残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2011年 
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 2011.11. 1 <東日本大震災>知的障害のある人たちの絵画 展示・販売
 2011.11. 1 ケアマネジメント、利用者負担導入が再浮上−厚労省、介護保険部会に見直し案提示
 2011.11. 1 社会福祉士の上級民間資格を創設−関連団体、来年度から認定
 2011.11. 1 福祉の仕事に親しみを 「第2三恵園」職員ら授業 大阪・能勢高
 2011.11. 1 理事不在の法人前副理事長ら、県の職権選任「不当」と提訴/神奈川
 2011.11. 1 簡単!手間いらず!解凍するだけですぐ食べられる 安心介護食「やわらかおせち御膳」 販売開始
 2011.11. 3 “タイガーマスク”再び…ランドセルが市役所に
 2011.11. 3 フォーラム:災害時の障害者避難など考える−−盛岡 /岩手
 2011.11. 3 東日本大震災:住宅建設棚上げ、帰れない… 千葉に避難、障害者施設の入所者 /福島
 2011.11. 4 災害時介護マニュアルの無料アプリを公開−iPhone向け
 2011.11. 4 聴覚障害者ラグビー 花園で「夢」の国際試合
 2011.11. 4 <東日本大震災>特養再開、望む住民 国の補助見通し立たず
 2011.11. 4 福祉まつりで理解深め合う 綾瀬市
 2011.11. 5 障害者の入居待ち解消へ 県営住宅にグループホーム
 2011.11. 6 昔・キャバレー、今・デイサービス…大人気 北海道
 2011.11. 6 障害者のアート集団 演奏に合わせ絵描く JR博多駅
 2011.11. 7 障害者施設の70歳スタッフ逮捕 警視庁
 2011.11. 7 親以外の関係、大事 全日本手をつなぐ育成会・田中正博常務理事 災害に備える
 2011.11.10 福祉施設のIT化に NPOが中古PC無料レンタル /奈良
 2011.11.11 中・四国身障者福祉大会:聴覚障がい持つ濱田さんスピーチ 「出会ったすべての人に感謝」
 2011.11.12 不正手段で指定、居宅介護事業所の指定取り消し―大阪府
 2011.11.13 障害者福祉に尽力の2氏1団体表彰 糸賀一雄記念財団
 2011.11.14 社会福祉プロジェクトの一環で、「心に響く」オリジナル名刺
 2011.11.14 表情豊か・涙も…お年寄りいやす赤ちゃんロボ
 2011.11.15 特養などの相部屋入居者に新たな室料負担案
 2011.11.16 障害者尊重される社会へ貢献 産経市民の社会福祉賞 京都
 2011.11.16 福祉避難所、整備遅れ 県内、指定12市町のみ 三重
 2011.11.16 高齢者虐待、依然として高水準…愛媛
 2011.11.16 掛け声は「4分で10メートル!」 障害者たちが巨大津波から全員無事に避難完了 “地震慣れした過疎の町”北海道浦河町の教訓  浦河べてるの家 
 2011.11.17 ホームヘルパー2級、12年度末で廃止- 厚労省方針
 2011.11.17 胃ろう造設、医療従事者の影響大きく- 全国老施協が特養入所者調査
 2011.11.17 高齢者虐待を防げ 防止団体が対策本出版
 2011.11.18 成人の50人に1人 「隠れた障害」
 2011.11.18 発達障害者の支援センター開設 岡山市勤労者福祉センター内
 2011.11.18 佐賀市がモデル都市に 国の発達障害者支援事業 窓口やマニュアル作成へ 大学や医療機関と連携推進
 2011.11.19 福祉施設パンづくり全国Vへ意欲 豊見城
 2011.11.19 発達障害  高知県が研究機関
 2011.11.19 障害者美術館:高知に専用収蔵庫、全国初の設置
 2011.11.19 肢体不自由児自立へ「教科書」作成 横浜の特別支援学校
 2011.11.20 1文字ずつ手作業で印字 英訳の中尊寺願文Tシャツ
 2011.11.20 「震災と自閉症児」考える 盛岡でシンポ
 2011.11.20 福祉・介護職員17%が60歳超 島根県
 2011.11.22 沖縄県、介護報酬不正請求で3事業所処分
 2011.11.22 介護職員が辞めない4つの秘訣 人件費7割の老人ホームに見る定着の手立て
 2011.11.22 聴覚障害児の通学時間改善を 京都府教委に親たちが改善要望
 2011.11.23 障害福祉サービスの収支改善
 2011.11.24 ヤマト福祉財団/障がい者の職務拡大で小倉昌男賞を2名に
 2011.11.24 社会福祉法人が運営する施設の嘱託職員が入所者の女性に性的行為(広島県三原市)
 2011.11.27 第5回チャレンジドカップ
 2011.11.29 達成企業の割合、佐賀がトップ 障害者の法定雇用率
 2011.11.29 介護給付費の不正請求で居宅介護事業所、指定取り消し―大阪
 2011.11.30 みのり福祉会不適正支出:元県議、参考人招致へ−−県議会委 /鳥取
 2011.11.30 福祉送迎バスに女性ひかれ死亡 北見
 2011.11.30 ミュージカル:収益金、「ケアホーム」建設費用に・尼崎 /兵庫
 2011.11.30 【つながる 支える・悲劇をなくすために】地域連携 学校にも「福祉の目」を
 2011.11.30 障害ある子、普通学校通いやすく 介助員もケアOKに


■2011.11.1  <東日本大震災>知的障害のある人たちの絵画 展示・販売
福祉施設「こぶし」(仙台市太白区)に通う知的障害のある人たちの絵画を展示・販売する「震災支援 仙台、こぶしのアーティストたち展」が、3日から東京都千代田区外神田6の「A/A gallery」で始まる。被災して仕事が激減したため、創作活動で描きためてきた作品を販売して収入にあてる。

こぶしは、社会福祉法人・仙台市手をつなぐ育成会の運営。作品を出品するのは、こぶしの利用者34人の中でも個性が際立つ描き手、塗敦子さん(40)▽菅原圭子さん(42)▽高橋匠さん(38)▽三浦とおるさん(41)▽菅野祐介さん(28)の5人。障害のある人のアート作品の商品化や販路開拓に取り組むNPO法人「エイブル・アート・ジャパン」が支援し、各自10〜30点を1作品5000〜1万5000円で販売する。

仙台市の長町庁舎にあったこぶしは、震災で立ち入り禁止となり、移転を余儀なくされた。収入源だった庁舎の清掃作業や企業からの下請け作業もなくなり、収入がない状況が続いているという。12月4日まで。午前11時〜午後7時。火曜は休み。問い合わせはエイブル・アート・ジャパン

■2011.11.1  ケアマネジメント、利用者負担導入が再浮上−厚労省、介護保険部会に見直し案提示
厚生労働省が10月31日の社会保障審議会介護保険部会(部会長=山崎泰彦・神奈川県立保健福祉大名誉教授)に提出したケアマネジメントに関する見直し案は、費用の全額を介護保険給付でまかなっている現在の仕組みを改め、新たに利用者負担を導入する内容。

昨年の意見書取りまとめに向けた議論でも論点になったが、民主党の一部や介護業界内からの反対が根強く、来年4月施行の改正介護保険法への導入は見送られた。ところが政府・与党が6月に取りまとめた社会保障と税の一体改革成案に、ケアマネジメントの機能強化が明記されたことを機に、導入論が再浮上した。

この提案に対し、土居丈朗委員(慶大経済学部教授)は、「負担導入がプランの中身への関心を高めてもらえる効果も期待できる」と、前向きな姿勢を示した。

一方、木村隆次委員(日本介護支援専門員協会会長)は、「ケアマネジメントをケアマネジャーがやる。それが介護保険の一丁目一番地」と指摘。その上で、利用者負担を導入すると、利用者の要望だけが強く反映されたプランが作られてしまう可能性があるとし、厚労省の提案を批判した。伊藤彰久委員(連合生活福祉局長)も「(導入が)自立支援につながるのか、再考する必要がある」と指摘。さらに結城康博委員(淑徳大総合福祉学部准教授)は「ケアマネジメントにかかわる利用者負担は避けるべき」と述べるなど、委員の多くは、利用者負担導入に反対する姿勢を示した。

■2011.11.1  社会福祉士の上級民間資格を創設−関連団体、来年度から認定
日本社会福祉士会など関連団体は、実践能力の高い社会福祉士の上級民間資格「認定社会福祉士」を創設した。社会福祉士の能力を担保し、キャリアアップを支援することなどが狙い。日本社会福祉士会など7団体でつくる「認定社会福祉士認証・認定機構」(橋本正明・運営委員長)が、来年度から認定を開始する。

機構が認定する資格は、認定社会福祉士と、その上の「認定上級社会福祉士」の2つ。

認定社会福祉士は、相談援助業務を手掛けるリーダー的な人材を主な対象とする資格で、高齢、障害、医療といった分野ごとに認定する。取得要件は、▽社会福祉士資格を保有する▽5年以上の実務経験がある▽ソーシャルワーカーに関する職能団体の正会員である▽機構が認める研修を受講している―など。

一方、認定上級社会福祉士は、職場だけでなく、地域や関係機関とも協働している人を対象としたさらに上級の資格。取得要件として、▽認定社会福祉士資格を保有する▽認定社会福祉士資格取得後5年以上の実務経験がある▽基準を満たした論文発表や学会発表の経験がある▽機構が認める研修を受講している―などを満たした上で、試験に合格する必要がある。
質を担保するため、両資格は5年ごとの更新制を採用する。

橋本運営委員長はキャリアブレインの取材に対し、認定社会福祉士制度の意義について、「専門性が明確になり、仕事に対するモチベーションの向上や、キャリアアップ、独立などにつながるのではないか」と述べた。

■2011.11.1  福祉の仕事に親しみを 「第2三恵園」職員ら授業 大阪・能勢高
府立能勢高校(能勢町)で31日、総合学科の1年生約60人を対象に、関西福祉科学大(柏原市)の一村小百合准教授と、障害者支援施設「第2三恵園」(同町)の職員を招いて「産業社会と人間」の授業が行われた。

この授業は、文科省の学習指導要領で決められている総合学科の必修授業。同校は、「授業を通じて自分の将来を考える場づくりになれば」と年間約10回、外部の講師を招いた講演会やワークショップなどを行っている。今回は「コミュニケーションと福祉の仕事」をテーマに実施した。

授業では、生徒たちが言葉を使わずにコミュニケーションを取る課題に取り組んだほか、第2三恵園の福本宗幸さんが、福祉の仕事の面白さや苦労などについて話した。一村准教授は「一人一人違う。人に興味を持ってかかわってほしい」と呼びかけた。

「福祉に対しての見方が変わりました」と授業を受けた井上さわさん。真鍋政明校長は「将来は、学校でできないことを課題別にとり組んでいきたい」と話していた。

■2011.11.1  理事不在の法人前副理事長ら、県の職権選任「不当」と提訴/神奈川
認可保育所を運営する社会福祉法人「横浜悠久会」(横浜市保土ケ谷区)の理事が1年半不在だった問題に絡み、県が職権で県職員OBを「仮理事」に選任したのは不当として、同法人の前副理事長と元理事1人が31日までに、県の仮理事選任の取り消しを求め横浜地裁に提訴した。

訴状などによると、県は昨年6月の臨時監査で、昨年2月の理事会で原告2人を含む理事6人が選任された決議を「実際には開かれていなかった」として無効と認定。原告2人のほか前理事長らを「仮理事」に選任し、不在状態の本理事の選任を求めた。

県は今年6月、死亡により欠員が生じた仮理事に県OBを補充。9月の仮理事会で、原告2人は本理事に選ばれず、法人内の地位を喪失した。原告側は、職権による仮理事選任について「法人事務の遅滞はなく損害を生じる恐れも皆無で、選任の要件を満たしておらず不当」と主張している。

31日に開かれた第1回口頭弁論(佐村浩之裁判長)で、県側は「県OBの仮理事選任と地位回復につながりはなく、訴えに利益がない」として、却下を求めた。

■2011.11.1  簡単!手間いらず!解凍するだけですぐ食べられる 安心介護食「やわらかおせち御膳」 販売開始
介護食販売サイト「介護食.NET」を運営する株式会社セネクス(本社:大阪市淀川区、代表取締役:田中 正孝)は、10月20日(木)より、咀嚼困難(噛む力が弱くなった方)を対象としたやわらかいおせち料理「やわらかおせち御膳」を販売開始いたしました。

「やわらかおせち御膳」:
http://kaigoshoku.net/landing/osechi2012/


■「やわらかおせち御膳」とは
やわらかく、食べやすい形状で、咀嚼に障害がある方でも安心して食べることができ、かつ訓練にもつながる「やわらかい食形態」の介護食を販売する株式会社ふくなお(本社:大阪市東住吉区、代表取締役:楢崎 美穂)と、共同開発。
咀嚼が困難な高齢者に向け解凍するだけですぐ食べられ、それでいて歯ぐきでつぶせるやわらかさに加工したおせち御膳です。


■「やわらかおせち御膳」概要
予約開始日  :10月20日(木)
予約締め切り :12月15日(木)
配送日    :12月28日(水)・29日(木)の2日間のみ
価格     :2,800円(送料別途クール便:900円)
セット内容  :海老真丈、煮しめ、棒だら風、酢の物、焼き物(いか風)、
        キャベツ茶巾、かまぼこ、甘味、黒豆、きんとん、伊達巻き
お召し上がり方:パックのまま冷蔵庫(10℃以下)で約24時間解凍後、
        そのままお召し上がりいただけます
お届け方法  :クール宅急便で冷凍でお届けします
保存方法   :解凍後は、冷蔵庫(10℃以下)で保存下さい。
消費期限   :解凍後2日間(冷蔵庫保存)


■会社概要
株式会社セネクスは、近畿圏における介護・福祉に関する情報提供を基本にスタートし、介護情報サイト「ケアケア」( http://care-care.jp/ )の運営、シニア世代&支える人たちの為の生活情報フリーマガジン「S-posi(エスポジ)」の発刊をはじめ、高齢者・介護をキーワードに様々な角度から情報発信をしています。

名称   : 株式会社セネクス
本社所在地: 大阪市淀川区西中島7-7-2 新大阪ビル西館3F
設立   : 2007年(平成19年)1月
資本金  : 1,000万
従業員数 : 14名
代表者  : 代表取締役 田中 正孝
URL    : http://senex.jp/

■2011.11.3  “タイガーマスク”再び…ランドセルが市役所に
「タイガーマスク」から、またプレゼント。群馬県の安中市役所にランドセルなどが届いた。

2日午前11時ごろ、安中市役所にランドセル2個や色鉛筆などが入った宅配便が届いた。差出人の欄には「タイガーマスク幸せのプレゼント」と書かれていた。市は差出人の思いを尊重し、来年の新1年生に贈りたいとしている。群馬県では去年12月、前橋市の児童相談所に「タイガーマスク」の主人公「伊達直人」を名乗る人物からランドセル10個が届けられ、その後、全国的にランドセルなどの寄付が相次いた。

市の職員:「(安中市では)今回が初めて。感謝して福祉に役立てたい」

■2011.11.3  フォーラム:災害時の障害者避難など考える−−盛岡 /岩手
災害発生時の障害者の安否確認や避難の課題について考えるフォーラムが2日、盛岡市内で開かれた。

盛岡市の知的障害や発達障害を持つ子どもの親たちでつくる団体「すまいる倶楽部」(小田島佳子代表)が主催し、市の担当者や福祉施設の関係者らと意見交換した。

自閉症の子どもを持つ同市の加藤好江さんは「子どもが大きな声を出し、パニックになることも多く、障害者が避難できる福祉避難所を整備してほしい」と話した。また、発達障害の一種であるアスペルガー症候群の女性は「障害者本人の気持ちを一番優先して対応してもらいたい」と求めた。

市地域福祉課の佐藤政敏課長補佐は「市も東日本大震災後、課題を検証している。困っていることがあればいつでも声をあげてほしい」と話した。

■2011.11.3  東日本大震災:住宅建設棚上げ、帰れない… 千葉に避難、障害者施設の入所者 /福島
◇千葉・鴨川に集団避難 いわきに県予定も、水害予想地区と判明

福島第1原発事故で、千葉県鴨川市の「県立鴨川青年の家」に集団避難している障害者施設の入所者が帰郷できない問題で、県がいわき市内の地権者に入所者用の仮設住宅の建設を打診しながら、契約が1カ月以上、棚上げされていることが分かった。

打診後、建設予定地が市のハザードマップの水害予想地区に入っていることが判明したため。地権者は「ハザードマップは最初から分かっていたはず」と批判し、県は対応に苦慮している。

千葉県に避難しているのは、福島県福祉事業協会が運営する障害者施設「東洋学園」(富岡町)など9施設に入所していた6〜68歳の知的障害者約250人。9施設は警戒区域など原発周辺にある。避難生活で県内の小学校などを転々とし、4月上旬、鴨川市に身を寄せた。県内に帰郷先を見つけ、10月末に退去する予定だった。

地権者によると、建設予定地はいわき市好間町の農地。8月上旬に県から「入所者用の仮設住宅を建設したい」と打診があり、地権者8人はこれに応じて9月28日に土地の賃貸契約書にサイン。県側の調印を待っていた。しかし、県からはその後、音沙汰がなく、代表者が問い合わせたところ、「水害ハザードマップの予想地区に入っているのですぐに契約ができない」との回答があった。

地権者は10月28日、県に早期契約の要望書を提出したが、明確な回答は得られなかったという。地権者の男性(62)は「県に貸すつもりでいたので、来年の作付け準備をしていない。今更白紙に戻されても作付けが間に合わない。この地域は今まで水害に遭ったことはなく、入所者のためにも早く契約をしてもらいたい」と話した。

契約の棚上げについて、県障がい福祉課は「後でハザードマップのことを知ったのは事実。安全性が保てるのか、技術面で検討している」と話す。県には、9月下旬の台風15号で須賀川市の仮設住宅が浸水被害に遭ったことが念頭にある。

県福祉事業協会によると、千葉県は「無理に出て行くことはない」と退去期限の延長に理解を示している。一方、同協会の山田荘一郎理事長は「千葉県にこれ以上迷惑をかけるわけにはいかない。一刻も早く県内に戻りたい」と話している。

■2011.11.4  災害時介護マニュアルの無料アプリを公開−iPhone向け
社会福祉法人善光会(東京都大田区)はこのほど、災害時に必要な介護の知識をまとめたアプリケーションソフト「介護マニュアル(災害編)」を公開した。米アップル社製スマートフォン「iPhone」やiPad、iPod touch向けのアプリで、「App Store(アップストア)」から無料でダウンロードできる。

このアプリでは、▽食事や着替え、おむつ交換などの日常生活▽体温や脈拍などの測定▽転倒・骨折など緊急時の対応▽感染症予防―などの各項目について、災害発生時にどのような対応を取ればいいか、画像や動画付きで解説している=画像=。

同法人の担当者は、「災害時は施設だけではなく、在宅など多くの場所で介護の知識が必要になる。このアプリで高齢者のQOL(生活の質)向上につなげてほしい」と話している。

同法人はこれまでに、災害時以外の介護マニュアルをまとめた無料アプリも同様に公開している。

■2011.11.4  聴覚障害者ラグビー 花園で「夢」の国際試合
聴覚に障害のある人による「デフラグビー」の国際試合が5日に名古屋・瑞穂公園ラグビー場、12日に大阪・近鉄花園ラグビー場で行われる。強豪・オーストラリアを対戦相手に迎えての国内初となる国際試合。日本のデフラグビー草創期からのメンバーで会社員の落合孝幸さん(35)=大阪府高槻市=は「いつか聖地・花園で試合を」と誓った長年の夢がかなう喜びをかみしめながら、勝利への思いを強くしている。

◆音のないフィールド
デフは「耳の不自由な」という意味の英語で、ルールは一般のラグビーと同じ。ボールをパスできるのは自分より後方にいる味方だけで、声による連係が重要だ。聴覚障害者にはハンディがつきまとい、重度難聴の落合さんは「スクラムを組んでいるときに審判の笛が鳴っても全然分からない」と苦笑する。

だが、選手たちは苦労や工夫を重ねながら、手話や口話、ブロックサインなどさまざまな手法で意思疎通を図る。「コミュニケーションをとるのは確かに難しいが、皆が気持ちを合わせれば一体となって同じ方向に進んでいける。それがラグビーだ」と落合さん。音のないフィールドで激しい闘志をぶつけ合う。

◆17年前4人の誓い
落合さんがラグビーを始めたのは、小児ぜんそくを克服するため。ラグビー好きの父親の勧めで小学5年のときに健聴者のラグビースクールに入ったが、「痛いし、しんどいし、泣きながらやっていた」。それがいつしか、「走る、投げる、蹴るというスポーツの要素が全部入っている」ラグビーのとりこになった。

平成6年12月、転機が訪れた。ニュージーランド(NZ)のデフラグビーを紹介した雑誌記事に目がくぎ付けになった。「なんや、これは」。衝撃を受けた。それまで聴覚障害のあるラガーマンに出会ったことはなかった。「『僕以外にいたんや。聴覚障害者がラグビーをやっていいんや』と思った」

その数日後、全国高校ラグビー大会が開催中の花園に、落合さんを含む3人の聴覚障害者と、記事を執筆した当時スポーツカメラマンで現在介護福祉士の長田耕治さん(48)=奈良市=が集合。「日本でもデフラグビーを」「いつか花園の(メーンスタジアムの)第1グラウンドで15人制の試合を」と誓い合った。

◆「恩返し」勝ちにいく
聖地で小さな産声を上げた日本のデフラグビー。14年8月には、NZでの世界大会に落合さんを主将とする日本代表チームが伝統の桜のジャージーを身につけ、7人制の部に出場。準優勝を果たした。

そして、ついに夢がかなうときが来た。健聴者のラグビークラブにも所属し、今も活躍を続ける落合さんは「もしデフラグビーがなかったら、ラグビーを続けていなかった。僕の体の一部であり、生きる目標」と言う。だから今度の試合は「デフラグビーへの恩返し」であり、「勝ちにいく」と強い決意で臨む。

日本のデフラグビーの生みの親である長田さんも「選手の裾野を広げていくのが課題。デフラグビーの活動が広がるきっかけになれば」と話している。

日本選抜チーム「クワイエット・タイフーン(静かなる台風)」と豪選抜チーム「サイレント・ナイツ(静かなる騎士)」の試合は、両日ともトップリーグの前座試合として行われる。

■2011.11.4  <東日本大震災>特養再開、望む住民 国の補助見通し立たず
津波で利用者56人が死亡・行方不明となった岩手県大船渡市三陸町の高齢者施設「さんりくの園」(及川寛次郎施設長)。高台に拠点を移し、8月からデイサービスや訪問介護を再開したが、全壊した特別養護老人ホーム(特養)は国の建設補助の見通しが立たない。三陸町の高齢化率は33%に上るうえ、震災後に認知症が進んだお年寄りも目立ち、多くの住民が特養再開を望んでいる。

午前8時半。同園職員2人が三陸町吉浜地区にある新沼勝美さん(67)の母ハナさん(88)を迎えに来た。デイサービスに行くためハナさんが重い腰を上げると、新沼さんと妻光子さん(55)はホッとした表情を見せた。

要介護認定3のハナさんは震災当日も同園でデイサービスを受けていた。職員の誘導で避難し、翌朝帰宅したが、うなされたように声を上げるようになり、認知症が悪化した。おむつ替えを拒んで部屋を汚したり、伝い歩きで外へ出ようとしたりする。近くに住むハナさんの兄夫妻も認知症が見られ始めた。

新沼さんは光子さんの負担を軽くしようと畑仕事を半日で切り上げ、介護を手伝う。週2回のデイサービスを3回に増やしたが、特養の再開を待ち望む。

「できればもっと働きたい。限界です」

「せめてショートステイが使えれば」。大船渡市越喜来(おきらい)地区の仮設住宅で母しつさん(92)と暮らす中嶋勝子さん(66)は話す。

7年前に夫を亡くし、1人でしつさんを介護する。しっかりしていたしつさんだったが、震災後、公民館に避難してから常に中嶋さんのそばにいたがるようになった。目を離したすきに首をくくろうとしたこともある。一時入院し、睡眠導入剤を服用しているが、深夜にベッドの手すりをコツコツたたき続ける。中嶋さんは「仮設住宅では音が響く。隣に申し訳なくて私も眠れない」と言う。

        
同園の関係者によると、震災前に約100人いた同園の特養待機者はさらに増えた。震災のショックや環境変化で、認知症が進むなどしたお年寄りが増えたとみられる。デイサービスをこれまでの月〜土曜に加え8月から日曜も受け付けるなどしているが、ニーズに対応し切れない。

岩手県内では震災で九つの高齢者福祉施設が全壊したが、その多くが再建のめどが立たない。新沼さんは訴える。「介護が必要と気づかない独居・老老世帯も増え、地域が崩壊してしまう。一刻も早く、お年寄りを安心して預けられる場所を作ってほしい」

■2011.11.4  福祉まつりで理解深め合う 綾瀬市
高齢者や障がい者など、福祉への理解を深めるイベント「あやせ福祉まつり」が10月30日に綾瀬市文化会館で開かれ、約4000人が来場した。同まつりは平成4年から毎年開かれており、今年で20回目。

会場では福祉団体の活動を紹介する展示ブースやフリーマーケットのほか、最新福祉機器の展示や模擬店、ボランティアによるダンスやマジック、ハンドベルなども披露された。
 
ボランティアされる側から、する側として活動する障がい者ダンスチーム「プメハナ」のフラが始まると、観客席からは曲に合わせて手拍子が送られ、メンバーは緊張気味な顔つきながら、覚えた歌詞を口ずさみ、丁寧に踊っていた。
 ショーを終えて、同チームを5年指導している森京子さんは「おろしたての新しい衣装でメンバーもすごく嬉しそうに踊っていました。たくさんの方に見ていただけて嬉しい」と話していた。

■2011.11.5  障害者の入居待ち解消へ 県営住宅にグループホーム
障害者向けの職業訓練施設を運営する鳥栖市のNPO法人「ピア・サポートかだん」(柳瀬利江代表)が1日、みやき町白壁の県営住宅に、障害者同士が一緒に暮らすグループホーム「しゃぼん」を開設した。障害者の自立を後押ししようと、県は県営住宅へのグループホーム開設を促しており、「しゃぼん」が県内第一号となった。

同法人によると、「しゃぼん」は平屋建ての一室(4DK、約73平方メートル)。室内は段差のないバリアフリー仕様で、キッチンやトイレ、浴室は共用。6日から2人が生活を始める予定で、身体、知的など障害の程度は問わず最終的には4人を受け入れる予定。柳瀬代表は「地域に密着した施設。利用者も安心して過ごすことができるのでは」と話している。
 
県障害福祉課などによると、県内のグループホームは101施設(4月1日時点)で、障害者の利用率は9割超。施設によっては入居の順番待ちがみられるという。こうしたケースを解消しようと、県は、県営住宅にグループホームを開設する場合には優先的に入居を認めている。

■2011.11.6  昔・キャバレー、今・デイサービス…大人気 北海道
かつてキャバレーだった建物を利用したデイサービスセンター「よいち銀座 はくちょう」(北海道余市町黒川町)が、今年4月のオープンから人気を集めている。

夜8時半まで営業し、大人の雰囲気漂うフロアで社交ダンスやカラオケを楽しめるほか、ビールなどのアルコールも提供するというサービスぶり。ユニークな施設運営が評価され、道が選ぶ「福祉のまちづくり賞」の活動部門賞にも選ばれた。

真っ赤なダンスステージ、しゃれたバーカウンター、ゆったりしたソファには派手な花柄模様――。一見すると、キャバレーにしか見えないが、れっきとしたデイサービスセンターだ。
 
この建物は、キャバレー「白鳥」として約30年使われていたが、3年ほど前に廃業。これを昨年、社会福祉法人「よいち福祉会」が借り受け、トイレに手すりをつけたり、個室だったボックス席に風呂を造ったりした上で、4月にデイサービスセンターとしてオープンした。施設名は、キャバレー時代にちなんで「はくちょう」とした。
 
開所時間は午後2時半〜8時半。一般的な施設とは違う夜型営業にしたが、福祉施設らしからぬ大人っぽさがうけて、50〜80歳代の男女26人が利用している。
 
午後から夜にかけて集まってくる利用者は、テーブルを囲んでカラオケのマイクを握ったり、ホールで社交ダンスを楽しんだり。キャバレー時代もよく通っていたという同町の無職加茂松次さん(87)は、カラオケのマイクを握りながら「昔と変わらない雰囲気がとてもいい」と満足そうに話す。

■2011.11.6  障害者のアート集団 演奏に合わせ絵描く JR博多駅
福岡市博多区の障害福祉サービス事業所「JOY倶楽部」に通う知的障害者でつくる美術集団「アトリエブラヴォ」(アトブラ)のメンバーが5日、JR博多駅ビル内のアミュプラザ博多で、ちんどん屋の演奏に合わせて鉄道の絵を描いた。

アトブラがアミュプラザ博多のアパレル店「ラパンブロカンテ」と共同企画した「美の超特急展」の一環。ちんどん太鼓とアコーディオンがメロディーを奏でる中、アトブラの本田雅啓さん(27)が約40分かけ、縦1・6メートル、横1・2メートルのキャンバスに渦巻き状の線路を走る列車を描き、買い物客の拍手を受けた。演奏した新井武人さん(30)は「面白い色使いですね」と驚いていた。
 
同展は13日まで。入場無料。会場には作品約50点が飾られている。アトブラメンバーは13日午後1時からも、音楽に合わせて絵を描く。

■2011.11.7  障害者施設の70歳スタッフ逮捕 警視庁
東京都江東区の知的障害者施設「恵の家」で入所者に暴行したとして、警視庁城東署が、同施設スタッフ、鈴木昇容疑者(70)=江東区大島4=を暴行容疑で逮捕していたことが分かった。鈴木容疑者は調べに「言うことを聞かないので、頭を押さえたり、たたいたりした」と容疑を認めているという。

逮捕容疑は、8月9日午後9時40分ごろ、施設の浴室内で、知的障害のある男性(29)に「何回言ったら分かるんだよ。バカヤロー」などと暴言を浴びせ、頭を押さえ付けるなどしたとしている。
 
城東署によると、男性の様子を不審に感じた父親がICレコーダーを持たせて録音し、発覚した。鈴木容疑者は「6月ぐらいから暴行を始めた」とも供述しているという。
 
施設は、NPO法人「ひまわり恵の会」が運営し、4人の知的障害者が利用。夜間は鈴木容疑者だけが泊まり込んでいたという。施設の女性職員は取材に「暴行は知らなかった。事実であれば申し訳ない」と話した。

■2011.11.7  親以外の関係、大事 全日本手をつなぐ育成会・田中正博常務理事 災害に備える
災害時、障害者と家族にはどんな支援が必要か、いざという時のための備えは。前回に引き続き、知的障害者と家族を支援する社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会(東京)の田中正博常務理事に聞いた。

−災害で過酷な状況に追い込まれやすい知的障害者らを救うために取り組んだことは何か。

今回の震災では、知的障害や発達障害のある人を支援する全国の11団体で連絡協議会をつくり、岩手、宮城、福島各県に対策本部を設けた。住まいの確保や物資の提供、紛失した障害者手帳の再交付手続き、公的制度を活用するための支援、心理的ケア、家族の負担を減らす援助などを行うためだ。しかし、支援する障害者らの所在確認の難しさが大きな壁になった。

−地元行政から情報を得られないのか。

個人情報保護法がネックになった。災害時など生命や身体の保護に必要な場合は、本人の同意なしでも個人情報を第三者に提供できる規定があるのに、民間の互助組織には情報が提供されなかった。個人情報を災害支援で活用する仕組みがないし、誰かが責任を取って対応することもなかった。支援の相手が分からないと、どんな支援が求められているのか把握もできない。

−どのように対処したのか。

非効率的だったが、障害者施設や避難所を一つ一つ回って調査した。他の団体とも連携したが、全体を把握するのに7月までかかってしまった。福祉サービスを利用していない軽度の障害者や、関係団体とつながりのない障害者の状況をつかむのが特に難しかった。

−支援の中で、浮かび上がってきた問題点は。

親や身内が犠牲になり、突然社会に一人取り残されてしまった障害者らの権利をどう守るのか、深刻な課題だ。自分の預金なのに本人確認ができずに引き落としできなかったり、義援金や弔慰金の支給で親交のなかった遠い親戚が現れたり。金銭や財産の管理だけでなく、今後の生活再建を誰が支えていくのかといった問題もある。

−親や身内を失った後の備えが必要ということか。

社会との接点が親しかいないという状態はリスクが大きい。障害者のいる家族にとって、地域のコミュニティーや福祉施設、障害者団体などとのつながりをできるだけ数多く持つことが大切。成年後見制度を使って親以外にも後見人を決めておくなど、障害者の権利を守る備えをしてほしい。

■2011.11.10  福祉施設のIT化に NPOが中古PC無料レンタル /奈良
障害者の就業をITで支援するNPO「ぷろぼの」(奈良市)が、修理した中古パソコンを福祉施設に無料でレンタルする事業を今年9月から始めた。障害のある人たちからは、働く場に新しくパソコンが提供され、仕事に役立つと好評だ。

10月下旬、三宅町の障害者通所施設「ひまわりの家」では、半身まひの障害がある松田陽介さん(34)が、「ぷろぼの」からレンタルしたノートパソコンで、同施設でソーセージを作るグループの会議の記録を入力していた。今までもパソコンを使っていたが、13年間使い続けていたため、起動に10分。「その間に他の作業ができるぐらいだった」。入力途中でデータが飛んでしまうこともあり、「今はとてもスムーズなので、仕事がはかどる」と笑顔だ。
 
「ぷろぼの」では、「福祉施設のIT化を応援したい」と、システム会社「オージス総研」(大阪市)から中古パソコンを譲り受け、今までのデータを削除し最新のソフトウエアを入れたりして、レンタル用に再び使えるようにしている。今までに同県内の8施設に13台のパソコンをレンタルしてきた。
 
「福祉施設は、パソコンの設置がとても遅れているのが現状」と「ぷろぼの」の阿南雅昭・センター長代理は話す。「40〜50人の障害者が通う施設でも、事務所に2、3台ぐらいしかないところが多い。パソコンがもっとあれば、情報を共有できるし、時間も効率的に使える」と強調する。今後も福祉、市民団体を中心にレンタルを進め、障害のある人のパソコンへのアクセスを支援するつもりだ。
 
レンタルは無料で2年間。メンテナンスなどを行う補修契約(月1050円)を勧めている。問い合わせは「ぷろぼの」(0742・35・3232)。

■2011.11.11  中・四国身障者福祉大会:聴覚障がい持つ濱田さんスピーチ 「出会ったすべての人に感謝」
生まれつき聴覚障がいを抱えながら人生を切り開いてきた家電メーカー社員、濱田真由美さん(31)=広島県福山市東町出身=が11日、同市御幸町のふくやま産業交流館であった「中・四国身体障害者福祉大会」で自らの体験を語った。高校時代、長島愛生園(岡山県瀬戸内市)でハンセン病元患者と交流し「ありのままの自分で生きる」大切さを学んだというスピーチは、約2700人の障がい当事者らに大きな感銘を与えた。

濱田さんは、補聴器を使い相手の口の動きを読むことで会話(口話)する。幼い頃から付きっきりで「音」と「声」を発することを教えてくれた母(58)に感謝しつつも、思春期、障がいを隠そうと殻に閉じこもった経験を語った。
 
「自分を変えよう」と人権教育の盛んな盈進高校(福山市)に進学。「障がい者問題研究部」(現、ヒューマンライツ部)に入り、転機が訪れた。強制隔離などを定めた「らい予防法」廃止翌年の97年から、生徒たちは愛生園を訪問。高校2年の時、濱田さんは在日コリアンの金泰九(キムテグ)さん(85)から体験を打ち明けられた。

12歳で父を頼って日本に渡り戦後、発病。警察の職務質問を受け、愛生園に強制収容された。妻に先立たれ、自死した仲間の遺体を収容した−−。差別や偏見にさらされ、愛する家族と離ればなれにさせられる強制隔離政策に、濱田さんは強く憤る一方、明るく、積極的に生きる愛生園の人たちから多くを学んだ。金さんの「自分を幸せだと感じる人は、人を貶(おとし)めたり憎むことはない。そして、周りの人間を幸せにすることができる」という言葉は宝物だ。
 
社会人になってボウリングを本格的に始め、団体戦で人とのつながりの大切さを学んだ。パーフェクトを出したこともある腕前で、今年の大会ではベストアマチュアに選ばれ国体出場を目指している。濱田さんは「これまで出会ったすべての人に感謝し、ずっと心でつながっていたいと思う。いつか生まれる私の子どもも、そんな人間に育てることが目標です」と結んだ。

■2011.11.12  不正手段で指定、居宅介護事業所の指定取り消し―大阪府
不正な手段により指定を受けたなどとして、大阪府は11月11日、「ハンクスフレンズ株式会社」(茨木市)が運営する居宅介護・重度訪問介護事業所「ハンクスフレンズ」(同)について、障害者自立支援法に基づく指定を同日付で取り消した。

府によると、同事業所は指定申請時に必要な書類の中で管理者が常勤で勤務するとしていたが、実際には常勤勤務していなかった。
 
また、居宅介護事業で、昨年9月から今年2月の間、実際には提供していないにもかかわらず、8回分の通院介助サービスを提供したと偽り、約7万4900円の介護給付費を不正に請求していた。

茨木市は、加算金を含む約10万4900円を返還請求している。また、市独自で実施している障害者への移動支援事業で、補助金を不正受給したとして約6万7900円を返還するよう求めている。

■2011.11.13  障害者福祉に尽力の2氏1団体表彰 糸賀一雄記念財団
障害のある人のために尽くした人らをたたえる糸賀一雄記念賞、記念奨励賞の授賞式が12日、大津市内であった。

障害のある子どものための福祉施設「近江学園」(湖南市)を創設した故糸賀一雄氏の意志を受け継ぐ人材を育成しようと、糸賀一雄記念財団が毎年賞を贈っている。
記念賞に全日本視覚障害者協議会相談役の藤野高明さん(72)=大阪市東淀川区=が選ばれた。藤野さんは事故で両手を失い、両目を失明。大阪市立盲学校の教諭として子どもたちを指導してきた。

記念奨励賞には、障害のある子どもの「わいわい絵画教室」代表の竹内由里子さん(46)=大津市大平=と甲賀市の障害者ソフトボールチーム「しがらっき〜ず」(監督・小倉繁昌さん)が輝いた。
竹内さんは知的障害のある長男を出産してから、障害児向けの絵画教室を運営。「しがらっき〜ず」は知的障害者がスポーツを通して社会性を身につける場として評価された。

賞状と記念品のほか、近江学園の子どもたちから花束が贈られた。竹内さんは「県内全域に絵画教室を広めたい」と話していた。 

■2011.11.14  社会福祉プロジェクトの一環で、「心に響く」オリジナル名刺
ZACCESS Consultingは、社会福祉プロジェクトとして、知的障害を持つ児童の手書き文字を生かした名刺作成サービスを「キセキノメイシ」としてスタートさせた。

知的障害児童が、時間をかけながら集中して1つ1つ刻み込む文字を「アート」と捉え、彼らの特徴をビジネスの場で活かし、収益に結びつける試みであるという。知的障害児童自立支援団体と協力し、売上代金の2割を納めることを通じ、経済的な支援とともに障害児童に社会参画の喜びを伝える事業を進める。
このサービスを利用する企業は持続的に、無理なくCSR(社会貢献活動)を行うことが可能となるだけでなく、これまでにない形で企業姿勢をアピールできることになると同社は説明している。
 
発注は、デザイン制作料に関して無料で、100枚5,250円から。
⇒キセキノメイシ http://kiseki.co/

■2011.11.14  表情豊か・涙も…お年寄りいやす赤ちゃんロボ
赤ちゃんの世話を体験できるロボットは、お年寄りをいやす効果があるという研究結果を、中京大情報理工学部(愛知県豊田市)の加納政芳(かのうまさよし)・准教授(35)がまとめた。

15日に名古屋市で開かれる「ロボットシンポジウム2011名古屋」で発表する。

加納准教授は、年を取って世話をしてもらう立場になればストレスが高まるとし、逆に何かの世話をすることで軽減できればと、2008年から赤ちゃん(ベビー)ロボット「ベビロイド」の開発を進めてきた。

ベビロイドは、目や口が動いて表情を作り、涙も発光ダイオード(LED)で表現。内部のセンサーの働きで、抱いてあやしたり話しかけたりすると笑い、放置されると機嫌が悪くなる。録音された本物の赤ちゃんの声の中から、その時の「気分」に合ったものを選んで発声する。身長約44センチ、体重2・2キロで、おなかやお尻には軟らかい素材が使われている。

■2011.11.15  特養などの相部屋入居者に新たな室料負担案
2012年度の介護報酬改定について、厚生労働省は14日、特別養護老人ホームなど介護施設の相部屋に入居する一定所得以上の高齢者に、新たに月8000円の室料負担を求める案を、社会保障審議会介護給付費分科会に示した。

相部屋の入居者は現在、介護サービスの1割自己負担や食費などのほかに、月1万円の居住費(光熱水費)を負担している。一方、個室の入居者が負担する居住費(光熱水費と室料)は、月2万5000円〜6万円で、利用者負担の差が大きいため、相部屋を希望する声も多い。

厚労省案では、相部屋で年金収入211万円以上の入居者から室料を徴収、新たな財源を個室入居者の負担軽減に活用し、個室の推進に弾みを付ける考えだ。負担感が特に大きい、年金80万円超〜211万円未満の所得層を対象に、軽減策を検討している。

■2011.11.16  障害者尊重される社会へ貢献 産経市民の社会福祉賞 京都
亀岡市障害児者を守る協議会 受賞

関西の福祉ボランティア団体・個人を顕彰する第37回「産経市民の社会福祉賞」(産経新聞厚生文化事業団主催)に、府内からは障害者の社会参加を支援する活動を続けている「亀岡市障害児者を守る協議会」が選ばれた。養護学校の開校や共同作業所の設立、日常のレクリエーション活動などを通じて、さまざまな障害を持つ人を地域ぐるみでサポートしていこうとする活動が評価された。表彰式は24日、大阪市北区の新阪急ホテルで行われる。

障害をもつ子供たちの親らが集まってさまざまな悩みを相談し、情報を共有しようと昭和45年に設立。40年余、障害児の就学や社会参加、就労をサポートするなど、障害者がひとりの住民として尊重されるまちづくりを目指してきた。
 
設立当初は養護学校がなかった丹波地方。障害児をもつ親は遠方の養護学校へ通わせるための送迎や自宅での介護などが必要で、大きな負担を強いられた。そんな現状を変えようと立ち上がり、署名集めや集会などの活動を展開。昭和53年に府立丹波養護学校(現・丹波支援学校)設立の夢を実現させた。
 
現在は約300家族が会員となり、交流会や遠足、成人式などさまざまな世代がふれあえるイベントを実施。さらに「親がいなくなった後でも生きていける力をつけてほしい」と、作業所や民間企業などへの就労支援、グループホーム構想などに力を入れている。
 
山内節子会長(56)は「景気が悪い現在の状態では、障害者の就労はとても難しい問題。何とかして社会で生きていける方法を考えていきたい」と話す。
 
設立当初に比べ、障害者に対する支援などの環境整備は確実に進んだ。ただ、そうした支援情報を知る人は少なく、1人で悩んでいる親も多い。
 
個人差が大きい障害者の実態は社会で理解されないことも少なくない。山内会長は「個人に合わせた手厚い支援が絶対に必要」と訴える。障害をもつ子供と親の橋渡しをして、より生きやすい環境づくりを今後も進めていく。

■2011.11.16  福祉避難所、整備遅れ 県内、指定12市町のみ 三重
介護の必要な高齢者や障害者らが災害時に避難生活を送る「福祉避難所」を指定している県内の市町が、全29自治体のうち12自治体にとどまっていることが分かった。津波被害が想定される県南部沿岸でも未指定の自治体が多い。東日本大震災で福祉避難所の必要性が叫ばれたことを受け、検討に入った自治体もある。

11月現在での福祉避難所の指定の有無や数、検討状況を、本紙が県内全29市町に取材した。
指定したのは四日市、伊勢、松阪、桑名、鈴鹿、名張、尾鷲、鳥羽、志摩の9市と、木曽岬、朝日、明和の3町。指定がなかったのは津、亀山、熊野、いなべ、伊賀の5市と東員、菰野、川越、多気、大台、玉城、渡会、大紀、南伊勢、紀北、御浜、紀宝の12町だった。このうち津市は本年度中に候補施設を選定予定で、伊賀市は民間施設と既に協定を結び、近く正式に指定するという。

福祉避難所がある自治体でも数に大きなばらつきがあった。四日市市は2004年から老人福祉施設などの指定を積極的に進めている。「災害時に施設が全部が使えるとは限らない。受け皿は多い方がいい」(担当者)との考えで、今後も「増やしたい」という。未指定の自治体の多くも具体的な検討に着手しているか、今後、検討していく考えを示した。

10月に民間の福祉施設7法人、計11カ所と協定を結んだ伊賀市の担当者は「(協定の)動きは昨年からあったが、東日本大震災の状況が施設側の理解を促した面もある」と説明。南伊勢町の担当者も大震災を受け「必要だと感じた。今後、具体的な検討を進めていかなくてはならない」と話す。

その一方で、紀北町の担当者は「避難路の整備など他の防災対策も迫られている。必要性は認識しているが、設備や人的措置も必要。手が回らないのが現状だ」とこぼす。
県健康福祉部の中西文則特命監は「東日本大震災でも、高齢者ら介護を必要とする人は通常の避難所ではきめ細かい対応が難しいことが浮き彫りになった。この地域でも大地震や津波の発生が予想されるため、全市町に設ける必要がある」と強調する。県は来年1月にかけ、各自治体にあらためて指定を働き掛けていく。

■2011.11.16  高齢者虐待、依然として高水準…愛媛
2010年度に愛媛県内の家庭や周辺で起こった高齢者に対する虐待は220件で、4年ぶりに前年度(231件)を下回ったものの、依然高水準にあることが県のまとめでわかった。

死亡したケースも1件含まれており、県は介護者の介護疲れが一因と分析。「ストレスを一人で抱え込まずに相談を」と呼びかけている。

各市町への通報は291件。うち220件で虐待があったと確認された。内訳(重複あり)は、たたくなどの「身体的虐待」が137件、暴言を吐くなどの「心理的虐待」が86件、年金や貯金を取り上げるなどの「経済的虐待」が56件、「介護放棄」が53件などだった。

虐待された高齢者は231人で女性が78%を占め、全体の7割強に当たる164人が介護保険で要支援1以上の認定を受けていた。虐待者は225人。息子が107人で最も多く、夫47人、娘27人と続いた。

通報者は、要介護者のケアプランを作成するケアマネジャーや介護ヘルパーらが7割強。居住地の地域包括支援センターが高齢者を施設に入居させ、虐待していた家族と引き離したり、家族らにカウンセリングをした上で、負担を減らすために要介護認定を見直して介護サービスを利用できる回数を増やしたりするなどの措置をとったという。

県長寿介護課によると、虐待を受ける高齢者は認知症のケースが多いといい、07〜10年度に伊予、八幡浜、四国中央、宇和島各市を認知症高齢者や家族の支援モデル地区に指定、今年度以降も各自治体で支援体制づくりが進められている。

宇和島市では65歳以上の高齢者が2万6364人(今年2月1日現在)で、うち12%の3240人が認知症。家族や地域の認知症への理解不足や偏見、専門医の少なさ、相談窓口が周知されていないなどの課題があるという。

このため、高齢者が徘徊で行方不明になった際、スーパーなどに本人の特徴をメールで一斉に伝えて捜してもらう仕組みや、家族らが認知症高齢者への接し方などを学ぶ講習会の開催、家族の集いの場を設けるなどの対策に取り組んでいる。

同課は虐待件数が減らないことについて、「高齢者虐待への関心が高まり、通報が増加傾向にあることも理由」とし、「高齢人口はさらに増える。市町と連携して高齢者を守る態勢を強化したい」としている。

■2011.11.16  掛け声は「4分で10メートル!」 障害者たちが巨大津波から全員無事に避難完了 “地震慣れした過疎の町”北海道浦河町の教訓  浦河べてるの家 
2011年3月11日、精神障害者たちの完璧な津波避難

北海道日高支庁、襟裳岬の北西に位置する「浦河」という町をご存知だろうか?

面積は約700平方キロメートル。東京都区部(約620平方キロメートル)より若干広い程度である。東京都区部には約900万人が在住しているが、浦河町の人口は約1万4000人。年々、過疎化と高齢化が進む、地方の典型的な小規模自治体である。産業は、主に農業・漁業・農産物や漁獲物の加工と販売で成立している。「サラブレッドと日高昆布の産地」といえば納得される方も多いであろう。

浦河の市街地は、海に迫った丘陵と海の間を走る浦河街道に沿って東西に延びる集落と小さな商店街、丘陵の中腹に点在する集落で出来ている。もし防潮堤を越えて津波が押し寄せたら、市街地の重要な部分はほとんど被災してしまう。

2011年3月11日、東日本大震災の際、浦河町は震度4の地震とともに、高さ2.7メートルの津波に襲われた。浦河町の市街地を守る防潮堤の高さは4メートルあったため、市街地は津波被災を免れたが、船舶・港湾施設は被災した(「広報うらかわ」(浦河町)2011年4月号)。

このとき、浦河町で、大震災発生直後に「完璧」というべき津波避難をやり遂げた人々がいる。浦河の市街地に住んでいる精神障害者たちである。

浦河町には「浦河べてるの家(以下「べてるの家」)」がある。「べてるの家」は、精神障害者たちの生活共同体・働く場としての共同体・ケアの共同体という3つの性格を持ち、精神障害者グループホーム・作業所・喫茶店・地域特産物の販売・出版など多様な事業を手がけている。「べてるの家」のグループホームを中心に集い住む100名以上の精神障害者たちは、時に差別を受けたりトラブルを起こしたりもしながら、浦河の町に根付いて生活している。メンバーには長期入院を経験した重度の精神障害者も少なくないが、施設に閉じ込められるのではなく、浦河の町の中で地域生活を営んでいる。

精神障害者の地域生活に関する「べてるの家」の独自の取り組みは、世界中から注目されている。「べてるの家」視察のために、国内外から年間約3000人が浦河町を訪れる。浦河町にとって、「べてるの家」は貴重な観光資源でもある。

今回の東日本大震災に際しては、津波が浦河町に到達するよりも早く、「べてるの家」のメンバーのうち海の近くに住む約60名全員が、かねてからの訓練に基づき、「4分で10メートル」の掛け声のもと、高台への避難を終えていた。「4分で10メートル」とは、「津波は地震から最短5分でやってくるから、地震後4分で高さ10メートル分の避難ができれば助かる」ということである。この訓練は国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所(当時。現在は国立障害者リハビリテーションセンター研究所。以下、国リハ研究所)のプロジェクトの一環として、平成16年〜平成18年の3年間にわたって行われ、その後も独自に継続されていたのだが、極めて有効であると実証された形となった。

完璧な津波避難の背後には「反省」も

「べてるの家」は、毎年「べてるまつり」を開催している。そこでは、精神障害者であるメンバーたちにより、日常の生活や、日常の生活が含んでいるさまざまな困難、精神障害による困難との取り組みの様子が披露される。「べてるまつり」は、町の内外から多くの観客が訪れる楽しいイベントとして、浦河町に定着している。

今年8月の「べてるまつり」では、「べてる防災チーム」のメンバーが、ユーモアをもって震災時の避難の様子を披露した。

そこで披露されたのは自慢話ばかりではない。メンバーたちは一晩を避難所で過ごしたのだが、避難所に集まった住民は「べてるの家」に馴染みのある人々ばかりではなかったため、避難所で極度の緊張や苦痛を感じるメンバーもいたそうだ。心身の緊張状態は、ほぐそうとして簡単にほぐせるものではない。「リラクゼーションを学んで身につけておかなくては」という反省が語られた。

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防災訓練前の様子 「べてる防災チーム」による、防災訓練前の自分たち自身の様子。震災に対して何をすればよいか分からない。幻聴に「逃げるな」と言われて身動きが取れなくなる人もいる。

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防災訓練の様子 同じく、防災訓練時の自分たちの様子。ダンボールで作った「津波」「建物」「幻聴」に対してどうするかを考え、そのとおりに出来るよう訓練する。幻聴に「逃げるな」と言われたら、「幻聴さんも連れて逃げる」という対処をする。

持病である精神疾患のコントロールに必須の常用薬を持たずに避難したメンバーもいた。震災後、精神疾患を悪化させて入院したメンバーも4人いたという。「地域とのお付き合いや病気とのお付き合いを、ふだんからもっと大切にしなくては」という反省も語られた。それらの反省も含めて、「べてる防災チーム」の発表は、観客の笑いと共感と大きな拍手を誘った。

本記事では、「べてるの家」の精神障害者たちの完璧な津波避難がどのように可能になったのかを多面的に検討する。事前に予測することが困難で、万全の備えが可能とは限らない大災害に対し、どのように考え、どのように備えれば良いのだろうか。

「べてるの家」の場合、鍵は情報提供にあった。しかし、情報は「提供されればそれでよし」というわけではない。「べてるの家」のメンバーには、重度の精神障害者が数多く含まれているからだ。「情報が提供される」と「情報が利用できる」の間には、健常者に対する以上に、大きな溝がある。

誰もが理解できて行動に結びつく災害時に必要な「情報提供」とは?

完璧な津波避難で「自助」を示した「べてるの家」のメンバーは、どのように情報を提供され、どのように訓練を行ったのか。当時、国リハ研究所でプロジェクトの遂行にあたった河村宏氏(現・DAISYコンソーシアム会長)は、プロジェクトが始動した事情をこのように語る。

「もともと、障害のある人に、災害についてどういう情報提供をすればよいのかと考えていました。災害時の犠牲者には、認知症の方・知的障害者・精神障害者が非常に多いのです」

健常者に対しても「早期に正確な情報を伝える」は重要であるが、障害者の場合には「どうすれば情報を伝えられ、行動に結び付けられるか」という課題が発生する。ある人は、視覚障害や聴覚障害などにより、情報に接することができないかもしれない。ある人は、幻聴に「逃げるな」と命じられるゆえに逃げられないかもしれない。ある人は、情報を得て「逃げなくちゃ」と思ったけれども、その思いを「逃げる」という行動に結び付けられないかもしれない。ある人は、情報を得ても行動に結びつけるための知識を持っていないため、津波の時に浜辺の避難所に避難しようとしてしまうかもしれない。

阪神淡路大震災での犠牲者の検死結果では、犠牲者のほとんどが地震発生後30分以内に亡くなっていたという。逆に言えば、生き延びられるかどうかは発災後30分の勝負ということだ。だからこそ、タイミングを逃さない緊急情報の提供が必要なのである。しかし、緊急情報をタイミングよく得られたとしても、それを生存のために生かせるかどうかは、判断のよりどころとなる知識・選択する行動によって大きく左右される。では、知識と行動はどのように提供できるのか。

プロジェクトの目標は、障害ある人が必要な知識を学習できるようにすること、行動に活かせるようにすること、その結果としての防災力の向上を実証することに置かれた。

知識や情報を伝える上で最も困難なのが、重度精神障害者である。しかし精神障害者への情報支援については、過去に研究情報が存在しなかった。

河村氏らは、「べてるの家」に注目した。「べてるの家」のメンバーである精神障害者たちの中には、数多くの重度精神障害者が含まれている。「べてるの家」のメンバーたちは隔離されることなく、町の中に住んでいる。だから、町ぐるみの取り組みができる。「べてるの家」のある浦河は、地震の多い日本の中でも特に多くの頻度で地震を経験してきた地域である。記録に残っている大津波はチリ地震津波(2.1メートル)だけであるが、記録に残っていないだけで、大津波は過去にあったのかもしれない。だから、いつか来る津波に備えた実証実験には大いに意味がありそうだと考えられた。

「べてるの家」のメンバーにも、災害に備えたいというニーズがあった。「べてるの家 防災チーム」の中心的存在となっている清水里香氏は、

「地震の時に自分がパニックになったらどうしよう」

と心配していた。

津波が来たら逃げなくてはならないということは理解できる。しかし、その時にパニックになったら逃げられなくなる。津波が来てパニックになる自分について考えていると夜も眠れない。そこで、自分が安心するために、知識と方法を身につけ、勉強と訓練をしたいと考えた。清水氏が、自分の住んでいるグループホームの他のメンバーにその思いを語ってみたところ、グループホームのメンバー全員が必要性と意味を理解した。そこで生まれた「防災学習会」が、現在の「防災チーム」へとつながっている。

河村氏らは、「べてるの家」のメンバーのために避難マニュアルを開発する一方で、浦河町と共同で避難ルートの整備と確保を行った。「べてるの家」のメンバーには、向精神薬の副作用である過食・肥満から糖尿病となり低血糖症予防などの疾病管理が必要な人・高齢化に伴って歩行が困難になった人・精神障害者ではないが車椅子を利用している人も多く含まれている。このため、階段のないルートも確保する必要があった。このようにして確保された避難ルートは、「べてるの家」とは別に、歩行に困難を抱える人や車椅子利用者にも役立つことになる。

避難にあたっては、「どれだけ避難すれば充分なのか」を知っておくことが必要だ。コンピュータシミュレーションによれば、浦河町を襲う可能性のある最大の津波の高さは6メートルであった。だから、海抜10メートル以上のところに避難すれば充分ということである。津波は、最速で地震から5分以内で到達する。だから、4分間で10メートルの高さだけ避難できればよい。

読んで理解でき、「読んだ」「理解した」だけではなく「そうしなくては」という行動に結びつくマニュアルを作成することは、実はまったく容易ではない。対象が精神障害者であればなおさらである。しばしば持続しない関心を持続させるために、河村氏らは心理学とテクノロジーを駆使し、精神障害者たちの心理の偏りに寄り添ったマルチメディアのマニュアルをDAISY形式で作成した。長さは7分。飽きることなく最後まで視聴できることに配慮した長さである。五感を活用して印象づけられるように、「べてるの家」のメンバーたちを登場させた。文章は肯定文とし、否定文は用いなかった。否定文は分かりやすさを損ねるからである。そして、短い言葉で本質を語るようにした。

災害時には強者も弱者もない隣近所とのチームワークこそ生き残る道

マニュアルが理解されたら、次はマニュアルに沿った訓練である。「べてるの家」ではミーティングを非常に大切にしており、1日に何度ものミーティングを行う習慣がある。その中にはSST(Social Skills Training:社会技能訓練)も含まれている。

河村氏らと「べてるの家」のメンバーは、まず、SSTの中に避難訓練を位置づけることにした。そうすると、地震の翌日のSSTで「昨日どうだった?」と尋ねるところから、自然に「災害時にはどうすればよいか」という話ができる。

実際に避難所に避難して宿泊してみる訓練も行った。マルチメディアのマニュアルを視聴して、そのとおりに行動してみて、反省点を次回にフィードバックする。この訓練は現在も毎年、夏と冬、昼夜1回ずつ、合計4回行われている。冬の夜、明かりのない中で凍りついた道を避難する訓練は、それは辛いものであったそうだ。訓練は、ときどき浦河町役場と合同で行われた。

このような訓練のプロセスの中で、近隣住民たちとの交流が芽生えた。「べてるの家」のメンバーは、近隣から「べてるの人」とみなされていたが、「里香さん」「美枝子さん」「潔さん」と固有名詞で認識されての付き合いが出来るようになった。そして3月11日の大震災の際、「べてるの家」のメンバーは「4分で10メートル」という掛け声のもと、完璧な津波避難を行った。いつしか「べてるの家」は、町に貢献する姿勢を持つ人々の集まりとして認識されはじめた。

河村氏は語る。

「災害時に死なないようにするには、1人ひとりが周囲・隣の人と助け合うしかないんです。1人で逃げられないなら誰かと逃げるしかない。隣近所で助けあうチームワークを作るしかない。1人だけ助かるなんて無理です」

でも、そこにいる全員が、自分の持っている何かを出しあって助けあわなくてはならない場面で、何も持たない人々はどうすればいいのだろう? 全身が動かない重度身体障害者は? 「ふつう」のコミュニケーションが難しい知的障害者は?

「何も持たないということはありませんよ。たとえばALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんたちは、大変な情報・知識持ちです。知的障害者は、教えられたことを確実にそのとおりにすることができるし、体力もあります」(河村氏)

情報弱者だから助からないとも限らない。

「阪神・淡路大震災の時、20代の若い人がたくさん亡くなっているんです。学生で、お金がないから古い木造アパートに住んでいて、建物に潰されたんです。強者も弱者もないのが災害時です」

■2011.11.17  ホームヘルパー2級、12年度末で廃止- 厚労省方針
厚生労働省はこのほど、現行のホームヘルパー2級(訪問介護員養成研修2級課程)を2012年度末で廃止する方針を固めた。13年度からは130時間の講義・演習などからなる「介護職員初任者研修課程」(仮称、初任者研修)に移行させる。現在のホームヘルパー2級修了者は、13年度以降は初任者研修の修了者と見なされ、引き続き働くことができる。

新しく設けられる初任者研修のカリキュラムは、▽介護における尊厳の保持・自立支援▽介護・福祉サービスの理解と医療の連携▽認知症の理解▽生活支援技術―などで、講義と演習で構成される。受講時間はホームヘルパー2級と同等の130時間だが、修了時には理解度を確認する筆記試験も課される。

また、現行のホームヘルパー1級(訪問介護員養成研修1級課程)と、500時間の講義・演習・実習からなる「介護職員基礎研修課程」(基礎研修)の2課程については、経験者が介護福祉士国家試験を受験する際に義務付けられる450時間の実務者研修に、13年度から統合される。現行のホームヘルパー1級修了者と基礎研修修了者は、初任者研修の修了者と見なされるが、実務者研修を受講する際には一部の科目が免除される。

このほか、ホームヘルパー3級(訪問介護員養成研修3級課程)も12年度末で廃止される。

厚労省はこのほど、これらの見直し案を公表してパブリックコメントの募集を開始した。12月3日まで意見を受け付けている。

■2011.11.17  胃ろう造設、医療従事者の影響大きく- 全国老施協が特養入所者調査
特別養護老人ホーム(特養)入所者の胃ろう造設の決定には、本人の意思や施設の説明よりも、医療従事者からの説明が大きく影響していた―。そんな実態が、全国老人福祉施設協議会(全国老施協)の17日までの調査結果から明らかになった。

調査では、家族の希望も胃ろう造設の決定に影響している結果も示されたが、全国老施協の担当者は、「医療従事者の説明を受けて家族が決定するケースがほとんど」と指摘。実際は、医療従事者主導で胃ろう造設が進められるケースが大半とみている。

この「特別養護老人ホームにおける胃ろう等による経管栄養に関する実態調査」は今年7−8月、全国の特養2000施設を対象に実施。回答があった1230施設で胃ろうを造設している入所者7005人の状況を分析した。対象者の平均年齢は85.1歳、平均要介護度は4.8だった。

調査結果によると、胃ろうを造設する際に最も影響を与えた要因を尋ねた設問では、「医療従事者からの説明」の37.8%と、「家族の希望」の34.2%が上位を占め、これに「施設からの説明」の2.5%などが続いた=グラフ=。「本人の希望」で胃ろうの造設に踏み切っていたケースは0.3%だった。

また、胃ろうを造設している期間として最も多かったのは、「1年以上3年未満」の36.1%。「3年以上10年未満」の35.8%と、「10年以上」の1.3%を合わせると、7割超が1年以上の間、胃ろうを付けて生活していた。「3か月未満」は3.7%、「3か月以上1年未満」は15.1%だった。

■胃ろうの課題、「介護職の負担増」が6割
調査に回答した1230施設に対し、特養で胃ろうなどの経管栄養を実施する上での課題を尋ねたところ(複数回答)、「介護職員の負担が増大している」が61.1%で最も多かった。

以下は、「職員の教育・研修が十分でない」の51.8%、「緊急時の対応、安全管理が十分でない」の40.2%、「ケアマニュアルがない」の18.5%などが続いた。全国老施協では「介護職の医行為拡大による法整備に伴い、介護現場での負担増大やさらなる重度化対応が求められることが予想される。その評価と介護報酬上への反映が必要」と提言している。

■2011.11.17  高齢者虐待を防げ 防止団体が対策本出版
西九州大(神埼市、佐賀市)や県などでつくる「高齢者虐待防止ネットワークさが」(倉田康路代表)は、高齢者虐待が発生する背景を分析し、未然に防ぐための方策などを探る本を出版した。

タイトルは「高齢者虐待を防げ」(法律文化社)。高齢者の家族や施設職員を対象に実施したアンケートや、早期発見や予防に取り組む各地の事例を踏まえており、具体的で示唆に富む内容となっている。

ネットワークは2009年1月に発足した。アンケートは同年2−3月に、県内の在宅サービスを利用する高齢者の家族、高齢者施設で働く職員やケアマネジャー、民生委員などを対象に実施、3728件の回答を得た。その結果などを検証、同大教授(社会福祉学)の倉田代表などが執筆した。

厚労省調査によると、虐待の大多数を占める「家族など親族による虐待」は06年度12569件から、09年度15615件に増加。この間、「介護従事者による虐待」も54件から76件に増えている。

ネットワークによるアンケートでは、家族(回答者302人)の23%が「虐待をしそうになった」と回答。その原因に大多数が「介護疲れ」を挙げていることを紹介し、「介護者の負担軽減」が急務と訴える。介護休業制度や在宅サービスの積極利用のほか、行政や民生委員、ボランティアなどを巻き込んだ地域ネットワークを構築し、介護者が相談・助言を受けやすい態勢の構築を提言している。

一方、施設の職員(同1104人)の13・9%が施設内で虐待を目撃し、うち4割が上司などへの「相談を行わなかった」と回答している。さらに、約500人が「急いでご飯を食べさせようと、無理に口に入れる」「入浴時、衣類を無理やり脱がす」など「改善が必要だと悩む介護」を体験したと答えている。こうした実態を踏まえ、虐待防止には介護サービスの質の改善が不可欠と指摘。高齢者の心身機能や生活習慣に合わせた介護方法設定などに取り組むべきだとしている。

倉田代表は「虐待は突発的なものではなく、介護のストレスや知識・技術不足が重なって生じる」と分析。「虐待の予防や発見は施設や行政だけでは限界がある。地域に暮らす私たちが、高い関心を持って取り組まなければならない」と訴えている。A5判、173ページ、定価2310円。同ネットワーク=0952(52)4191。

■2011.11.18  成人の50人に1人 「隠れた障害」
周囲には理解されにくい発達障害の一つ、注意欠陥・多動性障害(ADHD)について、浜松医科大精神神経医学講座の中村和彦准教授らが17日、国内で初めて浜松市で実施した実態調査の結果を発表した。約3900人へのアンケートや面接調査の結果、成人期の有病率は人口の2・1%、50人に1人程度と推定された。

忘れ物が多くて物をなくす、勉強や仕事、家事に集中できない、かっとなりやすい、などの症状があるADHDは、脳機能の異常が原因と考えられ、本人も障害としての自覚がない場合が多い。小児時に見過ごされて大人になる、いわば「隠れた障害」とされる。

仕事や生活に問題を抱えやすいのに、国内での診断や治療は不十分で、成人期のADHDは約80%が見逃されているという。

中村准教授は、厚生労働省の障害者対策総合研究事業として、浜松市の精神保健福祉センター、発達相談支援センターと国内初の基礎調査を実施。18〜49歳の1万人を無作為抽出して郵送で協力を呼びかけ、3911人がアンケートに応じた。簡易調査で197人にADHDの疑いがあり、さらに専門的な面接に応じた22人中9人がADHDと診断された。こうした結果をもとに、成人期の推定有病率を2・1%と導いた。
ただし、調査に協力してくれた人を前提にしているため、実際の値より低く見積もられている可能性は否定できないという。

有病率が2・1%とすると、浜松市の20〜60歳の成人労働人口約40万人のうち、ADHDの患者は約8千人になる。小児には薬物療法があるが、治験が行われている成人向けは来年度にも認可が下り、診断に使う英語版の調査票の和訳も来年3月に出るという。

中村准教授は「日本ではADHDのデータが何もなかった。有病率は全国的にもこのぐらいだろう。『性格の問題』として片づけられ、仕事が長続きしなかったり、対人関係がうまくいかなかったりするため、診断、治療、社会支援の確立が必要だ」としている。

■2011.11.18  発達障害者の支援センター開設 岡山市勤労者福祉センター内
岡山市は18日、発達障害者の支援の中核となる「市発達障害者支援センター」を市勤労者福祉センター(同市北区春日町)内に開設した。医師や臨床心理士らを配置し、本人や家族、関係機関の相談に応じる。

同日午前、支援センターで開設記念式があり、約20人が出席。高谷茂男市長が施設の愛称「ひか☆りんく」を記したプレートを除幕し、奥野淳子所長に辞令を交付した。奥野所長は「相談してよかった、と笑顔になってもらえるセンターを目指したい」と述べた。愛称を応募した大学職員渋谷祥恵さん(36)=同市北区=への感謝状贈呈もあった。
 
センターは、市勤労者福祉センターの1、4階を充て計約260平方メートル。相談業務のほか、就労支援や障害への理解を深めてもらう啓発事業などにも取り組む。スタッフは13人。
 
発達障害は、自閉症や学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などの総称。支援センターは発達障害者支援法(2005年4月施行)に基づき、都道府県や政令指定都市が設置できる。岡山県も社会福祉法人旭川荘に委託し、岡山市と津山市に開設している。

■2011.11.18  佐賀市がモデル都市に 国の発達障害者支援事業 窓口やマニュアル作成へ 大学や医療機関と連携推進
佐賀市は、国のモデル事業として、学習障害など発達障害のある人たちの支援態勢づくりを進めている。大学や医療機関と連携。新たな診断、相談の窓口を設け、市役所のサービスを安心して利用してもらえるよう、全庁職員で共有する発達障害者への対応マニュアル作りに取り組む。

都道府県や政令指定都市を除く自治体では、専門家の人材不足などから、発達障害者への支援に取り組んでいるケースが少ない。このため厚生労働省は本年度から「発達障害者等支援都市システム事業」を開始。これから支援事業に乗り出す自治体の参考となるモデル都市として全国で5市町、九州では、2006―08年度に発達障害者の教育支援に取り組んできた佐賀市が唯一選ばれた。  
 
発達障害者は、初めての場所だと不安が高まったり、自分の話したいことしか口にせず会話がつながらなかったり、読み書きが苦手だったりと、日常生活を送る上でさまざまな困難を伴う。市障がい福祉課によると「診断する場がない」「市役所の手続きは複雑で、利用しにくい」などの意見があったため、取り組みを始めたという。  
 
市は4月、社会福祉士の資格を持ち、個室で利用可能な福祉サービスを紹介する専門相談員を同課に配置。大学教授や小児科医などで必要な支援策を探る委員会を設置。乳児を対象とした発達障害の診断窓口として、委員の1人が小児科医を務める肥前精神医療センター(吉野ケ里町)に協力を求めた。  
 
12月からは発達障害者が市役所の行政サービスを利用しやすくなるよう、申請手続きを絵で図示した上で個別に応対するなど、対応マニュアル作りに着手。成人の発達障害者に住民票の発行や転居手続きなどを体験してもらい意見を集約、3カ年計画で全庁の窓口で対応できるようにする。  
 
名前や保護者・福祉施設の連絡先、パニックに陥った場合に落ち着かせる方法を記載したカードも製作し希望者に配布する予定。来年冬には市の取り組みを紹介するシンポジウムを行い、市民への啓発も進める。  
 
本年度の事業費は1421万円で国が半額を補助する。同課の大松明浩係長(47)は「発達障害者は周りのちょっとした気遣いでスムーズに生活できる。早期に発見し丁寧に指導することで社会への適応力は身に付く。取り組みを成功させ、全国に支援の輪を広げたい」と意気込んでいる。

■2011.11.19  福祉施設パンづくり全国Vへ意欲 豊見城
全国のパンや菓子を製造する福祉施設が競う「第5回チャレンジドカップ」(主催・同実行委員会)で、市渡橋名の障害福祉サービス事業所「ひまわりファクトリー」(井上真由美管理者)利用者らのチーム「とみぐすくサンフラワーズ」が、パン部門で2次に渡る予選を通過した。26日、神奈川県での決勝大会へ出場する。同事業所は2007年にも同部で優勝しており、メンバーは「ぜひ制覇したい」と意欲を燃やす。

同大会は隔年開催。今年はパン部門に31、菓子部門に33の計64チームが応募。写真や製品送付による2度の審査を経て、実際に調理をして競う決勝にはそれぞれ8チームが出場する。
 
「とみぐすくサンフラワーズ」は同事業所で一般就労を目指し頑張る人々。金城歩(あゆみ)さん(25)と當間ひろみさん(20)、照屋美奈子さん(33)と、パン担当職員の仲宗根保(たもつ)さん(34)だ。
 
仲宗根さんが、07年に優勝した時のパン「カンパーニュ」を基に、県産小麦を使用した生地にドライフルーツやクルミ、レーズンなどを練り込んだ「フルーツブロード」を開発し応募。決勝に備え、仕込みから焼き上げまで、本格的な練習に打ち込む。
 
4年前に優勝を経験した金城さんは「2度目の制覇を目指します」と決意。丁寧な作業が持ち味の當間さんは「パンを作るのは好き」。大会で選手宣誓する照屋さんは「パンは一度にいろいろな味を楽しめる。2人の足手まといにならないように頑張る」と気を引き締める。仲宗根さんは「優秀で言うことのないメンバー」と、手応えを語る。

■2011.11.19  発達障害  高知県が研究機関
来春 スウェーデンの教授協力

自閉症や注意欠陥・多動性障害(ADHD)など発達障害の子どもの診療体制を充実させるため、県や県立療育福祉センター(高知市若草町)、高知大などは来年4月、同センターに研究機関を設置する。発達障害研究の先駆者、スウェーデン・ヨーテボリ大のクリストファー・ギルバーグ教授(児童青年精神医学)が協力し、県内の精神科医や小児科医が定期的に集まり、臨床研究などを通じて専門医としての力をつける。

センターの名称は「高知ギルバーグ発達神経精神医学センター」。18日に県庁で、ギルバーグ教授が同センターを指導・助言する協定を尾崎知事と結んだ。県によると、自治体と大学が連携して同様の研究機関を設けるのは全国でも珍しいという。
 
県教委が2009年に行った調査によると、県内の公立小中学生で発達障害の可能性がある児童、生徒は5・1%。同年の県立療育福祉センターの発達障害の受診者数は5574人に上り、10年前と比べ3倍に急増している。県は「発達障害の早期発見、支援体制が必要」として、高知大と姉妹校提携を結ぶヨーテボリ大のギルバーグ教授に協力を求めていた。
 
計画では、10人の医師が週1回、同センターで研究会を開催するほか、ヨーテボリ大に医師を派遣して専門医を養成し、研究成果を県の障害者施策に反映させる。ギルバーグ教授も年に1回、同センターで講演会などを開く。
 
調印式でギルバーグ教授は「取り組みを通じて発達障害の子どもや親のサポート策を考えていきたい」と話し、尾崎知事は「発達障害研究の最先端を担う機関になれば」と期待を込めた。

■2011.11.19  障害者美術館:高知に専用収蔵庫、全国初の設置
精神障害者らが描いた絵などを集めて公開する専門の美術館「藁工(わらこう)ミュージアム」が12月23日、高知市にオープンする。埋もれた才能を発掘しようと、学芸員が高知県内の病院や作業所、養護学校など約30カ所を回り、芸術性あふれる作品を収集している。専用の収蔵庫を備えた障害者アートの美術館は全国初で、顧みられることのなかった作品が「芸術」に生まれ変わろうとしている。

同県で障害者福祉施設を運営するNPO法人「ワークスみらい高知」が中心となり、日本財団の支援を受けて準備してきた。稲わらの倉庫として使われていた建物を美術館に改装し、国の雇用対策交付金で学芸員を雇用。開館後は福祉事業所の形態で運営し、障害者約10人もスタッフとして迎え入れる。収蔵するのは絵画や版画などの平面作品中心だが、将来はオブジェや彫刻にも幅を広げる。
 
目玉作家の一人は、今年3月に62歳で亡くなった茨木隆敏さん。雲や布団、地図などを好んで描き、アクリル絵の具を同じパターンで繰り返し塗り込む作風で、見る人を異空間に引き込む。
 
同県中土佐町出身の茨木さんは、カツオ漁船の乗組員をしていた20歳ごろに統合失調症を発症し、亡くなるまで県内の精神科病院で暮らした。「坂本龍馬の霊が乗り移って描いている」と周囲に説明し、鼻歌を歌いながら一日中、絵筆を握っていたという。
 
茨木さんの絵に芸術性を感じたのは、作品収集を担当する画家の山中雅史さん(50)。病院で作業療法の絵画講師を務めるうち、魅せられたという。大規模な個展を開こうという矢先に茨木さんが他界。山中さんは「茨木さんのような現代美術の尺度では測れない素晴らしい作品に光を当てたい」と話す。
 
障害者ら専門的な美術教育を受けていない人たちによる作品を「アウトサイダー・アート」と呼ぶことがあり、近年、国内各地に専門の美術館が誕生しているが、大がかりな収蔵設備まではない。大阪市立美術館の篠雅廣館長は「美術の主流とは違うと言われるが、何かを感じて制作するという態度は同じ。従来の美術の在り方に課題を突きつける」と指摘している。

■2011.11.19  肢体不自由児自立へ「教科書」作成 横浜の特別支援学校
横浜市南区の市立中村特別支援学校(佐塚丈彦校長)の教員が、肢体不自由児の「自立活動」の授業の“教科書”を自ら作り上げた。その取り組みが評価され、同校は第42回博報賞(博報児童教育振興会主催)を受賞した。

教科書「わたしたちのうんどう」は、うんどう指導部の西郷建彦教諭(54)ら3人が中心になって作った。手や足の感覚を磨いたり、上手な呼吸法を身につけたりする訓練方法を、イラストや人形の写真などを交えて視覚的に紹介している。いずれも子どもたちが一斉に取り組める内容になっている。

「自立活動」は、障害に応じて運動やコミュニケーションなどの訓練をする授業だ。ただ、具体的な指導書はなく、教員の裁量に任されている状態。重度の肢体不自由児が通う同校でも、歩行器に乗って動き回るのが好きな子は、ずっと動き回っているだけなど、体系的な指導はできていなかった。

「これでは世話しているだけで、教育ではない」。西郷教諭らはそんな思いから2008年から教員向けの教科書づくりを始めた。教育である以上、みんなで一緒にできて、安全で少しでも効果が上がるカリキュラムを作りたい。解剖学や生理学を学び直し、専門の医師にも助言を求めて、09年春に初版が完成した。

教員の知識や力量に差があっても、同じ教室で一緒に取り組める。授業に使ってみると、子どもたちは隣の子の頑張りに刺激され、積極的に体を動かすようになった。保護者も家庭で予習、復習できるようになった。

使ってみた教員の感想を聞いて改善を重ね、よりわかりやすくと、写真やイラストを増やした。写真にモデルとして登場する人形は、人形づくりが得意な教諭が担った。現在、授業で使っているのは第3版。さらに、出版社から書籍として出版する計画もある。

西郷教諭は、「この教科書が、全国の実践者に知れ渡ってほしい。批判でも何でも意見を寄せてくれる人がいれば、さらによいものができる」と話している。

■2011.11.20  1文字ずつ手作業で印字 英訳の中尊寺願文Tシャツ
一関市大東町大原の障害者福祉サービス事業所室蓬館(しっぽうかん)(金野育朗施設長)は、「中尊寺落慶供養願文(がんもん)」を英訳したTシャツの印刷を手掛けている。利用者が一文字一文字丁寧に転写。利用者の丹念な手仕事が、奥州藤原氏初代清衡の平和思想PRを後押ししている。

室蓬館の20代男性利用者が、アルファベットの小さな文字に沿って、金色のシートをナイフで切り取り、Tシャツに熱転写する。手先の器用さと根気が必要で1日に制作するのは5枚程度。シルクスクリーンでの印刷も行うが、熱転写の方が仕上がりが良く長持ちするという。

通訳ガイドの菊池敦子さん(一関市大東町)が中心となり1年ほど前から準備を進め、中尊寺の協力を得て作製した。

英訳は平泉町在住の英国人千葉ローズマリーさんが担当。一関市大東町の障害者福祉サービス事業所「室(しっ)蓬(ぽう)館(かん)」で印刷した。

同プロジェクト事務局の菊池敦子さんは「中尊寺落慶供養願文は、世界遺産に認められる理由となった平泉仏教文化の精神的なエッセンスが込められている。Tシャツが平泉PRと、施設利用者の生産活動の助けになってほしい」と願う。

Tシャツは1枚1800円(シルクスクリーン印刷は1500円)。毛越寺、中尊寺の売店などで販売している。問い合わせは菊池さん(ファクス兼用0191・75・3265)へ。


■2011.11.20  「震災と自閉症児」考える 盛岡でシンポ
世界自閉症啓発デーin岩手(県自閉症協会主催)は19日、盛岡市三本柳のふれあいランド岩手で開かれた。「被災時の支援と今後の課題〜東日本大震災の現状から〜」と題したシンポジウムでは、自閉症の子を持つ親や福祉関係者らが発達障害のある子を取り巻く現状を報告し、支援の課題や方向性を考えた。

宮古圏域障がい者福祉ネット「レインボーネット」の高屋敷大助相談支援員は震災時の障害者支援活動を振り返り、「緊急時、避難所で障害者をカバーするのも限界があるのは確か。障害者専用のスペースや福祉避難所拡充など平時からの準備が必要」と訴えた。

進行役の小川博敬同協会副会長は「非常時にどれだけ障害理解が得られるかは難しい問題。障害の度合いに応じた『トリアージ』的な支援の発想も視野に入れておくべきかもしれない」とし「避難時だけでなく、これからの仮設住宅での生活支援も今後の重要なテーマ」と総括した。


■2011.11.20  福祉・介護職員17%が60歳超 島根県
島根県内の福祉・介護分野の事業所で働く5人に1人が60歳以上であることが18日、県の2011年度調査で分かった。一方、就職から3年未満の離職率は約6割に上り、介護と福祉の現場を支える担い手の育成と定着が課題となっている。

2008年度に続く2回目の調査。今年7月1日時点で県内の特別養護老人ホームや通所介護施設902事業所を対象に実施し、半数を上回る490事業所から回答があった。

490事業所の職員総数は9525人。うち60歳以上は1692人と、全体の17・8%を占めた。最も多かったのは50代の2439人(25・6%)。一方で10、20代は1646人と17・3%にとどまった。

雇用形態でみると、非正規職員が4424人と、46・4%と半数に迫る。うち60歳以上は1452人に上り、非正規の3割強を占めた。

過去1年間で離職した職員は1041人に上った。うち59・5%の619人が勤続3年未満の離職者で、依然として人材が定着しにくい実情を裏付けた。

離職理由(複数回答)については「本人・家庭の都合」が305人(29・3%)に上り、最多となった。「健康上の理由」が123人(11・8%)と続いた。

■2011.11.22  沖縄県、介護報酬不正請求で3事業所処分
県高齢者福祉介護課は21日、介護報酬を不正に請求したとして、名護市の高齢者在宅複合型施設「羽地苑」(社会福祉法人翠泉会、玉城幸雄理事長)の短期入所生活介護(ショートステイ)事業所など同法人が運営する3事業所の指定効力を、来年1月から最長3カ月にわたり一部停止する行政処分を発表した。法人側は不正を認めており、(利用者の)定員超過などを理由にしている。

効力停止の内容は(1)新規利用者の受け入れ停止(2)介護給付費の請求上限を7割―で、停止期間は短期入所事業所が来年1月から3カ月間、日帰りの通所介護(デイサービス)と居宅介護支援事業所の2事業所が同月から1カ月間。

短期入所事業では、実際の利用日と異なる日にサービスを提供したと虚偽の報告をし、不正に介護報酬を請求。2009年4月〜11年3月で9日間の不正請求が確認された。

また、短期入所の利用実績を、日帰りの通所介護に置き換えて報酬を不正請求。同期間内に39日間確認された。

不正請求額は現在、名護市などの保険者が精査中。今後、保険者・利用者への返還を求める。

県はことし7月、名護市の報告を受けて7〜10月に同苑を指導監査。不正が確認されたため、11月18日に処分を通知した。


■2011.11.22  介護職員が辞めない4つの秘訣 人件費7割の老人ホームに見る定着の手立て
アルバイト採用・育成に役立つ求人情報サイト「anレポート」を運営する株式会社インテリジェンスは、anレポート内の「史上最前線レポート」で『介護職員が辞めない4つの秘訣 −人件費7割の老人ホームに見る定着の手立て−』を発表した。

同レポートでは、パートの雇用環境の改善に取り組んでいる事業体として、東京都より「非正規労働者雇用環境整備支援事業モデル企業」の指定を受けている社会福祉法人白百合会が運営する「特別養護老人ホーム 増戸ホーム」を紹介。

一般に、介護職員の離職率は2010年度で19.1%で、およそ5人に1人の割合で辞めている状況。さらに、離職者のうち1年未満で辞めた人は43.5%に上るが、増戸ホームの介護職員は平均勤続年数が約7年、勤続10〜20年のベテランも複数いるほど、非常に定着率が良いという。高い定着率の理由を施設長の渡邊哲伸さんに聞いた。

まず一つは、正規・非正規の職員相互転換制度によるところが大きいという。この制度は、本人の希望や資格・能力などによって、パートから正職員へ転換できるだけでなく、ライフステージに合わせて正職員からパートへも相互転換を可能にした制度である。

「パートから正職員への転換条件は、(1)介護福祉士の資格を取得していること、(2)夜間勤務ができること、(3)介護主任者の推薦があることの3つです。これさえクリアすれば、誰でも正職員になれます。反対に、子育てや健康上の理由などから夜勤が難しくなり、一時的に正職員からパートに転換する人もいます」

この制度は、資格を持たないパートの資格取得に対するモチベーションアップにもつながっているという。「働きながら資格を取ろうとしても、日々の忙しさに追われて、なかなか勉強時間がとれないのが現状です。それでも正職員になるという目標があるから、頑張れるようですね」。実際、これまでにパートから正職員になった人は4名おり、現在もパート10名のうち、3名が介護福祉士の資格取得に向けて勉強中だ。

給与面では、正職員とパート間に区別を設けないようにしている。例えば、パートの時給は870円からと決まっており、2年ごとに30円昇給する。昇給には査定はなく年功制で、これは正職員も同様。また、夜勤手当や職務手当、通勤費手当なども、パート・正職員に関係なく支給するほか、健康診断の実施や福利厚生施設の利用も、パートに対して保証している。さらに、賞与も正職員同様、パートにも一律3.8カ月分を支給、退職金も正職員と同じ基準になっているという徹底ぶり。

このように賃金・福利厚生面において、正職員とパートの格差をできる限り小さくしていることが、スタッフ間の対等な関係構築を促進しているという。

「多くの介護施設で課題になりがちなのが、パートと正職員とで給与や仕事内容に差があるために、パートの方が『これ以上はやらない』とか、反対にパートの方が自主的に頑張ろうとしても、『そこまでしなくていい』と否定されてしまうようなケースです。それでは、お互いにやる気が下がってしまう。うちの施設では、誰が正職員でパートかとか、介護職か看護職かなどを区別しない雰囲気があり、正職員とパートの間に壁や上下関係がありません。ですので、正職員もパートも対等な立場で、より良いサービスのために意見を言い合っています」

■2011.11.22  聴覚障害児の通学時間改善を 京都府教委に親たちが改善要望
京都府南部の聴覚障害児が長い通学時間を強いられている問題の改善を求め、親たちでつくる「京都聴障児親の会」が21日、府教委を訪れ、教育長あての要望書を出した。木津川や宇治、京田辺など6家族と関係者ら11人が参加した。

府内の聴覚障害児の専門施設は、乳児期には上京区の京都市児童福祉センターにある「うさぎ園」、3歳以上の場合は右京区の府立聾(ろう)学校と舞鶴市の分校しかない。これ以外に、京都市には2小学校と1中学校で難聴学級がある。かつては府南部から近い奈良県立ろう学校(大和郡山市)に通えたが、奈良側の事情で2000年以降、京都側から入学できなくなった。

こうした事情を背景に、親の会は、府立宇治支援学校に今春開設された障害児支援のためのスーパーサポートセンター(SSC)内で乳児期の療育を充実させることや、聾学校幼稚部の分室の開設、府南部の公立小中学校に難聴学級を開設することなどを求めた。

中学1年の長女が聴覚障害2級という会長の福田全克(まさ・かつ)さん(49)=木津川市=の家族はいま、妻と長女が京都市内に住む二重生活を強いられている。小学校は地元の学校に通ったが、中学になると、難聴学級のある二条中学に行きたいと長女が希望したためだ。幼稚部時代は母子で片道2時間かけて聾学校に通った。

福田さんは「時間がかかりすぎて子どもや家族が疲弊するのは不幸なこと。解消してほしい」と訴えた。

一方、府教委側は、聴覚障害の専門家も配置しているSSCの活用と充実を考えたいとの意向を示した。

■2011.11.23  障害福祉サービスの収支改善
厚生労働省は、障害福祉サービスを提供する事業所に支払う報酬について、平成24年度改定に向けた検討チームの初会合を開き、基礎資料となる22年度の事業所の経営実態調査を公表した。経営状況を表す収支差率は全体で9.7%のプラスで、前回調査の19年度比3.6ポイントの改善となった。

報酬改定は3年ごとで、18年の障害者自立支援法の施行後、2回目となる。検討チームは、年末の予算編成で改定率が決まるのを受け、24年1月までにサービスごとの改定案をまとめる。

調査は、全国の施設や事業所1万5247カ所を対象とし、4336カ所から有効回答を得た。

収支差率は、自立支援法に基づき新しいサービス体系に移行した事業所では12.2%(19年度比6.8ポイント増)、移行していない事業所では7.6%(0.6ポイント増)。サービスの種類別では居宅介護が16.1%(24.0ポイント増)となるなど、ほぼすべてのサービスで収支がプラスだった。

職員の年収は、居宅介護の常勤ホームヘルパーが257万8000円で、17万3000円の改善だった。

■2011.11.24  ヤマト福祉財団/障がい者の職務拡大で小倉昌男賞を2名に
ヤマト福祉財団は11月24日、「第12回ヤマト福祉財団小倉昌男賞」の選考委員会を開催し、2名の受賞者を決定した。

選ばれた2名は、これまでの就労支援の取り組みに加え、障がい者の職務拡大や生活・経済的自立を実現する新たな「しくみ」を創りだした事が、高く評価された。

受賞者は清田廣大阪聴力障害者協会(大阪市)副会長と、柴田智宏蒜山慶光園(岡山県真庭市)理事、ワークスひるぜん(岡山県真庭市)所長の2名。

なお、「ヤマト福祉財団小倉昌男賞」は、障がい者の仕事創りや雇用の創出・拡大、労働条件の改善などを積極的に推し進め、 障がい者に働く喜びと生きがいをもたらしている人々を対象に、毎年2名を選定している。

■2011.11.24  社会福祉法人が運営する施設の嘱託職員が入所者の女性に性的行為(広島県三原市)
三原市の社会福祉法人が運営する施設の嘱託職員が入所者の女性に性的行為をしたり、入所者から預かった金を私的に使ったりするなどしていた問題で、広島県の湯崎英彦知事は22日の記者会見で「言語道断」と述べ、事実関係の確認に努める考えを示した。

法人は、関係した職員3人を昨年6月から今年6月までの間に依願退職させた。法人は県に報告していなかった。10月下旬に外部から通報を受けた県はこれまでに4回、監査を実施し、調査を進めている。

湯崎知事は「職員は障害者を保護、支援する立場。社会的使命に反する行為は残念で、県に報告がないのも非常に遺憾。事実関係を確認して適切に対応したい」と述べた。

■2011.11.27  第5回チャレンジドカップ
パンや菓子を製造する全国の福祉施設が実技で競う第5回チャレンジドカップ・決勝大会(主催・同実行委員会)は11月26日、横浜市で行われた。

チャレンジドカップとは、障がいのある方のパン作り、お菓子作りに取り組む施設が競い合う、2年に1度の大会である。

--金賞 「自家製小麦を使った3種のベリーとナッツのパン 僕らでうまいパンをやきあげるぞ」 神奈川県
--銀賞 「オレンジリングデニッシュ」 あすなろ学苑  神奈川県
--銅賞 「フルーツブロード」 とみぐすくサンフラワーズ  沖縄県

■2011.11.29  達成企業の割合、佐賀がトップ 障害者の法定雇用率
佐賀県内の企業(従業員56人以上)の障害者雇用率(6月1日現在)は2・16%で、前年と同じく全国3位だった。法定雇用率を達成した企業割合は68・1%で、2位島根に3・5ポイント差をつけ、2年ぶりの全国一に返り咲いた。

法定雇用率1・8%が適用される従業員56人以上の民間企業464社を佐賀労働局が調査した。10年7月から、これまで算定していなかった身体・知的障害者の短時間労働者(週20〜30時間)を0・5人とするなどの改正があり、前年との単純比較はできない。

県内の労働者数は8万557人で、このうち障害者数は前年より130・5人増の1742・5人。障害者雇用率の全国平均は1・65%で、佐賀は山口(2・24%)、福井(2・19%)に次いで3位だった。

法定雇用率達成企業は、前年より17社多い316社。達成率は68・1%で全国平均(45・3%)を大きく上回り、2位の島根に3・5ポイント差をつけ2年ぶりの全国トップになった。未達成のうち、不足数が1人以下が104社で、佐賀労働局は「あと1人の雇用で達成できる企業を重点的に回り、個別指導していく」とする。

雇用率2・1%(佐賀県教委は2・0%)が適用される県や市町の31機関のうち、未達成は伊万里市、小城市、基山町、上峰町、みやき町、佐賀市水道局、小城市教委。同局は「公的機関の取り組みが鈍く“民高官低”。民間の範となる立場にあり、早期達成に向けて指導を徹底したい」と話す。

■2011.11.29  介護給付費の不正請求で居宅介護事業所、指定取り消し―大阪
障害者自立支援法上の介護給付費を不正請求し、受領したとして、大阪府は11月26日、「シクロ」(大阪市)の居宅介護事業所「ヘルパーステーションシクロ」(同)の同法に基づく指定を同日付で取り消した。

府によると、同事業所は昨年2月から11月にかけて、実際には行っていない入浴介助や家事援助などのサービス提供の記録を虚偽に作成し、介護給付費を不正請求した。また、昨年12月には、ヘルパーが作成した散歩中心のサービス提供記録を、他の従事者が通院等介助などの記録に改ざんして不正請求していた。
 
介護給付費を支給した大阪市では、不正請求額24万円余りに加算金を合わせた約34万円の返還を求める方針。

このほか、指定が取り消されたことに伴い、大阪市では同事業所の移動支援事業への登録を同日付で取り消したと発表した。

■2011.11.30  みのり福祉会不適正支出:元県議、参考人招致へ−−県議会委 /鳥取
元県議の村田実氏が理事長を務めていた社会福祉法人「みのり福祉会」(倉吉市、村田速実理事長)の不適正支出問題で、県議会福祉生活病院常任委員会は29日、村田実氏を同委員会に参考人招致することを決めた。

同委員会では、出頭を拒否できる「参考人招致」ではなく、地方自治法に基づき、強制的に招致でき、証言を拒むことができない「百条委員会」に付するべきだという意見もあった。

森雅幹議員(絆)は「県議会として大きな責任があり、その対応を県民はよく見ている。本当に信頼される議会になりうるかの分岐点」、市谷知子議員(共産)も「県議会の信頼にかかわる重要な問題。全容解明をしなければいけない」と話し、百条委員会を開くことを求めた。

ただ百条委員会を開くには、議会で過半数の議決を得ることが必要。山口享議員(自民党)は「常任委員会で決定できるのは参考人招致まで。百条委員会ではなく、最初は参考人招致でいいのではないか」と提案。他の3人の自民党議員も「参考人招致を開いてダメとなれば、百条委員会でもいいが、まずは参考人招致から」などと話した。

最終的に、参考人招致を開くことで話がまとまった。浜田妙子委員長(絆)は「県の追加調査の状況も見ながら、集中審議を重ね、日程やどの部分をどのように聞くのかを詰めていきたい」と話した。

■2011.11.30  福祉送迎バスに女性ひかれ死亡 北見
29日午後4時30分ごろ、北見市高栄西町9の市道交差点で、横断歩道を渡っていた女性が、同市川東の社会福祉法人「川東の里」の送迎用大型バスにひかれ、頭などを強く打ち死亡した。バスに乗っていた同法人の施設利用者ら13人と運転手にけがはなかった。

北見署は自動車運転過失致傷の疑いで、バスを運転していた同市川東、臨時職員除内(よけうち)晴重容疑者(64)を現行犯逮捕した。同署によると、女性は身長150センチで白髪交じり。右膝に手術の痕があるといい、身元を調べている。

■2011.11.30  ミュージカル:収益金、「ケアホーム」建設費用に・尼崎 /兵庫
尼崎市の社会福祉法人「あぜくら福祉会」の施設利用者の保護者らでつくる後援会が12月2日、同市昭和通2のアルカイックホールで劇団「わらび座」によるミュージカル公演「アトム」を企画している。同福祉会は、障害者が介助を受けながら共同生活を送る「ケアホーム」の建設を進めており、収益金が建設費用に充てられる。公演の前座では、福祉施設に通う障害者が歌や踊りを披露する。

ケアホームは親が亡くなったり自立生活を目指す障害者が、仲間と一緒に住み慣れた街で暮らすことを目的とした共同住宅。

同福祉会が運営する施設には、知的障害がある10〜60代の男女約80人が通っている。保護者からの要望を受け、同市若王寺1に取得した約1000平方メートルの土地に、約40人が暮らせる5棟のケアホームを計画。2棟が完成している。

16人の障害者が暮らし始めたが、残りの3棟については資金のめどが立たず、後援会は継続してイベントを開催するなど、資金調達に奔走している。

ミュージカルは、ヒト型ロボットが人間への服従を強いられる時代を想定したストーリー。同福祉会は「差別や平和、愛など深いテーマが共存してる物語」とPRする。

■2011.11.30  【つながる 支える・悲劇をなくすために】地域連携 学校にも「福祉の目」を
「こんな子、教室にいませんか?」。学校を拠点に、生徒の家庭の問題まで支援するスクールソーシャルワーカー(SSW)の梶谷優子さん(42)が、担当する福岡市内のある小学校で教員たちに質問した。

何日も服を替えない、気分のむらが激しい、感情のこもらない目で人を見る−。「大勢いますよ」。教員が何げなく答えると、梶谷さんが指摘した。「それは育児放棄されている可能性のある子の特徴です」。教員たちは驚き、考え込んだ。3年前の夏のことだ。

梶谷さんが福岡市で活動を始めて4年目。過去3年で虐待の兆候に気付き、児童相談所(児相)に保護してもらった児童生徒は、小中学校3校の計12人。教員が見過ごしていた例が多かった。

6年勤めた障害児施設で、虐待を受けて施設に身を寄せた子たちと接してきた。授業や集団活動を乱し教員が敬遠しがちな子でも、梶谷さんは頭ごなしに怒らず、その声に耳を傾ける。「福祉の現場では、どんな状態の子でも寄り添うことから始めますから」

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学校は子どもに携わる最前線。だが、家庭内で起きる悲劇への対応には必ずしも積極的とは言えない。

「学校がしないなら私が通告します」。担当する小学校で、育児放棄されている児童が見つかった。対応をめぐり、意見が割れた。児童の安全最優先で児相への通報を急ぐ梶谷さんと、保護者との関係悪化を心配する校長。「様子を見てたら子どもが死んじゃいます」。最後は梶谷さんが押し切った。

福岡県立大(田川市)の2008年の報告書によると、調査対象の教員や保育士530人のうち9割が虐待通告に積極的な姿勢を示した。ただ、8割超が通告する場合、「虐待の確証」や「所属長の了解」が必要と条件付きだった。

一方で、教員たちも重い腰を上げざるを得なくなっている。育児放棄の要因になる貧困状態にある家庭の増加が指摘されているからだ。SSWとともに生活保護の申請方法を保護者に助言するなど、生活改善を後押しすることも珍しくない。

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一歩踏み込む「意識」があれば−。そう思われる事件が起きたのは8月。長期欠席していた熊本市の女子中学生が宗教施設で、「滝行」と称して父親らから顔に水を浴びせられ、窒息死した。

あれから3カ月。熊本県教委は事件を受け、小中学校の長期欠席者の実態を調査。半年以上欠席し、本人と接触できずにいる中学生6人を確認した。今後、本人と接触できるように家庭訪問を続けていくという。

なぜ事件前に、踏み込めなかったのか。熊本市教委の担当者は「保護者と学校の関係は良好で、不審な点もなかった。専門の病院に通っており、静かに見守った」と説明。「想定外の事件」だと強調する。ただ、女子生徒の担任が6回家庭訪問しながら、最後まで生徒と直接会えなかったのに学校側は「異常事態」とは捉えなかった。

学校、行政、地域、警察…。子どもの安全を守るため関係機関の連携の大切さは繰り返し指摘される。「虐待を防ごうとするなら、みんなが一歩でも守備範囲を広げないと」。熊本市教委のSSW古閑智子さん(37)は、自戒を込めてそう語った。

2011/11/30付 西日本新聞朝刊

■2011.11.30  障害ある子、普通学校通いやすく 介助員もケアOKに
たんの吸引などの医療的ケアが必要な児童生徒が普通学校に通いやすくなる。文部科学省が29日、一定の研修を受けた介助員らがケアを行うことを認める指針を定めた。障害を持つ子の就学先を広げるのが狙いで、来年度から実施する。

頸椎(けいつい)損傷や脳性まひなどの障害のために自力でものをのみ込めない人は、たんを機器で吸引したり、流動食を取るチューブを鼻から通したりする必要がある。

こうしたケアは現在、家族か看護師などの医療職にしか認められていない。普通学校では保護者が日常的に付き添う必要があり、医療職のいる特別支援学校に通わざるをえないケースが多かった。

しかし来年4月からは社会福祉士及び介護福祉士法の改正により、都道府県の登録機関で9時間の講義と実地研修を受ければ誰でも介助員として特定の人への医療的ケアができるようになる。

 

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