残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2004年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 * *

 2004. 2. 3 善光寺 車いすの身体障害者の男性を拒否
 2004. 2. 4 知的障害のある男性が強制わいせつ
 2004. 2. 5 「福島県矢吹しらうめ荘」でセクハラ行為 社会福祉法人福島県社会福祉事業団
 2004. 2. 7 苫田温泉乃利武 障害者だからと一筆頂いた上でのご利用を」と求めてきた
 2004. 2. 9 岩手県、はまなす学園を指導監査
 2004. 2.10 公職選挙法違反 知的障害者更生施設「つわぶき綜成苑」更生部長
 2004. 2.10 控訴を取り下げ 代筆を認めた制度改正
 2004. 2.16 重度の知的障害者が幼児を道路に投げつけ死亡
 2004. 2.17 社会福祉法人「ラファエル会」、入所者から寄付金を集める 神奈川 「薫風学園」 
 2004. 2.18 「アイスター」、アイレディス宮殿黒川温泉ホテルを廃業か
 2004. 2.21 みやぎ知的障害者施設解体宣言 県立船形コロニー
 2004. 2.23 都立七生養護学校、性教育の問題
 2004. 2.23 知的障害者の男性、小学生二人を手で殴る 埼玉県
 2004. 2.25 虐待、小学校の男性教員
 2004. 2.25 アカス紙器 第三一回口頭弁論
 2004. 2.25 茂原市の紙器会社社長が知的障害のある二十歳代の女性に準強制わいせつ
 2004. 2.26 校長が自殺、天理市立小学校の男性教諭が障害者を差別


■2004.2.3  善光寺 車いすの身体障害者の男性を拒否
長野市の善光寺は、「節分会」の豆まきで、定員を明示せずに参加者を募集。車いすの身体障害者の男性(五九歳)の参加を、「安全が確保できないため」として拒否していたことがわかった。男性が参加を申し込むと、募集していると回答。その後、男性が車いす使用を話すと「定員一杯」と言い、断った。

■2004.2.4  知的障害のある男性が強制わいせつ
沖縄県警与那原署は、小学二年の男児(八歳)を民家の軒下に連れ込み、下半身を触らせたとして、誘拐および強制わいせつ容疑で、園芸作業員の男性(三五歳)を逮捕した。男性は知的障害があり、容疑を認めているという。

■2004.2.5  「福島県矢吹しらうめ荘」でセクハラ行為 社会福祉法人福島県社会福祉事業団
社会福祉法人「福島県社会福祉事業団」は、同法人が運営する知的障害者更正施設「福島県矢吹しらうめ荘」で、同施設の男性職員(六十歳)が昨年十一月、入所者の女性二人(二十歳代)に対し、胸などを触るなどのセクハラ行為をしていた疑いがあることが分かったことを明らかにし、男性職員を自宅に待機させ、調査を開始した。五日、福島県警白河署は、同職員を被害にあった女性の供述から準婦女暴行容疑で逮捕した。男性職員は容疑を認めている。

■2004.2.7  苫田温泉乃利武 障害者だからと一筆頂いた上でのご利用を」と求めてきた
岡山市は、昨年十一月、岡山市の温泉旅館「苫田温泉乃利武」が、「岡山盲ろう者友の会」から約二百人の宿泊を申し込まれた際に、「段差が多く、設備が不十分で、非常時の誘導などに対応できない」として拒否していたことが分かったため、旅館営業法違反の可能性もあるとして調査している。

同会はその後三回、旅行会社を通じて、盲ろう者一人に介助者が二人から三人や盲導犬がつくことなどを説明したが、盲ろう者自身の下見も含め拒否された。

今年一月十五日、同会から相談を受けた同市が旅館に立ち入り指導をし、「設備が不十分として宿泊を断るのは、正当な理由にならない」と指摘したため、一月十六日、旅館側は宿泊受け入れを伝えた。

しかし、同会は方針転換した理由を文書で回答するよう求めたところ、一月三十日付けで、「施設の構造が目の自由な人にはふさわしくなく、万が一不慮の事故や負傷者が発生した場合、当館は一切の責任を持てませんので、一筆頂いた上でのご利用を」と求めてきたため、同会から文書の内容を知らされた同市は再度、立ち入り指導をし、一筆を強制すると旅館営業法違反になると伝えた。

二月初め、同会は「『障害者だから』との理由で断るのは、人権感覚が問われ、差別である」との抗議文を送った。同社社長は、「お客様の安全を第一に考えお断りをし、『一筆』をお願いした。差別とは思わない。障害者にふさわしい施設ではなく、断るほうが親切だと思う」と話している。

■2004.2.9  岩手県、はまなす学園を指導監査
岩手県は、知的障害者更生施設はまなす学園で入所者の不自然なけがが続いていた問題で、同施設を指導監査した。宮古地方振興局と県障害福祉課が開設当時(一九八五年)にさかのぼって確認できる一二九件の負傷事例について、医療記録などの関係書類を確認。役職員から事情調査した。また、元職員や保護司や、関係団体から任意で聞き取りを行った。十日、監査を継続した。

■2004.2.10  公職選挙法違反 知的障害者更生施設「つわぶき綜成苑」更生部長
和歌山地裁は、知的障害者更生施設「つわぶき綜成苑」更生部長(六四歳)の昨年十一月に行われた衆院選の不在者投票の際に、入所者九人に自民党候補者名と自民・公明両党と書いたメモを渡し、投票に干渉したとして公職選挙法違反(投票干渉)に問われた事件の初公判を開いた。

検察側は冒頭陳述で、施設への補助金確保を目当てに入所者に与党候補へ投票させ、投票干渉は以前から組織的・継続的に行われていたと指摘し、禁固八カ月を求刑した。被告は起訴事実を認め、「重大な誤りだった」と謝罪した。二月十日、同地裁は、禁固八月、執行猶予三年(求刑禁固八月)の判決を出した。他の職員三人(いずれも罰金三十万円)と共謀したことも認めた。

■2004.2.10  控訴を取り下げ 代筆を認めた制度改正
東京高裁は、筋萎縮性側索硬化症の患者二人が、「字が書けないことを理由に郵便投票を利用させないのは選挙権の侵害」として国家賠償を求めた訴訟で、患者側は「代筆を認めた制度改正が実現し、訴訟の目的を達成した」として、控訴を取り下げた。

■2004.2.16  重度の知的障害者が幼児を道路に投げつけ死亡
名古屋地検は、昨年三月、名古屋市北区の幼児(当時四歳)が無職の男性(二四歳)に道路に投げつけられ死亡した事件で、男性が重度の知的障害者で、事件当時は心神喪失状態だったとして不起訴処分にしていたことが、分かった。

同地検は精神鑑定を依頼していたが、男性が幼少時から重篤な発達障害があり、事件当時は是非善悪の判断能力がなかったという鑑定結果を受け、本人にも事情を聞いたが、会話が成立しないほど障害が重く、刑事責任を問えないと最終的に判断した。幼児の父親は「納得できない」として、検察審査会への審査申し立てなどを検討している。

■2004.2.17  社会福祉法人「ラファエル会」、入所者から寄付金を集める 神奈川 「薫風学園」 
神奈川県は、藤野町の知的障害者更生施設「薫風学園」が、入所者のほぼ全員から毎月約二万円の寄付金を集めていたことが、監査で判明したことを明らかにした。

寄付は入所者の保護者らでつくる「後援会」の会費名目と、理事長が会長を勤める任意団体が設置した障害者支援の研究所への研究委託費名目で集められていた。

入所者の保護者から苦情を受け、監査を実施。寄付は開園した一九九三年から始め、入所者のほぼ全員から集めた寄付金は千数百万円に上るとみられ、学園施設建設費の借金返済などに充てられていた。

県は「入所者本人や保護者から同意を得ていたか確認できない」として、同学園に対して、同意が確認できない寄付金について全額返還するよう指導する方針。

十七日、同県は、薫風学園を運営する社会福祉法人「ラファエル会」に、社会福祉法に基づく改善指導を行った。

寄付については「入所者の十分な同意が確認できなかった」として全額返還を求めた。

同園は、保護者や親権者の意向で入所者個人の障害基礎年金の通帳管理を委託されている十数人については、「文書で寄付の同意を得ていた」としているが、県は「趣旨まで理解した上で同意していたとは確認できない。同意があったとしても利用者に過大な負担を求めており、適正でない」とした。

「ラファエル会」は、ほかにも県内で知的障害者通所施設と特別養護老人ホームの利用者から同じ名目で寄付を集めていたため、県は利用者側に改めて寄付の意思を確認し、返還要請があれば応じるように指導した。

■2004.2.18  「アイスター」、アイレディス宮殿黒川温泉ホテルを廃業か
熊本県の「アイレディス宮殿黒川温泉ホテル」を経営する化粧品訪問販売会社「アイスター」は、秘書室長は、ハンセン病療養所入所者の宿泊拒否に抗議した学生に対し、秘書室長がハンセン病療養所入所者を元暴力団員に例えて宿泊拒否を正当化するメール・手紙を送っていたやりとりを、自社ホームページに全文掲載した。

学生の了承は得ておらず、全文には学生の住所や携帯電話番号など個人情報も含まれていた。同社は「削除するつもりはない」と話している。

十一日、熊本県は、「アイスター」に、「ハンセン病が感染しないと認知した上で宿泊を拒否した」「宿泊拒否行為に正当な理由はなかった」と判断し、旅館業法に基づいてホテルに五日前後の営業停止処分を出す方針を固め、最終調整に入った。

十六日は、「宿泊拒否への謝罪」を理由にホテルを廃業することを明らかにした。時期は未定。

同県は、人権侵害の認識が低いなどとして、同ホテルを旅館業法に基づき三月十五日から十八日まで、四日間の営業停止処分にする方針を固めたが、結論を持ち越した。

国立療養所「菊池恵楓園」自治会長は、「県などの処分に対する対抗手段なら、問題のすり替えだ」と指摘している。同ホテルが廃業を表明した直後から、「菊池恵楓園」の入所者らに「おとなしくしていろ」などの電話が相次いでいることがわかった。

十七日、同県は、ホテルが廃業届けを出していない限り営業を続けているとみなすとして正式に営業停止処分にすることを決めた。十八日、「アイスター」に処分内容を通知した。弁明を受け、三月上旬をめどに処分を確定する。

■2004.2.21  みやぎ知的障害者施設解体宣言 県立船形コロニー
宮城県は、県内にあるすべての知的障害者入所施設の「解体」を目指す宣言文(みやぎ知的障害者施設解体宣言)を二十一日に出すことを公表した。

二十一日、大津市で開かれた宣言には「入所施設を解体して、知的障害者が地域の中で生活できる条件を整備する」としている。

二〇〇四年度から入所者が地域で生活できるように支援する予算を充実させることなどで、民間の施設を含めて地域移行を促進する。

同県福祉事業団が二〇〇二年十一月に、県立船形コロニー(定員五〇〇人)の解体を表明、二〇一〇年までに地域以降を進めるが、二〇〇三年度には六八人が退所するため、これを県全体に広げていくために予算化している。

しかし、目標の時期の明記はなく、民間施設への強制力はない。来年度予算では地域移行に関する予算は前年度の一・五倍の二億円で、痴ほう性高齢者と知的障害者が共同生活をする「共生型グループホーム」を四カ所整備するほか、グループホームの世話人やデイサービスの職員の増員に補助する制度を新設する。グループホームは一年間で三一カ所増やす計画。その他の支援策や解体の具体的な手順については、障害者施策推進協議会などで検討していく。

■2004.2.23  都立七生養護学校、性教育の問題
東京都教育委員会は、都立七生養護学校の性教育に「行き過ぎがある」などとして、教材に使っていた人形などを没収していたが、「都立七生養護学校の教育を支援する日野市民の会」が、「子どものことは現場の教員が一番よくわかっており、性教育は適切」「外部の人もまじえ、是非をもう一度調査して」などとして、没収した教材の返還などを都教委に申し入れた。

■2004.2.23  知的障害者の男性、小学生二人を手で殴る 埼玉県
埼玉県警捜査一課と所沢署は、一月末に小学生二人を手で殴ったとして、県西部の知的障害者施設に通う男性(三五歳)を暴行容疑で逮捕した。所沢市と入間市では先月末から今月にかけ、計十二件の児童を狙った暴行事件が起きているため、余罪についても追求する。

■2004.2.25  虐待、小学校の男性教員
東京都教育委員会は、市立中学で心身障害学級を担当する男性教員(五九歳)が指導をきかない男子生徒に手錠をかけたなどとして停職一カ月の処分にした。

また、市立小学校の男性教員(五二歳)を指導に従わない児童に向けておもちゃのピストルを撃ったなどとして戒告処分にするなど、五教員と男性校長の処分を発表した。

二十六日、今年度に「指導力不足」と認定した教員は十八人で、うち五人については「教員として不適切」として、行政職への転職を求めることを明らかにした。

■2004.2.25  アカス紙器 第三一回口頭弁論
水戸地裁は、水戸市内の段ボール会社「アカス紙器」の前社長による知的障害者虐待事件で、被害者の女性三人が前社長を相手取り損害賠償を求めた訴訟の第三一回口頭弁論を開き、弁護側が最終準備書面を読み上げ、一九九六年の提訴から七年余りかかった訴訟が結審した。目撃者のいない虐待の立証と、知的障害のある原告の証言の信用性の裏づけに弁護の力が注がれた。判決は三月三十一日の予定となった。

■2004.2.25  茂原市の紙器会社社長が知的障害のある二十歳代の女性に準強制わいせつ
千葉県警茂原署は、知的障害のある二十歳代の女性に会社の倉庫で体に触るなどわいせつな行為をしたとして、女性が派遣されていた茂原市の紙器会社社長(六一歳)を準強制わいせつ容疑で逮捕した。

女性の通う障害者福祉施設は現在、市内の四業者と提携し、施設内での化粧箱の組み立てや割り箸の袋詰めなどの作業を請け負い、同会社とは一九八八年から契約し、二〇〇〇年からは会社に出向いて作業する実習生を二、三人派遣していた。昨年八月上旬、女性の様子かおかしいことに気付いた母親が被害を訴えたため、施設は同会社との契約を打ち切った。

■2004.2.26  校長が自殺、天理市立小学校の男性教諭が障害者を差別
奈良県天理市の市立小学校は、昨年五月に男性教諭(四七歳)が、養護学校との交流授業の事前学習の中で、担任する三年生の女児(九歳)の姉が養護学校に通っていることに触れ、「養護学校の生徒にはよだれがついていることもあるが、犬や猫にくらべてまし」「手をつながなくてもいいが、つないだ方がいい」など障害者を差別するような発言をし、六月上旬から女児が半年以上不登校になっていることが分かった。

保護者の抗議にも教諭は「女児が学校に来れば謝る」との姿勢を変えず、家庭訪問もしていない。

また、学校側は直後に、別室に登校してもらう措置をとり、校長が女児に「昼食時は別の教諭を充てるので、クラスに戻って一緒に食べられるようにする」と約束したが、教諭が拒んだため、七月上旬から再び登校しなくなり、校長が市教育委員会に相談したが「他の生徒との関係はよくいっている」として、打開策を講じていない事態となっている。

また、女児は昨年十一月に天理市長に「どうかたすけてください」と直訴する文書を送っていたことがわかった。市長は二週間後に「早く良い結果が出ますように関心を持って見守っていきます」と返事を書いているが、具体策は立てていない。

二十日、同小学校の校長が、自宅近くの墓地で首をつって死んでいるのを家族がみつけた。対応を協議するため、午前中、男性教諭宅を市教育委員会の職員と訪問するなどしていた。

奈良県警天理署は、自殺とみて調べている。二十六日、奈良県教育長は、児童の不登校の原因について、「不適切な発言が発端」との認識を初めて示した。そのうえで、自宅待機になっている教諭の研修を週明けから三月末までの約一カ月間行うことを明らかにした。

 

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