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残しておきたい福祉ニュース

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 2019.11. 1 開放感ある障害者支援施設の利用者専用レストラン 大分市の博愛会
 2019.11. 8 台風の被災地 避難所外にも避難者が (朝日新聞の社説)
 2019.11.13 台風被災自治体へ応援7900人 避難所運営や罹災証明支援へ
 2019.11.14 UDタクシー、3割が乗車拒否 車いす利用調査 障害者団体集計
 2019.11.14 UDタクシー3割が乗車拒否 障害者団体の全国調査
 2019.11.22 九州50病院 維持か再編か 人口減で病床減、危機感は共有
 2019.11.26 「障害児に手厚く」大阪市が待機児童解消に向け新たな補助を決定


■2019.11.1  開放感ある障害者支援施設の利用者専用レストラン 大分市の博愛会
大分市の社会福祉法人博愛会(釘宮卓司理事長)が運営する障害者支援施設「第一博愛寮」(定員80人)にこのほど、施設利用者専用のランチレストラン「CAFEANDRESTAURANTLEI(れい)」と「和食処 和(わ)」がオープンした。

施設利用者がメニューの中から自由に注文できる、全国でもあまり例を見ない「ノーマライゼーションを体現する食堂」と博愛会は話している。

第一博愛寮は1982(昭和57)年の建築で老朽化していたことから改築工事が行われ、昨年11月に完成した。RC造りの管理棟と木造平屋建て1棟と、木造2階建て1棟に84部屋がある。障害の特性ごとのユニット四つの構成で、全室トイレ付きの個室タイプに一新された。
博愛会の釘宮謙悟・事務局長は「入所施設は閉鎖的で暗く寂しい場所というイメージを持たれがちだった。社会に開かれ、プライバシーも保てる『やさしさ日本一の入所施設』をつくることがテーマだった」と話す。

人間関係のトラブルが激減し、以前は人恋しさと居場所のなさから、玄関に所在なげに座ってる入所者がいたが、今はそれもなくなったという。

「住」の次は「食」ということで、博愛寮が取り囲む中庭の一角に、和と洋のしつらえの高級レストランを思わせるような食堂を建設した。
食の質と向上に加え、定食屋のように自由に好きなものが注文できる食堂のオープンにつながった。障害者の入所施設はメニューを選べず、内容が画一的になりがちだったが、そんな施設の食事に一石を投じた。
メニューは「サバのみそ煮」や「ハンバーグ」「カレーライス」「パスタ(カルボナーラ)」など10種類。外食気分でランチを楽しむことができるようになり、給食に興味がなかった発達障害の入所者が、おめかししてランチを待つという、ほほえましい光景も見られるようになった。

博愛会は、食堂を食事だけでなく、カフェやバーとしても利用でき、さらにゲストを招いたイベントを催して憩いの場としても活用していく考えだ。

■2019.11.8  台風の被災地 避難所外にも避難者が (朝日新聞の社説)
相次ぐ台風による風雨で、東北から東海にかけて多くの家屋が被災した。いまも1都9県に約100の避難所が置かれ、2800人が暮らしている。

その人たちの心身の状態も気がかりだが、避難所に入らず、自宅で不便な生活を送る被災者の存在も忘れてはならない。
支援がゆき渡らずに体調を崩し、最悪の場合は関連死に至った前例もある。市町村は実態の把握にまず努めてもらいたい。

記録的な強風が吹いた9月の台風15号では、屋根瓦が飛ばされるなど、千葉県を中心に損壊家屋が5万棟を超えた。多くの河川が氾濫した先月中旬の19号と下旬の豪雨では、約7万棟が床上・床下浸水した。

ブルーシートで覆っただけの屋根の下や、水が引いたあとの家で毎日を過ごす苦労は、想像に難くない。雨漏りの不安は尽きず、泥水が流れ込んだ場所ではカビが繁殖しやすい。
それでも避難所に行かない、あるいは行けない理由はさまざまだ。寝たきりの家族がいる。ペットを飼っている。持病がある。落ち着けない。防犯上、家を空けるのは不安だ――。

東日本大震災を受けて13年に災害対策基本法が改正され、避難所以外にいる被災者の支援も行政の努めである旨が明記された。内閣府の避難所運営ガイドラインは、在宅避難者を「避難所に居場所を確保できず、やむを得ず被災した自宅に戻って避難生活を送っている者」などと定義し、「避難者は避難所の外にも存在する」という認識をもつよう自治体に促している。

市町村は、管内のどこに、どんな被災者がいるかを確認し、連絡がとれる体制を整え、生活再建に役立つ情報を伝える必要がある。「避難所にいれば知ることができたのに、自宅にいたので分からなかった」といった不満や、疎外感を引き起こさないことが大切だ。そのうえで、状況に応じて生活物資や食料を届けたり、保健師が巡回して健康状態をチェックしたりすることにも取り組んでほしい。

在宅避難者をどうやって支えるかは、3年前の熊本地震や、昨年の西日本豪雨の際にも大きな課題になった。人やものが集まる避難所を支援拠点として活用するなど、当時の経験と教訓をいかすときだ。

自治体には復旧にむけた業務が山積しており、実態を把握するにも人手がかかる。チラシの配布など、現地に入るボランティアの力を借りるのも一案だろう。ただ、被災地が広範囲に及び、地域によってはそのボランティアの確保が難しいのも、今回の災害の特徴だ。目配りのきいた、息の長い支援がこれまでにも増して求められる。

■2019.11.13  台風被災自治体へ応援7900人 避難所運営や罹災証明支援へ
総務省は13日、全国の自治体から台風19号の被災自治体に応援派遣された職員が延べ7909人に達したと明らかにした。被害が大きく、地元だけで避難所運営などをこなすのは難しいため。被災から1カ月がたち、今後は罹災証明の発行などで繁忙が予想され、息の長い支援が求められる。

調整役の総務省は、被災市区町村ごとに、原則として、応援を担当する都道府県や政令市を1対1で割り振る方式を採用している。責任を明確にし、被災地のニーズに応じた応援をしやすくするのが目的だ。

総務省によると、13日時点で長野など6県の計27市町へ34の道府県・政令市から職員が派遣されている。

■2019.11.14  UDタクシー、3割が乗車拒否 車いす利用調査 障害者団体集計
障害者団体「DPI日本会議」は十二日、車いすのまま乗車できるユニバーサルデザイン(UD)タクシーの車いす利用者への対応を十月に全国で調べた結果、乗車拒否が三割近くあったとの集計結果を公表した。同団体は結果を基に十四日、国土交通省に改善を要望する。

タクシーに搭載された乗降用のスロープ設置など運転手への研修実施を条件に、国はUDタクシー導入のための補助金を事業者に出しているが、乗車を断った運転手の中には「車いすの乗降方法が分からない」と回答する人もおり、車いす利用者への対応が現場に十分根付いていない実態が浮き彫りとなった。


調査は十月三十日に二十一都道府県で実施。車いす利用者延べ百二十人が参加し、流しや乗り場でUDタクシーへの乗車を試みたほか、事前に電話予約で配車してもらえるかどうかも調べた。拒否されたケースの内訳は流しが五人、乗り場九人、電話予約十四人、配車アプリなどが四人の計三十二人で、参加者の27%に上った。


東京以外での拒否率が特に高く、団体の佐藤聡事務局長は「都心部では対応が良くなっているが、地方でも車いすユーザーが利用できるよう徹底してほしい」と話した。

■2019.11.14  UDタクシー3割が乗車拒否 障害者団体の全国調査
障害者団体「DPI日本会議」は12日、車いすのまま乗車できるユニバーサルデザイン(UD)タクシーの車いす利用者への対応を10月に全国で調べた結果、乗車拒否が3割近くあったとの集計結果を公表した。同団体は結果を基に14日、国土交通省に改善を要望する。

タクシーに搭載された乗降用のスロープ設置など運転手への研修実施を条件に、国はUDタクシー導入のための補助金を事業者に出しているが、乗車を断った運転手の中には「車いすの乗降方法が分からない」と回答する人もおり、車いす利用者への対応が現場に十分根付いていない実態が浮き彫りとなった。

■2019.11.22  九州50病院 維持か再編か 人口減で病床減、危機感は共有
厚生労働省が9月、再編統合の検討が必要な公立・公的病院名の公表に初めて踏み切った。九州では50病院が該当。名指しされた病院や自治体には「地域の実情を反映していない」などの反発が根強い一方、人口減が進む中で多くの関係者が「全国的に病床数を減らさないといけない」との問題意識は共有する。ニーズの変化に対応しつつ、どう地域医療を守るのか。

検討対象に挙げられた嶋田病院(福岡県小郡市、150床)を運営する医療法人社団の島田昇二郎会長は「住民が安心して暮らすために欠かせない病院だ」と力を込める。消化器外科や脳神経外科など25診療科を掲げ、市内唯一の救急告示病院として救急の受け入れ数は年間2千件以上。「もし縮小したら救急医療への影響は大きい」と憤る。

障害がある人の医療の中核を担う北九州市立総合療育センター(125床)も名前が挙がった。昨年、建て替え工事を終えたばかりで、担当者は「市内外から患者が集まっている」と存在意義を強調した。

厚労省が病院名公表という強硬手段に出た背景には、医療需要の変化と現在の医療体制との隔たりがある。人口減と高齢化が進めば、医療費がかさむ「高度急性期」と「急性期」の病床を計20万床ほど減らす必要があると試算される。同省は2017〜18年度にかけて自治体に再編統合の検討を求めてきたが、各地の議論は「現状維持」のまま、進んでいない。



「人口減に応じた合理化は避けられない」。佐賀県の小城市民病院(99床)は、厚労省の指摘を冷静に受け止めた。既に、同様に公表された同県の多久市立病院(105床)と統合計画を進めている。

両病院がある同県中部地域は25年には約1200床が過剰になる見込み。地域医療の維持には、機能の集約で医師の偏在解消や経営健全化を目指すしかない。小城市民病院の事業管理者田渕和雄さんは「病床数を適正化しなければ、病院の存続そのものが危ういとの危機感は多くの病院が抱いているはず」とみる。

公表リストには入らなかったものの、九州では熊本県玉名市の公立玉名中央病院と玉名地域保健医療センターでも統合が進む。

ただ、暮らしに直結する医療機関の再編統合は容易ではない。統合案が浮上している福岡県の公立八女総合病院、筑後市立病院では、筑後市側が「市民の理解を得るだけの説明材料がない」とする。両病院に医師を派遣している久留米大が医師不足を理由に打診したのが発端だったが、着地点は見えていない。

公立・公的病院の病床の割合は全体の3割程度で、今後は約7割を占める民間病院も含めての議論が必要になる。年間8千億円を投じる公立病院の合理化を先行させ、議論を促そうという国の意向を危惧する声もある。城西大の伊関友伸教授(行政学)は「採算が合わずに民間では難しい過疎地や周産期、小児の医療など、公立ならではの役割は大きい」とくぎを刺す。


名指しされた計424施設は来年9月までに、再編統合も視野に将来図を描き直さなくてはならない。ニッセイ基礎研究所の三原岳主任研究員は「『総論賛成、各論反対』になりがちだからこそ、丁寧な議論と合意形成が求められる」と指摘。各地で将来のあり方を議論する「地域医療構想調整会議」の質の向上が必要だと話す。

議論が活発な地域ほど、自治体が地域ごとの外来患者数や、在宅に移行できる患者割合など具体的な需要予測を細かく示しているという。三原さんは「具体的に将来の医療ニーズを可視化することで、地域の実情に合致した病床数や病院ごとの役割が見いだせる」と提言する。

多くは自治体職員や医師会、病院関係者らが担う会議メンバーについて、みずほ総合研究所の戸高啓太さんは「利害関係者ばかりだと本音で話ができない恐れもあり、外部の有識者や経営の専門家などをもっと加えるべきだ」とも提案する。会議の資料や議事録をホームページで公開する自治体は6割程度(18年度、三原さん調査)。今後は議論の透明性を確保した上で、住民も議論に巻き込み理解を得ていく必要もある。 

■2019.11.26  「障害児に手厚く」大阪市が待機児童解消に向け新たな補助を決定
大阪市は、今年度の待機児童のうち9割が障害のある児童だったことから、保育施設への新たな補助を決定した。

大阪市の待機児童28人のうち、9割にあたる25人は障害がある児童で、多くは、必要な保育士や看護師が確保できないことが原因とされる。市は障害児受け入れのために事業者が追加で保育士を雇う際、補助金を支給しているが、それでも事業者側の負担は大きいとされ、新たに来年度から補助金を増額することを決めた。さらに、身体障害者用の椅子やバギーなど、これまで事業者が自費で購入していた備品の購入費を負担することも決めた。

 

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