残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

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 2010. 2. 8 働くことの楽しさと大切さ学ぶ場に…児童養護施設の子どもたちがパン作り体験/横浜
 2010. 2.10 ラピュタ模倣で最優秀賞取り消し…大阪府主催の公募展
 2010. 2.17 社会福祉法人「みやこ福祉会」事業者指定取り消しへ 京都府内初 不正請求で
 2010. 2.25 放火?介護施設を半焼 郡山の「ふぁる鳴神」1週間前には1室全焼


■2010.2.8  働くことの楽しさと大切さ学ぶ場に…児童養護施設の子どもたちがパン作り体験/横浜
「うちの店で『作る楽しさ』」を知ってくれたら、それでいい」―。親からの虐待を受けたことなどで、児童養護施設で共同生活を送る子どもたちに、年一回、就労体験の場を提供しているパン屋が横浜にある。施設と交流を続ける店主が、子どもたちの将来を気遣って13年前から始めた。子どもたちにとってはパン作りを楽しみながら、働く大切さや社会へ順応することを学ぶ貴重な機会になっているようだ。

JR山手駅前に店を構える天然酵母のパン屋「フーケ」(横浜市中区立野)。
「お客さんのことを考えて、一生懸命作ってね」。この1月下旬の日曜早朝。定休日の調理場に店主の松下晴一さん(50)の優しい声が響いた。声を掛けたのは、児童養護施設「高風子供園」(同区本牧元町)に入所する10歳から15歳までの10人の子どもたち。作業台には、松下さんがこの日午前3時から準備したパン生地が置かれていた。

「手には粉をつけてね」「あんパンはあんこが隠れるように」。アドバイスを受けた子どもたちが重さを量り、慎重に形を整えていった。メロンパン、クリームパン、クロワッサン…。2時間以上かけてこねた6種類、約500個のパンを、松下さんは次々とオーブンにかけ、待つこと10分。こんがりきつね色のパンが姿を現すと、歓声が上がった。

「僕たちが作ったパン、いかがですか」。子どもたちは店頭販売も体験。小学校4年生の女子(10)は「パン作りは難しかったけど、自分が作ったパンが売れるとうれしかった」と声を弾ませた。

松下さんが高風子供園と交流し始めたのは18年前。山手に店をオープンさせて間もない時期で、売れ残ったパンを子どもたちに差し入れたいと申し出た。以来、クリスマスにはクリスマス仕様のパンを贈るなど園の子どもたちと心を通わせてきた。
そんな中、1997年に店の定休日を使って、始めたのがパン作り。この体験がきっかけとなり、パン工場に就職した卒園生もいるという。

同園の福田京子園長(63)は「働く大切さだけでなく、接客を通して礼儀も教えてくれる。経済的自立を求めて、園の子は高校卒業後すぐに働くことが多く、社会性を身につける場にもなっている」と感謝している。

■2010.2.10  ラピュタ模倣で最優秀賞取り消し…大阪府主催の公募展
障害がある人が創作した現代アートを展示する大阪府主催の公募展で最優秀賞を受けた絵画が、宮崎駿監督の映画「天空の城ラピュタ」のキャラクターの模倣であることが10日、分かった。府は受賞者からの辞退の申し出を受け、同日審査結果を取り消した。

賞を取り消されたのは、大阪府東大阪市の女性(26)が制作した「降りそそぐ光」。数ミリ四方に裁断した布をモザイク状に張った作品で、高い評価を得ていた。

大阪府障がい福祉室自立支援課によると、1月下旬の審査後、府職員から「『ラピュタ』のロボット兵に似ている」と指摘があり、同課は「ラピュタ」を制作したスタジオジブリに照会。今月3日、電話で「著作物の複製にあたる」との回答があった。

連絡を受けた女性は「ジブリが大好きなので、モチーフにした」と模倣を認め、受賞を辞退。悪意はなく「著作権について知ることができた。今後の創作に生かしたい」と話したという。

公募展は、才能を持つ障害者がプロになる可能性を探る府の初めての試み。791点の応募があり、69点を展示作品に選出。最終審査は美術館館長や美術大の教授計3人が担当した。1人が「似ているのでは」と話題にしたが、問題視されずに授賞が決まった。

同課は「著作権を侵害する作品は応募できないという注意書きを要項に入れていなかった。再発防止のため対策を考えたい」と話している。

■2010.2.17  社会福祉法人「みやこ福祉会」事業者指定取り消しへ 京都府内初 不正請求で
京都府は17日、障害福祉サービスの給付費を不正請求したなどとして、障害者就労支援施設を運営する京都市南区の社会福祉法人「みやこ福祉会」(澤田宗吾理事長)に対し、障害福祉サービス事業者の指定を4月30日で取り消すと発表した。同事業者の指定取り消しは府内で初めて。

同会は精神障害者の共同作業所を母体に2002年に設立され、現在は南区や伏見区、向日市で障害者が通所する就労支援施設4カ所を運営する。府によると、06年10月に事業者指定を受けて以降、障害者自立支援法が定める常勤のサービス管理責任者を置かなかったほか、実際は提供していないサービスの給付費など約1400万円を不正請求したという。
 
府は同会に対し、加算額を含め約2千万円を給付元の市町に返還するよう求める方針。通所している精神障害者や知的障害者ら33人については「近隣施設で受け入れられるよう手配する」(介護・福祉事業課)としている。
 
同会の勢子真司理事は「故意ではなく、事務処理上のミス。障害者自立支援法の施行時に駆け込みで届け出た管理責任者を変更できていなかった。同法に基づく給付費はなくなるが、利用者が望む限り施設は存続させたい」と話している。

■2010.2.25  放火?介護施設を半焼 郡山の「ふぁる鳴神」1週間前には1室全焼
24日午前4時5分ごろ、福島県郡山市鳴神1丁目24、デイサービス介護施設「ふぁる鳴神」から火を出し、木造平屋の建物の東側部分約184平方メートルを半焼し、約25分後に消し止めた。

同施設では1週間前の17日にも施設内の1室を全焼する火災が起きており、郡山署は同一犯による放火の可能性が高いとみて調べている。けが人はなかった。同署などによると、建物東側の事務所や倉庫として使われていた部屋から出火したとみられる。半焼した部分から反対側の建物西側に面した窓ガラス一枚が割られていた。前回の火災と、さらにその1週間前にも窓ガラスが割られており、事件との関連を調べている。

関係者によると、施設の営業は午後5時45分までで、出火当時施設内は無人だった。運営するファルデザインの島田宏明社長(54)が23日午後8時ごろにすべての窓と玄関の扉に鍵を掛けて帰ったという。

施設は平成15年に開所した。1日の利用定員は20人。50人近くの高齢者が利用している。施設営業は前回の火災で一時休止しており、22日に再開したばかりだった。24日、職員がすべての利用者に連絡し、訪問介護サービスやほかの施設などをあっせんしたという。

島田社長は「2件の火災が不審火であれば、激しい憤りを感じる。少しでも早く解決してほしい」と話している。現場はJR郡山駅の西約4.5キロの地点で四号国道郡山バイパスから数百メートルほど離れており、近くには店舗や住宅が並んでいる。現場近くにある学童クラブの学童保育指導員女性(56)は「学童クラブは子どもたちが利用する施設なので心配。前回の火災を聞いて、自分たちの施設でも防犯対策を見直そうと話していたところだった」と表情をこわばらせていた。

 

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