残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2011年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

 2011.10. 1 暴言暴行:高瀬荘運営の鵜足津福祉会、障害者に 県が行政指導 /香川
 2011.10. 3 東京・拝島駅:視覚障害女性がはねられ死亡…誤って転落?
 2011.10. 3 高槻市民ふれあい運動会 1000人楽しむ 大阪
 2011.10. 3 広島・社福法人不正運用:市、告発8回も見逃す 10年間、調査不十分 /広島
 2011.10. 4 介護労働:深刻な人材不足 賃金形態が問題 増加率6.2%、全国平均下回る /岐阜
 2011.10. 4 障害ある子の放課後支援 城陽、デイサービス開始
 2011.10. 5 特別支援学校:「市立一貫校新設を」 手をつなぐ育成会、熊本市教育長に陳情 /熊本
 2011.10. 5 視覚障害なのに堂々と車運転「今は見える」
 2011.10. 5 詐欺:視覚障害装い生活保護 73万円詐取容疑で男逮捕−−鳥取署 /鳥取
 2011.10. 5 賠償命令:通所高齢者、誤飲事故死 井原の施設に−−広島地裁福山支部 /岡山
 2011.10. 5 県地震・津波対策委:「福祉避難所、設置を」 障害者ら支援で委員−−会合 /岡山
 2011.10. 5 障害児への性暴行事件題材に=映画「トガニ」、社会動かす―韓国
 2011.10. 5 吹田市:見直し事業総額、23億4180万円分に /大阪
 2011.10. 5 「福祉アパート」所得隠し 国税指摘 あいりん地区の20業者
 2011.10. 5 「都会みたいな仮設住宅」…進まぬ災害弱者把握
 2011.10. 5 <東日本大震災>集団避難の障害者 帰郷先見つからず
 2011.10. 6 京野菜、触れて感じて 東京の法人、点図カレンダー製作
 2011.10. 6 障害者の「工賃倍増5か年計画」、達成絶望 マイナスも/神奈川
 2011.10. 6 <申告漏れ>福祉病院の医療法人「大生会」 計十数億円 大阪
 2011.10. 6 【福祉機器展11】車いすでもバイクの運転が可能に…ワイディーエス
 2011.10. 6 訴訟:福祉事業者指定取り消しなど3訴訟、却下・棄却−−地裁判決 /香川
 2011.10. 6 介護職のたん吸引などに関し、改正省令公布
 2011.10. 6 加賀市の介護老人福祉施設で食中毒
 2011.10. 6 熱い思い胸に新たな門出 「三恵園」新園舎が完成 大阪
 2011.10. 7 不適正経理総額は2億3千万円 岡山市、内部調査まとめ
 2011.10. 7 雑貨店:地域の人と触れ合う場に 障害者の店、総社にオープン /岡山
 2011.10. 8 みのり福祉会不適正支出:「なぜ刑事告発しない」 県の対応を追及 /鳥取
 2011.10. 8 東日本大震災:仮設で花いっぱい 大船渡の知的障害者施設がプランター配布 /岩手
 2011.10. 8 あすなろ会不正流用:元専務理事控訴 /鳥取
 2011.10. 9 佐渡に障害者支援拠点 新潟
 2011.10.13 海田の傷害:殺人未遂容疑の介護福祉士、傷害罪で起訴−−地検 /広島
 2011.10.13 不正請求:就職支援事業で 福祉サービス業、県が指定を取り消し /静岡
 2011.10.15 三ケ日の施設 介護報酬水増し最多13億円 豊岡会、全体は24億9000万円
 2011.10.16 石川県の介護老人福祉施設 入所者9人からO157検出
 2011.10.17 障害者の思いを歌や詩で披露 秋田市で「であいのこんさぁと」
 2011.10.19 大阪府立金剛コロニーで転落死亡事故
 2011.10.20 改正高齢者住まい法が施行
 2011.10.20 「第11回全国障害者スポーツ大会」の開催について
 2011.10.20 豊橋の福祉法人 寄付金不正処理 愛知
 2011.10.21 点字毎日文化賞:表彰式 受賞の斯波氏、喜び語る
 2011.10.22 特養23人は災害関連死…長時間かけた避難など
 2011.10.22 「多くの目に救われた」 視覚障害者、震災語る会
 2011.10.22 豪雨被災者、ペットと暮らし続けたい…和歌山
 2011.10.22 佐賀県営住宅にグループホーム、障害者の家賃負担ゼロ
 2011.10.25 被災書店をノートで支援 「ブックオカ」と福祉作業所が連携
 2011.10.25 福祉施設で2歳児転落、重傷=5階から、母親に事情聴く−大阪
 2011.10.25 児童福祉センター、警察に虐待情報伝えず 名古屋市
 2011.10.27 高齢化率29.6% 初の全国一…秋田
 2011.10.27 地域福祉バス:高齢者ら支援 名張・つつじが丘地区住民、導入を目指す /三重
 2011.10.28 福祉施設から一般就労への移転41人 障害者施策推進協議会で報告
 2011.10.31 災害時の障害者支援考える、80人参加し多摩市民館でシンポ/川崎
 2011.10.31 福祉車両販売実績15%減…2011年度上半期
 2011.10.31 岩手県、ヤマト福祉財団/総額16億円を岩手の水産加工業者の復興支援に
 2011.10.31 肩身狭かった避難所 車いすではトイレ困難…施設へ逆戻り
 2011.10.31 一般とは別「福祉避難所」  指定や備蓄、進まず


■2011.10.1  暴言暴行:高瀬荘運営の鵜足津福祉会、障害者に 県が行政指導 /香川
県内や東京都で、知的障害者更生施設やグループホーム、特別養護老人ホームなど14施設を運営する社会福祉法人「鵜足津(うたず)福祉会」(本部・宇多津町、小松守理事長)が、一部施設で職員が利用者に不適切な処遇をしたとして、県から改善を求める行政指導を受けたことが30日、分かった。

不適切な処遇を指摘されたのは、知的障害者授産施設や同更生施設などがある同会「高瀬荘」(三豊市)。
県などによると、今年7月、「高瀬荘で、職員が利用者をたたくなどの虐待をしている」との通報が県にあった。そこで、県が先月、施設を調査し、男性職員が知的障害を持つ複数の利用者の頭を平手でたたいていたことや、男性職員を含む職員数人が、「おい、お前」などの暴言を利用者に吐いていたことを確認した。これを受け、県は先月下旬、改善措置を文書で報告するよう、行政指導した。

同会によると、暴行した男性職員は、先月中旬に依願退職。暴言を吐いた職員にも個別に指導したという。同会は「これまで、虐待などの研修をしてきたが、より細かな指導をする」としている。

◇労基署は是正勧告
観音寺労働基準監督署は先月、同会に、労働基準法で定められた職員への労働条件の書面交付をしていなかったなどとして、是正勧告した。

⇒社会福祉法人鵜足津福祉会本部 香川県綾歌郡宇多津町浜五番丁53-11
http://www.utazufukushikai.or.jp/index.html

■2011.10.3  東京・拝島駅:視覚障害女性がはねられ死亡…誤って転落?
3日午前11時ごろ、東京都昭島市松原町4のJR青梅線拝島駅で、線路にいた同市中神町、無職、水野寿美恵(すみえ)さん(69)が東京発青梅行き下り特別快速電車にはねられ、全身を強く打って間もなく死亡した。警視庁昭島署によると、水野さんは約20年前から緑内障を患っており、ホームから誤って転落した可能性もあるとみて調べている。

同署によると、水野さんは視覚障害で障害者手帳2級を取得しており、午前10時ごろ、家族に「友人へのプレゼントを買いに行く」と言って出かけた。運転士は「線路上に人がいるのに気付いてブレーキを掛けたが間に合わなかった」と話しているという。

■2011.10.3  高槻市民ふれあい運動会 1000人楽しむ 大阪
第30回高槻市民ふれあい運動会が2日、市立第一中学校グラウンドで開かれた。

障害者が社会に参加し貢献する権利の確立と自立を目指す国際障害者年(1981年)を契機にスタートし、年々盛んになった。
 
今年は記念の30周年を迎え、市や身体障害者福祉協会、手をつなぐ親の会、作業所連絡会など22団体で実行委員会を組織し、障害者や市民ボランティアら約千人が参加した。参加者らは9チームに分かれ車いすバギー競走やパン食い競走、綱引き、さがし物競走、玉入れなどに熱戦を展開。「みんな、がんばれ」と歓声が秋空にこだました。

■2011.10.3  広島・社福法人不正運用:市、告発8回も見逃す 10年間、調査不十分 /広島
広島市などで4保育所を運営する社会福祉法人「ひまわり福祉会」(安佐南区)で2億8000万円の不正経理が発覚した問題で、同市に02年、当時の保育園長の勤務実態がないことを告発する文書が届いていたことが、同市への取材で分かった。

その後も今年1月までに少なくとも7回、法人運営に絡む情報提供があったが、不正運用の実態を10年にわたって把握できず、公金である保育所運営費を支出し続けていた。
 
同市関係者によると、「園長が数カ月間勤務していない」という匿名の情報提供が02年6月、文書で寄せられた。法人の不正運用問題を調査した第三者委員会によると、解任された沖キヌエ前理事長の夫(故人)は01年7月に脳梗塞(こうそく)を起こして理事長職を退いたが、その後も園長職などを務めた。情報提供を受けた同市は、退院後に面談して勤務に支障はないと判断。しかし08年には老人ホームに入居、翌年に死亡するまで給与を得ていた。第三者委は、病状や障害の程度から「職務遂行が困難と容易に推測できる」と結論づけた。
 
08年には、前理事長の次男が園の調理員なのに、勤務実態がないという告発が文書であったが、市側は出勤簿を確認しただけで十分な調査をしなかった。今年1月にも同様の情報提供があったが、本人に聞き取りをしなかった。2人への給与は過去10年で1億4300万円に上るという。
 
不正を見逃したことに、市監査指導室は「ずさんと言われても仕方ない」。市こども未来局の北吉孝行次長は「相手の言い分をうのみにするなど不十分な点があった。甘い対応とのそしりを免れない面があると思う。再発防止策を十分に検討したい」と話した。

■2011.10.4  介護労働:深刻な人材不足 賃金形態が問題 増加率6.2%、全国平均下回る /岐阜
介護労働安定センター岐阜支所がまとめた10年度の県内介護労働の実態調査で、訪問介護員・介護職員の増加率が6・2%と全国平均を1・8ポイント下回り、依然として深刻な人材不足であることが明らかになった。西田弘伸支所長は「人助けをしたいという職員の志頼みはもう限界にきている」と話している。

09年10月1日〜10年9月30日の実績を同年11月に調査。県内約5700事業所のうち150所から回答を得た。
 
離職率は15・7%で、全国平均を2・1ポイント下回ったが、採用率も21・9%と全国平均より3・9ポイント低く、全体として就業者は伸び悩んだ。とりわけ正社員の採用率は19・9%(全国平均22・2%)と低く、西田支所長は「正社員になっても段階的に給料が上がるわけではない。安定した生活ができない賃金形態が問題」と説明している。
 
職員定着のための方策として「賃金や労働状況の改善」(複数回答)を挙げた事業所は63・7%と最も多かったが、県内の介護職正社員の月給は22万1742円。愛知県は23万5681円で、同センターは、岐阜県の介護の有資格者が県外に流出する可能性もあると指摘する。
 
一方、介護の現場では、来年4月から一定の研修を受けた介護職員がたんの吸引を実施するなど、仕事の種類や責任は年々増加している。また要介護2以上で独居の3958人が県内の老人福祉施設の待機者となっており、介護業界の担い手不足解消には抜本的な対策が求められている。
 
西田支所長は「間違いなく施設利用者は増え、介護者の人材不足は深刻となる。社会全体の介護に対する認識を変え、仕事に見合った報酬がもらえる制度づくりが不可欠」と話した。

■2011.10.4  障害ある子の放課後支援 城陽、デイサービス開始
京都府城陽市寺田で障害者施設を運営している社会福祉法人「みんななかま」は3日、障害のある児童、生徒の放課後を支援する「児童デイサービス」事業を、市内で初めてスタートさせた。

同法人は、市の委託事業として2003年から子どもの長期休暇中(夏、冬、春休み)の支援を続けてきた。ただ、休暇期間だけの単発支援では限界があることから、学校と家庭をつなぐ児童デイに乗り出すことにした。
 
児童デイ「みんなのいえ」は放課後から午後6時まで。市内在住の支援学校や市内小、中学校の特別支援学級などに通う児童・生徒が対象で、遊びや工作、学習などを行う。長期休暇期間の支援も引き続き行う。障害者自立支援法に基づき、利用料の一部負担がある。
 
寺田垣内後にある活動場所の施設3階で3日午後4時から開所式が行われ、子どもたちがくす玉を割って開所を祝った。

■2011.10.5  特別支援学校:「市立一貫校新設を」 手をつなぐ育成会、熊本市教育長に陳情 /熊本
知的障害のある子どもたちの親でつくる社会福祉法人「熊本市手をつなぐ育成会」は4日、市立の小中高一貫の特別支援学校の新設を求める陳情書を8511人分の署名を添え広塚昌子・市教育長に提出した。

熊本市には現在、県立の盲学校▽熊本聾(ろう)学校▽熊本養護学校▽国立の熊本大付属特別支援学校−−の四つの特別支援学校がある。しかし知的障害がある児童生徒を対象にしているのは熊本養護学校と熊大付属の2校しかない。
 
市教委によると、特別支援学校に通う市内の児童生徒は現在618人。その半数以上にあたる343人が市外に通っているのが現状だ。本人はもちろん、早朝と夕方に送迎する保護者への負担が課題になっている。
 
市の特別支援教育検討委員会が6月にまとめた報告書は「特別支援教育の質を高め、拠点機能を担う一貫校が必要」と結論づけたが、市はまだ今後の方針を明らかにしていない。同会の川村隼秋会長は「いろいろな選択肢の中で子どもたちを教育してもらいたい」と要望。広塚教育長は「特別支援教育をどう進めていくのか早急に方針を出したい」と答えた。

■2011.10.5  視覚障害なのに堂々と車運転「今は見える」
鳥取県警は4日、視覚障害者のふりをして生活保護の障害者加算約73万5000円などをだまし取ったとして、詐欺の疑いで鳥取市の無職・山田忠春容疑者(60)を逮捕した。県警によると「視力検査の時は見えなかった。今は見える」と容疑を否認している。山田容疑者はつえを突いている姿が目撃される一方で、車を運転していることもあったという。

山田容疑者の逮捕容疑は、08年8月に鳥取市の眼科で視覚障害者のふりをして視力検査を受け、視覚障害1級の認定を受けた後、身体障害者手帳を不正に取得し、同年11月から11年8月までに生活保護の障害者加算約73万5000円をだまし取った疑い。
 
県警によると、山田容疑者は視覚障害者の認定を受けたが、10年4月に自動車運転免許を更新。更新には、視力検査などの手続きがあるが、問題なくクリアしたという。調べに対し、「(08年8月の)視力検査の時は見えなかった。今は見える」と容疑を否認している。捜査関係者は「全く見えなかったものが、また見えるようになることは信じがたいし、医学的にも難しいだろう」と話している。
 
山田容疑者は、つえを突いて歩いている姿が目撃される一方で、自動車を頻繁に運転していたという。今年8月に鳥取市福祉事務所に来た山田容疑者が車を運転して立ち去るのを見た事務職員が通報し、捜査していた。 生活保護の障害者加算は障害1級〜3級に該当する場合、障害の程度や地域などによって加算額が決められる。
 
厚生労働省によると、全国の生活保護の受給は低年金に伴う高齢者の生活苦や不況の影響で、1990年代のバブル崩壊後から増加傾向。それに伴い、収入や年金を申告しなかった不正受給のケースも増えているという。2007年度は1万5979件(92億円)、08年度は1万8623件(100億円)、09年度は1万9726件(約102億円)で、2年連続で100億円を超えた。
 
不正受給の中には、悪質なケースもあった。北海道滝川市の元暴力団組員の夫婦らは06年3月から07年11月まで、生活保護制度を悪用し、介護タクシー代など約2億4000万円を受給。自宅から約100キロ離れた札幌市の病院に通院したと偽っていた。夫婦は複数の高級車を所有していたほか、生活保護費の一部を暴力団に上納していたという。
 
厚労省では対策として、自治体に課税調査の徹底などを求めるとともに、防止策の強化を盛り込んだ生活保護法の改正を検討している。

■2011.10.5  詐欺:視覚障害装い生活保護 73万円詐取容疑で男逮捕−−鳥取署 /鳥取
視覚障害を装い鳥取市から生活保護費の加算分計73万5000円をだまし取ったとして鳥取署は4日、鳥取市北園2の無職、山田忠春容疑者(60)を詐欺容疑で逮捕した。「視力検査した時は見えなかった」などと容疑を否認しているという。

容疑は2008年8月、目が見えるのにもかかわらず、視覚障害1級(視力0・01以下)の認定を受け、同年11月から今年8月まで市から受給した生活保護費のうち障害者加算分を32回にわたってだまし取ったとされる。
 
今年8月、鳥取市福祉事務所の職員が車を運転して帰る山田容疑者を見かけ、警察に通報。山田容疑者が昨年の免許更新時に視力検査(視力0・7以上が必要)を通過していたことも明らかになり、逮捕に至った。
 
身体障害者資格を認定する県東部総合事務所の障がい者支援課は「医師の診断書と意見書がそろっていたので認定した」と説明。診断書などに不審な点があった場合に他の医師に判断を求める「障害程度審査委員」の利用はしなかったという。
 
「身体障害者1級に該当する」と診断書に書いた市内の眼科医は「糖尿病の影響で視力が低下したと聞いていた。眼底に治療痕もあり信じてしまった」と話している。

■2011.10.5  賠償命令:通所高齢者、誤飲事故死 井原の施設に−−広島地裁福山支部 /岡山
井原市の介護施設「西部いこいの里」に通所していた高齢男性があめをのどに詰まらせて死亡した事故で、遺族が運営元の社会福祉法人新生寿会(同市)に総額2000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が4日、広島地裁福山支部であり、吉波佳希裁判官は、被告に1000万円の支払いを命じた。

訴状によると、男性(当時79歳)は10年1月26日午後1時15分〜20分ごろ、同施設内であめ玉を誤飲して苦しんでいるのを職員が発見。人工呼吸や心臓マッサージを施し、同30分に救急車を要請。男性はその10分後に到着した救急車で搬送されたが、翌日夕、急性呼吸不全で死亡した。
 
判決は、施設側が救急車を呼ぶまでに10分以上を要した点について「少なくとも10分の遅れが(男性の)生命に重大な影響を及ぼしたと推認できる」と指摘。搬送要請が遅れた点で、通所者への安全配慮義務に違反があると認めた。原告が主張する事故発見の遅れや処置方法の誤りは認めず、賠償を減額した。
 
同法人は「判決文を精査して今後の対応を検討する」とコメントした。

■2011.10.5  県地震・津波対策委:「福祉避難所、設置を」 障害者ら支援で委員−−会合 /岡山
県地震・津波対策専門委員会(委員長=河田惠昭・関西大教授)の第3回会合が4日、北区で開かれ、お年寄りや障害者ら災害時要援護者の支援や津波避難誘導計画について協議した。三徳和子委員(川崎医療福祉大教授)が「障害者や難病患者らを対象にした福祉避難所を設置すべきではないか」と県に提案した。

東日本大震災の避難所を例に、三徳委員は「避難所で精神障害者が環境の変化からパニックに陥り、避難所が混乱した」と報告し、「県、市町村、医療関係などが情報を共有し、災害時における障害者や難病患者、認知症患者らの安全な避難誘導、避難生活の支援が不可欠」と福祉避難所の必要性を訴えた。
 
県は09年3月に「市町村災害時要援護者避難支援マニュアル作成指針」を定め、支援対策を進めているが、「個人情報保護の問題から災害時要援護者の把握は困難。具体的な対応策は進んでいない」と説明した。
 
新潟県中越沖地震(07年7月)の際に、同県柏崎市に福祉避難所が設けられ例を河田委員長が紹介し、「(04年10月の)中越地震が教訓になり、泉田裕彦・新潟県知事が設置を決めた」と述べ、個人情報の問題を含めた同県の実例を研究する重要性を説いた。
 
津波避難誘導計画について、河田委員長は「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震、津波を想定した最悪のシナリオで避難計画を立てることが重要」と強調した。

■2011.10.5  障害児への性暴行事件題材に=映画「トガニ」、社会動かす―韓国
【ソウル時事】韓国で2000年代前半に実際にあったろうあ学校での性的暴行事件を正面から取り上げた映画「トガニ(るつぼ)」が9月下旬の公開以降、大きな波紋を巻き起こしている。

目を背けたくなるような内容にもかかわらず、観客動員数は公開から2週間足らずの4日までに309万人に達した。人々は怒り、再捜査や法改正の動きとともに、障害者への社会の意識そのものを問う声も上がっている。
 
映画は韓国南西部・光州市の私立ろうあ学校で校長や教師らが複数の聴覚障害児に繰り返した性的暴行事件が題材。事件の実態を赤裸々に暴き、軽い処罰で終わった裁判を告発する。この事件を通して社会、人間の醜悪さを描いた重い内容だ。
 
9月22日に公開されると、インターネットで再捜査を求める運動が起こり、これまでに7万人以上が署名。警察は再捜査に着手し、学校は廃校になった。福祉法人の透明性向上や政府の監督権限強化など法整備の動きも始まった。大手ポータルサイト「ダウム」では、児童性犯罪の公訴時効廃止を求める100万人署名キャンペーンが展開中だ。 

■2011.10.5  吹田市:見直し事業総額、23億4180万円分に /大阪
吹田市の井上哲也市長が掲げる「行政の維新プロジェクト」の一環で行われた事業見直し会議が3日終了した。見直し結果は12年度当初予算案に反映させ、対象の事業総額は一般財源で23億4180万円分に当たる。

計5日の日程で福祉政策を中心に計36事業を見直し、廃止が12件、縮小が21件。推進の結論が出たのは保育所運営や給食調理などの業務を外注する3件のみだった。
 
最終日は6事業について協議。重度障害者が通所する施設への市独自の補助「日中活動重度障害者支援事業」については、8委員のうち2人は継続すべきだと判断したが、

「他市と比べて突出している」「経営支援型から障害者支援型にシフトすべきだ」などとして縮小が上回った。他の5事業もすべて縮小となった。

■2011.10.5  「福祉アパート」所得隠し 国税指摘 あいりん地区の20業者
大阪市西成区のあいりん地区で生活保護受給者向けのアパートなどを経営する約20業者が大阪国税局の税務調査を受け、昨年までの数年間で約2億円の所得隠しを指摘されていたことが5日、分かった。家賃収入を過少申告するなど申告漏れ総額は約3億円。重加算税を含めた追徴課税は計約1億円で、大半の業者は修正申告に応じたという。

生活保護受給者を狙った「貧困ビジネス」が問題化したのを受けて、国税局は昨年秋以降、受給者が多く住む「福祉マンション」「福祉アパート」と呼ばれる共同住宅を重点調査していた。
 
関係者によると、業者らは、アパートの家賃収入などを実際より過少に税務申告していたほか、併設したコインランドリーの売り上げを計上せずに所得を圧縮するなどしていたという。
 
あいりん地区は日本最大級の日雇い労働者の街で、かつては1泊1500円前後の簡易宿泊所が多くあったが、景気の悪化で仕事が激減。労働者の高齢化が進むにつれて生活保護受給者が急増した。
 
経営難に陥る簡易宿泊所業者が相次いだことから簡易宿泊所を廃業し、生活保護受給者に支払われる住宅扶助費の上限4万2千円に家賃を設定した「福祉マンション」などに転用する業者が最近10年ほどで増加。同区の担当者によると、現在約90軒あるという。
 
税務調査を受けた業者の男性は「税務申告については指摘されたが、生活保護受給者を無理に入居させるような違法行為はしていない」と話した。

■2011.10.5  「都会みたいな仮設住宅」…進まぬ災害弱者把握
東日本大震災の被災地では火事が多発する冬を控えて、地元消防団などが仮設住宅に暮らす高齢者らの把握に手間取っている。

避難時の手助けが必要にもかかわらず、住民間のつながりが希薄で、公的機関からの情報提供が少ないためだ。
 
「震災前は家族構成はもちろん、台所や寝室の場所まで知っていた。今は誰がどこに入居しているのかさえわからない」。岩手県宮古市田老地区の仮設住宅に住む消防団員、田中和七さん(57)は話す。仮設住宅約400戸には複数の地区から移り住んだ住民が入り交じって暮らし、ご近所と離ればなれになった高齢者は「自分がすぐ避難できないことを知っている人がいない」と不安を訴える。
 
独り暮らしの山本能子さん(80)は、ひざが悪く、外出時にはカートが手放せない。「仮設は、どこに誰がいるか分からず都会みたい」。
 
災害弱者とされる人々については、「災害時要援護者」として各自治体の福祉部門が把握することになっている。
 
宮古市では、震災後の仮設入居者について全戸訪問して調べるなど情報収集中。必要があれば情報は消防団にも提供する方針だが、「個人情報の取り扱いについて協議できていない」として、現状では未提供のままだ。
 
そのため、避難訓練を通じて災害弱者を独自に把握しようとするなどの動きもある。今月2日、宮古市田老地区の約240世帯を対象に防火訓練が行われ、消防署員と消防団員が避難誘導をしながら、高齢者ら要援護者の人数や所在の把握に努めた。
岩手県大船渡市大船渡町の地ノ森仮設住宅では、全71戸190人が加入する自主防災組織が9月に発足。各棟の班長を中心に要援護者の把握に乗り出した。自主防災組織の副会長、西山謙一さん(74)は「密集した仮設では火事が一番怖い。津波で助かったのだから、これ以上犠牲を出さないためにも災害弱者の把握は重要」と話す。
 
仙台市では、保健師らが仮設住宅を訪ねて要援護者に関する情報も収集。民生委員にも伝えているが、個人情報保護の観点から自治会などとの情報共有は認められていないといい、緊急時への不安が残る。
 
◆災害時要援護者=災害時に一人で安全な場所に避難するのが難しく、支援が必要な高齢者、障害者、乳幼児、妊婦など。優先的に支援するため、政府は2005年にまとめた指針に基づき、全国市区町村に対し、対象者を把握して支援方針を定めるよう求めている。

■2011.10.5  <東日本大震災>集団避難の障害者 帰郷先見つからず
東京電力福島第1原発事故で、福島県から千葉県鴨川市の「県立鴨川青年の家」に集団避難している障害者施設の入所者約250人が帰郷先を見つけられず、窮地に立たされている。半年に及ぶ避難生活で入所者や職員の負担が膨らんでいるうえに、青年の家からの退去が約1カ月後に迫っている。施設を運営する福島県福祉事業協会は「落ち着き先がない。一体、どうしたらいいのか」と頭を抱える。

避難しているのは、協会が福島県内で運営する東洋学園(富岡町)など9施設に入所していた6〜68歳の知的障害者。いずれも警戒区域など原発周辺にある。震災後の避難生活で県内の小学校などを転々とし、4月上旬、鴨川に身を寄せた。
 
青年の家は、障害者向けの設備もなく、浴室は計2カ所。介助が必要で入浴に時間がかかる人が多く、週2、3回が限度だ。長引く大部屋での集団生活も負担になっている。
 
海に面した立地も危険が伴う。4月下旬には11歳の女児が水死する事故が発生。職員の人手不足でなかなか外には連れ出せず、屋内でテレビを見たり、工作をしたりして過ごす時間が増え、ストレスがたまりがちだ。重度の障害を抱える35人は千葉県内の福祉施設に受け入れてもらった。
 
職員約90人は、青年の家近くのアパートから通っている。支援員の林豊彦さん(45)は両親が東京、妻子が福島県二本松市で避難生活を送る。妻子に会えるのは月1回。震災直後から家族を置いて、入所者に同行している。「この人たちは放っておかれたら生きていけない。みんな使命感に支えられている」と言う。
 
入所者の家族はバスをチャーターするなどして泊まりがけで面会に来ている。家族は高齢者や被災者が多く、協会には「早く福島に戻ってほしい」との声が寄せられている。福島の家族に会うために休日、徹夜で車を運転し、疲れ切ってしまう職員も少なくない。
 
福島県は、県内で福祉型の仮設住宅が確保できると見込み、千葉県側には、10月末をめどに青年の家を退去する意向を伝えた。だが「立地のいい場所は既に健常者向けの仮設が建っている」(福島県障がい福祉課)などで用地選びが難航。結局、協会が自力で探した3施設分の用地を確保するのがやっと。建物の完成時期は未定だ。
 
千葉県は「行き先のないまま追い出すようなことはしない」と延長に前向きだ。だが避難者の受け入れで約2万8000人のキャンセルが生じ、12月以降は予約も入っていることから、協会の山田荘一郎理事長は「これ以上、千葉の皆さんに迷惑はかけられない」と代替施設を探す。一部の入所者は緊急時避難準備区域が解除された南相馬市内の施設に帰す方向で検討している。
 
そして国や福島県の鈍い対応に、山田理事長は、こう言って肩を落とす。「健常者だったら半年間も、こんな状態に置かれることはなかったでしょう」
 
厚生労働省障害福祉課は「福島県には適切に対応するよう要請したい」と話している。

■2011.10.6  京野菜、触れて感じて 東京の法人、点図カレンダー製作
聖護院だいこんや万願寺とうがらしなど京野菜をテーマに、点字で描いた来年の「点図カレンダー」を、社会福祉法人「視覚障害者支援総合センター」(東京都杉並区)が製作し、販売を始めた。京都で地域福祉やNPO支援をしている加藤和子さん=京都市左京区=が助言し、目が見えない人に京野菜がイメージできるよう、工夫を重ねた。

■形の面白さなど表現
視覚障害者支援総合センターは、作業所に17人が通い、主に点字出版に取り組んでいる。点図を添えたカレンダー製作は、点字普及を目的に2005年から始めた。月がわりで添える点図には、空想の線でつないだ「星座」、晴眼者も地上からは見えない「ナスカの地上絵」と、毎年テーマを変えて、視覚障害者が触って楽しめるイメージを探ってきた。遠近法が使えないなど点図には制約があるが、美しいデザインで晴眼者の人気も集めている。
 
2012年のカレンダーは、5月に賀茂なす、11月に堀川ごぼうなど、月ごとに季節の京野菜が登場する。センターの施設長高橋和哉さん(46)は「鹿ケ谷かぼちゃ、賀茂なすなどの形の面白さ、ごつごつした感じやツルッとした触感を感じられるよう、点の大きさや種類を駆使し、点図で表現できるか挑戦してみた」と話している。
 
600円。センターのホームページから注文できる。問い合わせは視覚障害者支援総合センターTEL03(5310)5052

■2011.10.6  障害者の「工賃倍増5か年計画」、達成絶望 マイナスも/神奈川
障害者が福祉的就労で得る工賃を、5年で倍増させるとした国と県の「工賃倍増5か年計画」(2007〜11年度)が最終年度も後半に入り、計画倒れになっている。実効的な施策が不十分だった上に、リーマン・ショック後の経済危機、そして東日本大震災が直撃。「倍増」など夢の話で、「アップ」どころか06年度を下回る懸念さえ出ている。国は、現行の障害者自立支援法を廃止し、13年8月までに「障害者総合福祉法」(仮称)を施行する計画だが、就労支援策の抜本的改革が問われている。

国の計画は、障害者福祉でも可能な限り就労による自立・生活の向上を図るのが目的。福祉的就労のうち、雇用契約に基づく就労が困難な障害者に就労の機会や訓練を提供する「就労継続支援B型」と「授産施設」などについて、平均工賃を06年度の月額1万2222円(全国平均)から倍増させるとした。各都道府県で具体的施策を行っており、県は「かながわ工賃アップ推進プラン」を策定し県内平均1万2244円を倍増させるとした。
 
しかし、今年8月にまとまった10年度の県内平均工賃は月額1万2397円。06年度比153円(1・2%)増にすぎない(全国平均はとりまとめ中)。
 
対象施設は、商品の袋詰めやシール貼り、紙・段ボールなどの加工・組み立て、パンやクッキーの製造・販売、飲食店経営などが主な作業内容。県はプランで、商品開発や販路拡大の支援、経営相談などの施策を行ってきた。国も、企業が障害者施設への発注を増やした場合に、税制優遇を行う「発注促進税制」などを設けていた。
 
しかし、こうした施策は効果が不十分か、効果があっても、リーマン・ショック後の経済危機で相殺されてしまった。南足柄市の知的障害者施設「パン工房ハッピー」の職員は「県の経営相談でコンサルタントのアドバイスを聞いたが、もっと福祉現場に沿った話が聞きたかった」と話す。
 
横浜市神奈川区の視覚障害者施設「横浜光センター」では点訳を主な事業としてきたが、「受注件数が年々減り、工賃も下がる一方」という。
 
本年度は東日本大震災の影響も加わり、企業からの受注で高い工賃を出してきた施設も打撃を受けた。商品の梱包(こんぽう)作業などをしている相模原市中央区の障害者施設「ワークショップ・SUN」では、「不況の中で受注が減っている。9月は昨年の半分。企業の海外移転など国内の空洞化を感じる」と話す。
 
県障害福祉課は「プランの実現は難しい。本年度の実績についても厳しい話しか聞いていない」と話す。最終年度の実績が06年度を下回る可能性さえ否定できないとしている。
 
障害者と家族でつくる「障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(障全協)」の家平悟事務局次長は「倍という設定自体がおかしく、内容も小手先の施策だった」と指摘。「自立しようと思ったら生活保護を受けざるを得ない現行の障害者福祉の現状を変える必要がある」と述べ、障害者総合福祉法での抜本的改革が必要だとしている。
 
◆障害者総合福祉法(仮称) 2013年8月までの施行に向け、障がい者制度改革推進会議総合福祉部会が骨格提言をまとめ、厚労省で法案作成に入った。提言は、現在の国の障害者福祉予算が先進国水準を大きく下回っているとし、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均水準まで引き上げが必要とした。また、現在の就労移行支援事業、就労継続支援A型およびB型事業、生活介護事業、地域活動支援センター、小規模作業所などを「障害者就労センター」(労働法適用)と「デイアクティビティセンター」(同法不適用)に再編成。それぞれ十分な賃金補てん、所得保障を行うべきだとした。

■2011.10.6  <申告漏れ>福祉病院の医療法人「大生会」 計十数億円 大阪
総合病院を経営し、生活保護受給者の入院患者を受け入れている大阪市阿倍野区の医療法人「大生会」やその関連会社などが、大阪国税局から10年3月までの数年間にグループ全体で計十数億円の申告漏れを指摘されていたことが5日分かった。

このうち2億円程度は悪質な所得隠しと認定され、重加算税などを含めて追徴課税(更正処分)された模様。貧困ビジネスを重点調査するなか「福祉アパート」と並んで「福祉病院」の申告漏れが浮かび上がったという。
 
関係者によると、大生会は87年6月に設立され、同市生野区で「大生病院」など3病院を経営。多数の関連法人間の取引で経費を過大計上したり、関連の医薬品会社が手数料収入を申告しなかったりする手口で所得を圧縮していたとみられる。
 
グループのオーナーも国税、地方税が未申告で、税務調査に対して嫌がらせを繰り返したという。
 
大生会はかつて病院乗っ取りの舞台となり、05年8月には関係者が大阪地検に横領容疑などで逮捕されたこともある。病院近くの住民は「経営者が代わってからほとんど地域住民は通院しない」と話す。
 大生会は「マスコミの取材には応じない」としている。
 
国税当局は昨秋から、生活保護受給者を対象にした貧困ビジネスに注目。大阪市西成区のあいりん地区にある福祉アパートは西成税務署、大生会などは大阪国税局が主体となって税務調査に切り込んだ。

■2011.10.6  【福祉機器展11】車いすでもバイクの運転が可能に…ワイディーエス
コンセプトカーなどをつくっているワイディーエス(本社・神奈川県座間市)は、「国際福祉機器展2011」に車いすに乗ったままバイクを運転できる『ホイールチェアビークル(WCV)S-01』を出展した。

「昨年も出展しましたが、今回のものはそれよりも格段に進化しています。特に安全面を強化し、車いすを固定する器具や転倒を防止するための部品を取り付け、安心して走れるようにしました」と同社関係者は説明する。
全長1860mm、全幅1095mm、全高980mm、重量78.5kg(1セットバッテリー搭載)。バッテ

リーはリン酸鉄リチウムイオンで、充電時間は家庭用電源で約6時間。航続は30km/hの定地走行で約25km。7度の斜度まで登ることができ、バックも可能だそうだ。
価格は63万5250円(バッテリー1セット)、69万8250円(バッテリー2セット)となっている。最近発売したばかりだが、同社関係者は来場者の反応を見て、手応えを感じている様子だった。

■2011.10.6  訴訟:福祉事業者指定取り消しなど3訴訟、却下・棄却−−地裁判決 /香川
介護給付費を不正請求したとして県から障害福祉サービス事業者の指定を取り消す行政処分を受けた高松市御坊町の「プリン・ハウス」(太田登美子社長)が、処分取り消しなどを求めた三つの訴訟の判決が5日、高松地裁(横溝邦彦裁判長)であった。

行政処分取り消し請求について、横溝裁判長は「出訴期間の経過後で、不適法」として却下した。処分の違法・無効確認請求には「重大、明白な瑕疵(かし)があるとは認められない」として棄却した。
 
また、障害を持つ太田社長が障害福祉サービスを受けるために必要な受給者証について、市が更新を違法に怠ったなどとして441万円の支払いを求めた訴訟も棄却された。横溝裁判長は「(サービスの)必要な支給量を把握するため、更新調査を行う必要が生じたが、原告は拒絶した。違法性は認められない」と述べた。
 
さらに市・県が、同社に介護給付費の不正請求があり、詐欺罪で告発したと報道発表したのは名誉棄損として、330万円の損害賠償を求めた訴訟については「発表は専ら公益を図ることにあった。違法性は認められない」として棄却した。  プリン・ハウス側代理人弁護士は「控訴する方向で検討したい」と話した。

■2011.10.6  介護職のたん吸引などに関し、改正省令公布
厚生労働省は10月3日付で、一定の研修を受けた介護職員らが、たんの吸引や経管栄養を実施するための改正省令を公布した。改正省令では、介護職員が実施する具体的な医行為や、そのために必要な研修の内容のほか、研修を担当する施設が満たすべき要件についても明記されている。改正省令は2012年4月1日付で施行される。

介護職員らが実施できるようになるのは、たん吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)と経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)。実施に当たっては、基本研修のほか、施設や在宅などの現場で、たん吸引などの実地研修を受けなければならない。
 
研修内容は、不特定多数の利用者を対象とする場合と、重度障害者など特定の利用者を対象とする場合に大別される。  不特定多数の利用者を対象とする場合については、さらに「たん吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)と経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)を実施できる」と「気管カニューレ内部を除くたん吸引と、経鼻以外の経管栄養を行う」の2類型に分けられる。いずれも、講義を中心とした基本研修を受講した上で、それぞれの類型に応じた実地研修を受けなければならない。
 
一方、特定の利用者を対象とする場合は、基本研修とその利用者に必要な行為についての実地研修を受講する。認定後は、その利用者に対してのみ、研修を受けた行為だけを実施できる。
 
15年度以降、介護福祉士国家試験を受験する人に対しては、たんの吸引などに関する基本研修と、実地研修が課される。基本研修は専門学校などの養成機関で受講することが義務付けられているが、実地研修に関しては養成機関を修了した後に受講してもよい。

■研修を行う事業所の要件も明記
介護職員がたん吸引などの医行為を実施するに当たって、事業者は都道府県に登録する必要がある。登録に必要な要件は、▽医師の文書による指示の実施▽たんの吸引などの実施内容を記載した計画書の作成▽実施状況の報告書の作成▽緊急時の医師や看護師への連絡方法の整備-など。
 
一方、介護職員らを対象に基本研修と実地研修を行う研修機関の要件としては、▽医師や看護師らが講師を務める▽都道府県に対して研修の実施状況を定期的に報告する▽十分な講師数と器具類の確保―などが盛り込まれている。

■2011.10.6  加賀市の介護老人福祉施設で食中毒
加賀市の介護老人福祉施設など2カ所の入所者や利用者あわせて9人が下痢などの食中毒症状を訴え、全員の便から腸管出血性大腸菌Oー157が検出されました。

石川県健康福祉部によると今月3日、加賀市内の介護老人福祉施設「加賀中央慈妙院」に入所している89歳の男性が下痢などの食中毒症状を訴え、便からは、腸管出血性大腸菌O―157が検出されました。また、加賀中央慈妙院に隣接する介護老人保健施設「加賀中央メディケアホーム」でも同じような症状を訴える人がいたことがわかりました。

患者は、2つの施設合わせて9人。80代から90代で全員から腸管出血性大腸菌O―157が検出されていて全員が入院しています。うち2人が重症だということです。
南加賀保健福祉センターでは、9人全員が、加賀中央メディケアホームが調理した9月25日の昼食の大根おろしと大葉の和え物を食べていることから、この食事が原因の食中毒と判断しました。

■2011.10.6  熱い思い胸に新たな門出 「三恵園」新園舎が完成 大阪
障害者福祉の新たな拠点として建て替えられた救護施設「三恵園」(大阪府能勢町)。開園を前に施設内で5日行われた式典では、神事やパーティーなどに出席した人たちが施設の新たな門出を祝福した。

●桜と共存
完成した新園舎は西棟(地上2階と地階)と東棟(平屋建て)が「へ」の字形に並び、その中央に樹齢50〜60年のサクラが立つ。
「長年親しまれてきたサクラを切るわけにはいかず、建物のほうがよけたんです」。近野滋生園長が説明する。
 神事では、利用者代表の羽岡智佳子さんや施設を運営する産経新聞厚生文化事業団の役員らが玉串をささげた。
 
出席者は完成したばかりの施設内を見学。同事業団の横田憲一郎理事長は「職員の熱い思いが設計のすみずみに行き届いている」と説明した。

●花の小径
パーティーが開かれたのは「地域交流室」。その入り口付近には「花の小径(こみち)」と名付けられた幅4メートルのモニュメント。
 利用者や職員、住民、ボランティアらがそれぞれ小さな陶板に描いた花の絵約300枚が張り付けられている。地域と施設の絆の証しだ。
 同園で25年間、利用者に書道指導のボランティアを続けてきた槻木羊子さんは「立派な施設。ボランティア活動もますます盛んになるのでは」と喜んだ。

●うどんで祝福
パーティーでは、地元の中和博町長が「先駆者としての取り組みに期待したい」と祝辞。府社会福祉協議会の梶本徳彦会長も「地域に溶け込んだ施設」と評価した。出席者らは会食や楽器演奏などを満喫。同事業団が運営する池田市立くすのき学園で作った手打ちうどんもふるまわれた。
 
利用者の旧園舎からの引っ越しは、10〜15日。「自分の部屋を持つのは初めて。不安もあるけど楽しみ」「新しい部屋にテレビを置きたい」−。利用者たちは、それぞれの思いを胸にその時を待っている。
⇒産経新聞厚生文化事業団
http://www.sankei-fukusi.or.jp/

■2011.10.7  不適正経理総額は2億3千万円 岡山市、内部調査まとめ
岡山市は6日、昨年度から実施している会計処理の内部調査で平成14〜22年度に計8537件、総額約2億3300万円の不適正な経理処理が明らかになったと発表した。電気製品など数点の所在が確認できず、市は職員による私的流用の可能性も視野に調べる。

不適正経理の内訳は、随時業者に物品を納入させ、あとから別の名目で請求書を出させて支払う「一括払い」が2904件、約1億300万円と最多で、契約と異なる物品を購入する「差し替え」が1590件、約2800万円。そのほか、年度末に発注して代金を支払って翌年度に納入する「翌年度納入」、翌年度に必要な物品を前年度に購入する「前年度納入」などがあったという。
 
また、障害福祉課では、業者の取引明細などから、DVDレコーダーや液晶テレビなど計約330万円分の電気製品などを購入していたことが判明。しかし、実態はなく、所在が不明なため、市は弁護士らと協議して引き続き調べる方針。
 
一連の不適正経理はほぼすべての所属で行われていたといい、市会計処理適正化調査班は「公金を扱っているという意識が希薄化していたと言わざるを得ない」としている。

■2011.10.7  雑貨店:地域の人と触れ合う場に 障害者の店、総社にオープン /岡山
◇130人が花の苗や紙製品作り、交代で店番務める
 知的障害者と地域の人が触れ合う場に−−障害者が育てた花の苗などを販売する雑貨店「住倉山手販売所」が総社市西郡にオープンした。

社会福祉法人「三穂の園」(倉敷市玉島服部)が運営。総社市に住む生徒の卒業後の受け入れ先を探した県立岡山南支援学校(南区内尾)の要請などを受けて雑貨店を構えた。
 
同法人の障害者支援施設を利用する約130人の障害者が、種から育てたパンジーやビオラなどの花の苗や、和紙製品など約10種類の雑貨が並ぶ。店頭では、同法人の職員1人と3〜4人の障害者が交代で店番し、商品をビニール袋に入れて買い物客に手渡したり、「ありがとうございました」と声を掛けて販売の手伝いをしている。同法人の職員、坂本英明さん(31)は「障害者は、自分たちが作った雑貨を買い求めるお客さんの姿を見れば『作ってよかった』と感じてくれるだろう。これからも交流の場を増やしたい」と語る。
 
店を訪れた総社市清音軽部、華岡光さん(90)は「笑顔で商品を渡してくれて、元気をもらった。また来たい」と話した。

■2011.10.8  みのり福祉会不適正支出:「なぜ刑事告発しない」 県の対応を追及 /鳥取
◇県議会常任委、非自民委員
自民党の元県議が理事長を務めていた「みのり福祉会」(倉吉市、村田速実理事長)の不適正支出問題について、県議会福祉生活病院常任委員会で7日、非自民の3議員が質問。「なぜ刑事告発しないのか」「監査で見逃した県の責任は大きい」などと、県の対応や監査の甘さを指摘する厳しい意見が相次いだ。一方、同委員会の自民党県議らは、一昨年から「あすなろ会」、「みのり福祉会」と相次いで自民党県議が関係している社会福祉法人で不正があったためか、終始口をつぐんだままだった。

みのり福祉会は、今年1月に国や県からの交付金の一部を借入金の返済に充てたことなどで改善命令を受け、2月に役員を一新。しかし、9月末に新たに土地の賃貸料、香典代、役員報酬などで約1億1200万円の不適正な支出があったことがわかり、県から改善命令を受けた。現在、11月28日までに改善報告書を提出するよう求められている。
 
委員会では、森雅幹議員(絆)が「ここまでやった社会福祉法人に対してなぜ解散命令をしないのか。犯罪と思うが、なぜ県として告発しないのか」と口火を切った。
 
県側は、解散命令について「今の利用者に迷惑がかからないようにすることが一番。解散命令は難しい」。告発については「再調査や責任の所在を明らかにするよう求めているので、その結果を見極めてから。現在は法人の主体的な判断を待ちたい」などと答えた。
 
砂場隆浩議員(かけはし)は「新しい理事長は前理事長の息子。今回の不正は家族ぐるみでやっている。新体制を受理したことがおかしい」と指摘。県側は「理事長は息子だが、大変改革の意欲は持っており、真剣に改革に取り組んでもらえるものと判断している」などと答えたため、「県民が納得すると思うか」などと声を荒げる場面もあった。
 
市谷知子議員(共産)は前理事長と現理事長を委員会に参考人招致(強制力なし)することを提案。地方自治法100条に基づき、強制的に招致できる百条調査権についても話し合われたが、来月の改善報告書を待ってから今後の対応を決めることになった。

■2011.10.8  東日本大震災:仮設で花いっぱい 大船渡の知的障害者施設がプランター配布 /岩手
◇住民の交流にも一役
被災地の仮設住宅に花のプランターを配り、住民同士のコミュニケーションに役立ててもらう知的障害者通所施設「慈愛福祉学園」(大船渡市)の「花いっぱい運動」が注目を集めている。大船渡市や陸前高田市の仮設住宅をすべて回るのが目標で、これまでに37カ所に配布。被災地支援団体から声がかかり、宮城県東松島市にも「出張」するなど活動は広がりを見せている。

同学園の利用者は、花や野菜を育てて一般家庭に販売してきたが、震災で販売先が半減。新規の顧客開拓の前に地域へ恩返しができないかと考えていたところ、横浜市の障害者施設から募金などによる協力の申し出があり、仮設住宅に花を提供することになった。
 
夏場はマリーゴールドやサルビア、ベゴニア、これからはパンジーやノースポール。学園の利用者と仮設住宅の住民が手分けしてプランターに苗を植える。参加できなかった近所の住民の分も持ち帰ってもらい、声をかけ合うきっかけにしてほしいという狙いもある。9月16日には東松島市を支援している団体からの要請で同市の約90戸に配った。
 
学園の利用者の多くは被災者でもある。中村輝雄さん(56)は住んでいたグループホームが流され、仮設住宅で母(79)と2人暮らし。「普段から育てている花で、みんなに喜んでもらえるのはうれしい」と笑顔を見せる。
 
自宅を流され、県営住宅に夫と入居する田中恵美子さん(70)は「仮設住宅に住む人々にとって、土いじりをしたり花を育てたりするのはとても大切」と話している。

■2011.10.8  あすなろ会不正流用:元専務理事控訴 /鳥取
社会福祉法人「あすなろ会」(鳥取市)の資金が建設資材販売会社「ハマサキ」(同)に不正流用された事件で、業務上横領罪に問われ、9月28日に鳥取地裁で懲役3年の判決を受けたあすなろ会元専務理事、田中脩被告(79)は7日、判決を不服として広島高裁松江支部に控訴した。田中被告の弁護士は裁判で「被告は一時的に資金を流用することが可能だと(誤った)認識をしていたので、実質的には背任罪に近い」などと減刑を求めていた。

■2011.10.9  佐渡に障害者支援拠点 新潟
障害者の就職や日常生活を支援する地域拠点となる障がい者就業・生活支援センター「そよかぜ」が佐渡市に開設され、県内を7つに分けた障害保健福祉圏域のすべてに支援センターが設置された。

就職や職場への定着が困難な障害者を対象に、地域の雇用・福祉・教育関係機関などとの連携拠点として、就業、日常生活の支援を一体的に行っている。

■2011.10.13  海田の傷害:殺人未遂容疑の介護福祉士、傷害罪で起訴−−地検 /広島
勤めていた介護施設の利用者に多量のインスリンを投与して殺害しようとしたとして、殺人未遂容疑で逮捕された介護福祉士、太尾田京子被告(47)=安芸区阿戸町=について、広島地検は12日、傷害罪で起訴した。

起訴内容は、太尾田被告は5月25日と6月1日、海田町の介護施設「デイホームあいあいほのかの家」で利用者の女性(当時88歳)に、インスリンを投与し、低血糖発作の傷害を負わせた、とされる。女性は昏睡状態になって救急搬送されたが、命に別状はなかった。
 
地検は、手元にあったインスリン全てを投与していない▽被害者はインスリン投与の必要はないが、糖尿病の患者だった−−などから「殺意が認定できなかった」として傷害罪を適用した。
 
太尾田被告は、同じ施設の男性利用者に向精神薬の錠剤を飲ませて意識障害を負わせたとして、別の傷害罪でも起訴されている。

■2011.10.13  不正請求:就職支援事業で 福祉サービス業、県が指定を取り消し /静岡
県は12日、静岡市葵区の福祉サービス業「寺子屋 匠(なる)」(服部徳昭代表)が障害者の就職支援事業に絡み不正に市から給付金を受け取っていたとして、障害者自立支援法に基づく障害者福祉サービス事業者の指定を取り消したと発表した。

周辺7市に対する不正請求は約1580万円に上り、県は課徴金を加えた計2210万円の返還を同社に求めるよう7市に要請した。同法に基づく指定取り消しは県内で初めて。
 
県障害者政策課によると、同市駿河区の同社豊原町教室は、09年4月から11年3月までの2年間、利用者ではない障害者2人を利用者と偽って報告。訓練等給付費として市が支払う費用を不正に受け取った。また、実際には通所を休んだにもかかわらず利用したように偽ったり、行っていない実地研修を行ったように報告して不正に費用を請求していた。
 
指定取り消しは8日付。現在は2人の利用者がいるという。

■2011.10.15  三ケ日の施設 介護報酬水増し最多13億円 豊岡会、全体は24億9000万円
「はまなこ介護老人保健施設」(浜松市北区三ケ日町、定員150人)などを運営する愛知県豊橋市の医療法人「豊岡会」が介護報酬を不正受給していた問題で、同会の鈴木市三理事長が14日、記者会見し不正受給額が約24億9000万円に上ることを明らかにした。厚生労働省によると、不正受給額は過去最大になるとみられる。

このうち、三ケ日町の施設では最多の約13億円を占め、利用者にも1億4000万円を過大請求し、併設の「はまなこ病院」でも不正請求があったことが分かった。

豊岡会によると、2006年1月〜10年12月の不正請求額は、自治体への介護報酬がはまなこ老健で5億3500万円、はまなこ病院で6億1600万円。利用者への不正請求は同老健で7200万円、同病院で6900万円にも上る。

市は11日付で、同市分の不正受給額2億5000万円に罰則として40%を加算して返還請求することを決定。利用者は湖西市など県内外の36市町村にも及び、各自治体に同様の措置を要請する。

また、浜松市は12月から2カ月間、サービス費の請求上限を5割に設定するほか、新規入所者の受け入れを停止する処分を決めた。県も浜松市の処分にならい、11日付で、はまなこ老健内にある短期入所療養介護事業所と、介護予防短期入所療養介護事業所に同様の処分を決めた。

県介護指導課によると、病院での不正が判明したのは県が監査を実施した昨年8月。介護職員と看護職員を1カ月平均4人分の人員を水増しして請求していたという。
同病院は老人保健施設へ運営を転換するため、10年4月に県の介護療養型医療施設の指定を辞退している。このため、病院は県の所管から離れていることから、保険者の市町に全額返還請求をするよう要請している。

豊岡会の鈴木理事長らは会見で、水増し申請は静岡、愛知両県の7施設で代々の事務長が申し送りしていたことを明らかにした。

同会の内部調査をした吉田良夫弁護士(53)は、水増しの発端や指示した人物の存在は判明していないと説明。「事務長は自治体の実地指導を通るには人員数を満たした勤務記録が必要と知っていたが、介護報酬の額に関わるとは知らなかった」と話した。

鈴木理事長は「極めて不十分な指導体制しか作ってこなかった」と謝罪。後任が決まり次第辞任し、自治体には過去5年間、利用者は過去10年間にさかのぼって返金することと、個人資産約2億7000万円も返還にあてると述べた。

■2011.10.16  石川県の介護老人福祉施設 入所者9人からO157検出
石川県は16日、同県加賀市の介護老人福祉施設「加賀中央慈妙院」と隣接する施設「加賀中央メディケアホーム」で、入所者の80代と90代の男女9人が9月29日〜今月10日、下痢などの食中毒症状を訴え、9人から腸管出血性大腸菌O157が検出されたと発表した。9人は加賀市内の病院に入院、うち80代の女性2人が意識はあるが重症という。

両施設の入所者らの食事はすべて加賀中央メディケアホームで調理。これまでの県の検査で、9月25日の昼食に出された「大根おろしと大葉のあえ物」から9人と同じ型のO157が検出された。
 
県は、加賀中央メディケアホームの給食施設を16日から3日間の使用停止処分とした。

■2011.10.17  障害者の思いを歌や詩で披露 秋田市で「であいのこんさぁと」
心身に障害のある人やその家族らが思いをつづった詩を朗読したり、曲を付けて発表する「であいのこんさぁと」が16日、秋田市山王の県児童会館で開かれた。会場を訪れた約300人が心のこもった歌や詩の朗読に聞き入った。

障害者や障害者施設で働く人たちでつくる実行委員会(進藤雄一代表)の主催。1980年から毎年開催している。
 
今年は県内外の15人から35編の詩やエッセーなどの応募があった。このうち3編に県内のアマチュア音楽家が曲を付けて披露、2編を朗読した。歌になった作品は、通所施設で自分たちが製造している豆腐をPRするものや、東日本大震災の被災者への励ましなどをつづった内容。合間には吹奏楽の演奏や新体操の演技も披露され、来場者は多彩なステージを楽しんだ。
 
また、山形県寒河江市で毎年、同様のコンサートを開催している「山形ふれあいコンサート」実行委員会とコーラスグループの13人も参加し、美しい歌声を披露した。6月のコンサートが震災の影響で中止になったため、本県の実行委が招待した。

■2011.10.19  大阪府立金剛コロニーで転落死亡事故
大阪府の報道発表から ニュースの配信なし
事故の概要
平成23年10月15日(土曜日)午後4時10分頃、当該利用者が施設から散歩に出かけた。当該利用者は、日頃から一人で散歩等をしていたが、一時間程度で戻る予定が戻らないため、施設内外を捜索するも発見できなかった。
翌10月16日(日曜日)午前10時14分頃に施設敷地に隣接する河川で倒れているのを発見されたが、すでに亡くなっていた。(死亡推定時刻10月15日午後5時ごろ)
警察での検案の結果、府道から施設への進入路に架かる橋(府福祉部が設置)の欄干から転落した模様であり、事件性はないものと判断されている。

事故の経過
10月15日(土曜日)
午後 4時10分頃 当該利用者が職員に散歩に行くと伝えて外出
午後 5時15分頃 利用者が外出から帰寮していないことに職員が気付いたが、しばらく様子を見る
午後 6時20分頃 職員が施設内外の捜索を開始(午前1時30分まで実施)
午後 6時30分頃 当該利用者が帰寮していないことを家族へ連絡
10月16日(日曜日)
午前10時頃    早朝より捜索を続けるも、所在確認ができないため、富田林警察署へ捜索願を提出
午前10時14分頃 施設隣接の河川で人が倒れているとの通報を受け、職員が現場へ駆けつけ確認。救急へ連絡
午前10時26分頃 救急車到着
午前10時40分頃 レスキュー車、警察到着(死亡確認)
午後 3時20分頃 警察から金剛コロニーへ事件性がない旨の連絡有り
午後10時29分  金剛コロニーから府所管課担当者の職場パソコンへメールにて経過報告有り(17日午前9時頃に所管課の担当者がメールを確認)

大阪府の対応
○ 利用者の方が亡くなられたことを重く受け止め、施設内の安全点検を早急に実施。
○ 今後、利用者の安全について一層配慮した運営に努める。
大阪府富田林市の障がい者支援施設 大阪府立金剛コロニー(社会福祉法人 大阪府障害者福祉事業団が指定管理者)において、利用者の方(30代男性)が施設周辺を散歩中に、橋の欄干から転落したことによると思われる死亡事故がありました。事故の詳細は以下のとおりですが、利用者の方が亡くなられたことを重く受け止め、利用者の安全について一層配慮した運営に努めてまいります。

■2011.10.20  改正高齢者住まい法が施行
改正高齢者住まい法が施行
改正高齢者居住安定確保法(高齢者住まい法)が10月20日、施行された。介護や医療が連携して入居者にサービスを提供する「サービス付き高齢者向け住宅」の創設が盛り込まれている。

サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者専用賃貸住宅、高齢者円滑入居賃貸住宅、高齢者向け優良賃貸住宅の各制度に代わる制度として創設された。
 
事業者には、安否確認や生活相談といった高齢者支援サービスの提供が求められるほか、登録された事項の情報開示や入居者への契約前の説明、誇大広告の禁止なども義務付けられる。契約の際は、前払い家賃に関する返還ルールと保全措置が守られる必要がある。
 
なお居室部分の登録基準は、▽床面積が原則25平方メートル以上▽トイレや洗面設備などの設置▽バリアフリー構造―など。
 
事業者は都道府県・政令市・中核市の窓口に申請し、登録する必要がある。有料老人ホームも基準を満たせば、同住宅として登録が可能となる。

■2011.10.20  「第11回全国障害者スポーツ大会」の開催について
厚生労働省、(財)日本障害者スポーツ協会と山口県は、平成23年10月22日(土)〜24日(月)の3日間にわたり山口県において、「第11回全国障害者スポーツ大会」を開催します。大会の開会式に皇太子殿下、閉会式に高円宮妃殿下が御臨席されます。また、藤田一枝厚生労働大臣政務官が開会式に出席します。

この大会は、障害のある選手が競技等を通じ、スポーツの楽しさを体験すること、そして、国民の障害に対する理解を深め、障害者の社会参加の推進に寄与することを目的として開催される国内最大の障害者スポーツの祭典です。毎年、国民体育大会の直後に開催しており、今年度は47都道府県と19政令指定都市から約5,500人の選手団(選手約3,500人、役員約2,000人)が参加し、13競技を競い合います。(競技種目は別添を参照)

また、今年度の山口大会は、東日本大震災の復興支援のため、「たちあがれ!東北 がんばろう!日本」を合言葉に、被災地そして全国に向けて、勇気と希望、そして元気を送る大会として開催します。

愛称 「おいでませ!山口大会」
大会スローガン 「君の一生けんめいに会いたい」
合言葉 たちあがれ!東北 がんばろう!日本

競技種目
  個人競技(6競技) 陸上競技、水泳、アーチェリー、卓球(サウンドテーブルテニスを含む)、フライングディスク、ボウリング
  団体競技(7競技) バスケットボール、車椅子バスケットボール、ソフトボール、グランドソフトボール、バレーボール、サッカー、フットベースボール、オープン競技(1競技) 卓球バレー

■2011.10.20  豊橋の福祉法人 寄付金不正処理 愛知
●期限切れ後→個人口座入金→名目偽り法人口座に
豊橋市船渡町で児童養護施設を運営する社会福祉法人「豊橋平安寮」(青山広理事長)が寄付金を不適正に処理していたとして、市は19日、同法人に再発防止策などを求める措置命令を出した。市は「青山理事長らの私的流用はなかった」と説明している。

市によると、青山理事長(58)と理事1人は、施設の建設費名目で寄付金を募るために受けた市の許可の期限が2008年3月末に切れたにもかかわらず、その後も寄付を募った。
 
同年8月に市の監査で「期限が切れているのに、寄付が続いている」と指摘されると、9月からは個人名義の口座に寄付金を不正に入金。翌09年7月、市内160個の募金箱に集まった80万6千円に約8千円を加えて、建設費名目ではない「匿名の一般寄付」と偽って法人口座に入れた。青山理事長は市に対し「市の監査で発覚しないよう工作した」と説明しているという。
 
同法人は1949年設立。同年から寮を運営し、2009年に約6億円かけて新しい寮を完成させた。入所定員は2〜18歳の70人。
 
市は同法人に対して理事長ら理事2人の自主的な辞任を促したほか、再発防止策を求め、1カ月以内の報告を要求している。

●「業務重なり回収に遅れ」理事長ら釈明
豊橋平安寮の青山理事長と理事の男性施設長(62)は朝日新聞の取材に対し「多忙で、どうしても募金箱を期間内に回収しきれなかった」と釈明した。
 
募金箱は市内の店舗などに約500個置かれ、主に施設長1人が仕事帰りに寄付金を集めて回っていた。しかし子どもたちの指導などほかの業務も重なって一部は回収が遅れたという。
 
また、個人口座に隠したことについては、施設長は「(発覚すれば)運営のための補助金や助成金が打ち切られると思った。行政にはっきり謝罪すればよかった」と話した。青山理事長は「募金に協力してくれた方々にご心配をかけ、大変申し訳ない」と謝罪した。
 
理事長らの進退については、近く理事会を開いて決めるという。

■2011.10.21  点字毎日文化賞:表彰式 受賞の斯波氏、喜び語る
視覚障害者の文化や教育、福祉の向上に貢献した人をたたえる「第48回点字毎日文化賞」の表彰式が21日、東京都千代田区の毎日新聞東京本社であり、受賞した浜松市のNPO法人「六星」の斯波(しば)千秋理事長(61)に記念の盾などが贈られた。斯波理事長は「応援してくれる利用者や視覚障害者の代わりにいただいた。これを励みに、全国に小さな拠点を作る活動を続けたい」と喜びを語った。

斯波理事長は72年、父が始めた盲人用具を製作・開発する盲人福祉研究会に参加。96年には同市で視覚障害者を中心とした小規模作業所「ウイズ」を開設し、現在では国内で使われる白杖(はくじょう)の半数近くを製造するなど、足かけ40年にわたり視覚障害者の就業や生活向上に尽力してきた。

■2011.10.22  特養23人は災害関連死…長時間かけた避難など
東京電力福島第一原発事故のため福島県南相馬市から長時間をかけて避難し、その後亡くなった同市内の特別養護老人ホームの入所者23人について、災害関連死にあたると市が認定していたことがわかった。

同市内で特養ホーム「福寿園」「万葉園」「梅の香」を運営する南相馬福祉会によると、この3施設の入所者計229人は国の要請を受けて3月19日に避難を始め、緊急避難先となった横浜市の施設に観光バスで12時間近くかけて移動した。

このうち、高速道路を走行中に80歳代の男性が一時、心肺停止状態になり、搬送先の病院で翌日亡くなった。3施設の入所者は横浜市の施設を経て、山形県や大阪府など10都府県の施設に2次、3次避難したが、3か月以内に23人が死亡。これは例年の同期間の2倍以上にあたるという。

南相馬市の災害弔慰金審査判定委員会は、遺族の申請を基に審査を行い、9月26日に23人全員を災害関連死と認定した。関係者によると、死亡者は100歳以上が4人、90歳代10人、80歳代6人、70歳代2人、60歳代1人。23人のうち14人は避難から1か月以内に死亡していた。死因は半数以上が肺炎だったという。

■2011.10.22  「多くの目に救われた」 視覚障害者、震災語る会
陸前高田市の朗読ボランティア「つばきの会」(滝本慶子会長)は21日、同市高田町の和野会館で、視覚障害者と震災の体験を語る会を開いた。押し寄せる波から逃げた体験や避難生活での苦労、不便な仮設住宅暮らしなど直面する問題が明らかになる一方、「生かされた命を大切に」「仕事を再開したい」と前向きな話も。迅速な避難態勢や仮設住宅での生活ケアなど災害弱者をめぐる課題への対応の必要性があらためて浮き彫りになった。

つばきの会メンバーと視覚障害者と家族約20人が参加。同市高田町ではり・きゅう、マッサージの治療院を営んでいた男性(71)は震災当日、妻(66)と近所の住民の誘導で高台に避難。がれきが引きずられる音や人の悲鳴が聞こえた。その場にも危険が迫り、さらに上を目指した。
 
すでに足首まで波が押し寄せる中、必死で逃げ、ロープで引き上げてもらい、フェンスを乗り越えた。男性は「周りにたくさんの人がいたからこそ、助けられた。多くの目に救われた。2人ではどうなっていたことか」と「あの日」を振り返った。
 
参加者からは「生かされた命なので頑張って生きようと思う」「避難所ではどんな情報でも欲しかった。ラジオが頼りだった」との声や、仮設住宅で暮らす人からは「玄関の段差が怖い。冬は特に心配だ」「誰に相談したらいいか分からない」との不安も聞かれた。
 
同会は視覚障害者向けに市広報を朗読したテープを送る活動を展開し、障害者と交流を深めてきた。震災で機材などを流失したが、6月に活動再開。滝本会長(75)は「有効な情報をもっと届けられるように行政とも連携し工夫したい」と今後を見据える。

■2011.10.22  豪雨被災者、ペットと暮らし続けたい…和歌山
台風12号の被災地で、ペット連れで避難生活を送る人たちが苦労を強いられている。動物と車中泊をする人、やむなく親類に預ける人……。
 
環境の変化は飼い主とペットの双方にストレスを与える。被災前と変わらず暮らせるよう、専門家は「自治体は、避難所や仮設住宅に入るペット同伴者に配慮した対応を」と求めている。
「この子たちは知らない人にほえるから、中には入れられんし、外につなぐのもかわいそう。仕方なく車中で一緒に寝ています」

和歌山県那智勝浦町の自宅が浸水した佐古寛一さん(69)は、雌のチワワ、ミニチュア・シュナウザーの2匹と車中泊を続ける。
家族4人は避難所で過ごすが、佐古さんは犬の様子が気になり、夜は車を離れない。「窮屈で腰も痛い。2匹とも神経質になっていて、体調を崩さないか心配です」とつぶやいた。
 
同町の避難所運営マニュアルでペットは「指定の場所につなぐか、おりの中で飼う」とあるが、他の避難者を気遣ってか、車中で飼ったり損壊した家に残したりする人が目立つ。奈良県五條市や十津川村では同伴避難を想定した記述はない。
 
浸水被害で、親族宅に身を寄せる同町の生熊(いくま)要さん(57)は雄のダックスフントと仮設住宅への入居を希望。「我が子同然の存在。一緒に暮らしたい」と訴える。だが、新宮市は「公営住宅と同様、持ち込まないのが原則」、那智勝浦町や奈良県五條市も「特別な対応は考えていない」とする。
 
東日本大震災で被災した飼い主とペットとの生活を紹介した「同伴避難」の著者で、フォトジャーナリストの児玉小枝さんは「福島県南相馬市ではペット同伴者の仮設住宅を建てた例もある。市町村がルール作りに取り組むべきだ」と話す。

■2011.10.22  佐賀県営住宅にグループホーム、障害者の家賃負担ゼロ
みやき町の県営住宅に11月から、障害者が共同生活を送る「グループホーム」が開設される。県内の公営住宅にグループホームができるのは初めて。運営事業者にとっては、初期投資がかからない利点があり、県はホーム開設を後押しして、障害者の自立生活の促進につなげたい考えだ。

県によると、公営住宅は一般的に、所得が低く、住まいに困っていることなどを入居の要件としている。1996年の公営住宅法の改正で、社会福祉法人なども使用できるようになったが、本来入居できる人を優先していたことから、県内での利用事例は、これまでなかったという。
 
県は2010年3月、国に対し、すべての公営住宅についてグループホームなどの運営法人に入居資格を与えるよう提案。国は同8月、福祉事業への優先枠を設けて良いことを認めた。これを受け、県は要綱を改正し、今年3月から申し込みを受け付けていた。
 
今回、開設する事業者は、鳥栖市で障害者の作業所を運営しているNPO法人「ピア・サポートかだん」。みやき町白壁の県営石貝団地の1室(4DK)を使用し、同法人の作業所を利用している障害者ら4人が入居する予定。1戸あたりの家賃は月額9100円で、利用者から月2500円の家賃を徴収する予定だったが、障害者自立支援法の改正で、家賃助成制度が創設されたため、負担は実質ゼロとなる。
 
県障害福祉課によると、現在、県内のグループホームは101か所で、定員は660人。不足気味のため、公営住宅の利用を検討している事業所も複数あるという。同課は「新しく施設をつくるより、安く設置でき、障害者の地域交流も進む。積極的に利用してほしい」と呼び掛けている。

■2011.10.25  被災書店をノートで支援 「ブックオカ」と福祉作業所が連携
福岡市南区三宅の福祉作業所「工房まる」(吉田修一施設長)の通所者が描いた愛らしいイラストで装丁された特製ノートが、東日本大震災の被災地の復興に役立つことになった。売り上げから経費を引いた収益金が、津波に店舗を流された岩手県の書店に送られ、再建の一部に充てられる。両者を結んだのは、福岡県内の書店で本の祭典「ブックオカ2011」を開催中の書店・出版関係者。ノートは祭典参加店で販売されている。

A5判で工房まるに通う太田宏介さん(30)が描いたキャラクター「ピーナッツくん」で装丁。太田さんのピーナッツくんはこれまで、箸置きやTシャツなどのグッズにもなっている。筆記面(40ページ)は無地。ブックオカに参加する約70店のうち約30の店頭に並ぶ。3冊組みで840円。
 
収益金が送られるのは、岩手県大船渡市の書店チェーン「ブックボーイ」。社長の佐藤勝也さん(67)によると、1937年の創業で、60年のチリ地震の津波で天井まで浸水する被害に遭っても営業を続けてきた。市内で5店を展開していたが今回の震災で、うち4店が津波で流された。一帯はまだがれきと空き地ばかり。だが4店のうち1店を再開すると、遠くに避難しているお客さんが続々来てくれたという。
 
佐藤さんは「人がいないのに売れるのか、と半信半疑で再開したが、児童書などが飛ぶように売れた。被災者が本を必要としていることがよく分かった」と話す。
 
佐藤さんは再開2店舗目として本店の再開を決意。同じように店を流された他業種の商店主約30人と仮設商店街を12月に開こうと準備している。
 
この話を出版関係者から聞いたブックオカのスタッフが支援を企画。工房まるも「仲間の作品が被災地支援につながり、こんなうれしいことはない」と協力した。
 
ブックオカ実行委の藤村興晴さん(37)は「地域に根付いた書店が再開すれば経済も動きだし、まち全体の再生につながる」と話す。

■2011.10.25  福祉施設で2歳児転落、重傷=5階から、母親に事情聴く−大阪
24日午後9時ごろ、大阪市東成区中本の児童福祉施設「東さくら園」で、男性職員から「男児が5階から2階に転落した」と119番があった。大阪府警東成署などによると、施設に入所する男児(2)が病院に搬送され、重傷という。 

同署などによると、男児は5階ベランダから転落したとみられる。入所者が転落した際の音に気付いて倒れている男児を見つけ、職員に知らせたという。男児は当時、母親(35)と一緒にいたといい、同署が転落時の状況などについて母親から事情を聴いている。

■2011.10.25  児童福祉センター、警察に虐待情報伝えず 名古屋市
名古屋市名東区で市立香流中2年服部昌己君(14)が母親の交際相手の会社員酒井秀志容疑者(37=傷害致死容疑で送検)に暴行され死亡した事件で、市児童福祉20件センターが昌己君への虐待を把握していたのに、警察に連絡していなかったことが25日、県警への取材で分かった。
 
酒井容疑者は日常的に昌己君への暴行を繰り返した疑いがあり、同センターは6月以降、中学などから複数回にわたり通報を受けていた。家庭訪問の際、酒井容疑者も暴行の事実を認めていた。
 
瑞穂署は「連絡があれば、その時点で被害届を取って事件化することも検討できた」としている。
 
同署によると、7月15日に昌己君の祖母が署を訪れ、昌己君の弟が酒井容疑者に虐待されていると相談。祖母宅に保護した弟を母親が連れ戻しに来るとの内容もあり、署はセンターに連絡後、弟を1人で出歩かせないよう祖母に指示した。
 
今月14日にも同様の相談が電話で寄せられ、署員が祖母宅に駆けつけ、施錠を欠かさないことなどを指示した。
 
ただ、センターから昌己君に対する暴行などの情報は伝えられておらず、同署は状況を把握していなかったという

■2011.10.27  高齢化率29.6% 初の全国一…秋田
総務省は26日、2010年国勢調査の人口等基本集計結果を発表した。本県の10年10月1日現在の65歳以上の高齢者は32万450人で、高齢化率は29・6%だった。

高齢化率は05年の前回調査では全国で2番目に高かったが、高齢者が1万2257人増え、高齢化率が2・7ポイント上がった結果、前回トップの島根県を抜き、調査開始の1920年以来、初めて全国で最高となった。

本県の人口は、今年初めに発表された速報値よりわずかに増え、108万5997人だった。前回比5万9504人減と、1985年の調査以来、6回連続で減少。人口減少数は、北海道、青森県、福島県に次いで4番目に多かった。特に秋田市は、同9509人減の32万3600人と、市町村別では全国で9番目に多かった。

人口減少率は前回より1・5ポイント増の5・2%で、3回連続で全国で最高。人口減少や高齢化が加速している現状が浮き彫りになった。

県内の総世帯数は同2902世帯(0・7%)減の39万136世帯で、1世帯当たりの人数は、2・78人で0・13人減少した。

また、一般世帯の住宅のうち一戸建ての割合が82・3%と、全国平均55・7%を大きく上回り、全国トップだった。

発表を受け、佐竹知事は「人口の減少と高齢化の進行は、我が国全体が直面している共通の課題。対応に近道はなく、諸施策を着実に実施して人口減少に歯止めをかけ、活力ある秋田の創造を図りたい」と談話を出した。

■2011.10.27  地域福祉バス:高齢者ら支援 名張・つつじが丘地区住民、導入を目指す /三重
◇「誰もが暮らしやすいまちに」 試乗会で意見募る−−きょうも実施
移動が困難な高齢者や乳幼児連れの外出を支援しようと、名張市つつじが丘地区の住民が「地域福祉バス」導入を目指している。市の助成を受け、住民有志が運営する方式を想定。26日は試乗会を開き、運行コースなどについて利用者の意見を募った。自治会関係者は「誰もが暮らしやすいまちに近づけたい」と意気込んでいる。試乗会は27日も実施する。

同地区は08年6月、自治会に「地域バス検討委員会」をつくり、地域福祉バス導入を検討してきた。住民約1万400人のうち、65歳以上は23%。車が無く、買い物や通院が困難な高齢者を中心に、バス導入を求める声が出ていたという。
 
試乗会は、公民館を発着点とし、午前と午後に計6便を運行した。団地内を8コースに分け、レンタルした15人乗りのワゴン車を時速約20キロで走行。運転は自治会副会長の師玉勝彦さん(68)が務めた。団地内のスーパーや郵便局、病院などをつなぎ、手を挙げて乗車を求める住民を、目的地まで送り届けた。乗り込みやすいよう踏み台も用意し、添乗スタッフが体を支えた。
 
試乗会実施があまり浸透しておらず、利用者は20人ほど。利用者からは「分かりにくいので、ごみ収集車のように音を出した方がいい」「車体は目立つ方がいい」との指摘があった。検討委は、試乗会での反応を基に、コースや便数などを再検討。年度内にも導入案をまとめ、住民説明会を開催する。

現行案では、バス利用は月額1000円の会員制で、全世帯に月額50円の支援を求める。試乗会と同規模の車両を購入し、住民有志が交代で運転。毎日運行する。検討委員長の小引福夫さん(61)は「地区内の温かい気持ちで、誰もが利用しやすいバスを運行させたい」と言う。
 
市は07年度、公共交通の空白地域や不便地域に、市委託のバスを運行させるなどの支援を開始。同地域以外でも、坂道が多いつつじが丘など8地区の自主運営組織を対象に、助成制度を設けている。民間事業者の運行コースは走行できないなどの制限もあるが、車両購入時に最大150万円の補助がある。
 
現在、百合が丘とすずらん台地区がバスを自主運行。百合が丘では10人乗りを毎日運行し、年間約5000人の利用がある。すずらん台では、利用者の要請に応じて運行している。

■2011.10.28  福祉施設から一般就労への移転41人 障害者施策推進協議会で報告
岡山県障害者施策推進協議会(会長・小池将文川崎医療福祉大教授、15人)の本年度初会合が28日、岡山市内で開かれ、福祉施設から一般就労への移転が2009年度は41人にとどまったことが報告された。
 
本年度策定の「第3期障害福祉計画」(12?14年度)の基礎データとして、県障害福祉課が示した。県は2期計画(09?11年度)で11年度の目標を333人としているが、遠く及ばない見通しだ。
 
同課は、自立訓練や継続支援事業所など295施設を退所し、パートを含め企業に就職したり、在宅での仕事を始めた障害者の状況を説明。基準年である05年度の71人すら下回り、「かなり低い水準にとどまっている」との認識を示した。
 
国指針は、基準年の4倍以上を目標とするよう求めている。1期計画(06?08年度)の実績も08年度332人の目標に対し46人で、同課は「国指針が高く設定されている上、景気後退で厳しい状態だが、改善に努めたい」としている。

■2011.10.31  災害時の障害者支援考える、80人参加し多摩市民館でシンポ/川崎
東日本大震災を振り返り、災害時の障害者支援などを考えるシンポジウムが31日、川崎市多摩区の多摩市民館で開かれた。市民や福祉施設関係者、障害者ら約80人が参加し、災害時に求められるサポートなどについて探った。

市内の障害者支援団体などでつくる川崎市障害者地域自立支援協議会の主催。支援団体や行政などさまざまな立場から、今からできる備えや体制づくりは何かを考える狙い。被災地で安否確認や健康相談などに従事した支援団体代表や市職員がパネリストを務め、課題などを報告した。

相談専門員として支援にあたった「かながわ障がいケアマネジメント従事者ネットワーク」理事長の冨岡貴生さんは、宮城県石巻市などでの全戸訪問や障害者の権利擁護支援活動を紹介。「震災時は地域に助けてもらうことがたくさんあり、日ごろから関係をつくることが必要。地域住民の障害者への理解は欠かせない」などと述べた。

NPO法人らぽおる代表理事の北川千鶴子さんは、4月から10月にかけて、施設の障害者も参加して、個人宅の片付けや仮設住宅への引っ越しを手伝ったことなどを報告。「これからも被災者と気持ちでつながり、支援を忘れずに続けていきたい」と語った。

■2011.10.31  福祉車両販売実績15%減…2011年度上半期
日本自動車工業会が発表した2011年度上半期(4?9月)の福祉車両の販売台数は、前年同期比15.0%減の1万4778台とマイナスだった。
東日本大震災による部品不足で自動車の生産が滞り、福祉車両の生産も大幅な遅れが出た。

車種別では、普通・小型自動車が同16.5%減の9418台だった。車いす移動車が普通・小型自動車全体の5割を超えて順調に推移したが、昇降シート・回転シートが大きく落ち込んだ。

軽自動車は同9.1%増の4254台と前年を上回った。車いす移動車、回転シート車が好調で、5年ぶりに上半期の販売実績が4000台を超えた。
バスは同50.2%減の1106台だった。震災の影響が大きかったのに加え、観光客の減少で新車への代替を先送りするケースもあった。

■2011.10.31  岩手県、ヤマト福祉財団/総額16億円を岩手の水産加工業者の復興支援に
岩手県は10月31日、ヤマト福祉財団の復興再生募金からの助成金を受けて実施する「水産加工事業者生産回復支援事業」に各事業者から公募した結果、計107の事業者に総額16億円を助成することを決定したと発表した。

この支援事業は、2011年8月に岩手県として策定した「岩手県東日本大震災津波復興計画」における3つの復興の原則(「安全の確保」「暮らしの再建」「なりわいの再生」)のうち、「なりわいの再生」、水産業・農林業、産地魚市場を核とした流通・加工体制の構築を行うもので、民間水産加工事業者の水産加工用生産機器類の購入費・設置費等を補助する。

各事業者へは、対象事業の8/9以内の金額を補助。スピード助成により、他に迅速な資金調達の手段のなかった多くの中小企業事業者にとっては、11月から本番を迎える秋サケ漁期に向け、サケ関係の加工機器購入などの準備が整うこととなった。

公募には多くの水産事業者から、極めて多岐に亘る水産加工用生産機器類の調達計画が寄せられ、改めて震災による被害と、水産加工事業者が直面する切実な状況が浮き彫りになった。

岩手県は、ヤマト福祉財団「東日本大震災 生活・産業基盤復興再生募金」が掲げる「見える支援・速い支援・効果の高い支援」と連動し、2012年3月までに全助成を完了させ、被災した水産加工事業者の早期復旧を支援する、としている。

■2011.10.31  肩身狭かった避難所 車いすではトイレ困難…施設へ逆戻り
東日本大震災は心身に障害がある人々にとりわけ過酷な状況を強いた。避難所に居場所がなく、災害弱者を支えるはずの施設も機能しなかった。震災による障害者の被災者数すら、いまだ分かっていない。誰もが明日にでも事故や病気で障害を負う可能性がある。障害者の支援を考えることは「人ごと」ではない。

脳性まひにより右手だけで電動車いすを操作する井上朝子さん(26)は、勤務先である仙台市太白区の自立生活センターで被災した。激しい揺れで車いすが倒れかけ、スタッフの1人が覆いかぶさってくれた。

停電になり余震が続く中、すがる思いで1キロ離れた避難所の小学校へ。日暮れとともに避難者は膨れ上がった。トイレは長蛇の列。「3つの個室のうち洋式は1つしかなく、車いすが入れる広さもなかった」。満員の体育館では車いすの方向転換もできなくなり、やむなくセンターに引き返した。別の避難所に行った仲間も同じ理由で戻ってきた。

重度の障害がある井上さんは、24時間の介助を必要とする。センターの6畳間で、障害者とスタッフの計10人が過ごす生活が始まった。横になるスペースもなく、寝る時も車いすのまま。スタッフの自宅から持ってきた食料を石油ストーブで温めて食べた。

心強い支えだったのは、近所の住民。発電機の貸与や食料の提供をしてくれた。「もともと近所のつながりがあり、心配してくれた。恵まれていた」

震災から数日後、同じ苦労をしている障害者を支援しようと、近くの避難所を回った。運営本部は多忙を極め、スタッフらは「見たところ、障害者はいませんねえ」「分かりません」と素っ気なかった。

市障害者福祉センターにも立ち寄った。ここは大災害が起きると「福祉避難所」として障害者や高齢者を受け入れるはずだった。しかし、暖房設備も人手もなく、何ら受け入れ準備はされていなかった。職員は「毛布だけでよかったら来てもいいけど、寒いですよ」とにべもなかった。

障害者支援のボランティアをする大薗拓郎さん(34)も、肩身が狭い障害者の様子を見てきた。「知的障害や自閉症の人は、津波で家が流されたことが理解できない。なぜ帰宅できないか分からず、避難所で奇声を上げ徘徊(はいかい)した」

事情を理解する避難所のスタッフが許容しても、他の被災者から「障害者だけ特別扱いしている」と言われる。避難所にいられなくなった障害者は、自家用車や半壊した自宅で寒さをしのいだ。

今は自宅に戻った井上さんは「被災地でいまだ声を上げられない障害者を探し、手を差し伸べたい」と話す。日ごろ家族に介助されている障害者は、ヘルパーの頼み方も分からない。都市部から離れた障害者は特に不便を強いられているはずだ。

井上さんは憤りを隠せない。「日本は地震や水害など何度も災害に見舞われてきたのに、障害者への支援が進んでいるとは言えない。何度も同じことを繰り返している」 

■2011.10.31  一般とは別「福祉避難所」  指定や備蓄、進まず
災害時の避難先には一般避難所とは別に、障害者や高齢者、妊産婦、乳幼児らを対象とした福祉避難所がある。一般避難所での共同生活が困難な人、食料配布などの放送が聞こえない人、容体の急変が予期される人などへの適切な対応が目的で、国が設置を促している。だが、中部地方の自治体でも準備が進んでいるとは言い難い状況だ。

名古屋市は高齢者や障害者など災害時の要援護者を18万人と試算。老人ホームなどバリアフリー化された施設と協定を結ぶ形で福祉避難所を指定するが、その数は32カ所にとどまる。

国のガイドラインでは、備蓄が望ましい物資に洋式ポータブルトイレや担架、収尿器などを挙げる。しかし、市は福祉避難所への備蓄はしておらず、物資、器材は施設頼みなのが現状。市の担当者は「避難した人のニーズに、そのつど対応する」という姿勢だ。

岐阜市はこれまでに高齢者や障害者を対象に、災害時の支援が必要か聞き取り調査を実施。1万1500人が申し出た。福祉避難所は老人ホームや児童福祉施設など39カ所を指定。福祉避難所への備蓄はしておらず、「今後の検討課題」という段階だ。

津市は岐阜市同様の調査で要援護者を1万800人と割り出したが、福祉避難所の指定はゼロ。老人ホームなどと協定締結へ向けて調整中という。担当者は「いったん一般の避難所に入った後、避難生活で都合が悪くなったり容体が悪くなったりした場合に移ってもらう」としており、福祉避難所は2次避難先という位置付けだ。

日本障害者リハビリテーション協会によると、東日本大震災における障害者の死者、行方不明者、被災者数はいまだに分かっていない。協会は「今後の防災対策の基礎となるデータなのに明確な数字を出せていない」として、国に早期の取りまとめを要望している。

 

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