残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2002年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 * * 9月 10月 11月 12月

 2002. 6. 5 全盲の女性を訴える ぶつかって足を骨折
 2002. 6. 7 審判記録で分かった「19歳少女」の殺人動機 児童養護施設「松柏学園」
 2002. 6.29 知的障害者が店内で客のすしをつまみ食い 店員が取り抑え後死亡 大阪


■2002.6.5  全盲の女性を訴える ぶつかって足を骨折
東京高裁は、全盲の女性がぶつかって来たために足の骨を折るけがをしたとして、川崎市の女性が損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、「全盲の女性は盲導犬をつれ、つえで前を確認しながら歩いており、過失はなかった」として、けがをした女性の訴えを退けた。

また、視覚障害者の過失判断基準として「健常者と同じ注意義務はなく、視覚障害者としての標準的な注意義務を果たすことが求められる」との考えを示した。

■2002.6.7  審判記録で分かった「19歳少女」の殺人動機 児童養護施設「松柏学園」
2年前の8月18日、大阪府吹田市にある児童養護施設「松柏学園」で、施設に入所していた少女A(19)が、木場璃奏(りかな)ちゃん(3)=当時=を寮の5階から投げ落として死亡させるという殺人事件が起こった。吹田署に逮捕されたAは璃奏ちゃんを殺した理由を聞かれて、冒頭のように供述していた。

事件後、璃奏ちゃんの母親(30)は施設を経営する社会福祉法人に損害賠償を求めて提訴。訴訟の過程で、Aの供述書を含む少年審判記録が開示されたのだ。母親の担当弁護士がいう。「以前の少年法では、少年審判は完全に非公開。しかし、昨年4月の法改正後は、被害者の声をくみ取り、事件記録を閲覧できるようになったのです。そのおかげで今回、少女の殺人事件を起こすまでの背景を浮き彫りにすることができました。少年法改正がなかったら、この事件で学園の責任を立証することはできなかったでしょう」

開示された審判記録は膨大なもので、積み上げれば厚さ20aにもなる。それらが物語るのは、「先生」と呼ばれる保育士たちによる虐待やいじめなど、学園の異常な実態だった。
    「刑務所はいいところやろな」

現在も学園には、家庭環境などの理由で保護が必要な児童が40名弱入所している。母親の病死をきっかけに、Aが施設に入ったのは2歳の時。軽い知恵遅れがあったAは小学生時からいじめの標的となっていた。
〈B先生は平手でホホを叩く、つねる、木やプラスチックの物差しで背中やお尻をアザがつく程叩くという体罰をしてきました。学園の中で一番ひどい目にあっていたのがAでした。〉(卒園生の供述書)

別の卒園生は、虐待内容を記したノートを警察に提出している。
〈先生の虐待がすごい。殴る蹴るを平気でする。出て行けって言われて外で裸で立たされた。お尻をたたかれすぎておしっこのとき血が出た。死ね、とか言う〉

そんな学園の生活のせいでAは自傷行為に走る。
〈自分自身の身体を鉛筆等で突き刺したりし傷つけ、自分の髪の毛を自分で引き抜き、壁に頭を強く打ち付けたりしていました。A自身の口から、死にたい、どうやったら死ねる等ときかれた〉(卒園生)

さらに、本来保育士たちが行うべき幼児の世話や清掃作業などを押し付けられたことでAの学園に対する不満は溜まる一方。そして、〈何かすごい悪いことをすれば学園から出られるのではないか〉(Aの供述調書)と考えるに至るのだ。
〈私は面会にきたおとうさんから刑務所の話を聞きました。お父さんは私に、刑務所は食事も出してくれるしお風呂も入れるし、学園の先生みたいにきついことを言う人がいないと言っていました。私はお父さんの話を聞いて、刑務所はいいとこやなと思いました。私は、人を殺せば学園を出られると思いました。〉(同)

璃奏ちゃんの母親がいう。「璃奏は私の家庭の事情により、学園で生活をしていました。Aの逮捕後、当局の方から、学園にも問題があるとは聞いていましたがこんなに酷いとは思いませんでした。審判の記録から、Aが長年のいじめで追い詰められていったのは分かりますが、もちろん同情など出来ない。しかし、璃奏はAに殺されたと同時に学園にも殺されたんだと思います。記録が開示された以上は、学園によるいじめの実態を裁判で明らかにしていきます」

これに対し、松柏学園の園長はこういう。

「学園内でのいじめの実態は把握していません。Aはあと半年もすれば社会に出て行く子でした。その時に彼女が苦しまないように、仕付けの一環として指導していたのです」

Aは少年審判の後、広島少年院装置となったが現在は転院し、京都の医療少年院に入所している。 

■2002.6.29  知的障害者が店内で客のすしをつまみ食い 店員が取り抑え後死亡 大阪
大阪平野署は、平野区内の回転すし店で、客のテーブルのすしをつまみ食いしながら店内をうろついていた知的障害のある無職の男性(三六歳)に店員が注意、男性が逃げようとしたため、店の事務所に連れていき、警察に通報したが、署員の到着を待つ間、男性が店員にかみつくなど暴れたため、六人がかりで床にうつぶせにして取り抑えたところ、ぐったりして意識を失ったため病院に運んだが、間もなくして死亡したと発表した。店側の行為について過失致死の疑いもあるとして、男性の死因を調べるとともに、関係者からの事情聴取を始めた。

 

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