残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2010年 
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 2010. 6.19 女性利用者に職員がわいせつ行為/綾瀬の社会福祉法人施設 社会福祉法人唐池学園 貴志園
 2010. 6.24 障害者支援施設職員が利用者の預かり金を着服/小田原 社会福祉法人明星会
 2010. 6.29 通級学級の整備・拡充が急務 障害に理解を


■2010.6.19  女性利用者に職員がわいせつ行為/綾瀬の社会福祉法人施設 社会福祉法人唐池学園 貴志園
神奈川県は19日、綾瀬市吉岡の社会福祉法人唐池(からいけ)学園(鶴飼一晴理事長)が同市内で運営する知的障害者施設「貴志園」で、60歳代の男性非常勤職員2人が利用者の女性1人に対し、体を触るなどのわいせつな行為を行っていたとして、同学園と施設に再発防止を求める行政指導を行った。

同学園によると、わいせつな行為をしていたのは、施設内で清掃と警備を担当していた2人の職員。1人は1年半前から、もう1人は今年2月ごろから数回、同じ女性の体を触ったという。警備担当の職員は勤務中に施設内で、清掃担当の職員は勤務時間外に施設外で行為に及んでいた。

3月に被害女性が別の職員に相談。2人とも行為を認めたため、同学園は2人を同月31日付で懲戒免職処分とした。

同学園は19日、会見を開き、鶴飼理事長は「社会福祉施設としての社会的責任、信頼を裏切ってしまったことに深くおわびを申し上げます」と謝罪した。
同学園は入所、通所施設とグループホームを運営し、利用者は約100人。

■2010.6.24  障害者支援施設職員が利用者の預かり金を着服/小田原 社会福祉法人明星会
神奈川県小田原市府川の社会福祉法人「明星(みょうじょう)会」(安藤進理事長)は25日、市内で運営する障害者支援施設の30代の男性職員が、利用者の預かり金(小遣い)約260万円を着服した、と発表した。同職員は19日付で懲戒解雇処分とされた。

同法人によると、同職員は1999年4月から2009年4月にかけて利用者と外出した際、自身の食べ物や衣類などの購入費を、計18人の利用者の預かり金から捻出(ねんしゅつ)していた。

出納管理の担当職員が5月7日、同職員が担当する利用者3人分のレシートをチェックしたところ、サイズが合わない衣服や靴を購入していたことが分かった。同職員をただすと着服を認め、「着服を繰り返し、罪の意識がまひした」と話したという。

被害総額のうち約160万円(12人分)は、同法人が立て替えて返済したという。安藤理事長は「お小遣いの使途について、管理確認ができていなかった。残りの額も速やかに弁済したい」と謝罪した。

被害者の意向で同法人は刑事告発をしない方針。県は同日、同法人に対して改善指導・勧告を通知した。

■2010.6.29  通級学級の整備・拡充が急務 障害に理解を
愛知県内の小学校3年生の教室で、怒号が響いた。「てめー、ええかっこすんな」。授業中、手を挙げて発言した児童を別の男児が威嚇した。「子どもたちは手を挙げるのを怖がってしまった」。5年ほど前の出来事を、当時、担任だった小学校教諭原田宏美さん(58)は振り返る。

男児はテストで零点が続いていた。口頭でのやりとりはできても、読み書きは不得意。授業が分からず、イライラしている−。「学習障害かも」と考えた原田さんは、もっと男児に寄り添おうと、男児の家を訪問。母親から"特別授業"をする了解を取り付けた。

教室で通常の授業をしながら、男児には発達に合った問題をやらせた。原田さんは長年、県内の教員有志と独自のプリント教材を作成。保護者との連携の中から発達障害の子の指導を工夫し、授業づくりに生かしてきた。男児は、1、2年生が学ぶ課題に頑張って取り組んだ。そんな姿に、男児を見る同級生の目は変わっていった。

学校教育の現場では、発達障害の子に十分な手が差し伸べられているとはいえない状況だ。文部科学省の推計では、小中学校の通常学級に在籍する発達障害の児童生徒は6%。1学級に数人在籍する計算になる。授業は多くの場合、担任1人に任せきりだ。

一層指導を難しくしているのは、1学級の児童生徒数の多さ。現行の国の基準は「40人学級」。担任が対応を誤ると、発達障害の子が教室を飛び出したりする。逆にその子に付きっきりだと、他の子の指導がおろそかになる。「どう対応すればいいでしょうか」。原田さんに助言を求める若手教員は少なくない。

通常学級に在籍する発達障害の子どもの学習を支援しようと、文科省や都道府県は専門教員が指導する通級学級を設けている。小学校で開設するのは、全国2万2000校のうち約1割の2480校(2009年度)。通級児童数は、他校からの通級を含め5万500人余(同)に達し、毎年7〜8%ずつ増えている。「障害を理解し、その子に合った適切な指導を望む保護者が増えているから」(原田さん)だ。

家庭の期待が大きいのに反し、通級学級での児童1人当たりの指導時間は、週1、2時間のみが85%を占める。「徐々に増やしているが、まだ十分とはいえない」。専門教員が足りず、十分な時間が確保されていない現状を文科省特別支援教育課も認めている。

中央教育審議会(中教審)初等中等教育分科会は6月18日、小中学校1クラスの人数の上限を、40人から引き下げる提言の骨子をまとめた。狙いは、発達障害の子どもの増加や、新学習指導要領実施による授業時間増などへの対応。文科省財務課は「山積する学校の課題を解決するため、引き下げは必要」として、来年度予算の概算要求に反映させたい考えだ。

1学級の人数減で、発達に応じたきめ細かい指導ができる基盤は整う。小中学校全校で35人学級を実現したときの新たな財政負担は、小川正人放送大教授の試算で、1500億円だ。

参院選マニフェストで、発達障害など困難を抱える子どもへの支援を約束するのは共産党と社民党。民主党、公明党、みんなの党は少人数学級の実現が公約。自民党は教職員定数の改善を掲げている。

発達障害
他人とうまくコミュニケーションを取ることが難しい自閉症や、アスペルガー症候群、知的発達に遅れはないものの、読んだり書いたりすることが困難な学習障害、衝動性を特徴とする注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの総称。発達障害者支援法が2005年に施行され、適切な教育的支援を行うことが、国と地方自治体に義務付けられた。

 

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