残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

Past news

残しておきたい福祉ニュース

 2020年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 * * 11月 12月

 2020. 4. 4 外出自粛、遅れ目立つ日本 グーグル位置情報使って比較
 2020. 4.11 全柔連、職員の6割以上が発熱等 コロナ感染続出
 2020. 4.12 台湾 12月末にWHOに送った文書公表 武漢で非定型肺炎
 2020. 4.25 別の感染看護師にも夜勤指示 2日連続で行政指導 大阪のリハビリ病院
 2020. 4.25 「おかしいと思っていた」 大阪で集団感染の病院 感染看護師の同僚証言
 2020. 4.27 デイサービスなど858事業所が休業 7都府県は急増、苦渋の決断
 2020. 4.28 コロナ専門化の大阪・十三市民病院 職員に「バス乗るな」 退職者も


■2020.4.4  外出自粛、遅れ目立つ日本 グーグル位置情報使って比較
米グーグルは3日、スマートフォンの位置情報データを使って、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた各国の外出制限などの取り組み度合いを分析した報告書を公表した。

職場へ来る動きは、米国では普段より38%減、イタリアでは63%減になっているのに対し、日本は9%減にとどまり、日本の対策の遅れが目立っている。
グーグルは、グーグルマップなどの同社のサービスをスマホで使っている人のうち、位置情報の提供に同意している利用者のデータを利用。個人情報を匿名化したうえで分析した。

「小売店・娯楽(飲食店などを含む)」「職場」「食料品店・薬局」「駅など」「公園」「住宅」の6種類の場所で、数週間前から2〜3日前までに人々が出入りした動きを、通常時と比較。増減の割合を131の国・地域について公表した。

死者数が最も多いイタリアでは「小売店・娯楽」への出入りが94%減、「職場」が63%減となる一方、「住宅」は24%増となり、人々が不要不急の外出を抑え、自宅にとどまっていることがうかがえる。最近、外出禁止令が多くの州に出ている米国では、「小売店・娯楽」は47%減で、「職場」は38%減。一方で、週末や夜の外出の自粛を呼びかけている日本では、「小売店・娯楽」が26%減、「職場」は9%減にとどまった。外出を控えたり、自宅で勤務したりする取り組みが、主要国中で最も遅れている様子が浮き彫りになっている。

報告書では、各州や都道府県ごとの数字も分かる。東京都では「小売店・娯楽」が63%減、「職場」は27%減と、日本国内の他の地域よりも取り組みが進んでいる。ただ「職場」が46%減となったニューヨーク州とは大きな差がある。

グーグルは、新型コロナウイルスの感染が広がっている間は、定期的にデータを更新するとしている。

■2020.4.11  全柔連、職員の6割以上が発熱等 コロナ感染続出
職員に新型コロナウイルス感染者が続出している全日本柔道連盟(全柔連)は10日、同日時点での感染状況を発表し、職員38人のうち24人に発熱などの症状が出て、18人がPCR検査を受けたことを明らかにした。5人の陽性、1人の陰性が確認され、12人が検査結果を待っているという。

中里壮也専務理事によると、感染者のうち複数が入院。隔離のためにホテル滞在者もいるなど、クラスター(感染者集団)発生の懸念は依然として残っている。
東京都文京区の講道館にある事務局は、PCR検査で1人目の陽性判明後の6日に消毒した。

■2020.4.12  台湾 12月末にWHOに送った文書公表 武漢で非定型肺炎
新型コロナウイルスへのWHO=世界保健機関の初期対応をめぐり、台湾当局は、去年12月にWHOに送った文書を公表し、中国でヒトからヒトへの感染が疑われる事案が起きていると警告していたと強調した。
WHOの対応を批判するアメリカに歩調をあわせた形だ。

アメリカ国務省は10日、WHOについて「台湾から早期に受けた通知を国際社会に示さなかった。公衆衛生より政治を優先した」などと批判したが、AFP通信の取材に対しWHOは「台湾からの通知にヒトからヒトへの感染について言及はなかった」と否定した。

これについて台湾当局は11日、WHOに対して去年12月末に送った通知の全文を公表した。
文書には「中国の武漢で非定型の肺炎が少なくとも7例出ていると報道されている。現地当局はSARSとはみられないとしているが、患者は隔離治療を受けている」などと書かれている。

台湾の陳時中衛生福利部長は会見で「隔離治療がどのような状況で必要となるかは公共衛生の専門家や医師であれば誰でもわかる。これを警告と呼ばず、何を警告と呼ぶのか」と述べ、文書はヒトからヒトへの感染が疑われる事案が起きていると警告していたと強調した。
台湾は、WHOの対応は中国寄りだと批判するアメリカのトランプ政権に歩調をあわせた形だ。

■2020.4.25  別の感染看護師にも夜勤指示 2日連続で行政指導 大阪のリハビリ病院
大阪市生野区の「なみはやリハビリテーション病院」(120床)で約130人に及ぶ新型コロナウイルスの院内感染が発覚した問題で、病院側が、感染が確認された別の看護師にも、陽性反応後に勤務を指示していたことが24日、市関係者への取材で判明した。この看護師は自宅療養中だったが、上司が病院に呼び出して21日に夜勤をさせていた。市保健所は病院側の対応が悪質だとして、23日付で行政指導した。2日連続の指導は極めて異例。

なみはやリハビリテーション病院を巡っては、20日に陽性が確認された看護師について、上司が翌21日朝までの夜勤を指示。感染者が入院する病棟で看護処置をしていたことが既に判明している。同病院では今月中旬以降、入院患者用に設置されるリハビリ室の利用者を中心に、医療スタッフや患者ら計約130人の感染が発覚。院内で大規模なクラスター(感染者集団)が発生した疑いが強いとして、厚生労働省のクラスター対策班や市保健所が調査に乗り出している。

市関係者によると、新たに勤務が発覚した看護師も20日、PCR検査(遺伝子検査)の結果、陽性と確認された。自宅で療養することになったが、人手不足で21日の夜勤を担う要員が見つからず、上司がこの看護師に夜勤に入るよう指示。自宅から自家用車で呼び出して勤務させていた。この看護師も、感染者の入院病棟で看護処置などにあたっていたという。

市保健所が調査の過程で、今回の問題も把握。病院側は事実関係を認め、「今回も代わりの看護師を手配できず、やむを得ず勤務をお願いした。他の医療スタッフに同様の例はない」と答えた。市保健所は23日付で再び病院に行政指導し、再発の防止を求めたという。

毎日新聞は病院に取材を申し込んでいるが、病院側は24日午前までに回答していない。

■2020.4.25  「おかしいと思っていた」 大阪で集団感染の病院 感染看護師の同僚証言
「なみはやリハビリテーション病院」に勤務する看護師が24日、毎日新聞の取材に応じ、院内感染が広がっていった様子や、病院のずさんな対応などを証言した。

20代の女性看護師が最初の感染者として陽性確認されたのは4月14日。だがスタッフたちは、数日前から異変を感じていた。「11日ごろから発熱やせき込む患者が増え始めた。最初は数人で、15〜16日にはかなりの人数に広がっていた。スタッフたちは『おかしい』と思っていた」。取材に応じた看護師は振り返る。

この病院は外来診療はなく、リハビリに臨む入院患者向け。感染はリハビリ室の利用者を中心に広がったとみられる。証言によると、15日ごろまで、症状のある患者と無い患者が同時にリハビリしていた。現場のスタッフから上司に「発熱者もいるので、リハビリ室を閉めるべきだ」と提案したが、閉鎖の指示はすぐには出なかったという。

「患者さんに何かあってからでは遅い。早くPCR検査(遺伝子検査)してほしい」。最初の陽性が14日に確認され、不安がより強まった。スタッフの半分は濃厚接触者扱いで自宅待機になり、看護師らの負担が一気に増加した。

病院は人手不足を補えず、陽性が確認された女性看護師2人に夜勤を指示。病院は大阪市の調査に「代わりの看護師が見つからずにやむを得ずにお願いした」と説明したが、近くで2人の苦闘を見ていた同僚として「責任感があり、残された患者さんのために出勤したのだと思う。病院は、やってはいけないことをやった」と強く批判した。

この病院に感染症の専門スタッフはおらず、防護服などの備蓄もなかったという。「現場対応には限界があった」と根本的な問題を指摘し、「病院の責任を追及するだけでは、問題は解決しない。統一的なマニュアルの整備など、行政の支援も必要だ」と訴えた。

■2020.4.27  デイサービスなど858事業所が休業 7都府県は急増、苦渋の決断
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、全国の高齢者向けの通所介護(デイサービス)や短期宿泊(ショートステイ)のうち858事業所が休業していることが27日、厚生労働省の調査で分かった。先行して緊急事態宣言が出た7都府県では449事業所に上り、1週間前(267事業所)より1・7倍に拡大。運動不足などによる高齢者の体調悪化や家族の負担増などが懸念されるが、感染防止のために苦渋の決断を迫られたところが目立つ。

改正新型インフルエンザ等対策特別措置法では、緊急事態宣言の対象の都道府県知事がウイルス蔓延(まんえん)防止に必要だと判断した場合、デイサービスとショートステイの介護事業所に休業要請できると規定。厚労省は7都府県に発令された7日を含む6〜12日と、全国に拡大された16日を含む13〜19日の状況を調べた。

13〜19日に休業していた858事業所のうち、843カ所が「感染拡大防止のための自主的な判断」を理由に挙げた。他は「自治体からの要請」2カ所、「学校などの休業に伴う人手不足」13カ所。都道府県別では東京121、大阪72、神奈川69、千葉60、埼玉54、福岡51と、先行発令の6都府県が上位を占めた。

全事業所における休業の割合は全国1・13%、7都府県に限れば1・69%だった。

一方、13〜19日には、訪問介護でも51カ所の休業が確認された。理由は「自主的な判断」49カ所、「人手不足」2カ所だった。

入浴やレクリエーションなどの介護サービスは、高齢者の健康維持に欠かせない一方、全国的に施設職員や利用者の感染も相次ぎ、施設崩壊、医療崩壊につながる恐れもある。ある介護事業者は「デイサービスの利用者同士で感染してしまうことも防がなければならない」と話している。

■2020.4.28  コロナ専門化の大阪・十三市民病院 職員に「バス乗るな」 退職者も
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、中等症患者の専門病院となる大阪市立十三市民病院(同市淀川区)。5月初旬からの受け入れに向け準備が進められる中、最前線に立たされる医師や看護師らが偏見や差別に苦しんでいる。病院で働く医療従事者の一人が産経新聞の取材に応じ「感染リスクを抱えながら、命を救うためぎりぎりの状態で働いている。どうかやめてほしい」と訴えた。

「コロナがうつるから乗るな! 扉を閉めてくれ」

コロナ専門病院になることが決まった数日後。十三市民病院前のバス停で、病院職員がバスに乗車しようとすると、中にいた乗客がそう叫んだという。

「わたしたちは行き場のない思いをこらえて、目の前のやるべきことと闘っている。あまりに苦しくて悲しい」

専門病院となることは、松井一郎市長が方針を表明した14日の夕方、ニュースで知った。病院内では5月1日にも運営開始というロードマップが示され、不安と戸惑いを抱えながら準備に奔走する日々が始まった。

100人以上の入院患者らを周辺病院に転院させる手続きが始まると、不安で泣き出す患者もいた。余命数カ月とされる末期がん患者にも転院による負担をかけることになり、患者に謝りながら、医師や看護師も泣いた。

そして、現場の医療従事者を一層追いつめているのが、差別的な扱いだ。同僚から市民に暴言を吐かれたという話を聞き「ここで働いていることが周囲に知られれば、自分や家族が何かいやな目に遭うんじゃないか」と恐怖心さえ抱くようになったという。

以前は病院の中まで運ばれていた荷物も、今は「入り口まで取りに来てほしい」と言われることも。専門病院となることが決まった当初、清掃業者は一時撤退を検討していたといい「病院のシーツや入院着を看護師が洗濯することになるのでは、と不安が広がった」という。「院内の窮状を会員制交流サイト(SNS)で訴えることは禁止されている。差別を受け精神的に限界の人もいる」。今月末での退職を選んだ職員も複数いるという。

恐怖と悲しみ、怒りを抱えながらも、コロナで苦しむ人の命を助けるため、今は「やらざるを得ない」という心境だ。これまで感染者を治療してきた呼吸器内科の医師がリーダーとなり、感染症対策の研修も始まった。「防護服の着脱方法から教えてもらっている。絶対に院内感染を起こさないようにしたい」。決死の覚悟で学んでいる。

神経をすり減らす日々の中、唯一の救いは、励ましの言葉や手紙だ。「大阪府民の方は(医療防護服の代替品として)雨がっぱをたくさん届けてくれた。あたたかい心に救われた。差別はやめて、応援してほしい。それだけが願いだ」

 

トップへ フッターへ