残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2009年 
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 2009. 4. 8 「紅梅会」知的障害女性への性的暴行 今月末に初公判
 2009. 4.12 カラダに落書き、私的流用、暴かれた「名門」児童養護施設の”醜態”
 2009. 4.17 支援員、木刀で知的障害者を殴る 大阪府立の施設 金剛コロニー


■2009.4.8  「紅梅会」知的障害女性への性的暴行 今月末に初公判
厚木市の社会福祉法人「紅梅会」の運営するグループホームの元当直員、加茂昭雄被告(68)が、入所者の20代女性の知的障害につけ込み性的虐待を加えたとして、準強姦罪で起訴された事件は月末に初公判を迎える。女性側の主張によると、被害は長く潜在化していたとみられる。3月には与党プロジェクトチームが、虐待発見者に通報義務を課す「障害者虐待防止法」素案をまとめたばかりだ。事件の底流を探り、声を上げづらい障害者への虐待被害を防ぐ手立てを考える。
 
加茂被告は01年から当直員として働き、被害女性は04年ごろホームに入所した。起訴内容は08年の被害だが、2人の供述などから性的暴行は1年半以上も前から、ホーム内や施設外のホテルなどで続いていたとみられる。同会は厚木市内などでグループホーム・ケアホームを8か所運営し、昼間は世話人、夜間は当直員が各1人で入所者の面倒をみる体制。彼らを管理監督する責任者も施設ごとにいることになっていた。法人を監査する県障害福祉課の木村課長は「利用者への不適切な行いなど(施設内の)状況を把握する役割を責任者が果たしていなかった」と指摘。入所者を守るべき当直者らへの監督不十分を事件の要因に挙げた。

■2009.4.12  カラダに落書き、私的流用、暴かれた「名門」児童養護施設の”醜態”
「幸保愛児園で人権侵害と運営にかかわる問題がある・・・
昨年8月。神奈川県庁の「子ども人権審査委員会」に1通の匿名封筒が郵送で届けられた。中身はワープロ書きされた約30枚に及ぶ文書で、児童への人権侵害、施設運営上の園長らの公私混同ぶりなどがびっしり書き込まれていた。

県担当者らは詳細すぎる内容から内部告発との見方を強めたが、一方で”本当にあの幸保愛児園でおきたことなのか”と疑心暗鬼の声もあがったという。

同園は昭和27年、創立者の私財をなげうって戦災孤児の救護を目的として設立。翌年、児童福祉法に基づき児童養護施設として認可され、49年には運営主体の社会福祉法人「幸保園」が認可された。現在、葉山町、逗子市、横須賀市などの18歳以下の学生や児童ら約50人が入所している。

理事には元県議が名を連ね、クリスマスには皇太子妃雅子さまがメッセージを届けられるなど、地元で由緒ある施設として知られている。イベントに地域住民を招待するなど交流も積極的で、運営面でも工夫をこらしてがんばっている、、、県関係者の評判も上々だ。だが、詳細な告白を受けた県は昨年9月から2か月にわたり、幸保愛児園の園長の女性(55歳)以下、計25人の職員への聞き取りを実施するとともに、社会福祉法人にも調査を要請。その結果、告発を裏付ける詳細な実態が次々と明らかになったのである。

■ゾウ、腕時計、メガネ・・・悪質なマジック書き

県や社会福祉法人などによると、児童への人権侵害とみられる行為は平成13〜17年に行われていた。主導したのは園ナンバー2の副園長の男性(52)とされる。児童の身体に落書きをするイタズラだったのだが、その内容は閉口ものだ。
たとえばー
小学生低学年の男児4〜6人に対し、入浴のさい、児童の性器を動物のゾウに見立ててフェルトペンで長い鼻と大きな耳を書いた。児童の腕には大人が使うような腕時計のマークを、顔には黒ぶち眼鏡の太目のフレームを耳から目の周囲にかけてしっかりと書きこんだ。”遊びの延長線上で、子どもも笑っていて拒否しなかった。おもしろ半分でやってしまった。”

副園長は県などの調査にこう話し、陳謝したという。だが、副園長の行為はそれに留まらなかった。園内の食事の際、満腹感を訴える小学校低学年の男児一人に”もっと食べろ”などと茶碗にご飯を盛って強引に食べさせたこともあったという。県関係者は”しつけの範囲という考え方もあるが、一歩間違えば虐待にもつながりかねない行為だ”と指摘する。副園長の部下である児童指導員の男性と保育士の男女3人も、児童を注意する際、机やいすを強打しながら「なんで何回も注意させるんだ」「ここまで言ってもわからないのか」などと大声で怒鳴ったとされる。

社会福祉法人は今年3月24日付で、副園長の行為を止めなかったとして児童指導員を減給(10分の1)3か月に、ほかの3人は「注意に行き過ぎがあった」としてけん責などの処分にした。
 
県は毎年7月に同園の定期監査を実施しているが、不正流用を見抜けなかった理由について、産経新聞の取材に”給食費などから流用していて区別がつきにくかった”と釈明。落書き行為についても”男児はそれほどいやがっていなかったようだ”認識の甘さが浮かびあがっており、再発防止に本気で取り組む姿勢があるのかどうか疑問だ。
施設周辺では以前からこんなうわさが出ていた。”園長の父親のころは園児へのしつけが厳しく、今だったら虐待ととらえられるかもしれない””今でも指導はきびしい”。
 
今年1月に実施された専門家による児童福祉施設サービス評価でも”(児童は)集団の中で自分の気持ちを抑えているということが潜在的にあるとの印象をもった。”との結果が出されており、園内の実情をうかがわせるシグナルはあったようなのだ。それだけに、地元住民からは”もっと早い対応ができたのではないか”との声が出ている。同園は今月1日から新しい男性の園長(60)が就任した。近隣住民には”このたびはお騒がせして申し訳ありません”と頭を下げて謝罪行脚したという。”落書きは無邪気な児童らにとって、一時の楽しい遊びにすぎないかも知れないが、心の傷として残らないとも限らない”

■2009.4.17  支援員、木刀で知的障害者を殴る 大阪府立の施設 金剛コロニー
大阪府立の知的障害者施設「金剛コロニー」(同府富田林市)で昨年12月、運営の委託を受けている府障害者福祉事業団の男性支援員(32)が男性入所者(34)の頭を木刀で殴り、1針を縫うけがを負わせていたことがわかった。

入所者にコーヒーを飲ませるかどうかで口論になった末という。支援員は同月末で解雇された。

同事業団などによると、昨年12月4日朝、「くすのき寮E棟」(当時入所者23人)の食堂で、パンを食べていた入所者が支援員にコーヒーを求めた。

入所者はコーヒーを飲み過ぎてしまう傾向があり、食後に飲む約束事があったため、支援員は断った。しかし、支援員がその場を離れても入所者が追いかけてさらに求め、押し問答になった。
その様子を見ていた別の入所者たちが、観光地で購入し居室に置いていた木刀(約70センチ)を支援員に手渡し、支援員はそれで入所者を殴ったという。

髪の生え際付近が切れ、出血したため、支援員が消毒し、敷地内の病院に行くよう指示した。当時、棟内にいた職員はこの支援員だけだった。

支援員は1年更新の有期雇用で、4年目だった。「なぜ殴ってしまったかわからない。(障害者支援について)勉強不足だった」と話していたという。事業団は4月から、朝食時の職員を2人態勢にしている。

殴られた入所者の障害は中程度で、富田林署員に「僕も悪かった。(被害届は)出しません」と答えたという。

金剛コロニーは敷地面積が約82ヘクタール。約500人が生活している。事業団は府が100%出資している社会福祉法人。府障がい福祉室の担当者は「民間施設の模範となる施設運営をすべきなのに遺憾に思う」とコメントしている。

 

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