残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2011年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

 2011. 6. 1 大阪と兵庫の介護事業所、4400万円超不正請求で指定取り消し
 2011. 6. 1 人員基準違反で訪問介護事業所など指定取り消し―大阪
 2011. 6. 1 「電子白杖」を商品化 秋田精工、製作コスト低減
 2011. 6. 2 「抱きしめてBIWAKO」11月6日に開催 87年の再現目指す
 2011. 6. 2 障害者に理解を/8月、土庄でチャリティー絵画展
 2011. 6. 3 海外の若者とネット交流 障害者福祉施設
 2011. 6. 3 苦心し手作り 自慢のケーキ 倉敷に洋菓子店オープン 障害者が製造・販売
 2011. 6. 3 段ボールで簡易ベッド
 2011. 6. 3 医療と福祉の総合施設が完成 亀井工業HD120周年事業の集大成
 2011. 6. 4 NPO法人ずさん経理 高知県佐川町
 2011. 6. 8 児童虐待相談最多451件…宮崎
 2011. 6. 9 障害者に運転免許を 徳島県労働者福祉協
 2011. 6. 9 出所した障がい受刑者の支援施設開設【徳島】
 2011. 6.10 障害者の小規模多機能への宿泊で省令改正−厚労省
 2011. 6.10 「障害」の表記、変更不要が43% 障害者白書
 2011. 6.10 <東日本大震災>ボランティアは阪神の3分の1、38万人
 2011. 6.11 「缶パン」注文急増 右京の社会福祉法人が製造
 2011. 6.13 神戸に国内初、小児がん患者が個室で家族すごせる施設建設へ
 2011. 6.13 障害者虐待:発見者に通報義務 防止法案提出へ
 2011. 6.14 障害者虐待防止法案:衆院を通過
 2011. 6.14 大阪市の貸付金受けた福祉法人理事長、平松市長に献金
 2011. 6.14 自閉性障害、女子の支援配慮を 男子に比べ診断困難・・・思春期に強まる孤立感
 2011. 6.15 児童虐待、最悪1853件…神奈川
 2011. 6.16 東日本大震災:知的障害者、相次ぐ急死…避難先で発作など
 2011. 6.16 <東日本大震災>ケア付き仮設で安心…石巻の社会福祉法人
 2011. 6.17 <障害者虐待防止法>期待の一方で、自治体の体制などに課題
 2011. 6.17 高齢者の万引き増加、背景に経済的困窮や孤独感…山口
 2011. 6.18 精神障がい関連の労災件数が過去最高、自殺も増加
 2011. 6.19 寝屋川福祉会の前理事長を逮捕 業務上横領の疑い 大阪府警
 2011. 6.19 児童虐待相談34%増 愛媛県
 2011. 6.20 業務上横領容疑で逮捕の寝屋川福祉会前理事長 「悪いことはしていない」
 2011. 6.21 障害者がカレー店オープン 笑顔が「スパイス」 静岡 葵区
 2011. 6.21 障害者雇用が10年で倍増 秋田県内、職場体験で理解広がる
 2011. 6.21 がんばろう日本、缶バッジが好評 伊東の作業所が販売
 2011. 6.21 厚労省、「ハンセン病問題に全力を尽くす」と宣言
 2011. 6.22 児童虐待相談 最多1383件 昨年度 静岡県
 2011. 6.22 独創性が人気!障がい者アートの魅力とは?
 2011. 6.23 横浜の知的障害者施設、利用者預金から使途不明2000万円/神奈川
 2011. 6.24 「ひばの積み木」に林野庁長官賞
 2011. 6.25 児童虐待相談が最多 昨年度538人 石川県
 2011. 6.28 発達障害児限定のデイサービス 来月から伊那で
 2011. 6.30 たん吸引実施のための研修などを提案−厚労省
 2011. 6.30 弘前の特養ホームで昼夜おむつ使用ゼロ


■2011.6.1  大阪と兵庫の介護事業所、4400万円超不正請求で指定取り消し
大阪府は5月31日、介護給付費を不正に請求していたなどとして、「株式会社ジョイ介護センター」(神戸市)が運営する障害福祉サービス事業所「ハッピーひらの3出会いの里くわのみ」(大阪市)について、障害者自立支援法と介護保険法に基づく指定を取り消す行政処分を行った。また兵庫県も同日、同社の訪問介護事業所「ジョイ介護センター神戸西ステーション」(神戸市)について、不正請求などを理由に介護保険法に基づく指定を取り消した。不正請求の総額は合わせて4400万円超に上る。

くわのみは指定障害福祉サービス事業者として、居宅介護と重度訪問介護のサービスを提供していたほか、介護保険事業では訪問介護や福祉用具の貸与・販売を手掛けていた。

大阪府によると、2007年8月から昨年12月までの間、居宅介護サービスの利用者に実際の回数よりも多く通院等介助サービスを提供したと偽ったり、家事援助を身体介護と偽ったりするなどして介護給付費を不正に請求していた。また、重度訪問介護事業では、実際の日数よりも多くサービスを提供したと偽っていた。不正請求額は約3335万円。

訪問介護事業では、ヘルパーによるサービス提供の有無を確認せずに介護報酬約19万円を不正に請求していた。また、福祉用具の貸与や販売を手掛ける事業所では、07年8月に指定を受けた際に、非常勤のヘルパーを福祉用具専門相談員と偽って届け出ていた。指定を受けた以降の不正請求額は、貸与と販売を合わせて約785万円。

また兵庫県によると、神戸西ステーションは06年9月から昨年9月までの間、1人のヘルパーが同時に複数の利用者にサービスを提供したように偽るなどして、約285万円を不正に請求していた。

■2011.6.1  人員基準違反で訪問介護事業所など指定取り消し―大阪
大阪府は5月31日、人員基準に違反していたとして、訪問介護や福祉用具の貸与・販売などを手掛ける「特定非営利活動法人堺ふれあいネット」(堺市)について、介護保険法に基づく指定を取り消す行政処分を行った。

府によると、訪問介護事業所では、常勤で1人置くべきサービス提供責任者を配置していなかった。また、福祉用具の貸与や販売を手掛ける事業所では、常勤換算で2人以上置くべき福祉用具専門相談員を確保していなかった。

同社をめぐって府は2007年7月以降、実地指導を行ったり、改善勧告を出したりしてきた。今年3月には改善措置命令を出したが、基準違反が見られたため指定を取り消した。

■2011.6.1  「電子白杖」を商品化 秋田精工、製作コスト低減
超音波センサーで物体を感知し、障害物にぶつかるのを防ぐ視覚障害者用のつえを、秋田精工(由利本荘市、須田精一社長)が製品化し、31日から受注を開始した。

つえの名前は「スマート電子白杖(はくじょう)」。長さ1・2メートル、重さ約300グラム。杖の上部に超音波を発するセンサーが付いていて、2メートル以内に障害物があるとグリップやリストバンドが振動する。つえの先端で地面を軽くたたきながら歩けば、階段の段差や顔と同じ高さの障害物も感知できる。
3年前、県立大の岡安光博准教授=材料強度学=が開発に着手。2年前に同社も加わり、製品化を進めてきた。専用の金型を開発して製作コストを低減。軽量化にも努めた。

価格は、センサーが1つだけのタイプが3万円(消費税別)、2つのタイプが4万3千円(同)。県は県内視聴覚障害者手帳保持者のうち1、2級の約2千人を対象に、購入費の3分の1を補助する。また、ほとんどの県内市町村でも同程度の補助を検討している。

■2011.6.2  「抱きしめてBIWAKO」11月6日に開催 87年の再現目指す
1987(昭和62)年に福祉施設の移転のために25万人が手をつないで琵琶湖を囲んだ「抱きしめてBIWAKO」の再現を目指す実行委員会のメンバーが1日、県庁で会見。11月6日正午に催すことを正式に明らかにし、ホームページからの参加申し込みを呼びかけた。

抱きしめてBIWAKOは、大津市内にあった障害者施設「第一びわこ学園」が老朽化し、移転費をつくるため参加者に寄付を募り実現された。人のために尽くす精神を忘れないようにと、県内の有志が今年1月に実行委をつくり準備を進めている。県内の事業者を中心とした40人がメンバーとなっている。

今回はびわ湖の日30周年事業として実施。環境保全の重要性をPRすることを目的に参加料は1人500円。老朽化している小学生のための県学習船建造基金や地域活動を支援する基金に寄付する。参加者には手をつないだ後で湖岸清掃への参加を求める。開催日には飲食店の出店や音楽、お笑いなどのイベントも開く。

会見では、近江米をイメージし、今回のイベントのためにつくったキャラクター「ビワコッチ」を披露。実行委代表で草津市の建設会社社長の白井幸則さん(48)が「24年前に25万人が福祉のために寄付した尊い思いは母なる琵琶湖の精神そのもの。当時の灯火が衰えていないことを証明したい」と意気込んだ。琵琶湖一周235キロを囲むため、前回と同じ25万人の参加を目指す。参加申し込みはホームページから。問い合わせは草津市新浜町の実行委事務局=電077(598)5147=へ。

■2011.6.2  障害者に理解を/8月、土庄でチャリティー絵画展
土庄町の指定障害福祉100+ 件サービス事業所「ひまわりの家」を運営する社会福祉法人ひまわり福祉会(井上泰好理事長)は8月20日から22日までの3日間、設立10周年を記念したチャリティー企画「現代国際巨匠絵画展」を香川県小豆島町西村のサン・オリーブで開催する。

会の活動を多くの人に知ってもらい、障害者福祉100+ 件への理解を深めてもらうとともに、収益金の一部を近く開設を目指している知的障害者のグループホーム設立準備資金に充てるのが目的。東京の企画会社の協力を受け実施する。

出展作品は現代画家の油彩や水彩、パステル、日本画など120〜150点。ピカソやシャガール、東山魁夷、平山郁夫ら巨匠のリトグラフなども販売する。期間中、フランスのジャン・フランソワ・ミラン画伯を招き、サイン会も開く。
井上理事長は「小豆島には知的障害者のグループホームはなく、設立は悲願。障害者への理解を深めてもらえる機会にしたい」としている。

■2011.6.3  海外の若者とネット交流 障害者福祉施設
松阪市小阿坂町の障害者福祉施設「まつさかチャレンジドプレイス希望の園」(村林真哉園長)で2日、園生たちがポーランドとチリを結んだインターネットのテレビ電話を使って、異国の若者たちと交流した。

異文化交流をめざす同市のグループ「アスク10パーソンズ」の代表で、三重大付属中学非常勤講師の小浜照重さん(54)=同市猟師町=らが企画した。
園生とボランティアら約30人近くが集まり、園内のスクリーンから生中継の様子が映し出された。目が不自由な園生は、右手だけで折った2羽がくっついたツルを紹介。別の園生は交代でアフリカの楽器などを演奏し=写真=、デザインしたTシャツを披露した。
ポーランドは夜中の3時ごろだったが、高校生のキンガさん(18)は日本語であいさつ。チリからはフランセスカ・トレドさん(28)らが出席した。

■2011.6.3  苦心し手作り 自慢のケーキ 倉敷に洋菓子店オープン 障害者が製造・販売
障害者が製造・販売を手掛ける洋菓子店「グランひまわり」(倉敷市玉島上成)が2日、約2カ月間の研修を兼ねた試験営業を経て本格オープン。多くの客が訪れ、苦心して手作りした自慢のケーキを買い求めた。

2009年秋に閉店した同所の洋菓子店「グラン」を引き継ぎ、社会福祉法人「ひまわりの会」(同市福田町福田)が就労の場として整備。18?50歳の知的障害者6人が施設職員らとともに食材の計量やフルーツの飾り付け、掃除や販売などに携わっている。
6人は当初、うまく卵も割れないなどケーキ作りに悪戦苦闘。失敗を繰り返しつつ、前オーナー・浅野真知子さん=同所=らから熱心に学び、評判が高かった浅野さんの味を再現するまでに成長したという。
初日は、チーズケーキやロールケーキなど約20種類を用意。地元住民や施設関係者らが次々と買い求めた。

■2011.6.3  段ボールで簡易ベッド
医療機器関連ベンチャーのメディカル・エキスパート(本社:東京都中央区)は、「暖―dan」段ボールを使った簡易折り畳みベッドの開発、販売を始めた。

3つの同型パーツを組み合わせて1分以内で作れる
災害時などの緊急時に地面に直接、患者を寝かさないで済む。強度は100キログラムの体重の患者を乗せて心臓マッサージをしてもつぶれないくらいあるという。800台の販売を初年度に目指す。ベッド本体の大きさはシングルサイズで縦200センチメートル、横71センチメートル、高さ24センチメートル。1分以内で3つの同型パーツを組み合わせて作れるという。

■2011.6.3  医療と福祉の総合施設が完成 亀井工業HD120周年事業の集大成
亀井工業ホールディングス(株)(亀井信幸代表取締役)がグループの120周年事業の集大成として進めてきた「茅ヶ崎メディカルケアセンター(幸町5―8)」がこのほど完成し、5月28日に施設見学会を兼ねた開所式を盛大に開催した。

開所式には服部信明茅ヶ崎市長をはじめ、前神奈川県知事の松沢成文氏、田中賢三茅ヶ崎商工会議所会頭の代理で出席した前川義憲副会頭など多数の来賓が出席。挨拶に立った亀井代表は「グループの120周年事業の締めくくりとして進めてきた施設が完成しました。高齢者の役に立つサービスを行い、地域社会の福祉に貢献したい」と話し、会場から大きな拍手が贈られた。

完成した同センターは介護付有料老人ホーム「ケアヴィレッジ湘南茅ヶ崎」、高齢者専用賃貸住宅「ビバヴィレッジ湘南茅ヶ崎」の他、訪問介護・居宅支援事業所「しおさい」、内科医療を提供する「茅ヶ崎メディカルクリニック」、薬局などをもつ医療と福祉の総合施設。駅から徒歩3分の好立地に加え、湘南の海が一望できる抜群の眺望で各方面の注目を集めている。

■2011.6.4  NPO法人ずさん経理 高知県佐川町
佐川町で障害者自立支援法(支援法)に基づく障害福祉サービス事業所を運営するNPO法人「わくわくライフステージ」の運営・経理がずさんだとして、県は近く事業所指定を取り消す方針を固めた。

国や自治体の給付で大半をまかなう運営資金で釣り具を買うなどしていたという。
同法人は、県立の特別支援学校教諭が非常勤で理事長を務め、卒業生の雇用の場を確保しようと2006年に設立。佐川町で知的・精神障害者向けの支援施設やグループホームなどを運営し、現在は町内外の約30人が利用している。10年度は国や県などが月額計約560万円を給付した。

県が4月初旬から監査したところ、利用者ごとの支援計画づくりや施設ごとの会計管理・運用がずさんで、10年6月以前の一部帳簿の紛失が判明。県は「重大な法令違反が認められ、改善は見込めない」と判断した。

県によると、法人は役員や職員らから3千万円以上を借り入れる一方、計約300万円分の釣り具を購入。職員給与が少ないときでは月約2万円と記載されたり、別に仮払いされたりしていた。仮払いについて施設側は「施設が個人に貸した」、職員側は「給与の代わりだった」と説明しているという。法人は4月、設立当初から出納や施設管理を統括してきた常勤理事の施設長(47)を解任。理事長は県に「施設長に任せていた」と釈明しているという。

一方、元施設長は高知地裁須崎支部に地位保全の仮処分を申請中で、朝日新聞の取材に「会計処理の不手際はあったが、不正な流用や蓄財はしていない。現場が理事会の無策をカバーしてきたが、責任を負わされじくじたる思い」などと主張した。理事長は「係争中のため、取材に応じられない」とコメントした。
利用者への支援継続について、県障害保健福祉課は「利用者や保護者の意向を聴いて対応したい」としている。

■2011.6.8  児童虐待相談最多451件…宮崎
2010年度に宮崎県内の児童相談所に寄せられた児童虐待の相談件数が、過去最多の451件に上ったことが、県のまとめで分かった。

県こども家庭課は「虐待防止に向けた意識の高まりが、相談件数の増加につながっている」とみており、相談増に対応するため、4月から、教員免許などを持つ非常勤職員11人を新たに配置した。

同課によると、県内の3か所の児童相談所(中央、都城、延岡)に寄せられた相談は、前年度から86件増えて23・6%の増加。07年度と比べると2・3倍になった。
児童相談所への連絡元は、保健センターなどを含む市町村からが113件(構成比25・1%)と最も多く、次いで近隣の知人が70件、学校などの59件の順だった。
虐待の内訳は、食事の世話をしなかったり、家に閉じこめたりする「保護の怠慢ないし拒否」が172件で約4割を占めた。ほかに殴る蹴るなどの「身体的虐待」が160件、言葉による脅しや極端な無視などの「心理的虐待」が97件、「性的虐待」22件だった。

虐待を受けた児童の年齢は小学生が171件(同37・9%)で最多。0〜3歳未満が93件、3歳から学齢前児童が101件、中学生69件、高校生などが17件だった。
一方、虐待をしたのは実母が280件で6割を占めた。次いで実父の108件、養父などの37件の順となっている。

相談増の要因について、県こども家庭課は「幼児が犠牲になる悲惨な事件が全国で相次ぎ、子どもの虐待に関心が高まった。おかしいと思ったら、ささいなことでも通報するという意識も浸透してきた」と話している。
国の通知により、相談を受けた児童相談所は48時間以内に、子どもの身の安全を確認することになっている。ただ、相談件数の急増で「職員の負担が大きくなっている」として、県は今年度、12人の非常勤職員を児童相談所に配置することを決めた。これまでに警察官OBや保健師、福祉士、教員免許の保持者ら11人を採用した。県こども家庭課は「これまで以上に迅速な対応を行いたい」としている。

■2011.6.9  障害者に運転免許を 徳島県労働者福祉協
自動車運転免許取得を目指す障害者をサポートする県労働者福祉協議会の特別講座が始まって今年で10年目を迎えた。免許を取得した受講生は、これまでに66人(自動車50人、原付16人)を数え、就労に結びついたケースも多いという。協議会によると、同様の講座は全国的にも珍しい。

講座は自動車教習所入校を考えている知的障害者を対象に2002年春、阿南市と松茂町の2カ所でスタートした。
週1回2時間、30週にわたり、自動車教習所の元教官が交通教則本の漢字の読み方や標識の意味などを解説し、練習問題を解いていく。仮運転免許レベルの問題が解けるようになった時点で、家族とともに教習所への入校を検討する。

これまでに10〜50代の延べ174人が受講。県内各地の障害者の要望を受け、08年度からは徳島、吉野川両市を加えた4カ所で開いている。

知的障害者にとって、運転免許取得のハードルは低くはない。講座を運営する協議会の村田知江美さんによると、教習所に入っても、仮運転免許学科試験でつまずき、仮免合格に6カ月の期限いっぱいまでかかる人が多いという。
教習所を卒業しても一度で免許を取れる人はまれで、ほとんどの人は5回以上、受けている。中には108回目で合格した人も。「それだけに念願かなった時の喜びは大きいようだ」と村田さんは言う。

鳴門市内の会社に勤める市原繁さん(45)=松茂町中喜来=は03年から3年連続で受講し、3年目の05年に教習所に入校。翌年3月、7回目の受験で合格した。「通勤がぐんと楽になったし、それまで行けなかった所に買い物に行けるのがうれしい」。無事故・無違反を続けているのが自慢だ。

障害者の要望を受け9年前、講座を発案した同協議会の久積育郎会長は「需要はまだまだ多いし、可能な限り続けていきたい」と話す。講座は今年も今月中旬から県内4カ所で開かれる。

■2011.6.9  出所した障がい受刑者の支援施設開設【徳島】
徳島県は、刑務所等の矯正施設を出所した障がい者や高齢者の社会復帰を支援する「徳島県地域生活定着支援センター」を2011年6月1日(水)、徳島市内に開設した。

保護観察所などと協働して、本人が矯正施設に入所している時から担当者が面談を行い、障害者手帳の発給や社会福祉施設への入所など、必要な福祉サービスを出所後にスムーズに受けられるよう準備を進める。

運営は、県から委託された社会福祉法人徳島県社会福祉事業団が行う。
生活に困窮している人や、出所しても親族の援助が受けられる見込みがない人などの「社会復帰支援」が運営の柱だが、福祉サービスや住居、就労環境を確保することで本人の社会生活への移行を円滑に行い、「再犯防止」につなげたい考えだ。
法務省の調査によると、知的障がい(疑い含む)がある受刑者410名のうち、犯罪の動機が「困窮・生活苦」である割合が36.8%と高い割合を示している。

厚生労働省では、同センターを都道府県の圏域ごとに1か所設置するための予算、約6.1億円を概算要求している。

■徳島県地域生活定着支援センター設置場所
徳島市昭和町1丁目2番地 徳島県立総合福祉センター1階
■電話 088-611-0220

障害のある人が普通に暮らせる地域づくり
http://social-welfare.rgr.jp/databox/syougaisyahukushi_01fw2.pdf

■2011.6.10  障害者の小規模多機能への宿泊で省令改正−厚労省
厚生労働省は4月27日までに、介護保険法で定める小規模多機能型居宅介護の事業所で、障害児や障害者への宿泊サービス(短期入所)を提供できるよう省令改正する方針を固めた。現在は構造改革特区に限って認められており、これを全国展開する。改正省令は6月1日付で施行する予定。同省が省令改正についてのパブリックコメントを募集するに当たって公表した。

省令改正後は、障害児・者に宿泊サービスを提供すると、障害者自立支援法に基づき、1日につき757単位が算定される。ただし、利用者が指定生活介護などの日中活動を利用した日に提供した場合は231単位。
 
人員や施設については、現行の小規模多機能型居宅介護の基準を適用し、登録定員の上限は高齢者と障害者を合わせて25人とする。1日当たりの宿泊サービスの利用者数は、通いサービスの定員(登録定員の2分の1から15人まで)の3分の1から9人までが必要になる。また、障害児・者の宿泊を受け入れる場合は、指定短期入所事業所や知的障害児施設などの関係施設から必要な技術的支援を受けていることが求められる。
 
このほか、地域密着型サービスとしての個室以外に宿泊室を設ける場合は、1人当たりの宿泊室の面積を既にある個室同様に、おおむね7.43平方メートル以上にする必要がある。

小規模多機能型居宅介護事業所による障害児・者へのサービス提供をめぐっては、政府の構造改革特別区域推進本部の評価・調査委員会が今年2月に、短期入所について、全国展開すべきとする意見を取りまとめていた。また、厚労省が昨年6月に、生活介護サービスの提供を認める通知を出している。

■2011.6.10  「障害」の表記、変更不要が43% 障害者白書
政府は10日午前の閣議で、2011年版「障害者施策の概況」(障害者白書)を決定した。

障害のある人への意識調査で「障害」の表記を改めるべきだという意見は22%で、容認派の43%の半分程度だった。「害」の字が差別や偏見につながるとの指摘があるものの、新たに適切な呼称を見つけにくい現状が浮き彫りになっている。

変更を求める人に、どのような表記にすべきか聞いたところ「障がい」が41%、戦前に用いられた「障碍(しょうがい)」は8%だった。内閣府によると、北海道や熊本県など少なくとも10道府県と5政令市では、自治体独自の政策や担当部署の呼び方などで「障がい」の表記が使われているという。
政府の「障がい者制度改革推進本部」は14年をめどに、表記に関する一定の結論を出す方針。

■2011.6.10  <東日本大震災>ボランティアは阪神の3分の1、38万人
東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県で活動するボランティアが、発生当日から3カ月間の延べ人数で、阪神大震災(95年)の3分の1にあたる40万人程度にとどまっていることが、内閣府のまとめで分かった。

人数はゴールデンウイーク(GW)以降急減。被災地で復興の本格化とともにボランティアの需要が高まっており、関係者は東京など主要都市と被災地を結ぶ送迎バスを導入するなど、受け入れに奔走している。

内閣府の震災ボランティア連携室のまとめでは、3県の災害ボランティアセンター(VC)に登録して活動したボランティアの総数は、震災当日から6月5日までの約3カ月間で延べ38万7900人。このほか連合や生協、NPOなどがVCを経由せず数万人規模のボランティアを送り込んでいるとみられるが、合わせても3カ月間で117万人(兵庫県の推計)という阪神大震災に遠く及ばない。

この差について、同室は「被災地域が大都市圏から遠く、面積も広いうえ、新幹線や高速道路などの交通網寸断やガソリン不足などから当初は容易に近づけず、福島県では原発事故も重なった」と分析。さらに、被災自治体の多くが当初、県外ボランティアを受け入れなかったことも影響していると見ている。

3県のVCは各地域の社会福祉協議会(社協)が設立。震災からしばらくは大部分が、ボランティア登録を地元住民に制限していた。社協や自治体の職員自身も被災し、大勢を受け入れても指示を出すのが困難だったことに加え、岩手県社協の根田秋雄・地域福祉企画部長は「自分で何とかしようという東北人気質とともに、『県外者を入れたら物が盗まれる』という警戒感もあった」と説明する。

3県の内訳は、岩手9万9900人▽宮城21万7200人▽福島7万800人。宮城は岩手の倍以上だ。仙台市が被災地とも近接しているのに対し、岩手の被災地は盛岡市から車で2時間以上かかるなど遠いことが影響しているようだ。岩手の被災地には復興から取り残されかねないとの危機感も漂う。福島は原発事故のため立ち入れない区域が広いことが影響している。

1週間ごとの人数の推移を見ると、震災直後から増え、ピークのGWの週は5万4100人だった。ところが、直近の6月5日までの1週間は2万4100人で、ピーク時の45%にまで落ち込んでいる。GW以降、ボランティア供給源となる大学の授業が本格化したことなどが影響しているとみられる。
がれきや泥の撤去など復興の本格化で県外ボランティアを積極的に受け入れるようになった被災地は、需給のギャップを埋めようと知恵を絞っている。

岩手のVCは盛岡市から大槌町へボランティアを無料で運ぶバスを4月に導入。今は陸前高田市や山田町にも出ている。GW以降は東京と被災地を直接結ぶ有料バスが運行し、連日満席という。宮城や福島でも同様のバスが運行されている。
ボランティア活動と観光地巡りを合体させたツアーも登場している。日本旅行が今月中旬予定する宮城県ツアーは、2泊3日の日中に石巻市で漁港や住宅の泥かきをし、鳴子温泉に1泊。復興支援と観光振興の一石二鳥を狙う。

■2011.6.11  「缶パン」注文急増 右京の社会福祉法人が製造
京都市右京区の社会福祉法人「みやこ」の「缶入パン製造センター」(中京区)が作る缶入り「ふっくらぱん」への注文が、東日本大震災以降、急増している。

長期保存できるため、被災地に届けたり、災害時の備えに、と購入する市民や企業が多く、4月から6月上旬までの2カ月余りで、早くも昨年度1年間の販売数を超えた。注文に応じようと、センターの利用者らは毎日フル稼働で作っている。
 
障害者の働く場の確保に、と2008年6月にオープンした同センターは、柔らかいパンを缶に詰めた「缶入りパン」を専門に作っている。チョコチップ味とレーズン味、コーヒーナッツ味の3種類があり、3年間保存できる。
 
缶に入っていることや、発音が似ていることから「乾パン」と間違われたり、宣伝が足りなかったりでこれまで販売がなかなか伸びず、製造を休む日もあったという。
 
しかし、東日本大震災以降、注文が一気に増加。ホームページなどで知った企業が「被災地に送りたい」と購入したり、固いものを食べられないお年寄りや小さな子どもの親が「災害時の備蓄用」として求めるようになった。一度に4千缶注文する企業もあったという。
 
現在、同センターの利用者や職員が毎日フル稼働で注文に対応する。昨年度1年間で約2万8千缶を販売したが、本年度は6月上旬で、早くも約3万3千缶が売れたという。
 
同センター利用者の一人、黒川喬史さん(32)=南区=は「東北でも缶入りパンが活躍しているという話を聞くとうれしい。食べる方に元気になってもらいたい」といい、羽根田晴美施設長(63)は「たくさんの注文が利用者のやりがいとなっている」と話していた。一缶380円。同センターTEL075(821)7701。

■2011.6.13  神戸に国内初、小児がん患者が個室で家族すごせる施設建設へ
神戸市中央区のポートアイランドに2013年度にも、小児がんの患者が家族といっしょに生活しながら治療できる国内初の小児がん専門の医療施設が建設される。患者の親や医師らでつくるNPO法人「チャイルド・ケモ・ハウス」(大阪府茨木市)が、同市内でシンポジウムを開き、設計プランを5日公表し、今年度中の着工を目指す。

現在のプランでは、病室は計約20室で全室が個室。家族がゆったりと暮らせるように20平方メートル以上を確保し、家で生活するような感覚で風呂やキッチンなども設け治療が受けられる空間を目指す。

建設予定地は、移転を予定している同市立医療センター中央市民病院の北側で神戸市が約3500平方メートルを提供し、貸与する。
資金は約3億円を、日本歯科医師会が進める入れ歯などを回収して集めた基金からの寄付などでまかなう。「子どもと家族が笑顔でいられるような夢の施設の開設に向けて、これからもぜひ支援をお願いしたい」と同NPO理事長の楠木重範医師は話している。

年間2500〜3千人が国内で小児がんを発症。
現在は約7〜8割が治療で克服できるようになってきたものの、狭い病室で抗がん剤治療を受けながら半年から1年間、過ごしている。簡易ベッドで泊まり込むなど親の負担が大きく、6年前から患者の親や医師らが「夢の病院をつくろう」と準備を進め、NPOを設立した。

■2011.6.13  障害者虐待:発見者に通報義務 防止法案提出へ
障害者への虐待を防ぐため、虐待の発見者に通報を義務づける民主、自民、公明各党などによる「障害者虐待防止法」案の内容が判明した。法案では「虐待をしてはならない」と明記。自治体などが救済に乗り出す法的根拠となる内容になっている。全市区町村に通報・相談窓口となる「虐待防止センター」の設置も義務付け、会社など職場も通報の対象として、埋もれがちな被害を防ぐ。超党派の議員立法として週内にも今国会に新たに提出され、成立する見通し。

法案は、家庭と施設、職場での虐待発見者に通報を義務づけ、虐待防止に国や自治体が責務を負うとした。さらに虐待を▽身体的虐待▽性的虐待▽心理的虐待▽放置▽経済的虐待の五つに分類した。

通報者の秘密を守り、解雇など不利な扱いを受けないよう規定。家庭内虐待の通報先を市区町村とし、市区町村は「生命や身体に重大な危険が生じているおそれがある」と判断した場合、家族の許可がなくても自宅に立ち入り調査でき、一時保護するとした。市区町村が相談や緊急預かりを実施することで、虐待してしまう家族の負担軽減も図る。
施設の場合、通報先の市区町村から報告を受けた都道府県が調査し、指導する。就労先の虐待は通報先を市区町村か都道府県とし、報告を受けた労働局が調査し、指導するとした。

対応窓口として市区町村に「虐待防止センター」、都道府県には「権利擁護センター」の設置を義務付ける。学校や病院での虐待について、学校は校長、病院は管理者に防止や対応を義務づけるにとどめた。この点を含め付則で3年後をめどに見直しを図るとした。
子供、お年寄りには、それぞれ児童虐待防止法、高齢者虐待防止法がある。障害者に対しても05年以後、与野党で法案化の動きが続きながら、政局の余波で遅れていたが、「深刻化する事態を放置できない」と早期成立を目指すことで一致した。

■2011.6.14  障害者虐待防止法案:衆院を通過
障害者への虐待の発見者に通報を義務づける「障害者虐待防止法」案が14日、衆院本会議で、牧義夫衆院厚生労働委員長提案による議員立法として提出され、全会一致で可決した。週内にも参院に送られる。

■2011.6.14  大阪市の貸付金受けた福祉法人理事長、平松市長に献金
大阪市の平松邦夫市長の後援会が2008年、市からの貸付金の返済が一時滞っていた社会福祉法人などの理事長から、30万円の個人献金を受け取っていたことがわかった。平松市長は「寄付は政治資金規正法にのっとり適切に処理しているとの報告を受けている。貸付金は私の就任以降、計画に沿って適切に返還されている」とのコメントを出した。

後援会は「大阪市長平松邦夫後援会『松栄会』」。同会の政治資金収支報告書によると、08年6月、大阪市福島区の社会福祉法人「友朋会」と医療法人「友愛会」の理事長を務める男性が30万円を献金している。
 
市健康福祉局によると両法人は97年、特別養護老人ホーム建設の際、市の「民間老人福祉施設整備資金貸付制度」から20年の返済期間で計10億円を借りた。しかし返済が一時滞り、99年と05年に返済計画を変更して24年度まで完済予定を延長。現在約6億8千万円が未返済という。

■2011.6.14  自閉性障害、女子の支援配慮を 男子に比べ診断困難・・・思春期に強まる孤立感
アスペルガー症候群など自閉性障害の女子への支援について、関心が高まってきた。発達障害者支援法ができて7年。早期発見や特別支援教育の体制は次第に整ってきたが、女子の障害は男子に比べ診断されにくい。友達同士の「ガールズトーク」の輪に入れずに疎外感を抱くなどして、不登校にもつながりやすいという。 (編集委員・安藤明夫)

愛知県を中心に活動する発達障害の支援機構「アスペ・エルデの会」は、7年前から定期的に「女の子のグループ」を開いている。小学生から20代までのアスペルガー症候群などの女子が、おしゃべりを楽しんだり、買い物をしたり、趣味の合う子と一緒に映画を見に行ったりする。

ここでは「空気が読めない」などと批判されることもない。自然な会話の練習なども組み込まれている。

同会統括ディレクターの辻井正次・中京大教授(発達臨床心理学)は「疎外感、孤立感を持たずに過ごせる場が必要。各地のグループは男子ばかりで、女子の場が乏しい」と話す。

自閉性障害の男女比は、4対1で男子が多いとされているが、「診断されずに見過ごされている女子も多い」と考える専門家も増えてきた。

辻井教授は「自閉性障害の子が混乱したとき、男子はパニックを起こすが、女子は硬直してしまう。反応が内向きなため、思春期の悩みと混同されたりして、なかなか診断されない」と話す。友達との会話がうまくできなかったり、いじめを受けるなどして不登校につながる例も多く、時には自殺未遂に至るケースもあるという。

同会は、その子が人間関係の中で理解できていること・できていないことを把握したうえで、社会技能を身に付ける訓練を取り入れている。親も娘の障害に気付いていないことが多く、親への指導も重要になる。  

3月初め、女子の自閉性障害の研究・治療で知られる米国のシャナ・ニコルズさん(臨床心理士)が、辻井教授らの招きで来日し、各地でセミナーを開いた。

女子の自閉性障害が診断されにくい理由について、ニコルズさんは「研究はまだ進んでいないが、障害の現れ方に明らかな違いがある。女子は表情など言語以外の手掛かりを読み取ることが得意。自閉性障害の女子も周りの反応を気にして、自分の問題を小さく見せようとしているのでは」と話す。

特に思春期には、"仲間はずれ"などのいじめを受けて深く傷ついたり、性的な危険を察知できないなどの問題があり、女子特有の支援が必要になる。

ニューヨーク州にあるニコルズさんのクリニックでは、成人・思春期の女子の治療や、友達づくり、社会技能訓練、工芸、買い物、大人の女性になっていくためのガールズトークなどのグループ活動を取り入れている。

社会技能を高めるために、親や友達などをモデルにして「学んでほしい行動」を具体的に説明したり、いじめなどの被害防止教育も行っている。娘の思春期に備える親のグループワークもある。

ニコルズさんはクリニックでの診断、治療計画などについて説明し、「日本でも、男女の違いを理解した支援に取り組んでほしい」と要望した。

自閉性障害

発達障害のうち、アスペルガー症候群、高機能自閉症、自閉症(カナータイプ)を合わせて「自閉性障害」と呼ぶ。

アスペルガー症候群は、知能や言葉の遅れがないのに、社会性に欠けたり、コミュニケーションの困難さ、興味の偏りなどを持つのが特徴。高機能自閉症は、アスペルガー症候群とよく似ているが、幼児期の言語発達に遅れがある。自閉症は、知的障害などを伴う。

障害の早期診断・療育・教育・就労・相談体制など支援の確立を目指して、2004年に発達障害者支援法が制定された。各都道府県にある発達障害者支援センターが相談窓口になっている。

アスペ・エルデの会の問い合わせは、同会のホームページから。

■2011.6.15  児童虐待、最悪1853件…神奈川
神奈川県は15日、5児童相談所で2010年度に受け付けた児童虐待の相談・通告件数が、前年度より488件多い1853件で、集計を始めた01年度以降最多だったと発表した。

県は「幼児への虐待事件が続き、虐待に対する県民や関係機関の意識が高まったのでは」とみている。
県の5児童相談所は、横浜、川崎、相模原、横須賀市を除く市町村を所管している。
言葉によるいじめなどの「心理的虐待」が最も多く651件(35・1%)で、食事を与えないなどの「保護の怠慢・拒否」が632件(34・1%)、殴る・けるなどの「身体的虐待」が540件(29・2%)、「性的虐待」が30件(1・6%)だった。心理的虐待のうち、子供の前での配偶者暴力(DV)が3分の1を占めていた。
相談や通告は、「警察」からが367件(19・8%)で最も多く、「近隣・知人」からが303件(16・4%)、「家族・親戚」からが333件(18%)。「他の児童相談所」からも186件(10%)あり、県子ども家庭課は「児童が転居した際の児童相談所間の情報提供が徹底された。今後も連携して対応していきたい」としている。

■2011.6.16  東日本大震災:知的障害者、相次ぐ急死…避難先で発作など
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で避難した高齢者らが慣れない避難先で死亡する「災害関連死」が問題化する中、原発周辺の入所施設から避難した知的障害者の死亡が相次いでいる。

毎日新聞の調べでは少なくとも11〜67歳の男女4人が死亡し、中には津波で夫が行方不明となった妻が知的障害者の長男を災害関連死で失うケースもあった。専門家は「知的障害者は苦痛を伝えにくい上、多くは持病などを抱え、長時間の移動や環境の変化が致命的影響を与える場合もある」と警鐘を鳴らす。

原発から約5キロの福島県富岡町の知的障害児施設「東洋学園」に入所していた小野卓司さん(当時23歳)は震災翌日の3月12日、入所者ら計約200人と同県川内村の系列施設へ避難し、避難指示範囲の拡大に伴い夜に村内の小学校へ移動。周辺住民と一緒の慣れない環境からか落ち着かない入所者が相次ぎ、13日に同県田村市の通所施設(定員40人)に移った。

28日夜、持病のてんかんの発作が起き、服薬で収まったが、間もなくあおむけのまま動かなくなり、29日正午過ぎ、救急搬送先で死亡。逆流した食物でのどを詰まらせたとみられる。

福島県相馬市の障害者支援施設「ふきのとう苑」では大内恵美子さん(当時54歳)が急性循環不全で急死した。原発事故で協力病院の医師らが避難したため3月23日、他の入所者と群馬県渋川市の施設へ6時間かけて車で移動。30日午前7時過ぎ、受け入れ先の職員がたん吸引した際は異常なかったが、同8時ごろ朝食を運ぶと動かなくなっていた。

他にも富岡町の知的障害者施設「光洋愛成園」の67歳男性が3月12日に福島県三春町の避難所に移動、4月15日に群馬県高崎市の国立障害者施設に入り、5月5日に高熱のため病院に入院して6日未明、肺炎のため亡くなった。厚生労働省は障害者施設利用者の災害関連死を「把握していない」としている。

■2011.6.16  <東日本大震災>ケア付き仮設で安心…石巻の社会福祉法人
東日本大震災の被災地・宮城県石巻市で知的障害者の入所施設「ひたかみ園」を運営する社会福祉法人が、障害者と家族のためのケア付き仮設住宅を建設している。家族や自宅を津波で失った知的障害者も多いが、一般の避難所での集団生活は困難が伴う。ケア付き仮設住宅で生活基盤を支える狙いだ。入居予定者は「ケア付きなら安心」と今月中の完成を心待ちにしている。

同園は震災直後に避難所となり、入所していなかった人も含め知的障害者と家族らが身を寄せ、今は約70人が暮らす。大半がケア付き仮設に入居予定だ。

佐藤紀久子さん(70)もその一人。夫忠義さん(73)や長男智哉さん(30)と避難生活を送る。智哉さんは重度障害があり、忠義さんも手足が不自由。女川町の自宅は津波で流され避難所に入ったが、智哉さんがストレスで大きな発作を繰り返したため同園に移った。一般の仮設住宅での暮らしも困難と考え、ケア付き仮設住宅への入居を決めた。紀久子さんは「何かあっても安心だと思った」と話す。

ケア付き仮設住宅は、同園を運営する社会福祉法人「石巻祥心(しょうしん)会」が同市須江小国の法人敷地内に建設中。23日ごろに完成予定だ。

生活相談を受けるスタッフが24時間常駐し、相談支援や緊急時対応のほか家事や通院を支援する。障害者単身用14室と世帯用40室の2種類があり、単身用は共用部分に台所と居間があるグループホーム形式。日本財団から建設費用約1億7000万円の助成を受けた。入居期間は2年間、水道光熱費は実費負担となる。

同法人の宍戸義光理事長は「家や介護を担ってきた家族が亡くなるなど障害者を取り巻く環境は厳しい。ずっと仮設にとどまるのではなく、本人や家族が仮設を出た後にも地域生活ができるような支援をしていきたい」と話している。

■2011.6.17  <障害者虐待防止法>期待の一方で、自治体の体制などに課題
長年必要性が指摘されながら、衆院解散や政権交代などで法案が度々頓挫した「障害者虐待防止法」が17日成立した。

来年10月の施行後は、家庭や福祉施設、職場での虐待の発見者に法律上の通報義務が発生する。法制定のきっかけにもなった過去の虐待事件の家族や支援者は期待を寄せる一方で、通報を受け付ける自治体側の体制など課題を指摘する。

97年に入所者への過剰な薬物投与や体罰が発覚、解散に追い込まれた福島県西郷村の「白河育成園」。
東京都葛飾区の竹内光子さん(69)は長女=03年に病死=が布団です巻きにされるなどした。「今日は九回忌の翌日。娘に『法律ができた』と報告したい」と喜ぶ竹内さん。一方で心配な点も口にした。
育成園は入所者の8割が、満杯状態の都内施設に入れない都出身者。園は行政のはざまに落ち込むように問題が深刻化した。「通報先の自治体がちゃんと調査しないと意味はない。保護した後の受け皿の問題もある」

水戸市の段ボール加工会社の元社長が92〜96年、従業員の知的障害者に性的暴行などを繰り返した虐待事件。
元従業員による損害賠償訴訟の弁護団長の西村正治氏は「労働局の調査が機能するかがカギだ」と指摘する。

04年に社会問題化した福岡県飯塚市の知的障害者更生施設「カリタスの家」(現・光ケ丘学園)の虐待事件。
毎日新聞の報道を受け、国会議員らが調査。被害者は約30人に上り、自民、民主、公明各党による法案作りの契機となった。
同施設で熱湯コーヒーを飲まされ、大やけどした男性入所者の母親(67)は、防止法成立に「この法律で大勢の人たちが救われる」と声を弾ませた。同法は、解雇など不当な扱いを受けないよう通報者の保護も規定。元職員は「入所者に暴力を加える同僚に注意したこともあったが、何度も見て見ぬふりをした。通報が義務付けられ勇気を必要としなくて済む」と話した。

■2011.6.17  高齢者の万引き増加、背景に経済的困窮や孤独感…山口
万引きで摘発される高齢者が増えている。かつては罪の意識が低い少年に多い「初発型非行」と言われた万引きだが、山口県内で摘発された年代別割合では、4年前から高齢者が少年を上回って推移。

背景に、経済的困窮や独り暮らしに伴う孤独感などがあるとみられ、県警は「高齢者の社会参加を促す取り組みが抑止につながる」としている。

「年金をギャンブルに使い、お金がなかった」
5月17日、山口市のスーパーで男性(76)が豚肉1パック(販売価格232円)を盗んだ疑いで現行犯逮捕された。男性は独り暮らし。山口署幹部は「寂しさを紛らわすためにギャンブルに走り、万引きしてしまうとは。別の趣味があれば、防げた犯罪かもしれない」と、やり切れない表情で漏らす。
 
山口市内のあるスーパーでは、毎月3回、保安員が巡回して万引きを監視。毎月数人を現行犯逮捕するが、約8割が高齢者だ。盗む商品は菓子や酒、肉など食料品が多く、金額は1000円程度。5月にも高齢男性を捕まえたが、所持金はほぼゼロだった。「年金暮らしでお金がなく、盗んだ商品で食いつなごうと思った」と語ったという。
 
店は通常、万引きを警察に通報した後、盗まれた商品の代金は身元引受人に請求する。しかし、このスーパーの男性店長(51)は「最近は身寄りがない高齢者が多く、請求できるケースはまれ」と説明する。
 
県警によると、2000年に万引きで摘発された年代別割合は、少年(14〜19歳)の43・3%に対し、高齢者(65歳以上)は半分以下の20・3%だった。しかし、徐々に差は縮まり、05年に高齢者(28・6%)が少年(28・0%)を上回った。07年以降は高齢者が30%台前半で推移し、20%台後半の少年を常に超えている。
 
県警生活安全企画課の山本和彦次長は「万引きに年齢は関係なくなった。高齢者も1人で解決できない問題を抱えた時、『誰かに構ってほしい』と起こす行動の一つとして万引きをする」と分析。「高齢者の生きがい作りを推進することで、こうした犯罪を減らすことができるのではないか」と指摘している。

■2011.6.18  精神障がい関連の労災件数が過去最高、自殺も増加
労災請求、支給決定ともに過去最高

厚生労働省は、平成22年度の「脳・心臓疾患および精神障害などの労災補償状況」を、6月14日に公表した。
そのうち、仕事のストレスが原因の精神障がいについては、労災補償の請求件数、支給決定件数ともに過去最高となった。請求件数が過去最高となるのは2年連続。

仕事ストレス原因の自殺件数も増加
「精神障害などに関する事案の労災補償状況」 ■請求件数 1,181件(2年連続過去最高) ■支給決定件数 308件(過去最高) ■業種別(大分類)内訳 1位:製造業(請求207件、支給決定50件) 2位:卸売・小売業(請求198件、支給決定46件) 3位:医療、福祉(請求170件、支給決定41件) ■年齢別内訳 1位:30〜39歳(請求390件、支給決定88件) 2位:40〜49歳(請求326件、支給決定76件) 3位:20〜29歳(請求225件、支給決定74件)

また、精神障がい等で労災請求された件数のうち、自殺(未遂含む)にいたった件数は、請求171件、支給決定65件で、請求が157件、支給決定が63件だった昨年度を上回る結果となった。

■2011.6.19  寝屋川福祉会の前理事長を逮捕 業務上横領の疑い 大阪府警
運営する保育園の保育料を着服したとして、大阪府警捜査2課と寝屋川署は19日、業務上横領の疑いで、社会福祉法人「寝屋川福祉会」(大阪府寝屋川市)の前理事長、森川忠行容疑者(72)=鹿児島県阿久根市赤瀬川=を逮捕した。同会をめぐっては約4千万円にのぼる不正経理が府の監査で判明しており、刑事告発を受けた府警が捜査していた。

逮捕容疑は平成20年4月〜21年2月、同会が運営する保育園に通っていた園児8人の保育料など計約270万円を着服したとしている。

府警や関係者によると、森川容疑者は着服した金を個人的な借金の返済などに流用。このほか、自分が経営していた書店から保育園が備品を購入したように装う手口で差額を着服したほか、飲食費やタクシー代、架空の出張費などの名目で経費を私的流用していたという。

寝屋川福祉会は昭和52年設立。寝屋川市などで認可保育所3園を運営している。

■2011.6.19  児童虐待相談34%増 愛媛県
県内20市町で2010年度に受け付けた児童虐待相談は445件で、前年度に比べ34%増となったことが、県のまとめでわかった。自治体が児童虐待相談を受け持つよう05年に児童福祉法が改正されてから最多。県は「児童相談所(児相)に比べ、抵抗なく足を運べる役場での相談が浸透してきたのでは」と推測するとともに、相次ぐ虐待事件を受け、虐待防止への意識の高まりも背景にあるとみている。

445件の内訳は、保健師などが対応する市町窓口への訪問が359件、「比較的軽微」との理由で児相から回送されたものが86件。359件のうち7割近い258件は、県や児相の協力を仰がず、市町単独で対応したものという。この258件のうち、子供を家に放置して外出するといったネグレクトが127件を占め、身体的虐待が91件、子供に暴力を見せるなどの心理的虐待が38件。虐待者は実母が188件、実父が41件、義父10件、義母3件で、被虐待児は小学生が99件、3歳以上の幼児が77件だった。

一方、県内3か所の児童相談所が受け付けた虐待相談も312件(前年度比14・7%増)と2年ぶりに増加。相談経路は警察からが83件で最多の一方、近隣住民による相談は66件と6割も増えた。親の養育が困難などとする一時保護は61件だった。

県は、医療機関や学校などが連携して地域の子どもを守る「要保護児童対策地域協議会」を全市町に設置して対応。電話すると最寄りの児童相談所が対応する全国共通ダイヤル(0570・064・000)でも、24時間体制で相談を受け付けている。虐待は再発や潜在化という問題もあり、県子育て支援課の玉井敦子課長補佐は「自宅で安心して過ごすことが子どもの一番の望み。体のあざや落ち着きのなさなどの少しでも不審な点があれば、連絡してほしい」と話している。

■2011.6.20  業務上横領容疑で逮捕の寝屋川福祉会前理事長 「悪いことはしていない」
業務上横領の疑いで大阪府警に逮捕された森川忠行容疑者は今年5月、産経新聞の取材に応じ、着服を否定していた。主な一問一答は以下の通り。

◆大阪府から告発されているが
「以前からの商習慣で、私たちが経営していた書店を通して文房具などを購入していた。その方が安く買えるからだ。差額はすべて法人に寄付という形で返金している」

◆法人側からも損害賠償を求められている
「今でも悪いことをしたとは思っていない。優良法人を狙う乗っ取り屋と天下り先が欲しい役人が結託し、私は追い出された」

◆法人経費の私的流用はなかったのか
「私が生活に困っているように見えますか」

■2011.6.21  障害者がカレー店オープン 笑顔が「スパイス」 静岡 葵区
障害者の雇用や就労の支援を続けている静岡障害者就労ネットワークセンター「キャロッツ」(静岡市駿河区)が20日、同市葵区駿府町の北街道沿いに「キャロッツのカレー屋さん」を開店した。電動車いすの利用者による自然食品の移動販売や、協力店舗での販売実習などを行っているが、店を構えるのは初めて。店のスタッフとなった職員や障害者は「地域の皆が気軽に立ち寄れる店にしたい」と意気込んでいる。

これまでの移動販売では固定客以外の顧客を開拓するのが難しくなっていたため、出店を企画した。職員が調理し、知的障害者が接客や料理の提供に当たる。持ち帰りや配達もでき、配達は車いすの障害者が受け持つ。
 
カレーは1皿450円で、国産豚の肩ロースと約30種のスパイスを使用してじっくり煮込んだ“本格派”。秋山訓子店長は「利用者は辛めが好きな中高年男性が多いけれど、子どもにも食べてもらえる味を目指し何度も試作した」と話す。ニンジンのサラダ、無添加の手作りゼリーなどのサイドメニューも充実させた。
 
開店から電話注文に加えて来店客も相次ぎ、接客する障害者らも大忙し。細川大介さん(28)は「店ができてうれしい」と笑顔を浮かべた。

■2011.6.21  障害者雇用が10年で倍増 秋田県内、職場体験で理解広がる
県内で障害者の雇用が増えている。2010年度にハローワークを通じて就職した障害者は過去最多の431人で、10カ年で約2倍に増加した。

障害者雇用に積極的な企業や、職場体験による就労支援に取り組む自治体もあり、秋田労働局は「障害者雇用促進法の浸透などで、企業や自治体の理解が広がっている」とみる。ただ、就職先は医療・福祉と製造業、卸・小売業で半数を占めており、一層の雇用拡大には新たな業種の開拓が必要との声もある。
 
寝具類レンタルや福祉用具レンタル販売の秋田基準寝具(秋田市)は、40年以上前から障害者を雇用。新規採用もほぼ毎年受け入れており、11年度は3人を新たに雇用した。現在、パート社員を含む従業員356人中、障害者は20人いる。
 
同社には毎年、県内各地の特別支援学校から生徒が職場体験に訪れている。就労前に職場を体験することで仕事への理解が生まれ、スムーズな雇用にもつながるという。
 
国の助成金も企業の障害者雇用を後押ししている。試行雇用奨励金制度(トライアル雇用)は、障害者を最長3カ月間有期雇用した際、1人当たり月額4万円が企業側に支給される。県内では10年度、106人分の利用があり、このうち約7割の73人が試用先の企業に就職した。

■2011.6.21  がんばろう日本、缶バッジが好評 伊東の作業所が販売
伊東市のNPO法人「クープ」(原田英子理事長)が運営する知的障害者の自立支援施設「おおはら」(利用者21人、同市大原)で製作している缶バッジやマグネットが国内外で話題を集めている。東日本大震災の被災地を応援しようと作り始めた商品は、発売から2カ月半で9千個以上を売り上げた。施設利用者たちは被災地に向けて、今日も熱いメッセージを送り続けている。

バッジの製作は「被災地のために私たちができることは何か」と職員たちが案を出し合い、3月23日から始めた。商品の表面には、東京都の書道家「うどよし」さんが「一人一人ができることに取り組もう」との思いで書いた「がんばろう日本。」の文字を採用した。
 
缶バッジは1個150円、マグネットは1個200円。施設利用者の給料分を差し引いた売り上げは、市や県知的障害者福祉協会を通じて被災地に寄付している。9日現在、寄付の累計額は約20万円に上っている。
 
当初は市内のコミュニティーセンターや個人商店が販売に協力していたが、インターネット販売を始めたところ、問い合わせが殺到。岩手県や福島県といった被災地を含む21都道府県のほか、米国やカナダからも注文を受けた。バッジを着けてレースに参加するトライアスロン選手も現れたという。5月からは同じメッセージ入りのタオル(300円)の販売も始め、既に人気を集めている。
 
反響に施設利用者たちは「難しい作業もあるけど頑張れる」「もっとたくさんの人がバッジを着けてほしい」と笑顔を見せる。同施設の管理者小林律雄さんは「人と人のつながりの大切さを実感している。一過性の支援ではなく、息の長い活動にしていきたい」と話した。

■2011.6.21  厚労省、「ハンセン病問題に全力を尽くす」と宣言
厚生労働省は、6月22日(水)の「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」に行われる、同省主催行事の詳細を発表した。

「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」は、厚生労働省が制定したもので、「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律」の施行日である6月22日に、同省主催による慰霊と名誉回復の行事を、平成21年度から毎年行っている。

今年度は、同省正面玄関前に「被害者の名誉回復と追悼のための碑」が建立されたことを記念して、除幕式が行われる。碑には、ハンセン病患者がこれまで強いられてきた苦痛、苦難に対して深く反省するとともに、ハンセン病問題の解決に全力を尽くすことが刻まれている。

■2011.6.22  児童虐待相談 最多1383件 昨年度 静岡県
県は21日、県内7か所の児童相談所で2010年度に受け付けた児童虐待の相談件数が、前年度より276件多い1383件で、集計を始めた1990年度以降、最多だったと発表した。県こども家庭課は「虐待への関心が高まって認知件数が多くなったと同時に、地域社会の(結びつきの)希薄化などで発生件数自体も増加しているのではないか」とみている。

相談内容は、殴る・けるなどの「身体的虐待」が最も多い471件(34・1%)で、育児を放棄する「ネグレクト」の440件(31・8%)、暴言などで相手を傷つける「心理的虐待」の430件(31・1%)などが続く。「性的虐待」も42件(3・0%)あった。特に、「心理的虐待」は前年度比で198件(85・3%)増加。同課は「子どもの前での配偶者間の暴力(DV)も心理的虐待と認識するようになり、通報も増えた」としている。

虐待者は、実母が最多の869件(62・8%)で、実父が325件(23・4%)、実父以外の父が85件(6・1%)。一方、虐待している実母が自分の行為に悩んで、通報するケースが増加しているという。
同課は「重大な虐待事件を防止するため、疑わしきはお知らせいただきたい」と呼びかけている。

また、函南町で10年5月、実母から虐待を受けた子どもが死亡した事件について、同課は「転居などで市町が事態の難しさを把握しきれなかった。児童相談所がもっと早くかかわっていれば防げたかもしれない」としている。

■2011.6.22  独創性が人気!障がい者アートの魅力とは?
「第11回全国障害者芸術・文化祭 埼玉大会」が開幕した。4月にはオープニング企画として、パリ市立アン・サン・ピエール美術館に展示された日本人作家63人の凱旋展が開催された。

障がい者アートは、近年では「アウトサイダーアート」とも呼ばれ、その豊かな独創性や個性的な表現、デザインが注目を集めている。

6月25日(土)、26日(日)には、障がい者のアート活動の支援に興味がある団体、個人を対象にした「障害者アートマネジメントセミナー」が開催され、障がい者アートを広く社会・市場につなげていくための取り組みについての話し合いが行われる。

また、7月10日(日)には、上尾市で「障害者コンサート」が開催される。出演は、地元のNPOや高校、ケアセンターなどに在籍する障がい者。コミカルなパフォーマンスを交えた打楽器演奏や、100人を超える大迫力の合唱など、多彩なプログラムで構成される予定となっている。

「全国障害者芸術・文化祭」は、障がい者の文化・芸術活動への参加を通じ、優れた作品を広く紹介することで国民の理解と認識を深め、障がい者の社会参加や自立の促進を目的として毎年開催されている。

■2011.6.23  横浜の知的障害者施設、利用者預金から使途不明2000万円/神奈川
横浜市泉区和泉町のNPO法人「障害者フルライフサポート・ユーリカ」が運営する知的障害者のケアホームで、利用者2人の預金から多額の現金が引き出され、約2千万円が使途不明となっていることが22日分かった。

県はずさんな管理体制を重く見て、施設の指定取り消し処分も視野に入れ、行政処分を下す方針。
また県警は、業務上横領容疑での立件を視野に捜査する方針。

県によると、同法人は横浜市内で知的障害者対象のケアホームとグループホーム計8カ所(定員25人)を運営。現在は数人が入居している。
昨年10月、県に情報提供があり、40代と60代の男性利用者の通帳の写しを確認したところ、2005年4月から昨年9月までの間に、計約3千万円が引き出されていた。家賃や光熱費など諸経費を差し引いても約2千万円が使途不明という。

男性2人は重度の知的障害者で自ら金銭管理ができないため、同法人理事で施設管理者だった女性が通帳を預かっていた。女性は発覚前の昨年5月に退職。県はその後も出金を確認しており、昨年9月時点の2人の預金残高は計数千円だった。通帳は今も見つかっていないという。

女性は県に対し、男性2人やその他の利用者の通帳を預かっていたことは認めたが、多額の引き出しについては「現時点では説明できない」と話しているという。同法人の理事長は「金銭管理はやるなと言っていた」と説明しているという。県は同法人に対し、不明金の返還を求めているが、同法人としては現時点で応じる姿勢はないという。

■2011.6.24  「ひばの積み木」に林野庁長官賞
黒石市社会福祉協議会が運営する知的障害者通所授産施設「せせらぎの園」=田舎館村堂野前=で製造している、県産ヒバ材を使用した「ひばの積み木」がこのほど、全国の優良なおもちゃを認定する認定NPO法人日本グッド・トイ委員会=東京都=の本年度の選考「グッド・トイ2011」に選ばれ、国産木材を使用した製品が対象の林野庁長官賞を受賞した。

同委員会は、全国で販売されるおもちゃの中から優良な製品を認定し、消費者の選択の指針として活用してもらおうと1985年から選定活動を開始。2011年度は全国から19製品が認定された。

「ひばの積み木」は同施設が約20年前から製造を開始。全117ピースからなり、3700円(税込み)で販売している。

同施設の佐藤公則施設長と、利用者の三上忠芳さん(58)=平川市=、須藤智紀さん=黒石市=が22日、黒石市役所に鳴海広道市長を訪ね、受賞を報告。須藤さんは「小さな子どもたちが触るものだから、一つ一つの木片の面や角をきれいに削るよう心掛けている」と話し、三上さんは「施設で積み木の製造を始めた当初から作り続けているので、受賞を大変うれしく思っている」と喜んでいた。

■2011.6.25  児童虐待相談が最多 昨年度538人 石川県
県は24日に開かれた県議会厚生文教委員会で、昨年度の児童虐待の対応状況を報告した。相談件数は前年度より62人増の538人で、過去最多だった。

虐待された児童の年齢は、学齢前が46・1%を占め、8割弱が小学生以下だった。実母からが最も多く57・4%。虐待の内容は、心理的虐待(34・6%)、身体的虐待(32・5%)、ネグレクト(育児放棄)(31・0%)と続いている。

増加の理由について、木下公司健康福祉部長は、〈1〉社会的関心・認識が高まり、虐待が発見される件数が増加した〈2〉昨年の大阪2児放置死事件を受けて県の対応を見直し、児童の安全確保を第一に、早期に支援にかかわる方針を徹底した――ことを挙げた。

■2011.6.28  発達障害児限定のデイサービス 来月から伊那で
発達障害児に限ったデイサービスが7月1日、長野県伊那市で始まる。成人のグループホームなどを運営する社会福祉法人が、「発達障害児を持つ親の切実な声に応えたい」と新事業に乗り出す。自らも発達障害児を育て、「玩具福祉士」の資格を持つ女性がサービスの責任者になる。

松川町と伊那市に成人対象のグループホームとケアホームを計9施設持つアンサンブル会(小椋年男理事長)。働く場として野菜作りやクッキー製造、カフェレストランを運営する。新サービスは、専門医による診断の有無にかかわらず発達障害の疑いがある子どもが対象。

対人関係が苦手だったり常識で理解できない行動をとったりする成人の利用者は少数いたが、「6年ほど前から発達障害を疑われる利用者が増えた」と小椋理事長。発達障害には乳幼児期の療育を重視するのが時代の流れだ。「子どもと親が対象の事業を手がけられないか」と考える中で、木のおもちゃ屋店長の古畑愛さん(40)と出会う。

ふざけていると周囲から誤解されやすい発達障害。古畑さんの次男も、保育園で「親のしつけが出来ていない」と注意されたが、小児科医の診断は「注意欠陥・多動性障害(ADHD)の傾向がある」。ADHDは発達障害の一つ。

「うちは夫婦の絆で子どもの個性を受け入れてきたが、孤立する親が多い。相談する所がないから」。古畑さんは、玩具福祉学会が認める玩具福祉士の資格を持つ。おもちゃで遊びながら、子どもの個性を見いだす玩具療法を療育に役立てたいという。

新サービスの通所定員は10人、担当職員は古畑さんら2人。個別に療育相談をする。伊那市西箕輪の元民家を施設に充てる。原則火曜〜土曜の週5日。

県内では31事業所が児童デイサービスを提供している(5月1日現在)。伊那保健福祉事務所によると、対象を発達障害児に限った施設は少ないという。

■2011.6.30  たん吸引実施のための研修などを提案−厚労省
厚生労働省は6月30日、「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」(座長=大島伸一・独立行政法人国立長寿医療研究センター総長)で、介護職員がたんの吸引などを行う際、事前に受講する研修案を提案した。

また、研修機関となるための条件や、研修の実施方法に関する素案も同時に提案した。
15日に成立した改正社会福祉士及び介護福祉士法に、介護福祉士と一定の研修を受けた介護職員がたん吸引を行えるようにするなどの内容が盛り込まれたことを受けたもので、同検討会では7月中に会合を開き、改めて議論する。

研修案は、不特定多数の人を対象に、たん吸引や経管栄養など医行為を実施する場合と、重度障害者など、特定の人を対象とする場合とに区別して提案されている。 不特定多数を対象とするための研修は、50時間の講義やシミュレーターを使った演習で構成された基本研修と、指導担当の看護師らと共に施設や在宅の現場で医行為を手掛ける実地研修とで構成される。

基本研修のカリキュラムには、「たんの吸引」「経管栄養」の概論と実施手順などが盛り込まれており、中でも「滅菌と消毒」「消化器系のしくみとはたらき」に関する講義には、同検討会の試行事業の結果を受け、同事業で行われた講義より長めの時間が割かれている。
 
特定の人を対象とする場合は、講義やシミュレーターによる演習が行われる20.5時間(重度訪問介護従業者養成研修修了済みの人は9時間程度)の基本研修と、実地研修で構成される。
 
研修カリキュラムの類型については、▽たんの吸引及び経管栄養について、対象となるすべてを行う▽口腔内および鼻腔内のたんの吸引と、経管栄養(胃ろうおよび腸ろうのみ)を行う▽特定の利用者に対する医行為について、実地研修を重視して行う-の3つが提案された。
 
また、研修機関の登録要件については、医師、看護師などが講師となることや十分な講師数を確保すること、研修の安全管理体制を含む業務規定を定めることなどが示された。研修の実施方法については、他の研修などによって知識・技能を習得している人には研修の一部を免除することなどが盛り込まれた。  
 
厚労省の提案に対し、委員からは「実地研修は(確実に実施する上で)不安定な面がある。(介護福祉士の養成校で)実地研修までやらないといけない、ということになると、卒業できない人が出てくる可能性がある」(内田千恵子・日本介護福祉士会副会長)や、「気管カニューレのたん吸引に関しては、なるべく看護師にやってもらうようにすべき」(齋藤訓子・日本看護協会常任理事)などの意見が出た。

■法改正の手続きに批判続出
30日の会合では、同検討会で議論が続いている段階で、社会福祉士及び介護福祉士法の改正が行われた点について批判が続出した。平林勝政委員(國学院大法科大学院長)は、昨年から実施してきた介護職員によるたんの吸引などの試行事業の結果が出る前に法改正された点を問題視。「一体、この検討会は何をしていたのか。納得できない。(このままでは)議論に参加できない」と激しく批判した。また、他の委員も「最終取りまとめが出る前に法律が改正されたのは、検討会がないがしろにされたものだと思う」(三上裕司・日本医師会常任理事)、「ショックを受けた。(検討会で)何をしていたのだろうかと思った」(因利恵・日本ホームヘルパー協会会長)など、不快感をあらわにした。
 
こうした委員の意見に対し、大島座長は「検討会の総意はおおむね反映された法改正だと理解している」と述べた。また、厚労省老健局の担当者は、社会福祉士及び介護福祉士法の改正部分は、検討会の中間まとめの骨子に沿って作られたとした上で、「研修カリキュラムの具体的な中身などについては、試行事業の結果などを踏まえ、検討会で議論していただく。(その議論の内容を基に)政省令やガイドラインの作成に取り組む」とした。

■2011.6.30  弘前の特養ホームで昼夜おむつ使用ゼロ
介護福祉の現場では今、高齢者自身の生きる力を引き出す自立支援介護の取り組みが全国的に広まっている。

成功事例も多数報告されており、弘前市では特別養護老人ホームサンアップルホーム(大平和夫園長)が昼夜のおむつ使用ゼロを東北で初めて達成。
入所者の寝たきりがなくなるなど自発的な行動にも功を奏している。同施設の東谷康生さんは「今は施設だけで取り組んでいるが、培ったノウハウで地域福祉を盛り上げたい」と自立支援介護のさらなる可能性に期待を寄せた。
 
同ホームは2008年から、全国老人福祉施設協議会主催の介護力向上研修会で学んだ自立支援介護理論を基にした「おむつ外し」介護を開始。
 
1500ミリリットル以上の水分、1500キロカロリーの栄養、下剤を使わない排便、歩行などの運動の四つを基礎に、栄養士や訓練士と協力しながら入所者への丁寧な個別ケアに取り組んだ。
 
その結果、09年に日中のおむつ使用ゼロ、その翌年に夜間のおむつゼロを達成した。全国6000以上ある特養施設の中で、同ホームの達成は東北で初めての快挙。おむつゼロ特養連絡会の副幹事施設にも選ばれた。
 
同ホームの平均要介護度は4・17と、日常生活のほとんどに介助を要すると認定された入所者が多い。こうした環境下での「おむつ外し」達成に、東谷さんは「達成に重要なのは入所者の身体状況ではなく、理論と実践」と話す。
 
おむつ外しは排便の自立のほかにも効果をもたらした。おむつが外れたことが入所者の自信になり、離床や発語、食事など自発的な行動が増え、また施設職員の肉体的負担の軽減や意欲向上にもつながった。
 
大平園長は「新しい考えの取り組みだったので、職員には成果を出すために頑張ってもらった。これからもいろいろな自立支援介護に力を入れていきたい」と感謝と抱負を語った。
 
同ホームは5月から新たに、入所者の食事を胃ろうや流動食から、日常生活で食べる「常食」に戻す介護を展開。入所者の自立を目指し、ひたむきに自立支援介護に取り組んでいる。

 

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