残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース
残しておきたい福祉ニュース
2011年 |
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■2011.8.1 虚偽の申請で福祉用具事業所の指定取り消し−東京 | |
虚偽の指定申請や人員基準違反などがあったとして、東京都はこのほど、「有限会社シルバーレンタルけやき」(三鷹市)が運営する同名の福祉用具貸与と特定福祉用具販売の事業所について、介護保険法に基づいて指定を取り消すと発表した。利用者の移行先を確保するため、取り消しは8月29日付。 都はこのほか、同社の介護予防福祉用具貸与と特定介護予防福祉用具販売の指定も同日付で取り消す。 都によると、福祉用具貸与事業所は2004年11月に指定を受けた際、実際には勤務する予定のない福祉用具専門相談員1人が勤務予定と偽った書類を作成して申請した。そのため、常勤換算で2人以上必要な人員基準を指定時から満たしていなかったという。また、昨年11月の指定更新時に既に死亡していた人を管理者として届け出るなど、管理者配置に関する基準も守られていなかったという。 さらに、特定福祉用具販売事業所についても、06年8月に指定を受けた際に、勤務予定のない福祉用具専門相談員が勤務すると偽って申請しており、常勤換算で2人以上必要な人員基準を下回っていた。 同社は指定を受けて以降、約1139万円の介護報酬を受け取っており、今後は区市町村が事実関係を確認した上で返還を求めることになるという。 |
■2011.8.2 たん吸引、「介護本来の業務でない」−厚労省検討会の平林委員 | |
厚生労働省の「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」の委員を務める平林勝政・国学院大法科大学院特任教授は8月2日、東京都内で講演し、6月に成立した改正社会福祉士及び介護福祉士法で、たん吸引などの医行為が介護福祉士の「介護」業務とされた点について、「介護職の本来業務ではなく、外付け(の業務)にすべきだった」と述べた。 平林氏は、改正法で新たに定められた介護福祉士の介護業務に、たん吸引などの医行為が含まれたことについて、介護福祉士の資格を取得するためには医行為のカリキュラムや研修を受講しなければならなくなると問題視。「必修とせず、必要と思う人だけが行えるように、プラスアルファの業務にすべきだった」と述べた。 また、参加者からの「(医行為が)本来業務だとなると、今のカリキュラムを組み直すために養成現場は大変なことになる」との指摘に対し、「今から準備をしていかないと、(カリキュラムを)来年4月から始めるのはなかなか間に合わない。しかし、(詳しい内容は)厚労省も文科省もまだ分かっていないだろう」と答えた。 ■実地研修の修了認定、「勝手に事業者がやるものでない」 講演ではまた、都道府県に登録された事業者の下で行う実地研修について、「(修了認定をどうするかの)最終的な決着が付かないまま、検討会が終わってしまった」と述べた上で、「事業者が一定の条件下で認定するのか、第三者機関が認定するのか、(厚労省令が出るまで)よく分からない」と指摘。「(法改正は)もともとが(介護職の)能力をそろえることで医療安全を図る目的があった」とし、私見と断った上で、「勝手に事業者がやっていいものだとは思わない。しかるべきところが権限を持って一定のルールで行うべきだ」との考えを示した。 |
■2011.8.3 183万円返還を指示 福祉施設、給付費不適正な請求 神戸市 | |
神戸市は2日、虚偽の書類に基づき、介護給付費の不適正な請求があったとして、神戸市西区の介護老人福祉施設「西神の里」(木村務施設長)に対し約183万円の返還を指示、今年度予算で約5100万円を計上していた同施設の増床計画の仮決定を取り消したと発表した。 返還を求めたのは、平成18年4月から今年1月までに同施設がリハビリ訓練の費用などとして市に請求していた約150万円と、虚偽の書類作成など悪質な請求に対する罰金33万円の計183万円。今年1月の定期監査で書類の一部に不備が見つかり、3月から市が調査していた。市によると、リハビリ訓練の記録に欠勤しているはずの職員の氏名が記載されているなど虚偽書類に基づく請求があったという。同施設側は「市の決定に従い、全額を返還する」としている。 |
■2011.8.3 関東運輸局が、福祉タクシーのNPO法人を事業停止処分/横浜 | |
関東運輸局(横浜市中区)は2日、福祉タクシーなどを展開するNPO法人「サイドワークスネキスト」(同市緑区)を事業停止処分にしたと発表した。 処分は9日から17日間。昨年3月の監査で、認可を受けずに車庫の新設を行うなどの違反が確認された。2009年の監査でも違反が見つかり、昨年7月に車両の使用停止処分を受けていた。 同法人は、01年にNPO法人として全国で初めて、福祉タクシーの事業免許を取得している。 |
■2011.8.3 弘前など障害者の夏祭り参加支援 | |
県内の夏祭りに、バリアフリー化の取り組みが広がっている。介護が必要な人たちと福祉・医療関係者らボランティアが一緒に祭りを楽しむ「ケア付き青森ねぶた・じょっぱり隊」(実行委員長・紙屋克子筑波大名誉教授)の取り組みを手本に、今夏は弘前ねぷた、五所川原立佞武多(たちねぷた)でも障害者や高齢者の祭り参加を支援する事業がスタート。福祉関係者は「祭りをきっかけに、障害者の社会参加やノーマライゼーションの理念が広がってほしい」と期待を寄せている。 契機は昨年のじょっぱり隊15周年記念フォーラム。閉じこもりがちな障害者や高齢者がねぶたの熱気の渦にとけ込むことで、わだかまりや偏見を克服した事例が報告された。じょっぱり隊の精神を浸透させようと県社会福祉協議会は本年度、祭りを通じた社会参加を支援する助成金事業を創設。弘前市と五所川原市の社会福祉協議会が名乗りを上げた。 弘前市社協の「バリアフリーねぷた 弘前ヤーヤドー会」は2日が初出陣。県外も含め22人の障害者とボランティア約70人が練り歩いた。川崎市から車椅子で参加した飯田公子さん(88)は「青森ねぶたのような派手さはないが、ねぷた一つ一つが手が込んでいて美しかった」、ボランティアの大学生成田りえさん(21)は「障害のあるなしに関係なく、一緒に地域の祭りに参加できる楽しいひとときだった」と話した。 一方、青森ねぶたでは3日、16年目のじょっぱり隊に障害者約30人とボランティア約300人が参加する。五所川原市社協の「ケア付き立佞武多・夢かなえ隊」は4日、障害者18人とボランティア計約65人が初参加する。 県社協の工藤俊幸事務局長は「送迎、待機、列への出入りなど課題はあるが、取り組みを継続してほしい」と期待。じょっぱり隊の長根祐子事務局長は「県内の祭りに同様の動きが広がることに感動している。社会の理解の輪も広がれば」と願っている。 |
■2011.8.4 障害者や妊婦らにやさしいUDタクシー 滋賀県で初導入 | |
車いすの障害者や妊婦、高齢者、大きな荷物を持つ人など、だれもが使いやすい「ユニバーサルデザイン(UD)タクシー」11台が4日、大津市や草津市など県内で初導入された。ワゴン型の車にスロープや手すり、乗降しやすい大きなドアを備える。介護タクシーのように予約制ではなく、駅前や病院などで客を待つ。 導入されたUDタクシーは、後部ハッチからスロープを下ろせる。車いすで乗り込んだり、赤ちゃんを座席に乗せた後、ベビーカーをたたまずに置ける。足腰の弱い人は、車内の床と地面の間のステップや、座席横の手すりを利用できる。後部座席のドアはスライド式で、妊婦がかがまずに乗れるという。 料金は小型タクシーと同じで、あんどんの側面に「小型」と表示する。11台は近江タクシーが運行し、湖南市や甲賀市、長浜市の旧東浅井郡と伊香郡、高島市を除く交通圏に2〜3台ずつ配備した。 国は、全国で2020年度までにUDタクシーを含む約2万8千台の福祉タクシー導入を掲げる。滋賀県タクシー協会は「今後もUDタクシーを県内全域に広げて台数も増やし、150台の運行を目指す」としている。 |
■2011.8.4 介護受給者、過去最多の約493万人−昨年度の介護給付費実態調査 | |
昨年度に介護サービスか介護予防サービスを一度でも受給した人は前年度比24万1200人増の492万8200人で、3年連続で過去最多を更新したことが8月4日、厚生労働省の「2010年度介護給付費実態調査の概況」(昨年5月-今年4月審査分)で分かった。厚労省の担当者は「高齢者の自然増によるもの」とみている。 介護サービスの受給者は401万5800人(前年度比22万5100人増)。このうち居宅サービスは298万6900人(同21万2900人増)、施設サービスは110万8700人(同1万5600人増)、地域密着型サービスは35万8500人(同3万5400人増)、居宅介護支援は276万8400人(同18万6000人増)だった。 居宅サービスのうち、最も受給者数が多かったのは福祉用具貸与の155万3300人(同14万8800人増)。以下は通所介護が145万1200人(同12万3700人増)、訪問介護が124万7900人(同7万8400人増)、短期入所生活介護62万6500人(同3万7000人増)などと続いた。 施設サービスの受給者数では、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)が53万8700人(同1万3100人増)、介護老人保健施設が48万3700人(同1万1300人増)と増えた一方、介護療養型医療施設は13万6100人(同1万人減)と減少した。 地域密着型サービスでは、短期利用を除く認知症対応型共同生活介護の18万8800人(同1万2800人増)、認知症対応型通所介護の8万5400人(同5600人増)、小規模多機能型居宅介護の6万5400人(同1万3300人増)などが多かった。 また、介護予防サービスの受給者は121万9100人(同9万2200人増)。内訳は、介護予防居宅サービスが120万8900人(同9万800人増)、介護予防支援が117万4900人(同8万8100人増)、介護予防地域密着型サービスが1万1400人(同1700人増)などとなった。 ■1人当たり費用月額は約15万6千円 このほか、今年4月審査分の介護サービスと介護予防サービスを合わせた受給者1人当たりの費用(利用者負担を含む)は、月額15万5800円(前年同月比1500円減)だった。1人当たりの介護サービス費は18万6900円(同1300円減)、介護予防サービス費は3万9400円(同600円減)となった。 |
■2011.8.5 暗い駅、転びそう …障害者・高齢者が節電に困惑 | |
■鉄道事業者も決め手欠く エスカレーターが使えない、暗い駅構内で転びそうになった――。 夏の節電対策が、障害者や高齢者にとっては思わぬ「ハードル」になっている。節電の必要性には理解を示す一方、視覚障害者などからは「健常者にはささいなことかもしれないが、困っている障害者がいることにも目を向けて」と切実な声が上がっている。 ■視覚障害者 「怖くてとてもガイドヘルパーなしには遠出はできなくなりました」。多摩市豊ヶ丘の布施千鶴子さん(73)はため息交じりに話した。布施さんは約50年前に原因不明の病気で全盲を経験。その後、左目の視力はわずかに回復したが、右目は義眼だ。 駅構内には段差に人混み、柱……。数多くの障害がある。白杖(はくじょう)や、かすかに見える照明、案内表示が頼り。節電で照明を消されると階段や障害物に気付きにくく、転倒しかけたこともあった。日常的な買い物は介助なしでもできるが、都心などに外出する際には多くの困難が伴うという。 また、弱視の理学療法士、野本矩通さん(70)(府中市)も「照明などは一時期に比べるとやや改善されたが、震災前に比べると随分と行動が慎重になった」と話す。野本さんは電車を利用して立川市内にある福祉施設に通勤している。ホームから改札まで3〜4分だったが震災後、所要時間が2倍になった。 野本さんは「ぶつかる寸前まで人に気づかないこともあり、何度も危ない思いをした。節電に協力しないといけないのは承知だが……」と困惑している。 ■高齢者・身体障害者 「動いているエレベーターを見つけるのに苦労した」「駅構内の状況が分からず戸惑った」――。高齢者や障害者のバリアフリーについて調査・研究している市民団体「共用品ネット」(渋谷区)では、会員から震災後、不便や不安を訴える声が相次いでいるという。 代表の児山啓一さん(61)は「世の中全体が節電ムードにあると、高齢者や障害者はどうしても声を上げにくい」と指摘する。その上で、児山さんは「駅員を十分に配置するなど確実に情報を伝える手段を確保することが重要」と強調する。電光掲示板や車内放送の内容がすべての人に伝わるとは限らないからだ。 ■企業も苦慮 それでは事業者はどう考えているのだろうか。京王電鉄(本社・多摩市)広報部は「(電力使用制限令が出ている以上)大口需要家として節電に協力するのが大前提」としながらも、「障害者の方も含めて安全に通行いただけるよう、ホームや階段ではできるだけ照度を保つよう努めている」と話す。 また、JR東日本では、6月24日から節電ダイヤを前倒しで実施。一定の節電効果を確認できたとして、先月から駅構内のエスカレーターなどの利用を再開している。ただ、同八王子支社の広報担当者は「乗客の不便の解消が狙いだが、受け止め方は様々。中には明るい駅構内や動いているエレベーターを見て、JRは節電しないのかといったお叱りの声もある」と複雑な心境だ。 |
■2011.8.5 高齢化率:全国3番目の28.4% 福祉・介護職、人材確保が急務 /高知 | |
全国よりも高齢化が約10年進んでいるとされる高知。 県総人口のうち65歳以上の高齢者が占める割合「高齢化率」は年々増加し、昨年の全国高齢化率23・1%に対して、県内は28・4%と5・3ポイントも上回り、島根(29%)、秋田(28・9%)に次いで全国3番目の高さとなった。 全国の高齢化率が28%を超えるのは2020年ごろとみられ、県内の高齢化が先行していることがうかがえる。一方で、県内では高齢化社会を支える福祉・介護職の人材不足への懸念が強まっている。県内の高齢化とそれを支える福祉・介護職の人材不足の状況をまとめた。 県地域福祉政策課などによると、県内で最も高齢化が進んでいるのは大豊町の53・2%、次いで仁淀川町48・8%、東洋町41・1%−−と続き、中山間地域での高齢化が目立つ。同課職員は「近い将来、中山間地域をはじめ介護士や社会福祉士の需要が高まってくるはず」と話す。 一方、福祉に携わる人材が不足しているのが現状で、高知労働局によると、6月末現在における福祉関係業の有効求人倍率は1・23倍。県全体の有効求人倍率が0・58倍と、求職者数が求人数を上回っている状況から見ると、福祉関係業に対する求職者が少ない。 また、県内に3校ある介護福祉士養成学校の定員充足状況も09年は50%、10年は64・4%と依然として定員割れが続いている。 これを受けて県は、昨年2月に策定した「日本一の健康長寿県構想」を今年2月に改訂。従来の介護職員処遇改善事業などに加え、福祉に携わる人材研修センターの設置や人材不足に悩む中山間地域での介護職員養成事業を追加した。 また、7日には県福祉人材センターが初の試みとして、福祉・介護職に関する就職説明会「ふくし就職フェア」を開催する。フェアを担当する同センターの国吉明日香さん(24)は「福祉職は仕事が過酷などの悪い印象が強いが、説明会で仕事のやりがいなどを感じてもらえたら」と話している。福祉・介護職員の増員へ向け、今後の県の取り組みに期待が持たれる。 |
■2011.8.5 改正障害者基本法が施行 「社会的障壁」を除去 | |
障害者の権利擁護を目指し、国や企業などに対し、障害がある人の社会参加を妨げたり日常生活を制約したりする「社会的障壁」を取り除くよう求める改正障害者基本法が5日、施行された。 心身機能に障害があるだけでなく、社会的な制度や慣行などの影響で生活が制限される人も「障害者」として幅広く定義。「すべての国民が障害の有無にかかわらず共生する社会」の実現を目指す。国連の障害者権利条約批准に向けた国内法整備の一環。政府は改正法の理念に基づき、2013年までに関連法案を国会提出する方針だ。 改正基本法では、障害者の権利擁護を強化する規定を追加した。東日本大震災で障害者への情報の伝達がうまくいかなかったケースを踏まえ、国や地方自治体に、障害者の状態などに応じた防災・防犯対策を講じるよう義務づけるとした改正障害者基本法、 この法律は、東日本大震災で、耳が不自由な人が防災無線を聞けずに逃げ遅れるなど、障害者への情報の伝達がうまくいかなかったケースを踏まえ、国や地方自治体に対し、障害者の性別、年齢、障害の状態、それに生活の実態に応じた、防災・防犯対策を講じるよう義務づけています。 基本的施策では、円滑な投票のための投票所の整備や、裁判など司法手続きの際に手話など障害者の特性に応じた意思疎通の手段を確保することの配慮、関係職員に対する研修などを義務づけた。教育については、市町村教委によって障害のある子どもの受け入れ対応が異なるため、本人や保護者に対し、「十分な情報を提供し、可能な限りその意向を尊重しなければならない」と定めた。 |
■2011.8.5 大橋製作所の障害年金横領:損賠訴訟 「母の墓買えず」と涙 地裁で元従業員 /奈良 | |
障害基礎年金を横領されたなどとして、家具製造販売会社「大橋製作所」(広陵町、破産)で働いていた知的障害者の元従業員10人が、国や元社長(46)らを相手取り、約2億1200万円の損害賠償を求めた訴訟の本人尋問が4日、奈良地裁(一谷好文裁判長)であり、10人全員が年金を支払われていなかった実態を証言した。20年以上勤務していた女性(53)は年金について「お前には入らない」と説明されたと話し、「お母さんのお墓を買いたかったのに買えなかった」と涙ながらに訴えた。 91〜07年に勤務していた男性(38)は、家具の組み立て作業を担当。年金について知らされず、賃金は不払いだったと証言した。収入は毎週約2000〜5000円を小遣いとして受け取っていただけ。さらに金づちなどで数回殴られたと述べ、劣悪な労働環境に置かれていた様子を語り、「お金を返してほしい」と話した。 この日は、元社長の尋問も予定されていたが、出廷しなかった。 訴状によると、元社長らは、年金を横領して会社の運転資金に充てるなどし、元従業員に精神的苦痛を与えたとされる。国や県、広陵町、独立行政法人「高齢・障害者雇用支援機構」にも「被害を防止するべきだった」として連帯責任を求めた。 ------------------------------------------------------------------------ 2008年12月30日 のニュース記事 広陵町の家具製造販売会社「大橋製作所」(破産)の元社長(43)と元監査役(45)が4月、元従業員の知的障害者11人の障害基礎年金などを着服し、県警に逮捕された。11人のうち10人は12月、逮捕された2人に加え、「障害者の就労環境を企業任せにした」として、国や県なども相手に損害賠償を求める訴訟を地裁に起こした。事件は、福祉行政に波紋を投げかけた。 訴えによると、事件では10年以上前から年金の横領と賃金未払いが続いたとされ、被害は損害賠償請求額の計約2億1200万円。昨年5月に倒産するまで、行政側が問題を把握していなかったことに、原告代理人の古川雅朗弁護士は「障害者の就職が決まるだけで『自立の道が開けた』と放置してきた行政が、被害拡大を招いた」と指摘する。 県内の民間企業(労働者数56人以上)の障害者の実雇用率(今年6月1日現在)は、全国平均(1・59%)を上回る1・85%。県障害福祉課は「就労は、健常者との共生の基盤」と実績を強調するが、就職後の支援制度については事件が発覚するまで手つかずの状態だった。 滋賀県内の肩パッド製造会社で障害者への暴力や年金の横領が明らかになった1996年の「サン・グループ事件」を受け、厚生労働省は97年7月、全国に「障害者雇用連絡会議」の設置を通達。県内でもハローワークの主催で開設されたが、特別支援学校の教員らが事業所で働く卒業生を訪問する程度。奈良労働局職業対策課は「フォローは教員や職員の個人的努力に頼ってきた面はある」と対策が十分でなかったことを認めている。 県などは11月、障害者の人権侵害が疑われる相談があった際、各市町村や労働局などが対策チームをつくって情報収集などを行う「権利擁護通報システム」を策定した。しかし、企業への立ち入り調査などの強制力はない。原告を支援する知的障害者授産施設「ひまわり」の渡辺哲久施設長(57)は「障害者自ら声をあげるのは難しい。行政が権限を持って守る仕組みにしないと、同じ悲劇が繰り返される」と警鐘を鳴らす。 景気の後退で雇用環境全体が急速に悪化している。行政の迅速な対応が求められる中で、障害者が取り残されるようなことがあってはならない。 |
■2011.8.5 熱湯浴びせ93歳死なす=容疑で介護職員逮捕―静岡 2010年4月の事件 | |
介護施設で93歳の男性に熱湯のシャワーを浴びせ死なせたとして、静岡県警清水署は3日、傷害致死容疑で静岡市清水区折戸、介護施設職員藤沼佑介容疑者(26)を逮捕した。同署によると、藤沼容疑者は「シャワーをかけたことは間違いない」と供述している。 逮捕容疑では、藤沼容疑者は昨年4月24日午前4時半ごろ、当時勤務していた清水区の介護施設で、入所者の男性に数分間熱湯を浴びせ、重度のやけどを負わせ死なせた疑い。 ★他の記事 介護施設入所者に高温のシャワーを浴びせて死なせたとして、静岡県警清水署は3日、静岡市清水区折戸3、介護士、藤沼佑介容疑者(26)を傷害致死容疑で逮捕した。「シャワーを浴びせたのは間違いないが、そんなに熱いと思わなかった」と供述しているという。 容疑は、10年4月24日午前4時半ごろ、同区内の介護施設で、入所者の黒田誠作さん(当時93歳)に湯温約60度のシャワーを数分間浴びせ、重度のやけどを負わせて死亡させたとしている。 同施設や県警によると藤沼容疑者は、黒田さんがつけていた人工肛門の管が外れ、汚れを洗い流すためシャワーを浴びせていた。原則2人でやる作業だが、藤沼容疑者が「1人で大丈夫」と他の職員の協力を断り1人で作業した。この職員が大きな音を聞いて駆け付け、黒田さんの腰が赤くなっていることに気付き119番した。 黒田さんは病院に運ばれて入院し、約2週間後に肺炎と敗血症の合併症で死亡した。 ★他の記事 「故意か過失かは別にしても、取り返しのつかないことをした」。静岡市清水区の介護施設「あかつきの園」の入所者に熱い湯を浴びせ死亡させたとして、元職員の男が逮捕された事件で、施設の小林正二事務長(64)は3日、取材に応じ、謝罪の言葉を繰り返した。ただ、施設側は「事件ではなく、アクシデントとしか今日まで考えていなかった」との認識を崩しておらず、真相は警察の捜査によって究明されることになった。 小林事務長によると、傷害致死容疑で逮捕された藤沼佑介容疑者(26)=同区折戸=は、平成18年1月ごろから同施設で働き始め、21年3月に介護福祉士の国家資格を取得した。無断欠勤や問題行動はなかったが、「無口で、仕事ぶりは可もなく不可もなく淡々とこなす印象だった」という。 事件後、藤沼容疑者は出勤停止となり、同年5月で依願退職扱いとなった。事件当時の当直は5人体制。シャワーは2人以上で行うという取り決めがあったが、藤沼容疑者はトイレ横の畳1畳分ほどのシャワー室で、入所者の黒田誠作さん(93)の汚した下半身を1人で洗ったという。だが、怒鳴り声や椅子の倒れる音がしたため、職員が駆け付け、熱湯を浴びせていたことが発覚したという。 その一方、入所者や家族への説明は、「ほかの入所者や家族に動揺を与えるのは適切ではない」「同じフロアには認知症の人がほとんどで理解ができないと判断した」などと後手に回ったことを認めており、今後、こうした対応に批判も高まりそうだ。小林事務長は「二度と事故を起こさない体制を作っていくことが義務」とも述べ、再発防止に向けた取り組みを約束した。 ★他の記事 静岡市内の介護施設で職員が入所者に熱湯を浴びせ死亡させた事件で、傷害致死容疑で逮捕された介護福祉士、藤沼佑介容疑者(26)=同市清水区折戸=が清水署の調べに対し、「熱湯と分かって浴びせた」と供述していることが、同署への取材で分かった。同署は、計画性はなく突発的に及んだ犯行とみており、動機についてさらに詳しく調べる。 同署によると、同容疑者は平成22年4月下旬、入所者の黒田誠作さん=当時(93)=の下半身をシャワーで洗う際、湯が出る蛇口のみをひねり、熱湯を浴びせた。黒田さんがシャワーを嫌がり、シャワーの管をかむなど暴れてもみ合いになり、犯行に及んだとみられるという。 同署はこれまで、業務上過失致死容疑も含めて捜査を進めてきたが、「高温のシャワーを数分にわたり浴びせるなど犯行が悪質」と判断、傷害致死容疑での逮捕に踏み切った。 |
■2011.8.8 児童虐待判別ソフト、試験運用…受傷状況で算出 | |
児童虐待を子どもの体の傷などから素早く発見しようと、法医学者や小児科医らの専門家チームが判別ソフトを開発し、医療現場や児童相談所(児相)で試験運用を始めた。 全国の児相が昨年度に対応した児童虐待の相談や通報は過去最多で5万件以上。だが、職員不足などから虐待の有無を十分に判断できていないといい、ソフトで迅速、正確な発見が期待される。 独立行政法人「産業技術総合研究所」(茨城県つくば市)の研究者や医師、大学教授ら15人が2008年から「虐待予防プロジェクト」として研究。来春の本格運用を目指している。 チームは、やけどや転落などをした0〜15歳の診察データ約1万3000件を集積し、特有の受傷状況を分析。これを基に開発したソフトは、けがの部位や傷の状態、年齢、性別を入れると虐待の確率を算出する。 |
■2011.8.11 中学生3人を虐待、養護施設に改善指導 和歌山 | |
和歌山市の児童養護施設で5月、職員4人が入所している市立中学校の男子生徒3人に身体的虐待をしていたことが分かった。県は同施設に7月末、職員の研修強化などを求める行政指導を行った。 県によると、入所している4人が5月16日、市内のスーパーマーケットで万引。指導にあたった施設の男性職員3人と女性職員1人が同19、20日、生徒3人の背中や尻を殴ったりほおをつねったりした。生徒にけがはないという。 県は6月、匿名の投書を受けて児童福祉法に基づき調査し、事態を把握。職員の研修や指導マニュアルの作成、綱紀粛正などを求める行政指導を行った。 |
■2011.8.12 部屋から扉開かないマンション…高齢者虐待疑い | |
認知症などの高齢者11人が住む堺市堺区の賃貸マンション(5階建て)で、全ての居室ドアに内側から開けられない鍵が設置されていることがわかり、市は12日、虐待にあたる疑いがあるとして高齢者虐待防止法に基づき立ち入り調査をした。 1階には訪問介護事業所が入っており、複数の入居者が通帳の管理を事業所に委ねていることも判明。市は入居者らに転居を指導する一方、「囲い込み」による貧困ビジネスの可能性もあるとみて調査を進める。 市などによると、マンションの入居者は65歳以上の男性5人、女性6人。認知症などで寝たきり状態の人もおり、全員が1階の訪問介護事業所から介護サービスの提供を受けている。うち4人が市から生活保護を受給している。 事業所は大阪市天王寺区の業者が運営。堺市内の複数の病院を通じて入院患者にマンションへの入居を勧誘し、大阪市西区の不動産会社に仲介を任せていた。家賃は月額3万8000円程度という。 市の調査では、外側からしか開けられない鍵は家主が管理。非常階段には入居者が出入りできないようにロープが張られ、集合ポストは粘着テープで目張りされて郵便物が入れられない状態になっていた。事業所側は市に対し、「ロープは徘徊で外に出たら危険なため張った。目張りは盗難防止が目的」と説明したという。 厚生労働省の省令では、特別養護老人ホームなどでは緊急時を除いて身体を拘束したり、行動を制限したりすることを禁じており、市は「通常のマンションならなおさら許されない」としている。 さらに、市の聞き取りに対し、生活保護受給者を含む4人が「通帳を事業所に預けていた」と証言。外出制限と合わせ、市は「生活保護受給者の自立を妨げる恐れがある」として受給者らに転居を指導した。 訪問介護事業所の関係者は読売新聞の取材に、「急なことなので、改めて説明したい。入居者の意に反することはしていない」と話した。 |
■2011.8.13 中原署が手話通訳要請を放置、交通事故に遭った聴覚障害の女性に謝罪/神奈川 | |
川崎市中原区で交通事故に遭った聴覚障害者の女性(48)=同区在住=が、現場で対応した警察官に手話通訳者の派遣を再三要請したにもかかわらず放置されていたことが12日、分かった。 県警には手話通訳者を派遣する制度がある。女性が所属するNPO法人「川崎市ろう者協会」は同日、経過の説明や対応の改善を求める抗議文を中原署に提出、同署は女性らに謝罪した。 抗議文や同署などによると、女性は7月11日午後0時半ごろ、中原区の県道で乗用車を運転。男性(71)が運転する対向車が中央線をはみ出し、女性の車の右側面に衝突した。女性は耳が聞こえないため、聴覚障害者向けの「メール110番」で手話通訳者の派遣要請も書き込んで通報。現場に署員3人が駆け付けた。 女性は、筆談や身ぶり手ぶりで手話通訳者の派遣を繰り返し求めたが、受け入れられないまま実況見分が終わったという。当時の状況について、女性は「筆談でも話は聞けるはずなのに、(署員は)男性から話を聞くばかりで、私への聞き取りはなかった。中央線を指さして説明しようとしても、『静かに』というしぐさで相手にされなかった。話の内容も分からず、自分に不利な話になっているのではないかと不安だった」と説明する。 女性は7月15日、専門の相談員とともに同署に苦情を伝えた。その際、男性が過失を認めていたことを初めて知ったという。女性は肩に軽傷を負っていたため、同署は人身事故として後日、手話通訳者を伴い再び実況見分を行った。 新井雅之署長らは8月12日、同署を訪れた女性らに謝罪した。神奈川新聞社の取材に対し、松井誠治副署長は「対応した警察官が手話通訳の制度の存在を知らなかった。(事故当日の現場で)十分に話を聞かなかったことを含めて申し訳なかった」と不手際を認めた。既に、全署員に手話通訳の制度の周知を行ったという。 女性は「警察官の対応は今も許せない。同じようなケースで泣き寝入りしている聴覚障害者もいるのではないか。二度と同じようなことが起きないよう求めたい」と話している。 手話通訳の手配は、県警教養課通訳センターが担当している。 同課によると、交通事故や事件などに巻き込まれ、手話通訳が必要になった場合、各署などからの要請が通訳センターに入る。これを受けた同センターが、連携している県内の福祉施設などに連絡し、手話通訳者を調整して各署などに手配する仕組みで、夜間などでも対応は可能という。 |
■2011.8.15 不正請求で訪問介護の指定取り消し- 和歌山 | |
介護報酬を不正に請求したとして、和歌山県はこのほど、「株式会社ヒューマンライフ」(和歌山市)が運営する訪問介護事業所「介護サービスやわらぎ」(同)について、介護保険法に基づいて指定を取り消すと発表した。取り消しは9月12日付。 県によると、同事業所は2009年4月−昨年5月の間、実際にはケアプランの指示通りに行っていなかった介護サービスを、ケアプラン通りに行っていたとする虚偽のサービス提供記録を作成し、介護報酬を不正に受け取った。また、併設している住宅型有料老人ホームに、入浴用のストレッチャーが1台しかないにもかかわらず、同時に2人にストレッチャー入浴介助を行ったとする記録を作成したり、死亡した利用者の介護報酬を請求する際に、生前に提供していないサービスを書き加えた記録を作成したりして、不正に請求した。 同事業所をめぐっては、昨年4月の県による実地指導時に不正請求の疑いが見られたという。そのため県は監査に切り替え、今年5月まで事実確認を続けてきた。 不正請求金額は現在精査中。確定後は保険者の市町村が返還を求めることになるという。 |
■2011.8.17 土地書類偽造でグループホームの指定取り消し―横浜市 | |
指定申請の際に偽造した書類の写しを提出し、不正に指定を受けたとして、横浜市は8月16日、「有限会社心のつどい」(同市中区)が運営する認知症高齢者グループホーム「心のつどい大和園」(同)の、介護保険法に基づく事業所の指定を取り消す行政処分を行うと発表した。取り消しは9月30日付。市は同社に対し、介護報酬と施設整備費補助金を合わせた約5800万円の返還を求める方針だ。 大和園は昨年3月1日付で指定を受けた。同市によると、「(同社は)土地所有者と賃貸借契約を結んでいないにもかかわらず、印鑑などを偽造した土地賃貸借契約書の写しを市に提出し、不正に指定を受けた」という。指定を受けて以降、介護報酬約3000万円を受領しており、同市は加算金を含む約4300万円の返還を求める方針。 また同社は、大和園の建設に当たって施設整備費補助金の交付を申請。同市では「土地所有者の同意を得ないまま『土地使用権限が確実に見込まれる旨の同意書』を偽造し、補助金1500万円を受け取った」としており、この補助金についても返還を求める方針だ。 同市が地域密着型サービス事業者の指定を取り消すのは今回が初めて。大和園の入居者が別法人の事業所に転居して継続的にサービスが受けられるよう支援する。 同社は別のグループホーム「心のつどい藤塚園」(同市保土ケ谷区)も運営している。同市は、役員による不正行為への組織的関与が認められたとして「連座制」を適用し、来年5月31日に期限を迎える指定の有効期間を更新しない方針を決めた。 |
■2011.8.18 全国の社福の純資産、13兆円規模−キヤノン戦略研究所・松山氏が試算 | |
全国の社会福祉法人のうち、施設経営を行っている約1万6300法人の純資産を合計すると、13兆円近くに達することが、キヤノングローバル戦略研究所の松山幸弘研究主幹の試算で明らかになった。 松山研究主幹は、東京都が公開する724の社会福祉法人の財務状況情報を「障害者施設」「高齢者施設」「保育所」など運営する施設によって分類。それぞれのカテゴリ-の平均値を算出した上で、その数値を基に東京都以外の法人の収支差額や純資産額の合計を推計した。病院経営を手掛ける法人については、全国の自治体などに情報公開制度に基づく開示請求を行い、財務情報を収集・分析した。 その結果、施設経営を手掛ける社会福祉法人全体の純資産額は12兆8534億円と試算された。 この数値について松山研究主幹は、「想像していた以上に巨額の推計値が出た。ただ、最大の問題は、純資産の巨大さより、これまで一度も社会福祉法人全体の経営状況を把握するデータが作成されることなく、補助金として多額の公費がつぎ込まれ続けてきたこと」と指摘している。 ■社会貢献度、高齢者施設運営で低い傾向 また松山研究主幹は、東京都が公開する社会福祉法人の財務状況を基に、各法人の社会への貢献度を推し量る「社会還元度指数」も算出した。毎年の支出を純資産で割った数値で、「この数値が高いほど、収益の社会還元に積極的と判断できる」(松山研究主幹)という。 松山研究主幹は各法人の社会還元度指数を個別に算出した上で、運営する施設ごとに法人を分類。それぞれの指数の平均値を割り出した。 その結果、保育所を運営する社会福祉法人では0.67、障害者施設を運営する社会福祉法人では0.69、病院を含む複数の事業を運営する社会福祉法人では0.93だった。その一方で、高齢者施設を運営する社会福祉法人では0.37にとどまった。高齢者施設を運営する社会福祉法人では、社会還元度指数が0.4未満の法人が約半分に達したという。 松山研究主幹は、「高齢者施設を運営する社会福祉法人の中にも、指数が1以上の法人もあれば、他の施設を運営する法人の中にも、0.4未満の例もある。高齢者施設を運営する法人のすべてが社会貢献をしていないというわけではない。ただ、この値が低い法人については、利益を社会に還元するため、一層の努力が必要」と話している。 |
■2011.8.18 イチジクのソフトクリーム、淡路島で人気 | |
淡路島特産イチジクの上品な味わいが口いっぱいに広がる「淡路島いちじくソフトクリーム」が、兵庫県淡路市尾崎の「パルシェ香りの館・香りの湯」などで販売され、「果肉のつぶつぶ感がやみつきになる」と人気を呼んでいる。 ほかにも同市岩屋の「美湯 松帆の郷」、同市小倉の「北淡震災記念公園」の計3施設で販売している。 昨年12月、観光情報を交換するため3施設が会議を開き、「北淡特産のイチジクを使ったソフトクリームを作れないか」と提案があり、開発が始まった。 農産物の加工販売を行う同市社会福祉協議会の障害者地域生活拠点「ぽれぽれ」が作る特製イチジクジャムが味を引き立てている。価格は300円。 友人と淡路島に訪れた大阪府岸和田市の会社員、石橋未央さん(32)は「甘すぎず、上品な味わいでとてもおいしい」と話していた。 |
■2011.8.19 架空サービスで不正請求、指定取り消しへ- 山口県の訪問介護事業所 | |
実際には行っていない介護サービスを提供したと偽り、介護報酬を不正に請求したなどとして、山口県はこのほど、「りょうえい合名会社」(下関市)が運営する同名の訪問介護事業所について、介護保険法に基づいて指定を取り消すと発表した。取り消しは8月24日付。 また、障害者自立支援法に基づき、居宅介護と重度訪問介護の事業者指定も併せて取り消す。 県によると、同事業所は昨年6−12月の間、利用者宅を訪問していないのにもかかわらず訪問したと偽ったり、実際の訪問時間よりも長くサービスを提供したと偽ったりして、介護報酬を不正に請求していた。さらに、訪問介護員が利用者を病院や温浴施設に送迎した時間について、生活援助サービスを提供したと偽り介護報酬を請求していた事例もあった。 同事業所をめぐっては、昨年10月に県に対して匿名の告発があった。ほかの事業所からの情報提供などもあって県は今年2−3月に監査を実施し、不正があったと認定した。 不正請求額は31万円余り。今後は保険者の下関市が精査し、金額を確定させた上で返還を求めることになる。 |
■2011.8.19 架空サービスで不正請求、指定取り消しへ- 山口県の訪問介護事業所 | |
実際には行っていない介護サービスを提供したと偽り、介護報酬を不正に請求したなどとして、山口県はこのほど、「りょうえい合名会社」(下関市)が運営する同名の訪問介護事業所について、介護保険法に基づいて指定を取り消すと発表した。取り消しは8月24日付。 また、障害者自立支援法に基づき、居宅介護と重度訪問介護の事業者指定も併せて取り消す。 県によると、同事業所は昨年6−12月の間、利用者宅を訪問していないのにもかかわらず訪問したと偽ったり、実際の訪問時間よりも長くサービスを提供したと偽ったりして、介護報酬を不正に請求していた。さらに、訪問介護員が利用者を病院や温浴施設に送迎した時間について、生活援助サービスを提供したと偽り介護報酬を請求していた事例もあった。 同事業所をめぐっては、昨年10月に県に対して匿名の告発があった。ほかの事業所からの情報提供などもあって県は今年2−3月に監査を実施し、不正があったと認定した。 不正請求額は31万円余り。今後は保険者の下関市が精査し、金額を確定させた上で返還を求めることになる。 |
■2011.8.20 介護事業者指定取り消し 320万円不正受給で 鳥取 | |
鳥取県は19日、障害、介護サービスで約320万円の不正受給があったとして、同県米子市の福祉事業者「中央福祉交通」を31日付けで指定取り消し処分にすると発表した。県内で同処分は初めて。 県などによると、同社は平成21年3月〜23年5月に障害者の移動支援を行うサービスで19人、160回分の虚偽記録を作成し架空請求を行ったほか、介護サービスにおける通院介助でも63人、1839回分の同様の記録を作成するなどして不正に報酬を受給したという。 同22年9月、県への通報を機に今年監査を行い不正が発覚。同社は不正受給した約58万円を返済している。 |
■2011.8.20 被災障害者の今 見えぬ全容「どこに避難しているのだろうか」 | |
日焼けしていた顔に疲れがにじんでいた。炎天下、仮設住宅を一軒一軒訪ねて回る男性たち。支援を待っている障害者を探しているのだ。 宮城県のほぼ中央の沿岸部にあり、東日本大震災で180人以上が犠牲になった多賀城市。大阪府からボランティアで現地入りしている宮内孝文さん(30)も連日、足を棒のようにして歩き回っているにもかかわらず、誰にも出会えない。「どこに避難しているのだろうか」。力なくつぶやき、また別の仮設住宅に車を走らせた。 宮内さんは、仙台市で4月、NPO法人など14団体が集まり発足した「被災地障がい者センターみやぎ」の活動に参加。センターでは、障害の状態に合わせたきめ細やかな支援の必要性を自治体に訴え、どこにどのような障害者がいるのか情報提供を求めてきた。が、自治体の担当者は異口同音に「個人情報保護法があるから」と言って情報提供を拒んだ。 だから、助けを求めながらも声に出せない障害者を探すことから始めなければならない。地元の授産施設などを訪ね、利用していた障害者が今、どこにいるのか、職員らから教えてもらうのだ。やっと自宅を探し出し、避難所や仮設住宅を1カ所ずつ回りながら安否を確認し、必要な支援を把握する。その作業は震災から5カ月以上もたった今も続いている。 阪神大震災の被災障害者を支援する活動で実績があり、同センターとも連携を取るNPO法人「ゆめ風基金」(大阪市東淀川区)。その理事の八幡隆司さん(53)は「とりわけ自宅で暮らしている障害者は支援の手からもれている可能性がある」と表情を曇らせる。 八幡さんは震災1週間後後の3月18日から被災地に入り、避難所の見回りを続けてきた。しかし、障害者はほとんどおらず、目にしたのは自宅で耐えている障害者とその家族だった。 「東北では関西に比べて家族や地域で障害者を支えるケースが多く、福祉サービスを提供する事業者が少ない」と八幡さんは福祉基盤に違いを感じた。このため被災しても誰にも頼れずに孤立するケースも相次いでいた。 来る日も来る日も障害者を探し、片道2時間かけて向かった避難所で一人の障害者にも出会えないこともある。八幡さんは「私たちの目的は支援であって、調査ではない」と、いらだちを隠さない。 障害者手帳を持つ人は、被害が甚大な宮城県の沿岸部15市町で約7万2千人、岩手県では12市町村で約1万9千人、福島県では相馬市など13市町村で約3万2千人に上る。しかし大震災で被災した障害者の人数はいまだに明らかになっていない。 全国13の障害者団体でつくる「日本障害フォーラム」も障害者が置かれている状況の把握に努めてきたが、7月までに接触できたのは宮城県で1435人。手帳を持つ人の約2%でしかない。 同フォーラムの原田潔さん(46)はこう訴えている。「数字によって可視化されないと支援につながっていかない。人数はすべての活動の基礎になる。行政側は公式なデータを出すべきだ」 東日本大震災から5カ月余りが経ってもなお、支援の手が届かない障害者が大勢いる。取り残されている被災地の障害者の実情に迫る。 |
■2011.8.21 福祉施設長が女子寮に侵入容疑 / 長崎 | |
21日午前3時5分ごろ、長崎県佐世保市田原町の女子高生らが入居する学生寮で、侵入した男を寮の男性経営者(56)が取り押さえ110番した。佐世保署員が駆け付け住居侵入の疑いで同市棚方町、障害者福祉施設長原田賢治容疑者(51)を現行犯逮捕した。 佐世保署によると、寮の2階には女子高生6人と寮の女性従業員が住んでいる。原田容疑者の侵入に気付いた女性従業員が1階に住む男性経営者に伝えに行き、経営者が1階玄関近くで取り押さえた。同署は侵入した目的を聴いている。 |
■2011.8.24 平成22年度 介護労働実態調査結果について 財団法人介護労働安定センター | |
財団法人介護労働安定センターでは、平成22年度に実施した「事業所における介護労働実態調査」、「介護労働者の就業実態と就業意識調査」の結果。 <平成22年度実態調査の概要> (1)1年間(平成21年10月1日から平成22年9月30日)の離職率の状況は、全体では17.8%(前年度17.0%)であった。また、採用率の状況は全体では25.8%(同25.2%)であった。 (2)介護サービスに従事する従業員の過不足状況を見ると、全体では不足感(「大いに不足」+「不足」+「やや不足」)は50.3%(前年度46.8%)であった。「適当」が48.8%(同52.3%)であった。 (3)介護サービスを運営する上での問題点を見ると、全体では「今の介護報酬では人材の確保・定着のために十分な賃金を払えない」が51.5%(前年度52.7%)であった。 (4)介護職員処遇改善交付金に伴う経営面での対応状況を見ると、全体では「一時金の支給」が50.0%、「諸手当の導入・引き上げ」が29.8%、「基本給の引き上げ」が15.7%、「教育研修の充実」が15.3%であった。 (5)月給者の所定内賃金は、全体では216,494円(前年度212,432円)であった。 (6)仕事を選んだ理由のうち、「働きがいのある仕事だから」が55.7%(前年度58.2%)となっている。 (7)労働条件等の不満では、「仕事内容のわりに賃金が低い」46.6%(前年度50.2%)、「人手が足りない」40.1%(同39.4%)、「有給休暇が取りにくい」36.9%(同36.9%)、「業務に対する社会的評価が低い」32.2%(同36.4%)となっている。 http://www.kaigo-center.or.jp/report/h22_chousa_01.html |
■2011.8.25 爪はがし:京都の看護助手 傷害容疑逮捕 7年前にも事件 | |
勤務先の京都市中京区の病院で女性患者(80)の爪をはがしたとして、京都府警五条署は25日、同市西京区川島六ノ坪町、看護助手、佐藤あけみ容疑者(37)を傷害容疑で逮捕した。 容疑は、24日午前10時半ごろ同市中京区の毛利病院で、入院中の女性患者の左足親指の爪をはがし軽傷を負わせた、とされる。同署によると、佐藤容疑者は「みんなの仕事についていけず、いらいらした。指ではがした」と容疑を認めているという。病室には他に数人の患者がおり、被害女性は認知症だった。 佐藤容疑者は04年に同市内の別の病院で入院患者6人の手足の爪計49枚をはがし、軽傷を負わせたとして傷害罪に問われ、06年1月に懲役3年8月の実刑判決を受けた(1審で確定)。 服役後、毛利病院の求人に応募し、今月6日前後からシーツやおむつ交換の業務に従事していた。同病院によると、採用の際の履歴書に前回の事件についての記載はなく、知らなかったという。 24日正午ごろ、別の看護師が女性患者の足指から出血しているのに気付いた。病院の内部調査に対し佐藤容疑者が「私がやりました」と認めたため、午後6時ごろ同署に通報した。今月に入って同病院で患者の爪がはがれる事案が数件あり、関連を調べる。 |
■2011.8.26 県内初の障害者受け入れ開始 富士の高齢者福祉施設 / 静岡 | |
富士市伝法の高齢者向け福祉施設「永遠(とわ)の家」が、同1施設に障害者も受け入れる事業に県内で初めて乗り出した。障害者には、利用可能な施設が増える利点がある。 永遠の家は、これまで近くに住む通所者を中心に、高齢者に食事や入浴などの介護サービスを提供。昨年6月に厚生労働省令が改正され、一定の条件を満たせば、障害者の受け入れも可能となったため、名乗りを上げて市に認められた。 利用希望者は18歳以上で、身体や精神障害の区別は問わない。症状が中程度以上に重い人を想定。日ごろ世話をしている保護者らが病気にかかるなどした時の短期入所にも対応でき、その間の生活を支える。 県障害者政策課によると、県内で障害者向けに短期入所サービスをしている施設の多くは、住宅地から離れた場所にある。市街地に位置する永遠の家が受け入れることで、障害者と家族の利便性が高まるという。 永遠の家の浅野美恵子施設長(60)も「高齢の利用者にとっても、交流の幅が広がる利点があり、生活の質の向上につながる」と期待。受け入れる障害者は3人を予定。 |
■2011.8.26 個人情報:大牟田の施設職員、高齢者の情報入りメモリーを紛失 /福岡 | |
大牟田市は25日、介護予防事業の支援計画作成を委託している高齢者福祉施設の50代の女性職員が、担当する高齢者約90人分の名前や住所、世帯状況などの個人情報が入ったUSBメモリーを紛失したと発表した。USBには他にも最大約70人分の個人情報が入っている可能性がある。これまでに、被害は出ていないという。 市によると、USBの紛失があったのは、同市橘の社会福祉法人天光会(城戸嘉雄理事長)が運営する「天光園」。今月18日午後1時ごろ、女性職員が事務所のパソコンを使って支援計画を入力作業中、約2時間、席を離れた間にUSBがなくなったという。 女性職員は席を離れる際、パソコンからUSBを取り外したが、保管場所の鍵付きの机の中には入っていなかったという。 天光園は、職員が23日まで事務所内などでUSBを探したが見つからず、24日になって市に紛失したことを報告した。 天光園はUSBに入っていた高齢者宅を訪問し、謝罪と説明を行う。市は情報管理の実態を調査し、厳正な管理徹底を指導するという。 |
■2011.8.27 社福法人不正運用:ずさんな経営、疑惑噴出 10年も不正見抜けず /広島 | |
なぜ不正を見抜けなかったのか−−。保育所4カ所を運営する県内有数の社会福祉法人・ひまわり福祉会(安佐南区)で発覚した巨額の不正経理問題。 公金を含む保育所運営費を前理事長(25日付で解任)の親族が私的に流用したり、税理士も絡んだ不透明な資金運用などの疑惑が噴出した。ずさんな法人経営だけでなく、不正を約10年も見逃していた自治体監査のあり方が問われるのは必至だ。 同法人を所管する県、保育所がある広島、大竹両市の担当者らは26日、県庁で記者会見した。01年度以降、約2億8000万円にも上る不正経理が見過ごされ、保育の充実のために支給される公金が不正に流用された事態だが、担当者らは「出勤簿や休暇簿、支出に関係する書類などは整理され、つじつまもあっていた」と釈明。「顧問税理士の関与が深くなるほど、不正を見抜くのは難しくなる」とも述べた。 05年度以降、県は2年に1回、社会福祉法に基づく法人監査を実施し、広島市は児童福祉法に基づく施設監査を毎年行ってきた。県は09年の監査で、外部との業務契約に不審点があるのに気付き、改善するよう指摘したが、親族経営の“独走”は止まらなかった。 県が求めた書類を法人が提出しないなど、不誠実な対応が続いた。県は法人に対し、第三者委員会を設置して内部調査を進め、運営適正化を図るよう指示。追調査の過程で、解任された理事らが保育所運営費を生活費に流用したり、保育と関係ない資金捻出に充てていたなどの実態をあぶり出したという。 しかし、担当者らは「監査は捜査とは違う」と限界も口にした。社会福祉事業は「性善説」によりかかった側面が強い。解任された沖キヌエ前理事長(75)の次男は、勤務実態がないのに給与が支払われていたが、職員会議録などから事実は明白だった。広島市は今年2月の調査で事務長らに聞き取りをしただけで、本人に確認していない。同市の担当課長は「説明を鵜呑みにした」と弁明した。 ■法人 沖前理事長と共に理事を解任された長男(51)は26日、報道陣の取材に応じ、「借金の返済や飲食費など私的に使っていた。不正という認識はあった」などと答えた。同法人が運営する4保育所の一つ「ひまわりやすにし保育園」(安佐南区)の園長でもあった長男は「保護者の方々には申し訳ない」と語る一方、「監査で見抜けなかった方が悪い」などと責任転嫁した。 同法人は25日夜、各保育所ごとに保護者説明会を開き、保育サービスには影響がないことを伝えた。「ひまわりやまもと保育園」(同区)では、沖前理事長が集まった保護者約30人に謝罪したという。長男を預けている30代の主婦は「保育士さんまでピリピリした雰囲気になってしまったら困る」と話した。 ■税理士 不正経理に関与したとして県が懲戒請求し、刑事告発も検討している税理士は取材に対し、「道義的責任はあるが納得できない。法的責任ということになれば争う」と語った。 この税理士は20年以上前から法人の顧問税理士を務め、今月に入って辞任。県の発表によると、法人は税理士が関係する会社と架空の業務契約を結び、経費を支出していた。 税理士の説明によると、寄付金2400万円の返還を法人に求めてきた男性に対し、税理士が代表を務める会社など2社に経費を支払うよう装い、法人は返却金を捻出。税理士は08年に会社の使用中止を求め、以降は実態のない団体に入金される形になったが、税理士はこの団体の通帳を管理していたという。 ---------------------------------------------------------------------------- 他のニュース記事 広島県内で4保育所を運営する社会福祉法人「ひまわり福祉会」(広島市安佐南区)が、保育所の運営費計約2億8000万円を不正に流用していたことが26日、分かった。 同法人は、不正経理に関わったとして沖キヌエ理事長(75)と長男の沖修園長(51)を25日付で解任した。沖理事長らに約2億3000万円を返還請求する方針。 同法人によると、2001〜11年、沖理事長の家族に勤務実態がないのに給料を支払ったり、架空の職員研修の契約を顧問税理士の関係会社と結んだりするなど不正な支出をしていた。 監査した広島県が昨年10月、不適切な経理があったことを指摘。同法人が第三者委員会を設け、調査していた。 法人の男性事務長(39)は「本当に残念。これから信頼関係の回復に努めたい」と語った。 他のニュース記事 社会福祉法人「ひまわり福祉会」(広島市安佐南区)で多額の不正経理が発覚した問題で、県は26日、不正に関与したとして、同法人顧問税理士の懲戒請求を、広島南税務署に行った。法人が運営する広島市内など4カ所の保育所に支障が出ないよう、早急に理事会を再編する。 県などによると、同法人は勤務実体のない理事長の夫と次男に給与を支払っていたほか、管理職に残業手当を支給するなど計約1億5千万円を不正に支給。さらに、保育園長だった長男の私的な飲食や生命保険料の支払いを法人経費としていた。次男も法人名義のクレジットカードを私的に使っていたらしく、流用額は計約1500万円に上る。 また、法人の顧問税理士がかかわる会社や団体と架空の警備契約を結び、約3500万円を支払っていることなどから、県はこの顧問税理士が不正経理に関与していたとみて、広島南税務署に懲戒請求をした。 一連の問題で、同法人は25日付で理事長と理事で園長の長男を解任し、理事全員が辞任した。 同法人は広島市で3カ所、竹原市で1カ所の保育所を運営し約500人の子供たちが通っている。県は保育所の運営継続のため、27日にも理事会を開催し、役員を選出する。また、新たに評議委員会を設け、不正の再発防止と透明性の確保に努めるという。 |
■2011.8.27 フードバンク協力企業4倍に / 広島 | |
衛生上問題がない廃棄食品を集めて福祉施設などに無料提供するNPO法人「あいあいねっと」(広島市安佐北区可部)のフードバンク事業が好調だ。協力企業数は当初の4倍以上、提供先の施設・団体数も1・5倍に増えた。9月3日には広島市中区でシンポジウムを開く。 NPOは2008年3月、地元の管理栄養士や医師たちで発足。カット野菜の切れ端のほか、外箱の破損や内容量の不足などを理由に破棄される食品を回収し、事務所で一時保管。作業所や生活困難者の支援団体に無償配布している。 活動1年目に7社だった食品メーカーなど協力企業は現在31社。食品の提供先も16施設・団体が24カ所に拡大した。精神障害者を就労支援するNPO法人オレンジハウス(安佐北区)は毎週、野菜やゆでめんの提供を受ける。作業所利用者への昼食として活用しており、飯田勉理事長(77)は「低収入でやりくりしている利用者の支えになっている」と感謝する。 事務所で週2日営業する「まめnanレストラン」は、寄付された食材を調理して安価で提供。食事作りが困難なお年寄りたちが1日25人ほど利用し、交流の場にもなっている。原田佳子理事長(59)は「フードバンクは支え合いの地域を構築する取り組みになる。もっと活動を広げていきたい」としている。 |
■2011.8.27 宝塚市老人ホーム 入所者の生活資金を職員が着服 | |
宝塚市は26日、同市安倉西3、市立養護老人ホーム福寿荘の介護福祉士の女性職員(51)が入所者の生活資金442万円を着服していた、と発表した。市は業務上横領容疑で刑事告発するとともに、懲戒処分する方針。 市によると女性職員は2004年から勤務し、入居者の生活資金を銀行で出入金する役割を負っていた。出金する場合は、入所者に依頼された額より多く引き出すなどの手口で、差額を着服。通帳は女性職員が管理していた。 今年6月に亡くなった入所者の遺族が、返還された金額に不審を抱き、施設側に連絡。市が調べたところ、07年10月〜今年5月にかけて、故人や退所者を含む入所者13人について35回の出入金で着服が発覚したという。 被害者は大半が加齢などで判断力が衰えた人といい、市は女性職員が出入金を担当するようになった06年4月時点にさかのぼって調査を進めている。 女性職員は「07年ごろから夫の収入が減って生活が苦しく、住宅ローンの返済などに充てた」と話しているという。市の担当幹部は「長年にわたり着服を許してきた体制にも問題がある。今後、厳格に施設運営に臨みたい」と謝罪した。 |
■2011.8.27 松山市内の老人福祉施設の駐車場でワゴン車から出火 / バッテリー上がり | |
26日午前10時45分ごろ、松山市内の老人福祉施設の駐車場で、バッテリーが上がり別の車とケーブルを接続してエンジンをかけようとしていたワゴン車から出火、座席などを焼いた。 松山東署によると、アース代わりに車体に付けたケーブルのクリップから火花が出て、引火したとみられる。 日本自動車連盟(JAF)愛媛支部によると、気温が高い夏はバッテリーの性能が低下しやすい上、エアコン利用で電気の使用量も増える。今年7月は4月と比べて50件以上多い638件のバッテリー上がりによる出動要請があった。 同支部は「バッテリー液の日常的な点検と交換時期の確認をしてほしい」と注意を呼び掛けている。 |
■2011.8.27 傷害:患者の爪剥がし、3日間に集中 京都の病院 | |
京都市の毛利病院で入院中の女性患者(80)の爪を剥がしたとして、同市西京区、看護助手、佐藤あけみ容疑者(37)が傷害容疑で逮捕された事件で、この患者を含む3人の足の爪4枚が今月22〜24日の3日間に集中的に剥がれたことが26日、病院や患者関係者への取材で分かった。京都府警五条署は、女性患者以外の爪も故意に剥がされた可能性があるとみて調べている。 関係者によると、90代の女性患者は、22日と23日に連続で片足ずつ剥がれたという。佐藤容疑者の逮捕容疑は、80歳の女性患者の爪を24日に剥がしたとされている。 また、爪が剥がれていた4人全員が2階の病室に入院していたことも分かった。 下野広俊病院長は25日の会見で、計4人の足の親指の爪5枚が剥がれていたと明らかにし、「尋常ではないが、高齢者の場合、自然に剥がれることもある」とすぐに事件性を疑わなかった理由を説明していた。 府警は26日午後、佐藤容疑者を同容疑で京都地検に送検した。 |