残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 1998年 
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 1998. 3.11 知的障害者更生施設弘前市弥生荘の臨時指導員が熱湯をふりかける
 1998. 3.24 兵庫県西宮市の知的障害児施設甲山学園 甲山事件で、殺人罪に問われた山田悦子さん(元同園保母)の差し戻し審で、無罪判決
 1998. 3.29 甲山事件 偽証罪に問われた元指導員多田いう子さんの差し戻し審、無罪の判決


■1998.3.11  知的障害者更生施設弘前市弥生荘の臨時指導員が熱湯をふりかける
青森県弘前市は、昨年十二月十日、弘前市が建設し、社会福祉法人「弘前草右会」に運営を委託している知的障害者更生施設「弘前市弥生荘」の臨時指導員が、男性入居者に寝るように注意したが、寝ようとしなかったとして、熱湯をマグカップに入れてふりかけ、三週間のやけどを負わせたという事件で、施設側は懲戒審査会を開き、一月三十日付けでこの指導員を停職二カ月、所長以下四人の幹部を訓告処分にしたことを市議会で明らかにした。

同市は、やけどを負った入所者の保護者に謝罪、県障害福祉課に報告、同会には厳重注意と改善を要望した。

■1998.3.24  兵庫県西宮市の知的障害児施設甲山学園 甲山事件で、殺人罪に問われた山田悦子さん(元同園保母)の差し戻し審で、無罪判決
神戸地裁は、兵庫県西宮市の知的障害児施設「甲山学園」(廃園)で一九七四年三月に、園児(当時十二歳)が浄化槽から水死体で見つかった甲山事件で、殺人罪に問われた山田悦子さん(元同園保母)の差し戻し審で、無罪判決を出した。

また、山田さんのアリバイを証言したとして偽証罪に問われた、元園長荒木潔さんについても無罪の判決を出した。

被告の犯行を裏付ける核心的な証拠である園児五名の供述については、「精神遅滞児」であるが、精神年齢の低さは考慮せざるを得ないものの、「精神遅滞児」であることにより「健常者」と異なった能力や特性があるとの考えをとることはできないとし、事件から三年以上たってからの証言で、変遷や矛盾、不自然なものがあり、捜査官の誘導などの影響も見られ、信用できないとした。

同被告の自白については、自白内容が概活的、断片的であいまいな表現が多く、迫真性のある具体事実に関する供述がなく、動機も不自然で信用できないとした。

物証として上げられた繊維の相互付着については、どのような場合にどのような形で繊維が付着するか不明確で、状況証拠としても証明力には限界があるとした。男子園児の胃の中にあったみかん片についても、同被告の購入したもの・サイズの同一性などに関する検察官主張の証拠は、いずれも同被告が犯人であることを認めるに足りるものではないとした。

同被告のアリバイについても、被告が証明する必要はなく、検察官の主張する被告の行動や時刻は、現実性に乏しく不自然で疑問があるとして、検察官主張の証拠を退け、被告に対する本件公訴事実は、その証明が不十分であって、犯罪の証明がないとして、無罪判決を出した。

■1998.3.29  甲山事件 偽証罪に問われた元指導員多田いう子さんの差し戻し審、無罪の判決
神戸地裁は、甲山事件の国家賠償請求訴訟の第十五回高等弁論で、殺人罪に問われた山田悦子さんのアリバイを証言し、うその証言をしたとして偽証罪に問われた元指導員多田いう子さんの差し戻し審で、「自分の記憶に反してうその証言をしたとは認められない」として再び無罪の判決を出した。

 

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