残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2011年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

 2011. 5. 1 列車と福祉施設の送迎車が衝突し3人死傷 群馬
 2011. 5. 1 炊き出しボランティアが不足…食事の質、避難所で格差
 2011. 5. 1 緊急地震速報…チャイムに苦心 「ゴジラ」検討も
 2011. 5. 2 無資格の訪問介護で不正請求、指定取り消し- 兵庫
 2011. 5. 2 パンク強い車いす…ハンディ持つ学生起業家が開発「障害者に優しい復興計画を」
 2011. 5. 2 子どもの人口、1693万人=30年連続減、過去最少―総務省
 2011. 5. 3 福祉施設職員が元入居者の預かり金返却忘れる 大阪
 2011. 5. 3 窃盗:ヘルパーの女性、介護先で現金盗む−−上越 /新潟
 2011. 5. 4 市民の保健室 元障害児施設長自費で開設
 2011. 5. 4 東日本大震災 被災の知的障害者支援…商品を各地で販売
 2011. 5. 5 アルミ缶ふた外し簡単に 障害者施設の作業応援
 2011. 5. 5 逗子の“逸品”販売、知的障害者の就労支援兼ねアンテナショップ開店/神奈川
 2011. 5. 5 光と愛の事業団 障害者就労支援に2団体へ助成金
 2011. 5. 6 東京都、社会福祉施設の人材育成ガイドラインを作成
 2011. 5. 7 障害者の髪、プロに任せて 福岡の「チョキチョキガイド」発行
 2011. 5. 7 障害者福祉施設で、こだわり手打ちうどん製作・販売 「くすのきうどん」
 2011. 5. 7 障害者デザインの商品 「木の葉モール」で販売
 2011. 5. 9 サービス記録なく不正請求、指定取り消し- 高知の訪問介護事業所
 2011. 5. 9 障害者施設を無償補修 周南 建設会社の職人ら52人
 2011. 5.10 光なき不安 音なき恐怖 障害者たちの3.11
 2011. 5.10 不法投棄:社会福祉法人理事、廃材を 容疑で逮捕−−府警 /大阪
 2011. 5.10 騒いだこと注意され立腹…障害者施設で殺人容疑
 2011. 5.11 高知の介護事業所、監査で800万円の不正請求が発覚
 2011. 5.11 障害者がおもてなし 一宮の作業所にカフェ開店
 2011. 5.17 車イス移動楽々、介護拠点も併設…ケア重視の仮設住宅
 2011. 5.18 サンファーム:知的障害者の就労を支援 余呉の新特産品販売−長浜 /滋賀
 2011. 5.19 障害者スポーツを紹介 兵庫県内団体がガイド本
 2011. 5.20 被災地の障害者支援、遅れ深刻 東近江の支援員調査
 2011. 5.20  介護職の退職者、9割近くが非正規職員――民間調査
 2011. 5.22 福祉施設に災害対応車いす 福祉コンサル会社社長 垣内俊哉さん
 2011. 5.24 報酬不正請求で横浜の介護事業所を処分


■2011.5.1  列車と福祉施設の送迎車が衝突し3人死傷 群馬
30日午前8時50分ごろ、高崎市根小屋町の上信電鉄の踏切で、高崎発下仁田駅行きの普通列車と、高崎市聖石町、パート、清水不二雄さん(70)のワンボックス車が衝突した。車は横転し後部座席の玉村町上新田、介護士、桐渕智子さん(36)と高崎市根小屋町、無職、酒井幸雄さん(85)の2人が死亡、清水さんは軽傷を負った。列車の乗客17人と男性運転士にけがはなかった。
高崎署の調べでは、車は福祉施設の送迎車で、現場に遮断機はなかった。

■2011.5.1  炊き出しボランティアが不足…食事の質、避難所で格差
「配られる食事はどれも冷たくて、体が冷えてしまう」――。被災地に多くの支援物資が届けられる一方、大規模な避難所では、大量の炊き出しに対応できるボランティアが限られ、炊き出しの回数は小規模の避難所に比べて少なくなりがちだ。

支給されるおにぎりとジュースで1日をしのぐ避難者もいて、一部の避難所では、炊き出しのボランティアを求める声も上がっている。
約430人が避難する宮城県多賀城市の市文化センター。

29日夜のメニューは、自衛隊の炊き出しによるスープに、おにぎりとジュース。ここ1か月の主食は3食とも菓子パンやおにぎりで、たまに魚肉ソーセージや缶詰が出る程度。4月末から週1〜2回程度、夕食に弁当が出るようになったが、汁物の炊き出しのない日もあるという。

センターで車いす生活を送る水間治子さん(65)は「温かい白飯と、おかずがほしい。最近は食欲がわかない。体調も良くない」とこぼす。避難している別の男性(73)も、食欲不振で体重が落ちたという。
同県気仙沼市の市立気仙沼中(避難者約470人)の食事もパンやおにぎり、カップ麺などのインスタント食品が中心で、炊き出しは汁物を中心に1日2回程度。同県石巻市では4月下旬から、炊き出しをしていない約200か所の避難所などに、夕食に弁当が配られるようになったが、朝昼は基本的におにぎりとパンのみという。
同市内の避難所の食料や物資などを担当する市職員は、「全避難者に温かい食事を提供したいが、市そのものが被災して対応には限界がある。大規模な炊き出しをしてくれるボランティアが来てくれると助かる」と明かす。

約500人が避難する岩手県陸前高田市の市立第一中では、朝はパンと飲み物のみで、昼夕は避難者5〜6人が支援物資で自炊しているが、「調理する人が限られて負担も大きい。食材も不足しがち」と窮状を訴える。約1600人が避難する福島県郡山市の避難所「ビッグパレットふくしま」では、夕食に弁当が出るが、朝昼はパンとおにぎりのみ。大型連休中は炊き出しのボランティアが集まるが、その後はほとんど活動の予定は入っていないという。

大阪大学の渥美公秀教授(49)(ボランティア行動学)は、「今回の震災では避難所の食事内容に格差が生じている。阪神大震災では避難所の責任者の間で情報を共有し、複数のボランティアを組み合わせて大規模な炊き出しを行うなどうまく運用していた。ボランティア間で連携して炊き出しできるような調整役が必要だ」と話している。

■2011.5.1  緊急地震速報…チャイムに苦心 「ゴジラ」検討も
チャランチャラン…。3月11日以降、テレビから頻繁に流れる緊急地震速報の警報音。このチャイムは、NHKの依頼で伊福部達(とおる)・東京大名誉教授(高齢社会総合研究機構)が開発したものだ。「どんな状況でも、誰の耳にも聞こえるように」と、福祉工学の立場から考え抜かれたノウハウが詰まっている。

伊福部さんは、聴覚障害者や高齢者にも聞きやすい音の研究で知られる。NHKでは平成19年10月の緊急地震速報導入を前に、伊福部さんにチャイムの制作を依頼した。
「緊急性を感じさせつつ、不安感・不快感を与えない。騒音の下でもお年寄りや難聴者にも聞き取りやすい。さらにどこかで聞いた音に似ていない−という条件を満たす必要があった」と伊福部さん。

メッセージ性を持たせるため、既存の音楽の一部を使いたかったという伊福部さんは、耳慣れていて著作権処理も簡便な叔父・伊福部昭(あきら)(音楽家)の作品を調べ、その代表作「ゴジラ」の使用も検討した。しかし、「有名すぎてチャイムには向かなかった」。

選んだのは「シンフォニア・タプカーラ」というアイヌの踊り歌を題材にした楽曲の第3楽章。人間が一番聞き取りやすい音域の5つの音を抜き出し、曲調やスピードを変え、さまざまに試行錯誤した約30曲を制作。NHKの担当者と「ちょっとメロディーが出過ぎ」「これは怖すぎます」などと議論を重ね、5曲に絞り込んだ。
さらに老人、子供など30人を集めて騒音下で行った聞き取りテストなどを経て、最終的に残ったのが現在のチャイムだ。

3月11日以降、気象庁が出した緊急地震速報は、4月24日までに70回。NHKには「家のチャイムの音と似ている。紛らわしい」などという声も寄せられているという。伊福部さんは「こうしょっちゅう流れると、あの音が地震を連れてきているみたいで心苦しい。鳴らない日が続いてほしい」と話した。

■2011.5.2  無資格の訪問介護で不正請求、指定取り消し- 兵庫
ホームヘルパーなどの資格を持たない職員によるサービスで介護報酬を不正に請求したとして、兵庫県は4月30日付で、「有限会社ケアライフすま菅の台」(神戸市)が運営する訪問介護事業所「かいごステーションこすもす」(同)の指定を介護保険法に基づいて取り消した。

県によると、同事業所は2009年7月から10年5月までの間、ホームヘルパーや介護福祉士などの資格を持たない職員による訪問介護サービスについて、有資格者が提供したと偽り、介護報酬を不正に請求していた。
 
また、09年9月から10年8月までの間、実際には行っていない身体介護サービスを提供したように装い、自立支援給付費を不正に請求したとして、障害者自立支援法に基づき居宅介護の事業所指定も取り消した。
 
訪問介護と居宅介護を併せた不正請求金額は約67万円。今後は加算金を含む約90万円を保険者の神戸市が請求する予定。

このほか同事業所は、勤務経験のない人の実務経験証明書を発行。勤務実態があるよう装うために、賃金台帳をねつ造して県に報告していたという。

■2011.5.2  パンク強い車いす…ハンディ持つ学生起業家が開発「障害者に優しい復興計画を」
東日本大震災の被災地で不自由な生活を余儀なくされている身体障害者を支援しようと、ベンチャー企業を営む立命館大4年の垣内俊哉さん(22)=大阪市北区=が、さびやパンク対策を強化した被災地仕様の車いすを開発し、現地に贈る活動を続けている。

自身も病気のため小学生時代から車いすを使って生活しており、「使用者にとって車いすは『足』そのもの。少しでも安心につながれば」と発案。今後は「障害者に優しい復興プラン」も独自に提唱する予定だ。

垣内さんは昨年6月、障害者が暮らしやすい設備などを提供するベンチャー企業を設立。自身の経験を生かした提案を行ってきた。
震災を受け、障害者の生活が気がかりになって被災地の福祉施設などに連絡したところ、車いすが津波で流されるなどして足りなくなっている実情を聞き、支援を思い立った。

街頭募金で資金を集める一方、車いすメーカーと協力して、さびにくいアルミ製のフレームや、パンクしにくい丈夫なタイヤを使った車いすを製作。長時間乗っても疲れないよう座席部分にクッションを付けるなど、独自の視点で工夫を凝らした。

4月上旬以降、仙台市や福島県南相馬市の高齢者福祉施設などに約120台を寄贈。現地からのお礼や第三者からの激励の手紙が続々と届いており、「少しでも力になれてよかった」と笑顔を見せる。
一方、恒久的な支援を目的として、被災地の障害者のためのまちづくりプランをつくり、現地の自治体などに提案することも計画している。阪神大震災を経験した神戸市の復興のまちづくりを研究した上で、被災地に赴いて障害者のニーズを把握するつもりだ。垣内さんは「震災発生から日数がたつ中、障害者の観点から復興のために必要なことを模索していきたい」と話している。

■2011.5.2  子どもの人口、1693万人=30年連続減、過去最少―総務省
今月5日の「こどもの日」を前に総務省が2日発表した、日本の15歳未満の子どもの推計人口(4月1日現在)は、前年より9万人少ない1693万人で、1982年から30年連続の減少となった。比較可能な50年以降の統計で過去最少を更新した。内訳は男子が868万人、女子が825万人だった。

総人口(1億2797万人)に占める子どもの割合は前年比0.1ポイント減の13.2%。37年連続の低下で過去最低を更新した。人口4000万人以上の世界の主要国と比べても、米国(20.1%)、中国(18.5%)、韓国(16.2%)、ドイツ(13.5%)などを下回る最低の水準が続いている。 

■2011.5.3  福祉施設職員が元入居者の預かり金返却忘れる 大阪
府は2日、府立砂川厚生福祉センター(泉南市)の職員が、運営する知的障害者用グループホーム2施設の元入所者3人から生活費として預かっていた現金計約11万円などを返却し忘れていたと発表した。私的流用などはなく、返却し謝罪したという。

府生活基盤推進課によると、職員は08〜09年に退所した男性2人から、現金計約10万6000円を、別の男性1人からは残高約4000円の預金通帳1通を預かった。
障害者自立支援法では、グループホームでは職員が入居者の金銭管理をサポートすることになっているが、職員は入居者の退所後も返し忘れ、ホームにある自分の事務机に保管し続けていた。職員が異動後の4月下旬、後任の担当者が発見した。

■2011.5.3  窃盗:ヘルパーの女性、介護先で現金盗む−−上越 /新潟
医療機器などの販売・レンタル会社「さくらメディカル」(本社上越市)は2日、同社が運営する上越地方の介護保険サービス事業所のホームヘルパーだった40代の女性職員が今年3月、訪問介護の利用者宅から現金1万円を盗んだと発表した。利用者にはすでに職員から返金され、同社は先月11日付でこの職員を懲戒解雇とした。
同社によると、3月中旬に利用者から同社に相談があり、発覚した。

■2011.5.4  市民の保健室 元障害児施設長自費で開設
学校の保健室のように気軽に出入りし、心の悩みを打ち明けられる市民の癒やしの場「街の保健室R」が、町田市にあるアパートの一室に、開設された。開設者は、昨年まで10年間、近くにある障害児の学童デイサービス施設の施設長をしていた和田吉永(よしえ)さん(55)。「自閉症の娘を育てる中で、多くの人に助けられてきた。退職を機に、市民交流の場をつくり、恩返しをしたい」と、開設理由を話す。保健室名の最後のRは、障害を持つ我が子の名前の頭文字という。

保健室は、和田さんが、自費で開設した。広さ約20平方メートル。眺望と日当たりが良く、花やタペストリーを飾って、落ち着いた空間を演出している。スタッフは、小中学校で保健室の養護教員の経験もある和田さんと、アロマセラピストの椿原京子さん(53)、精神科看護師の林和子さん(55)
の3人。和田さんの知人の医師、弁護士、行政書士、作家、ファイナンシャルプランナー、教員、絵画教室主宰者ら約10人が、賛同者として名を連ねる。スタッフが手に負えない時は賛同者にも協力してもらうシステム。和田さんは「少しリラックスしたくなったら、ぶらりと来ておしゃべりして下さい。一日中、ボーッと過ごしてもらってもかまいません」と話す。

施設長時代、和田さんは、施設2階の空き部屋を地元に開放し、町内会の会合、趣味の作品展などに利用してもらい、障害児と健常者の交流に努めた。この時の経験が、市民がぶらりと訪れることができる保健室開設の原点になっている。
3月28日のオープン以来、今月3日までの来室者は、約40人。子育ての悩みで訪れた主婦は「誰も相談する相手がいなかったが、話を聞いてもらえ、すっきりした」と、喜んで帰っていった。落ち込んだ時に訪れ、「友人のアパートに来たようで、ここで話しているだけで落ち着く」というOLもいる。知人の教員が立ち寄り、「学校への要望を、お母さんたちと気軽に話せる場にしてもよいのでは」と提案してくれたこともあったという。

■2011.5.4  東日本大震災 被災の知的障害者支援…商品を各地で販売
大阪や愛知、宮城の障害者福祉関連の企業やNPO団体など7者が、東日本大震災で被災した知的障害者らの支援に乗り出した。障害者たちが作った商品の販売ルートを被災地外で確保するプロジェクト「ミンナDEカオウヤ」だ。大阪市北区で3日に始まったチャリティーイベント(5日まで)では手始めに、食べるラー油やクッキー、木工おもちゃなどを販売。近く同区内に常設店も開く。

活動拠点が津波で流されたり、販路がなくなったりしたという被災地の障害者福祉施設の「悲鳴」がきっかけ。7者で「都市部でできるサポートを」と宮城、岩手両県内の16施設で作られた商品をイベントなどで販売することにした。
この日は新梅田シティの会場にスタッフの掛け声が響き、多くの家族連れらが商品を買い求めた。今後は愛知、神奈川のイベントでも販売を計画している。

■2011.5.5  アルミ缶ふた外し簡単に 障害者施設の作業応援
京都市南区で板金加工業を営む梅原幸男さん(64)=西京区=が、アルミ缶をリサイクルしている障害者施設のために、缶からふたを簡単に取り外せる機械を製作した。缶をつぶしやすく、中からゴミも取り出しやすくなるといい、缶24本を一度にセットし、効率化を図った新作も障害者の意欲も上げると好評だ。梅原さんは「障害のある人に楽しく働いてもらえればうれしい」と誇らしげだ。

アルミ缶リサイクルに取り組む障害者施設は、缶を回収業者に売って利用者の工賃にしている。ただ、缶の中にタバコの吸い殻や飲料が残っていると回収してもらえない例もある。梅原さんは約1年前、次男で知的障害のある健太さん(26)が利用した支援施設「京北やまぐにの郷」(右京区)でこの話を聞き、ふたを取る機械を考えたい、と申し出た。

最初に作ったのは、高さ約60センチの箱形の機械。中に缶を一本ずつ入れ、内蔵されたステンレス製の刃でふたを上から切り落とす。早速「やまぐにの郷」で導入し、スチール缶からアルミ製のふたを取り外してアルミのリサイクル増につなげた。

作業効率を上げるために作った「回転式」は同様の仕組みの箱の下に直径90センチの作業台を設け、台上にセットした缶が次々と箱の中をくぐるようにした。設計には友人の会社役員坂本進さん(64)=南丹市=も協力し、梅原さんは本業の合間にプレスや溶接などを重ねて2カ月かけて完成させた。

利用する西京区の生活介護事業所すずかけでは、川西智子所長は「回転が面白いのか、アルミ集めに興味がなかった利用者もやる気になっている」と喜ぶ。梅原さんに、ふたの取り外しと缶の圧縮を連続してできる機械も作れないかどうか依頼している。

■2011.5.5  逗子の“逸品”販売、知的障害者の就労支援兼ねアンテナショップ開店/神奈川
知的障害者がスタッフとして働く地元特産品のアンテナショップ「mai!えるしい」(逗子市桜山9丁目)が、逗子海岸近くの国道134号沿いにオープンした。
「エコ」と「ヘルシー」をキーワードに、スタッフの手作りクッキーや逗子の特産品を中心とする“知られざる逸品”を販売している。

同店は、逗子市内で生活介護事業所「もやい」や自閉症・知的障害者自立支援施設「えいむ」などを運営する社会福祉法人湘南の凪(なぎ)が開設した。

逗子市内の店舗による特産品「逗子さくら産品」の一つに名を連ねる「さくらマフィン」がもやい産のため、知的障害者の就労支援施設とアンテナショップを兼ねた同店を新たにオープンした。市内にさくら産品を総合的に取り扱う店がなかったからだ。
店名は、ハワイ語の「ようこそ」を意味する「mai」と、エコとヘルシーを組み合わせた造語の「エルシー」を組み合わせた。

19歳から40歳までの知的障害者14人がスタッフとして働き、店内の菓子工房で卵不使用のおから入りや塩漬け桜葉入り、抹茶入りなどのクッキー、ケーキを手作り。さくら産品の逗子桜葉ソーダのほか、地元産豆腐、ハーブティーなど県内特産品を含めた約150種を販売している。

クッキー作りに汗しているスタッフは口々に「楽しい」と笑顔。就労支援員の壬生竜さん(33)も「観光客だけでなく、三浦産の朝取り野菜を地域の皆さんにお買い求めいただいています」と目を細めている。

■2011.5.5  光と愛の事業団 障害者就労支援に2団体へ助成金
福祉作業所で働く人たちを支援する読売光と愛の事業団の「生き生きチャレンジ」助成事業に、県内からは、障害者の自立支援活動を行っている鹿屋市のNPO法人「愛・あいネット」と、奄美市の就労支援施設「明りの家」が選ばれた。

「愛・あいネット」(柳井谷昭平理事長、38人)は、障害者へのパソコン技術訓練や竹を利用した飼料、堆肥(たいひ)の生産などを通した就労支援活動を行っている。
今回、光と愛の事業団から20万円の助成を受け、伐採した竹の運搬に必要な巻き上げ機を購入。同市串良町の竹林で、通所者らが巻き上げ機を使って竹の搬出作業に励んでいる。

竹を粉砕機で粉々にした竹パウダーは、鶏の飼料や牛や豚の敷き床材などとして販売しており、ふん尿のにおいを軽減する効果などから利用する農家の評判も良いという。
しかし、急斜面の多い竹林では、伐採した竹を運ぶのは重労働で、危険を伴うことも多かった。柳井谷理事長(51)は「作業効率が向上することで生産性もアップし、通所者の賃金を上げることが出来る」と喜んでいた。

「明りの家」施設長の恵川龍一郎さん(49)は、かつて京都で福祉施設を運営。「古里の奄美で、精神障害者のための作業所をつくりたい」との思いで、必死に働いてためた2000万円を投じ、2000年、島内で初めての精神障害者共同作業所を開設した。

現在、精神、知的、身体に障害のある18〜40歳の男女十数人が働く。のり面用などに販売するヨモギなどの採取、株分け作業のほか、公民館の清掃作業などを行っている。
就職先が少ない離島の奄美で、障害者が職に就くことは難しい。そこで、障害者の働く場を生み出そうと、奄美の植物・ゲットウを栽培し、アロマセラピーや化粧品に使われるエッセンシャルオイルなどに加工、インターネットで販売する計画に取り組んでいる。

助成金30万円は、加工に必要なオイルメーカーなどの購入費に充てる予定。恵川さんは「事業を進めて、障害者のみなさんに工賃をより多く支払い、結婚や子育てなどの目標を持てるようになれば」と語った。

■2011.5.6  東京都、社会福祉施設の人材育成ガイドラインを作成
東京都は、社会福祉施設等の経営者や施設長向けに、職員の育成や定着を図る「人材育成ガイドライン」を公表した。

本ガイドラインは“法人や事業所の経営理念や運営に不満”、“職場の人間関係が問題”といった離職理由が介護職において多く挙げられることから、経営者・チームリーダー層等マネジメント促進事業を実施してきたが、そのモデル事業の成果をもとに作成したもの。

都は、2009年に介護事故の予防などを図る「社会福祉施設におけるリスクマネジメントガイドライン」を、 2010年にはリスクマネジメントを進めるためには施設内の情報(記録)が重要であることに着目して「社会福祉施設における情報管理ガイドライン」を作成している。

今回は、リスクマネジメントと情報管理を組織内で進めるためには、人材育成が重要であるとして、「社会福祉施設における人材育成マネジメントガイドライン」の作成に至った。

ガイドライン内容は、「運用編」「実務編」「チェックリスト編」の3つに大別した。
★運用編では、OJTの実施や職場内研修の実施を通じて、自分の施設の成熟度を確認して、次のステップへと進むためにどのような取組を行うべきかを検討するプロセスを示し、中堅職員の人材育成で共通的にみられる課題を整理した。
★実務編では、実際に施設で人材育成の仕組みを実施するための参考に、5つのケーススタディを紹介。
★チェックリスト編は、施設での人材育成の活動の状況をチェックするためのリストを添付した。

社会福祉施設における人材育成マネジメントガイドライン
http://social-welfare.rgr.jp/databox/hukushi_jinzai01.pdf

■2011.5.7  障害者の髪、プロに任せて 福岡の「チョキチョキガイド」発行
障害者が利用できる福岡県内の理髪店を網羅したガイドブック「障がい者のための ふくおかけん チョキチョキ理容・美容ガイド」を同県那珂川町の障害者支援組織が発行した。全国の13障害者団体で構成する日本障害フォーラム(東京)によると、県全域を網羅した障害者対応の理髪・美容店のガイド本は全国的にも例がないという。

ガイド本を出したのは、プール利用や絵画制作、キャンプ活動など、障害者のための余暇活動を有料で支援している民間組織「ジャックの樹」。
主宰する渡辺千秋さん(48)によると、障害のある人が理髪店を利用したくても受け入れ店の情報入手が難しく、親が手入れするケースが多いという。このため、渡辺さんは「髪をカットすれば気分も変わり、地域で生き生きと暮らせる」と考え、ガイド本の編集を思い立った。

昨春から作業を始め、県理容生活衛生同業組合、県美容生活衛生同業組合に協力を依頼。両組合の加盟店計約4千店にアンケートを行い、約700店から受け入れ回答を得た。ガイド本には店名、住所、連絡先や駐車スペースのほか、受け入れ可能な障害種別、車いすへの対応、出張サービスの有無なども掲載。1万冊を自費出版して無料配布している。

渡辺さんは、障害者だけでなく、きれいに散髪されたわが子の姿を見て、保護者が愛情を再確認したり、理髪店スタッフや一般客が障害への理解を深めたりする効果も期待している。今後は4年ごとに更新するほか、病院や歯科診療所、福祉タクシーなど幅広い情報を集めたガイドブックの編集も検討するという。

■2011.5.7  障害者福祉施設で、こだわり手打ちうどん製作・販売 「くすのきうどん」
障害者施設「池田市立くすのき学園」(大阪府池田市五月丘)の利用者が手打ちしたうどんが新考案商品として同市内のレストランのメニューに並び、話題を呼んでいる。

販売されているのは、同市城南の市立池田病院3階のレストランひらり。くすのき学園では5年前から利用者が小麦粉と塩、水のみで作る手打ちうどんを自主製品に、うどん店を運営しており、これを知った同市の倉田薫市長がレストランを経営する正弁丹吾グループの平川千人社長に協力を打診。昨年末から同グループとくすのき学園で新メニューづくりを進めていた。
 
両者のコラボレーションでできたうどんは、特製だしと牛肉に海老天、玉子、わかめ入りの「くすのきうどん」。値段は700円。売上げの一部は市の障害福祉に役立てられる。
 
知名度不足で売れ行きの方は今後の課題だが、味はなかなかの評判。平川社長は「うま味がじっくりとしみ込んだおいしいうどんができました」とアピールする。同学園の瀬川輝代園長は「初めての試みですが、大勢の人に食べに来てもらいたい」と話している。

■2011.5.7  障害者デザインの商品 「木の葉モール」で販売
障害者が描いたデザインを採用したTシャツや靴下、バッジなどを専門的に販売する衣料雑貨店「M&M slow」が福岡市西区の大型商業施設「木の葉モール橋本」内にオープンし、人気を集めている。芸術への独特な感性がある一方で、それを仕事につなげる場が少ない障害者の可能性を広げる取り組みとしても期待されている。

運営するのは知的や精神、身体の障害がある人の芸術活動を支援する福岡市内を中心とした全国の17の障害者施設。それぞれの施設で作ったり、アパレルメーカーと共同で展開したりしているTシャツや靴下、缶バッジ、バッグ、子供服など約100種類2200点を約25平方メートルの店内で販売する。

出品している施設の一つ「工房まる」(福岡市南区)によると、障害者が手がける絵や手芸品は鮮やかな色使いなどで高い評価を受ける一方、販売する機会は施設のバザーなど限られているという。

今回は福岡市の婦人服店「M&M」からテナント料の支援を受けて出店。先月中旬のプレオープン時には、ピンクの生地に大きな鳥の絵をあしらったかわいらしい靴下や、文字盤に大胆な色使いの猫を描いた置き時計などに若い女性たちが足を止めて見入っていた。

同店の森田英義代表(45)は「人に買ってもらおうという意識のない、純粋な気持ちがこもった作品ばかり。定着できるよう支援したい」と感心。工房まるを運営するNPO法人「まる」の樋口龍二代表理事(37)は「店頭で継続販売してお客さまの反応を見ることで、障害者は自分の作品の課題を知ることができる。自信にもつながる」と期待している。

■2011.5.9  サービス記録なく不正請求、指定取り消し- 高知の訪問介護事業所
サービス提供記録がないにもかかわらず、介護報酬を不正に請求したとして、高知県は、「有限会社身新健」(高知市)が運営する訪問介護事業所「身新健ヘルパーステーション」(同)の指定を介護保険法に基づいて取り消した。処分は5月7日付で、介護予防訪問介護の指定も併せて取り消した。不正請求の総額は両サービスで810万円余り。

県によると同事業所では、介護報酬の算定根拠となるサービス提供の記録を作成しないまま、報酬を不正に請求していた。また、2005年10月から06年12月の間、同居している自分の家族に職員が提供したサービスにも報酬を請求したという。

このほか、07年8月から08年2月の間、常勤換算で2.5人以上必要なホームヘルパーの人員基準を満たしていなかった。複数の利用者に自己負担額の支払いを求めないなどの運営基準違反も見られたという。

■2011.5.9  障害者施設を無償補修 周南 建設会社の職人ら52人
周南市の建設会社などでつくる長崎皆栄会(住田良輔会長)は8日、同市米光の知的障害者更生施設「つくし園」で、壁の補修などのボランティア活動を行った。

長崎皆栄会は、同市の建設会社「長崎建設」(長崎国夫社長)と、塗装や建築など下請け約40社で構成。これまで、職人の技術を生かした社会貢献活動の一環として、徳山動物園の獣舎の補修や壁の塗装などを行った。

今回は施設が老朽化しているつくし園に活動を申し出た。会員の職人ら52人が参加し、園側から要望があったタンスの板の張り替えや壁の補修、花壇の草刈りなどを実施。手際よく板を切り、倉庫が使いやすくなるよう棚の取り付けなども行った。

住田会長は「人海戦術で素早く作業できた。園の多くの利用者に喜んでもらえるなら、今後の仕事のやりがいにもつながる」と話していた。

■2011.5.10  光なき不安 音なき恐怖 障害者たちの3.11
東日本大震災では、多くの障害者も被災した。障害者は障害の種類や重さによって、避難する際や避難所でさまざまな困難に直面する。宮城県内の視覚障害者、聴覚障害者の体験から、震災時の障害者支援を考える。

◎視覚障害者/津波は音もなく来た
視覚障害者の越中美智枝さん(59)は3月11日、宮城県石巻市中里の自宅で地震に遭った。
 
激しい横揺れに、座っていても体がずるずると動いた。物が落下し、背後の食器棚の中で皿や茶わんが次々と割れる音がする。「危ないと思っても動けなかった」。座布団で頭を守った。
 
揺れが収まると、100メートルほど離れた中里小に小学2年の孫娘(8)を迎えに行こうと白杖を手に外に出た。
 
網膜色素変性症のため、40歳前後で視力を失った。健常者の夫(65)と2人暮らし。求職中の長女(32)に代わり、放課後の孫の世話をしていた。 玄関を出ると、大津波警報の発令を知らせる放送が聞こえた。ほどなく戻った長女の車で夫と学校へ。孫を乗せて日和山に向かったが、渋滞で断念し、学校に引き返した。
 
学校には既に大勢の住民が避難していた。「寒いから」と近くに止めた車中にいた。
しばらくして長女が異変に気付いた。「皆が体育館に逃げてる。水がすごい」。膝まで水に浸かって校舎に移動しながら「津波なんて半信半疑だった。水は音もなく来たんだ」と思った。
 
水かさは増し、学校は孤立状態に。1300人が避難し、廊下にも人があふれた。「人が多くて杖もつけず歩くことができない。トイレに行くのもままならずつらかった」。携帯電話は通じず、同室の人のラジオが唯一の情報源だった。
 
学校を出たのは地震から3日後の14日。水が引かず、土手に渡した幅30センチの板を歩いて脱出した。
 
土手に上がると、非常事態を告げる無数の音が、一斉に耳に飛び込んできた。救急車のサイレン、ヘリコプターのプロペラ音、飛び交う無線の声…。「とんでもないことが起きた」と実感した。
 
知人宅などを経て4月下旬に自宅に戻った。ふすまは床上70センチまで水の跡が残る。足元はぬかるみ、衣類や音声パソコン、点字板一式は泥水に漬かっていた。日本盲人福祉委員会(東京)などが設置した視覚障害者支援対策本部宮城県本部から、点字版や日用品の支援を受けて生活再建を図る。越中さんは「市から安否確認や福祉避難所への誘導はなかった。避難先で同じ障害の人同士でいられれば心強かったし、助け合えたと思う」と振り返った。

◎聴覚障害者/避難呼び掛け、気が付かず
名取市閖上の無職渡辺征二さん(70)は、海岸から1キロ離れた自宅で、妻勝子さん(66)と息子(41)家族の5人で暮らしていた。渡辺さんと勝子さんは、ともに耳が聞こえない。
 
地震発生時、渡辺さんは自宅で昼寝をしていた。大きな揺れで目を覚まし、部屋の中を見ると、テレビやテーブルが倒れてきた。
 
普段からインターネットは使わず、テレビを見る習慣もない。地震に関する情報はこれまで、手話で家族から得ていた。当時、勝子さん以外の家族は出掛けていた。テレビのスイッチを入れても、停電で映らない。地震や津波の情報を得られないまま、家の中の片付けに取りかかった。
 
地震の後、閖上地区では消防団が広報車を走らせ、住民に津波からの避難を呼び掛けていた。渡辺さん夫婦は屋内にいたため、気が付かなかったようだ。
 
午後3時半ごろだった。近くに住む兄の敏正さん(73)夫婦が血相を変えて駆け込んできた。慌ただしく手を動かし、メッセージを送ってきた。「何やっているんだ。津波が来るぞ」 屋外に出て海を見た。初めて事態の深刻さを知った。黒い波が迫っていた。兄は車に渡辺さん夫婦と近所のお年寄りを乗せ、避難所の閖上中を目指した。
 
道路は狭く、渋滞していた。津波はどんどん迫ってくる。走って逃げる人もいた。兄は波に追いかけられながら、車を走らせ、仙台東部道路の名取川橋にたどり着いた。橋の上から見えたのは、渦を巻いた真っ黒な波が、車、船、電柱、松の木を押し流す恐ろしい光景だった。
 
家族は無事だった。家は津波で流され、6日後に約200メートル離れた場所で見つかった。 渡辺さんは閖上で生まれ育ったが「津波が来るとは思わなかった」と言う。震災当日は、普段は何かと気遣ってくれる近所の人が、訪ねて来なかったし、出入りする気配もなかった。後日、近所の人たちが大勢亡くなったことを知った。
渡辺さんは「耳の聞こえる人たちがたくさん亡くなった中で、聞こえない自分たちが助かったのは、兄のおかげ」と語った。

◎適切な情報支援、不可欠/被災障害者を支援するみやぎの会/阿部一彦代表
被災した聴覚、視覚障害者らの状況や支援の課題について、仙台市障害者福祉協会長で、宮城県内の障害者関連団体でつくる「被災障害者を支援するみやぎの会」の阿部一彦代表に聞いた。

震災直後に避難所に身を寄せた聴覚、視覚障害者の多くは、ほどなく自宅に戻った。「暮らしづらい」「迷惑を掛けたくない」というのが、主な理由だ。 
聴覚障害者の場合、手話通訳や要約筆記ができる人がいないと、音声による情報伝達を把握できない。「頭の中の地図」を頼りに移動する視覚障害者は、不慣れな建物ではトイレに行くことが難しい。
 
自宅に戻ったとしても、生活支援情報が届きにくく、給水や買い物に困ったという話も多い。
 
震災時には、聴覚、視覚障害者への情報支援が特に重要になる。罹災(りさい)証明書の申請など、支援制度の情報が届いているのか心配される。障害に応じた適切な情報提供の方法を考えるべきだ。
 
福祉施設とつながりのない在宅障害者は、安否確認自体が難しい。

壁となっているのは、個人情報保護法だ。今回の震災では、日本障害フォーラム(JDF、東京)の「被災障害者総合支援本部・みやぎ支援センター」(仙台)が県内の状況を調査する際も、自治体が持つ障害者手帳の交付台帳の活用は認められなかった。法施行以前は台帳を安否確認などに活用できたと聞く。
 
仙台市障害者福祉協会では、震災翌日から加入団体会員の安否確認を進めたが、障害者全体から見ると一部にすぎない。沿岸部では協会自体が被災して名簿すらないケースがある。誰がどこにいるか分からなければ、支援は困難だ。
 
今回の震災で、障害者支援の想定と対策が十分でないことが分かった。対策の見直しを進め、行政や地域、福祉団体などが情報を共有できるよう訴えていきたい。

■2011.5.10  不法投棄:社会福祉法人理事、廃材を 容疑で逮捕−−府警 /大阪
解体工事で出た廃棄物を不法投棄したとして、府警生活環境課と茨木署は9日、建設会社「丑寅(うしとら)建設」社長で、社会福祉法人「天王福祉会」理事の柴田勝夫容疑者(71)=茨木市丑寅2=を廃棄物処理法違反(投棄禁止)の疑いで逮捕した。容疑を認めているという。

逮捕容疑は天王福祉会の従業員ら4人と共謀し、昨年12月、自社所有のアパートの解体工事で出たコンクリート片や木くずなどの廃棄物約150トンを、茨木市内の丑寅建設が使う資材置き場に埋め立てて捨てたとされる。従業員ら4人も不拘束で今後調べる。

■2011.5.10  騒いだこと注意され立腹…障害者施設で殺人容疑
警視庁八王子署は9日、東京都八王子市川口町の内部障害者更生施設「浅川園」で入所者の首などをハサミで刺し殺害しようとしたとして、同じ入所者で無職渡瀬明男容疑者(46)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。

刺された男性は搬送先の病院で死亡したため、殺人容疑に切り替え調べている。
同署によると、渡瀬容疑者は同日午後10時40分頃、ハサミ(長さ約20センチ)で入所者の仙波裕二さん(43)の腹や首などを刺し、殺そうとした疑い。 飲酒して騒いだことを仙波さんに注意されて立腹し、ハサミを持って仙波さんの部屋に乗り込んだという。

同園によると、仙波さんと渡瀬容疑者は結核を患い、療養のため入所していた。

■2011.5.11  高知の介護事業所、監査で800万円の不正請求が発覚
高知県は、約800万円の不正請求があったことなどを理由に、有限会社身新健が運営する「有限会社身新健ヘルパーステーション」の指定を5月7日付けで取り消すことを公表した。
2011年1月から4月に実施した、介護保険事業者に対する監査の結果、判明したもの。

【指定訪問介護事業所】 ○不正請求:1,337件 約776.9万円
○人員基準違反
従業者数が、常勤換算で2.5以上でない ○運営基準違反
【指定介護予防訪問介護事業所】 ○不正請求(19件 約35.2万円)

■2011.5.11  障害者がおもてなし 一宮の作業所にカフェ開店
障害者らが働く喫茶店「カフェ・KURODA」が、一宮市木曽川町黒田に完成し、10日オープンした。社会福祉法人「きそがわ福祉会・黒田ドリーム作業所」に通う障害者が交代で接客し、自立と地域との交流の拠点を目指す。

同作業所は2006年10月に開設された。現在は18歳から62歳までの知的障害者を中心に23人が、クッキーなど焼き菓子を製造したり、神社の縁起物の熊手作りなどの軽作業を請け負ったりしている。

作業所は築約50年の古い建物を借りていたが、老朽化が進んでいたため、改築に踏み切り、作業所内の一角に喫茶部門を新しく設けた。県共同募金会を通じて社団法人「中京馬主協会」の資金支援も受けた。

自立と地域交流目指す メニュー20種、モーニングも
店内は28席。メニューはコーヒーや紅茶、ジュースなど約20種類で、午前11時半まではトーストやゆで卵、サラダ、ゼリーなどが無料で付くモーニングサービスがある。作業所で製造した菓子も販売される。食材は地元・浮野養鶏団地で生産された卵を使うなど地産地消にも気を配った。障害者らは4月から注文の取り方など接客の仕方を練習し、開店に備えてきた。

作業所施設長の田中由美子さん(50)は「地域の人とふれ合い、障害者を理解してもらうとともに、収益が上がれば作業所で働くみんなの給料アップにもつなげたい」と話している。

■2011.5.17  車イス移動楽々、介護拠点も併設…ケア重視の仮設住宅
岩手県釜石市は16日、東京大学と連携し、東日本大震災で被災した高齢者らが入居する新タイプの仮設住宅を建設することを決めた。“長屋”のように近所づきあいが可能な住宅を約100戸作り、孤独死の防止を目指すほか、介護拠点や託児所を併設する。住戸配置、人的支援などの総合的な対策で、ケアの必要な人を支える初の仮設住宅となる。

「コミュニティケア型仮設住宅」と名付けた仮設住宅の建設が予定されているのは、市内の平田総合公園。同市が近く県に申請、23日にも着工する。高齢者のほか、障害者やひとり親世帯などが対象で、車いすでも移動しやすいように、住戸をウッドデッキでつなぐ。さらに住戸の配置を変更、通常はすべて北側に面している玄関を互いに向き合うようにし、住民が交流しやすい環境を作る。併設された介護拠点ではデイサービスなどを行う。

阪神大震災では、仮設住宅に移った後に地域のつながりが薄れたことなどから、高齢者を中心に200人以上が孤独死した。今回の震災の被災地は高齢化率が全国平均より高いため、東大高齢社会総合研究機構が新型仮設住宅を提案した。
同機構の辻哲夫教授は「復興には高齢者が孤立しない環境が必要だ。安心できる生活を仮設住宅の段階から実現し、今後の地域作りに生かせれば」と話している。

■2011.5.18  サンファーム:知的障害者の就労を支援 余呉の新特産品販売−長浜 /滋賀
知的障害者の就労を支援する店「農事組合法人・サンファーム」が長浜市余呉町中之郷(なかのごう)の同市余呉支所西隣にオープンした。知的障害のある人たちが近くの加工場でジャムやジュース、果物酢などを製造。同店で自ら販売する支援施設で、今月3日の開店から「余呉の新特産品」を買い求める人たちが訪れている。

同店は社会福祉法人大樹会(彦根市野田山町)の嶋田鉄雄理事(72)ら6人が運営。余呉町池原の加工場では知的障害者も加わり、ブルーベリーや柿、梅などの酢、各種果物のジャムやジュースなどを製造。同会にかかわる障害者16人が交代で店番も。名物品は同店で製造・直売するジェラートアイスクリーム(1個300円)とアイスカップ(同280円)。同ファームの各新商品は三姉妹博覧会の2会場(湖北町、内保町)でも販売され、人気という。嶋田理事は「就労支援の場として定着させたい。ここで経験したことが実り、生き生きと働ける場がもっと増えれば」と話している。

■2011.5.19  障害者スポーツを紹介 兵庫県内団体がガイド本
兵庫県内の障害者スポーツ団体や施設などで組織する「障がい者スポーツネットひょうご」が障害者のスポーツを紹介するガイドブックを作成した。競技を知り、始めるきっかけにと編さんされた一冊だ。

同ネットが「障がい者スポーツにどんな競技があるか、広くは知られていない」と、同ネット設立の2009年ごろから企画。増田和茂・県立障害者スポーツ交流館所長らを中心に編集を進め、今年3月に完成した。

肢体不自由▽視覚障害▽聴覚障害▽知的障害▽精神障害‐と障害別に各競技を説明。歴史やルールのほかに、用具の価格や練習場所のほか、県内の障害者スポーツの拠点施設、参加できる大会なども紹介している。
A4判で62ページ。4000部を作成し、約1000部を県内の施設や特別支援学校などに配布した。

■2011.5.20  被災地の障害者支援、遅れ深刻 東近江の支援員調査
東日本大震災で、障害者への支援が遅れている。滋賀県東近江市の障害者支援施設あかね支援員の井村悌規(よしのり)さん(40)は、現地で救援活動を行う団体「日本障害フォーラム(JDF)」の一員として4月に9日間、宮城県沿岸部の障害者の実情を調査した。「避難所にも行けず、半壊した家で『死にたい』と言う障害者もいた」と深刻な状況を話している。

井村さんは石巻市など3市町の避難所20カ所以上を回った。障害者がいる8世帯の要望を聴き、食料を届けたり、ボランティアの支援を要請したりした。
 
石巻市では、避難所の前でおどおどしている男性(61)を見かけた。話し込むうち、精神障害と知的障害があるらしいことが分かった。男性は避難所に入らず、津波で半壊し、がれきだらけの自宅で1カ月以上暮らしていた。
 
自宅に行くと電気、水道、ガスは使えず、ペットボトル数本の水とカップ麺数個、懐中電灯しかなかった。「避難所に移った方が良いのでは」と助言したが、男性は「迷惑をかけたらいかん」とかたくなに拒んだ。理由を尋ねてもはっきりしない。避難所での対人関係に不安があるようで、最後には「早く死にたい」と漏らした。

山元町の避難所では、片足が無い身体障害者の60代女性がいた。義足と車いすは津波で自宅ごと流され、介護ベッドの代わりにテーブルの上にふとんを敷いて寝ていた。「食料はあったが、つえや補聴器の電池といった福祉関係の物資はほとんど無かった」(井村さん)。自閉症の子ども2人を抱え、集団での避難所生活に疲れ果てている母親もいた。
 
JDFは宮城など3県に拠点を設け、障害者の安否確認や物資提供などの支援を行っている。住所など障害者に関する情報の提供を各市町村に求めているが、ほとんどの自治体が「個人情報」を理由に拒否。支援の遅れを招いている、という。
 
井村さんは「多くの障害者が自分の障害について語れず、孤立している。調査でもどの市町からも情報が得られず、避難所で『障害のある人を見かけましたか?』と尋ね歩くしかなかった」と話す。

■2011.5.20  介護職の退職者、9割近くが非正規職員――民間調査
セキュア・テクノロジー・パートナーズ株式会社は、同社がオンライン上で毎月実施している介護職員の退職実態調査の3月結果を発表した。

調査では、介護事業者1003法人に対し、3月の従業員の退職について実施。
3月に退職者がいたか尋ねたところ、「はい」が68.9%、「いいえ」が31.1%となり、前年度と比較しても退職者が出ていない事業所が調査対象の3割を超えた。また、退職人数については、「1人」が62.5%、「2人」が20.2%、「3人」が16.3%、「それ以上」が1.0%となり、退職者を出した事業所当たりの退職者数は1人が6割を超える結果となった。こちらも前年度と比較しても少ない結果となった。

ただ、退職者のうち、「正規職員」が12.1%であるのに対し、「非正規職員」が87.9%にも上り、雇用形態では非正規職員の退職者が多い点は依然として変わらない。

このほか、退職した人の性別では、男性40.5%、女性59.5%と女性がやや多く、退職した人の年齢別では、20歳〜29歳が28%と最も多く、次いで20歳未満が22%と、若年層における退職者が多いのが目立つ。

■2011.5.22  福祉施設に災害対応車いす 福祉コンサル会社社長 垣内俊哉さん
立命館大経営学部4年で、福祉コンサルティング会社「ミライロ」(大阪市中央区)社長でもある垣内俊哉さん(22)が、パンクしにくい災害対応用の車いすを、被災地の病院や福祉施設などに送っています。ご自身も車いすを使う垣内さん。「生活を再建するには、車いすで、まず外に出てほしい」と考えたそうです。

垣内さんは、生まれつき骨が弱い骨形成不全症です。地震後、障害のある人がどうしているか気になり、被災地の施設や病院約120か所に電話をかけました。「施設にあった車いすが全て津波で流された」「避難所に車いすがないため、トイレに行けない」。移動手段を失い、困っている人がたくさんいました。

「送るなら、被災地で使えるものを」。神戸市のメーカーに、がれきの上でも走行できる硬いゴム製タイヤの車いすを作ってもらいました。潮風にもさびないアルミ製で、長時間使用しても床ずれしない特製クッション付きです。資金は、仲間の大学生らが大阪や神戸などの街頭で集めた寄付金約140万円と、企業の協賛金です。

先月上旬からこれまでに約270台を、宮城県の石巻赤十字病院など約50か所に届けました。受け取った人たちから、「やっと外出できるようになりました」「移動が随分楽になった」と喜びの声が手紙やツイッターで寄せられました。

障害者が町を自由に移動するには、車いす以外にもさまざまな配慮が必要です。垣内さんは今後、自治体に対し、車いすで利用できるトイレやエレベーターを公的施設に付けるよう提案するつもりです。
「大きな苦難をくぐり抜けた被災地が、体の不自由な人にも優しい町として復興してほしい」と、願っています。

■2011.5.24  報酬不正請求で横浜の介護事業所を処分
介護保険の設備基準を満たしていなかったなどとして、神奈川県は24日、社会福祉法人清風会が運営する通所介護事業所「ヴェルデの森デイサービス」(横浜市青葉区)を、新規利用者の受け入れを3カ月間停止する介護保険の一部効力停止処分とした。

県介護保険課によると、同事業所は平成17年4月から22年12月にかけ、設備基準に規定された相談室を法人理事長室などに、静養室を会議室に無断転用。基準を満たさずに介護サービスを提供しながら、適正に提供したとして不正に介護報酬を請求した。横浜市の監査で発覚。事業所側は相談業務を実施しており、「使用頻度が低く軽い気持ちで転用し、反省している」と話しているという。県は不正請求された介護報酬約2500万円の返還を求める。

 

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