残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2011年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

 2011. 9. 1 傷害:容疑で介護福祉士逮捕 施設利用者に向精神薬投与
 2011. 9. 1 障害福祉サービスで不正請求、指定取り消し−愛媛県
 2011. 9. 1 代表者に訪問介護装い不正請求―兵庫の事業所が指定取り消し
 2011. 9. 2 宇城の医療法人 許可取り消し…介護報酬不正請求で
 2011. 9. 2 つえ:障害者の世界、明るく元気に カラフルなデザイン、大阪の会社販売 /大阪
 2011. 9. 2 介護報酬不正請求などで2事業所が指定取り消し―熊本
 2011. 9. 2 虚偽申請で訪問介護事業所指定取り消しへ―北海道
 2011. 9. 3 施設職員、児童に体罰
 2011. 9. 3 傷害:介護福祉士、容疑で逮捕 県が介護施設調査−−海田 /広島
 2011. 9. 3 広島・社福法人不正運用:広島市長、監査の責任認める /広島
 2011. 9. 6 3千万円不正請求、訪問介護指定取り消しへ- 長崎
 2011. 9. 6 4保育所運営の社会福祉法人、理事不在1年半に県が正常化に乗り出す/神奈川
 2011. 9. 8 福祉施設の車横転、1人心肺停止
 2011. 9.11 埼玉で死亡ひき逃げ 介護福祉士の女を逮捕
 2011. 9.13 希望新聞:東日本大震災 聴覚障害者向け遠隔通訳 日本財団、無料で提供
 2011. 9.14 いろはのい:障害者福祉 原則無償化、課題は財源
 2011. 9.14 「絶対入ってはいけない」老人ホームの見分け方
 2011. 9.15 東日本大震災:障害者の死亡率高く 元養護学校校長が調査
 2011. 9.15 静岡県が事業所処分 川根本町社協の介護報酬不正受給
 2011. 9.15 障害者らが中山千枚田で収穫体験/小豆島
 2011. 9.16 認知症、運転中に気絶・13人死傷…家族止めず
 2011. 9.20 高齢者福祉指数 最高は島根
 2011. 9.21 介護のニチイ学館、上海に現法:福祉用具販売へ
 2011. 9.22 理事長自ら介護給付費を不正受給、指定取り消しへ―岡山県
 2011. 9.22 事業仕分け:吹田市が福祉、教育、環境分野33事業 市長ら判断 /大阪
 2011. 9.29 みのり福祉会:県、再び改善命令 「1億1200万円の不適正支出」 /鳥取
 2011. 9.29 吹田市:行政維新プロジェクト 通所施設運営社会福祉法人、市に連日申し入れ /大阪
 2011. 9.30 中国で介護老人ホーム運営 ウィズネットが受託へ
 2011. 9.30 特養の兼務ケアマネ、プラン作成よりケア- 全国老施協調査


■2011.9.1  傷害:容疑で介護福祉士逮捕 施設利用者に向精神薬投与
勤務先の介護施設の利用者に向精神薬を投与して意識障害を負わせたとして、広島県警捜査1課などは1日、広島市安芸区阿戸町、介護福祉士、太尾田(たおだ)京子容疑者(47)を傷害容疑で逮捕した。「間違いありません」と容疑を認めているといい、県警は動機などを追及している。

逮捕容疑は、7月22日、同県海田町にある勤務先の介護施設で、デイサービス利用者の無職男性(67)に向精神薬の錠剤を飲ませ、2日間の意識障害を負わせたとされる。施設経営会社の役員によると、男性が眠り込んで目を覚まさないため病院に搬送。搬送先で、男性の尿から向精神薬の成分が検出された。後遺症はないという。
 
県警などによると、投与された薬は不眠症の治療などに用いられ、この施設では扱っていないという。経営会社役員によると、太尾田容疑者は今年7月末まで働いており、事件当日も同僚約10人と勤務していた。役員は「勤務態度はまじめだった。トラブルや悩みも聞いたことがない」と話している。

■2011.9.1  障害福祉サービスで不正請求、指定取り消し−愛媛県
障害福祉サービスの介護給付費を不正に請求したとして、愛媛県はこのほど、「いたわり有限会社AIG」(愛媛県西条市)が運営し、障害者への居宅介護サービスや高齢者への訪問介護などを手掛ける「ヘルパーステーションいたわり」(同)の、障害者自立支援法に基づく指定を取り消した。これに伴い、介護保険法に基づく指定も取り消した。いずれの取り消しも8月31日付。

県によると、同事業所は2006年8月から07年3月までの間、知的障害のある利用者1人について、実際には提供していない居宅介護サービスの実績記録票を虚偽に作成し、不正に介護給付費を受給した。不正受給額は判明しているだけで約150万円。  同事業所における障害福祉サービスの利用者約40人と介護保険サービスの利用者10人については、他事業所へのサービスの移行が済んでいるという。

■2011.9.1  代表者に訪問介護装い不正請求―兵庫の事業所が指定取り消し
自社の代表者に訪問介護サービスを提供したと偽り、介護報酬を不正に請求したとして、兵庫県は8月31日、「株式会社サンケア」(神戸市)が運営する訪問介護事業所「株式会社サンケア」(同)について、介護保険法に基づく事業所の指定を同日付で取り消したと発表した。

県によると、サンケアは2008年4月から昨年12月までの間、同社の代表者の男性に対して611回の訪問介護サービスを提供したと偽り、介護報酬約440万円を不正に請求、受領したという。また監査の際には、虚偽報告を行っていた。利用者はこの代表者以外にはおらず、今後は保険者の神戸市が加算金を含む約616万円の返還を求める方針。
 
匿名の通報を受けた県が監査に入ったほか、職員への聞き取り調査などを実施し、今回の違反が発覚した。

■2011.9.2  宇城の医療法人 許可取り消し…介護報酬不正請求で
県は8月31日、約2億6600万円にのぼる介護報酬を不正請求したとされる宇城市の医療法人社団「本田会」(本田溥理事長)について、施設開設許可を取り消した。本田会運営の3事業所は、玉名市の社会福祉法人「創友会」(松崎幸子理事長)が1日、運営を引き継いだ。

3事業所は、いずれも宇城市の「介護老人保健施設ヘルシープラザ十六」、「居宅介護支援事業所十六」、「ホームヘルパーステーション十六」。県は入所者や職員に配慮して譲渡先を公募し、玉名市内で特別養護老人ホーム、介護老人保健施設を運営する創友会に決定した。
 
本田会は2004年〜07年、定員を超えて入所させた上で、架空の入退所手続きを繰り返し、介護報酬を過剰に請求。また、実際は行っていない訪問介護の費用なども不正請求していたとされる。
 
県高齢者支援課は「県が譲渡まで介入することはまれだが、入所者へのサービスと従業員の雇用確保を第一に譲渡を進めてきた。引受先が決まって喜んでいる」と話している。

■2011.9.2  つえ:障害者の世界、明るく元気に カラフルなデザイン、大阪の会社販売 /大阪
障害者に、より前向きな気持ちで毎日を送ってもらおうと、大阪市城東区の福祉用品企画販売会社オーブ・クリエーション」が、カラフルなつえの販売を始めた。自らも両足に障害を持つ社長の今井純子さん(44)が経験に基づき、「障害者の世界を明るく元気に」とデザインした。今年3月の発売から1カ月に平均20本売れており、「多くの人に使ってもらって、日々の励みになれば」と話している。

今井さんは、骨盤と足の骨が連結しない「臼蓋(きゅうがい)形成不全」という障害が生まれつきあり、うまく歩行ができない。6回手術を受けたが改善せず、10代に入ると障害が悪化。無理に歩き続けたことで、足と骨盤との接続部の軟骨がすり減り、変形性股(こ)関節症になった。
 やがて、つえを使うようになったが、気に入ったものはなかった。周りの視線が気になり、「外出したくない」とまで思うようにもなった。リハビリ担当医に相談したところ、同じ悩みを持っている女性が多いことを知った。広告会社でデザインを担当した技術や知識を生かそうと起業に決意し、昨年、オーブ社を設立した。

 当初は「おしゃれなつえを作っても、障害者にとって意味があるのだろうか」と気持ちが揺らいだ。しかし、初めて完成したカラフルなつえの試作品を手にした瞬間、目の前の景色がぱっと明るくなった。現在は、蝶をちりばめた柄や花柄、水玉模様、ストライプ柄のと4種類のつえを販売。1本1万円。8月までに約150本が売れた。
 今井さんは「足が不自由だからといって何もかもあきらめる必要はない。カラフルなつえを使うことで少しでも気持ちが明るくなってくれれば」と話した。
 インターネットで購入可能。問い合わせはオーブ社(06・6933・2098)。

■2011.9.2  介護報酬不正請求などで2事業所が指定取り消し―熊本
介護報酬を不正に請求したなどとして、熊本県は9月1日、「株式会社クオリティ・ケア・ジャパン」が運営する訪問介護事業所「むすび」(熊本市)と居宅介護支援事業所「むすび」(同)について、介護保険法に基づく指定を取り消す行政処分を行うと発表した。取り消しは14日付。熊本市では、不正請求額が定まり次第、加算金を含めて返還を求める方針。

県によると、同社は2008年10月から昨年9月までの間、住所が離れた利用者の訪問介護記録にそれぞれ同じ提供時刻と担当職員を記載したほか、勤務表では退社している職員がサービスを提供したとする訪問介護記録を作成して、介護報酬を虚偽に申請した。虚偽申請は400件弱になる見通しで、不正請求額は少なくとも200万円弱。また、両事業所の指定を受ける際に、虚偽の住所で申請した。

■2011.9.2  虚偽申請で訪問介護事業所指定取り消しへ―北海道
虚偽の申請で指定を受けていたなどとして、北海道は9月1日、「合同会社けやき」が運営する訪問介護事業所「訪問介護ステーション欅(けやき)」について、介護保険法に基づく指定を取り消す行政処分を行うと発表した。取り消しは9日付。

道によると、同事業所が昨年6月3日付で指定を受けた際に、別の事業所で既に勤務し、雇用する見込みのない訪問介護員を雇用すると偽って申請を行っていたという。このため、常勤換算で2.5人以上の人員基準を満たしていなかった。同事業所が受領した介護報酬について道の担当者は、「監査の結果、不正請求の事実は認められなかった」としており、返還金などは生じない見込み。

4人いた利用者は、既に別の事業所からサービスの提供を受けているという。

■2011.9.3  施設職員、児童に体罰
県は2日、鳥取市青谷町の児童養護施設「青谷こども学園」(芳尾範子施設長)の男性臨時職員(52)が、入所児童3人をたたいたり、蹴ったりする虐待をしていたと発表した。

施設を運営する社会福祉法人青谷福祉会はこの男性職員を1日付で懲戒免職にした。県は、青谷福祉会に対し、16日までに改善計画書を提出するように児童福祉法に基づいて勧告した。

同施設には親との生活が困難になった幼児から高校生まで27人が入所。男性職員は昨年8月に採用され、小学生から高校生まで7人が暮らすホームで10月から生活指導を担当していた。

県と同施設によると、7月16日の夕食後、入浴時間になってもふざけあっていた小学4年の男児(9)と小学6年の男児(11)に対し、男性職員が回し蹴りをしたり、頭をたたいたりしたという。また、別の小学6年の男児(11)にも6月ごろから、指導としてげんこつをしていた。いずれもけがはなかった。

ホームには他に2人の職員がおり、暴力があったことを知っていたが、深刻に受け止めておらず報告をしていなかったという。
8月26日に県中央児童相談所と同施設が入所児童に対する支援検討会を行った際、男性職員自らが体罰をしたことを報告。同相談所が職員や入所児童に聞き取り調査を行い、虐待と判断した。男性職員は、「子供の行動を統制するためには抑止力が必要だった」と話しているという。

芳尾施設長は「認識が甘かった。常に職員を数人置くなど再発防止に努めたい」と話している。

■2011.9.3  傷害:介護福祉士、容疑で逮捕 県が介護施設調査−−海田 /広島
海田町の介護施設「デイホームあいあいほのかの家」で、介護福祉士の太尾田京子容疑者(47)がデイサービス利用者の男性に向精神薬を投与して意識障害に陥らせたとして、傷害容疑で逮捕された事件で、県は2日、事実関係を確認するため、施設への立ち入り調査に入った。

県によると、関係書類のほとんどは既に県警が押収しており、施設関係者からの口頭での確認となった。今後も調査を継続し、問題があれば指導などをするという。

■2011.9.3  広島・社福法人不正運用:広島市長、監査の責任認める /広島
広島市と大竹市で計4保育所を運営する社会福祉法人「ひまわり福祉会」(安佐南区)で約2億8000万円の不正運用が発覚した問題で、広島市の松井一実市長は2日の定例会見で「(市の監査が)甘かった面がないとは言えない」と述べ、市の責任を認めた。一方、歴代担当者らに対する責任追及や処分は行わない考えを示唆した。

同市は保育所に対し毎年、児童福祉法に基づく施設監査を行い、04年度までは社会福祉法に基づく法人監査も担当していた。
 
松井市長は監査の甘さを認めながら、歴代担当者の責任については「その時点では、それなりに責務を果たそうと思ってやったのではないか。今から見て、とがめ立てしなければならない不十分さかどうかは、時間の経過もあるし、必ずしも厳格にチェックできるものではない」と述べた。
 
また、松井市長は、保育サービスの維持を主眼に対策を進めていることや、不正の手口を分析し監査を厳格化していく方針なども明らかにした。

■2011.9.6  3千万円不正請求、訪問介護指定取り消しへ- 長崎
介護報酬約3090万円を不正に請求したとして、長崎県は9月6日、「有限会社厚生ライフ長崎」(長崎市)が運営する訪問介護事業所「(有)厚生ライフ長崎指定訪問介護事業所」(同)について、介護保険法に基づいて指定を取り消すと発表した。取り消しは30日付。

県によると、介護タクシー事業をメーンで手掛ける同事業所は、利用者を医療機関に送った際に、受診中の待機時間を介助時間に加えたり、事業所への帰着時間を実際よりも遅くしたりして、サービス提供時間を水増ししていた。また、県による監査時には、同事業所のサービス提供責任者や他の職員が虚偽の答弁をしていた。

県は、同事業所に実態に即した記録がなく、実際のサービス提供時間が不明なため、同社が報酬請求していた「身体介護」の算定は認められないものの、サービス自体は提供されていたことから、身体介護より報酬が低い「通院等乗降介助」は算定できると判断。身体介護と通院等乗降介助の差額分である約3090万円を不正請求とした。今後は長崎市など3保険者が、これに4割の加算金を加えた計4300万円余りを返還するよう求めるという。

同事業所をめぐっては、今年4月下旬に県に対して通報が寄せられた。このため県は、5月下旬から6月下旬にかけて監査を実施し、不正を認定した。

■2011.9.6  4保育所運営の社会福祉法人、理事不在1年半に県が正常化に乗り出す/神奈川
横浜、川崎両市で認可保育所4所を運営する社会福祉法人で、内部対立により1年半にわたり理事不在の状態が続いていたことが5日、分かった。

県は「主体的な解決が期待できず、このままでは保育所の利用者に悪影響が及びかねない」として、正常化に向け職権で県職員OBを「仮理事」に選任。同日開いた仮理事会で、行政OB4人と前理事長の計5人が理事に選ばれた。

理事会は、予算や事業計画、園長の任免など重要事項を決定する法人の最高意思決定機関で、1年以上も機能不全に陥っているのは異例。行政が人事面での調整に乗り出すのは極めて珍しいという。

この法人は、横浜悠久会(横浜市保土ケ谷区)。同区内の企業経営者らが中心となり2006年2月に設立、認可保育所を開設した。その後も同市内の1所のほか、川崎市の指定管理者として二つの市立保育園を運営している。

関係者から「ずさんな法人運営が行われている」との指摘を受け昨年6月、県が臨時監査を実施したところ、議事録上は理事6人を選任したとされる昨年2月の理事会が、実際は開催されていなかったことが判明。事実に反する議事録と判断した県は、任期切れによる「理事不在」と認定した。

県は前理事6人を「仮理事」として、本理事を選任するよう指導。だが、前理事長と、事実上運営を統括していた前副理事長が法人の運営方法や人事をめぐり激しく対立、選任に至らなかった。

このため、10年度も11年度も、予算や事業計画がないまま、法人と保育所の運営が行われている。
県は「現状で保育サービスに影響はない」としながらも、「さらに長期化すれば支障を来す」として今年6月、空席のあった仮理事に県職員OBを職権で選任、事態打開に向け動きだした。

今月5日の仮理事会では、県と横浜、川崎両市の職員OB計4人と前理事長が理事に選任された。前副理事長も理事候補に提案されたが、否決された。

前理事長は「前副理事長の独断的な運営があった。今後は正常な運営を目指したい」と釈明。前副理事長は神奈川新聞社の取材に対し、5日までに「昨年6月から県の指導の通り仮理事会で法人を運営している」と文書で回答している。

■2011.9.8  福祉施設の車横転、1人心肺停止
8日午後4時ごろ、福島県喜多方市山都町の白子橋付近で、地元のデイサービス施設「しゃくなげホーム」の送迎ワゴン車が横転した。利用者と臨時職員の計10人がけがをし、うち女性(92)が心肺停止状態という。
 
喜多方署は、自動車運転過失傷害の疑いで運転していた臨時職員松島義仁容疑者(29)を現行犯逮捕。事故の状況を調べている。松島容疑者は軽傷。
 
喜多方署によると、松島容疑者は利用者を自宅に送る途中だった。

■2011.9.11  埼玉で死亡ひき逃げ 介護福祉士の女を逮捕
埼玉県警幸手署は10日、白岡町小久喜、介護福祉士高橋美城容疑者(39)を自動車運転過失致死と道交法違反(ひき逃げ)の両容疑で逮捕した。

発表によると、高橋容疑者は同日午前0時15分頃、幸手市南の県道中央付近で自転車と一緒に倒れていた杉戸町杉戸、解体工樋口敦美さん(69)の頭部をひいてそのまま逃げ、死亡させた疑い。約30分後、現場に戻って来たため、同署で事情を聞いていた。高橋容疑者は、「何かに乗り上げたと思い、不安だったので戻った」と供述しているという。

■2011.9.13  希望新聞:東日本大震災 聴覚障害者向け遠隔通訳 日本財団、無料で提供
日本財団(東京都港区)は11日、被災地の聴覚障害者が素早く情報を得たり、発信することができる遠隔通訳サービス「遠隔情報・コミュニケーション支援センター」を、同財団ビルに設けた。手話ができるオペレーターを通じた代理電話の無料サービスなどをする。

10年度現在、聴覚の障害者手帳を持っている人は岩手県5391人、宮城県6130人、福島県7761人。聴覚障害者は音声情報を得にくく、電話をかけられない。そのため救援物資をもらい損ねたり、仮設住宅の申し込みが遅れることがある。今後、証明書発行や求職活動でも問題が生じかねない。

現在、被災3県で手話通訳士の資格を持つ人は約80人いるが、被災地が広いことや、通訳士自身が被災して十分な支援ができないことから、開設を決めた。

聴覚障害者が手話や文字で依頼内容や相手先の電話番号をオペレーターに伝えると、オペレーターが本人に代わって相手先とやりとりする。依頼先の発言も同時通訳する。個人だけでなく、役所や病院などにもテレビ電話ができる携帯端末を提供する予定。開設時間は8〜20時で年中無休。被災3県で障害者手帳を持つ人は無料で利用できる。1年間は続ける。
利用には登録が必要。問い合わせは電話03・6229・5600

■2011.9.14  いろはのい:障害者福祉 原則無償化、課題は財源
内閣府の障がい者制度改革推進会議の総合福祉部会が8月30日、今の障害者自立支援法にかわる「障害者総合福祉法案」の骨格になる提言をまとめました。同部会の委員55人の大半が障害者団体代表などとあって、提言は障害福祉サービスの利用を「原則無償」とするなど、給付の大幅底上げを打ち出しました。ただし財源は見当たりません。厚生労働省は提言をどこまで新法案に反映できるか、手探りを続けています。

現行の自立支援法では、サービス費用の原則1割を障害者本人が負担します。しかし、障害が重いほど負担が増えるので、06年の施行時から不満が出ていました。08年以降、全国14地裁で計71人の障害者が「自立支援法は憲法が保障する生存権を侵害している」として国を相手に訴訟を起こしました。

自公政権は裁判で争う姿勢でした。それが09年衆院選でマニフェスト(政権公約)に「障害者自立支援法廃止」を掲げた民主党が政権をとり、政府方針が変わりました。10年1月には原告側と「速やかに現行制度を廃止し、遅くとも13年8月までに新制度を作る」ことで合意し、訴訟を終結させたのです。そして政府は新制度づくりに乗り出す一方、今年7月には行政側に共生社会実現に向けた努力を求める「改正障害者基本法」を成立させました。

◇新法成立目指し
その基本法を具現化するのが、自立支援法にかわって、12年の通常国会で成立を目指す障害者総合福祉法案です。さらに13年には障害者差別禁止法の成立も考えています。これらが施行されれば、06年に国連で採択された障害者の権利や尊厳を守る「障害者権利条約」批准の国内環境が整います。

厚労省によると、現行サービスを受けている人は約61万人。一方、障害のある人は約750万人と推定され、サービス利用者は1割未満です。介護保険を使っているために利用していない人などもいますが、それでも多くの障害者が家族に支えられている現状が浮かびます。政府は新法案により、政策の基本を「自己責任・家族責任」から「社会的・公的な責任」に切り替えようとしています。

この観点からも、利用者負担のあり方は新法案の焦点でした。提言の当初案は手話や点字などコミュニケーションの支援、住宅のバリアフリー化、社会生活を送るための移動費用など6分野の支援を無料とし、「公的責任」を前面に出していました。

ところが、無料化には賛否両論が出ました。事故で首から下を動かせなくなる障害を負った、全国脊髄(せきずい)損傷者連合会の大濱眞副理事長は、部会の中で無料化に異論を唱えた一人です。「理想は無料だが、財政状況を考えると難しい。むしろ、必要なサービス量を提供する方が先だ」と訴えました。最終的に提言は「原則無償」との表現に落ち着き、高所得者には負担を求めることも盛り込まれました。

◇予算倍増も提言
日本の障害福祉予算は潤沢とは言えません。国際比較(07年)をすると、経済協力開発機構(OECD)加盟国中、データのない米国とカナダを除く32カ国中18位です。そこで提言は、予算を加盟国の平均水準まで引き上げることも課題に挙げました。
ただ、それには予算を07年度の2倍、2兆2051億円にすることが必要です。厚労省は提言の全面実現には慎重で、小宮山洋子厚労相は「予算の枠があるので、しっかりと協議したい」と述べるにとどめています。しかし、推進会議の議長代理も務める藤井克徳・日本障害フォーラム幹事会議長は「障害者問題の政策はその国の人権意識をみるバロメーター。雇用創出など経済効果や社会に与える好影響もある」と指摘しています。

■2011.9.14  「絶対入ってはいけない」老人ホームの見分け方
老人ホーム選びは、自分の目で確かめる以外に答えを見つける方法はない。結局、本人が納得できるかどうかなのだが、判断を導きだす「着目点」に関しては、以下のように整理することができる。

有料老人ホームでは体験入居のシステムが用意されている場合が多い。通常、2泊3日コースが一般的であるが、「体験入居は最低でも5日間は必要」だと、依田平、片山ます江両氏は口を揃える。その真意は、短期間の体験入居では、施設側が準備したプログラムを消化するだけで、本当の姿を知ることができないからだ。

例えば、すでに入居している利用者たちが、遠巻きに眺めていた体験入居者に声をかけてくるのは大体3日目以降で、そこで、初めて施設に対する不満の声に接することができる。入居者に対する個別対応の中身を知るうえでも、実際の利用者の声は重要な判断材料となる。コミュニケーションがとれれば、入居者の部屋を見せてもらうことも可能になる。

「居室が清潔に保たれているかをチェックするのは当たり前ですが、入居者が大切にしている植物などの世話もきちんとされているかを見ておくべきです。命あるものへの姿勢は重要です」と片山氏。

スタッフの笑顔は施設の状況を知るバロメーターとよく言われるが、おそらく短期間の入居では営業スマイルとの出会いしかない。時間に追われて厳しい労働を繰り返しているスタッフが、それでも生き生きとして働くことができる職場かどうかを知るにはやはり時間が必要である。

体験入居期間中にチェックすべき項目は、このほかに、スタッフ控え室などのバックヤードの整理整頓状況、時には、調理場の冷蔵庫の中も見せてもらうくらいの貪欲さがあってよい。さらに、施設長や管理者などから説明を受けるだけでなく、現場スタッフ、夜勤スタッフ、清掃スタッフなどからの聞き取りも、現場を知る大切な情報になる。

家族が見学する場合は、ケアのあらゆる場面を考えた質問を用意しておきたい。

片山氏は、「母親の好きなもの、例えば決まった銘柄の牛乳を買いにいってくれるのか。わがままな親の希望にどこまでそってくれるのかも聞いてみればいいですね。施設のケアに対する姿勢は、案外こんな質問への回答に表れるものです」と指摘している。日常生活への対応について質問することがきっかけとなって、最終的には看取りに対する考え方さえも聞き取りができるそうだ。

また、施設が定期的に行っている入居者本人とその家族向けの懇談会の見学を希望することを依田氏は勧めている。

「クレームを話せる雰囲気のある施設は評価できますね。クレームこそが施設そのものをよくするきっかけになり、この業界を成長させる原動力ですから」

さらに、施設を運営面から客観的に分析することも必要である。事業主体、設備、職員配置、利用料金など有料老人ホームの概要が説明されている資料は「重要事項説明書」と呼ばれている。最近では、施設を紹介するホームページにPDF資料として添付されているケースもあるが、直接請求することもできる。

「この説明書の提出は事業者に義務づけられているので、それを拒否する事業者はその段階で信用できません」と注意を喚起してくれたのは、有料老人ホーム選びの段階から入居の手続き、入居後のサポートまで手がける有料老人ホーム入居支援センターの上岡榮信理事長。

「書類チェックはプロに相談することですね。この施設はあなたに向いていないとはどの事業者も言いません」

施設を自分の目で確かめることに加えて、その裏付けを書類で確認する。入居者の側に立ってアドバイスしてくれる専門家の力を借りることも必要である。

■2011.9.15  東日本大震災:障害者の死亡率高く 元養護学校校長が調査
福島県の元養護学校校長が、東日本大震災による障害者の被災状況の実態調査を進めている。県沿岸部の津波被災地を中心に足を運んで31人の当事者や家族から聞き取ったところ、人工呼吸器を装着しているため避難に手間取ったとみられる障害者や、スロープがないため逃げ遅れた恐れのある車椅子利用者がいた。自治体への調査では、身体障害者の死亡率はそうではない人より3割高かったといい、「あと少しの支援があれば。教訓を生かしたい」と切実な思いを語っている。

調査しているのは、00〜03年に県立平養護学校校長などを務めた県点字図書館(福島市)館長の中村雅彦さん(65)。震災後、教え子の安否確認を進めるうち、「ささやかな幸せを感じていた人たちの日常がなぜ奪われたのか」との思いに駆られ、調査を始めた。

教え子のほか、各地の民生委員らを訪ね歩き、視覚障害8人▽聴覚障害5人▽知的障害9人▽自閉症3人▽車椅子利用6人−−の10〜80代計31人の状況を調べた。このうち知的障害者3人と車椅子利用者2人が亡くなっており、中村さんは家族らの話から「津波が原因だった」とみる。

車椅子生活だったいわき市の30代男性は、親族が助けに向かったが、目前で津波にのみ込まれた。重さ約4.5キロの人工呼吸器を付けていたが、近隣住民には障害が重いことを知られておらず、避難に手間取ったようだった。同じく車椅子を利用していた浪江町の60代女性は夫の留守中に津波にのまれ亡くなった。夫は「高さ約40センチの玄関から外に出るスロープがなく、戸惑っている間に津波が来たようだ」と涙をこぼしながら語った。

知的障害がある相馬市の10代男性も、津波の犠牲になっていた。母親によると、いつも一緒にいる祖母が道路に散乱した屋根瓦を片付けていたため、逃げずに自室にとどまったという。中村さんは「軽度の知的障害者は自分で買い物できるが、災害時に自分で判断して避難するのが難しいことを改めて痛感した」と唇をかむ。

中村さんはまた、県社会福祉協議会と共同で、新地町からいわき市まで福島県内沿岸10市町に、身体障害者手帳を持つ障害者のうち、6月末時点での震災死者数や障害の種別を尋ねた。

10市町の昨年10月時点の人口は52万7639人で、震災死者は1673人。身体障害者手帳の所持者2万5577人(昨年4月時点)のうち亡くなったのは102人。死亡率は0.40%で、持っていない人の0.31%の1.3倍だった。102人の内訳は身体障害60人▽内部障害(心臓、腎臓、呼吸器の疾患など)26人▽視覚障害10人▽聴覚障害6人。このほかに知的障害者9人と精神障害者7人も死亡していた。

調査は今も続けており、「障害者がいる家庭に普段から声をかけるなど支援システムの構築が急がれる」と中村さん。「知的障害者に小さな時から『海のそばにいて地震があったら津波が来る。すぐ高台に逃げて』と繰り返し教える必要がある」と悔やむ。調査結果をまとめて、教育、行政の現場で共有したいという。

■2011.9.15  静岡県が事業所処分 川根本町社協の介護報酬不正受給
川根本町社会福祉協議会(芹沢徳治会長)の運営する事業所が介護報酬を不正受給していた問題で、県は14日、介護保険法に基づき社協の福祉用具貸与事業所と居宅介護支援事業所などに行政処分を行ったと発表した。処分は12日付。同法に基づく県内の社協への行政処分は初。

発表によると、社協の貸与事業所は2006年7月から11年5月にかけ、自ら行うべきサービスを民間業者に代行させ、約3千万円の介護報酬を不正受給したとされる。支援事業所は貸与事業所がサービスを行っていないのを知りながら、実態と異なるケアプランを作成したという。
 
処分は、貸与事業所が9月19日から6カ月間の指定の全停止、支援事業所は10月1日から3カ月間の介護報酬請求上限の5割減。サービスを代行したとして、同町のひまわり(池野正登社長)が運営する介護ショップひまわり中川根店にも、請求上限を10月1日から1カ月間5割減にする処分を下した。

指導側の違反に困惑
介護福祉サービス事業で指導的立場にある社会福祉協議会でも明るみになった不正行為。県の担当者は困惑を隠せない。 「まさか社協で起きるとは。想定していなかった」―。行政処分を発表した記者会見で、県介護指導課の岩田信夫課長は驚きの表情で語った。
 
県は2007、09年度にも同社協を実地指導した。だが、書面確認では不正を見抜けなかった。岩田課長は「民間も社協も同じ姿勢で指導している」と強調するが、県は社協に対して信頼を寄せていただけに、落胆の色は濃い。担当者の1人は「『あらゆる不正が誰にも起こり得る』との意識を再度肝に銘じるしかない」と言葉少なだった。
 
社会福祉法人の指導監督を担う県地域福祉課などは先に、県内1143の法人、施設を対象に行った指導監査結果の詳細を、初めて全面公開したばかり。近く県内の市町社協を集め、法令順守の徹底を指導する。
 
中山間地では民間参入が進まず、社協など公益性の高い事業者が多様な介護福祉事業を担わざるを得ない現状もある。
 
同社協の小田実事務局長は「貸与事業所の職員3人は他の福祉事業で忙しく、本来の業務に時間が割けなかった。無理な態勢だった」と打ち明ける。県社協の天野正之地域福祉部長は地域のつながりが強い中山間地の特性も問題の背景にあると指摘する一方、「(不正防止の)チェックは監査権限がある県に頼らざるを得ない」と漏らした。

■2011.9.15  障害者らが中山千枚田で収穫体験/小豆島
小豆島と岡山の障害者支援施設を利用する障害者らが14日、香川県小豆島町中山の千枚田で収穫体験を行った。さわやかな秋空の下、5月に自分たちが植えたキヌヒカリを丁寧に刈り取り、一緒に心地よい汗を流した。

施設は小豆島町安田の就労継続支援B型事業所「あすなろの家」、土庄町の指定障害福祉サービス事業所「ひまわりの家」、玉野市の知的障害者更生施設「のぞみ園」の3施設で、昨年から交流事業を行っている。
 
この日は保護者らも含め約70人が参加。小豆島町の委託を受けた九野賢輔さん(63)ら、地元の“アグリサポーター”4人の手ほどきを受け、4人が借り受けている耕作放棄地約5アール(5枚)の田んぼで鎌を使って黄金色に実った稲穂を次々と刈り取った。各施設には九野さんらが事前に収穫し、精米した同じ品種の米が20キロずつ贈られた。
 
田植えや収穫の一連の体験は、小豆島町が今年から取り組む「障がい者農業就労体験事業」の一環でもあり、障害者の農業への就労の可能性を探るのが狙い。将来的には施設が畑を借りて耕作し、収益につなげることを目指している。

■2011.9.16  認知症、運転中に気絶・13人死傷…家族止めず
京都市北区で2月、13人が死傷する多重事故があり、最初に追突事故を起こした乗用車を運転していた京都市中京区の無職男性(61)が認知症で運転中に意識を失っていたことがわかり、京都府警は16日、男性を自動車運転過失致死傷容疑で書類送検。

認知症と知りながら運転を中止させなかったとして、同乗の兄(68)とその妻(63)を重過失致死傷容疑で書類送検した。
 
発表では、男性は2月27日正午過ぎ、北区の市道で運転中に意識を失い、信号待ちの乗用車に追突。弾みで対向車線の車両など7台が絡む事故となり、ミニバイクの男子大学生(20)を死亡させるなどした疑い。兄夫婦は事故の危険性があると予測できたのに、運転を止めなかった疑い。
 
府警によると、男性は3年前から認知症の治療を受けており、容疑を認めているが、兄夫婦は「認知症とは知らなかった」と否認しているという。

■2011.9.20  高齢者福祉指数 最高は島根
東北大学グローバルCOE(グローバル時代の男女共同参画と多文化共生)の研究班が高齢者の心身の健康、経済生活、社会生活、個人生活、安全・安心5つの分野について合計15の既存統計を都道府県別に整理した結果、高齢者福祉指数(満点1)が最も高いのは島根県、最も低いのは沖縄県になっていた。

研究班では「どの地域のどの指数を優先して改善するべきであるかという政策の効率性や高齢者福祉に地域間の格差があってはならないという公平性の観点からも有効に活用できる統計資料になる」としている。

それによると島根県は0.83ポイントで最も高く、福井県(0.82)、北海道(0.80)石川県(同)、富山県(0.79)、滋賀県(同)、山梨県(0.78)、愛知県(同)京都府(同)、奈良県(同)がこれに続いた。逆に、低かったには沖縄県の0.70、次いで福岡県(0.71)、和歌山県(同)、青森県(同)、愛媛県(0.72)、香川県(同)、山口県(同)、秋田県(同)だった。

都道府県別の高齢者福祉指数
http://social-welfare.rgr.jp/databox/hukushi_gaiyou04.pdf

■2011.9.21  介護のニチイ学館、上海に現法:福祉用具販売へ
介護最大手のニチイ学館(東京都千代田区)は20日、完全子会社のニチイケアネットが、上海市に福祉用具の卸売り販売を行う現地法人を設立すると発表した。

新会社設立後に、江蘇省常州市の車いすメーカーから同社の既存顧客である販売店約300店舗の販路提供を受け、対価として新会社の株式の一部を譲渡する。65歳以上の高齢者人口が、日本の総人口に値する1億1,100万人超とされる中国で、富裕層をターゲットに現地企業の販売網を利用した事業展開を図る。

来年1月に新会社を設立する。社名は未定。資本金は1,000万元(約1億1,980万円)で、株式譲渡後の出資比率は、ニチイケアネットが80%、日進医療器(愛知県北名古屋市)が49.5%を出資する常州中進医療器材が20%となる。

ニチイグループの海外進出はこれが初めて。新会社では常州中進医療器材の販売店向けに、まずは日本から車いすやベッド、つえなどを輸入。あわせて中国に工場を持つ日系企業からの仕入れ販売も行う。また、ニチイケアネットの教育研修のノウハウを生かし、販売店のスタッフ向けに日本式福祉用具販売員研修を行うほか、OEM(相手先ブランドによる生産)製品の受注や輸出販売なども手掛ける。

ニチイ学館によると、2013年をめどに北京と広州に営業拠点を開設。15年度には売上高で10億円を目指す。新会社を通じ中国市場の動向をみながら、引き続き新たな事業展開を検討するとしている。

■2011.9.22  理事長自ら介護給付費を不正受給、指定取り消しへ―岡山県
岡山県は9月22日、少なくとも1460万円の介護給付費を不正に受給していたとして、NPO法人「青い鳥」(岡山市)が運営する障害福祉サービス事業所「にこにこスマイル支援センター」(同)に、10月15日付で障害者自立支援法に基づく指定を取り消す行政処分を行うと発表した。県によると、同法人の仲地宗輝理事長が自ら不正受給に関与しており、理事長も不正受給の事実を認めているという。

県によると、自らも同事業所の利用者だった仲地理事長が、同事業所の管理者などと共謀。少なくとも2008年6月から今年7月まで、仲地理事長が利用した日中のサービスを早朝や深夜と偽ったり、実際には利用していない深夜サービスを利用したと偽ったりして、不正に過大な報酬を請求していた。保険者の岡山市は不正受給額の概算を公表したが、さらに不正受給をしていた時期がないかも含めて引き続き調査している。

今年2月から5月にかけて、同事業所の従業員などから県に複数の情報提供があり、県と岡山市が6月に立ち入り調査して不正が発覚した。県は「指定する全事業者に対して周知徹底を行う。今後も不正を行わないように引き続き指導する」(障害福祉課)としている。

同県では過去2件の指定取り消しがあるが、不正受給額は今回が過去最高。

■2011.9.22  事業仕分け:吹田市が福祉、教育、環境分野33事業 市長ら判断 /大阪
一般公開の場で公共事業の見直しを議論する吹田市の「事業仕分け」が、市役所で行われている。福祉、教育、環境分野の33事業(25億9300万円分)について、井上哲也市長と外部の有識者ら10人が委員となり「廃止・縮小・継続」を判断する。

対象は、高齢者無料入浴、小学校安全対策、ごみ分別啓発などの事業。市は府内他市が実施していなかったり、「効果があいまい」と判断したりした事業を抽出した。
 
会議では、市担当者が事業概要を説明し、委員との30分間の質疑応答や議論がある。原則として各委員で多数決をとり、会議としての結論を出す。
 
市は早ければ来年度予算に結果を反映させる。井上市長が委員に加わっているため、今回の会議の判断が尊重される見通し。
 
初日の20日は高齢者理美容補助事業など四つを審議し、同事業を含む3事業の廃止と、1事業の縮小を決めた。

■2011.9.29  みのり福祉会:県、再び改善命令 「1億1200万円の不適正支出」 /鳥取
県は28日、村田実元県議が2月まで理事長を務めていた社会福祉法人「みのり福祉会」(倉吉市、村田速実理事長)に約1億1200万円の不適正支出があったとして社会福祉法に基づき改善命令を出し、11月28日までに改善報告書を提出することを求めた。同会は1月にも国や県からの交付金を借入金の返済に充てたことなどで改善命令を受け、2月に役員を一新していた。

県によると、村田前理事長や親族が1999年ごろから会の関連施設が利用する土地などを取得。土地代金は同会が支払ったにもかかわらず、同会と賃貸契約を結び、親族らに利用料が支払われる仕組みになっていた。3カ所の土地購入費約3400万円のほか、賃貸料として約5200万円が支出されていたという。
 
村田前理事長の香典代として使われた費用のうち県議の肩書で出したものがあることも判明。2001年からの10年間で、少なくとも約620万円分が不適正だと判断された。また村田前理事長への役員報酬が理事会の議決を上回る額となっており、04年から7年間で超過分約1350万円が不適正に支出されていた。村田前理事長の個人債務を同会の債務として付け替える行為もあったという。
 
1月の改善命令以降、継続して県が監査を続けていたところ、今回の事案が判明した。県によると同会が提出した弁明書で村田前理事長らは「弁済していきたい」という意向を示しているという。

■2011.9.29  吹田市:行政維新プロジェクト 通所施設運営社会福祉法人、市に連日申し入れ /大阪
吹田市の井上哲也市長が進める「行政の維新プロジェクト」で福祉政策が相次いで廃止・縮小されていることについて、市内で五つの通所施設を運営する社会福祉法人「さつき福祉会」が反対する申し入れを連日、市役所で行っている。同会は10月3日の事業見直し会議で検討される「日中活動重度障害者支援事業」の見直しに特に反対しており、鈴木英夫理事長(73)は「これまでの活動を知らない外部委員が財政面だけで判断するのはおかしい」と憤っている。

市は過去4回の事業見直し会議で、高齢者や在宅療養者などを対象とする福祉政策を中心に30事業について検討。12事業を廃止、15事業を縮小と結論づけている。同支援事業は重度障害者が通所する施設に対する同市独自の補助。
 
同会が市から委託を受けて運営する市立障害者支援交流センター「あいほうぷ吹田」では、利用者約120人のうち、48人が胃ろうやたん吸引などの医療行為を必要とする。職員は常勤・非常勤で計300人おり、昨年は運営費が2000万円不足。今年は寄付を集め、さらに一部の常勤職員を非常勤に切り替え、ぎりぎりの線で運営している。

鈴木理事長は「市の支援がカットされれば職員を減らさざるを得ず、重度の利用者はすべて受け入れられなくなる」と話す。
 
同会の通所施設に脳性小児麻痺の長女(44)が24年間通っているという母親(71)は「娘は生活リズムの変化に敏感で、祭日で1日通えないだけでストレスがたまり、寝付きが悪くなる。利用が制限されたらどこに行けば良いのか分からない」と困惑していた。
 
井上市長は「事業の選択と集中で市民サービスの向上を図っていく。市民の意見は検討の参考にしたい」としている。

■2011.9.30  中国で介護老人ホーム運営 ウィズネットが受託へ
介護福祉サービスのウィズネット(さいたま市、高橋行憲社長)は中国で現地当局から介護付き有料老人ホームの運営の受託をする方針だ。1000人が入居できるように内装を整え、2012年4月に開設する計画。中国でも急速な高齢化が見込まれ、高齢者向け施設の需要が拡大する見通し。現地にはまだ普及していない介護設備を導入して需要を取り込む。

日本の住宅メーカーと共同出資して年内にも、現地に運営会社を設立し、中国東北部の瀋陽市の現地当局と受託契約を結ぶ方向で調整している。現地当局が建設した20階建ての建物3棟に、6500万元(約7億8000万円)を投じて内装や設備を整える計画だ。
寝たきりの人が横になったまま入浴できる機械や電動ベッドなど、日本式の介護設備を導入する。現地では一般的ではないという紙おむつを用いるなど、衛生管理を徹底する。

介護付きを120部屋と自立できる人向けを200部屋を用意する。個室のほか、2人用や4人用の相部屋も設け、合計で1000人が入居できるようにする。現地政府が近隣にクリニックなども整備する計画という。

必要な介護士300人は現地で採用する。中国語の介護マニュアルを使った研修の後に業務にあたってもらう。3交代の24時間体制で介護サービスを提供する。

ウィズネットは国内では埼玉県を中心に、グループホーム70棟、有料老人ホームなどを20棟、高齢者専用賃貸住宅6棟を運営している。地域密着型で福祉サービス全般を提供しており、在宅の介護サービスや保育所なども手がける。一方、中国では10年から、現地企業と合弁で大連市で、在宅介護サービスやヘルパーの人材育成、派遣などを手がけている。

国内でも高齢者の増加により介護施設の需要が拡大する見通し。将来的には、日本人の高齢者を中国の同社施設で受け入れて、介護サービスを提供することなども検討していく。

■2011.9.30  特養の兼務ケアマネ、プラン作成よりケア- 全国老施協調査
特別養護老人ホーム(特養)の介護支援専門員(ケアマネジャー)のうち、介護職員や看護職員などを兼務している職員は、ケアプランの作成よりも介護や看護といったケアワークに平均的に多くの時間を割いていることが、全国老人福祉施設協議会(全国老施協)の調査で分かった。

調査は昨年10−12月、全国の特養2000施設を対象に実施し、899施設(45.0%)から回答を得た。専任の介護支援専門員343人、専任の生活相談員520人、生活相談員や介護職員、看護職員など他の職種を兼務する介護支援専門員774人について、それぞれ1日当たりの平均業務時間などを調べた。
 
その結果、ケアプラン作成では、専任の生活相談員を含めた全職種の平均業務時間は77.5分。業務の実態別に見ると、他職種兼務の介護支援専門員は87.3分だったのに対し、専任の介護支援専門員の場合は112.1分と、兼務の職員より3割弱長かった。

一方、食事支援や入浴支援といったケアワーク(平均時間83.2分)では、専任の介護支援専門員の業務時間は73.9分にとどまったが、兼務の介護支援専門員では116.5分と、専任職員の1.5倍超の時間を割いていた。 専任の介護支援専門員はこのほか、利用者のアセスメント(58.9分、全職種平均50.3分)、サービス担当者会議の企画・運営といった「チームマネジメント」(75.2分、同70.9分)などにかける時間が長かった。
 
また、「介護支援専門員と同じような業務を行っている」との指摘もある専任の生活相談員については、入所前相談などを行う「ニーズの把握」(56.7分、同44.8分)、入所時の契約締結(44.7分、同38.0分)、相談支援(48.8分、同41.3分)、地域との連携(50.3分、同40.8分)などが主な業務となっており、ケアプラン作成を主な業務とする専任の介護支援専門員とは異なる働き方をしていた。
 
今回の調査結果について、全国老施協の担当者は、「専任の介護支援専門員が施設内ケアマネジメントの中核を担っている一方、専任の生活相談員は行政や地域、家族との調整・連携などに専門性を発揮しており、両職種の専門性は明確になっている」と指摘。

また、他職種を兼務する介護支援専門員がケアプラン作成よりケアワークに多くの時間を割いていた点に対しては、「兼務では介護支援専門員としての専門性を発揮することは困難であり、施設の介護支援専門員は専任化が望ましい」としている。

 

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