残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

Past news

残しておきたい福祉ニュース

 2011年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

 2011. 7. 1 知的障がい者のオリンピックがアテネで開幕!
 2011. 7. 1 特養入所がすぐ必要、申込者の10分の1 医療経済研究機構が調査
 2011. 7. 2 「生演奏は初めて」障害者がクラシック音楽を楽しむ/横浜
 2011. 7. 4 利用者の預金2000万円が使途不明に- 神奈川の障害者GHが指定取り消し
 2011. 7. 4 温泉使った介護予防施設富山にきょうオープン
 2011. 7. 6 障がい者の働く場を生むエコプロジェクト【松山】
 2011. 7. 6 脳性まひ児、重度では有意に生存率低下
 2011. 7. 7 震災と福祉職員 家族を失っても…
 2011. 7. 7 介護能力評価の実証事業、「障害者施設も」- 介護人材WGで提案
 2011. 7. 8 「パン工房おきしんきょう」開店 障がい者就労支援
 2011. 7. 8 障害者の姿生き生きと、大倉山で写真展/横浜
 2011. 7. 8 老人福祉事業者の倒産、今年上半期は8件−昨年と同水準 帝国データバンク
 2011. 7. 8 初めての絵画展覧会 重度障害の井上貴美子さん 吹田市
 2011. 7. 8 原発不安でも日本助けたい フィリピン介護士候補生60人訪日へ
 2011. 7. 9 介護付有料老人ホーム、土地書類偽造で指定取り消し―静岡
 2011. 7. 9 障害者の震災対策で討論 宇都宮
 2011. 7. 9 雑貨展:おしゃれ雑貨を販売 デザイナーと障害者共同制作−大分
 2011. 7. 9 <検察改革>福祉専門家「知的障害学ぶべきだ」
 2011. 7.11 いすでバスの旅、利用者やその家族ら30人が富士河口湖町散策や温泉を楽しむ/神奈川
 2011. 7.12 猛暑対策、被災地懸命 震災4カ月 東北梅雨明け
 2011. 7.12 遊休農地で郷土食再び 長崎県西海市の社会福祉法人、来春試作へ
 2011. 7.12 福祉事業者が人材育成の取り組み事例を紹介−都福祉保健財団研修会
 2011. 7.14 エアコン購入費、収入から除外へ 国、生活保護世帯に
 2011. 7.15 障害者福祉:子どもに体験の場を 施設で交流 名張の有志グループ/三重
 2011. 7.15 福祉製品のアイデア募集
 2011. 7.15 熱中症搬送 宮城6.4倍増 7月・仮設入居の被災者も
 2011. 7.15 社会福祉法人に改善命令 /島根
 2011. 7.15 障害者ら手作り さぬきうどん店開店へ 淡路
 2011. 7.15 知的障害者がワインづくり…愛知
 2011. 7.16 クラーク博士のパン再現 札幌、障害者に働く場
 2011. 7.18 差別と闘う障がい者たち、半世紀の記録
 2011. 7.20 介護報酬を不正受給 県が藤枝の福祉法人を行政処分
 2011. 7.21 胃ろうの人が口から食べるモデル事業実施へ- 全国老施協
 2011. 7.22 地上デジタル放送:24日完全移行 福祉施設など支援制度なく、資金難の壁 /山口


■2011.7.1  知的障がい者のオリンピックがアテネで開幕!
知的発達障がいのあるアスリートが出場する世界競技大会、「スペシャルオリンピックス2011夏季大会」が、6月25日にオリンピック発祥の地であるギリシャのアテネで開幕した。

「スペシャルオリンピックス」は、故ジョン・F・ケネディ米大統領の妹、ユニス・ケネディ・シュライバーさんが1962年に自宅の庭を知的障がい者に開放したのをきっかけにスタートし、現在はオリンピックと同様に夏季、冬季とも4年に一度開かれている。2010年時点では世界170か国以上、370万人の知的発達障がいのあるアスリートと70万人以上のボランティアが参加しており、世界的なイベントとなっている。

公式競技である22競技のうち、日本からの参加は「水泳」、「陸上」、「バドミントン」、「ボウリング」、「ゴルフ」、「体操」、「卓球」、「テニス」、「バレーボール」の9競技。「2010年第5回スペシャルオリンピックス日本夏季ナショナルゲーム・大阪」の結果を基に選考された選手52人と、コーチ・役員23人を派遣した。

大会のおもな目的は、アスリートとして参加することで知的発達障がいのある人たちのさまざまな可能性、能力を高め、心と体の成長をはかることにあるが、開催地域の住民にボランティアとしてアスリートと接してもらうことで、知的発達障がいに対する理解を深めてもらおうというねらいもある。

「スペシャルオリンピックス2011夏季大会」は、6月25日から7月4日まで、ギリシャのアテネで開催されている。

ヤフージャパンの特集サイトでは、大会の写真、動画などが公開されている。また、スペシャルオリンピックス日本の公式サイトでは、寄付やボランティアの募集も行っている。

■2011.7.1  特養入所がすぐ必要、申込者の10分の1 医療経済研究機構が調査
特別養護老人ホーム(特養)に入所を申し込んでいる人のうち、すぐに入所が必要と判断される人は10分の1程度であることが、医療経済研究機構の「特別養護老人ホームにおける入所申込の実態に関する調査研究」で分かった。また自由記述からは、施設にとって申込者の情報管理が負担になっている実態も明らかになった。

調査は今年2月、全国の特養1500施設を対象に実施。具体的には、▽施設の概況などについて施設長や事務責任者が回答した「施設調査」(回収数は592施設)▽入所申込者の個別の状況について施設の担当者が回答した「入所申込者調査」(同570施設、7998人分)―などを行った。

その結果、「施設調査」において、施設側が「ベッドの空き状況や待機状況に関係なく、優先して入所させるべき」と回答した申込者の数は、1施設当たり23.9人。1施設当たりの入所申込者数(220.0人)に占める割合は10.8%だった。また、「入所申込者調査」で、「現在の生活は困難であり、すぐにでも入所が必要」と判断された人の割合は11.3%となり、いずれの調査でも、特養への入所がすぐに必要と判断される人は、申込者全体の10分1程度との結果が出た。

厚生労働省は2009年12月に、特養への入所申込者が全国で42.1万人に上るとの集計結果を発表した。昨年10月の社会保障審議会介護保険部会では、厚労省が入所申込者に占める実際の待機者の割合が平均で22.5%との調査結果を提示したが、サンプル数が少ないために追加の実態調査を行うことになり、同機構による今回の調査結果がまとまった。

施設調査では、施設や入所申込者の意識や行動に関する課題を自由記述形式で尋ね、181施設から回答を得た。

その結果、施設が抱える課題については、「医療ニーズの増加に対応しきれない」(41施設)に次いで、「申込者が非協力的、人数が多いなどの理由により、現状確認業務の負担が大きい」(39施設)との意見が多く寄せられた。また、入所申込者をめぐる課題については、「将来への不安からとりあえず申し込む人や、順番が来ても入所しない人が多い」(37施設)、「本人や家族に、介護に関する知識不足、特養に対する理解不足がある」(27施設)、「本人・家族の状況が変わっても、変更の連絡をしない人が多い」(24施設)などの意見が多かった。調査担当者は、「施設は『入所するはず』の申込者を大きく上回る申込者を抱えており、情報の管理業務が負担となっている」と分析している。

■2011.7.2  「生演奏は初めて」障害者がクラシック音楽を楽しむ/横浜
自由にクラシック音楽を楽しんで―。障害がある人を対象とした演奏会「YOU&Iコンサート」が2日、都筑公会堂(横浜市都筑区茅ケ崎中央)で開かれた。横浜室内合奏団楽団員11人が、モーツァルトの「おもちゃの交響曲」やメノッティの歌劇「電話」などを演奏。障害者やその家族、介助者など約400人が調べに聞き入った。

「横浜北YMCA」などでつくる運営委員会主催。「障害があることで普段一般的な演奏会に行くことを諦めてしまう人たちにも、クラシック音楽に親しんでもらいたい」と企画した。
 
開演前はホール入り口付近で「ここで大丈夫です」とためらう親子もいたが、スタッフに促され座席に着くとすぐ、演奏に引き込まれていた。観客は舞台の方へ向かってスキップしたり、楽器の音をまねて口ずさんだりと、音楽に親しんでいた。
 
同市青葉区荏田町の地域福祉活動施設で働く男性(38)は電動車いすで会場に来た。「生演奏は初めて。(鳥の鳴き声を模した)笛の音が面白かった」と話していた。
 
横浜北YMCAの林茂博さん(69)は「素直な反応で音楽を楽しんでもらえ、うれしい」と話した。

■2011.7.4  利用者の預金2000万円が使途不明に- 神奈川の障害者GHが指定取り消し
神奈川県はこのほど、利用者から預かっていた預金通帳で引き出した約2000万円が使途不明になっているとして、NPO法人「障害者フルライフサポート・ユーリカ」(横浜市)が運営するグループホームとケアホームの事業所「グループホーム ユーリカT」の障害者自立支援法に基づく指定を取り消した。取り消しは6月30日付。

同県の担当者によると、ユーリカTの管理者が障害程度区分3と4の知的障害者2人の通帳を預かっていたが、2005年ごろから09年にかけて約3000万円が引き出されており、このうち家賃などの必要経費を差し引いた約2000万円が使途不明になっている。管理者の女性は、「金がなくなったのは認めるが、詳しくは言えない」と話しているという。
 
また同県は、給与未払いや職員による食材費の立て替えなどがユーリカTを含む複数の事業所で繰り返されていたとして、グループホームとケアホームが併設された「グループホーム ユーリカU」「グループホーム ユーリカW」「グループホーム レモンハウス」の指定も同様に取り消した。

■2011.7.4  温泉使った介護予防施設富山にきょうオープン
温泉水を利用した全国初の複合福祉施設「富山市角川介護予防センター」(富山市星井町)が完成し=写真=、4日にオープンする。要介護になる可能性が高い高齢者を対象に温泉プールやマシントレーニングで筋力強化を図る。

同市出身で角川書店創業者、角川源義の親族にあたる角川文子さん(同市岩瀬古志町)が2004年、「高齢者福祉のために役立てて」と4億円を市に寄付し、施設の計画が進められた。
 
鉄筋コンクリート造り2階建てで、延べ床面積約5000平方メートル。総工費は約19億7100万円。利用対象者は、近い将来に要介護になる可能性がある「特定高齢者」や、生活の一部に介助が必要な「虚弱高齢者」など。医師が作成したメニューに従い、温泉での水中ウオーキングや水中体操などに取り組む。

■2011.7.6  障がい者の働く場を生むエコプロジェクト【松山】
7月1日、愛媛県松山市で、「エコロジー」と「障がい者雇用」を両立する取り組みが始まった。

一般の家庭から出た古着や廃食用油を回収し、リサイクル企業に運んでリユース(再利用)やリサイクル(再資源化)するというもので、立ち上げたのは、松山市内の障がい者施設や共同作業所が共同で運営するショップ「ハートフルプラザ」。松山市のいよてつ高島屋の中に店舗を持ち、障がい者施設や作業所でつくられた授産品などの販売を行っている。

古着や廃食用油の回収は、ハートフルプラザをサポートしている松山市内のホームセンター、スーパー、公民館などに窓口を設け、各家庭から持ち込んでもらう形で行うが、収集やリサイクル業者への運搬を障がい者が行うことで、障がい者の働く場が生まれている。

■2011.7.6  脳性まひ児、重度では有意に生存率低下
脳性まひ児の生存率が、産科医療補償制度の対象になるような「重度」の場合には有意に低下することが7月6日、日本医療機能評価機構のプロジェクトチーム(主任調査者=小林廉毅・東大大学院教授)の調査で分かった。同日に開かれた同機構の「産科医療補償制度運営委員会」で小林氏らが明らかにした。

調査は、脳性まひ児の生存率を調べ、産科医療補償制度の保険金の支払い方法の見直しについて同委員会で議論する際の基礎資料とすることが目的。県外への子どもの移動が少ないと考えられる沖縄県で1988−2005年の18年間に生まれた脳性まひ児を対象に、08年8月31日までの生存情報を診療録などにより確認し、「全脳性まひ児」を「重度脳性まひ児」と「重度脳性まひ以外の児」に分けて分析した。

「重度脳性まひ児」は、産科医療補償制度の対象に準じて、▽出生体重が2000g以上、かつ在胎週数が33週以上▽身体障害者等級が1級か2級の脳性まひ▽先天性や新生児期の要因による脳性まひではない▽生後180日未満に死亡していない―と定義した。
 
調査結果によると、18年間の沖縄での出生数は約31万人。このうち全脳性まひ児は595人で千人当たり1.94人、重度脳性まひ児は135人で千人当たり0.44人だった。
 
全脳性まひ児の生存確認の結果は、生存475人、死亡42人、不明78人。死亡42人の死亡時の平均年齢は6.6歳で、死因は脳性まひ(11人)、肺炎・肺臓炎(5人)、敗血症(4人)などが多かった。
 
重度脳性まひ児と重度脳性まひ以外の児の生存率を比べると、重度脳性まひ児の5年生存率0.947、20年生存率0.813に対し、重度脳性まひ以外の児はそれぞれ0.975、0.898で、重度脳性まひ児の方が有意に低かった。
 
産科医療補償制度の保険金は、準備一時金としてまず600万円を支払い、その後毎年120万円を20年間にわたって給付し、総額3000万円を支払う「準備金+分割金」方式。同制度の準備委員会では、脳性まひ児が死亡した時点で分割金の給付を打ち切る「年金方式」も提案されたが、生存率についてのデータ不足などを理由に見送られている。 日本医療機能評価機構の担当者によると、運営委員会では今後、3000万円を一括して給付する方式の導入も含めて、保険金の支払い方法を検討する方針だ。

■補償対象、累積178件に■  
また、この日の委員会で同機構は、09年1月に産科医療補償制度がスタートしてからこれまでに178件が補償対象となったことを明らかにした。昨年12月に開かれた前回の運営委員会以降、新たに77件が対象になった。

■2011.7.7  震災と福祉職員 家族を失っても…
被災地のお年寄りや障害者の苦境は報じられてきたが、ずっと付き添っている福祉職員のことはあまり知られていない。震災から間もなく4カ月。災害弱者を支援している人々のことも忘れないでほしい。

福島県福祉事業協会は福島第1原発近隣地域で多数の施設やグループホームを運営している。3月12日早朝、同原発10キロ圏内に避難指示が発令された。同協会の東洋学園成人部(富岡町)の三瓶佳治施設長は他施設の利用者(障害児者)や職員ら計200人以上で隣接する川内村の別施設に避難した。直後に同原発1号機が爆発し、20キロ圏内にも避難指示が出された。別の小学校体育館へ移ったが、慣れない避難所でトラブルになり、翌日には田村市の別施設へ。居住スペースが狭く、家庭への引き取りやアパートを借りての分散避難を余儀なくされた。
 
これとは別に飯舘村の施設に避難していた仲間もいたが、同村全域で年間の放射線積算量が20ミリシーベルトに達する恐れがあることが分かり、別の地域へ移らざるを得なくなった。
 
4月初旬、窮状を知った千葉県鴨川市の病院の仲介で「千葉県立鴨川青年の家」へ集団疎開した。短期の研修用施設で窮屈だったが、300人近い障害者と約200人の職員が一緒に生活し活動できる場所は他になかった。ほとんどの職員は家族が県外の親類宅などに避難したままで会うこともできなかった。
 
長期化とともに職員の辞職や休業が相次ぎ、現在「青年の家」に残る職員は90人余となった。東北の被災地には多数のボランティアが入るが、そこから350キロ以上離れた鴨川は盲点だった。4月末、小学6年の女児が海で溺死する事故が起きた。
 
現在は東京や千葉県内の施設から約30人の職員が派遣されるようになった。「鴨川には感謝している」と三瓶施設長はいう。だが、福島県内の放射線量の低い地域にみんなで戻れるよう検討中という。
 
甚大な被害にあった岩手県陸前高田市の障害者施設「ひかみの園」は建設中だったケアホームが津波で流された。被災後、施設に職員が何日も泊まり込み、電気のない部屋で障害者に寄り添っていた。自宅を流された職員は仮設住宅に入れることになったが、菅野正明施設長の表情は晴れない。目の前の仕事に追われてきたが、子どもや連れ合いを失った職員が何人もいる。「夜、仮設住宅で一人どんな思いをしているのか。職員の心のケアも考えないと」という。

■2011.7.7  介護能力評価の実証事業、「障害者施設も」- 介護人材WGで提案
介護人材の能力を7段階で評価する仕組みを検討している政府の「実践キャリア・アップ戦略 専門タスク・フォース 介護人材ワーキング・グループ(WG)」は7月7日の会合で、介護現場で今年10月以降に行う実証事業の進め方について、下部組織の小委員会から報告を受け、意見交換した。委員からは、実証事業の対象に障害者施設を加える提案などが上がった。

現在検討されている実証事業の進め方の案では、特別養護老人ホームや訪問介護事業所、認知症高齢者グループホームといった介護サービスの事業所を対象としているが、障害福祉サービスの事業所は対象になっていない。
 
事務局では、7月末から8月初旬にも実証事業の進め方を固め、委託事業者の公募を始める方針。
 
同WGは今年4月に、介護人材の能力を7段階で評価する際の基本的な考え方などを盛り込んだ論点整理案を大筋で了承。これを受けてWGの下に小委員会を設置し、▽具体的な能力評価基準の原案▽能力評価基準の原案が妥当な内容か判断するための実証事業の進め方―について議論している。

■2011.7.8  「パン工房おきしんきょう」開店 障がい者就労支援
【糸満】パンの製造販売を通して障がい者の地域生活や就労支援の拠点づくりを目指す「パン工房 おきしんきょう」が糸満市西崎に5日、開店した。障がい者支援施設「太希おきなわ」(南風原町)の施設外就労訓練の場となり、スタッフは地域との交流を楽しみにしている。開所式が同日あり、運営する県身体障害者福祉協会の宮城光男会長ら関係者がテープカットして祝った。

店内は清潔感あるオープンキッチンで菓子パンを中心に人気のミニクロワッサンや自信作の食パンなど、約30種類を取りそろえる。雑貨類や食料品など委託販売できる「チャレンジBOX」も設置し、貸し出しもする。今後、蜂蜜やジャムなどパンの関連商品の取り扱いも考えている。
 
資金の一部は県障害者就労訓練設備整備事業の補助金を活用。太希おきなわの利用者4人が接客対応し、職員4人が支援する。
 
開所式で太希おきなわ家族会の仲田憲裕会長(79)=那覇市=は「みんなで手を取り、開所の日を迎えることができた。施設外の訓練施設が今後も拡大することを願う」と期待した。スタッフ代表の玉城康子さん(27)は「赤ちゃんのようなパン屋さんですが、地域の皆さまにかわいがられ、将来は頼られるようなお店になるよう頑張りたい」とあいさつし、大きな拍手を受けた。

■2011.7.8  障害者の姿生き生きと、大倉山で写真展/横浜
写真展「地域で生きる重度障害者」が、横浜市港北区大倉山のギャラリー「かれん」で開かれている。重度障害者のグループホームを支援するNPO法人「地域で生きる障害者を支える会」(大原日恵代表)の主催で9日まで。

市内二つの障害者グループホームの運営委員長を務める大原さんが撮影した。入所者らの散髪、食事などの日常生活や地域交流バザー、チャリティーコンサートで活動する様子が、生き生きとした表情とともに活写されている。額に収められた25点のほか、活動状況を説明したパネルにスナップ写真が多数、掲載されている。
 
大原さんは「重度障害者の一人一人の個性が尊重され、地域の中でさらに楽しく暮らしていけるような社会になってほしい。多くの人に写真を見てもらいたい」と話している。

■2011.7.8  老人福祉事業者の倒産、今年上半期は8件−昨年と同水準 帝国データバンク
帝国データバンクによると、介護付有料老人ホームや特別養護老人ホーム、デイサービスなどを手掛ける「老人福祉事業者」の今年上半期(1-6月)の倒産件数は8件で、昨年(8件)と同水準で推移している。東日本大震災の影響による法的な倒産はないという。

負債額の合計は11億7300万円。介護付有料老人ホームなどを運営し、3月に民事再生法の適用を申請した「アスクケア」(負債額7億円)と、4月に破産手続きの開始決定を受けた高齢者自立支援サービスの「ジェントリー」(同2億円)の2社で4分の3余りを占めた。

■2011.7.8  初めての絵画展覧会 重度障害の井上貴美子さん 吹田市
重度の障害がある大阪府吹田市の井上貴美子さん(47)が色鉛筆で描いた絵画作品を集めた初めての展覧会が、同市役所正面玄関ロビーの市庁舎ギャラリーで開かれている。

井上さんは生まれつき四肢に障害があり、幼いころから車椅子で過ごしている。手指をうまく動かせず、絵の経験はこれまでほとんどなかったが、昨年7月に「動きのある絵が描きたい」と一念発起。最初は動植物を1点描くのにも膨大な時間がかかったが、夢中になって描き続けているうちに思い通りの構図が描けるまでになったという。
 
歌の歌詞などを聞いて心の中に浮かんだイメージをそのまま画用紙に描き、色鉛筆で彩色を施す井上さんの作品は、素朴で繊細なタッチながらも、物語の一シーンを切り取ったような躍動感と力強さを感じさせる。
 
今回の展示は、井上さんの生活を支えている親戚の藤岡智利さん(51)が「きみちゃんの絵をみんなにも見てもらいたい」と企画。約30点の作品を展示している。
 
「恥ずかしい気持ちもあるけれど、自分の描いた絵をたくさんの人に見てもらえるのはうれしい」と井上さん。藤岡さんも「きみちゃんの夢と希望に満ちた作品を見て、元気になってもらえれば」と話している。

■2011.7.8  原発不安でも日本助けたい フィリピン介護士候補生60人訪日へ
日本とフィリピンの経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士資格取得を目指すフィリピンの候補生60人の3カ月に及ぶ日本語事前研修が終わり、マニラ首都圏の施設で8日、修了式があった。18日に日本に出発。半年間の日本語研修を受け、各地の高齢者福祉施設で学びながら国家試験に備える。

福島県いわき市の施設で研修予定のエレン・メロミダさん(21)は、同僚1人が事前研修中、福島第1原発事故への不安が拭えず、訪日を諦めたという。「自分にも家族にも不安は残る。でも日本で助けを必要としている人たちがいる。逃げるわけにはいかない」と意気込みを語った。
 
卜部敏直駐フィリピン大使も姿を見せ「フィリピン代表という誇りを持ってください」と励ました。

■2011.7.9  介護付有料老人ホーム、土地書類偽造で指定取り消し―静岡
指定申請の際に偽造した書類を提出し、不正に指定を受けたなどとして、静岡県は7月8日、「株式会社メディカルコーポレーション」(愛知県豊山町)が運営する介護付有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護事業所)の「袋井の憩」(静岡県袋井市)について、介護保険法に基づき指定を取り消す行政処分を行うと発表した。取り消しは8月31日付。同社は指定を受けて以降、約8100万円の介護報酬を受け取っており、今後は保険者(市町)が加算金を含めて返還を求める方針だ。

指定が取り消されるのは特定施設入居者生活介護のほか、通所介護、介護予防特定施設入居者生活介護、介護予防通所介護の計4事業所。

県によると、各事業所は2008年10月に指定を受けた。その際に、土地の新たな借り主を同社に変更する内容の覚書の写しを県に提出。覚書には貸し主、前の借り主、同社の3者の印があった。しかし、実際には貸し主の承諾はなく、別の書類から偽造されたものだった。
 また、県が今年1月以降に監査を行った際には、同社は実態と異なる勤務表を提出し、虚偽の報告を行っていた。

県は刑事告発も視野に入れており、私文書偽造や詐欺などに該当するかどうか、警察と協議する方針だ。

厚生労働省は同事業所に対し、不正行為への組織的関与の有無や業務管理体制の整備状況についての調査を既に実施しており、早ければ来週にも結論を出して関係自治体に通知する見通し。不正行為への組織的関与が認められれば、「連座制」が適用され、自治体が同社の事業所の指定更新や新規指定を拒否する可能性がある。

■2011.7.9  障害者の震災対策で討論 宇都宮
東日本大震災の影響を教訓に、災害時の障害者支援の在り方を考えるパネルディスカッション「災害と障害者」(栃木障がいフォーラム主催)が8日、宇都宮市のとちぎ福祉プラザで行われた。県内の障害者団体の代表ら5人が避難所や、計画停電時の障害者の苦難を報告。障害の特徴に応じたケアの重要性が浮かび上がった。

宇都宮市自閉症児親の会の原田久美子会長は「計画停電の際、予定時間に停電にならなかったため、パニックを起こす子どもが結構いた」。自閉症は想像力やコミュニケーションの障害がある。原田さんは「障害に合わせた対応が可能な福祉避難所を用意してほしい」と訴えた。
 
栃木頸髄損傷者連絡会の斎藤康雄会長は体温調節などが困難な障害の特徴を挙げ「独立した福祉避難所も重要だが、健常者と同じ避難所の一角に、配慮した場所を確保してもらう方がいい」と話した。
 
県聴覚障害者協会の稲川和彦会長は「テレビが情報源だった高齢者は、計画停電の意味が理解できなかった」と情報確保の難しさを吐露。県精神障害者援護会の興野憲史理事は「精神障害者は薬がない場合、一般の人が想像できない行動をとることがある。避難所ではトラブルになっている」と肩を落とした。
 
非常食に配慮を訴えたのは、県腎臓病患者友の会の竹原正義顧問。「塩分の多いおにぎり、カリウムが豊富なバナナは、透析患者が食べられない」と理解を求めた。

■2011.7.9  雑貨展:おしゃれ雑貨を販売 デザイナーと障害者共同制作−大分
障害者が作った流行最先端の雑貨展が大分市荷揚町のアートプラザで8月9日まで開かれている。帆布製のカバンや箸袋、ブックカバーなどで840〜5300円。

 一般就労へのステップアップを支える東京都町田市の社会福祉法人「なないろ」の活動。立命館大のロゴやパルコの広告を手がけた秋山具義さん(45)がデザインした。首都圏の百貨店でも販売されている。アートプラザの井上和子さんは「デザイナーとアイデアを出し合い、消費者が購入してくれることで就労意欲が高まる。県内のデザイナーにも取り組みを知ってほしい」と話す。

■2011.7.9  <検察改革>福祉専門家「知的障害学ぶべきだ」
郵便不正事件に絡む証拠改ざん事件などで大きく傷ついた検察の信頼回復に向け、最高検が設置した「検察運営全般に関する参与会」のメンバーに、社会福祉法人「南高愛隣(なんこうあいりん)会」(長崎県雲仙市)の田島良昭理事長(66)の参加が決まった。

誤誘導される恐れが高いとされる知的障害者について、取り調べでの録音録画だけでなく、本人をよく知る福祉施設職員らの立ち会いなども提言していく意向だ。「検察が本気で改革に取り組めば大きな効果がある」と期待を語る。

田島さんは、軽微な罪で刑務所への入所を繰り返す「累犯」の障害者や高齢者を福祉に橋渡しする厚生労働省の研究などを主導してきた。こうした取り組みに注目した最高検に委嘱され、六つの「専門委員会」のうち「知的障がい専門委員会」の参与(外部専門家)として検察内部の議論をサポート。検察のあり方全体に対しても、各専門委の参与で構成する「参与会」で提言していくという。

「知的・精神障害などハンディキャップがある人が受刑者の7割に上る可能性がある」とみる田島さん。「今の司法は累犯者を垂れ流してつくってしまっている。検察も力を入れているのは、公判で実刑を取るための『勝ち負け』だけ。再犯を防ぐことで、国民の幸せを作る最も大切な役割が仕事になっていない」と手厳しい。
 
検察官は捜査と公判を担い、起訴・不起訴の判断など大きな裁量がある。田島さんは、検察官が研修などを通してハンディキャップを実践的に学ぶべきだという。「障害が分かれば、福祉につなぎ立ち直りの道筋をつけられる。検察は交通整理すればよく、忙殺されている今の仕事量も変わる」と指摘する。
 
捜査当局の取り調べを巡っては、全過程の録音録画(可視化)の導入を日本弁護士連合会などが要望している。ただ、田島さんは「可視化だけでは不十分。知的障害者が取り調べで本当のことを話せるように、信頼できる施設職員や学校の先生、家族らがそばにいて『通訳』の役割を果たすことも必要」と話す。

◇田島良昭氏
77年に長崎県雲仙市で社会福祉法人「南高愛隣会」を設立し、刑務所からの出所者を含む障害者を支援する先駆的な取り組みで知られる。厚生労働省出身の浅野史郎氏が宮城県知事だった際、同県福祉事業団理事長などを務めたほか、元同省局長の村木厚子さんが大阪地検特捜部に逮捕された際は「支援する会」をつくり無罪を訴えた。

■2011.7.11  いすでバスの旅、利用者やその家族ら30人が富士河口湖町散策や温泉を楽しむ/神奈川
車いす利用者がリフト付きバスを使うツアー「車いすバスの旅」が11日、山梨県富士河口湖町周辺で催された。利用者やその家族、入浴や移動の補助をするボランティアら約30人が参加し、温泉や観光を楽しんだ。

NPO法人「フュージョンコムかながわ・県肢体不自由児協会」(山田章弘理事長)の主催で、神奈川新聞厚生文化事業団の協力。両者は車いす利用者を対象に飛行機を使った「車いす空の旅」を続けており、今回は初めてバス旅行を企画。リフト付きバスを神奈中観光が提供した。
 
県内在住の車いす利用者7人が参加。11日朝に横浜駅を出発し、山梨県富士河口湖町の温泉旅館で入浴。ボランティアは、車いす利用者を湯船に入れたり、トイレ利用時の補助をした。
 
旅館での昼食後、参加者はラベンダーで有名な八木崎公園を散策。好天の下、約100メートルの遊歩道の両側に咲く紫色の花を眺め、芳香を楽しんだ。
 
車いす利用者で高校2年の黒田あや香さん(16)の母親は「家族の中で女性は娘と2人だけなので、旅行をしても入浴は苦労した。今回はボランティアの支援もあったので楽しめた」と話し、あや香さんも「ラベンダー見学がよかった」と笑顔を見せた。
 
「移動時間が短い方がよい」などの意見も参加者から聞かれた。山田理事長は「『空の旅』に行くことができない重度障害者にも、旅の楽しみをつくるのが『バスの旅』の目的。今後も継続開催したい」と話していた。

■2011.7.12  猛暑対策、被災地懸命 震災4カ月 東北梅雨明け
連日猛暑が続く被災地では、既に暑さとの闘いが始まっており、梅雨明けを機に本格化した。肌を刺す日差しとうだるような暑さの中、被災者やボランティアは体調管理や食中毒防止に懸命だ。

約70人が身を寄せる宮城県石巻市門脇中の武道場では11日、4台だった扇風機が8台に倍増された。避難者らは1日数回の打ち水も欠かさない。
 
「熱中症が最も心配。高齢者にはなるべく外出を避け、水分を小まめに取るよう呼び掛けている」。避難所まとめ役の一人、及川幸江さん(45)は話す。
 
食事はその場で食べきるよう、互いに声を掛け合う。「食中毒が発生すれば、一気に広がる可能性がある」(及川さん)ためだ。
 
約130人が身を寄せる気仙沼市鹿折中の体育館では、15台の扇風機がフル回転。ぬれタオルで体を拭いたり、保冷剤を枕に乗せて横になったりしている人も多い。主婦中山節子さん(70)は「風がないと蒸し風呂のようだ」と汗を拭った。
 
47人が生活する岩手県釜石市の旧釜石一中体育館。10台の扇風機は寝苦しい夜を除き、原則的に午後9時に止まる。河野千恵美さん(42)は「なるべく汗をかかないよう、必要以上に動かないようにしている」と話す。
 
宮城県亘理町旧館の仮設住宅に家族5人と暮らす無職丸田和子さん(72)は「夜になってもなかなか気温が下がらず、寝付けない。湿気も多く、カビがすごいんです」とこぼす。 備え付けのクーラーは電気代と節電を考慮し、使うのは日中のみ。扇風機1台が昼夜を問わず回り続けている。「もう1台欲しいが、町内の家電店を回っても品切れだった」という。
 
屋外での作業が多いボランティアも暑さは大敵だ。仙台市津波災害ボランティアセンター(VC)は、ボランティア参加者に塩分補給のためのあめを配り、1.5リットル以上の飲み物の持参と帽子の着用を呼び掛けている。
 
6月にはボランティアが熱中症で病院に搬送されるケースも発生。ボランティアの送迎車には、病院の地図と連絡先を記した紙を配備している。
 
若林区内で11日、泥かき作業をしたボランティアリーダーの関根絵美子さん(37)=宮城野区=は「30分おきに休憩するようにし、メンバーにはとにかく水分補給を促した」と話す。
 
宮城県南三陸町災害VCでは屋外でがれきの片付けなどに当たるボランティアらに、日陰を作って休むための簡易仮設テントを持たせている。町社会福祉協議会の須藤美代子総務班長は「飲み物などを冷やすクーラーボックスが不足気味。支援物資として提供があればありがたい」と訴える。

■2011.7.12  遊休農地で郷土食再び 長崎県西海市の社会福祉法人、来春試作へ
西海市西海町の社会福祉法人ふるさと(北島栄理事長)が、8月から近くの遊休農地を活用した特産品作りに乗り出す。地元のお年寄りに意見を求めて「ふるさとの味」を再現するとともに、事業を支援する担い手も新規雇用し、新たな地域ブランドの確立を目指す。

同法人は西海市で特別養護老人ホームとグループホームを運営。現在、同市出身者を中心に、平均年齢85歳の116人が利用している。
 
特養施設の移転新築に伴い、昨年11月から近くの遊休農地を造成。隣接して段々畑計約5千平方メートルも整備した。
 
当初は利用者の園芸療法などへの活用を考えていたが、県の緊急雇用対策で地域資源を生かしたソーシャルビジネスモデルの公募を受けて計画を修正、採用された。
 
当面は、県内の離職者2人を農業担当と加工品担当の職員(研修生)として採用し、農園の土壌改良を進める。  同時にかんころもちなど消えつつある地元の食についてお年寄りから聞き取り調査。原料の農産物やレシピ作りに取り組み、農業指導、ボランティアなどで地域の協力も求め、来春の試作品完成を目指す。
 
同法人の北島淳朗理事は「目的はお年寄りの知恵を生かした食文化の継承。生きがい、雇用、耕作放棄地対策と合わせ、施設の活用で地域福祉力の向上にも期待したい」と意気込みを語った。

■2011.7.12  福祉事業者が人材育成の取り組み事例を紹介−都福祉保健財団研修会
東京都福祉保健財団は7月12日、社会福祉施設が人材の育成や確保に取り組むためのポイントをまとめた「社会福祉施設における人材育成マネジメントガイドライン」を用いて研修会を開いた。この中で、同ガイドラインの策定に向けた昨年度のモデル事業に参加した事業者が、実際の取り組み事例を紹介した。

社会福祉法人聖風会「特別養護老人ホームグリーンハイム荒川」の堀茂施設長は、同法人の6つの特養が別々に研修に取り組んでいた状況を改め、法人全体として各階層の職員が受講すべき研修を一覧にした「キャリア開発マップ」を作ったと報告。マップの作成に当たっては、各施設の課長クラスが集まる会議で、過去3年間に参加した研修の情報を集めるなどの取り組みを行ったという。
 
また、社会福祉法人東京都知的障害者育成会「豊島区立駒込生活実習所・駒込福祉作業所」の齊藤一紀施設長は、施設内の各グループをまとめるリーダーの役割を整理するため、▽施設長や主任、リーダーらによる意見交換▽リーダーの他施設での研修―などに取り組んだと紹介した。また、この過程で、組織内の情報共有の在り方を見直す機会にもなったとし、「正直に言うと、ここまで(良い結果)は期待していなかった」と振り返った。
 
同ガイドラインの策定に携わった日本社会事業大専門職大学院の藤井賢一郎准教授は、人材育成について「“そもそも論”から(検討を)始めると、動きにくいところが多い」と指摘し、「大きいテーマだからこそ、短期間で成果を出す方法が参考になるのではないか」と提案。その上で、短期間で成果を出すポイントとして、▽取り組むべきことを日ごろから考えて仕事する▽短期間でできることを目標として設定する▽取り組みのためのチームを早急に編成する―の3点を挙げた。

■2011.7.14  エアコン購入費、収入から除外へ 国、生活保護世帯に
エアコンを買おうとお金を借りても、その分、生活費を削られて買えない――。生活保護世帯のこんな声を受けて、細川律夫厚生労働相は14日、エアコン購入費として生活福祉資金を借りた場合、収入に認定しないよう運用を見直す考えを示した。参院厚労委員会で、田村智子氏(共産)が低所得世帯の熱中症対策をただしたのに答えた。

社会福祉協議会から借り入れる生活福祉資金は収入とみなされ、生活保護費はその分だけ減額される。冠婚葬祭費や暖房機器の購入費は減額の対象外だが、「暖房に比べて冷房は普及率が高くない」(厚労省)として、エアコン購入費は収入に認定されている。
 
これについて、細川厚労相は「今年は(昨年に)輪をかけて暑い。健康被害を防止するために、冷房設備の必要性は高まっている」と指摘。そのうえで、「生活福祉資金などの貸付金を収入と認定しない方向で検討させたい」と述べた。

■2011.7.15  障害者福祉:子どもに体験の場を 施設で交流 名張の有志グループ/三重
子どもたちに学校が教えないことを学んでもらおうと、名張市の有志グループが、農業や芸術などの体験の場づくりに取り組んでいる。29日、障害者福祉の現場を体験する初の機会を設ける。代表者は「創造性豊かで積極的な人間に成長する一助になれば」と考えている。

「子ども支援グループ<リヨン>」。同市百合が丘東4、洋画家、谷口侃(ただし)さん(76)を代表に、有志5人が昨年4月、結成した。メンバーは自治会活動などを通じて知り合い、「家にこもってゲームばかりしている子どもが多いが、何とからないか」との思いから出発した。香落渓でいかだを作っての川下り、稲刈りやイモの植え付け、バーベキュー大会、絵画や囲碁教室などを開いてきた。
 
独立行政法人「国立青少年教育振興機構」などの助成金を活用している。参加費を材料代程度に抑えられ、各イベントとも募集開始間もなく定員となる、盛況という。谷口さんは「昔の子どものようにトンボを捕ったり、川で遊んだりする中で生きる力を学び取ってくれれば。子どもたちにも、何がしたいかを聞きながら、活動を進めている」と言う。
 
29日午後1時、同市青蓮寺の障害者通所施設「青蓮寺オーラック」の夏祭りで、フィギア釣りや綿菓子などの出店を手伝う市内の幼稚園児〜高校生20人を募集している。祭りにも参加し、入所者と交流する。

■2011.7.15  福祉製品のアイデア募集
川崎市は「第3回かわさき福祉製品アイデアコンテスト」を開催し、現在、多くのアイデアを募っている。募集するのは▽杖、歩行器、車椅子、リフトなど移動を補助するもの▽食事、入浴、衣類などパーソナルケアに関するもの▽リハビリ機器、遊具など運動機能や認知機能の低下予防に関するもの―の3品目。

募集締め切り後、学術経験者や福祉製品開発専門家などで構成される選考会を経て、優秀賞と入選作品が選ばれる。このうち2点ほどの優秀賞については市内の企業が製品化に向け、試作品を製作する。

■2011.7.15  熱中症搬送 宮城6.4倍増 7月・仮設入居の被災者も
気象庁が高温注意報を発表し、猛暑対策を呼び掛ける中、宮城県内では7月に入り、熱中症のため救急搬送された患者が前年のほぼ同時期に比べ6倍以上に増えている。各消防本部では「こまめな水分補給などを心掛けてほしい」と注意を促している。

県消防課によると、今月4〜10日の搬送者は103人で、昨年の16人(昨年7月5〜11日)に比べ6.4倍に達した。年齢別では65歳以上の高齢者が40人に上り、7〜17歳も14人、乳幼児も2人いた。容体は軽症者49人、3週間以上の入院が必要な重症者は5人だった。
 5月30日から7月10日までの搬送者数は210人で、昨年のほぼ同じ時期に比べて3.6倍。
 
津波被害などの被災者からも患者が出ている。仙台市消防局によると、これまで搬送された熱中症患者のうち、2人は仮設住宅に入居していた。石巻地区広域行政事務組合消防本部の管内でも、仮設住宅から1人が搬送されたという。
 
県は今後、週ごとの調査に、被災地の仮設住宅や避難所から熱中症のため搬送された患者数を把握する方針。特に被災者が集団生活を送る避難所は熱気がこもりやすいため、健康管理に注意を呼び掛けている。

■2011.7.15  社会福祉法人に改善命令 /島根
浜田市三隅町で児童養護施設「聖〓寮(せいこうりょう)」を運営する社会福祉法人「三隅愛育会」(三上良匡理事長)に対して県は14日、理事会の議事録を改ざんしたとして社会福祉法に基づく改善命令を出した。

県によると、07年度から10年度まで理事会を18回しか開いていないのに24回開かれたことにしていた。三上理事長は「信頼を損ね、県民や関係者にご迷惑をかけた」と謝罪した。

■2011.7.15  障害者ら手作り さぬきうどん店開店へ 淡路
淡路市内の知的障害者らによる手作りのさぬきうどんを低価格で提供する飲食店「幸来」が21日、同市大谷の津名温水プール前にオープンする。香川産の小麦粉を使った?はもちっとした本場の味わいそのままのうえ、だしも就労支援員らとともに考案。メンバーは「多くの人に訪ねてもらい、交流を深めたい」と開店を心待ちにしている。

市内の共同作業所で働く知的障害者らの自立を目指そうと、市社会福祉協議会が計画し、サンシャインホール(同市浦)の喫茶店に続き2店舗目。市から土地を無償で借り、鉄骨平屋の建物を設けた。
 
店名は「たくさんのお客さんに喜んでほしい」との願いを込めた。共同作業所で菓子作りなどに取り組んでいた30〜40代の知的障害者6人と、就労、生活支援員ら計10人が勤務する。
 
店内(広さ100平方メートル)には26席用意。うどんは製造後に1日熟成させてから提供し、だしは、いりこ、かつお節、昆布などでこしらえる。?にこしがあり、だしの香ばしい風味が楽しめるという。
 
うどんのメニューは、かけうどん(200円)▽温・冷ぶっかけうどん(250円)▽きつねうどん(300円)▽釜揚げうどん(250円)‐など6種類。五目ご飯、おにぎり、天ぷらなども提供する。
 
スタッフの男性(34)は「本場の味を楽しんでもらえる」と胸を張り、男性(28)は「一生懸命うどんを作り、お客さんはもてなしたい」と意気込む。
 午前11時〜午後5時。日曜休み。

■2011.7.15  知的障害者がワインづくり…愛知
ブドウづくりからワイナリーでの醸造まで、知的障害者の手でワインづくりを行う計画が、全国で初めて、愛知県小牧市でスタートした。

計画を進めているのは、名古屋市昭和区で福祉ホームや授産施設などを運営する社会福祉法人AJU自立の家。14日には、小牧市の山下史守朗(しずお)市長が、市有地を無償で提供するなど全面協力する覚書を、自立の家との間で交わした。

計画によると、自立の家は、同市野口の市有地3000平方メートルを借り、2015〜16年度にワインの醸造から貯蔵、販売までできるワイナリー(延べ2700平方メートル)を建設。周辺に0・8ヘクタールのブドウ園を確保する。障害者の就労支援施設として40人が働ける規模で、建設費は4億5000万円。

自立の家は、8年前から岐阜県多治見市にあるカトリック多治見修道院の委託を受け、修道院のワインづくりを手掛けてきた実績がある。ブドウ畑は現在1・2ヘクタールで、障害者15人が赤ワインのカベルネソービニオンや白ワインのシャルドネなど9種類を育てており、名古屋市在住のソムリエの島幸子さんがワインのアドバイザー役を務めている。

県内にワイナリーが出来るのは初めて。障害者によるワイナリーも全国初。将来的には、ブドウ畑を計10ヘクタールに増やして、年間20万本を生産する計画だ。島さんは「技術は確実に伸びている。好まれる品種を育てれば、さらにレベルアップできる」とエールを送る。

自立の家の山田昭義専務理事は、「小牧は織田信長が初めて城を築城した地。信長は宣教師ルイス・フロイスを通じてワインを口にしたことは間違いなく、その時代、日本へポルトガルのワインが運ばれた。ブドウの種類が分かれば、信長の飲んだワインも再現でき、『信長ワイン』として売り出したい」と夢を語る。
最終的に、障害者がワインづくりで自立できることを目指すという。

■2011.7.16  クラーク博士のパン再現 札幌、障害者に働く場
明治初期に設立された札幌農学校(現北海道大)の初代教頭クラーク博士が当時食べていたパンが“再現”された。知的障害者らの就労支援に取り組む北海道北広島市の社会福祉法人が「看板商品を作り、障害のある人が安定的に働ける場を増やしたい」と4月に販売を開始。口コミで評判となり、売り上げは1日50個以上だ。

商品名は「クラーク博士の石臼全粒粉パン」。クラーク博士が学生にパン食を推進したことに興味を持っていた「北ひろしま福祉会」の佐々木勝彦さん(48)が発案した。 JR北広島駅構内や同福祉会直営店で1個100〜300円で販売している。

■2011.7.18  差別と闘う障がい者たち、半世紀の記録
脳性まひ者団体の活動を描く
障がい者の解放運動に鋭く迫ったノンフィクション小説「カニは横に歩く、自立障害者たちの半世紀」が、第33回講談社ノンフィクション賞を受賞した。著者は、自身も介護者として運動に関っていた、ジャーナリストの角岡伸彦氏。

学生運動が衰退し始めた1970年代から、施設占拠や「川崎バス闘争」などの過激な解放運動を展開してきた脳性まひ者の団体、「日本脳性マヒ者協会青い芝」の活動の様子が生々しく描かれている。健常者に合わせて生きることを余儀なくされてきた障がい者達が政府、企業、社会、健常者を糾弾する姿や、彼らを間近で見守ってきた著者の言葉は、読者に強烈なメッセージを与える。

「カニは横に歩く」というタイトルには、「カニが横歩きするのを誰も不思議に思わない。障がい者が健常者と違う歩き方をするのも当たり前だ」というメッセージが込められているという。
著者の角岡氏は、これまでにもさまざまな「差別」に関する著作を発表しており、今度の活動にもますます注目が集まりそうだ。

■2011.7.20  介護報酬を不正受給 県が藤枝の福祉法人を行政処分
看護職員の勤務実績を改ざんし、介護報酬計約900万円を不正に受け取ったとして、県は19日、藤枝市の社会福祉法人「県民厚生会」が運営する5事業所の報酬請求額を半年〜3カ月間、半額にすると発表した。介護保険法に基づく行政処分で、今月15日付。

5事業所は、いずれも藤枝市八幡の同一敷地内にある。「特別養護老人ホームきらら藤枝」、「きらら藤枝ショートステイ」名の短期入所生活介護事業所と介護予防短期入所生活介護事業所は9月1日から3カ月間、「きらら藤枝デイサービスセンター」名の通所介護事業所と介護予防通所介護事業所は同日から半年間、それぞれ報酬を半額しか請求できない。

県介護指導課によると、県民厚生会は2007年8月〜09年11月、特養で夜間に対応可能な看護職員がいないのに、いるように装って介護報酬を不正請求するなどしていたという。昨年10月の県の監査で、不正が発覚した。

伊藤昇平理事長は、県の調べに「県の指示に従う」と話しているという。
県は、保険者である藤枝市や島田市など7市1町に対し、返還請求するよう求めている。

特別養護老人ホームきらら藤枝は2006年10月、ショートステイの短期入居施設とともに県の指定を受け、07年にデイサービスセンターを開設。定員は特養70人、ショートステイ20人。デイサービスセンターの利用定員は30人。

■2011.7.21  胃ろうの人が口から食べるモデル事業実施へ- 全国老施協
全国老人福祉施設協議会(全国老施協)は7月21日、特別養護老人ホーム(特養)に入所している胃ろうの人が通常の食事に移行するために何が必要かを、現場での取り組みを通じて調査・研究するモデル事業に取り組むことを決めた。入所者が口から食べることによるQOL(生活の質)の向上を支援すると同時に、施設側の負担軽減につなげることを目的とした取り組みで、全国老施協は年内をめどに報告書をまとめる予定だ。

同日開かれた「自立支援介護実践研究事業プロジェクトチーム」(委員長=竹内孝仁・国際医療福祉大大学院教授)の初会合で決めた。

今回のモデル事業は、7月末から約3か月間、これまでおむつ使用率ゼロに取り組んできた特養13施設で実施。胃ろうだけでなく、腸ろうや経鼻経管栄養の入所者も対象とする。

施設は、対象者に対するアセスメントや状態把握などを適切に行いながら、水分摂取量の増量や嚥下体操といった、通常食の摂取に向けた取り組みを実施し、移行までの経過とその成果を同プロジェクトチームに報告する。同プロジェクトチームはそれを受け、複数回の会合を開いて年内をめどに報告書を取りまとめる。

全国老施協ではモデル事業と並行して、全国の特養2000施設を対象に、胃ろうの入所者に関する実態調査も行う。モデル事業と実態調査による研究結果を基に来年以降、通常食への移行をテーマとした介護職員のスキルアップ研修会を開催する方針だ。

■常食化へ「意識覚醒や姿勢など大切」
この日の会合では、2009年7月から通常食への移行に取り組んできた「介護老人保健施設ラ・サンテふよう」(静岡県三島市)の藤尾祐子看介護長が事例を紹介。通常の食事に戻すための方策として、▽意識レベルの覚醒▽十分な水分量の摂取▽活動的な生活▽正しい姿勢での食事―などを挙げた。

また同プロジェクトチームの竹内委員長は、口腔機能を低下させる要因について、「簡単に柔らかい食事やおかゆにすること」と指摘した上で、「噛まないと口腔機能が維持されない。口腔機能を戻すために最もいい練習は、通常食を食べること」と強調した。

■2011.7.22  地上デジタル放送:24日完全移行 福祉施設など支援制度なく、資金難の壁 /山口
◇災害時など「情報格差」を懸念
 地上デジタル放送への完全移行が24日に迫る中、県内の社会福祉施設の一部から、資金難から「地デジ化できない」との悲鳴が上がっている。東日本大震災では障害者など災害弱者の避難の遅れが問題となっており、災害・避難情報をテレビから入手できないことで新たな「情報格差」が生まれることが懸念されている。岩国市の障害者施設で実情を聞いた。

県厚政課などによると、4月、国の依頼で県内の社会福祉施設1772施設に地デジへの移行について調べたところ、回答があった1067施設中、3分の1以上の365施設が3月末現在で「地デジを視聴できない」と回答。このうち、7月までに移行する予定がないとした267施設のうち、「もともとテレビを設置していない」「移行する必要を感じない」などと回答した218施設を除く49施設が「購入費用がない」と答えた。
 
49の大半は学童保育の施設だが、56人の知的・精神障害者が通う施設「しらかば園」(岩国市室の木町3)も、「買い替える余裕がない」と嘆く。就労支援や授産作業で3施設を抱える同園には計3台のテレビがある。他の障害者施設同様、経営は苦しい。企業からの下請け発注などを受けても利用者の工賃や運営費などを支払うとほとんど残らないという。3台とも10年以上前に寄付を受けたもので、地デジチューナーを付けたとしても遠くないうちに故障する可能性が高く、見送らざるを得ない状況だ。
 
県の49施設に対する追跡調査(12日現在)では「ビデオやDVDを見るために使う」と地デジ化を諦めた施設も多い。簡易チューナーが無償提供される生活保護世帯などとは異なり、社会福祉施設には地デジ化への支援制度がないことなども一因という。
 
しらかば園の森川敏昭施設長(68)は「地デジ化できないことで、災害時に情報の入手が遅れるのではと他の社会福祉施設の関係者も不安に思っている」と話し、地デジ対応のテレビや資金を寄付してくれる市民を探しているが見つからず、頭を抱えている。

◇難視聴地域、増加の可能性
中国総合通信局によると、7月上旬現在で、県内の難視聴地域は609地区・6291世帯。2年前の同局の推計では118地区・1498世帯だったが、地デジへの移行が進むにつれて新たな難視聴地域が見つかり、さらに増える可能性があるという。
 
難視聴地域では共同アンテナの設置や地域のケーブルテレビへの加入などで大半は対応できるが、一部は衛星放送で東京のテレビ局の番組を受信して対応する「暫定放送」でなければ見られない世帯もあるという。

 

トップへ フッターへ