

大垣園長は「入所者を第一に考え、まずは誠意を尽くそうと考えた。研修会や説明会を開く方向で対応したい。介護職員の流動食の注入についても早期に規定をクリアできるようにしたい」と話した。祖母が特養に入所しているという30代の女性は「ニュースを見て心配になって様子を見に来た。信頼して預けているので、不安な気持ちにさせないでほしい」と話していた。

■2010.12.7  天皇、皇后両陛下:障害者を多く雇用する職場訪問 埼玉
天皇、皇后両陛下は7日、埼玉県戸田市の多くの障害者を雇用する「マルイキットセンター」(武居哲郎社長)を訪れた。センターは03年設立で、従業員49人のうち障害者は33人。

両陛下は事務用品を確かめて梱包(こんぽう)する様子や、パソコンで納品物を確認する作業を見て回った。天皇陛下は従業員に「長く勤めているんですか」「仕事はおもしろいですか」などと声をかけた。両陛下は障害者週間(12月3〜9日)にちなみ、毎年障害者の雇用現場を視察している。

■2010.12.8  介護ベッド用手すりの重傷事故でメーカー公表―消費者庁
消費者庁はこのほど、消費生活用製品の重大製品事故について発表した。
医療・介護の関連製品では、介護ベッド用手すりで重傷事故が1件発生した。

事故原因は特定できていないが、製造メーカーと製品名を公表。メーカーが事故防止部品を無償配布しているものの、関連の事故が相次いでいるため、事故の危険性を周知する必要があると判断した。事故は11月2日に発生し、29日に報告を受理した。

消費者庁によると、被害者は愛知県の80歳代の男性。介護ベッド用手すりとベッドを固定する部分と、マットレスの間に足が挟まった状態で発見され、負傷が確認された。現在、原因を調査している。

事故があった製品は、パラマウントベッドが1992年から2000年にかけて製造した「KA-089」。同社は既に、01年から事故防止部品を無償配布しているが、同製品の使用者や管理者への周知が必要と判断して公表した。同庁では、「当該製品の事故については今後も、事故原因が特定されなくてもメーカー名と製品名を公表していく」としている。介護ベッド用手すりのすき間に体を挟む事故が相次いでいる問題で、厚生労働省は10月8日、都道府県の介護保険担当課などに向けて注意喚起を促す事務連絡を行っていた。

■2010.12.8  児童虐待:福祉施設内09年度分公表 府に報告せず 発覚後、文書指導 /京都  ⇒京都市内では2職員が暴力
児童福祉施設内などで虐待があった場合、地方自治体がその後の措置を含めて公表するよう児童福祉法が09年4月に改正されたのを受け、府と京都市は7日、09年度の虐待事例を初めて明らかにした。

府管内では、児童福祉施設の男性指導員が09年9月、入所していた小6女児の髪をつかんで頭を施設の壁に押しつける虐待が1件あった。別の職員が指導員を止め、女児にけがはなかったが、施設は府に事実を報告していなかった。

女児が今年1月に児童相談所に連絡して発覚した。府は現地調査などで虐待を確認後、再発防止などを含めて文書で施設を指導。指導員は施設を自主退職したという。

厚生労働省のガイドラインでは、児童福祉施設などは虐待の事実があった場合、速やかに管轄する自治体の担当部署に通知するよう求めている。

府は7日、府内の児童福祉施設で昨年9月に児童虐待があったと発表した。
昨年4月に施行された児童福祉法の改正を受けて府が初めて公表した。 府によると、虐待があったのは、府内の児童福祉施設。平成21年9月13日、入所している女児に対し、児童指導員の男性が、女児の髪をつかんで壁に押し当てた。指導員が通勤で使っている車を女児が傷を付けたことが原因という。女児が児童相談所に相談したことで発覚。府は今年5月、施設を経営する理事長に対し、再発防止に向けた改善を文書で指導。10月に、改善状況を現地で確認した。

■2010.12.8  2009年度、施設児童らへ虐待59件、「養護」職員が最多
虐待を受けた子や家庭で育てられない子供たちを養育する児童養護施設などで、施設職員らによる虐待が2009年度に59件あったことが厚生労働省の調べでわかった。

虐待を見つけた際の通告が09年度に義務化され、全国の実態が初めて把握された。調査の対象は、家庭に代わり18歳未満の子を養育する児童養護施設や児童自立支援施設、乳児院、里親など。09年の児童福祉法改正で、こうした児童福祉施設の職員や里親から入所児童への暴行やわいせつ行為などの虐待を見つけた場合、通告義務が導入された。

厚労省によると、09年度に都道府県や児童相談所などが受けた施設虐待の届け出や通告は計214件。そのうち、自治体で事実確認を行い、虐待行為があったと確認されたケースは59件だった。虐待行為が最も多かったのは児童養護施設で29件(49%)で、次いで児童自立支援施設と里親が各9件(15%)、児童相談所の一時保護所と知的障害児施設が各4件(6%)だった。虐待の内容は、身体的虐待が41件(69%)と最も多く、心理的虐待と性的虐待が各7件(11%)、ネグレクト(放置)が4件(6%)。

■2010.12.8  広がるオレンジリボン、児童虐待防止のシンボル…広島
広島県福山市で両親から暴行を受けた女児(2)が死亡した事件を契機に、児童虐待防止を訴える全国運動「オレンジリボン・キャンペーン」が、県内で広がりを見せている。

運動への協力者を示すオレンジ色のリボンへの問い合わせが県に相次ぎ、昨年の3倍に達する約30万枚を配布。協力企業も倍増する勢いといい、県は「虐待死が対岸の火事でなくなり、みんなで子どもを守ろうという意識が高まってきた」とみる。

同キャンペーンは、2004年に栃木県で起きた幼児虐待事件をきっかけに始まり、「オレンジリボン」をシンボルに虐待の早期発見や防止、保護者への支援などを訴える。県も昨年度からリボンを配り、今年度から利用者を「オレンジリボン・ナビゲーター」と名付けている。

昨年度は、県内の各市町と県の出先機関などでリボンを配るだけだった。今年度は8月に福山市で女児の虐待死事件が発生。11月1日に配布を開始すると、市民団体などから「会合などで配りたい。どこで入手できるのか」などの声が寄せらているという。さらに、「社員にリボンをつけさせる」とする協力企業も、スーパーや金融機関、警備会社などを中心に500社近くに達し、昨年度の約280社を大きく上回る。2年目のイズミ(広島市)は本社と県内全店舗の従業員計約2000人、新たに参加したもみじ銀行(同)は行員ら約2500人がリボンを制服などにつけて接客などにあたる。

同行は「お客さんにリボンの意味を聞かれることが多く、説明と同時にキャンペーンのチラシを手渡している。県内で痛ましい事件があっただけに、多くの方と接する機会の多い企業として少しでも防止に役立ちたい」とする。配布は来年3月末まで続き、県こども家庭課の棚多里美課長は「あいさつ程度でもいいので、親子連れを見たら声をかけ、育児に不安を抱えている保護者を孤立させないでほしい」と協力を呼びかける。

■2010.12.10  ベッドの振動で異常察知 大分の老人ホーム 見守りシステム導入
社会福祉法人「虹の会」(大分市)は、運営する二つの老人ホーム(同市横尾)に、入園者の就寝中の異常を知らせる「みまもり支援システム」を今月から導入した。職員の定期巡回の合間に起きる突発的な発作や事故も素早く察知できるとして期待されている。

このシステムは、コンピューターソフトウエア開発のエイビス(同市)が開発。別の研究所エム・アイ・ラボ(東京都)が特許を持つ直径約2センチの円形センサー二つをベッドのフレームに取り付け、ベッドの振動を分析し、離床だけでなく、けいれんなどの異常も察知して、ナースコールの回線を通して職員室のモニターに表示する仕組み。エイビスの吉武俊一社長が、父親の介護に苦心した経験を元にシステムの開発に取り組んでいたところ、ノロウイルスの患者が嘔吐物をのどに詰まらせて亡くなった事故などを受けて対策を考えていた虹の会の古畑憲治理事長が知り、実用化に向けて賛同した。2009年6月から約1年半、両施設で臨床実験を行って導入にこぎ着け、約2500万円をかけて113床に設置した。

導入後、寝返りなどで誤作動する場合もあるが、足の不自由な入園者が起き出した時、素早く対応できるなど役立っている。認知症の入園者のベッドからの反応で駆け付けると、のどにたんを詰まらせ苦しんでいたが、すぐに取り除けたこともあった。

同園職員の森尾高樹さん(33)は「ナースコールを容易に押せない方も多い。ささいな動作でも把握でき、安心できると職員内でも好評」。

古畑理事長は「(監視する)カメラなどは、プライバシーへの配慮から設置できない。介護は人の手が基本だが、夜間、30分毎の見回りを補完する画期的なシステム」と喜ぶ。吉武社長は「介護の現場は想像以上に過酷。少しでも職員らの手助けになって、痛ましい事故を防げるといい」と話している。

■2010.12.10  横須賀市の社会福祉法人で不正経理
横須賀市は10日、女性施設長(68)が不正経理を繰り返していたとして、障害者のグループホームなどを運営する社会福祉法人「クオレ」(同市坂本町4丁目、関尾温理事長)に改善命令を出した。

流用された資金を法人に戻し、施設長らに適切な処分をすることを求めるとともに、横領などの疑いもあるとみて施設長の刑事告発を検討する。

発表によると、施設長は2003年から08年の間に、同法人の資金から621万円を流用したという。具体的には、2年間にわたり勤務していない知人の名義を利用して支出した約250万円や、元施設利用者の職員の給与から「カンパ」として受け取った約160万円を流用した。他に、購入した物品の領収書を偽造し、約24万円を流用したとしている。
ことし4月、市に元職員の内部通報があり調査を進めてきた。

クオレは03年7月に社会福祉法人として市に認可された。法人設立の際に必要な基本財産1千万円のうち、577万円を施設長と知人4人の計5人が出資した。施設長は不正経理によって得た621万円をこの返済に充てたという。運営する精神障害者のグループホームなどでは、延べ56人が利用。市は来年1月17日までに改善結果報告書を提出するよう求めているが、関尾理事長は「早急に理事会を開き、適切に処理する。利用者に影響が出ないようにしたい」と話した。一方、施設長は神奈川新聞社の取材に「24万円の件は悪かったが、他に不正なことはしていない。研修費用や職員の給料からのカンパをプールしていたのは他の職員も知っていたはずだ」としている。

■2010.12.15  広島県アンケート 資格取っても別の仕事6割 ケアマネジャー3割「仕事続けたくない」
広島県内の介護・福祉の現場で働くケアマネジャー(介護支援専門員)の3割近くが、仕事を「続けたくない」と考えていることが、同県のアンケートでわかった。

資格を持ちながら、6割強が別の仕事に就いていることも判明。専門職にもかかわらず、低賃金や厳しい仕事に対する不満が多く、高齢化が進む中、介護の中核を担うケアマネジャーの労働環境の改善が急務といえそうだ。

県に登録する1万3488人(2月1日現在)を対象に実施。
回答のあった6105人のうち、ケアマネジャーとして働いているのは2311人にとどまり、資格を持ったまま別の仕事をする2161人と、5年に一度の資格更新をしていない1633人を合わせると62・1%に達した。

実働者の82・4%が正規雇用で、平均月給は約26万9700円。非正規雇用は月額約17万4900円だった。42%が「続けたい」と答えた一方、「続けたくない」は28・6%で、「わからない」と迷う人も29・4%いた。続けたくない理由(複数回答)は、「仕事の内容がきつい」が75%で、「給与等の労働条件が悪い」が59・3%、「専門性が評価されていない」35・5%と続いた。改善すべき点(同)でも、仕事や作業の「軽減、効率化、省力化」52・8%、「資格に見合った給与水準に引き上げる」49・5%、「経験に見合った給与体系の構築」32・7%の順で多かった。

「給与水準の引き上げ」を改善点に挙げる人が、別の仕事をする有資格者で29・7%、資格を更新しなかった人で21・7%とともに最多となり、給与面でケアマネジャーの道に見切りをつけた実態が浮き彫りとなった。

県介護保険課は「ケアプランを作成し、高齢者とサービス事業者などの橋渡し役となるだけに、ケアマネジャーは介護現場にとって重要。事業者と連携して負担軽減を進めるなどしたい」としている。

■2010.12.15  虐待防止条例 48時間以内の確認を義務化
児童相談所に虐待を疑う通報が夜間に3回あったが即応できず、幼い命を救えなかった。

虐待によって、ことしだけで6人の子どもが死亡している大阪府では、通報を受けた職員が48時間以内に子どもの安全を直接確認することなどを義務化した条例案が、府議会で可決されました。

大阪府議会で可決された「子どもを虐待から守る条例」では、通報を受けてから48時間以内に子どもの安全を直接職員が見て確認することが義務化されています。

また、ことし9月、門真市で当時17歳の田代悠里子さんが死亡した事件では、田代さんへの傷害の罪で起訴された姉らがアルバイト代を取り上げていたことが警察の調べでわかっていますが、保護者が子どもの財産を不当に奪う行為を「経済的虐待」と認定し、職員が調査を行えるとしています。府によると安全確認を義務化する条例は全国で初めてだということで、来年2月1日に施行される見通しです。

■2010.12.15  高い技能を持つ障害者を「障害者山城地域マイスター」に認定する制度を創設
障害のある人の就労を促進するため、府山城広域振興局(宇治市)は、高い技能を持つ障害者を「障害者山城地域マイスター」に認定する制度を創設、応募を受け付けている。

同局は「認定によって、その人の技能を企業に訴え、障害のある人が社会に出る道を開くきっかけにしたい」としている。障害者の就労については、法定雇用率が定められているのは一定規模の企業などであるため、実態の把握が難しいが、景気の悪化などにより、厳しい状況が続いている。

一方で、就職を希望する障害者が履歴書を書く際に自己PRすることがなかったり、すでに就職していても短期間しか続かなかったりと、就労を後押しする取り組みが課題となっていた。

認定制度は、個人の技術を認定することで、障害者のやる気を引き出し、また、企業にその障害者が持つ能力をアピールするのが狙い。

対象は、同局管内の宇治市や長岡京市、京田辺市など府南部の15市町村に住む障害者。就労の経験は不問で、様々な職場や事業所で、優れた技能を持っていたり、ほかの人の模範となったりしている人。自薦、他薦は問わない。府(本庁)にも企業などで働く障害者を対象にした表彰制度があるが、同局の認定制度は民間作業所などにも対象を広げた。

審査は、学識経験者や福祉施設関係者らでつくる認定事業推進委員会が、▽他の障害者の模範となる技能▽地域福祉の推進のための貢献度▽他の障害者の自立を促す技術の推進――の観点から、実際の作業現場も見て行い、認定する。西山治・宇治市障害者福祉施設連絡協議会副代表幹事は「認定により、本人が自信を持つだけでなく、障害者は必ずしも社会的弱者ではないことを一般の人にも知ってもらいたい」と期待する。

■2010.12.16  福井県内の公立小中学校で2008年度、発達障害があるとみられる児童生徒数が、3796人と全体の5.3%
県内の公立小中学校で2008年度、学習障害(LD)など発達障害があるとみられる児童生徒数が、3796人と全体の5・3%を占め、初めて調べた06年度の4・7%を上回っていることが県教委の調査で分かった。

文部科学省が02年に示した全国平均6・3%を下回っているが、県教委の担当者は「まだ学校現場での認識が不十分で、把握できていない部分もあるのでは」としている。

県議会予算特別委員会で小竹正雄・県健康福祉部長が報告した。県教委特別支援教育室が担当し、発達障害に対する国の基準で06年度から2年に1度、各小中学校を通じて調べている。担任教諭らが児童生徒の学校生活の様子などから判断し、病院で診断されたものではない。同室の調査によると、発達障害があるとみられる児童・生徒は08年度、小学生で2794人、中学生で1002人の計3796人で全体(7万1203人)の5・3%。06年度は小学生2366人、中学生1087人の計3453人で、全体(7万3458人)の4・7%だった。

発達障害は、LDのほか、注意欠陥・多動性障害(ADHD)や高機能自閉症などを含むため、現場教諭の認識の度合いによって判断に差が出てくる。

県教委は、発達心理学の専門家や小児科医による校内研修で、学校現場の理解を進める取り組みを実施してきたとし、08年度の調査で割合が高くなったのは、「発達障害への教員の理解が06年度の調査時点よりも進んでいる」と分析する。

だが、文科省調査の6・3%よりも低く、現場の理解がまだ不十分の可能性もあるという。障害の特性に応じた適切な教育が必要なため、同室の担当者は「行政側の一貫した支援が今後の課題。進学や就職など区切りの段階でスムーズに支援できるよう態勢を整えたい」としている。

■2010.12.16  児童虐待の父母、最長2年間親権停止
法制審議会(法相の諮問機関)の部会は15日、父母らによる児童虐待防止のため、家庭裁判所の審判で最長2年間、親権を停止できる制度の新設を求める要綱案を決定した。

法人や複数人が未成年の後見人に就ける内容も盛り込んだ。審議会は来年2月の総会で了承を得た上で、法相へ答申する予定で、政府は来年の通常国会に要綱案に基づく民法改正案を提出する方針だ。

児童相談所で対応した児童虐待件数は2009年度1年間で4万4211件に上るなど、年々増加傾向にある。その中には、親が親権を理由に、児童相談所による保護などに抵抗するケースも少なくない。このため、要綱案では、虐待やネグレクト(育児放棄)などで「子の利益を害する」場合、親族や子ども本人、検察官、児童相談所長らの請求により、家裁の判断で、2年以内の期間を定めて親権停止を命じることができるとした。停止期間は、親の状況や子どもの心身の状態を考慮して家裁が判断し、延長も可能だ。

■2010.12.19  複数が関与 改善急務 園「法の適用違反」と異議 施設側は命令を不服として県に異議申立書を提出 社会福祉法人志度玉浦園
あってはならないことが起きた。県は3日、「施設内で、複数の職員が認知症を患う入所者に虐待を行った」などとして、さぬき市志度の特別養護老人ホーム「志度玉浦園」に改善命令(行政処分)を出した。

介護のプロがなぜ。施設は気付けなかったのか。そんな疑問がわく一方で、施設側は命令を不服として県に異議申立書を提出。波紋が広がっている。

問題の経緯はこうだ。
3カ月前の9月上旬、「志度玉浦園で虐待が行われている」との通報が、特別養護老人ホームを監督する県長寿社会対策課にあった。11月初旬には、より詳しい情報が寄せられ、同課は「虐待を含む違反行為の疑いがある」と判断。
11月8日から同月末にかけ、介護保険法と老人福祉法に基づく立ち入り調査を行った。
職員全員に事情を聴くなどした結果、「介護職員5人が、認知症の入所者9人に虐待を行った」ことが判明。県は3日、老人福祉法に基づく改善命令と、介護保険法に基づく改善勧告(行政指導)を園に出した。

■自覚は問わず
今回、県が認定した虐待は、「車いすを机の下に深く押し込み、動けなくした」など、今春を中心にあった7事案=上表=。認定においては、2006年に制定された高齢者虐待防止法が力を発揮した。
 
家庭・施設で介護を受ける高齢者を虐待から守るのが目的の同法。法律の定義のなかった高齢者虐待を、(1)身体的(2)介護の放棄(3)心理的(4)性的(5)経済的―に分類。合わせて国が作成したマニュアルでは、「ベッドに縛る」「無視する」といった具体例を示し、判断しやすくした。

=表=
http://social-welfare.rgr.jp/img/wkod71nx00a3.jpg

長寿社会対策課によると、7事案はいずれも職員本人が認めるか、複数の目撃があった。職員の一人は「手間を省きたかった」などと理由を述べたという。虐待の意図があったかは不明だが、同課は「高齢者虐待防止法では、虐待を『している』『されている』との自覚の有無は問わない。緊急性なども考慮し、客観的に判断した」とする。
 
施設への処分も一歩踏み込んだ。虐待防止法施行後、昨年までに虐待行為を認定された県内の施設は3つ。処分は、どれも文書指導などにとどまる。しかし今回は、▽複数の職員が複数の入所者に虐待を行った▽より弱い立場の認知症患者が被害者▽組織として対処できていない―ことなどを踏まえ、「指導」よりも重い「処分」を初めて適用した。

■把握1件のみ
一方、玉浦園では11日、樫村正員理事長が入所者の家族らに謝罪。再発防止のための職員研修なども進める半面、命令を不服として県に異議を申し立てるなど、ゴタゴタが続く。
 
異議の中身は後述するとして、玉浦園は、県が指摘した7事案の大半を知らなかった。事前に把握していたのは、行為4面の「流動食を捨てた」部分のみ。関係職員の処分は行ったが、「虐待ではない」として、さぬき市には報告していなかった。
 
県の指摘を踏まえ、園が15日に行った独自調査委員会。虐待を指摘された職員5人の聞き取りの結果、行為3面は職員が否定したが、残りは全員が大筋で認めた。調査委は虐待かどうかの判断はしなかったが、施設として行為を確認した。
 
大垣博信園長は「現場にいながら気付けず、園長の責任を果たせなかった」とうなだれる。7事案には、報告が管理職まで上がりながら、調査しきれなかった行為も含まれていた。約2年前から、職員向けに行ってきた虐待防止の研修も十分生かされなかったようだ。

■聞いた事ない
さて、異議申し立ての話題に移る。一体、施設側は何を不服としているのか。
 
樫村理事長は「虐待を疑われる行為があったことを否定するわけではない」とした上で、「法律の適用違反がある。高齢者虐待防止法には『虐待の通報は市町に行う』とあり、県に調査権限はない」などと主張。「通報を受けた県はさぬき市に連絡し、市が調査するべきだった」と強調する。
 
これに対し県は「虐待防止法では一義的に市町が調査するとあるが、これは老人福祉法、介護保険法が定めた県の調査権限を制限するものではない」と説明。「今回は県に直接通報があった。さぬき市にも連絡して対応しており、法的手続きに問題はない」とする。
 
厚生労働省認知症・虐待防止対策推進室は「高齢者虐待をめぐっては、『虐待か、不適切な介護か』を争う事例はあるが、法の入り口論でもめるケースは聞いた事がない」と話す。
 
いずれにしても、問題解決に向けたアプローチとは別次元の話。園内からは「入所者が安心できる体制の再構築を急ぐ方が大事」との声も漏れ聞こえる。


氷山の一角
通報しづらい環境懸念 教育、待遇改善も不可欠

「施設での虐待が表面化することは依然少ない」。いち早く高齢者虐待の問題に取り組み、第一人者として知られるNPO法人・日本高齢者虐待防止センター(東京)の田中荘司理事長は、今回の志度玉浦園の事態を「氷山の一角」と指摘する。
 
厚生労働省の2009年度調査によると、高齢者の家族からの虐待が1万5615件に対し、施設の職員による虐待は76件。家庭に住む高齢者の方が圧倒的に多いせいもあるが、施設の場合には虐待の通報が外に出にくいことも一因だ。
 
その理由について、田中理事長は「通報者の秘密は守られることになっているが、ばれてしまい辞めざるを得なくなるのを恐れて、職員は通報をためらう」と説明。さらに「幹部は地域社会から悪く思われることを最も恐れている」とし、内部でうやむやに処理する場合があるという。
 
また「職場の人間関係がおかしくなるから」と注意を控えるなど、内部けん制が機能しないことも。田中理事長は「職員から指摘があっても、個別の出来事で終わらせてしまい、全体の問題として組織で対応する仕組みができていない」と問題点を挙げる。
 
こうした現状は高齢者虐待防止法の施行から約4年半が経過した今でも依然、課題として残されている。職員の意識も同様だ。県が行った志度玉浦園の職員39人のアンケートから実態を垣間見ることができる。
 
高齢者虐待に該当すると思う行為を聞いたところ、「車いすと机の間に挟んで動けなくする」「人前で恥をかかせる」「無視する」は32人、「裸で放置」「四肢を縛る」は34人が「そうだ」と回答。国のマニュアルに照らすと、どれも虐待行為だが、数人はその認識がなかった。
 
同法の成立にも尽力した田中理事長は「虐待の基本的知識や高齢者の人権意識はまだ徹底されていない」と苦言を呈する。
 
ただ、どんな行為を虐待として認定するか。施設を調査する県や市町によって判断はぶれている。
 
今春、宇都宮市内の介護老人保健施設で、入所者の上半身裸の姿を職員が携帯電話で撮影した行為などが発覚。同市は「極めて不適切」と改善勧告したが虐待とは認定しなかった。同市は「行為だけ取り上げれば虐待との意見もあったが、当該の職員が退職して連絡できないなど客観的な材料を調査で得られなかった」と理由を説明する。
 
「数学と違って、定義はあっても解釈に違いが出るのは当然。オーバーに言えば、自治体の数だけの解釈が起こりうる」と田中理事長。どこからも異論が出てこないような基準の設定は難しいが、「自治体が通報への対応を積み重ねていく中で、段々と虐待の範囲が固まってくる」という。
 
虐待行為の認定をめぐる見解の相違は、志度玉浦園の場合のように施設と自治体との間でも生じる。自治体が及び腰になってしまう恐れもあるが、田中理事長は「自治体はやはり厳格に対応するべきだ。施設側にとっては不満かもしれないが、高齢者の人権や尊厳の重さを考えてもらうことにつながる」と訴える。
 
虐待問題を「職員個人の問題として処理してしまってはいけない」という意見は多い。介護職場の待遇改善などを訴える日本介護福祉士会の石橋真二会長(県介護福祉士会会長)は「職員個人の資質に原因があることは間違いない」と指摘した上で「人員配置や人材育成を含む労働環境の改善に取り組まないと問題は解決しない」と強調する。
 
介護は重労働だが、収入は少なく、多くの介護職員がストレスを抱えているのが現実という。そのはけ口が弱いお年寄りに向けられる恐れがあるという認識に立ち、「普段から『何が虐待なのか』という教育を行わなければならない」と補足した。
 
徹底した原因分析と同時に、組織として、職員の労働環境や待遇の改善にも取り組まなければ、真の問題解決につながらない。

■2010.12.29  介護業界売上トップ10!2000億超の企業は?――帝国データバンク調査
帝国データバンクでは、2010年12月時点の企業概要データベースから、2009年度(2009年4月期〜2010年3月期)の売上高が判明した介護サービス・有料老人ホーム業者を主な対象に、社数・売上高総額推移、内訳、売上高前期比較、損益状況、倒産動向を分析し、12 月27日に公表した。

介護サービス・有料老人ホーム業に関する経営実態調査を同社が行うのは、今回が初めて。

【調査結果】
2009年度の売上高が判明した介護サービス・有料老人ホーム業者数は7022社となり、診療報酬が改定された06年4月直前の05年度の2733社と比べ、156.9%の大幅増で約2.5倍に急増。売上高総額も4兆2122億100万円で、05年度と比べ94.6%の大幅増となった。06年、09年に介護報酬が改定され、参入企業が増加したことが影響した。

売上高10億円以上の企業を見ると、2009年度は「増収」が594社、構成比74.4%を占め、「減収」(88社、構成比11.0%)を大幅に上回った。損益状況においても、「黒字」が582社で、構成比は92.4%と9割を超える高水準となった。

企業別では、介護会社としては、現在のところ唯一の一部上場企業であるニチイ学館が他を圧倒しての売上を達成している。

調査結果詳細 PDF http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p101206.pdf


【2009年度売上高上位トップ10】
1位 ニチイ学館 2,004億8,300万円  2位 ベネッセスタイルケア 444億9,700万円 3位 ツクイ 394億4,000万円  4位 メッセージ 267 億8,100 万円  5位 メデカジャパン 243 億1,100 万円  6位 ベストライフ 235億円 7位 ワタミの介護 174億7,700万円  8位 ハーフ・センチュリー・モア 166億3,700万円 9位 ライフコミューン 130億3,600万円  10位 川島コーポレーション 128億9,400万円 

一方、2010 年の介護サービス・有料老人ホーム業の倒産は、11月までで16 件発生。過去5 年で最多の2009 年から一転、前年同期比50.0%の大幅減となった。

負債総額は17 億7,000 万円と、2005 年以降で最小。負債額トップの潟eンダーファイブ(東京都、2010 年4 月民事再生)でも約7 億4,000 万円にとどまり、1 社あたりの平均負債額も約1 億1,100 万円と、小規模・零細企業が倒産の多くを占めた。

 

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