残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース
残しておきたい福祉ニュース
2008年 |
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2008. 6. 1 | 児童相談所、保護児童を10時間以上閉じ込める |
2008. 6. 2 | 知的障害者施設が全焼、3人死亡。神奈川 ハイムひまわり |
2008. 6. 4 | 不正請求:訪問介護業務停止−−竹田市のGH舞台 /大分 「湧水の郷」 |
2008. 6. 8 | 目見えず耳も聞こえず 東大・福島さんに博士号 盲ろう者の「博士」は国内初 |
2008. 6.24 | 豊田の施設経営者ら逮捕 介護給付費不正受給事件で 「ひだまりとよた」 |
■2008.6.1 児童相談所、保護児童を10時間以上閉じ込める | |
北九州市の児童相談所「子ども総合センター」の一時保護所で厚生労働省の運営指針に反し、部屋に10時間以上子どもを閉じ込めるなどの行為が繰り返されていたことがわかった。 背景には職員数の不足や非行の子と虐待児の「混合処遇」があるとされる。同センターでは事実関係を認めたうえで「ほかの子供を守るために仕方がなかった」と説明している。 子ども総合センターは18歳になるまでの子供の心身の発達の遅れや非行、不登校について児童福祉司や児童心理士などの専門スタッフが相談に応じる。 保護の際、厚労省の児童相談所運営指針では「子どもを一人ずつ鍵をかけた個室におくことはできない」と行動の制限を禁止している。子どもの人権を尊重するためで、罰則規定はない。しかし、同センターの一時保護所では「静養室」と呼ぶ個室に子供を入れ、外から鍵をかけて閉じ込めていた。 センター次長は「子どもが暴れてほかの子供に危害が及ぶ時に例外的に使用していた」と説明した。説明によると今年4月、年下の子に性的関係を迫ったとして他の施設から出されて一時保護した男子高校生について、職員が仮眠をとる午前1〜5時に鍵をかけた。 他にも興奮しやすい男子中学生が落ち着くまで10時間程度入れたことがあったという。複数の元職員によると移転前の建物にも同様の部屋があり、子どもを入れたまま、頻繁に鍵をかける職員がいた。 一時保護所では一般的に、虐待を受けた子どもと非行の子供が一緒に過ごす「混合処遇」が行われている。同センターの一時保護所では、昼間は常勤4人、夜勤は常勤1人と非常勤3人で対応しているが、ある元職員は「1人が付きっきりになるわけにはいかず、望ましくないとはわかっていても、せっぱつまった状況がある」と語った。 |
■2008.6.2 知的障害者施設が全焼、3人死亡。神奈川 ハイムひまわり | |
知的障害者施設が全焼、3人死亡。神奈川 2日未明、神奈川県綾瀬市の知的障害者のグループホームで火事があり、入所者の男女3人が死亡し、1人が重傷となっています。 2日午前2時半ごろ、綾瀬市寺尾北にある知的障害者のグループホーム、「ハイムひまわり」から火が出て、木造2階建ての建物、およそ320平方メートルが全焼しました。 焼け跡から男女3人の遺体が見つかりましたが、火事の後、この施設で生活している松本幸子さん(69)、角田和之さん(60)、磯崎昭さん(57)の3人の行方が分からなくなっており、警察で身元の確認を急いでいます。また、52歳の男性も重傷です。 この施設には50代と60代の男女あわせて7人の知的障害者が生活し、1日午後10時頃に職員の女性が訪ねた時には変わった様子はなかったということです。 2階部分の燃え方が激しいことなどから、警察と消防は施設の2階部分から出火したとみて原因を調べています。 |
■2008.6.4 不正請求:訪問介護業務停止−−竹田市のGH舞台 /大分 「湧水の郷」 | |
竹田市菅尾のグループホーム「湧水の郷」が、定員を超えて受け入れ、超過分は訪問介護したことにして介護事業費を不正請求したとして、県は6月から3カ月間、経営する大分部品(佐伯市堅田、信濃光行社長)を訪問介護事業について業務停止処分にした。不正額は64万9000円。竹田市は定員超過のペナルティーとして昨年6月、介護報酬の3割、計312万9000円を返還させている。 県監査指導室によると、05〜06年入所女性が自宅で訪問介護を受けたことにして50万1000円を、別の入所男性について妻が自宅で訪問介護を受けたことにして14万8000円を、不正に請求したという。同室は、不正を自己申告してきたことなどから、悪質性は低いとして、事業者指定取り消しにはしなかった。 |
■2008.6.8 目見えず耳も聞こえず 東大・福島さんに博士号 盲ろう者の「博士」は国内初 | |
<目見えず、耳も聞こえず 東大・福島さんに博士号> 目が見えず、耳も聞こえない。ヘレン・ケラーのような障害のある福島智(さとし)さん(45)が東京大学で学術博士号をとった。盲ろう者の「博士」は国内初。世界でもきわめてまれだ。 自らの人生の絶望と再生の歩みを分析して論文にした。11日、学位授与式がある。 福島さんは神戸市生まれ。3歳で右目を、9歳で左目を失明。 さらに、14歳で右耳の聴力を、18歳ですべての音を奪われた。 人とコミュニケーションできないことに、何よりもうちのめされた。救ったのが、母令子さん(74)が思いついた「指点字」だった。 点字は六つの点の組み合わせで50音などを表す。点字のタイプライターは、両手の人さし指、中指、薬指の6本を使って打つ。 令子さんは、同じように息子の6本の指先に打って言葉を伝えた。この方法を生かした「指点字通訳」で、福島さんは人とのコミュニケーションを取り戻した。 周囲の支援をえて都立大学で学び、01年から東大先端科学技術研究センター助教授に。03年から博士論文にとりくみはじめた。 19歳までの自分を研究対象にした。幼稚園の絵日記、中高時代の手記、母や自身の日記、関係者へのインタビューなどから、その「喪失と再生」を浮かび上がらせた。 4歳で右目を摘出。手術室の無影灯の不気味な光と切なさ。6歳のとき「義眼を出して見せろ」といじめにあう。全盲で右聴力も失った14歳。全盲の教師に「目が見えんて、どういうことや」と問われ、「障害」や人生について問い、考え始めた。 そして盲ろうに。無音漆黒の世界にたった一人、孤独と絶望のふちに沈んだ。盲学校では教師や友人が「指点字」で話しかけてくれたが、友人がいなくなると集団の中に独りぼっち。さらに深い孤独と絶望を味わった。 ある日、喫茶店で先輩が第三者の発言を指点字でそのまま「通訳」し、周囲の様子もラジオの実況のように伝えた。目の前がパッと開け、この世に戻ってきた気がした。 論文で最も伝えたかったのは「コミュニケーションにいのちを救われたということ」。盲ろうとは「コミュニケーションで大切な『感覚的情報の文脈』の喪失。相手の表情や声の調子などの『感覚的情報』がないと、本当の意図などの『文脈』もわからない。通訳という支援によってそれを取り戻し、再生する過程を伝えたかった」という。 「生後19カ月で盲ろうになったヘレン・ケラーは言葉をえて『人間』に成長する『誕生物語』。だが盲ろう者の多くは、人生の途上でコミュニケーションを奪われる『喪失』の過程をたどる。自分自身を切り刻んでありのままを分析し、障害やコミュニケーションの意味を考えたかった」 作業は膨大だった。資料はすべて電子データにし、点字ソフトに変換して読んだ。執筆はパソコンで打ち、点字に変換して確認した。点字と指点字を使うので、指は目であり耳。腱鞘炎(けんしょうえん)に苦しんだ。適応障害と診断され、断続的に休養した時期もある。 福島さんは「盲ろうは確かにしんどいけれど、自分に言い聞かせてきた『苦悩には意味がある』ということ、それは間違っていなかったと確信しています」と話している。 |
■2008.6.24 豊田の施設経営者ら逮捕 介護給付費不正受給事件で 「ひだまりとよた」 | |
愛知県豊田市の高齢者介護福祉施設「ひだまりとよた」の介護給付費不正受給事件で、県警捜査二課と豊田署などは23日、詐欺の疑いで、施設の運営会社社長小坂龍生容疑者(44)=名古屋市瑞穂区、別の詐欺未遂罪などで起訴=ら3人を逮捕した。 ほかに逮捕されたのは、同社役員桜井裕子容疑者(49)=同県日進市=と「ひだまり」の介護事業を担当していた別の会社役員田代政之被告(43)=名古屋市北区、別の詐欺未遂罪などで起訴。 調べでは3人は、2005年4月から6月にかけて、「ひだまり」の利用者数人分を水増しして給付費を請求、利用者の住所地である豊田、日進両市から、1246万円をだまし取った疑い。3人ともおおむね容疑を認めているという。同署などは、ほかにも二千数百万円をだまし取っていたとみて、捜査している。 3人は、日進市にある関連の有料老人ホームの寝たきりの入所者を水増し請求に利用。「ひだまり」への立ち入り調査の際には、同ホームの寝たきりの入所者を、一時的に「ひだまり」へ移し、発覚を逃れていたという。 |