残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2011年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

 2011. 1. 3 亡き弟の姿胸に、電動車いす開発40年 宇治市の技術者
 2011. 1. 5 累犯障害者:再発を防ぐ教育プログラム開発 大阪
 2011. 1. 8 有隣会:前理事長、社福法人を「身売り」 不動産業者から2.8億円受領 兵庫
 2011. 1.11 高槻市前課長を聴取 保護費不正詐取
 2011. 1.12 生活保護、過去最多の141万世帯超に
 2011. 1.14 お年寄りの孤立防げ 生活実態、初の全国調査 厚労省
 2011. 1.14 救急車呼ぶときは・・・119番通報マニュアル
 2011. 1.19 返還は24万円のみ、不正経理問題で福祉法人が報告書/横須賀
 2011. 1.20 介護福祉士:上級職を新設へ 厚労省
 2011. 1.20 老人ホームの38%が消防法違反 無届け施設、地域差も
 2011. 1.20 【大阪】味や質にこだわり 販路拡大へトゥギャザー
 2011. 1.21 児童福祉施設での虐待、09年度59件 厚労省初集計
 2011. 1.21 刑猶予の累犯障害者が福祉施設利用を拒否 長崎、再犯防止の研究事業
 2011. 1.21 ノロウイルス:老人ホーム入居者ら20人、食中毒−−西東京
 2011. 1.21 障害者施設でノロウイルス /栃木
 2011. 1.21 障害者用駐車場、不適切利用絶えず 宇都宮の公共施設など
 2011. 1.21 別荘地の落ち葉で堆肥 障害者施設が事業化 那須塩原
 2011. 1.21 新サービス未移行の障害福祉事業所に「給付費支給の根拠なくなる」
 2011. 1.21 有料老人ホーム解約時の返金を義務化、トラブル相次ぎ―厚労省方針
 2011. 1.21 NHK障害者バラエティー、9割好感の秘密
 2011. 1.22 松阪のさくら福祉会理事長 5000万円私的流用 住居など県が改善措置命令
 2011. 1.22 出雲なごみ会、訪問介護事業所の指定取り消し 島根県、不正請求で
 2011. 1.22 「さくら福祉会」を処分 理事長の資金不正流用で−−松阪 /三重
 2011. 1.22 鳩ケ谷市施設の浴場でレジオネラ菌 3カ月報告せず
 2011. 1.23 渡りきれない人に時間延ばす 高齢者対応の信号機本格導入へ
 2011. 1.24 虚偽申請の介護事業者の指定取り消し―岡山県
 2011. 1.24 点字ブロック:年内にも国際規格決定
 2011. 1.24 こども園一本化見送り…補助金優遇で誘導
 2011. 1.24 福祉事業所が古着を回収 田辺市や周辺町
 2011. 1.25 96歳女性の口座から現金引き出す、元成年後見人の男を逮捕/川崎
 2011. 1.25 結核:14人が集団感染 老人福祉施設の職員ら /大阪
 2011. 1.25 障害者作業所が移動販売車 買い物支援で地域と交流
 2011. 1.26 介護福祉士側の控訴を高裁棄却
 2011. 1.26 わさおグッズで障害者の就労支援
 2011. 1.27 高齢者の万引、増加の一途 背景に孤独感や生活苦
 2011. 1.27 施設や里親家庭への子ども手当を6月から一律支給
 2011. 1.27 支え愛マップ:無縁社会をなくす「マップ」作り 災害時の安否確認にも 徳島県東みよし町
 2011. 1.28 医療・福祉の就業者、増加幅が全産業で最大−労働力調査
 2011. 1.28 寄付などの援助を求めている社会福祉施設と協力したい人をマッチングするサイト
 2011. 1.29 私的流用:静岡市社協職員が為替取引に1000万円 近く処分、告訴も /静岡
 2011. 1.29 1987年11月の抱きしめてBIWAKO」。24年ぶりにこの企画を復活させようとする
 2011. 1.30 障害者が作った織物や人形販売 「江・浅井三姉妹博覧会」に合わせ 長浜
 2011. 1.31 帝国データバンク、医療機関・老人福祉事業者の倒産動向調査を発表


■2011.1.3  亡き弟の姿胸に、電動車いす開発40年 宇治市の技術者
進行性の難病だった幼い弟のため、父と電動車いすを作った兄がいた。弟は19歳で世を去ったが、兄は40年たった今も車いすを作り続ける。 「オメガ・スリー」。ジョイスティックを指で傾けると六つのタイヤが動き出し、約10センチの段差を軽々と乗り越えた。悪路にも対応した機動性と安定性に乗り心地の良さを兼ね備えた電動車いすだ。

作ったのは京都府宇治市で有限会社「アローワン」を経営する西平哲也さん(58)。社員と2人で、車いすをオーダーメードする。室内型の「くるくるマウス」、座席が床まで下がる「エフ・エックス」もある。障害の状態に合わせた特注のため1台200万円以上するが、脳性まひや筋萎縮性側索硬化症の人たちを中心に全国で約200人が利用している。

1967年、九つ年下で当時6歳だった弟守儀(もりよし)さんが全身の筋力が低下する筋ジストロフィーと診断された。3年後には自力で車いすを動かせなくなった。電動車いすは高価な輸入車しかなかった時代、工業高校に通っていた西平さんは木材加工職人の父と一緒に開発に乗り出した。 室内で使うにはシートの高さが変わらなければ不便だ。そこでシートの昇降やリクライニング機能をつけた。病状に合わせて10号機まで作り、守儀さんは亡くなる直前までわずかに動く指で車いすを操り、趣味の絵を描いた。

西平さんは弟の死後、担当だった理学療法士に「必要としている人はほかにもいる」と励まされ、車いすを作り続けた。しかし、東京・深川で会社は98年に経営が行き詰まった。知人の紹介で福祉機器販売会社の研究拠点があった宇治市に移り、修理と改造を主にして再出発した。

5年前、堺市内で開かれた福祉機器の展示会で、大阪市西淀川区の福祉コンサルタント栂(とが)紀久代さん(58)と出会ったことが転機となり、新車づくりを再び始めた。 栂さんは20代で交通事故に遭い、脳を保護する髄液が漏れる「脳脊髄液(のうせきずいえき)減少症」となった。既製の電動車いすでは振動で気分が悪くなるため、外出を控えていた。しかし、展示会で西平さんの電動車いすの乗り心地の良さに驚き、新車を注文。07年1月、オメガが完成すると、「自由を取り戻せた」と喜んだ。

電動車いす安全普及協会によると、ジョイスティックを使う電動車いすの出荷台数は年間約6千台。国内メーカーは大手自動車会社や福祉機器メーカーなど20社以上あるが、専業メーカーは珍しいという。

西平さんは10年10月、自分の半生を「夢が叶(かな)う魔法の翼」という本にまとめた。「車いすは乗って楽しいものでないと」と話している。

■2011.1.5  累犯障害者:再発を防ぐ教育プログラム開発 大阪
知的障害者による犯罪や問題行動の再発を防ぐ教育プログラムを、大阪府立砂川厚生福祉センター(大阪府泉南市)が開発した。実際の行為に関係する登場人物を演じることで、本人や相手の心の動きを知り、行動の深刻さを改めて実感してもらう内容。既に支援施設で試行しており、受講した障害者に効果がみられるという。司法と福祉行政のはざまにいる「累犯障害者」に対する支援のモデルとして注目されている。

トラブルが起きやすい場面を想定して対応を考える認知行動療法を基に「性の教育(SE)」「怒りのコントロール(ACT)」「生活技能訓練(SST)」の3種類のプログラムを組み合わせて実施。臨床心理学や社会福祉学などの大学教授、准教授計3人が監修にあたっている。

「SE」のプログラムでは、人の体を触ったのにうそをつく場面などを設定。4、5人が、触る側と触られた側などの「役」を演じ、うそをつく理由やうそをつかれた人の気持ちをその場で考えられるようにしている。

同センターでは、支援施設に入所した障害者を対象にプログラムを実施。社会福祉士の資格を持つ職員が指導役を務め、受講期間は最長で約2年に及ぶ。既に39人が受講したが、地域の福祉施設に移った15人は、問題行動を起こすことなく、生活しているという。

09年7月から、社会復帰をコーディネートする「地域生活定着支援センター」の設置が全国で進む。しかし、福祉施設などへの受け入れが進まないケースが多くセンターの脇田康夫・自立支援第二課長は「モデルとして確立させるため、ノウハウやデータを蓄積したい」と話している。

■2011.1.8  有隣会:前理事長、社福法人を「身売り」 不動産業者から2.8億円受領 兵庫
兵庫県内で特別養護老人ホームや介護施設などを運営する社会福祉法人「有隣会」(神戸市西区)の前理事長(63)が、大阪市内の不動産業者に法人を譲渡し、2億8000万円を受領していたことが分かった。税逃れなどのため、休眠状態の財団法人や宗教法人が売買されるケースはあるが、多くの利用者を抱えるなど公共性が高く、多額の補助金を受ける社福法人の金銭譲渡が明らかになるのは初めて。

◇売買禁止、法に明記なく

厚生労働省は「非営利目的の社福法人を売買の対象にする行為で許されない」との見解を示す。ただ、売買禁止を明記した法律はなく、許認可権限を持つ兵庫県の担当者は「認可取り消しなどはできない。法整備を急いでほしい」としている。

有隣会によると、前理事長は2010年9月10日、理事長を兼務する医療法人の業務が多忙なことを理由に有隣会の理事長を退任。後任に大阪市内の不動産業者が就任し、残りの理事全員(5人)も一斉に入れ替わった。新たな理事は不動産業者の知人らで、理事長を含む全員が福祉関係の経験はない。その後、県の指導で特養の施設長を理事に加えたという。理事長交代を巡り、前理事長は12月、毎日新聞の取材に応じ、「2億8000万円をもらった」と証言した。

今回の譲渡では、堺市内の建設業者(現理事)が3億円で購入するという「買付証明書」を発行。兵庫県尼崎市の別の社福法人の理事長も交渉の場に同席していた。2人とも不動産業者の知人で、前理事長は「尼崎の理事長の紹介だったので信用した」としている。

有隣会関係者によると、不動産業者は、福祉施設や保育所などを併設した開発を計画しているといい、法人購入の目的の一つだったとみられる。一方、前理事長は「借金返済などに充てた。やむをえなかった」と話した。

有隣会は92年設立。神戸市などに特養(定員100人)や通所介護施設など5施設を運営。09年度の事業収支は約4300万円の黒字。特養建設時、神戸市から約13億2000万円の補助金を受けている。
 
◇ネット上に仲介情報

「譲る社会福祉法人」「求む宗教法人」??。インターネット上には公益法人の売買仲介をうたうサイトが多数存在する。「公益法人は社会的信用が高く、税制面の優遇措置もあって人気が高い」と業界関係者は明かす。

■2011.1.11  高槻市前課長を聴取 保護費不正詐取
大阪府高槻市の前生活福祉課長(60)が、架空の人物を使い多額の生活保護費を騙し取っていた疑いがあるとして、大阪府警は前課長から事情を聴いている。詐欺の疑いで任意の事情聴取を受けている前生活福祉課長は架空の人物や住所をコンピューターのシステムに入力する手口で生活保護費を不正に引き出した疑い。市の調査では6年間に38人分の保護費3000万円以上をだまし取ったとみられ、市は懲戒免職処分にするとともに大阪府警に告訴していた。前課長は市の調査に対し不正を認め「正式な手続きでは救済できないホームレスの支援に使った」などと話しているという。

2010年6月25日の記事から
大阪府高槻市の前生活福祉課長(60)が生活保護費支給の管理システムのデータを改ざんし、保護費1000万円以上が使途不明になっている問題で、同市は25日、前課長を詐欺と有印公文書偽造、同行使容疑で府警高槻署に告訴した。 市によると、前課長は2010年1月20日、架空の受給者のデータを入力して書類を偽造、会計管理者に虚偽の支出命令書を作成させ、同27日ごろ、約2万7000円をだまし取った疑いがあるという。

■2011.1.12  生活保護、過去最多の141万世帯超に
全国の生活保護を受給している世帯数が昨年10月時点で141万7820世帯に上り、過去最多を更新したことが12日、厚生労働省の集計で分かった。前月比で約9400世帯増、前年同月比では約13万6千世帯増。受給者数は196万4208人で、前月比約1万3千人増、前年同月比で約19万人増。

■2011.1.14  お年寄りの孤立防げ 生活実態、初の全国調査 厚労省
厚生労働省は、高齢者の生活実態調査に乗り出した。必要な介護保険サービスを施策に反映するとともに、地域での孤立化を防ぐ狙い。戸別訪問を通じて、閉じこもりや認知症の予備群の早期発見にもつなげる考えだ。こうした全国規模の調査は初めてで、すでに市区町村に要請した。

介護保険制度は3年に1度見直しており、次の改定は2012年度。各自治体は今春から、施設数や保険料などの介護事業計画をつくり始める。これに先立ち、厚労省は統一した調査票に基づく実態調査を自治体に求めた。

調査は65歳以上が対象。要介護者だけでなく、介護を必要としない人にも実施する。調査票は郵送し、回答がない場合は認知症の恐れもあるため、民生委員らが自宅に足を運ぶ。質問は、外出の頻度や「自分で食事の用意をしているか」など生活習慣が中心。認知症や閉じこもりの傾向、転倒の危険性を把握できるような質問項目も設ける。

自治体は、この調査結果をもとに施設の整備計画を検討。必要に応じて、介護保険以外の福祉サービスを充実させることにもつなげる。

厚労省は昨年、57自治体をモデルに、高齢者の生活実態調査を実施。大分県臼杵市では、地域によって認知症予備群の割合や外出頻度が異なる実態が明らかになった。群馬県明和町では「民生委員が普段なかなか会えない人を訪ねるきっかけになった」(担当者)という。介護保険の利用方法を知らずに使えていなかった人への周知もできた。
 
一方、「調査でニーズが分かっても、小さい自治体ではすぐ新事業につなげるのは難しい」(明和町の担当者)という指摘も。人間関係が薄い都市部で回収率を上げることも課題だ。

■2011.1.14  救急車呼ぶときは・・・119番通報マニュアル
総務省消防庁は救急出動が急増する中、不要不急の119番を減らし、重篤な患者の搬送に影響しないようにするため「救急車利用マニュアル」の作成を決めた。マニュアルでは、どんな症状の時に救急車を呼び、どんな時には控えるべきかを、成人と小児の具体的症状で紹介。

「ためらわずに救急車を呼ぶべき症状」として、「ろれつが回りにくい」「胸や背中の突然の激痛」などを例にあげる。反対に不急にあたるケースとして、「転んでひざを擦りむいた」「病院でもらった薬がなくなった」「病院への電話がつながらない」など、実際の通報事例から紹介。

電話しようか迷った場合は小児救急電話相談(電話番号#8000)などの利用を呼びかける。

■2011.1.19  返還は24万円のみ、不正経理問題で福祉法人が報告書/横須賀
横須賀市は18日、不正経理問題で昨年改善命令を出した社会福祉法人「クオレ」(坂本町4丁目)が提出した改善結果報告書の内容を明らかにした。不正経理をしていたとされる女性施設長は17日付で施設長と理事の職を解かれたが、流用が指摘されている資金の返還は購入物品の割引分24万円にとどまっている。

報告書によると、同法人は、関係者の証言などを基に勤務実体のない職員名義による給与(254万円)をはじめとする計281万円も前施設長が流用したと判断し、今後返還を求める。

だが、職員の給与から受け取った161万円など計241万円と、精査できていない75万円に関しては結論が出ず、対応を市の判断にゆだねた。これに対し、市は昨年12月の改善命令通り、621万円全額の返還を求めるよう法人側を指導する方針だ。

今回の問題で前施設長は3月末で退職する内容の辞職願を提出しているが、24万円以外の資金の返還については納得せず、市に対して不服申し立てを検討しているという。同法人の関尾温理事長は「問題が解決したら、わたしも責任を取りたい」と辞意を表明した。

■2011.1.20  介護福祉士:上級職を新設へ 厚労省
厚生労働省は20日、介護施設などで高齢者のケアに当たる介護福祉士について、高度な技術を活用して職員を指導する上級職の「認定介護福祉士(仮称)」を新たに設けることを決めた。

介護福祉士は「国家資格なのに給料が安く、仕事も厳しい」とされ、人手不足に直面している。上級の職を設けることで職員の意欲を高めるとともに、人材確保と介護の質の向上を図る狙いだ。

介護人材養成の在り方を検討する厚労省の有識者検討会が同日、新設の方針を盛り込んだ報告をまとめた。

認定介護福祉士については、認知症ケアなどで幅広い知識を持ち、他の職員を指導して介護の質を高める役割を求める。関係団体が技術などを評価して認定する仕組みを想定しており、導入時期などは今後検討する。

厚労省は、介護職員のキャリア形成の全体像について、現在のホームヘルパー2級相当を基本とし、一定の実務を積んで国家試験に合格すれば介護福祉士となり、その上に認定介護福祉士を位置付ける考えだ。

■2011.1.20  老人ホームの38%が消防法違反 無届け施設、地域差も
総務省消防庁は20日、老人福祉法に基づく届け出がない有料老人ホームのうち、2010年10月末時点で37・9%にあたる施設に何らかの消防法令違反があったとする調査結果を発表。09年4月の85・7%からは大幅に改善した。

調査は、09年3月に10人が死亡した群馬県渋川市の老人ホーム火災を受けた緊急調査で把握した34都道府県の446施設を対象に実施。青森など違反施設ゼロがある一方、千葉や沖縄など違反率が60%を超える県もあった。
主な違反は、消防訓練未実施16・5%、スプリンクラー不備5・1%など。

■2011.1.20  【大阪】味や質にこだわり 販路拡大へトゥギャザー
クッキーやケーキなどを作る府内を中心とした24の障害者施設が、販売先を広げようとタッグを組んだ。プロのパティシエから一緒にお菓子作りを学ぶ機会を設けたり、郵便局にカタログを置かせてもらったりしてPR活動に取り組んでいる。

知的障害者ら43人が通う「よさみ野障害者作業所」(大阪市住吉区)。調理場に入ると、クッキーの香ばしいにおいが広がる。障害者が職員に教わりながら生地を練ったり包装したりしていた。

作業所では約5年前からお菓子作りを始めたが、知り合いから聞いたレシピ通りにしかできず、販路は広がらないまま。収益は障害者に入る仕組みだが、思うように利益は出ないという。荒木勝司施設長(52)は「地域の祭りの際や学校の行事の手みやげなど、単発でしか売れないことが多い」と打ち明ける。
同じ悩みを持つ施設を支援しようと、大阪市浪速区のNPO法人「トゥギャザー」が動いた。大阪や奈良などの施設に呼びかけ、昨年6月から11月までの計7回、市内の調理専門学校に頼んで研修を実施。各施設で実際に売っているお菓子を持ち寄り、パティシエらから改善点を学んだ。

さらに、郵便事業会社の助成を受け、作業所で作ったお菓子やおもちゃを紹介するカタログを近畿を中心とした郵便局に配布したほか、2月18日からは大阪市阿倍野区の近鉄阿倍野店で、18の施設が集まってお菓子の販売会も開くという。

トゥギャザーの中條桂理事長(75)は「味や質にこだわり、一般の店にもひけをとらない商品が作れるようになってきた。施設が協力して一人でも多くの人に買ってもらえたらうれしい」と話している。問い合わせはトゥギャザー(06・6646・3380)へ。

■2011.1.21  児童福祉施設での虐待、09年度59件 厚労省初集計
原則18歳までの子どもが家庭を離れて生活している児童福祉施設などでの虐待が後を絶たない。施設の職員らによる子どもへの虐待が2009年度に全国で59件あり、120人が被害を受けたことが厚生労働省の初めての全国集計でわかった。

施設内虐待が全国的に知られるようになったのは、福岡市の児童養護施設で職員が子どもをバットで殴ったり、骨折させたりした問題が1995年に発覚したのがきっかけ。その後、各地で事件が相次ぎ、厚労省には毎年十数件が報告されてきた。

09年の児童福祉法改正で児童福祉施設などでの虐待に通報義務が課せられた。09年度に全国の児童相談所や都道府県への虐待通報は214件あり、調査した198件のうち虐待と確認できたのが59件。虐待かどうか判断がついていないケースも18件ある。
59件の施設別の内訳は児童養護施設が29件、児童自立支援施設、里親が各9件、知的障害児施設、児童相談所に設けられた一時保護所が各4件、その他4件。虐待の種類は身体的虐待が約7割、心理的虐待、性的虐待が各1割強を占める。加害職員の半数以上は実務経験が5年未満と浅かった。

子どもの問題をめぐってさまざまな取り組みを続けているNPO法人「こどもサポートネットあいち」(名古屋市)は昨年、子どもが安心できる生活づくりを模索するため、全国約570の児童養護施設で暮らす高校生を対象に大規模なアンケートを実施した。440人が回答し、4人に1人が「職員からとても嫌な思いをさせられたことがある」と答えた。内訳は「ひどいことを言われた」(30%)、「たたかれた」(11%)、「なぐられた」(10%)などだった。

■2011.1.21  刑猶予の累犯障害者が福祉施設利用を拒否 長崎、再犯防止の研究事業
知的・精神障害がある「累犯障害者」の再犯防止を目的にした国の研究事業の対象となり、福祉施設での更生を条件に長崎地裁で執行猶予判決を受けた長崎市の男性(34)が、施設利用を拒否したことが20日までに分かった。

同事業で刑を猶予された全国初のケースだったが、結果的に司法から福祉への「橋渡し」は果たせなかった。
判決などによると、男性は昨年8月、長崎市内で無免許で追突事故を起こし、運転手にけがをさせて逃げたなどとして、道交法違反などの罪に問われた。精神疾患を患い20代のころから精神科病院に入・通院し、無免許運転を繰り返していたという。

厚生労働省の研究事業の一環で、本県では累犯障害者を刑務所ではなく、福祉施設で更生させるためのモデル事業が行われている。

雲仙市の社会福祉法人南高愛隣会や弁護士、精神科医らが「判定委員会」を組織。知的・精神障害者が罪を犯し、福祉施設での更生が適当と判断した場合、刑の猶予を求めて裁判段階から支援している。

判定委は昨年10月、男性を事業対象に認定。10月18日の初公判で長崎地裁は、受け入れ予定施設の職員の証人尋問や判定委が作成した「福祉施設での社会内訓練が適当」とする意見書を証拠採用し、即日結審。男性に懲役1年2月執行猶予3年(求刑懲役1年2月)を言い渡した。

男性は判決後、精神科病院に入院し、障害者手帳を取得。退院後、愛隣会が運営する福祉施設を利用する予定だった。ところが、男性は「障害者と一緒に暮らしたくない」などと利用を拒否。再三の説得にも応じなかったため、判定委は昨年末に働き掛けを打ち切った。男性は既に退院し、社会生活を送っている。

判定委員の酒井龍彦NPO法人県地域定着支援センター所長は「今回のケースを通じて、さまざまな問題点が浮かび上がった。福祉につなぐために一定、法的な拘束力が必要かもしれない。支援対象者の範囲をどう見極めるかも今後の課題だ」と話した。

■2011.1.21  ノロウイルス:老人ホーム入居者ら20人、食中毒−−西東京
都福祉保健局は20日、西東京市の有料老人ホーム「ニチイホーム西武柳沢」(入居者47人)で、給食が原因のノロウイルスによる食中毒が発生したと発表した。
11〜13日にかけて、72〜93歳の入居者男女19人と29歳の男性職員1人に下痢や嘔吐(おうと)の症状が出たが、既にほぼ回復している。

同ホームでは、給食大手「日清医療食品」(本社・千代田区)が給食業務を受託。患者や調理者の便からノロウイルスが検出されたため、ホーム内の給食については19日から5日間の営業停止処分とした。

■2011.1.21  障害者施設でノロウイルス /栃木
県は20日、県西健康福祉センター管内の障害者施設でノロウイルスを原因とする感染性胃腸炎が集団発生したと発表した。12〜20日に10〜60代の入所者と職員計21人が嘔吐(おうと)や下痢などの症状を訴えた。同センターが調べたところ、発症者からノロウイルスが検出された。全員快方に向かっているという。

■2011.1.21  障害者用駐車場、不適切利用絶えず 宇都宮の公共施設など
公共施設などの障害者用駐車場(車いすマーク付き駐車スペース)の迷惑駐車を防ぎ、歩行が困難な多くの人に適正に利用してもらおうと、県が進める「おもいやり駐車スペースつぎつぎ事業」。利用証を交付された障害者などが協力施設の「おもいやり駐車スペース」マークのある駐車場で利用できるが、不適切な駐車が絶えず、本来の利用者が利用できない場合もあるようだ。

車いすマーク付き駐車スペース利用の統一ルールがなかったため、県は2008年から同事業に取り組んでいる。事業に協力する店舗や施設などの同駐車スペースを利用する障害者などに共通の利用証を交付する。この制度には、県内の市役所やスーパー、百貨店など332施設が協力している。
利用証と同じマークがある同駐車スペースに、利用証をルームミラーに掛けて駐車する。

しかし、協力施設でない車いすマーク付き駐車スペースでも、「車いすマークがあれば優先される」と利用証交付者に誤解されているケースも。一方で歩行が困難でない人が駐車してしまう例もなくならない。

また宇都宮市の場合、同駐車スペースに利用証と同じマークを掲示しているが、「けがなどで移動に配慮が必要な人」など利用者の間口が多少広くなっている。同市保健福祉総務課は「利用者のモラルに頼る部分も大きいが、けが人などの利用を排除できない」と説明する。

そのせいか、利用証を持つ障害者が駐車できないこともあり、同市内に住む40代の女性障害者は「玄関から離れた駐車場に止めた後、体調がおかしくなったことがある」と話す。

県医事厚生課は「この事業について、さらに周知を徹底していきたい」とした上で、「県民に思いやりの心を育んでもらうことも目的なので、皆さんにご理解いただき、困っている方に利用していただければ」と呼び掛けている。

■2011.1.21  別荘地の落ち葉で堆肥 障害者施設が事業化 那須塩原
障害者の自立を手助けしたいと社会福祉法人「清幸会」の指定障害福祉サービス事業所「セルプあじさい」(磯文康施設長)は、新たに腐葉土の堆肥化事業に乗り出した。那須町の那須別荘警備保障(星秀喜社長)の協力で、別荘地内の道路や側溝の落ち葉を活用する。施設を利用する16〜55歳の障害者35人の工賃を増やすのが狙い。
磯施設長は「利用者が一人でも生活できる事業にしたい」と夢を膨らませている。

同事業所は就労支援に力を入れようと、法人が運営する老人ホームで入所者が使用する寝具、タオルなどのクリーニング、ホーム内の清掃、精米事業を手掛けている。

同警備保障が管理する別荘地は那須町を中心に16カ所。紅葉シーズンが終わった昨年11月に事業をスタート、4月ごろまで敷地内で落ち葉を収集する。月曜から金曜日まで行い、一日300キロになるという。落ち葉は広葉樹の葉だけを選別し、那須町の腐葉土製造会社に卸している。

落ち葉は側溝のつまりや車のスリップの原因にもなる。磯施設長は「豊かな自然の副産物で、地域に貢献できる新たな事業を展開したかった」と狙いを話す。
今後は自前の施設での腐葉土作りを目指し、将来的にはホームセンターなどにも販売する。さらに腐葉土で野菜も作り、収入の一助にしたい考え。

障害者が働く県内の事業所の平均月額工賃は1万3800円だが、セルプは平均約1万5千円。利用者(20歳以上)の障害者年金(2級)は月平均約6万7千円。新たな事業で新年度は工賃2万円、最終的には3万円を目指すという。

■2011.1.21  新サービス未移行の障害福祉事業所に「給付費支給の根拠なくなる」
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部の中島誠企画課長は1月21日の全国厚生労働関係部局長会議で、新しいサービス体系に移行した障害福祉事業所が昨年10月時点で56.5%(全国平均)にとどまったことを明らかにした。その上で、「(移行が)完了しない場合、障害自立給付費を支給する根拠がなくなってしまう」と指摘し、事業所による早急な移行を求めた。

障害者自立支援法よりも以前の法律に基づくサービスを提供している障害福祉事業所は、来年3月までの経過措置期間中に、同法で定めた新体系のサービスに移行しなければならない。経過措置期間を過ぎると、介護給付費や自立支援医療費を含む障害者自立支援給付費が新体系の事業所のみに支給される。新体系では、日中活動と居住支援のサービスを分離することによる多様な組み合わせのサービス提供などを目指している。
厚労省では、医療機関との契約で訪問看護が提供された場合の医療連携体制加算を新体系サービスに加えるなど移行支援策を講じている。

障害者のGH利用助成、低所得者の家賃に月額最高1万円
中島課長は、改正障害者自立支援法で創設されたグループホーム(GH)とケアホーム利用者への助成制度について、低所得者の家賃に対し、利用者1人当たり月額1万円を上限に支給することを明らかにした。今年10月から施行する予定。また、重度視覚障害者の移動支援に個別給付する「同行援護」についても、10月から施行する見込み。

■2011.1.21  有料老人ホーム解約時の返金を義務化、トラブル相次ぎ―厚労省方針
厚生労働省老健局は1月21日の全国厚生労働関係部局長会議で、通常国会に提出する予定の介護保険法と関連法の改正案において、有料老人ホームなどの利用者保護規定を強化する方針を示した。前払い金や入居一時金の返還をめぐるトラブルが相次いでいることを受け、関連事業者に対し、解約時には一定額が返金されるよう義務付ける。

■2011.1.21  NHK障害者バラエティー、9割好感の秘密
NHK大阪放送局制作の、障害者によるバラエティー番組「バリバラ」が注目を集めている。自らの障害をネタにする出演者の姿に「勇気がわいた」「画期的」との意見が集まる中、番組では批判の声も積極的に紹介。等身大の障害者の姿を伝えることで、真の
バリアフリー(障壁のない)社会の実現につなげたい考えだ。

教育テレビの福祉情報番組「きらっといきる」(毎週金曜午後8時〜同29分)の特別企画として、昨年4月から毎月最終週に放送。「きらっと〜」出演者らの「障害者だって面白いことをしたい」との声を受け、「バリアフリー社会を、バラエティーを通して考える」との思いをタイトルにした。

人気は、障害者が漫才やコントを披露する「お笑い研究部」。ほかに、ヘルパー志望の若者が言語障害を持つ講師の指示を聞き取るクイズに挑み、珍解答に笑いが起きる「最強ヘルパー養成塾」、狭くて車いすで方向転換できないトイレなど、名ばかりの障害者用施設を報告する「バリバラ珍百景」では、実例を基に現状を考える。笑いだけを求める演出は避け、どう配慮するか議論を重ねるという。

「障害者を見せ物にしている」などの批判も積極的に紹介し、障害を持つ司会者らが丁寧に意図を説明。先月4日に放送された「バリバラ」だけの2時間スペシャル「笑っていいかも!?」には約300件の反響が寄せられ、9割近くを好意的な声が占めたという。

■2011.1.22  松阪のさくら福祉会理事長 5000万円私的流用 住居など県が改善措置命令
松阪市で特別養護老人ホームなどを運営する社会福祉法人「さくら福祉会」の久野美文理事長(52)が法人資金約5000万円を私的に流用した疑いがあるとして、県は21日、社会福祉法に基づき、改善を求める措置命令を出した。

久野理事長は、「県の指導を真摯(しんし)に受け止め、法人として近く調査委員会を設置し、改善を図りたい」としている。
発表によると、法人が2003年12月に建設した「地域交流施設」に、04年4月から理事長が家族3人で居住しているほか、同施設の光熱費など私的経費を法人資金から支出。妻の高級乗用車2台を法人資金で購入した疑いがあるという。

■2011.1.22  出雲なごみ会、訪問介護事業所の指定取り消し 島根県、不正請求で
島根県は21日、NPO法人「なごみ会」(柴田久美子理事長)などが運営する出雲なごみ会(出雲市)の訪問介護事業所としての指定を取り消し、「江津なごみの里」(江津市)の指定を3カ月停止とする行政処分を行った。
県内で訪問介護事業所の指定が取り消されるのは初めて。

県高齢者福祉課によると、出雲なごみ会は昨年3〜4月、実際は行っていない高齢者宅への訪問介護を行ったとする虚偽の書類を作成し、不正に介護報酬を請求。江津なごみの里は、施設のサービス責任者として登録した職員が、実際には出雲市の施設で働いていた。

■2011.1.22  「さくら福祉会」を処分 理事長の資金不正流用で−−松阪 /三重
理事長が法人資金3000万〜5000万円を不正に流用しているとして県は21日、松阪市下蛸路町里中の社会福祉法人「さくら福祉会」(久野美文理事長)に対し、不適正事項の調査と流用された資金の回収などの改善措置、理事長らの責任の明確化を求める措置命令を行った。

県監査室によると、同法人は、運営する特別養護老人ホームなどの敷地内に、事業計画にない建物(木造平屋建て約120平方メートル)を「地域交流施設」として建築。
04年4月から久野理事長と家族が住み始め、光熱水費300万円も運営資金から支払われた。久野理事長の私有車のガソリン代などの維持経費や妻の新車購入費など計一千二百万円にも法人資金が充てられたという。

昨年11月の定期監査で発覚し、久野理事長は「地域交流施設として03年12月に建設したが、不評だったため家族で住み始めた」と説明しているという。

県の調査では、建築に関して内容の異なる2種類の理事会議事録があり、記録偽造の疑いがあるほか、地域交流施設として使用した記録もないことなどから、当初から自宅として建てた可能性があるという。その場合は私有車購入費などと合わせて約5000万円、地域交流施設だった場合でも家賃を払っていないため約3000万円を法人に返還する必要があるとしている。

■2011.1.22  鳩ケ谷市施設の浴場でレジオネラ菌 3カ月報告せず
鳩ケ谷市立福祉センター(同市桜町6丁目)が、昨年10月に男性浴場から基準値を上回るレジオネラ菌が見つかりながら、県川口保健所が今月に行政検査に入るまでの3カ月間、関係機関に報告しないまま施設の利用を続けていたことが21日、分かった。いまのところ健康被害の報告はないというが、この間の利用者数はお年寄り中心に延べ約6600人にのぼるという。

同センターでは7年前にも同様の事案があったという。法的に届け出の義務などはないものの、抵抗力の弱いお年寄りが主に利用する施設だけに、管理態勢のあり方が改めて問われそうだ。

同センターによると、基準値を上回る菌が検出されたのは昨年10月4日の定期検査。同15日には検査機関から正式な報告を受けたが、市の関係部課や保健所に報告しなかった。1月14日に同保健所の検査で判明するまで、そのまま運営を続けたという。

同センターの館長は「隠すつもりはなかったが、(安全衛生面の)認識の甘さで現在に至ってしまった」と話す。検出後は消毒の塩素分を強めたり、浴槽と配管の清掃・消毒の頻度を増やしたりする対応を取ったと釈明する。保健所が検査に入った翌15日から浴場を閉鎖したが、浴場前に張られたお知らせには「機械故障のため」としかなく、レジオネラ菌については利用者に知らされないままだ。

保健所側は、「公衆浴場としての許可を得ている施設でもあり、事態の速やかな報告と対応が求められた」と指摘する。

市によると、センターでは2004年2月にも同様の事案があったとしており、「なんのための検査なのかを再確認し、関係者全体で意識の低さを反省したい」(市健康福祉部)として改善指導に乗り出す構えをみせている。

■2011.1.23  渡りきれない人に時間延ばす 高齢者対応の信号機本格導入へ
信号が赤に変わる前に横断歩道を渡りきれない高齢者や障害者をカメラで感知し、自動的に青の時間を長くする「歩行者感応式信号機」を、警視庁が2月以降本格導入する。2011年度からは警察庁の補助金対象事業となることが決まり、全国に広がる見通しだ。

これまで押しボタン式で青信号の時間を長くする信号はあったが、渡る前に押さないと作動しないため、途中で渡りきれなくなった場合は対応できなかった。
警視庁の担当者は「感応式だと必要に応じて信号の長さを調整できる。車の通行もスムーズで、歩行者の安全も守れ、一石二鳥だ」としている。
警視庁によると、新たな信号機は人影を感知すると、青信号が5〜15秒延びる。

■2011.1.24  虚偽申請の介護事業者の指定取り消し―岡山県
岡山県は1月24日、虚偽申請で介護サービス事業者の指定を受けたなどとして、「株式会社PMR」(岡山市、藤井景冬代表)が運営する訪問介護事業所「はろーヘルパーステーション」の介護保険法に基づく介護保険事業者の指定を取り消した。介護報酬の不正請求額は約1800万円とみられる。

■2011.1.24  点字ブロック:年内にも国際規格決定
世界初の点字ブロックは1967年に岡山県で敷設された。
全盲や弱視、色覚障害などの視覚障害者の歩行を助ける点字ブロックの国際規格が、日本の提案を基に年内にも決まりそうだ。44年前に世界で初めて導入した国内でも、まだ統一されていない色や敷き方も盛り込まれ「国内統一化の後押しに」と期待が高まる。

全盲男性がJR目白駅(東京)でホームから転落死した事故で、視覚障害者の外出を助ける社会基盤づくりが改めて問われる中、国際標準化機構(ISO)専門委員会で今秋にも最終案が審議される。

■2011.1.24  こども園一本化見送り…補助金優遇で誘導
幼稚園と保育所を13年度から「こども園」に移行させる「幼保一体化」に関し、政府は24日、すべての施設をこども園に一本化することを見送り、幼稚園と保育所の存続を認める案をまとめた。

こども園と幼稚園、保育所の3種類の施設が併存することになるが、政府はこども園を補助金などで優遇し、事業者がこども園に移りやすくなるよう促す。移行期限の明示は見送った。政府は24日開会の通常国会に関連法案の提出を目指している。

政府案は同日の子ども・子育て新システム検討会議ワーキングチーム(WT)で提示された。現在、幼稚園は文部科学省所管の「教育機関」、保育所は厚生労働省所管の「児童福祉施設」と位置づけられ、所管官庁が分かれている。少子化の影響で多くの幼稚園が定員割れを起こす一方、保育所に入れない待機児童が深刻化。幼保一体化は、幼稚園に保育機能を持たせて待機児童の解消を目指すものだ。

政府は当初、10年ですべての幼稚園、保育所をこども園に統合する方針を示していたが、幼稚園側が「建学の精神が生かせない」として強く反発。政府はこうした声に配慮し、幼稚園の存続も認める姿勢に転じた。

一方で政府は、幼稚園に対する私学助成と保育所への保育所運営費をやめ「幼保一体給付」に一本化。さらに、こども園に対しては補助金を増額し、幼稚園や保育所がこども園に移るよう政策的に誘導する。ただ、補助金をどれだけ増額するかなど具体的な制度設計はこれから。幼稚園がどれだけこども園に移行し、待機児童受け入れの受け皿になるかは、現時点では不透明な要素が多い。

政府はこのほか、3種類の施設について、利用者との契約方法についても統一を図る。現在、保育所は市区町村と契約して施設のあっせんを受けているが、幼稚園のように各施設に直接申し込む「直接契約」を原則とする。ただ、待機児童の多い地域や虐待を受けている子どもなど、受け入れ優先順位の決定が必要になる場合は、市区町村が調整する。

■2011.1.24  福祉事業所が古着を回収 田辺市や周辺町
和歌山県の田辺市や周辺町で、家庭で要らなくなった古着を無料で回収する福祉事業所の動きが出ている。
回収した古着は業者に依頼し、再利用につなげている。福祉事業所は「初めて施設を訪れる人も増え、回収を通じて地域住民との交流につながっている」と。

やおき福祉会の障害福祉サービス事業所「ハモニティー」(田辺市文里)は昨年10月中旬から、古着の回収を始めた。地域住民らが持ち寄り、年末までに4・5トンほど集まった。小谷斉所長(36)は「少しでも福祉の役に立てたらと持ってきてくれている。住民とのコミュニケーションも深まる」という。

ふたば福祉会の「あすか作業所」(上富田町生馬)でも年末から古着の回収を始めた。同所は「古着回収を通じて初めて施設を訪れる人もいる。福祉への理解も深まる」という。

福祉事業所が集めた古着は、同市上秋津の高雄運輸に届けられる。同社は昨年、ほとんどの古着がごみとして捨てられる現状をもったいないとして、着用可能な古着を回収して海外に輸出する事業を始めた。

昨年は150トンの古着を集め、東京都内の古着業者に買い取ってもらった。古着は横浜港からマレーシアに運ばれ、現地業者が仕分けし、東南アジアなどで販売される。
高雄運輸は昨年から障害者雇用を始めたことから、福祉作業所での古着の回収を企画。回収手数料を福祉作業所に支払っている。山方一夫社長(50)は「回収が作業所の収入につながり、地域住民とのコミュニケーションにもつながれば」と話している。

■2011.1.25  96歳女性の口座から現金引き出す、元成年後見人の男を逮捕/川崎
多摩署は25日、業務上横領の疑いで、横須賀市長浦町3丁目、派遣社員の男の容疑者(46)を逮捕した。

逮捕容疑は、川崎市宮前区に住む女性(96)の成年後見人だった2008年6月中旬から7月初旬にかけて、管理を任されていた女性名義の預金口座から、3回にわたって現金計約60万円を引き出して着服した、としている。

同署によると、「家のローンの返済などに使った」と容疑を認めているという。社会福祉士の資格を持っていた同容疑者は02年3月から10年2月ごろまでの間、女性の成年後見人に選任されていた。同容疑者は総額約2200万円を同口座などから引き出したとみて、同署で捜査を進めている。

■2011.1.25  結核:14人が集団感染 老人福祉施設の職員ら /大阪
府保健医療室は24日、富田林保健所管内の老人福祉施設職員の30代男性(富田林市在住)ら14人が結核に集団感染し、うち6人が発病したと発表した。
府内での集団感染発覚は昨年8月以来。

同室によると、最初に発病したこの男性は昨年9月に激しいせきが続き、肺結核と診断された。接触者健診の結果、家族や同僚13人の感染を確認。発病者の2人を検査したところ、菌の遺伝子パターンが一致したという。施設入所者への感染は確認されていない。

■2011.1.25  障害者作業所が移動販売車 買い物支援で地域と交流
スーパーなどが自宅から遠く、日常の買い物が困難な高齢者らを支援しようと、武雄市北方町の「NPO法人つくしのさと北方作業所」が25日から、移動販売車の運行を始めた。作業所の利用者らが車で地域を回って食品などを販売。障害者と地域の交流も図る。

移動販売車は9人乗りのバンを改装。生鮮・加工食品や調味料、肌着などを載せて巡回する。対象は市内全域だが、当面は武雄町永松地区と同町花島の和田団地の2カ所を1週間に1度ずつ訪れ、徐々に拡大していく予定。

この日、作業所を出発した販売車は、長寿会のメンバーが集まる永松公民館を訪問。お年寄りはお菓子や調味料、お茶などを購入し、「乾物や缶詰などがあるといい」などと要望を伝えた。

武雄市社会福祉協議会が前年度まとめた「地域福祉活動計画」で、買い物に困っているとの声が多く、移動販売を企画した。作業所の野口重則所長(61)は「障害者が販売にかかわり、お客さんと会話することでコミュニケーション力向上につながる。お年寄りの力になるとともに、障害者への理解が深まれば」と話す。

■2011.1.26  介護福祉士側の控訴を高裁棄却
2009年7月、喜多方市の老人介護施設で入居者の男性(当時69)に暴行し、死亡させたとして、傷害致死の罪に問われた会津若松市、介護福祉士丹藤雅志被告(42)の控訴審判決が25日、仙台高裁で開かれた。飯渕進裁判長は「一審で確定した犯罪事実は合理的疑いの余地なく認められる」などとして、一審の懲役7年6カ月の実刑判決を支持し、控訴を棄却した。

2009年08月22日の記事
丹藤被告は喜多方市松山町のグループホーム「すこやか」 で勤務していた7月29日午後7時20分ごろから同日午後11時15分ごろまでの間、入所する男性=当時(69)=の居室で下腹部を殴ったりけったりし、首を手や腕で圧迫する暴行を加えて男性を死亡させたとされる。福島地検は遺体の状況や丹藤被告以外に勤務していた職員が当時いなかったことなどから、丹藤被告の犯行として起訴した。

■2011.1.26  わさおグッズで障害者の就労支援
つがる市森田町の社会福祉法人・健誠会が運営する就労継続支援事業所「夢工房月見野」(外崎俊春所長)は、同工房を利用する知的障害や精神障害のある人たちの工賃アップを目指し、主演映画が公開される鯵ケ沢町の人気犬「わさお」の縫いぐるみと携帯ストラップを商品化した。2月1日から、県観光物産館アスパムなどで販売される。

■2011.1.27  高齢者の万引、増加の一途 背景に孤独感や生活苦
昨年全国の警察が万引で摘発した65歳以上の高齢者は前年比1・3%増の2万7362人(暫定値)だった。記録の残る1971年以降最多で、20年連続で増え続けている。警察庁の27日の集計で分かった。

高齢者は万引摘発者の26・1%。生活困窮や孤独感が背景にあるとみられ、再犯防止のため社会参加を促す支援も始まっている。

警察庁によると、昨年の万引の認知件数は前年比1・0%減の14万8375件で、過去数年間ほぼ横ばい状態。刑法犯認知件数が8年連続で減少する中で、刑法犯全体に万引が占める割合は年々上昇、昨年は9・4%になった。

警視庁は昨年、摘発した高齢者119人を対象に調査を実施。その結果「生きがいがない」と答えた人が63人(52・9%)、「友人がいない」人が49人(41・2%)に上った。生活苦からか、食料品を盗んだ人が101人(84・9%)だった。警視庁は万引をした高齢者に定期的に電話で連絡を取り、ボランティアへの参加を勧めるなどしている。

■2011.1.27  施設や里親家庭への子ども手当を6月から一律支給
子ども手当が支給されていなかった児童福祉施設や里親家庭に対して、厚生労働省は6月から子ども手当を一律に支給する方針を固めた。これまでは、保護者が手当を受給していない場合に限り、「安心こども基金」から手当相当額が施設や里親家庭に交付されていたが、交付の遅滞や施設内で子どもに公平に支給されないことなどが問題となっていた。施設側からは歓迎する声が上がっている。

国は、施設や里親家庭にいる子どもについて、保護者がいなかったり、ネグレクト(育児放棄)などで市町村から保護者に手当が支給されなかったりした場合、本年度の手当分(中学卒業まで1人月1万3千円)を基金から県などを通じて施設に交付している。

■2011.1.27  支え愛マップ:無縁社会をなくす「マップ」作り 災害時の安否確認にも 徳島県東みよし町
地域での人間関係の希薄化が問題視される中、近隣同士のつながりを強めようと、東みよし町社会福祉協議会が、町内の自治会単位で地図上に個人の交友関係などの情報を記した「支え愛マップ」の作成を進めている。08年4月に着手し、148ある自治会のうち、これまでに約50地区分が完成。各集会所に掲示し、災害時などの安否確認にも役立てる。町社協は「昔のような近所付き合いを取り戻し、無縁社会をなくしたい」と意気込む。

地図は、社協職員が自治会のメンバーらと一緒に作成する。住宅地図をベースに、高齢者の一人暮らしだったり、障害者がいる世帯かなどを確認した上で、「息子が隣に住んでいる」などの細かな情報も書き込む。

さらに、日常的に行く場所だったり、交友関係がある人同士を矢印で結ぶ。この矢印の数が近所付き合いの目安になり、2本以上ない人がいる場合、近くに住む人が連絡を取るなど、支え合いを呼び掛ける。

地図作成に携わる町社協の藤内則康さんによると、隣の家との距離があったり、人口が少ない山間部の地区よりも、意外に、人口が密集する地区の方が人間関係が希薄になる傾向があるという。

地図作りをきっかけに、自治会独自の活動も活発化し、座談会の回数や地元の小学校との交流も増えた。一人暮らしの高齢者が「今日も元気」との意味を込め、毎朝、玄関先にこいのぼりを出す地区もあるという。藤内さんは「遠くの親類よりも近くの知り合いが大切。お互いをカバーしていくような地域力を取り戻したい」と話している。

■2011.1.28  医療・福祉の就業者、増加幅が全産業で最大−労働力調査
昨年の医療・福祉分野における就業者数が前年比で5.2%増え、全産業の中で最大の増加幅となったことが、総務省が1月28日に発表した労働力調査の結果で分かった。比較可能な2003年以降、8年連続で増加しており、就業者数は653万人になった。

昨年は医療・福祉分野の就業者が前年に比べて5.2%に当たる32万人増え、全20産業中で増加幅が最大だった。以下は、「宿泊業、飲食サービス業」(1.8%増)、「情報通信業」(1.6%増)などの順。全産業のうち、就業者数が増加したのは8産業だった。

■2011.1.28  寄付などの援助を求めている社会福祉施設と協力したい人をマッチングするサイト
児童養護施設や知的障害児施設、養護老人ホームなど社会福祉事業を行う団体・施設が、寄付して欲しい物のリストや送り先、寄付金の振込み先、ボランティア募集情報などを登録・公開できるサイト。ユーザーは登録されている内容をキーワード検索したり、援助を求めている施設・団体を都道府県別リストから探して直接連絡を取ることができる。

■2011.1.29  私的流用:静岡市社協職員が為替取引に1000万円 近く処分、告訴も /静岡
社会福祉法人・静岡市社会福祉協議会(同市葵区)は28日、経理を担当する30代の男性職員が04年以降、市の委託事業費などを含め計約1000万円を私的に流用していたと発表した。

この職員は流用した金を個人の為替取引で作った損失の穴埋めに使ったという。
同協議会は、この職員を近く処分するとともに、刑事告訴も検討している。

同協議会の福井深・事務局次長、種石進総務課長らが記者会見し明らかにした。市が2月に行う監査に備えて伝票などを調べたところ、流用が分かったという。「この職員がシステムに一番精通していたので、チェックはしていなかった」と管理がずさんだったことを認めた。福井事務局次長は「会員や市民に多大な迷惑をかけた」と謝罪した。

説明によると、この職員は00年に採用され02年以降、総務課で経理を担当してきた。職員親睦会の会計幹事を務めていたが、04年10月ごろから、少なくとも計7回、親睦会費から計約900万円を勝手に引き出し、ネットの為替取引でできた損失補てんに流用した。

また09年6月ごろから、同協議会の会計にも手を付け、約80万円を私的に流用。約420万円を親睦会費の穴埋めに充てたという。流用金には、市が同協議会に委託した放課後児童健全育成事業費約300万円も含まれていた。

■2011.1.29  1987年11月の抱きしめてBIWAKO」。24年ぶりにこの企画を復活させようとする
福祉施設の移転費をつくるため、25万人が手をつないで周囲250キロの琵琶湖を囲んだ1987年11月の抱きしめてBIWAKO。24年ぶりにこの企画を復活させようと、滋賀県内の有志が準備を始めている。
「命の象徴である琵琶湖を抱きしめ、人本来の優しさを取り戻し、日本を元気づけたい」。参加費から基金をつくり、環境や福祉に力を入れる団体を支援する。

24年前、福祉への理解も十分でなくインターネットや携帯電話などもなかったが、有志が説明して回り25万人が集結。県内では「地方自治の出発点」として語り継がれている。イベント復活は「閉塞(へいそく)感漂う社会への奮起を促そう」と、当時の参加者が企画し、有志が集まった。開催日を11月6日に決め、企業や団体の協力も求めている。

命の尊さに思いを巡らせながら25万人が手をつないで成功させたイベント=1987年時の抱きしめてBIWAKO実行委員会
発起人の一人、白井幸則さん(48)=滋賀県草津市=は「手をつなぐことを通して時間を共有し、交流ができる。壮大なシンプルさが魅力。力を合わせれば何でもできるんだという純粋な思いを、琵琶湖から提唱したい」と意気込んでいる。
参加費は1〜500円。集まったお金で、琵琶湖の環境保全や障害者福祉の活動をするNPO法人のための基金を創設する。計画が固まり次第、実施本部を設立し、メディアやインターネットなどを通して全国から参加者を募る。

■2011.1.30  障害者が作った織物や人形販売 「江・浅井三姉妹博覧会」に合わせ 長浜
江・浅井三姉妹博覧会の開催に合わせ、県内の障害者らが作った三姉妹の織物や人形などを売る店「福祉発・浅井三姉妹広場」が28日、JR長浜駅前の平和堂長浜店5階にオープンした。

店舗は、社会福祉法人湖北会の障害者就労支援事業所「ワークスさかた」(米原市)が09年に開いた、障害者の働く店「おいでやす長浜」を拡充してオープン。県内の20施設で製作された障害者手作りの「さをり織」や三姉妹のイラストが入ったコースター(350円)、マグネット(200円)などを販売。かわいい三姉妹のふくろう人形(600円)なども。常時、2〜3人が店(0749・65・0136)にいて、博覧会に訪れた観光客らに対応する。同店は無休。午前10時〜午後6時。チーフマネジャーの伊吹利男さん(64)は「ほのぼのとした商品ばかり。博覧会の記念に買い求めてほしい」と話している。

■2011.1.31  帝国データバンク、医療機関・老人福祉事業者の倒産動向調査を発表
2001年〜2010年の医療機関の倒産件数は349件、老人福祉事業者は120件
2000年4月の介護保険法の施行が大きなきっかけとなり、訪問・通所介護サービスなどの介護関連の事業に活路を開こうと新規参入する企業が相次ぎ市場が拡大したが、徐々に同業者間の競争が激化。
さらに2006年4月に改正介護保険法の施行に伴う介護報酬の引き下げ、施設サービスにおける居住費用・食費が介護保険給付対象から除外されるなど、経営環境がさらに悪化。2007年以降の倒産急増の要因になったと考えられる。

老人福祉事業者の倒産件数推移2001年〜2010年
2001年 1件 2002年 2件 2003年 4件 2004年 4件 2005年 4件 2006年 7件 2007年 23件 2008年 26件 2009年 32件 2010年 17件
破産が101件、民事再生法11件、特別清算6件
破産が101件、民事再生法11件、特別清算6件

老人福祉事業者の78.3%が設立後10年未満で倒産
2000年の介護保険法施行に伴い、多くの新会社などがビジネスチャンスと考えて老人福祉事業に参入したものの軌道に乗らず、10年を経ずに経営破たんする企業が多発しているのが現状。

2008年7月28日、社会福祉法人としては全国で初めて民事再生法の適用を申請したのは社会福祉法人長和福祉会(兵庫県加古川市、山田武司理事長)

2008年8月1日のニュース
兵庫、岡山、奈良で特別養護老人ホームなどを運営する社会福祉法人、長和福祉会(兵庫県加古川市・代表理事山田武司氏)が、7月28日に神戸地裁へ民事再生法の適用を申請した。負債総額は約43億円にのぼり、社会福祉法人の民事再生法申し立ては全国初。
長和福祉会は、1979年から「特別養護老人ホーム長和園」を運営していたが、2002年から「特別養護老人ホームこころ広畑(兵庫県姫路市)」「介護付き有料老人ホームこころ岡山東(岡山県)」「介護老人保健施設こころ上牧(奈良県北葛城郡)」を相次いで新設。こうした複数施設の土地購入などの借入金がふくれ上がり、資金繰りが悪化した。

 

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