残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース
残しておきたい福祉ニュース
2007年 |
|
2007. 7.25 | 障害者らクレジット契約で多重債務に 県内で増加 |
2007. 7.25 | 知的障害者の賃金未払い、岩手のクリーニング社に改善指導 |
2007. 7.25 | 湘南ライナス学園の生徒数が、インターネット掲示板「2ちゃんねる」の書き込みで中傷された影響で激減 |
2007. 7.26 | 【岩手・花巻】 知的障害者らを集めてタダ働きさせていた「藤原クリーニング」社長が謝罪 |
■2007.7.25 障害者らクレジット契約で多重債務に 県内で増加 | |
知的障害者や高齢者らが業者に勧誘され高額商品を次々に購入し、複数の信販会社とクレジット契約を結び多重債務に陥る事例が県内で増えているとして 県弁護士会は24日、「クレジット取引が悪質な勧誘販売を助長している」と割賦販売法改正を求める声明を出した。 計2千万円以上の契約に弁護士が介入して解決を目指している例が少なくとも2件ある。 県弁護士会によると、中信地方の知的障害がある30代女性は1998年から昨年までに、東京や大阪の4業者から高額の絵画や版画を購入。 支払いのため約30件、総額約2400万円のクレジット契約を結んだ。支払いに親族の資産を使い、借金もしている。 また、若年認知症の北信の50代女性は宝石約20個を買う際、計約1300万円で複数社とクレジット契約。 別業者の高級呉服も10点以上買い、さらに計千万円以上の契約を結んだ。現在、支払い能力はないという。 弁護士側は判断能力が無かったなどと代金返還を求めるが、順調にはいきにくいという。中信の女性の交渉を担当する征矢芳友弁護士によると、一部返還に応じる業者もいるが、多くは「知的障害者と知らなかった」と主張。信販各社は「業者が処理する問題」と応じていないという。 |
■2007.7.25 知的障害者の賃金未払い、岩手のクリーニング社に改善指導 | |
岩手県花巻市のクリーニング会社が、知的障害のある従業員3人を最長で1年8か月にわたって賃金を払わないまま働かせ、花巻労働基準監督署が労基法違反の疑いで改善指導に乗り出したことが25日、わかった。 労基署の調べなどによると、20歳代の男性は、2005年11月から今年6月まで賃金が払われず、深夜勤務も頻繁だったという。最も短い男性でも、5か月分が未払いだった。 同社は、全従業員が14人で、うち9人が20〜40歳代の知的障害者。ほかの知的障害者6人も賃金がカットされたり、滞ったりしており、9人への未払い分の合計は約600万円に上るという。 県保健福祉部は「賃金未払いに加え、深夜労働を含む残業代も未払いの可能性もある」として、従業員寮で暮らす知的障害者5人を社会福祉施設に移した。男性経営者(51)は「申し訳ないと思っている。知的障害者だから賃金を払わなかったというわけではない」としている。 |
■2007.7.25 湘南ライナス学園の生徒数が、インターネット掲示板「2ちゃんねる」の書き込みで中傷された影響で激減 | |
学習障害(LD)などの発達障害児らが通う神奈川県小田原市の学校法人「湘南ライナス学園」の生徒数が、インターネット掲示板「2ちゃんねる」の書き込みで中傷された影響で激減している。 開校時の05年には48人が入学したが、新入生は昨年15人、今年は6人に落ち込んだ。学園は「心ないうわさに惑わされないで」と訴えている。 学園によると、掲示板での中傷は開校から半年後に始まり、「学園長が学費を流用」「まともな授業が行われていない」「学力が下がる」など約2000件以上の書き込みがあった。これを見た親たちが不安を募らせ、退学者も出て在校生は32人になった。 学園は今年1月、書き込んだ人物を容疑者不詳のまま名誉棄損容疑で県警小田原署にR、悪質な記述はなくなった。学園側弁護士によると、2ちゃんねるが開示したIPアドレスなどから書き込んだ3人が特定され、調べが進んでいる。 学園は発達障害児や不登校の子どもに小中高の一貫教育を行うため、国の構造改革特区に認定されて開校し、関東一円から生徒が集まっている。アスペルガー症候群の男児を同校に通わせる横浜市の明(あかし)智子さん(37)は「普通校ではいつも怒られ、しょげていた息子が、今は片道2時間の道のりも喜々として通っている。けんかする友だちを注意できるほど成長した」という。 吉崎真里学園長は「ネットのうわさでも極度の不安に駆られるのが、親の心理かもしれない。当校は個別のプログラムで潜在能力を引き出しており、学力低下の批判はあたらない」と話す。同校は8月1日に学校説明会、2〜4日にサマースクールを開き、参加者を募っている。 この経緯を知る文部科学省の滝本寛・前特別支援教育課長は「構造改革特区による発達障害の専門校は、ライナスが全国唯一。日常生活や学習につまずきがちな子への取り組みを続けてほしい」と話している。 |
■2007.7.26 【岩手・花巻】 知的障害者らを集めてタダ働きさせていた「藤原クリーニング」社長が謝罪 | |
花巻市台の有限会社「藤原クリーニング」(藤原勝治社長)が、同社で働いていた知的障害のある複数の従業員に対して賃金を長期間支払わなかったうえ、長時間労働を強いるなどし、その大半が退職していたことが25日、分かった。 県は退職者支援に乗り出しており、花巻労働基準監督署も同社を継続指導していく方針だ。 同社によると、賃金未払いの対象となった従業員は知的障害者8人を含む21人。 未払い額(手当を除く)は総計2500万円前後という。 県によると、仕事は午後11時ごろまで続くこともあったという。県は住まいを確保するため、寮に入っていた女性6人のうち5人に社会福祉施設を紹介した。 知的障害のある同市内の男性(23)は2002年4月から勤務。当初から給料支払いは遅れていたが、05年11月から今年6月までは残業代も含め一切支払われなかったという。 この男性は家族と相談し、6月末で退職した。男性の母親(54)は「最初は息子が周囲と一緒に働けるのか不安で、賃金については二の次だったが、まさかここまでとは思わなかった。きちんと対応してほしい」と願う。 藤原社長は「重油代の高騰などで経営が悪化したためだった」と賃金未払いや長時間労働を認めており「本当に申し訳ない。退職者を含め、未払い分は少しずつ支払いたい」としている。 県障害保健福祉課の朽木正彦担当課長は「権利擁護の観点から何らかの支援が必要と判断した。再就職、賃金確保など関係機関と連携して支援していく」としている。 花巻労働基準監督署の川上明第一課長は「賃金未払い問題の解決に向けて、今後も行政指導を続けていく」と説明する。 |