残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2011年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

 2011. 2. 1 初の国産「電子白杖」発売へ 輸入品の半額程度に
 2011. 2. 1 3月まで最終実習 労働局が実態調査へ
 2011. 2. 1 宇部市が行った障害福祉アンケート調査 周囲から「理解されていない」と感じる人は4人に1人
 2011. 2. 1 「印税で返す」と現金詐取容疑「障害者福祉訴え全国行脚」の男
 2011. 2. 1 箕面市の障害者就労支援制度の導入検討- 厚労省方針
 2011. 2. 2 医療・福祉産業給与、前年比3.1%減−厚労省
 2011. 2. 3 福祉法人がパー券購入 長崎県が改善勧告 長崎県
 2011. 2. 3 元介護士、障害者ら114人に性的虐待 1歳児も被害に スイス
 2011. 2. 3 平成22年度全国老人福祉施設協議会の広報コンテスト
 2011. 2. 3 移動車で焼き芋販売 知的障害者通所施設「ほっと」 静岡
 2011. 2. 4 城里の介護施設、インフルで2人死亡 23人集団感染 茨城
 2011. 2. 4 入所者の預金に手 沼津、窃盗容疑で元施設長逮捕 静岡
 2011. 2. 5 知的障害者入所施設 近江学園の入園生が入浴中に死亡
 2011. 2. 7 特養老人ホーム入所への待機期間は平均1年3か月、最長11年
 2011. 2. 8 大阪府、福祉サービス事業者の指定取り消し 約1190万円を不正受給
 2011. 2. 9 障害者への消費者教育の重要性が高まっています
 2011. 2. 9 業者に月数十万円の手数料請求 大村氏元秘書関係の会社
 2011. 2.10 入所者に暴言、市が改善指導 四街道の特養ホーム 千葉県
 2011. 2.10 介護福祉士国家試験受験者過去最高、16万5千人に
 2011. 2.10 有料老人ホーム契約解除 たった1か月で800万円失った例も
 2011. 2.12 特養老人ホーム 日本一入りやすいのは富山、難しいのは三重
 2011. 2.13 特養老人ホーム待機者は42万人 専門家「10年後はもっと酷い」
 2011. 2.14 無資格ヘルパーで不正請求、指定取り消しへ- 三重の訪問介護事業所
 2011. 2.14 接待の職員3人を厳重注意=全精社協から飲食−厚労省
 2011. 2.15 虚偽の指定申請や低賃金就労で指定取り消し- 大阪府
 2011. 2.15 流用:むつ市社協女性職員が380万円 減給に /青森
 2011. 2.16 知的障害者施設入所者に性的暴行 容疑の元職員を逮捕
 2011. 2.16 盲導犬をPR「デモ犬ジャー」大阪
 2011. 2.17 罪を犯した知的障害者支援 専門家が実践書発刊
 2011. 2.17 ねむの木学園元職員1500万円詐取容疑 数億円被害
 2011. 2.18 特別支援学校高等部 職業訓練に“お墨付き”
 2011. 2.19 障害者施設 施設長が窃盗で逮捕 市や都、「紛失」通報放置
 2011. 2.20 「仕事に対するひたむきさ生かしたい」、障害者自立へ企業に“橋渡し”新事業が軌道に 海老名市
 2011. 2.20 障害者ショップ“出張”/イオン綾川にぎわう 香川
 2011. 2.21 オリーブオイルが認知症を防ぐ? オレイン酸に秘密
 2011. 2.22 求職支援事業で290万円不正受給 大田原の社団法人
 2011. 2.22 指定取り消し、10年間で777件−介護保険施設や事業所
 2011. 2.22 虚偽報告でGHの指定効力一部停止へ−茨城・つくば市が行政処分
 2011. 2.22 受給者増加、費用額減少−介護給付費実態調査・12月分
 2011. 2.23 公然わいせつ容疑で介護福祉士の男逮捕 群馬
 2011. 2.23 社会福祉法人背任 ひたちなか市議ら3人を起訴
 2011. 2.23 福祉ナビ:高齢者や障害者と一緒に暮らす共同住宅って?
 2011. 2.24 介護記録に実際と異なる記載 運営法人が発表
 2011. 2.28 知的障害の女性に路線バス内でわいせつ行為の男に懲役7年6月
 2011. 2.28 就労通じ障害者支援、一般就労に近いA型方式でパン工房開店へ/大和


■2011.2.1  初の国産「電子白杖」発売へ 輸入品の半額程度に
秋田県立大の岡安光博准教授が開発した初の国産「電子白杖(はくじょう)」を、秋田精工(同県由利本荘市)が4月に発売することになった。外国産の同種の製品に比べ半額程度に抑え、軽量化も図ったのが特徴。県は新年度から購入費用を助成する方針で、産学官が連携して普及を目指す。

電子白杖には前方や上方に向けたセンサーが取り付けられ、障害物を感知すると振動で伝える。通常の白杖を利用する視覚障害者にとって悩みである高いところの障害物を把握できるのが強みだ。
岡安准教授によるとイギリスやドイツ、韓国などで製造されているが一番安いものでも約8万5000円。これに対し新製品は二つのセンサーつきが4万3000円、前方は従来通りつえで確認する上部センサーつきは3万円程度の価格を予定している。
10年5月に秋田市で開かれた全国盲人福祉大会に参加した視覚障害者約100人に使ってもらった結果99%が「自分も使いたい」と回答。一方で値段を抑えてほしいという要望も多く、改良やコストダウンの取り組みを重ねてきた。
1月31日に関係者が集まり開かれた会議では、県視覚障害者福祉協会が販売の窓口となり、必要に応じて県盲学校で使用の訓練を受けることができる方針を確認した。同協会の煙山貢会長は「秋田で生まれた電子白杖を広く全国の方に使用してもらいたい」と話している。

■2011.2.1  3月まで最終実習 労働局が実態調査へ
障害者が通う埼玉県内の特別支援学校高等部の今春卒業予定者にとって、1〜3月は、就職内定を得る「最終実習」のピークだ。

ここ数年、雇用環境は改善傾向にあるが、長引く景気低迷で、今年度はいつにも増して気が抜けない。大学生らの就職難の余波を受けないかと案じる関係者も多い。埼玉労働局は近く、特別支援学校生の就職状況について初めて実態調査に乗り出す。

知的障害のある232人が通うさいたま桜高等学園。生産技術、家政技術、工業技術、環境・サービスの専門学科のみを設け、授業も職業教育が中心という。生徒たちは常時、自宅に届く求人の折り込みチラシを学校に持ち寄り、学校側は求人企業などと交渉を重ね、就職活動の入り口となる体験実習の協力を呼びかけてきた。障害者の定期採用は極めて少ないからだ。

この時期、校長室前には各生徒の実習期間などが書かれたカードがびっしりと張られる。今年度は卒業予定者77人のうち、ほぼ全員が就職を希望。勤め先が決まっていない半数の生徒たちが最終実習に臨んでいる。黒沢一幸校長は「厳しい雇用情勢下だが、全員の3年間の努力を認めてほしい」と祈るような表情だ。

県教育局特別支援教育課によると、2007年度に21・7%だった就労率(卒業者の就職割合)は、09年度には29・2%と改善。同課は、企業側のニーズを知るため、特例子会社の幹部らによる教員向けの研修を実施、実習先と生徒のパイプ役となる就労推進支援員を地域別に配置するなどの対策を講じてきた。

こうした効果もあって、専門学科の生徒の採用は好調。しかし今年度は、採用を絞り込む企業が多く、不安材料が多い。ある特別支援学校の就労支援担当教諭は「実習の受け入れに人手を割く余裕がないという企業も出ている」と明かす。法定雇用率が達成できない企業も増えるのではと予測する教諭もいる。

ある特例子会社の関係者は「企業には地域貢献や障害者らの自立支援の義務、適性に合った業務を作り出す役割もある」としながらも、「不況の影響で難しくなっている企業もあると聞く」と話す。埼玉労働局は、特別支援学校の卒業予定者について、1月末と3月末時点の内定状況などを初めて調査する方針。同局職業対策課は「専門学科の生徒は堅調だが、全体的な分析が必要」としている。

埼玉県立大学の朝日雅也教授(障害者福祉)は「職種の範囲、労働条件や待遇、就労後の継続サポートには検討すべき課題も多い。専門学科が『独り勝ち』するのではなく、ノウハウを共有して全体を先導してほしい」と指摘する。県教育局によると、今春の県立33校の卒業予定者は昨年9月現在783人。このうち就職を希望するのは241人。障害の程度などを考慮し、就職せず福祉作業所などに入る生徒も少なくない。

★特例子会社 
障害者雇用向けに作られる子会社。採用した障害者は親会社の雇用率に算定できる。障害者が5人以上おり、全従業員に占める割合が20%以上で、障害者のうち30%は重度身体障害者か知的障害者を雇うことなどの条件がある。県内には17社。親会社は鉄道、製造、小売、介護などの事業者。
★法定雇用率 
一般民間企業の場合は1・8%以上。従業員規模に応じて異なるが、上回った企業には障害者雇用調整金などが支給され、未達成の場合には雇用納付金が徴収される。

■2011.2.1  宇部市が行った障害福祉アンケート調査 周囲から「理解されていない」と感じる人は4人に1人
障害があることについて、周囲から「理解されていない」と感じる人は4人に1人。改善には▽障害者自身の積極的な社会参加▽福祉教育の充実▽地域住民との交流―などが必要と認識している人の多いことが、宇部市が行った障害福祉アンケート調査で、明らかになった。

仕事をしていないが就労意欲のある障害者は、知的が3割、身体が4割、精神は5割に達した。
調査は市障害者福祉計画の改定に合わせ、障害者の生活実態や障害福祉サービスの利用状況、今後の施策ニーズなどを把握するため、昨年8月に実施。無作為抽出した1000人(うち18歳未満の障害児は100人)を対象に行い、552人から回答を得た。

 回答者の内訳は男女ほぼ同数で、年齢は65歳以上が約半数を占めた。18〜64歳で仕事をしている人は身体で34・1%、知的は39・6%、精神は16・0%にとどまった。働いていない理由は「障害や病気が重くてできない」のほか「治療を優先したい」「自分にできる仕事、合った仕事がない」が多かった。就労に必要な環境は「身体に負担のない仕事」「周囲の人の理解」「障害に合わせた指導」を求める人が多かった。

 医療については、身体の8割、知的の6割、精神では9割の人が定期的に受診しており、「障害や病気に関する相談窓口」や「リハビリができる施設」「デイケアを受けられる施設」の増設を望む声が多い。
 障害に対する周囲の理解は25・2%が「理解されていない」と回答し、精神では4割を超えた。理解不足を感じるのは「外出時に困っていても助けてくれない」が最も多く、「外見では分からないから」などの意見もあった。
 障害者理解を深めるには、身体は「障害者自身の積極的な社会参加」、知的は「小・中学校での福祉教育の充実」、精神は「スポーツ・文化活動を通した地域住民との交流」を選んだ人が多かった。

■2011.2.1  「印税で返す」と現金詐取容疑「障害者福祉訴え全国行脚」の男
岐阜県警中津川署は1日、知人女性(41)=同県中津川市=から現金7万円をだまし取ったとして、詐欺の疑いで住所不定、無職、加藤清行容疑者(60)を逮捕した。
県警によると、加藤容疑者は足が不自由なため電動車椅子で生活。障害者福祉の充実を各地の自治体などに訴えながら全国を行脚していた。

逮捕容疑は2009年7月、富山市のホテルから知人女性に電話し「ホテル代や生活費をホテルの口座に振り込んでほしい。本の印税で返す」などと言って7万円をだまし取った疑い。中津川署によると、女性とは直前に岐阜県下呂市の福祉施設で知り合った。その後、返金されなかったため10年5月に同署に被害届を出した。逮捕時は愛知県内を移動中だったという。

■2011.2.1  箕面市の障害者就労支援制度の導入検討- 厚労省方針
民主党政策調査会の「障がい者政策プロジェクトチーム(PT)」は2月1日、16回目の会合を開き、障害者基本法改正について厚生労働省などからヒアリングした。この中で厚労省は、大阪府箕面市が独自に実施している障害者就労支援制度に、国のモデル事業として取り組むべきかどうかを検討する方針を明らかにした。

箕面市独自の制度は、一定の要件を満たす障害者事業所や社会的事業所で働いた障害者の賃金が最低賃金の額に満たない場合に、不足分を公費で賄うといったもの。
厚労省によると、同省は会合で、障害者の最低賃金を確保するために箕面市の制度をこれから研究していきたいと説明した。ただ、一律に公費が使われないのは不公平感を生むなどの意見があるとして、「(国の)モデル事業にすべきか、その是非から検討したい」(担当者)という。

■2011.2.2  医療・福祉産業給与、前年比3.1%減−厚労省
厚生労働省がこのほど発表した2010年の「毎月勤労統計調査」(速報)によると、従業員数が5人以上の事業所における1人当たりの月間の平均現金給与総額は、医療・福祉業界で前年比3.1%減の29万7647円だった。全産業の平均現金給与総額は、0.5%増の31万7092円。

医療・福祉産業には、病院や一般診療所、特別養護老人ホームなどが含まれる。同産業の所定内給与は23万4773円(前年比2.8%減)、所定外給与は1万4710円(同1.3%減)、賞与など特別に支払われた給与は4万8164円(同3.9%減)だった。

また、同産業の総労働時間は前年比0.5%減の137.2時間で、大きな変化はなかった。所定内労働時間は131.8時間、所定外労働時間は5.4時間だった。一方、労働者総数は533.9万人で、前年から3.7%増加した。入職率は0.22ポイント減の1.93%、離職率は0.15ポイント減の1.72%だった。

■2011.2.3  福祉法人がパー券購入 長崎県が改善勧告 長崎県
自民党の松田正民県議(57)=北松区選出=が理事長を務めていた佐世保市の社会福祉法人「民生会」が、施設の運営費で党県連主催の政治資金パーティーのパーティー券計350万円分を購入するなどの不適正な支出をしていたとして、県から改善勧告を受けたことが2日、分かった。

改善勧告は1日付。法人の支出のうち、2006年から3回分の「党県連セミナー」のパーティー券のほか、被服費など120万円が不適正とされた。また同法人の職員2人が勤務時間中に松田氏の後援会活動に従事するなど明らかに法人と無関係な業務をしていたとして、県は是正を求めた。

松田氏は2日、県庁で会見し「認識が甘かった。深く反省している」と陳謝。指摘を受けた計470万円のうち450万円を返済したことや、業務外の仕事に従事していた対象者を人事異動させたことなどを説明した。理事長職は、1月31日付で辞任したという。

県によると、昨年11月の定期監査前に「民生会が不正支出をしている」との情報提供があり、同監査で不正を発見。今年1月19日から計4日間の特別監査を行い、05年度以降の帳簿などを再度チェックした。3月1日までに改善内容を報告するよう、民生会側に求めている。

同法人は1989年に設立。国、県と市町の自立支援給付費6億円を受け、佐世保市や北松佐々町、松浦市で、グループホームや知的障害者更生施設などを運営している。
松田氏は83年に県議に初当選し、現在7期目。昨年4月から党県連幹事長を務めている。

■2011.2.3  元介護士、障害者ら114人に性的虐待 1歳児も被害に スイス
スイス当局は1日、54歳の元介護福祉士の男が過去29年間で障害者など少なくとも114人に性的虐待を加えていたとする事件を公表した。同国史上最悪の性的虐待スキャンダルは国民を震撼(しんかん)させ、介護の現場では動揺が広がっている。
ベルン(Berne)州の警察によると、スイス人のこの男は、担当したスイスとドイツの9つの介護施設で、主に身体または精神に障害のある子どもや若い男女に対し性的虐待を行っていた。被害者の最年少は1歳。同僚スタッフの子どもも被害に遭っていた。男の氏名は公表されていない。

被害のあった介護施設の1つを運営する財団は、「大惨事だ。(男の振る舞いに)気づいた職員は1人としていなかった」とするコメントを発表した。
警察は、男が撮影した写真とビデオ18点を押収。その中で被害者らは明らかに男を押しのけようとし、苦痛の表情を示していた。中には障害のため声を出せないケースもあった。

男は前年逮捕された。きっかけは、障害を持つ2人の若者が両親に、施設の職員との性的接触について語ったことだった。男は「児童性愛者」を自認しており、逮捕時はほっとした様子を見せたという。起訴が可能なのはわずか33件で、残りは法律により時効が適用されるという。

■2011.2.3  平成22年度全国老人福祉施設協議会の広報コンテスト
応募総数206件。審査基準は、デザイン、メッセージ、企画、取材、写真、見出し、色調、イラスト、費用対効果など。
施設広報紙部門
最優秀賞 特別養護老人ホームみちのく荘『まるめろ通信』(青森県)
ホームページ部門 
最優秀賞 『特別養護老人ホーム王寿園』(愛知県)
施設パンフレット部門 
最優秀賞 養護老人ホームかるな和順『共生(ともいき)』(北海道)

■2011.2.3  移動車で焼き芋販売 知的障害者通所施設「ほっと」 静岡
浜松市南区の知的障害者通所施設ほっとは、JKA(旧日本自転車振興会)の競輪補助事業の支援を受けて移動販売車「たすき号」を購入し、同施設が売り出し中の地元サツマイモを使った焼き芋「ほっとなおいも」を市内各地を回って販売している。同施設はスーパーや大学、役場の駐車場など、定期的に販売できる場所の提供者を募っている。

たすき号は調理場付きのワンボックスカーで、障害者の就労促進を目的に導入。市内のイベント会場などを訪れ、施設の利用者が店員として働いている。たすき号の調理場には焼き芋用のオーブン、クレープ焼き機もあり、出来たての焼き芋やクレープをその場で提供できる。同施設の家込久志理事長は「利用者にもっといろんな場で活躍してもらうためにも、積極的に外へ出て行きたい。協力できる方はぜひ、声を掛けてほしい」と話している。

■2011.2.4  城里の介護施設、インフルで2人死亡 23人集団感染 茨城
城里町石塚の高齢者介護施設しまナーシングホーム常北で、季節性インフルエンザの集団感染によって入所者2人が死亡し、運営会社が3日、発表した。施設側によると、76歳の男性と64歳の女性が2日、相次いで死亡した。

男性は1月31日、高熱やせきなどの症状を訴え、タミフルを服用したが、2日午前に急性心不全で死亡。女性は1日に感染が判明しタミフルを服用したが、2日に容体が急変。同日午後に呼吸不全で死亡した。

同施設では、1月26日に入所者の1人が体調不良を訴え、最初の感染が判明。独自のマニュアルに基づき隔離や消毒などの対策を取ったが、拡大を防げなかったという。3日現在で2人のほか入所者23人に陽性反応が出て、このうち1人が入院している。職員への感染はない。

水戸保健所が数人の検体を調べたところ、感染したのはA香港型と判明。隣接する医療機関でデイケアサービスを受けた際に感染した疑いがあるという。運営会社の大関義規社長は記者会見で「感染が広まれば重大な結果につながる予測はあった。感染症対策に力を入れていたが、このような結果になってしまい、残念で申し訳ない。基本的な対策を徹底する」と述べた。

同施設には高齢者54人が入所。昨年10月、家族が同意しなかった1人を除き、入所者と職員全員が予防接種を行ったという。

■2011.2.4  入所者の預金に手 沼津、窃盗容疑で元施設長逮捕 静岡
沼津市の老人介護施設に入所する女性のキャッシュカードを使い口座から現金を引き出したとして、沼津署は3日、窃盗容疑でこの施設の元施設長で、甲府市の会社役員(48)を逮捕した。同容疑者は容疑を認めた上で、「3千万円以上を引き出した」と供述していることから、同署は多額の余罪があるとみて調べている。

逮捕容疑は昨年12月23日午後5時40分ごろ、沼津市内の金融機関の現金自動預払機(ATM)で、70代の女性のキャッシュカードを不正使用し、計100万円を引き出した疑い。同署などによると、容疑者は2008年6月から09年10月まで女性の入所する施設に施設長として勤務していた。09年10月以降に身に覚えのない現金の引き出し履歴があることに気付いた女性がことし1月中旬、金融機関に相談し被害が発覚した。

容疑者が勤務していた当時、施設として入所者の通帳管理などは行っていなかった。通帳は普段から女性が管理し、引き出しなどを依頼したこともなかった。女性は「キャッシュカードを作ったことがない」と話しているという。同署はカードの入手方法などを詳しく調べている。

■2011.2.5  知的障害者入所施設 近江学園の入園生が入浴中に死亡
湖南市東寺4丁目の知的障害者入所施設、県立近江学園(高田佐介園長)で昨年3月、入園生の男性(当時24)が入浴中に溺れて死亡した事故で、甲賀署は4日、入浴の介助をしていた男性職員(46)と当時の男性園長(61)を業務上過失致死容疑で大津地検に書類送検し、発表した。

甲賀署などによると、昨年3月31日午後7時10分ごろ、園内の浴室で職員が知的障害を持つ園生4人を同時に入浴させていたところ、男性1人が深さ約50センチの浴槽内で沈んでいるのが見つかり、病院に運ばれたが死亡したもの。同署は、この職員が別の園生の体を洗っていて十分な注意を払っていなかったとし、当時の園長については、事故を防ぐため介助者の数を増やすなど必要な対策を怠ったとみている。

介助者を増やすべきだった――。捜査当局が指摘した人員配置の問題。しかし、現場からは人手不足を心配する声が上がっていた。

近江学園によると、定員は100人で、障害の程度などに応じて5班に分かれて生活している。亡くなった男性がいた班は当時、20人の園生に対し、介助をする職員18人が交代で勤務していた。ただ、職員の間からは人手が足りないという声があり、当時の園長も県に対し、職員を増やすよう要望していたという。

同園のマニュアルでは入浴時は職員1人に対し、最大5人までの園生を介助できるとしていた。事故当時は死亡者を含む4人の園生が浴室内にいたが、浴槽は洗い場から見えにくい構造になっていたという。脱衣所にも別の職員1人がいたが、扉のすりガラスで見えなかったという。

事故を受け、同園は調査委員会を設置し、再発防止策を検討。毎日の入浴時間を延ばし、職員が1人の場合、園生は3人までとするようマニュアルを改めた。また、扉のガラスも透明なものに替え、浴槽の深さも約10センチ浅くする改修工事に取りかかり、3月中に完成するという。

一方で、職員の負担は増えた。同園を所管する県障害者自立支援課は、入所者4・3人に対して1人の介助者が必要とする厚労省の児童福祉施設の設置基準を満たしているとし、「(事故当時も)ただちに危険な状態だったとは言えない」としている。

書類送検を受け、高田園長は「改めてご遺族におわびし、亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、司法の判断を仰いで、適切に対処したい」とするコメントを出した。ある職員は「人が増えなくても『家族』として生活の質を高めてあげたい」と話した。

■2011.2.7  特養老人ホーム入所への待機期間は平均1年3か月、最長11年
「介護の不安」のアンケート調査によれば、4人に1人が「希望する介護施設に入れない」ことを挙げている。なかでも、入所待ちの高齢者が行列を作っているのが、特別養護老人ホームだ。なぜ特養ホームには行列ができるのか?

地方自治体や社会福祉法人が運営する特別養護老人ホーム(特養)では、介護保険制度で定められた施設サービスを受けられる。人気の理由は、何といっても費用の安さにある。公的補助が出る介護保険施設なので、月額の利用料は居住費や食費、介護保険の自己負担分を含めて10万円程度と、介護付き有料老人ホームなどと比べて圧倒的に安い。それでも、食事、入浴、排せつ介助のほか、生活支援や健康管理、緊急時対応などのサービスは、介護付き有料老人ホームと同内容だ。

また、特養には要介護度の高い高齢者が入れるため、実際、(5段階で)要介護3以上の人が入所者の9割近くを占める。最期を看取ってくれる「終の棲家」であることも申込者が多い理由だ。しかし、希望者が殺到しているので、入所の順番待ちは長蛇の列になっている。

厚労省の調査によれば、2009年12月時点の入所申込者(待機者)は、定員とほぼ同数の約42万人。野村総合研究所の昨年3月の報告書によると、申し込みから入所までの平均期間は1年3か月、最長11年だった。施設ごとにも待機者の数は異なる。一般にどんな施設が人気なのだろうか?
「国が定めた介護士配置基準は、高齢者3人に対して介護士1人。現在、多くの施設はおおよそ2.5人対1人といわれますが、中には2対1や、個室を取り入れて1.8対1というところもあります。介護士が多い施設は人気が高く、ますます入るのが難しくなっています」(社会保障論が専門の結城康博・淑徳大学准教授)

■2011.2.8  大阪府、福祉サービス事業者の指定取り消し 約1190万円を不正受給
就労支援サービスを提供したと偽り訓練等給付費を不正に受け取ったなどとして、大阪府は8日、障がい福祉サービス事業者に指定していたケアサービス大阪(大阪市東成区、梅田司代表)の指定を取り消したと発表した。

府によると、同社は、同じ建物内で障害者を対象とした介護事業所ケアあおぞらと、就労支援事業所あおぞらのゆめを運営。平成21年1月から22年11月にかけて、サービスを提供したと嘘の書類を作成するなどして、大阪市など13市から訓練等給付費や、介護給付費計約1190万円を不正に受け取ったとしている。

また、申請に必要な管理責任者も配置していなかったほか、「あおぞらのゆめ」では、府の最低賃金(時給779円)を下回る時給300円程度の賃金で利用者を就労させていた。

府は同社に不正受給した給付金の返還と加算額の支払いを求めるほか、詐欺罪での告訴も検討している。

■2011.2.9  障害者への消費者教育の重要性が高まっています
知的障害や発達障害のある人を狙った悪質商法などが横行している。企業で働き、地域で生活する障害者が少しずつ増えている今、お金の使い方やだまされない知恵を身につけることは大切だ。社会に出る前に何を学べばいいのか。

昨年12月、東京都港区の都立港特別支援学校。高等部3年生9人の前で、区内で消費者問題推進員を務めるボランティアたちが寸劇を始めた。
「ゲームが安いよ! 普段は8000円だけど、今日は5000円でお得だよ」。下校中の生徒役にビデオショップの店員役が声をかける。生徒は「お金がない」と答えたが、店員は「ここに名前と住所を書けば大丈夫」と用紙を差し出した。
ここでボランティアが「こんな時どうしますか」と質問。生徒たちは数字の書いた札を渡され、「名前などを書く」と思う人は(1)、「家族に相談する」人は(2)を上げた。

正解は(2)だが、(1)を選んだ生徒も2人。「えー、そうなの?」と間違えた男子生徒が声を上げた。ボランティアが説明した。「お金を払わなくても名前を書いたら買うことになります。高額の物を買うときは家族と相談しましょう」。その後は「いりません、帰ります」と断る練習を繰り返し、若者を狙ったデート商法などの手口も学んだ。

見知らぬ男性に「付き合って」と言われ待ち合わせしたことがあるという女子生徒(18)は「私こういうの、ひっかかりやすいから危ない。いい勉強になった」。男子生徒(18)は「とにかく誰かに相談するのが大事」と納得した表情だった。
授業を受けたのは、企業就職を目指す生徒たち。同校は3年前から区立消費者センターと連携した消費者教育を始めた。家庭科の長谷川祐子教諭(54)は「就職すればこれまでとケタ違いのお金を手にする。その前に自分を守る知識を身につけてほしい」という。

国民生活センターによると、全国の消費生活センターに寄せられた認知症高齢者や知的障害者ら「判断不十分者」からの相談は、00年度の4067件から09年度は1万370件と2・5倍に増えている。こうした人たちが被害に遭いやすいのは、きっぱり「嫌だ」と言うのが苦手だったり、先を見通せないなどの障害の特性と関係がある。だまされたことを自覚していなかったり、他人にうまく説明できないため、被害が潜在化しやすく、自分で解決のための情報を得ることも難しい。
障害者福祉に詳しい白梅学園大の堀江まゆみ教授(52)は、特別支援学校での授業を「親元を離れる前にお金や消費者被害について教えることはとても有意義」と評価する。

実効性のある取り組みとして堀江教授がすすめるのが「相談する人自慢大会」。家族やグループホームの世話人、仕事場の上司など相談できる人の名前をあらかじめ挙げておき、困った時にすぐに思い出せるようにするのだという。実際、このワークショップに参加した知的障害の男性がキャッチセールスで契約させられた直後に「いま契約しちゃった」と周囲に助けを求め、被害を食い止められた事例もあるという。「教えれば絶対に自分で被害に気づけるようになる」と堀江教授。ただし「本人がどれだけ気をつけても被害に遭うことはある。周囲の人たちが被害に気づく力を身につけることも大切」。地域に住む障害者と支援者、住民が一緒になり、障害の特性や消費者被害の現状について学ぶ必要性を訴える。

■2011.2.9  業者に月数十万円の手数料請求 大村氏元秘書関係の会社
愛知県知事選に当選した元衆院議員大村秀章氏(50)の男性私設秘書(31)=6日付で退職=が顧問や取締役を務めていた福祉サービス会社「ジョブスマイルサービス(JSS)」(同県高浜市)が、通所型の障害者雇用施設の設立・運営を指導する契約業者に、多額の加盟金支払いを求め訴訟となっている問題で、業者の多くが事務作業の代行手数料として加盟金以外に月20万〜40万円の支払いも求められていることが分かった。同施設の指定権限を持つ県は「業者の経営を圧迫し、望ましくない」と疑問視している。

JSSは、障害者雇用を促す厚生労働省の「就労継続支援A型」のノウハウを伝える業務をしている。県内10社ほどの業者と結んだ契約では、最多で1050万円の加盟金に加え、国からの訓練給付金の申請を代行する手数料を雇用する障害者の数に応じて支払うよう定めている。

しかし、訓練給付金の申請用ソフトウエアは公的機関がインターネット上で無料提供しており、誰でも自由に使える。県障害福祉課の担当者は「業者にとって手数料は必ずしも必要ない」と話す。

愛知県尾張地方のある業者は月30万円の手数料が経営の負担となり、「職員の給与を減らさざるをえない」と困惑。別の業者は自ら給付金を申請する形に切り替え、「JSSは上前をはねるビジネス」と契約解除を検討している。
一方、大村氏の個人事務所担当者は、JSSから2009年に5万円の政治献金を受けたことを確認。「問題があれば献金を返す」と話している。

愛知県高浜市の福祉サービス会社「ジョブスマイルサービス(JSS)」が、障害者雇用施設の設立・運営の指導契約を結んだ業者と多額の加盟金など契約内容をめぐり訴訟となっている問題で、業者の大半は十分な福祉の知識や経験がなく新規に参入していたことが分かった。

トラブルの背景には、業者がJSS側に言われるがままに金を支払う契約を受け入れたずさんさもあるとみられ、県は昨年末から新たな施設運営業者に対する指定のあり方を見直している。

JSSと契約した業者の大半は運輸や製造、サービス業などから新規に参入。そのうちもともとサービス業を営んでいた名古屋市の業者は一昨年、知人からJSS社長(42)を紹介された。障害者雇用を促すため国や県から訓練給付金が受けられる事業を営むノウハウを学ぶため、契約時に加盟金1050万円のうち525万円を納入した。

この業者によると、JSSの取締役や顧問だった次期愛知県知事の大村秀章氏(50)の元秘書(31)に、新しい施設を造るため出張の同行を頼むと、「大村氏の事務所に政治献金してくれれば行く」と言われ、5万円を渡したこともある。しかし、現在は加盟金や手数料に見合う中身のある指導がないとして、契約解除を求めている。「当時は元秘書に逆らったら仕事ができなくなると思い、言われるままだった」と証言する。

運輸業から参入した愛知県尾張地方の別の業者もJSSに加盟金525万円を納付。元秘書から大村氏への献金とパーティー券購入を求められて応じた。障害者雇用事業の開始後、毎月数十万円の手数料もJSSに支払ったが、昨年末、県の調査で障害者の就労状況を記す書類に不備が判明。訓練給付金の一部の返還を求められた。業者は「JSSに言われた通りやっただけ」と困惑している。

■2011.2.10  入所者に暴言、市が改善指導 四街道の特養ホーム 千葉県
介護職員による入所者への虐待があったとして、四街道市が昨年11月、同市亀崎の小規模特別養護老人ホーム「赤かぶ園四街道」(定員29人)を運営する社会福祉法人「萩会」に対し、高齢者虐待防止法に基づく改善を指導していたことが、9日までに分かった。市が明らかにした。

市高齢者福祉課によると、昨年9月に「言葉や身体的な虐待がある」と匿名の通報を受け、市と千葉県は同月29日立ち入り調査を行った。その結果、女性介護職員4人が入所者に暴言や怒鳴ったりする行為が繰り返されていた事実が判明。ナースコールを届かない場所に置かれ、ボタンを押しても職員が来なかったり、通路で一人で食事を取らされた人もいたという。

■2011.2.10  介護福祉士国家試験受験者過去最高、16万5千人に
社会福祉振興・試験センターはこのほど、先月30日に実施された第23回介護福祉士国家試験の受験者数(概数)が、約16万5千人に上ることを明らかにした。確定値は合格発表が行われる3月末に公表するが、昨年の第22回受験者数15万3811人を1万人以上上回り、過去最多となりそうだ。同センターによると同日行われた社会福祉士の受験者数は4万8千人(前回4万3631人)、精神保健福祉士は7600人(同7085人)。いずれも微増で、介護福祉士の増加幅はダントツだ。

■2011.2.10  有料老人ホーム契約解除 たった1か月で800万円失った例も
高齢化が進むにつれ家庭での介護には限界がでてくる。そこで頼りになるのが介護施設だ。だが、介護施設に入れば安心かというと、そうはいかない。

国民生活センターに寄せられる、有料老人ホームに関する相談件数も増加の一途で、2005年度に255件だったものが、2009年度には428件。うち8割が契約・解除のトラブルで、中でも入居一時金の返金を巡る苦情が目立つ。

「入居時に2000万円払って70代の母親を入居させたが、どうしても雰囲気になじめないというので、1か月で退去することに。ところが、90日以内なら入居一時金は全額戻ってくるクーリングオフ制度があるはずが、返ってきたのは1200万円だった」(Eさん・50代男性)

Eさんは抗議したが、老人ホーム側は「500万円は施設に入るための権利金で、一時金ではない」「残り1500万円のうち300万円は初期償却金で、1日でも入所すると必要になる」と説明。結局、1か月で800万円を失った。

Eさんがいうように、有料老人ホームの契約にはクーリングオフ制度がある。契約から90日以内なら、入居一時金は全額返還されるはずだが、「この制度は厚労省の指針であって、法的な義務はない。Eさんの老人ホームのケースのように、勝手に解釈して運用している施設もある」(有料老人ホーム経営者)という。クーリングオフの義務化は、今国会でやっと議論が始まったばかりというから、お寒い限りだ。

ホーム入所後も安心はできない。
「月額の利用料がどんどん膨れ上がるばかり。催し物の参加料や、提携している病院への送迎費用、無料とうたわれていた温水プールも、使えば指導員の費用がかかる。300円のシャンプーの購入を頼んで、2000円も手数料を取られた」と憤るのはFさん(70代男性)だ。月額の利用料は年金でまかなえるはずが、月によっては追加で5万円もオーバー。貯金を切り崩すことに怯える毎日だという。

■2011.2.12  特養老人ホーム 日本一入りやすいのは富山、難しいのは三重
地方自治体や社会福祉法人が運営する特別養護老人ホーム(特養)には、長蛇の列ができている。特養に入るには、施設長、介護職員、ケアマネジャーなどで構成される「入所判定委員会」によって入所希望者の優先順位が決められ、「ウェイティングリスト」に載せられる。その順位は単に申し込み順ではない。要介護度のほか、独居老人や老老介護状態にあるなど、入所の緊急性も加味される。では、なるべく待機期間を短くするにはどうすればいいのか。

 【1:「空いている地域」を狙う】
 特養は住んでいる地域に関係なく、何か所でも入所申請ができる。そこで、本誌は47都道府県の特養の入りやすさを調べた。定員に対して申込者の少ない都道府県の施設を狙うのも一つの考え方だ。定員の何倍の人が入所を待っているかを計算すると、最も低いのは富山の0.291倍、高いのは三重の2.294倍と、10倍の開きがある。ただし、友人が多く、住み慣れた土地を遠く離れるのには不安がつきまとう。また、親族が面会に来るのも一苦労だ。三重(47位)に住む人が愛知(8位)、新潟(42位)の人が富山(1位)など、近県のランキング上位の地域を選ぶのが常道だ。

【2:待機している施設に介護状態を逐次連絡する】
 ある特養の施設長はこうアドバイスする。「うちでは2か月に1度、判定委員会を開いてウェイティングリストの並べ替えを行ない、入所の緊急性が高まっている待機者を上位に移動します。ですから、待機中の状況の変化をその都度、施設に伝えることが重要です。待機中の希望者に連絡を取る施設はほとんどないので、定期的に家族やケアマネを通して施設側に連絡を取るといいでしょう

【3:同じ運営母体の病院、有料老人ホーム、在宅サービスを利用する】
 特養の主な運営者である社会福祉法人は、有料老人ホームや病院、介護サービス事業などを同時に行なっていることが多い。社会福祉法人の役員がいう。「系列の有料老人ホームや在宅介護サービスなどを利用すれば、特養側に利用者の介護状況が伝えられることがある。情報が多ければ多いほど、判定委員会で有利になる可能性があります 

【4:特養のショートステイを利用する】
 特養では、在宅で介護を受けている人向けに、1週間程度入所して、介護や機能訓練などを受けられる短期入所(ショートステイ)サービスを提供している。申し込みをしている施設のショートステイを利用することも効果があるようだ。「正直、特養のスタッフにとって、同程度の緊急性であれば、どのように扱えばいいかを前もってわかっている人を入所させる方が楽です。だから、判定委員会では、スタッフからショートステイを利用している人の情報が詳しく説明されます」(前出の施設長)

■2011.2.13  特養老人ホーム待機者は42万人 専門家「10年後はもっと酷い」
特別養護老人ホーム(特養)には長蛇の列ができている。厚労省の調査によれば、2009年12月時点の入所希望者は42万人。10年後、特養ホームの行列は解消されているのだろうか?

今はまだ元気な高齢者や、そうした親を持つ家庭では、今よりもむしろ10年後に、施設介護がどういう状況になっているか気になるところだろう。厚労省は2009〜2011年度までの3年間で、全国に特養などの介護保険施設を16万人分整備するという目標を掲げている。だが、2010年度までの2年間で確保されたのは8万7000人分と、目標の半分にとどまっている。社会保障論が専門の結城康博・淑徳大学準教授が指摘する。
「これから団塊の世代が介護される時代を迎え、要介護の高齢者は増え続けるので、抜本的な待機者解決策は難しい。10年後には、現在よりも深刻な状況になる可能性が高い」

厚労省は現在、在宅介護のサービス拡充を検討しているが、そこには「在宅介護が増えれば、施設を増設する必要が少なくなり、その分、公費負担が減る」(厚労省関係者)という狙いがある。
「導入が検討されている24時間訪問介護にしてもヘルパーが四六時中来てくれるというわけではありません。やはり施設と在宅は、同時に整えることが必要です」(前出・結城氏)

では、どのような備えをしておけばよいのだろうか。高室成幸・ケアタウン総合研究所所長がいう。
「捻出できる介護費用を計算した上で、在宅介護か施設介護か、施設なら特養か有料老人ホームかなど、どういうスタイルで介護を受けたいか、もしくは自分の親に受けさせたいかを明確にしておきたい。準備は早いに越したことはありません」
費用などを検討し、もし特養を希望するのであれば、新設される施設の情報収集をする。新設であれば短期間に60〜100床の高齢者を受け入れる。また、「最初から要介護度の高い人ばかりだと大変だから、要介護度の低い人も受け入れる」(特養で働くケアマネジャー)という。

■2011.2.14  無資格ヘルパーで不正請求、指定取り消しへ- 三重の訪問介護事業所
ホームヘルパーなどの資格を持たない職員がサービスを提供し、介護報酬130万円余りを不正に請求したとして、三重県はこのほど、「株式会社CHEERFUL」(津市)が運営する訪問介護事業所「訪問介護 虹」(同)について、介護保険法に基づく指定を取り消す行政処分を行うと発表した。利用者を別法人の事業所に移行させる手続きがあるため、取り消しは3月1日付。

県によると、同事業所は2009年9月−昨年6月の間、ホームヘルパーなどの資格を持たない職員が訪問介護サービスを提供したにもかかわらず、有資格者がサービスを提供したように装ってサービス実施記録を作成。利用者15人に対する計501回分のサービスについて、介護報酬約130万円を不正に請求していた。県が昨年8−12月に実施した監査で発覚した。
 
今後は、保険者の津市や伊賀市が不正請求金額を確定させた上で、事業者に返還を求める方針。

■2011.2.14  接待の職員3人を厳重注意=全精社協から飲食−厚労省
補助金の不正受給事件で元会長らが有罪判決を受けた社会福祉法人「全国精神障害者社会復帰施設協会」から飲食の接待を受けたとして、厚生労働省は14日、職員3人を厳重注意処分とした。同省は「氏名などは公表しない」としている。

同省によると、障害保健福祉部に所属していた3人は2008年4月〜09年3月、出張先の居酒屋やスナックなどで全精社協の役員らの接待を1、2回受けた。1人当たり1500〜5000円の費用全額を相手側に負担させていたという。

■2011.2.15  虚偽の指定申請や低賃金就労で指定取り消し- 大阪府
大阪府はこのほど、虚偽申請で事業者の指定を受けたり、障害者を低賃金で就労させたりしたなどとして、「株式会社ケアサービス大阪」(大阪市)が運営する居宅介護などの事業所「ケアあおぞら」と就労継続支援の事業所「あおぞらのゆめ」について、障害者自立支援法に基づく事業者の指定を取り消した。取り消しは8日付。

大阪府によると、「ケアあおぞら」は、居宅介護と重度訪問介護の両事業において、併設する「あおぞらのゆめ」の非常勤職員を常勤のサービス提供責任者などに配置するとした虚偽の指定申請を行った。このため、指定を受けた昨年8月から受給していた介護給付費50万円余りを、府は不正受給と判断した。
 
一方、「あおぞらのゆめ」は、就労継続支援事業において、府の最低賃金の時給779円を下回る最大300円程度しか同事業を利用した障害者に支払っていなかった。また、ハローワークを通じて確保した障害者を、雇用契約を結ばずに働かせていた。このほか、実態のないサービス提供の記録を作成し、訓練等給付費1050万円余りを不正受給した。
 
保険者の大阪市などは、同社が不正受給した計約1100万円を返還請求する方針だという。

■2011.2.15  流用:むつ市社協女性職員が380万円 減給に /青森
むつ市社会福祉協議会の女性職員(48)が約3年間、職員の雇用保険など約380万円を使い込んでいたことが14日、分かった。社協は女性を減給10分の1(6カ月)、監督者の事務局長と参事、総務課長も減給10分の1(2カ月)の処分とした。

社協によると、女性は雇用保険などの預金通帳を管理。07年1月〜10年5月に総務課長が管理する印鑑を持ち出し、4万〜10万円を16回引き出した。総務課長が昨年5月に預金通帳を見て発覚。女性は「生活費や子供の学費に使った」と話しているという。全額返済されているため刑事告訴はしない方針。

■2011.2.16  知的障害者施設入所者に性的暴行 容疑の元職員を逮捕
知的障害のある女性に性的暴行を加えたとして、埼玉県警寄居署は16日、準強姦容疑で、県社会福祉事業団が運営する知的障害者施設の元契約職員、田口寛敏容疑者(33)を逮捕した。
 
事業団によると、田口容疑者は平成22年7月ごろから今年1月16日までの間、施設での夜勤中に、20代の女性入所者にトイレや女性の部屋などで性的暴行を加えた疑いが持たれている。

女性が1月17日にほかの職員に相談して発覚。事業団の調べに対して、田口容疑者が事実関係を認めたため、同24日に県警に通報した。
事業団では2月1日付で田口容疑者を懲戒解雇しており、今後、監督責任のあった施設の男性園長(55)にも処分を下す方針。田口容疑者は、当初は事業団の調査に容疑を否認していたが、現在は「罪の意識あるので謝りたい」と話しているという。事業団は「痛恨の極み。深く反省している」と話している。

■2011.2.16  盲導犬をPR「デモ犬ジャー」大阪
千早赤阪村の日本ライトハウス盲導犬訓練所で、盲導犬の活動をPRするデモ犬5頭が「啓発宣隊・デモ犬ジャー」を結成した。

盲導犬の訓練を受けたが、最終的に選ばれなかったり、引退したりした犬たち。普段はボランティアらと生活し、イベントでデモ演技を披露する。リーダー格のレッドには、同所の副所長でもあるフローレン(雌、6歳)が選ばれ、ほかに「甘えん坊」、「ハンサムボーイ」、「マッチョ」など4頭の個性に合わせてカラーを割り当てた。

幼少期に戦隊ヒーローにあこがれたという訓練士が発案し、ボランティアが5色の専用コスチュームを用意。今後は啓発ショーも検討しており、同訓練所は「犬のローカルヒーローとして頑張って」と期待している。

■2011.2.17  罪を犯した知的障害者支援 専門家が実践書発刊
罪を犯した知的障害者に対し、事件発生時から社会復帰までの支援のあり方をまとめた実践書を、兵庫県内の弁護士や社会福祉士でつくる専門家グループが発刊した。知的障害者への適正な取り調べが求められる中、意思疎通が難しい「障害特性」への理解の必要性も強調。実際の支援事例を盛り込み、再犯防止につなげる仕組みを提言している。

「罪を犯した知的障がいのある人の弁護と支援」。警察・検察の取り調べ時や裁判での弁護活動、判決確定後の成年後見人としての支援計画づくりを続ける尼崎市の谷村慎介弁護士(41)が編集した。

刑務所に入った受刑者に占める知的障害者の割合が、全体の23%に上ることを紹介。累犯が目立つ上、動機面では、困窮や生活苦が最も多く、欲求や感情が抑制できなくて犯罪に走ったケースが少なくない現状を報告している。

その上で、取り調べで誘導されやすかったり、罪の意識が乏しかったりする障害特性について、弁護士や福祉職、捜査機関が理解を深めるべきと主張。供述の真意を検証できるよう取り調べの可視化や、第三者の立ち会いを求めている。

また、出所後の更生プランとして、居住場所の確保や療育手帳の取得、生活保護の申請など、福祉サービスの必要性を指摘。裁判も含めた支援の担い手としては、福祉施設などへの入所の橋渡しをする「地域生活定着支援センター」や相談支援事業所の役割が欠かせないとしている。

谷村弁護士は「司法と福祉をつなぐ取り組みはまだまだ途上。更生した事例を積み重ね、地域で生活できるネットワークを構築したい」と話す。
A5判。2940円。現代人文社TEL03・5379・0307

■2011.2.17  ねむの木学園元職員1500万円詐取容疑 数億円被害
障害を持つ子供たちの養護施設などを営むねむの木学園(静岡県掛川市)の園長で女優の宮城まり子さんの銀行口座から、現金約1500万円を不正に引き出したとして、警視庁は17日、東京都港区、自称プロデューサー広沢憲行(57)と同学園元職員近藤由美子(56)の両容疑者を詐欺の疑いで逮捕した。

2人は、宮城さんに無断で、宮城さん名義などの口座から計数億円を引き出したといい、警視庁は金の使い道などを調べる。

捜査関係者によると、両容疑者は2009年夏ごろ、宮城さんからの依頼に基づく払い出しと銀行側に偽り、宮城さん名義の口座から現金約1500万円を引き出し、だまし取った疑いがある。関係者によると、近藤容疑者は30年以上前からねむの木学園に勤務。口座の管理などを任されていたという。

警視庁は、広沢容疑者が近藤容疑者に依頼して不正に金を引き出させていた疑いがあるとみて調べている。学園側が不正に気づき、警視庁に告発。学園側は近藤容疑者を懲戒解雇したという。

ねむの木学園は日本初の肢体不自由児のための養護施設として1968年、宮城まり子さんが静岡県浜岡町(現・御前崎市)に設立した。その後、養護学校(小・中・高等部)を開校。97年、同県掛川市の現在の場所に移転した。学園がある「ねむの木村」には、身体障害者療護施設や子どもたちが描いた絵を展示する美術館、吉行淳之介文学館などがある。

一夜明けた18日、学園では職員が困惑しながらも、入所児童らとともに通常通りの生活を送っていた。学園側は県に対し、経営には影響がないことをすでに伝えている。学園には、事件を知った全国の支援者らから激励の電話やファクスが多数寄せられた。

学園の職員によると、詐欺容疑で17日に警視庁に逮捕され、同日付で学園を解雇された近藤由美子容疑者(56)は、30年以上前から勤務していた古参職員。学園の経理を担当し、宮城さんの口座の管理も任されていたという。住民票は学園の女子寮に置いているが、普段は東京都内で生活し、学園に姿を見せることはほとんどなかったという。同期の職員は「派手なところもなく、目立たないごく普通の人。どうして事件を起こしたのかわからない」と首をかしげていた。

また、近藤容疑者とともに逮捕された朝比奈圭(本名・広沢憲行)容疑者(57)は、数年前まで何回か学園を訪れたことがあった。子供たちにクリスマスケーキをプレゼントしたり、学園が県外で美術展を開いた時にボランティアとして手伝ったりしたこともあるが、近藤容疑者との結びつきはわからないという。

詐欺被害は多額に上る可能性が出ているが、学園側は「学園を運営するための口座は別にあり、子供たちの衣食住や職員の給料などは今のところ心配ない」としている。
県によると、宮城さんと弁護士が今年1月6日に県庁を訪れ、事件について説明した。

宮城さんは「被害は数億円に上るが、学校運営などが危機的になることはない」と述べ、県側は適正な管理を行うよう口頭で指導した。県障害者政策課は18日、学園側と連絡を取り、普段通り運営されていることを確認した。

■2011.2.18  特別支援学校高等部 職業訓練に“お墨付き”
広島県教委は2011年度から、特別支援学校高等部に通う知的障害を持つ生徒向けに、独自の技能検定制度を創設する。

就職希望者には清掃や包装といった職業訓練を行っており、達成度に応じて県教委が“お墨付き”を与えることで、就職活動を有利に進めてもらうのが狙い。現在は約850人おり、担当者は「生徒のやる気も増すはず」と期待する。

検定は10月にも、来春卒業見込みの生徒に「清掃」「接客」の2分野で実施を計画。生徒に作業をしてもらい、審査員が手際や要領などを見ていく。卒業生の採用実績がある企業の意見を参考に、より実践的な審査基準を作成する。

06年3月卒の就職率は10・5%で全国平均より14・8ポイント低かった。県教委は食品の袋詰めなどの作業学習や、企業での就労実習を導入し、10年3月卒は26・4%まで引き上げたものの、まだ全国平均を0・4ポイント下回った。企業の採用担当者から「どんな仕事を、どの程度できるのか見極めるのが難しい」との声も多く、採用時の「判断基準」として技能検定を考案した。

12年度には、「パソコン」「流通・物流」「食品加工」の3分野を加える予定といい、県教委特別支援教育課は「就職は生徒が自立し、生きがいを持つ重要な機会。身につけた技能や個性をしっかりPRできるよう、検定を充実させていきたい」としている。

■2011.2.19  障害者施設 施設長が窃盗で逮捕 市や都、「紛失」通報放置
東京都立川市の知的障害者施設「LaLaLa若葉」で、入所者の生活口座を管理していた施設長、山崎則良容疑者(53)が無断で現金を引き出していたとして16日、警視庁立川署に窃盗容疑で逮捕された。

昨年5月に「入所者のキャッシュカードが紛失している」との通報が立川市や都に関係者から寄せられていたが放置されていた。引き出された現金は計100万円以上に上っており、行政のずさんな対応が問題となりそうだ。

逮捕容疑によると、山崎容疑者は昨年5月21日と6月1日、管理していた入所女性のキャッシュカードを使い、口座から計6万円を無断で引き出したとしている。山崎容疑者は「生活費やパチンコに使った」と話しているという。

女性のカードが無くなっていることに気付いた施設関係者が、昨年5月下旬に立川市に、さらに同秋には都にも通報していた。しかし、「調査権限がない」(市障害福祉課)、「施設に確認したが施設長に何かと理由をつけられ回答をもらえなかった」(都福祉保健局居住支援課)などと、踏み込んだ対応が取られることはなかった。昨年6月以降も、被害女性の口座からは現金が引き出され続けており、施設関係者は「行政側がもっと踏み込めば被害は拡大しなかったのではないか」と訴えている。

LaLaLa若葉は、NPO法人「スポーツアクト」(秋山卓司理事長、立川市)が運営。市営グラウンドの管理のほか、市内に同様の施設を5カ所展開している。市からグラウンド管理費、国から施設運営費などを助成されていた。

同法人では、入所者の生活口座を職員が管理することを認めており、通帳と印鑑は施設が預かり、キャッシュカードは本人が持っている。月11万円の入所料を徴収する際に職員がカードを預かって金をおろし、生活費などを手渡していた。ただし、複数の職員で管理するよう内部規則で取り決めていたが、山崎容疑者は被害女性らの生活口座を1人で管理していた。

同法人の松井勇治副理事長(54)は「入所者や関係者にご迷惑をおかけして申し訳ない」と話している。

■2011.2.20  「仕事に対するひたむきさ生かしたい」、障害者自立へ企業に“橋渡し”新事業が軌道に 海老名市
障害者の自立につなげようと海老名市の女性ラーメン店主らが起こした、企業と障害者地域作業所の橋渡し事業が軌道に乗り始めた。仕事の発注量も増え、受け入れ態勢も整ってきた。地域の理解や支援の輪も広がっている。

ラーメン店を営む鈴木晶子さん(45)が本業の傍ら社長を務める会社が「ECエンターテインメント」。さまざまな業種の企業を回って仕事を受注し、作業所に発注するのが主な業務内容だ。

現在、企業20社と6カ所以上の作業所との業務委託や新規ビジネスの調整、開拓企画役を務め、営業から発注後の品質管理までを担当する。大量発注でも仕事がさばけるようにと、作業スタッフとして子育てママ約30人も登録する。

鈴木社長が障害者と関わるようになったのは、3年前にボランティアを経験してから。活動を通じて特別支援学校卒業生の就職率の低さや障害者の低賃金の実情を知った。2009年夏には店の客の一人でもあった山本准さん(31)らとともに障害者支援ボランティアグループ「EC」を設立。地域作業所に、DVDの付録詰め作業などを取り次ぐ支援を始めた。

ただ、作業所によっては商品の品質保証への意識欠如や納期が守られないことも。「このままでは障害者の自立支援が進んでいかない」(鈴木社長)と感じて、昨年4月に法人化したのが同社だ。

鈴木社長は「障害者の社会進出には、地元企業、住民が一つになって、理解を深めることが大事」と強調。その上で「障害者が持つ能力や仕事に対するひたむきな姿勢を何とか生かしたい」と話す。

20日には、海老名市中央の海老名郵便局で、障害者らの社会見学会を企画している。鈴木社長は「見学会を通じて、障害者の社会進出への理解が深まるとともに地域交流が盛んになれば」と、企業の協力を呼び掛けている。

■2011.2.20  障害者ショップ“出張”/イオン綾川にぎわう 香川
香川県内外の障害者施設の利用者が作った食品や日用品などを販売するブースが19日、綾川町萱原のイオン綾川ショッピングセンターに設けられ、大勢の家族連れらでにぎわっている。20日まで。

県知的障害者福祉協会(小松守会長)が2007年に高松市の南新町商店街に開いた福祉ショップ「Pon・Poko(ポンポコ)」の出張販売版。同ショップのPRや、就労訓練を積む障害者の社会参加を促すことを目的としている。

ブースには県内18、県外6の計24施設から菓子やパン、観葉植物の鉢植え、木製の動物型パズル、一輪挿しなどが出品された。どれも割安の価格とあって、主婦らが次々とお気に入りの商品を購入していた。

■2011.2.21  オリーブオイルが認知症を防ぐ? オレイン酸に秘密
オリーブオイルに含まれるオレイン酸に認知機能を改善する効果があることを、名古屋市立大大学院医学研究科の岡嶋研二教授、原田直明准教授らのグループがマウスを使った実験で突き止めた。京都市で3月26日に開かれる日本農芸化学会で発表する。

岡嶋教授らは、オリーブオイルの摂取量が多い地中海の南イタリア地方の人びとが、認知症になりにくいとされる点に着目。マウスの知覚神経にオレイン酸を加えたところ、刺激を伝える伝達物質が神経細胞から放出される量が通常の2・5倍に増加した。

さらに、マウスに1日1回、計28日間オレイン酸を与えた後、記憶や学習をつかさどる脳の「海馬」で、神経や血管を再生させるインスリンの働きに似たタンパク質の濃度が2・3倍になっていることを確認した。

逆に、遺伝子操作をして伝達物質が出ないようにしたマウスでは、オレイン酸を投与しても海馬でタンパク質が増加する効果はなかった。オレイン酸により知覚神経細胞で生成された伝達物質がマウスの脳に信号を送り、タンパク質を増やしたと結論づけた。
岡嶋教授は「研究を進めれば、認知症の予防や治療に役立つ可能性がある」と話している。

■2011.2.22  求職支援事業で290万円不正受給 大田原の社団法人
失業者などを対象にした国の求職者支援制度に基づき、職業訓練事業を行う社団法人「職業能力教育協会」(大田原市新富町2丁目、加藤裕章代表理事)が事業費を水増し請求していたことが21日、分かった。

関係者によると、不正受給額は約290万円に上るとされる。加藤代表理事(33)は同日記者会見を開き「受け取るべきでないお金を受け取ってしまった。すぐに国に返却したい」と大筋で事実関係を認めた。

同協会は、2009年に始まった国の「緊急人材育成・就職支援基金事業」に基づき、加藤代表理事らが10年2月に設立。那須塩原、矢板市や福島県白河市など両県で13教室を持ち、同5月からパソコンや簿記の基礎などを6カ月間学ぶ14講座を開いている。

受講生には毎月8割以上の出席といった条件下で月10〜12万円の生活費が、同協会には月1日以上の出席で6〜10万円の訓練費が支給される。関係者によると、協会は那須塩原市内の教室の一つで、出席が少ない人の日数を水増しし、国に報告。今年1月に受講生5人分の生活費計160万円に加え、13人分の訓練費計130万円を不正受給したとされる。

加藤代表理事によると、担当講師が作成したものとは別の出欠簿を同理事が作成し、提出していたという。

同代表理事は水増しについて「よく覚えていないが不正と言われればそうかも知れない。同様の事例がほかの教室でないか確認する」とし、今後の事業運営に関し「受講生には迷惑を掛けないようにしたい」と話した。 訓練状況などを チェックする立場の雇用・能力開発機構栃木センターは同日、加藤代表理事から事情を聴いた。今後さらに調査を進める見込み。

細川律夫厚生労働相は22日、閣議後の記者会見で「実施訓練をしている全国の機関を訪問調査するように指示した」と述べ、実態調査に乗り出したことを明らかにした。実施訓練を受けていないのに訓練費や生活費を受けている失業者がいないか確認する。

■2011.2.22  指定取り消し、10年間で777件−介護保険施設や事業所
厚生労働省は2月22日の「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」で、2000年度から09年度にかけての10年間の介護保険施設や事業所の指定取り消しが、777件に達したことを明らかにした。

介護サービスの種類別に見ると、訪問介護が317件で最も多く、これに居宅介護支援(179件)、通所介護(92件)、認知症対応型共同生活介護(32件)、訪問看護(31件)、福祉用具貸与(29件)などと続いた。

また、法人種類別では、営利法人が586件で最多となった。以下は医療法人(71件)、NPO法人(59件)、社会福祉法人(36件)、地方公共団体(8件)などと続いた。
09年度の指定取り消し件数は82件で、2000年度以降最多を記録した08年度(116件)を大幅に下回った。

■2011.2.22  虚偽報告でGHの指定効力一部停止へ−茨城・つくば市が行政処分
虚偽報告と介護報酬の不正請求をしたとして、茨城県つくば市は2月21日、有限会社ほほえみが運営するグループホーム「ほほえみ」について、介護保険法に基づく指定の一部効力を停止する行政処分を行うと発表した。3月1日から6か月間、「ほほえみ」に支給する介護報酬を4割減算し、新規利用者の受け入れを停止する。

高齢福祉課によると、「ほほえみ」は2007年7月から10年4月まで、ケアマネジャーと雇用契約がないまま営業。無資格者が作成した介護サービス計画で不正に介護報酬を請求していたという。同法人は市に対し、「認識が甘かった。申し訳なかった」などと話しているという。

「ほほえみ」は1ユニット(9人)でサービス提供していた。虚偽報告をしていた期間の不正請求額は算定中。

■2011.2.22  受給者増加、費用額減少−介護給付費実態調査・12月分
厚生労働省が2月22日に発表した「介護給付費実態調査月報(2010年12月審査分)」によると、介護保険サービスの受給者総数は327万2500人、サービス費用額は6001億9600万円で、前年同月に比べて受給者数は1万3800人増加したが、サービス費用額は105億5000万円減少した。

介護サービス受給者数をサービス種別に見ると、居宅サービスは訪問介護が83万6600人(前年同月比2600人増)、訪問看護が25万9900人(1200人増)、通所介護が103万300人(6900人増)、短期入所生活介護が29万5000人(1800人減)となった。

施設サービスは介護老人福祉施設が44万2600人(1100人増)、介護老人保健施設が33万600人(100人増)、介護療養型医療施設が8万5000人(900人減)だった。
地域密着型サービスは認知症対応型共同生活介護(短期利用以外)が15万1500人(700人増)、小規模多機能型居宅介護が4万4100人(900人増)。また、居宅介護支援は203万8900人(9900人増)だった。

介護サービスの費用額を見ると、居宅サービスが2682億3900万円(15億2200万円減)、施設サービスが2458億400万円(81億500万円減)、地域密着型サービスが586億5000万円(10億5300万円減)などとなった。

要介護状態区分別の受給者数は、要介護1が74万5600人、要介護2が80万1200人、要介護3が64万8600人、要介護4が57万7200人、要介護5が49万9800人だった。

このほか、介護予防サービスの受給者総数は88万6300人、サービス費用額は350億8100万円で、前年同月に比べて7300人、1億4800万円増えた。要支援状態区分別の受給者数は、要支援1が40万3800人、要支援2が47万9900人だった。

■2011.2.23  公然わいせつ容疑で介護福祉士の男逮捕 群馬
伊勢崎署などは22日、公然わいせつの疑いで、伊勢崎市田中島町、介護福祉士、細田雄生容疑者(33)を逮捕した。

同署の調べでは、細田容疑者は1月24日午後8時20分ごろ、同市三光町の交差点で車内から、前橋市内の高校3年の女子生徒(18)に向かって下半身を露出した疑いがもたれている。

■2011.2.23  社会福祉法人背任 ひたちなか市議ら3人を起訴
ひたちなか市の特別養護老人ホーム工事費をめぐる背任事件で、水戸地検は22日、背任の罪で、同市高野、社会福祉法人「桂雄会」の元理事長で同市議、吉原桂一容疑者(68)ら3人を起訴した。ほかに起訴されたのは、同市、元リフォーム業で無職、川匂利雄容疑者(56)と群馬県前橋市、元茨城県央住宅施工協同組合職員で無職、綿引英二容疑者(57)。

起訴状によると、吉原被告らは共謀して2005年12月から06年4月にかけ、ひたちなか市中根で桂雄会が運営する特別養護老人ホーム「はまぎくの里」の駐車場増設と増築に伴う土留め整備の両工事に絡み、正規代金に約6784万円を上乗せした計約9031万円を預金口座に振り込ませ、桂雄会に損害を与えたとされる。

■2011.2.23  福祉ナビ:高齢者や障害者と一緒に暮らす共同住宅って?
◇支え合う、新しい形態 互いに老後を見合う/障害者と健常者が共に
総ヒノキ造りの平屋に入ると、木の香りが漂う。長野県南部の泰阜(やすおか)村。アルプスの山並みを望む高台に悠々長屋(電話0260・25・2255)は建つ。病気などで体調を崩し自宅で暮らせない高齢者を、元気なお年寄りが支える共同住宅だ。

09年5月、村の地域交流センターも兼ねてオープンした。村の委託を受けた高齢者協同企業組合泰阜が運営している。まきストーブや掘りごたつを置いた広いリビングを囲むように個室10室が並ぶ。半分は組合員用。残る5室は非組合員向けで、現在は認知症や知的障害がある80〜90代が入居している。

組合員は1口5万円の出資金を払って加入すると、自分が体調を崩したり、自宅での生活が難しくなった時、ここに入居できる。ただし加入後は介護が必要な入居者らの送迎や食事作り、まき割りなど年60時間のボランティアをこなす義務がある。一時的な住まいでも最期を迎える終(つい)のすみかでも、使い方は自由だ。組合員は現在、県内外に63人いる。

宮島義寛さん(84)と妻昭子さん(82)はオープンと同時に組合員になった。息子2人は同居を勧めるが「子どもに当たり前のように面倒を頼める時代ではない。地縁や人との縁で互いに老後を見合うのも一つの方法と思った」と話す。

費用は非組合員の場合、敷金・礼金がそれぞれ15万5000円。1カ月の入居費は標準(要介護度3程度)が月15万5000円。組合員は割引があり、敷金・礼金は不要だ。共同住宅は介護保険の適用外のため、日中はヘルパーら4人が食事や排せつの介助などを行い、夜は組合理事長の本田玖美子さん(69)と組合員が交代で泊まっている。

泰阜村は在宅福祉の村で知られる。人口1881人(2月1日現在)で高齢化率は37・7%だが、公共事業費などを削り在宅支援を手厚くした結果、08年度の1人当たりの老人医療費は全国平均の86万5146円を大きく下回る54万5932円になった。

大学教授だった本田さんは研究のためこの村に通い、4年前に気に入って移住。スウェーデンの過疎の村での実践例を参考に、悠々長屋を設立した。「住み慣れた土地で暮らしたい人だけでなく、古里のない団塊世代の受け皿にもなり得る。今は財政的に大変だが、空き室に一般客を有料で泊めるなどの方法で収入を増やしていきたい」と話す。

■2011.2.24  介護記録に実際と異なる記載 運営法人が発表
大阪府東大阪市の訪問看護事業所「すみれ草」で多数の訪問看護記録に同一の内容が記載されていた問題で、すみれ草を運営する医療法人「聖和錦秀会」は24日、数年にわたり訪問看護記録に患者の症状などについて実際とは異なる記載をしていたとの調査結果を発表した。

同法人によると、記載の際に過去の記録をコピーして日付だけを変えていたほか、30分は必要とされる訪問時間が10分しかなかった場合でも30分以上に水増ししていた。キャンセルされた訪問看護を、実施したことにしたケースもあった。

同法人は、理事長を委員長とした調査委員会を設置。「利用者と患者に迷惑と心配をかけ、おわびする。医療従事者として許されることではなく、事実確認を徹底する」としており、関係者の処分と再発防止を実施するという。

大阪府によると、虚偽記載は判明分だけでも数百件。府は同法人側が療養費の不正請求を繰り返していた可能性もあるとみて調査している。

■2011.2.28  知的障害の女性に路線バス内でわいせつ行為の男に懲役7年6月
知的障害がある女性の体を走行中の路線バスの中で触ったなどとして、準強制わいせつや準詐欺などの罪に問われた住所不定の無職、古木和雄被告(39)の判決公判が28日、大阪地裁堺支部であった。飯島健太郎裁判長は「知的障害者で心神喪失の状態であることに乗じた犯行で、卑劣極まりない」として懲役7年6月(求刑懲役12年)を言い渡した。

判決理由で飯島裁判長は「生活保護の申請を受け付けてもらえなかった不満を解消するため、女性にわいせつな行為や金銭の詐取を繰り返すようになった」と指摘した。

判決によると、古木被告は昨年3月ごろから常習的に女性にわいせつな行為を繰り返したほか、6月には「家賃代を貸して」などと嘘をつき、現金5万円をだまし取るなどした。

■2011.2.28  就労通じ障害者支援、一般就労に近いA型方式でパン工房開店へ/大和
障害者自立支援法に基づき、障害者が店舗と雇用契約を結んで働く事業方式を取り入れたパン工房「麦の香り」が3月1日、大和市南林間1丁目にオープンする。「就労継続支援A型」という方式で、県央・相模原地域では初の導入店舗。スタッフは「にこにこと笑顔の絶えない店にしたい」と意気込んでいる。

同店は、外出が困難な障害者や高齢者らに移動介助サービスなどを提供するNPO法人「たんぽぽ」が中心となって開業した。
同店の赤堀正己所長(58)によると、「社会参加してもらい、支えられる側から、支える側にもなってほしい」という思いから、働く障害者に最低賃金を保障するなど一般就労に近いA型の導入を決めた。国・県・市の補助金を受けながら、障害者が就労経験を積み、キャリアアップにつなげることを目指す。

開店準備には地域もバックアップ。地元で地産地消などに取り組むグループの小宮山利恵子さんらが試食して生地選びなどをアドバイスしたほか、地元の聖セシリア女子短大の学生が、食パンをモチーフにした店舗ロゴをデザインした。

2月28日には、パンの調理や接客方法などを練習。香ばしいパンの香りが漂う店内で、スタッフがレジ打ちや商品の包み方など、一連の作業を確認した。店は障害者6、7人を含む約10人で運営する。店頭に立つ大安哲さん(43)は、「初めての経験なので、覚えることがたくさんあって大変。大和市で一番おいしいパン屋にするために頑張る」と笑顔で話していた。

 

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