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 2020. 6. 6 なみはやリハビリテーション病院 看護師が「感染の媒介」の可能性 集団感染の病院に指摘
 2020. 6.26 やまゆり園の実態検証が迷走 聴取なく「虐待疑い」、中間報告で終了


■2020.6.6  なみはやリハビリテーション病院 看護師が「感染の媒介」の可能性 集団感染の病院に指摘
入院患者や医療従事者ら計133人の新型コロナウイルスへの感染が確認されたなみはやリハビリテーション病院(大阪市生野区)について、厚生労働省のクラスター対策班が調査報告書をまとめた。

感染防止対策が不十分だった看護師らが院内感染を広めた可能性もあると指摘している。
調査報告書は公表していないが、市保健所によると、感染拡大の原因について、消毒などの感染防止策を十分に講じないまま病棟間を行き来していた看護師らが「感染の媒介」となった可能性を指摘。明確な感染源は特定できなかったと結論付けているという。

患者らが食堂や休憩室など「密に過ごす空間」でマスクを着けずに会話していた▽もともとの病気で、新型コロナ感染の把握が遅れた▽介護も行う施設だったため、濃厚接触になりやすい環境だった――といったことも感染拡大につながった可能性があるとしている。

同病院をめぐっては、市保健所の2度にわたる注意に従わず、感染が確認された看護師2人を出勤させたとして、市保健所が行政指導したことが明らかになっている。市保健所の担当者は「認識不足や知識不足があった」と指摘する。

■2020.6.26  やまゆり園の実態検証が迷走 聴取なく「虐待疑い」、中間報告で終了
2016年7月に利用者ら45人が殺傷される事件があった神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で、事件以前に利用者に対する虐待があったかどうかを含む実態検証を巡り、県が迷走している。県の検証委員会は同園職員にヒアリングしないまま「虐待の疑いがある」と指摘する中間報告を提出し、検証を終えた。7月に対象を県立障害者施設全体に広げて新たな検討部会を発足させる見込みだが、同園に特化した調査はしないという。

津久井やまゆり園は県が設置する施設で、指定管理者の社会福祉法人「かながわ共同会」が運営。17年10月に策定された再生基本構想を基に、県が主体となって事件からの再生に取り組んできた。

しかし、19年12月の県議会本会議で黒岩祐治知事が突如、共同会に対する24年度までの指定管理期間を短縮すると表明。理由として、同園で長時間の身体拘束といった不適切な事案があるとの情報が寄せられたことなどを挙げた。

県は同園の実態を調べるため、第三者による検証委員会を20年1月に設置。委員長の佐藤彰一・国学院大教授を含む有識者ら3人で構成する検証委は、事件前後の記録や資料を基に調査を進めた。

一方で、県議会では検証委について「3人の委員には大規模な障害者施設に批判的などの共通点があり、最初から結論ありきの人選。公平性や公正さに欠ける」などと疑問の声が上がっていた。

2月には、県が事件直後に設置した事件検証委員会の元委員で社会福祉法人育桜福祉会「白楊(はくよう)園」の市川高弘施設長が議会に陳情を提出。県が一方的に指定管理期間短縮の方針を示したことを「公平性に反し、県の信用失墜につながる」と批判し、検証委についても中断と見直しを求めた。

県議会厚生常任委員会は3月、全会一致で陳情を了承した。検証委のあり方について議会から県に対して改めて再考が突きつけられた形となった。

検証委は新型コロナウイルスの影響で、5回目となった2月19日の会合以降開催されない状況が続いた。ところが、県は5月18日の厚生委で唐突に虐待の疑いを指摘する検証委の中間報告書を提出した。

虐待を事実認定するために必要な園職員へのヒアリングは実施されていないにもかかわらず、報告書では記録や資料から「虐待の疑いが極めて強い」と表現が強められた。しかも「中間」と銘打っているにもかかわらず、県の担当者は「検証は中間報告をもって終了する」と説明した。共同会側は中間報告書について「不適切な支援であるとの指摘は真摯(しんし)に受け止める。だが必ずしも全てが事実ではない」とコメントした。

中間報告書を提出したタイミングについて、黒岩氏は5月の定例会見で新型コロナの影響を挙げ「ある段階でまとめないと前に進めない」と強調。そのうえで「共同会がどう受け止めて、どう乗り越えるのか。そちらの方が重要だ」と述べた。

県には同園以外の県直営施設で虐待が疑われる事案も報告されていることなどから、今後は県立障害者施設全体に広げた検討部会を発足させる。委員は検証委の3人を残し、7〜8人に増やす予定という。26日に開かれる厚生委で正式に設置が決まる見通しだ。


紆余(うよ)曲折を経ての部会について、県の担当者は「未来志向で利用者支援の在り方を検討したい」と話す。当初掲げた「再生」に向け、どこまで実態の解明が進むのか注目が集まる。

 

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