残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2013年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

 2013. 2. 1 介護施設焼死事件:介護福祉士を鑑定留置 広島
 2013. 2. 1 社会福祉法人出島福祉村が運営する農林水産省6次産業化による直営店舗『きずなショップ』が2013年4月、「ヴィラコモン南山手」1階にオープン
 2013. 2. 1 介護はお世話からリハビリへ 「普通の生活」基本に 国際医療福祉大学大学院教授 竹内孝仁氏
 2013. 2. 1 車椅子などの福祉用具をデザインで支援
 2013. 2. 1 【高齢者編】もある、家族が病気にならない食べ方 「山田式栄養学」
 2013. 2. 1 知的障害の少女がわいせつ行為被害、県施設の臨時職員から/厚木
 2013. 2. 2 インフル集団感染3人死亡 横浜の病院、集団感染
 2013. 2. 2 入浴中の急死1万7千人 65歳以上、全国推計
 2013. 2. 3 院内インフル、未接種の入院患者3人死亡…横浜
 2013. 2. 3 院内インフル3人死亡、職員が感染拡大の原因か
 2013. 2. 4 入院患者ら14人インフル集団感染 2人死亡 仙台の病院
 2013. 2. 6 インフル感染患者2人死亡 鳥取市の病院
 2013. 2. 6 インフル感染の1人死亡 青森・むつの病院
 2013. 2. 6 神奈川県総合リハビリテーション事業団臨時職員に対する懲戒処分について
 2013. 2. 6 <悪質な虚偽報告!>介護報酬の不正請求などで5事業所の指定を取り消し――徳島県
 2013. 2. 7 医療機関・老人福祉事業者の倒産動向調査
 2013. 2. 7 離島を支えた福祉船が引退へ
 2013. 2. 7 障害者保健福祉に1兆3991億円 2013年度予算案
 2013. 2. 8 グループホームで火災 長崎、1人死亡
 2013. 2. 8 インフル集団感染で40代男性死亡 千葉市の障害者医療施設
 2013. 2. 9 増加傾向の施設 経営厳しく、不十分な施設・職員
 2013. 2. 9 防火扉の不備放置、2度の行政指導も 建築基準法に違法
 2013. 2. 9 福祉を食いもの?中津の団体、補助金不正受給
 2013. 2. 9 長崎・グループホーム火災:高齢者の悲劇、また 内部「迷路のよう」 住宅密集地に悲鳴
 2013. 2. 9 高齢者施設火災:法適用外でスプリンクラーなし
 2013. 2. 9 長崎高齢者施設火災 グループホームの見取り図
 2013. 2.10 福祉施設火災で1人死亡 新潟、5人軽傷か
 2013. 2.10 防火扉「覚えていない」 アイ・エル・エス代表 グループホーム「ベルハウス東山手」の火災
 2013. 2.12 介護施設火災、加湿器にショート?の痕跡
 2013. 2.12 スプリンクラー、小規模施設にも 総務相、義務化検討へ
 2013. 2.13 障害者をダーツの的に=暴行容疑、施設元役員逮捕―福岡県警
 2013. 2.13 <運営基準違反>同一代表者の居宅事業所と訪問事業所を行政処分――静岡県
 2013. 2.13 あきる野の特養入所者無断撮影:高齢者虐待と市が認定 /東京
 2013. 2.13 あきる野の特養入所者無断撮影:市、高齢者虐待と認定 緑愛会、介護主任を懲戒解雇 /東京
 2013. 2.14 障害者虐待容疑:頭上を的にダーツ 施設元次長逮捕 福岡
 2013. 2.14 障害者の頭上で「ダーツ」 暴行容疑で元施設次長逮捕
 2013. 2.14 老人福祉・介護事業所:67%に法令違反 労基署が改善勧告 /岐阜
 2013. 2.14 発達障害者支援に1・1億円 乳幼児期から成人期まで一貫支援 全国初 大阪府25年度予算
 2013. 2.14 <正しいマスクの使い方>予防意識は高くても、73%が正しく使用できていない――民間調査
 2013. 2.14 高齢者施設に歯科専門職派遣 厚労省
 2013. 2.14 ハンセン病、療養所の介護充実へ
 2013. 2.15 福祉施設でノロウイルス感染か 1人死亡
 2013. 2.15 繰り返されたグループホーム火災
 2013. 2.16 逮捕の元役員、系列施設でも虐待=福岡の障害者暴行事件―佐賀
 2013. 2.16 障害者虐待:福岡の元次長、佐賀の系列施設でも
 2013. 2.16 暴行容疑の元施設次長、性的虐待も 佐賀県、警察に通報
 2013. 2.16 3福祉施設で違反 松山市が火災予防特別査察
 2013. 2.18 <発症者52名に>都内の総合病院でノロウイルスによる食中毒発生――東京都
 2013. 2.19 北新地の元ホステス、生活保護不正受給で逮捕
 2013. 2.19 福祉年金廃止へ 福山市
 2013. 2.19 「白杖シグナル」広めよう 九州盲人大会で採択
 2013. 2.19 障害者虐待 人権守る理念の再認識を
 2013. 2.20 非正規35%高止まり 12年 福祉分野で増える
 2013. 2.21 福祉の手、届かず 群馬 3歳女児餓死か
 2013. 2.22 小規模福祉施設の実態調査=スプリンクラー未設置で−田村厚労相
 2013. 2.22 地検、高齢被告に刑の猶予求める 知的障害理由、千葉
 2013. 2.23 障害者福祉地域と共に 岩手・カナンの園40周年 あす式典
 2013. 2.23 施設内にリコール中加湿器=ヒーター部分脱落で異常過熱か−長崎グループホーム火災
 2013. 2.23 グループホーム運営の社福法人が介護報酬約1千万円を不当に受給 和歌山市
 2013. 2.23 38人修了 介護の道へ 高校生対象の 江別市ホームヘルパー2級講座
 2013. 2.23 千歳の障害者バンドに支援金 ヤマハ 社会貢献活動を評価
 2013. 2.23 エコボール:知的障害者が再生、球児に継投 京都のNPO就労支援 就労ネットうじ みっくすはあつ
 2013. 2.23 「赤ちゃんから大人まで」発達障害者一貫支援 大阪府市が連携
 2013. 2.23 不正経理:県が社会福祉法人に改善命令 /熊本
 2013. 2.26 発達障害で懲役20年判決破棄、高裁は14年に
 2013. 2.27 大人の発達障害 自分で修正してうまく適応できるケースあり


■2013.2.1  介護施設焼死事件:介護福祉士を鑑定留置 広島
広島市の介護施設で入所者の高齢女性が焼死した事件で、殺人などの疑いで逮捕された介護福祉士、入沢亜加音(あかね)容疑者(21)について、広島地検は1日、刑事責任能力を調べるための鑑定留置を広島簡裁に申請し、認められたと発表した。期間は4月22日まで。

捜査関係者によると、入沢容疑者は「介護の仕事が嫌だった。いらいらしていた」と供述している。入沢容疑者は昨年12月5日、勤務先の介護施設で加登久恵さん(当時85歳)の布団にライターで放火し、全身やけどを負わせて翌日に死亡させたとして逮捕された。

■2013.2.1  社会福祉法人出島福祉村が運営する農林水産省6次産業化による直営店舗『きずなショップ』が2013年4月、「ヴィラコモン南山手」1階にオープン
社会福祉法人出島福祉村(所在地:長崎県長崎市)は、農林水産省6次産業化法による直営店舗『きずなショップ』を、2013年4月に、長崎市内有数の観光地である南山手地域で建設中の建物「ヴィラコモン南山手」1階にてオープンします。
立地は南山手地域という歴史的な土地にあり、周辺には国宝大浦天主堂・グラバー邸など多数の文化財が点在する世界遺産候補地内にあります。

【社会福祉法人出島福祉村について】
社会福祉法人出島福祉村は、社会福祉法人として日本で初めて農林水産省農業6次産業化法の認定を受け、日本の農業離れや農業の労働人口の確保など、新たな労働資源の発掘になるような事業を目指しています。

【「ヴィラコモン南山手」について】
社会福祉法人出島福祉村が運営する農林水産省6次産業化による直営店舗『きずなショップ』がオープンする「ヴィラコモン南山手」は、高齢者介護、障がい者就労支援、障がいのある児童向けデイサービスの3つの機能を備えた高齢者専用分譲マンションです。

南山手地域は風致地区の為、伝統的な周辺の地域イメージを壊さない様にモダンな仕様となっており、1階には静かで落ち着いたカフェ等の交流スペースがあります。また、地域特産の店舗があり、そのバックヤードには、障がいを持った方々が働いています。入居者をはじめ、観光客の一休みとしてもご利用いただけます。そこでは、長崎が誇る枇杷を使った長崎ゆめびわ茶などを含め、びわのスイーツメニューなどが楽しめます。それらを運営する社会福祉法人出島福祉村は子育て世代の支援や障がい者の就労支援につなげます。

上層部は只今分譲中で、居住空間の2〜4階の住居部分ではスタイルに合わせた4タイプの間取りをご用意しました。テラス越しに長崎港を一望でき、リゾート気分に浸れる空間となっております。

また、設計に関しては、日本建築学会賞、吉岡賞、JIA新人賞など受賞歴が多数ある千葉学氏の設計によるもので、手すりの設置や段差のない床など、安全面に配慮したバリアフリーデザインはもちろんのこと、冬でも暖かく快適に過ごせる床暖房の標準装備、車椅子に対応したトイレ、洗面台など極め細かくこだわっています。

※「ヴィラコモン南山手」モデルルーム公開見学会申込先
みずほ信不動産
TEL:095-857-7344

【法人概要】
名称 :社会福祉法人出島福祉村
所在地:〒852-8106 長崎県長崎市岩川町2番3号
TEL  :095-844-0022
出島福祉村ホームページ: http://dejimafukushi.or.jp/

■2013.2.1  介護はお世話からリハビリへ 「普通の生活」基本に 国際医療福祉大学大学院教授 竹内孝仁氏
おむつゼロ、自力歩行などの「自立支援介護」に力を入れる介護施設が増えている。それを推進しているのが国際医療福祉大学大学院教授の竹内孝仁氏だ。家庭で介護できなくなった人が入る特別養護老人ホーム(特養)について、竹内氏は「終(つい)の住み家ではない。要介護度の高い高齢者の自立を助け、自宅に戻す役割が求められる」と強調する。介護は「お世話」から「リハビリ」へと変わろうとしている。


■1日に1500ccの水と1500〜1600キロカロリーの食事を


――竹内先生は、特別養護老人ホームなどの施設を対象に介護力を向上させる講習会を開かれているとのことですが、どんな講習をなさっているのでしょうか。

竹内 特養の全国団体で、全国老人福祉施設協議会(老施協)という組織があるのですが、そこが施設介護の質を向上させようということで、全国の特養に呼びかけて、毎年110〜120、多いときは180の施設を集めて開催しています。もう9年間、開催していますので、受講生は数千人になります。年6回、1回あたり1泊2日で徹底した事例研究をやっています。

高齢者ケアには、基本ケアというものがあって、それを教えています。まず、状況を改善するのは水なんです。高齢者の場合、1日1500ccくらいの水をちゃんと飲んでもらう必要があります。次に、エネルギー源になる食事も1500〜1600キロカロリーくらいはしっかり取ってもらう必要があります。しかも、常食(健康な人が日常生活で食べているような普通食)がいい。第3に、便秘にならないようにしなければなりません。便秘は消化機能を反映しています。便通が体調をかなり左右しています。4つ目が運動。要介護の人たちにとって一番いい運動は歩くことです。全国に40くらいある、おむつを使う入居者が1人もいない特養に行くと、入居者をすぐ歩かせるようにしています。要介護度4の人はほぼ全員、歩けるようになります。要介護度5の人がどれくらい歩けるようになるかは、その施設の技術水準次第と言えます。

■少しの支えで寝たきりの人も1カ月で1人でトイレに

――要介護度4とか5とかいうのは「寝たきり」といったイメージですが、歩けるようになるのですか。

竹内 介護度5というのは一番、介護度が重い人ですから、人の手を借りないと寝返りさえ打てません。そういう人がつかまり立ちで、だいたい5秒くらい、なんとか倒れないでいられれば歩けるようになります。5秒、倒れないでいられたら、即刻歩行器を使います。

初めは寄りかかっているのですが、寄りかかると歩行器は前のほうに進みます。そうすると足が引きずられていって、歩行運動が自然にできるようになります。朝昼晩、食堂に行くときに「途中まででもいいですから、がんばって歩きましょうか」と言って、歩行器を使うようにすると、2週間くらいで、歩行器を使って歩くことができるようになります。完全に寝たきりだった人が1カ月くらいで、少し支えてあげると、手すりにつかまって、そろりそろりとトイレに行けるようになります。

なんで歩くことに重点を置くかというと、歩くことが自立につながるからです。病院に行ってすぐにおむつをされるのは歩けないからです。トイレまで歩ける人はおむつは要りません。歩くと便通が良くなります。そして、「歩けた」というのが生きる励みになります。歩けるようになるとあらゆる活動が活発になります。

■流動栄養物では食べる楽しさ失う

――食事をできるだけ常食にするというのはどんな効果があるのですか。

竹内 ミキサーで砕いたものや、刻んだものはおいしくありません。胃ろう(口から食事のとれない人に対して、直接胃に栄養を入れる方法)によって流動栄養物を取る方法は、食べる楽しさを失わせます。いま、各地の特養で常食化の大運動が始まっています。そして、胃ろうゼロという特養も出始めています。

食事をベッドで食べていたお年寄りに、食堂で食べるようにしてもらったところ、お年寄りが生き生きとしました。食事は普通、家族や親しい人としますね。会食の楽しみが大事なのです。

お年寄りみんなが食堂で食べるようになりコミュニケーションが活発になると、女性はお化粧を始めます。そして「○号室のおじいちゃんはちょっといいね」といった艶っぽい会話も出てきたりします。

――水を飲むのが基本というのはどういうことなのですか。

竹内 ふつう水を意識しないで介護していると、水が足りていないことが多いです。そうすると脱水症が起こってくるのですが、一番最初に出てくる症状は意識の低下です。意識障害が起きると、子どもが寝ぼけておねしょをするような感じになります。尿がたまっても尿意を感じないのです。尿がたまったなと分かっても抑制がきかないでトイレにいく前に漏らしてしまう。水をしっかり取ると意識がはっきりして、尿意や便意を感じて我慢ができます。

■要介護の人もできるだけ「普通の生活」を

――要介護の方でも普通の生活に近いことをするのがいいということなのですね。

竹内 私が進めている「自立支援介護」は「普通に戻れ」と言っているだけのことです。高齢化社会の問題が深刻になっているのは、自分のことを自分でできなくなっているお年寄りが増えているからなんです。だから介護が必要だし、家族がそれによって大変な思いをします。仮にすべてのお年寄りがすべて自立できると介護保険は要らないわけです。

行きたいところに行き、食べたいものを食べる。そういう生活ができるわけです。要介護でないことはQOL(quality of life、生活の質)を高めるので、私はお年寄りの自立を目指しています。

――先生の著書「医療は『生活』に出会えるか」で、褥瘡(じょくそう)、いわゆる床(とこ)ずれを防ぐのに一番効果があったのは、お年寄りを座らせることだった、と書かれていますね。

竹内 あれは世紀の大発見です。もともとは体位交換を盛んにしていたのですが、体位交換をすると褥瘡が増えてしまうんです。落とし穴は「お年寄りは寝ている生活が当たり前だ」という発想でした。寝ているなかで褥瘡を予防したり退治したりするのは難しかった。普通の生活では寝ているばかりではなくて、座っておしゃべりしたり、テレビをみたり、食事したりするものです。そういう普通の生活をさせると褥瘡が治ったのです。

■ケアの基本は水分・栄養・お通じ・運動

――歩いたり食事を改善したりすることが寝たきりのお年寄りに効果的というお話ですが、認知症の場合も「普通の生活」をすることが大切なのでしょうか。

竹内 興奮したり、わめいたり、なかにはティッシュペーパーを食べてしまったりする異常行動がなければ、認知症になっても普通のぼんやりしたお年寄りに戻るわけです。そういう異常行動を治そうとすれば、やはり水分、栄養をとり、お通じを快適にするというのが大事になります。そして、世界の研究が一致して示しているのが運動の大切さです。ケアの基本は同じです。

――脳の問題ではないのですか。

竹内 高血圧という病気がありますね。血圧が上がるというのは血管と中を流れている血液の関係の問題ですね。けれども高血圧の原因は何ですかと聞かれたときに、塩分の取りすぎとか、肥満だとか、喫煙だとかが原因だというわけです。血管は絡むのだけれど根本的な原因というのはそういうものなのです。

認知症も、例えば遠くの町から越してきたお年寄りがあっと言う間に認知症になるとか、お嫁さんが家にやってきて仕事がなくなったお姑さんが認知症になるとか、そういうエピソードはいっぱいあるわけです。脳だけを見て、すべて回答が出るかというと、そうではない。非常に多くの心理的、社会的な要因が絡んでいる。そういう病気だと考えないと認知症を正しく理解できないんです。

■異食も基本ケアで3分の2は治る

紙を食べてしまう異食といった症状は、水分、食事、お通じ、運動の基本ケアで3分の2は治ってしまいます。認知症というのは認知障害が起きる病気です。ここがどういう場所で、自分とどういう関係があって、だから自分はどうしたらいいかということが普通はぱっと分かるのですが、認知症の人は分からない。

認知力が低下していく原因のなかに、体調があります。水、食事、快便、運動はすべて体調に関係しています。それを立て直すと、異食をしていても3分の2くらいは治ってしまうのです。残りの3分の1は別の理由があるので固有のケアを追加していきます。

――先生が取り組まれているような介護は、まだ十分には広がっていないと思います。どのようにすれば広がるのでしょうか。

竹内 最終的には教育の問題になると思います。今の介護職の学校教育では自立支援介護教育はされていません。私が研修会でやっている研修では、学校でやるべき内容も半分教えなければなりません。だから2日間の研修を6回もやらなければいけないのです。

■低い介護職の待遇 看護師並みの賃金を

――自立支援というよりも、単にお世話をするという感じになっているのでしょうか。

竹内 現状ではそうですね。ですから介護の専門学校を卒業して特養に行くと、おむつをしている人を自立させるのではなくて、まずおむつ交換をさせられる。それから食事の介助。自分で好きなものを食べられるようにするようには持っていきません。

――先生がお考えになるプロの介護は自立支援を目指すものなのですね。

竹内 介護士と看護師がいたときに、世間の人たちは、看護師は専門家と見ます。けれども、介護士を専門家とは見ません。それが介護職の待遇の低さに関係していきます。介護職の賃金を看護師並みにしたいと私は思っています。特養などでは30歳前後の看護職と介護職の年俸は100万円くらい差があります。世間の人が介護の人もこんなに素晴らしい専門性を持っていて頼りになるんだと思ったときに介護職の給料は上がると思います。

■現行制度の矛盾 要介護度下げると報酬は減少

――自立支援介護で要介護度を下げると介護報酬が下がるという制度の矛盾もあります。

竹内 現状はその通りなのです。がんばって自立させると要介護度が下がって報酬が減ります。ところがおむつがゼロになった瞬間におむつ代が年間数百万円節約できる。胃ろうを外したり、ペースト食、ミキサー食を普通食に変えても、相当コストが下がります。

 一方、要介護度5でおむつをしていた人が立っておむつが外れても、いまのチェック方式だと、要介護度2にはなりません。なかには要介護度3くらいになる人も出てきますが、トータルで見ると減収にはなりません。

自立支援介護などの努力をしたくない人が、「頑張ると介護報酬が下がるからやらない」と言っているだけです。“治す介護”にもっと前向きに取り組んでほしいと思います。

――施設に入っても自宅介護と同様に、「お世話される」だけならば、自宅介護のほうがいいわけですが、施設に入って治してくれるならば、施設介護の優位性が高まりますね。

竹内 私が考えている自立支援介護は、こういうイメージです。「要介護になったら施設にいらっしゃい。テキパキ治してあげるから。そうしてまたお家へ戻りましょう。要介護になったらまたいらっしゃい」――。出たり入ったりする。

“在宅復帰特養”になれと言っています。いま在宅で要介護認定を受けたばかりの人が1年後に要介護で4や5に重度化する例は多いです。年間21万人くらいが自宅で重度化しています。病気をした人が入院した後、老人保健施設や回復期リハビリテーション病院へ行って家に帰るというルートはあるのですが、家にいたまま要介護度が高くなる人は病院では受けてくれません。ですから特養にそれを受けたらどうかと言っています。

■自立支援介護の推進が離職者増に歯止めかける

――現状、特養は入居待ちの人が42万人もいると言われています。

竹内 それは家に戻さないからです。特養は終の住み家ではありません。だいたい3カ月あれば、要介護度4や5でも、ほどほどのところに持っていけます。

――今後、介護のプロと呼べる人材を増やしていくことはできるのでしょうか。

竹内 5人で10人の介護をするのがいまは精一杯ですが、自立支援でふんばると5人で15人をみることができるようになります。でも5人を8人にするのは大変ですね。

それと自立支援介護に価値を見出した人は離職しなくなっています。自立支援介護に力を入れることで離職者が出やすい環境を改めることはできます。

――介護保険法は、自立支援を目的にしているのですか。

竹内 「要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする」という一文がありますが、その大事な理念が実現していません。

――竹内先生が孤軍奮闘では、困りますね。

竹内 私の考えを継ぐ人間はたくさん出てきていますので大丈夫です。すでに事例の指導などは私がやる必要はなくなっています。


 たけうち・たかひと 1941年東京に生まれる。66年日本医科大学卒業。日本医科大学教授(リハビリテーション科)を経て、04年より国際医療福祉大学大学院教授(医療福祉研究科)。この間73年より特別養護老人ホームに関わり「離床」「おむつゼロ」などを実践。80年代後半より高齢者在宅ケア全般に関わる。著書に、「医療は『生活』に出会えるか」(医歯薬出版)、田原総一朗・竹内孝仁共著「認知症は水で治る」(ポプラ社)などがある。

■2013.2.1  車椅子などの福祉用具をデザインで支援
高齢化社会と障がい者の未来を、デザインの視点から考える

NPO法人シブヤ大学は、車椅子などの福祉用具が「デザイン」の力を通じて、いかにして日本の高齢化社会の在り方や障がい者の自立支援を向うえできるのかを考える授業を、2月20日(水)西武渋谷店にて開催する。

車椅子姿の高齢者や障がい者などらが利用している福祉用具としてのパーソナルモビリティの目的はあくまでも「移動」で、身体を補助することに重きを置いているが、北欧をはじめとする海外では、パーソナルモビリティは、障がいがあろうがなかろうが、デザイン性や機能に富んだ福祉用具が多く見受けられる。

次世代型パーソナルモビリティ(幼児、高齢者、障がい者や健常者。このような枠組みを捨てて、皆が生活を楽しめる)を開発しているモビリティデザイナーの磯村歩さんを講師として招く。欧米のパーソナルモビリティの先行事例や、今後の日本におけるパーソナルモビリティの未来についての講演がある。


■2013.2.1  【高齢者編】もある、家族が病気にならない食べ方 「山田式栄養学」
株式会社現代書林は、『細胞から元気になる食事』でおなじみ――「山田式栄養学」のすべてをまとめた決定版『家族みんなが病気にならない食べ方事典』(山田 豊文著)を2013年2月2日に発売する。

同書では、心身の不調を治せるのは細胞だけという「山田式栄養学」のすべてを、家族それぞれに合わせて「年代別」「男女別」「症状別」にわかりやすく解説している。

『家族みんなが病気にならない食べ方事典』概要

序 章 栄養から守る明るい未来
第1章 家族みんなが元気になる栄養学【基礎編】
第2章 お子さんを健康に育てる栄養学【子供編】
第3章 お母さんの健康を守る栄養学【女性編】
第4章 お父さんの健康を守る栄養学【男性編】
第5章 お年寄りが健康でいられる栄養学【高齢者編】
終 章 細胞から元気になる生活術

以上の項目からなるが、特に第5章【高齢者編】では、お年寄りにとって気になる「認知症・関節症」などに対抗する方法をはじめ、寝たきりでない健康長寿を目指し、元気に年を重ねていくためのコツを紹介。また、家族みんなの健康百科事典として同書はあらゆる世代や症状を網羅している。

■2013.2.1  知的障害の少女がわいせつ行為被害、県施設の臨時職員から/厚木
県総合リハビリテーションセンター(厚木市七沢)の福祉施設を利用する知的障害のある10代後半の少女が、運営団体の臨時職員の男性(62)からわいせつ行為の被害を受けていたことが31日、分かった。臨時職員はわいせつ行為を認め、被害少女は「1月中旬以降、複数回された」と話しているといい、県が経緯を調べている。

県によると、臨時職員は施設を管理運営する指定管理者の県総合リハビリテーション事業団に約4年前に採用され、1年ほど前から少女がいる部署で働き始めた。少女ら施設利用者の食事の付き添いなど、生活の介助を担当していた。

少女は「キスや体を触られたことがある」などと話しているといい、県などは調査を進める。

同事業団は、少女と保護者に謝罪し、少女にカウンセリングなどを行っている。保護者は、刑事事件として県警に告訴するかどうか検討しているという。

同事業団は「(臨時職員は)これまで働きぶりに問題はなかった。短期雇用の職員への教育が適正だったかどうかを検証しなければならない」と話した。県は「再発防止に向けて、指導していく」としている。

■2013.2.2  インフル集団感染3人死亡 横浜の病院、集団感染
横浜市鶴見区の汐田総合病院は2日、入院患者10人がインフルエンザに集団感染し、70〜80代の男性患者3人が死亡したと発表した。

病院によると、1月29日以降に入院患者に発熱などの症状が現れ、インフルエンザA型の陽性反応が出たという。

■2013.2.2  入浴中の急死1万7千人 65歳以上、全国推計
高齢者が自宅などで入浴中に意識障害を起こしておぼれたり、脳卒中や心筋梗塞を発症したりして急死するとされる「入浴関連死」が、全国で年間約1万7千人に上るとの推計を東京都健康長寿医療センター研究所が2日までにまとめた。

入浴中の急死は冬場に多発。温度差による血圧の急激な変化が原因と指摘されるが、実態はよく分かっていない。熱中症も原因の一つと言われており、厚生労働省は、具体的な発症要因を探り防止策につなげようと実態把握を進める方針だ。

調査は、寒冷地では入浴死のリスクが高まると指摘されることから、東日本を対象にした。

同研究所の高橋龍太郎副所長によると、冷え込んだ脱衣所や浴室では急に体温が奪われ血管が縮んで血圧が上がる。湯船に入った直後も熱さが刺激となって血圧が上がり、その後は血管が広がって急速に下がる。こうした血圧の急変動が意識障害の引き金になり、おぼれる恐れがあるという。脳卒中などの発症につながるほか「湯に長く漬かることで熱中症もあり得る」とする。

■2013.2.3  院内インフル、未接種の入院患者3人死亡…横浜
横浜市鶴見区の汐田うしおだ総合病院(窪倉孝道院長、261床)は2日、入院患者と職員の計15人がインフルエンザに集団感染し、うち70〜80歳代の男性入院患者3人が死亡したと発表した。

同病院によると、1月29日、患者と職員計2人の感染が判明。2日までに、5階に入院している70〜80歳代の患者13人と、同階を担当する30歳代の看護師ら職員2人がインフルエンザと診断された。死亡した3人は29日頃から微熱などの症状を訴え、30日午後から31日朝にかけて肺炎で死亡した。3人は肺疾患や肺がんなどで入院中で、いずれもインフルエンザA型の陽性反応が出たという。

同病院では約9割の職員がインフルエンザの予防接種を受けており、感染した職員2人も接種していた。入院患者に対しては希望者のみの接種で、死亡した3人は受けていなかったという。2日に記者会見した窪倉院長は、「集団感染が起きたことは遺憾だ」と述べた。集団感染の発生を受けて、外部からの面会制限などの措置を講じているという。

病院や特別養護老人ホームなどでのインフルエンザが影響したとみられる死者は今冬、神奈川県のほか、長野県や静岡県などでも出ている。

厚生労働省によると、定点観測している全国約5000の医療機関から1月21〜27日の週に報告された患者数は1医療機関あたり36・44人。1週間の推定患者数は、全国で約214万人に上るという。

■2013.2.3  院内インフル3人死亡、職員が感染拡大の原因か
横浜市鶴見区の汐田うしおだ総合病院で3人が死亡したインフルエンザの集団感染。

2日に横浜市役所で記者会見した同病院の窪倉孝道院長は、「ウイルスが持ち込まれた経路は不明だが、病院での感染拡大は職員が原因だった可能性がある」と述べ、「患者の命に悪影響を及ぼしたことは誠に遺憾」と謝罪した。

同病院は計261病床で、現在の入院患者は209人。死亡した高齢者3人を含め、感染した患者13人は、同病院の5階フロアに入院していた。同フロアの患者は「おむつ交換や食事で職員の介助を必要とする人が多い」(同病院)といい、死亡した3人のうち2人は寝たきりの状態だったという。

同フロアで感染が拡大した理由について、窪倉院長は「フロアを歩き回れる職員が原因の可能性がある」と説明。同病院では職員の約9割と、希望した入院患者がインフルエンザの予防接種を受けていたが、死亡した3人は受けていなかった。感染者計15人のうち、職員1人と患者2人はすでに回復し、残る9人についても命に別条はないという。同病院は感染した患者を隔離する措置を取っており、感染が広がる可能性は低いとしている。

■2013.2.4  入院患者ら14人インフル集団感染 2人死亡 仙台の病院
仙台徳洲会病院(仙台市泉区)は4日、入院患者と看護師計14人がインフルエンザに集団感染し、うち70代女性と80代男性の患者2人が死亡したと発表した。

同病院によると、14人は1月下旬から2月上旬にかけて発症。女性は2月1日に、男性は同3日に死亡した。14人全員からインフルエンザA型の陽性反応が出たという。

■2013.2.6  インフル感染患者2人死亡 鳥取市の病院
鳥取市の尾崎病院は6日、インフルエンザに感染した、入院患者2人が死亡したと発表した。

同病院によると、82歳と75歳の男性患者がそれぞれ4日と5日に亡くなった。病院は感染患者を1月21日から確認しており、亡くなった2人を含めて、17人が感染しているという。

■2013.2.6  インフル感染の1人死亡 青森・むつの病院
青森県むつ市のむつ総合病院で1月、入院患者や看護師、職員ら計82人がインフルエンザに集団感染し、うち入院患者だった同市の60代女性が死亡していたことが6日、分かった。ほかの患者らは快方に向かっている。

同病院によると、亡くなった女性は1月4日に心筋症のため入院。23日にインフルエンザA型の感染が確認され、31日に心筋症悪化による心不全のため死亡した。病院は「インフルエンザが契機となった」としている。

感染経路は不明だが、女性は入院後に外出していないため、院内で感染したとみられるという。同病院では、インフルエンザの流行を受けて、1月中旬から入院患者への面会制限をしていた。

■2013.2.6  神奈川県総合リハビリテーション事業団臨時職員に対する懲戒処分について
1 事案の概要

 神奈川県総合リハビリテーション事業団の臨時職員(62歳、男性)が、同事業団の運営する福祉施設の入所女性に対し、平成25年1月28日(月)、施設内でキスをするという不適切な行為を行っていたことが、外部の実習生からの相談により、翌29日(火)夕方判明した。

 被害女性及び加害職員からの聞き取りを行った結果、平成25年1月14日(月)頃から、発見される1月28日(月)までの間、10回程度不適切な行為(キス、胸等への身体的接触)を行っていたことが確認された。

2 処分内容 

 懲戒解雇

3 処分年月日

 平成25年2月6日(水) 

4 監督責任

 ・ 園長         減給10分の1  1月

 ・ 居住支援課長   減給10分の1  1月 

 ・ 副園長(事務)   けん責(注:本人から始末書を徴し、将来を戒めるもの)

 ・ 副園長(技術)   けん責 

5 県の対応

 ・ 本件の不適切事案を受け、「神奈川県総合リハビリテーションセンターの管理に関する基本協定書」に基づき、2月4日付けで指定管理業務の改善を勧告した。

 ・ 社会福祉法及び児童福祉法に基づく調査を継続中であり、今後、各法令に基づく対応を図っていく。

■2013.2.6  <悪質な虚偽報告!>介護報酬の不正請求などで5事業所の指定を取り消し――徳島県
徳島県は、1月30日、介護報酬の不正請求などで、徳島市の株式会社シニア・ライフシステムが運営する5つの事業所指定を取り消すと発表した。

5事業所は、徳島県藍住町と美馬市の訪問介護事業所と訪問介護・介護予防訪問介護事業所、通所介護・介護予防通所介護事業所で、処分の理由として、虚偽のサービス実施記録や人員基準違反、必要な減算手続きをしていないことなどをあげている。処分はいずれも2月25日付け。

【事業者の概要】
■運営者:株式会社シニア・ライフシステム(代表取締役 佐藤保彦)

■運営者の所在地:徳島市安宅一丁7番2-3号

■事業所名・所在地・サービスの種類
1.ケアホーム高輝ヘルパーステーション(藍住町徳命字新居須80番地1)
サービスの種類:訪問介護、介護予防訪問介護(指定年月日平成23年2月1日)

2.ケアホーム高輝デイサービスセンター(藍住町徳命字新居須80番地1)
サービスの種類:通所介護、介護予防通所介護(指定年月日平成23年2月1日) 

3.ケアホームやすらぎの丘ヘルパーステーション(美馬市脇町字拝原1780番地1)
 サービスの種類:訪問介護(指定年月日平成23年8月1日)

4.ケアホームやすらぎの丘デイサービスセンター(美馬市脇町字拝原1780番地1)
 サービスの種類:通所介護、介護予防通所介護(指定年月日平成23年8月1日)

5.ケアホーム和の里ヘルパーステーション(美馬市脇町字拝原1319番地1)
 サービスの種類:訪問介護、介護予防訪問介護(指定年月日平成24年9月1日)

【処分の理由】
■訪問介護事業所
1)ケアホーム高輝ヘルパーステーション
・訪問介護員が勤務していない時間帯にもかかわらず、虚偽のサービス実施記録を作成したほか、1人の訪問介護員が同日同時間帯に複数の利用者にサービス提供をしたという記録で介護報酬を不正に請求、受領した。

2)ケアホームやすらぎの丘ヘルパーステーション
3)ケアホーム和の里ヘルパーステーション
・サービス提供責任者が併設の事業所の業務を兼務するなど、常勤専従の人員基準を満たしていなかった。
・勤務実績と異なる勤務表をもとに実際にサービス提供を行っていない訪問介護員の名前を使用して虚偽のサービス実施記録を作成し、介護報酬を不正に請求、受領した。

■通所介護事業所
1)ケアホーム高輝デイサービスセンター
・生活相談員が必要とされる時間数の配置がなされていない日があるなど、人員基準を満たしていなかった。
・生活相談員、看護職員や介護職員について休日や有給休暇の取得があるにもかかわらず、全営業日出勤したように押印した虚偽の出勤簿を監査時に県に提出した。

2)ケアホームやすらぎの丘デイサービスセンター
・生活相談員が必要とされる時間数の配置がほとんどされていなかったほか、看護職員が配置されていない日があるなど人員基準を満たしていなかった。
・看護職員の配置数が人員基準上必要な人員を下回っていた月があったが。介護報酬30%減算の手続きをせずに介護報酬を全額請求し、受領した。
・勤務実績と異なる勤務表をもとに、実際にサービス提供をしていない従業者の名前を記載した虚偽のデイ業務日誌を作成していた。

■2013.2.7  医療機関・老人福祉事業者の倒産動向調査
2000年〜2012年の医療機関の倒産件数は437件(病院100件、診療所202件、歯科医院135件)、老人福祉事業者の倒産は164件で、2012年は医療機関が37件、老人福祉事業者が29件となった。

倒産態様別では、診療所、歯科医院、老人福祉事業者の8割超が「破産」となったほか、業歴別では、老人福祉事業者の76.8%が「10年未満」での倒産となった。2012年は病院(3件)が2001年と並び過去最少、また、歯科医院(15件)は2009年と並び過去最多となった

■2013.2.7  離島を支えた福祉船が引退へ
笠岡諸島(笠岡市)を巡回している国内初の福祉サービス船「夢ウエル丸」が、2014年3月末で廃船になる見通しとなった。各島の介護施設整備や船の検査費負担を理由に、笠岡市が6日の市議会で方針を示した。1993年に就航し、島の高齢者福祉を担ってきた「動くデイサービス船」は20年余りで役割を終える。

夢ウエル丸は離島で暮らす高齢者の健康維持を目的に、93年に就航。有人7島の計10港を巡回し、1日1港に停船して船内で入浴やレクリエーション、食事など介護保険とは別の福祉サービスを提供している。利用者負担は食費の400円のみ。2011年度までに4092日間運航し、延べ9万712人が利用した。

20年の間に船は老朽化し、検査費は年間300万〜1千万円かかる。経費は国や岡山県の補助を受けずに市が単独で負担し、11年度の事業費は4385万円。財政難の市にとっては負担となっており、14年度の検査費も1千万円を見込む。

財政負担の問題とともに、4島でデイサービス施設が整備され、市は夢ウエル丸の事業廃止を検討してきた。利用する高齢者の意見を聴き、代替事業を検討した上で廃船する。

廃船はこの日の市議会環境福祉委員会で市が報告。清水進健康福祉部長は「島に施設ができ、ウエル丸は役割を終えた。今後の対策は地元の意向も踏まえて慎重に考えたい」と説明する。介護施設のない市最南端の六島で1人暮らしする三宅末子さん(74)は「船ではみんなとおしゃべりができ、毎回楽しみにしている。廃船は寂しい」と訴える。

■2013.2.7  障害者保健福祉に1兆3991億円 2013年度予算案
厚生労働省の障害保健福祉部の2013年度予算案は1兆3991億円で対前年比7・3%増となっている。
4月から障害者総合支援法が施行されることを踏まえ、サービス基盤の整備に力を入れるとしている。障害福祉サービスへの給付は8689億円で805億円増加。新たに、難病患者もサービスがうけられるようになるのが追加点。

■2013.2.8  グループホームで火災 長崎、1人死亡
8日午後7時40分ごろ、長崎市東山手町のグループホーム「ベルハウス東山手」で火災があった。長崎県警によると、入居者ら計14人が搬送され、このうち2人の死亡が確認された。意識不明となっている入居者らもいるという。

県警大浦署によると、グループホームには出火当時、少なくとも女性の管理人(75)と、70歳代〜100歳代の入居者10人がいたという。

同施設は鉄筋4階建てで、入居者は1階から3階に居住し、管理人は4階に住んでいた。

現場はJR長崎駅南約2キロ。観光名所「グラバー園」にも近く、住宅などが密集した地域。

■2013.2.8  インフル集団感染で40代男性死亡 千葉市の障害者医療施設
千葉市は8日、同市若葉区の重症心身障害児者医療施設「千葉市桜木園」でインフルエンザの集団感染が発生し、入所者の40代男性が死亡したと発表した。

同市などによると、死亡した男性は今月2日に発熱し、インフルエンザと診断された。5日からは同市内の病院に入院して治療を続けたが、6日に急性呼吸不全で死亡したという。

同施設では、先月25日以降、入所者36人と職員11人の計47人が相次いでインフルエンザに感染。このうち入所者2人が一時呼吸不全の重症となったが、現在は快方に向かっている。

死亡した男性を含めほぼすべての職員と入所者が昨年11〜12月にインフルエンザの予防接種を受けていた。

同施設は、集団感染の確認後、発症者の部屋を分けるなどして対応。先月末からは短期入所の受け入れを中止し、面会を制限するなどの対策を取っていた。

■2013.2.9  増加傾向の施設 経営厳しく、不十分な施設・職員
高齢化が進み、認知症患者が増える中、グループホーム施設数は近年、増加傾向にある。一方で多くの事業所は厳しい経営を強いられており、十分な設備や従業員が確保できていないのが現状だ。

国土交通省が昨年12月に公表した防火態勢の調査でも、認知症高齢者向けグループホームで違反のあった1551施設のうち57%しか改善されていなかった。

「ベルハウス東山手」は設置義務はないものの、スプリンクラーが設置されていなかった。国は平成21年4月に消防法を改正。自動火災報知機や火災通報装置の設置が義務付けられ、スプリンクラーの設置も延べ床面積1千平方メートル以上から、275平方メートル以上に厳格化された。だが、ベルハウスは約270平方メートルと対象外だったとみられる。

過去にもグループホームや老人ホームなどでは、火災が発生するたびに多くの犠牲者を出した。

最近では18年に長崎県大村市のグループホーム「やすらぎの里」で入所者7人が死亡。20年には神奈川県綾瀬市の知的障害者施設の火災で3人が死亡した。21年に群馬県渋川市の老人施設「たまゆら」で発生した火災では10人が死亡。22年の札幌市北区の認知症高齢者グループホーム「みらい とんでん」では男女7人が死亡する火災が起きた。

多くの犠牲者が出る背景には、入所者が自力で避難できないケースが多いためとみられるが、理由はそれだけではない。

グループホームでは、複数の高齢者がグループとなり、共同生活を送る。入所者に対して職員数が十分とはいえないのが現状で、特に夜間は日中に比べて職員数が少なくなるため、危険性は増す。夜間に起きた「やすらぎの里」や「みらい とんでん」の火災では当直は1人だけだった。

現場に駆けつけた長崎市認知症グループホーム連絡協議会の相田亜希子会長(41)によると、「やすらぎの里」の火災の反省を生かすため、複数のグループホームの職員が集まって勉強会を繰り返していた。

「こうした火災を二度と起こさないようにしていたのに」と肩を落とした。

■2013.2.9  防火扉の不備放置、2度の行政指導も 建築基準法に違法
4人が死亡、2人が意識不明の重体となった長崎市のグループホーム「ベルハウス東山手」の火災で、長崎市が防火扉の不備を建築基準法違反に当たるとして2度にわたり行政指導したのに施設側が放置、改善していなかったことが9日、同市の調査で分かった。長崎県警と長崎市消防局は、2階中央付近の部屋が火元とみて出火原因を調べた。

捜査関係者によると、この居室内にあった加湿器の燃え方が激しく、近くの衣類から煙が出ていたとの目撃情報があった。長崎市によると、平成22年4月に点検した際、火元とみられる2階には建物内部の延焼を防ぐ防火扉がなく、ほかの階の防火扉も閉まりづらいなどの不備が見つかり、改善を指導。同年9月に再調査したが、問題は未解決で、2度目の指導をしていた。市建築指導課は「指導は強制力もなく、聞き入れられなかった」と話した。

■2013.2.9  福祉を食いもの?中津の団体、補助金不正受給
大阪市から福祉関連の補助金を受けた同市北区中津の地域団体「中津地域ネットワーク委員会」など中津地域にある4団体の平成19、20年度の実績報告書に、領収証の重複使用などの不正や領収書などの裏付けがない支出があったとして、市は8日、計約98万円の返還を請求すると発表した。

市によると、同委員会元幹部の70代の男性がこれらの報告書を作成。男性は不正は認めているが、「(不正分の)使途は覚えていない」などと説明しているという。市は、男性を大淀署に詐欺罪で告訴する方針。

補助金の大半は北区社会福祉協議会などを通じて交付されているため、今回の市の返還請求の対象は同協議会などになる。

報告書の不正が見つかった4団体のうち、同委員会など2団体は昨年3月、18年度分の報告書について同様の問題が発覚。市は約76万円の返還を受け、調査を進めていた。

■2013.2.9  長崎・グループホーム火災:高齢者の悲劇、また 内部「迷路のよう」 住宅密集地に悲鳴
介護が必要なお年寄りが暮らす施設でまたも悲劇が起きた。8日夜、長崎市内で発生したグループホーム火災。現場は傾斜地にある住宅密集地で、救助活動は難航、複数のお年寄りが亡くなった。

「1階中央部分から炎が上がっているのが見えた。こちらに燃え移るか心配だった」。グループホームの近くの病院に勤める女性職員は出火直後の恐怖を振り返る。グループホームの隣に住む会社員男性(55)は、グループホームの窓越しに中で真っ赤な炎が燃え上がっている様子が見え、高齢女性の「キャー」という甲高い悲鳴を聞いた。

また、近所の女性は「施設の近くで職員とひなたぼっこをしているおじいちゃん、おばあちゃんの姿をよく見かけていたのに……」と声を落とした。

現場は観光地として有名なオランダ坂沿いにあり、周辺の道幅は狭い。このため消火活動に手間取ったとみられ、東山手町自治会長の野村孝一さん(60)は「施設の裏手はがけで、通路は狭い。消防隊員がなかなか入れないようだった」。近くの病院職員も「向かいのビルから誰かが消火活動していたが、うまく火を消せないようだった」と話した。

ベルハウス東山手は06年4月にグループホームの指定を市から受け、定員は9人。家族が入所したことがあるという男性は施設内部について「迷路みたいなつくりで、エレベーターもない。高齢者には大変だなと思っていた。廊下は人一人がやっと通れるぐらいの狭さだった」と話した。

 ◇スプリンクラー、設置進まず

福祉施設の防火対策に関しては大規模火災のたびに不備が指摘され、スプリンクラーの設置義務も含めてその後に国が改善に動き出すなど、対応が後手に回っている。

06年1月に7人が死亡した長崎県大村市のグループホーム火災を受け、09年4月に消防法が改正。延べ床面積275平方メートル以上の施設にはスプリンクラー設置を義務づけた。

しかし、10年3月には札幌市の認知症グループホームで火災が起き、7人が死亡した。スプリンクラーの設置対象外の小規模施設で、スプリンクラーや自動的に119番通報する火災通報装置はなく、職員も少ないなどの問題が浮上。関係者からは設置費用などの課題が指摘された。

これを受け、厚生労働省は同年6月、認知症グループホーム向けの防火設備の助成拡大を決定。延べ床面積275平方メートル未満の小規模施設もスプリンクラー設置の補助対象に含めたほか、補助対象ではなかった火災報知設備も対象とした。

今回火災のあった施設はグループホーム部分の延べ面積が270・36平方メートルでスプリンクラーの設置義務がない。厚労省の10年4月の調査では、275平方メートル未満の施設でのスプリンクラー設置率は約13%にとどまっている。

福岡市内で認知症グループホームを運営する「ケアリング」の岡部廉(ただし)専務(55)は職員体制が脆弱(ぜいじゃく)な制度上の問題を指摘する。

岡部専務は「スプリンクラーを設置していても、いざという時に消火ができるか不安だ。火災が起きた時、職員1人で入居者を逃がしながら火を消すのは無理。2人の職員を置くと経営が難しい。いざという時に入居者を避難させられるよう職員体制を整えないと、根本的な解決にならない」と話した。

 ■過去の主な福祉施設火災■

86年 7月 神戸市北区の知的障害者授産施設「陽気寮」で寮生8人焼死

87年 6月 東京都東村山市の特別養護老人ホーム「松寿園」で17人死亡

93年 2月 北海道上磯町の社会福祉法人「侑愛会」の寄宿舎で園生3人焼死

05年 6月 岡山市の総合医療福祉施設「旭川荘」で3人死傷

06年 1月 長崎県大村市のグループホーム「やすらぎの里」で7人死亡

07年12月 群馬県高崎市の知的障害者福祉施設「はるな郷」で3人重軽傷

08年 6月 神奈川県綾瀬市の知的障害者施設「ハイムひまわり」が放火され4人死傷

   11月 仙台市の老人ホーム「六郷の杜」で19人重軽傷

   12月 福島県いわき市の老人介護施設「ROSE倶楽部粒来(つぶらい)」で2人死亡

09年 3月 群馬県渋川市の有料老人施設「静養ホームたまゆら」で10人死亡

10年 3月 札幌市の認知症グループホーム「みらい とんでん」で7人死亡

■2013.2.9  高齢者施設火災:法適用外でスプリンクラーなし
死傷者12人を出した認知症高齢者グループホーム「ベルハウス東山手」(長崎市東山手町)の火災。国は福祉施設で多くの犠牲者が出るたびにスプリンクラー設置基準などを見直してきたものの、惨事はまたも繰り返された。厚生労働省は9日、各自治体に防火安全体制の徹底と点検を呼び掛けたが、小手先の対応の限界が明らかになり、もはや抜本的な安全対策が急務だ。

厚生労働省は9日、情報収集のため現地に職員を派遣。同日夜には認知症高齢者グループホームの火災対策のマニュアル策定や避難訓練の実施、地域住民との連携などを各施設に求める事務連絡を都道府県や政令市に出した。

消火設備の設置状況を点検することも求めており、とりわけ「ベルハウス東山手」と同様に消防法施行令でスプリンクラー設置が義務付けられていない小規模施設に対しても、国の補助を活用し「積極的に設置に努めること」とした。

スプリンクラーを巡っては、国は7人が死亡した長崎県大村市のグループホーム火災(06年1月)を受け、設置義務を延べ床面積「1000平方メートル以上」の施設から「275平方メートル以上」に拡大。これ未満の小規模施設にも、設置する際は上限で1平方メートルあたり9000円を補助するようになった。

しかし、総務省消防庁が10年に認知症高齢者向け施設1万451棟を調べたところ、6割が未設置で、特に義務化されていない275平方メートル未満の施設では、93%が設置していなかった。今年度末以降も未設置の施設は1000を超えるとみられる。

また、設置した施設の56%は費用が補助の上限を超えており、補助制度があっても自己負担が重いことから二の足を踏む事業者もある。

スプリンクラーを設置していない山梨県内のグループホームに勤務する男性は「常に満床で運営していても、介護報酬が今のように低くては、設置費用を捻出するのは難しい。とはいえ、また火災が起きた以上、今後もなくていいというわけにはいかないだろう」と話す。

東京都内のNPO法人は、工事費用400万円のうち70万円を負担した。職員は「入居者の安全と家族や近隣住民の安心を考えたが、工事費用がなければもう少し職員の給与を改善できたかもしれない」とグループホームの厳しい運営状況を明かす。

結城康博・淑徳大准教授(社会福祉)は「グループホームは小規模なため、100人程度が入所する特別養護老人ホームのように利益を上げられず、介護報酬が増えない限り、構造的に経営は苦しい。このため安全面が後回しになり、今回のような悲劇が繰り返されてしまう」と指摘。そのうえで「抜本的に解決するには、国は介護報酬の見直しや、全施設にスプリンクラーを義務付け補助金を増やすなどの対策を取る必要がある」と提言する。

また、長崎県大村市のグループホーム火災で検証を行った室津滋樹・日本グループホーム学会事務局長は「これまで国は国土交通省、総務省、厚生労働省の3省がバラバラに対策を作り、総合的な安全確保の視点がない」と述べる。

さらに「スプリンクラーの基準見直しだけでなく、夜間の人員配置なども含めた総合的な安全対策を講じるべきだ」と訴える。

■2013.2.9  長崎高齢者施設火災 グループホームの見取り図
長崎高齢者施設火災
グループホームの見取り図
http://social-welfare.rgr.jp/img/img-kk7bc1.jpg

■2013.2.10  福祉施設火災で1人死亡 新潟、5人軽傷か
10日午前5時前、新潟市西区の社会福祉施設「新潟もぐらの家」から出火し、入居者1人が死亡、5人が病院に搬送された。新潟西署によると5人は軽傷の模様。

新潟西署によると、出火時は入居者7人が一部2階建ての施設にいた。遺体は1階の居室部分から見つかり、同署は部屋に住む佐野俊一さん(63)とみて確認を急いでいる。搬送された5人には職員が含まれているとの情報がある。

■2013.2.10  防火扉「覚えていない」 アイ・エル・エス代表 グループホーム「ベルハウス東山手」の火災
長崎市の認知症グループホーム「ベルハウス東山手」の火災で、ホームを運営している「アイ・エル・エス」の桝屋幸子代表(61)は9日夜、長崎市内で報道陣の取材に応じ、2階の防火扉について「設置していたかどうか、はっきり覚えていない」と述べた。また「たくさん扉があると(かえって)入所者に不自由だ」とあいまいな説明をした。

スプリンクラーの設置については「坂道で水圧が低く水の出が悪くなることや、大工事になるのでしなかった」と話した。

さらに「ご遺族には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と陳謝。9人を定員とする1、2階のグループホームではなく、3階に住んでいた人が死亡したことには「(入所者ではない)訪問介護(の利用者)なので定員オーバーではない」との考えを示した。

■2013.2.12  介護施設火災、加湿器にショート?の痕跡
長崎市東山手町の認知症グループホーム「ベルハウス東山手」から出火し4人が死亡した火災で、火元とみられる加湿器にショートしたような痕跡があったことが捜査関係者への取材でわかった。県警は出火との関連を調べている。

捜査関係者によると、加湿器は、火元となった2階中央部の居室内のたんすのそばにあった。火災による熱で溶けて黒い塊になっていたが、コードの燃え残りにショートしたような跡が見つかった。

加湿器の発火が原因となった火災は各地で報告されている。消費者庁などによると、大阪市のメーカーが1999〜2003年に販売した製品から発火する事故が10年までに4件発生し、約6万台がリコール(無償交換)対象になった。11年3月には、佐賀県でも別会社の製品による火災が起き、約5万台のリコール(無償点検・修理)につながった。

■2013.2.12  スプリンクラー、小規模施設にも 総務相、義務化検討へ
新藤義孝総務相は12日の記者会見で、長崎市の認知症グループホームの高齢者4人が死亡した火災を受け、これまでの面積基準では対象外だった小さな福祉施設にもスプリンクラー設置を義務付けることを検討する考えを示した。厚生労働省や国土交通省と対象施設や面積基準などの協議を進める。

消防法は、認知症グループホームや重度の障害者支援施設など自力での避難が難しい入居者がいる福祉施設に対し、延べ床面積275平方メートル以上でスプリンクラーの設置を義務付けている。今回火災を起こした施設は基準を満たさず対象外だった。

■2013.2.13  障害者をダーツの的に=暴行容疑、施設元役員逮捕―福岡県警
障害者の就労支援施設で、知的障害者の男性(56)をダーツの的にして千枚通しを投げたとして、福岡県警小郡署は13日、暴行容疑で、施設を運営する同県小郡市のNPO法人「リブロ」元役員坂本静治容疑者(48)=同市小郡=を逮捕した。同署によると、「記憶にありません」と否認しているという。

逮捕容疑は2012年5月16日、小郡市の就労継続支援センターの作業場で、ダーツの的の絵を描いた段ボールを壁に掛け、その前に男性を座らせ、約3メートル離れた場所から千枚通しを投げた疑い。

同署によると、男性にけがはなかったが、12年春以降、坂本容疑者からエアガンで撃たれたり、ザリガニのはさみで鼻を挟まれたりするなどの暴行を受けたという。 

■2013.2.13  <運営基準違反>同一代表者の居宅事業所と訪問事業所を行政処分――静岡県
静岡県は1月29日、有限会社イーグルコミュニケーションが運営する居宅介護支援事業所「福の家居宅介護支援事業所」(島田市)を指定取り消し処分に、株式会社ワインドアップが運営する訪問介護事業所「心温」(島田市)を6カ月間の指定の全部の効力の停止処分にすると発表した。

事業者の代表者は同一人物。福の家居宅介護支援事業所の処分は2月28日付。県は、不正に受領した約460万円の返還請求をするよう保険者の島田市などに要請する。
訪問介護事業所心温の処分は、3月1日から6カ月間。県は、利用者のサービス利用に支障が生じないよう指導するとともに、保険者に要請するとしている。

【事業者の概要】
1)
■運営者:有限会社イーグルコミュニケーション(代表取締役 鷲巣泰弘)

■運営者の所在地:島田市稲荷四丁目8番18号

■事業所の名称:居宅介護支援事業所「福の家(ふくのや)居宅介護支援事業所」

■事業所の所在地:島田市稲荷四丁目8番18号

2)
■運営者:株式会社ワインドアップ(代表取締役 鷲巣泰弘)

■運営者の所在地:島田市中河町393番地の1

■事業所の名称:訪問介護事業所「訪問介護事業所心温(こはる)」
介護予防訪問介護事業所「訪問介護事業所心温(こはる)」

■事業所の所在地:島田市中河町393番地の1

【処分を行う理由】
1)福の家居宅介護支援事業所
・不適切な居宅介護支援(サービス担当者会議未開催、モニタリング結果未記録など)を行った運営基準違反
・運営基準違反にともなう不正請求
・監査において、不適切な運営実態についての虚偽答弁

2)訪問介護事業所心温
.不正の手段による指定(虚偽の指定申請書類を提出して指定を受けた)

■2013.2.13  あきる野の特養入所者無断撮影:高齢者虐待と市が認定 /東京
あきる野市の社会福祉法人「緑愛会」が運営する特別養護老人ホーム「あたご苑」で30代の介護主任の男性が入所者を無断で撮影していた問題で、同市が一連の行為を高齢者虐待防止法で禁じる「心理的虐待」「介護・世話の放棄、放任」にあたると認定したことが分かった。市は法人と施設に入所者の人格を尊重するよう求める一方、緑愛会側は毎日新聞の取材に対し、男性を懲戒解雇にしたと答えた。

市は1月から同法に基づく立ち入り調査を実施した。

■2013.2.13  あきる野の特養入所者無断撮影:市、高齢者虐待と認定 緑愛会、介護主任を懲戒解雇 /東京
あきる野市の社会福祉法人「緑愛会」が運営する特別養護老人ホーム「あたご苑」で30代の介護主任の男性が入所者を無断で撮影していた問題で、同市が一連の行為を高齢者虐待防止法で禁じる「心理的虐待」「介護・世話の放棄、放任」にあたると認定したことが分かった。市は法人と施設に入所者の人格を尊重するよう求める一方、緑愛会側は毎日新聞の取材に対し、男性を懲戒解雇にしたと答えた。

市は1月から同法に基づく立ち入り調査を実施し、男性の携帯電話に09年3月〜12年5月に撮影した57の動画ファイルが残されているのを確認。このうち便器に座る女性の上半身を映しながら会話するなどした2本については、個人の携帯で入所者の排せつ行為などを撮影し同僚に見せている点などから「心理的虐待」と判断した。

また、ベッドで起き上がりかけた別の女性が「助けて」と訴えている様子などについて長時間撮影しているとして、必要な介護や世話を怠っていると指摘。2月1日付で法人と施設に通知した。

厚生労働省は高齢者虐待防止法が禁じる施設従事者による虐待行為として(1)入所者を必要以上に高く持ち上げる(2)裸の入所者を携帯で撮影し、他の職員に見せる(3)入所者の顔に落書きした後に携帯で撮影して他の職員に見せる−−などを例示している。

■2013.2.14  障害者虐待容疑:頭上を的にダーツ 施設元次長逮捕 福岡
福岡県警は13日、知的障害がある男性の頭の上に千枚通しを投げてダーツ遊びをしたとして、福岡県小郡市の就労継続支援施設「ひまわり」元支援次長、坂本静治容疑者(48)を暴行容疑で逮捕した。同容疑者は容疑を否認している。昨年10月、福岡法務局を通して同県に通報があり、県が立ち入り調査を実施して発覚した。

■2013.2.14  障害者の頭上で「ダーツ」 暴行容疑で元施設次長逮捕
管理職を務めていた障害者支援施設で、知的障害者の頭上の的をめがけて千枚通しを投げて虐待したとして、福岡県警は13日、同県小郡市小郡、無職坂本静治容疑者(48)を暴行の疑いで逮捕し、発表した。「記憶にありません」と容疑を否認しているという。

発表によると、坂本容疑者は昨年5月16日、当時次長を務めていた小郡市の就労継続支援センター「ひまわり」の作業場で、知的障害のある男性入所者(56)をいすに座らせ、男性の頭上約30センチの壁に貼った的をめがけ、約2・8メートル離れた所からダーツのように千枚通しを投げた疑いがある。

坂本容疑者は、施設を運営する同市のNPO法人リブロの理事長の長男で、2010年1月からひまわりで働いていたが、今年2月に懲戒解雇された。

■2013.2.14  老人福祉・介護事業所:67%に法令違反 労基署が改善勧告 /岐阜
岐阜労働局は、県内の老人福祉・介護事業所の67%で労働基準関係法の違反がみつかり、各労働基準監督署が改善を勧告したと発表した。

県内7労基署が139の老人福祉・介護事業所を調査した結果、93事業所で賃金不払い残業などがあったという。時間外労働の割増賃金の不払いや、上限の月42時間を超えて80時間も時間外労働をさせていたケースなどで改善を指導した。

介護事業は腰痛の発症率が高いといい、松野明広・監督課長は「労務管理を知らずに福祉事業を立ち上げるケースが多い。腰痛で離職する人も多く、労働条件の改善が求められる」と指摘している。

介護事業は国の新成長戦略に挙げられている。09年統計によると、県内では3年前より268施設増えて949施設の登録があり、従業員は1万人以上増えて2万4650人と事業が拡大している。

■2013.2.14  発達障害者支援に1・1億円 乳幼児期から成人期まで一貫支援 全国初 大阪府25年度予算
大阪府の25年度当初予算案で松井一郎知事が特にこだわりを見せたのが発達障害者の支援対策だ。これまでは福祉部や健康医療部、教育委員会などがそれぞれ個別に対応していたが、連携することで情報を共有化。乳幼児期から成人期まで一貫した支援体制を整備する。府によると全国初の取り組みで、24年度の6325万円から1億1519万円にほぼ倍増させた。

発達障害は、自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)といった障害の総称。脳の機能障害で乳幼児期から学童期にかけて症状が明らかになる。

文部科学省の調査で公立小中学校の児童生徒の6・5%(40人学級で1クラス2〜3人)に発達障害があると推定されており、対策が急務になっていた。

府は乳幼児検診を拡充し、早期の気づきに努めるほか、発達障害を持つ児童生徒にも分かりやすい授業の実践研究を行い、周囲にとけこむクラス運営のモデルを構築。雇用支援にも力を入れるという。

松井知事は「厳しい財政状況の中でも重点施策については今後も予算をつけていきたい」としている。

■2013.2.14  <正しいマスクの使い方>予防意識は高くても、73%が正しく使用できていない――民間調査
エーザイ株式会社薬粧事業部は、感染症対策のため、マスクに関する意識・実態調査を実施した。

調査の結果から、インフルエンザなどの予防意識は高くても、73%が正しくマスクを正しく使用できていないことがわかった。
本調査を監修した坂口剛正教授(広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 基礎生命科学部門 ウイルス学研究室)は、「感染症予防のひとつとしてマスクは有効である一方、正しくマスクを使用しないとその効果を充分に発揮しない」とコメントしている。

今年の冬はノロウイルスに続き、インフルエンザウイルスに感染・発症する患者が続出。とりわけ高齢者の発症は深刻で、今後も油断ができない状態が続く。正しいマスクの使い方を知り、身につけたい。

【調査の概要】
■調査実施日: 2012年11月29日〜30日

■調査対象者:
例年12月から2月頃の間、感染症(インフルエンザなど)対策のために、マスクを日常的に(週1日以上)使用している10代(12歳以上)、20代、30代、40代、50歳以上 の各年代 男女31名 、合計310名

■調査手法:インターネットによるアンケート調査

主な調査の結果は以下の通り。

■感染症に対する予防意識が高い人は約85%

「インフルエンザなどの感染症に対する予防意識は高い方だと思うか」という質問では、84.9%が「とてもそう思う」「ややそう思う」と回答。
また、「マスクを着用することが風邪・インフルエンザなどの感染症予防になると思うか」との質問では、97.1%が「そう思う」「ややそう思う」と回答し、マスクの使用と感染症予防への意識 が高いことが明らかになった。

■73%の人はマスクを正しく使用できていない

一方で、正しいマスクの使い方(下記参照)の5つの項目について普段から実践しているかを尋ねたところ、
すべてを「はい」と答えたのは26.8%で、およそ7割の人が正しいマスクの使い方ができていないことが判明した。

正しいマスクの使い方とは:
1. 鼻、口、顎を覆うようにマスクを装着する
2. 鼻の部分を抑えてフィットさせ、隙間がないように装着する
3.使用中、口周りを覆うフィルター部分は触らない
4.外す際、フィルター部分の表面に触れないようゴムひもを持って顔から外す
5.マスクを外した後は手を洗う

マスクの誤った使い方では、「ウイルスが付着したマスクのフィルターを触ってしまっている人」が43%、 「マスクを外した後、手洗いできていない人」が54%いた。

■ マスクの取り換え頻度は1日1回が最多も、17%が「2日以上同じマスクを使用」

マスクの取り換え頻度を尋ねたところ、「1日1回」が69.4%と最も多い一方、6人に1人は2日以上同じマスクを使用していることがわかった。同じマスクを2日以上使用する人は、男性21.3%、女性は12.2%で、男性の方が同じマスクを長く使用する傾向にある。

■同じマスクを使用中の着脱回数は平均8.2回

同じマスクを使用している間、マスクを何回着脱するか尋ねたところ、平均8.2回だった。性別で見ると男性は平均8.6回、女性は7.9回と、男性は着脱回数が多い傾向が明らかになった。
一時的に外したマスクをどうするか尋ねたところ、「半分に折って置く」が34.2%と最も多く、次いで「口側の面を上にして置く(22.3%)」「ポケットやカバンなどに入れる(21.6%)」だった。

また、外したマスクを再度つける際に、特別に何かを行うことがあるかを尋ねたところ、91.9%の人が「何もしていない」ことが分かった。特別なことを行っている人の回答には、「消毒スプレーをかける」「軽くはたく」「ガーゼやティッシュを中にあてる」などがあった。

【調査結果について ウイルス学専門家のコメント】
坂口 剛正教授(広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 基礎生命科学部門 ウイルス学研究室)

・今回の調査結果で、現代の日本人は高い衛生意識を持っていることがわかったが、マスクの正しい使用方法を知っている人は少ない。マスクは感染症予防のひとつとして有効だが、正しく使用しなければその効果を充分に発揮できない。

・マスクによる感染症予防の有効性
インフルエンザウイルスは主に飛沫感染で伝わるので、マスクの着用は感染予防としてかなり有効だ。
また、人は1日に何回も鼻や口に手をやるので、手に付いたウイルスが接触感染の原因になる。マスクをしていると間接的に接触感染を防ぐことができる。

・マスクの正しい使い方
マスクには飛沫感染を防ぐという目的がある。ウイルスの侵入経路である鼻と口をできるだけ空気の漏れがないように覆うようにする。
また、使用しているとマスクの外側のフィルター部分にはウイルスをはじめとする病原体が付着していると考えられるので、使用中やマスクを外すとき、口周りを覆うフィルター部分は触らないことが大切。
使用前のマスクに防菌のスプレーをしたり、マスクを外した後で手を洗えば、感染予防になる。

・マスクを取り換える頻度
不織布マスクは原則として使い捨てであり、1日1枚程度の使用が目安。2日以上の使用は、ウイルスなどがマスク表面に多く付着していると考えるべきで、それを広げてしまうかもしれないため推奨しない。

・マスクの着脱時における注意点
着脱する際には、マスクの表面に付着しているウイルスなどの病原体を意識する必要がある。また、外したマスクを置く場所や保管した場所に病原体が付着する恐れもあるので、一時的に外したマスクを置く場合は、マスク専用の入れ物に保管するか、可能であるなら再装着時に消毒スプレーを使用するのもいい。

◎エーザイ株式会社

■2013.2.14  高齢者施設に歯科専門職派遣 厚労省
厚生労働省は来年度、口腔ケアを受けるのが困難な高齢者施設や障害者施設の入所者に対し、歯科医師や歯科衛生士を定期的に派遣する「口腔保健推進事業」を実施する。予算案に9226万円を計上している。 実施主体は、都道府県や政令市、特別区。管轄の施設の状況などを把握した上で、歯科専門職を雇用し、週2〜3回程度、要請のあった施設へ派遣する。定期的に健診を受けられる環境を整える。

■2013.2.14  ハンセン病、療養所の介護充実へ
厚生労働省は、平成25年度に国立ハンセン病療養所の介護職員を増やし、療養所の介護体制を充実させる方針を決めた。

全国13カ所の国立療養所の入所者は高齢化が進み、入所者側から介護の充実を求める声が上がっているのを受けた措置としている。厚労省によると昨年5月時点、全国の療養所の入所者は約2100人で平均年齢は82・1歳。田村憲久厚労相は入所者代表らとの面会で、「介護体制を充実させ、入所者が平穏な療養生活を営むことができるよう努める」と述べていた。療養所職員は22年度に2950人だったが、24年度は2912人。

■2013.2.15  福祉施設でノロウイルス感染か 1人死亡
鳥取県米子市の介護老人福祉施設で、利用者と職員合わせて16人が吐き気などの症状を訴え、このうち90代の女性が死亡した。
1人からノロウイルスが検出されましたが、死亡した女性からは検出されず、保健所がいきさつを調べている。

米子市石井の介護老人福祉施設「なんぶ幸朋苑」では今月7日から14日までに、施設の利用者12人と職員4人の合わせて16人が吐き気や下痢などの症状を訴え、このうち、90代の女性1人が死亡した。

保健所は、症状を訴えたほかの女性からノロウイルスが検出されたため、集団感染が起きた可能性について調べていたが、亡くなった女性からノロウイルスは検出されなかった。
保健所は、症状を訴えたほかの人とノロウイルスとの関連など、引き続きいきさつを調べている。

■2013.2.15  繰り返されたグループホーム火災
先週、長崎市のグループホームから火が出て、入居者の女性など4人が亡くなった火災から、今日で一週間です。
最近の火災では、こうした高齢者施設の被害が目立っていて、施設の所有者や管理者の防火意識の向上と対策の強化が指摘される中、また悲劇が繰り返されてしまいました。高齢化社会を迎え、こうした施設は急増しています。そこで今晩は、この一週間で分かってきたことを整理しながら、グループホームの防火対策をどう高めていけばいいかを考えます。

◆長崎市のグループホーム火災  現在までに分かっている火災の概要のまとめ◆
2月8日の午後7時40分過ぎ、長崎市の観光地、オランダ坂の通りに面したグループホーム「ベルハウス東山手(ひがしやまて)」から火が出た。
建物は4階建てで、1階と2階がグループホームとして使われ、3階と4階は事務所と住宅になっていました。火は2階から出て部屋や廊下などを焼いて、およそ2時間後に消し止めらた。入居者と3階に住んでいた77歳から88歳までの女性4人が亡くなった。いずれも煙を吸い込んだことによる一酸化炭素中毒。その後の現場検証では、2階の中央付近の部屋にあった加湿器のコードにショートしたような跡があったことから、警察が出火原因との関連を調べている。

◆増えるグループホーム火災◆
グループホームは、5人から9人と比較的少人数の高齢者が介護スタッフとともに共同生活をする施設。
居室は原則として個室になっていて、食堂やリビングなどの共用部分があります。今回の施設には認知症の高齢者が入っていたが、家族的な雰囲気でのケアは精神状態が安定しやすいなどの効果があるとされている。
このため、グループホームは増える傾向にあり、現在、全国におよそ1万1000ヶ所余りあって、10年前の16倍に急増している。利用者は16万3000人となっている。

しかし、残念なことに火災の被害も相次いでいます。平成18年には長崎県大村市のグループホーム火災で7人が亡くなり、平成22年に札幌市のグループホーム火災で7人が亡くなった。
グループホームのような社会福祉施設では、火災が起きた際の死者数はホテルや旅館、病院など、ほかの建物に比べて圧倒的に多くなっている。
平成22年までの10年間の死者数を、火災100件あたりで比べると、ホテル・旅館は1.7人、病院・診療所が1.3人だが、社会福祉施設は4.9人。しかも広さが300u未満の施設でみると20.6人にもなる。

◆高齢者を火災から守る◆
こうしたデータや最近の火災から考えなくてはいけないことは、施設で暮らす高齢者は1人で避難することが難しかったり、避難に時間がかかる人がほとんどだという。
グループホームでは、職員の配置は日中の時間帯は入居者3人に1人、夜間は入居者の人数に関わらず1人と定められていますが、この配置は日常的なケアに必要な人数で、火災の際の避難誘導に十分なものではない。
防火対策にとって最も重要な点は、火災が起きないようにすることと、万一起きた場合の初期消火をいかに早くするかという点だ。グループホームなどの社会福祉施設では、防火対策を徹底して行う高い防火意識が求めらる。

◆施設の所有者の防火意識◆
まず求めたいのは、施設の所有者や管理者の防火意識です。今回火災が起きた施設では、3年前に長崎市から建築基準法上の不備を指導されていた。
階段に火災の延焼を防ぐための防火扉が設置されてなかった。こうした建物の防火対策の基本的な考え方は、火や煙を出火した区画の中に閉じ込めてしまおうというものだから、防火扉がないと、短時間の内に煙が建物全体に充満して避難が難しくなったり、一酸化炭素中毒になる恐れが高まる。

先月18日、前橋地方裁判所は、平成21年に群馬県渋川市で10人が亡くなった高齢者施設「たまゆら」の元理事長に、禁固2年、執行猶予4年の判決を言い渡した。その際、裁判長は「施設には火災の危険性が常にあり、入居者の生命の安全を確保する立場にあった」と指摘する。

こうした火災が起きるたびに、建物の構造や防火管理の問題が指摘されるのは残念なことです。施設の所有者や管理者に防火意識の向上を強く求めたいと思う。

◆火災を起こさない対策◆
2つめは、なるべく火災が起きないように、高齢者の身の回りを燃えにくい環境にしていくことだ。最近は、燃えにくいように加工された繊維で作られたカーテンや布団、シーツ、パジャマなど様々な防炎製品が作られている。

現在、グループホームなどの社会福祉施設などでは、カーテンと絨毯は防炎製品を使うことが求められているが、そのほかの布団やシーツ、パジャマなどには定めがない。

火災の原因として寝たばこの危険があるし、布団が燃えて高齢者が亡くなった火災もあった。今後、社会福祉施設で使う用具を防炎製品に変える不燃化をすすめ、タバコやライターの火くらいでは火災にならないようにしていくべきだと思う。

◆スプリンクラーの設置を進める◆
3つめは、万一火災が起きたときに、自動的に火災を感知し、水を撒いて、火を消し、煙をおさえるスプリンクラーの設置を進めることだ。

現在は275u以上の施設にスプリンクラーの設置が義務づけられているが、今回のグループホームは、広さが270.3uで、スプリンクラーを設置しなくていい施設だった。

スプリンクラーというと、ホテルや病院などに設置されている大がかりな設備を思いがちだが、小規模な施設では、もっと簡単なタイプが認められている。
ホテルなどで使われるスプリンクラーは、水を貯めるタンクやそれをくみ上げるポンプ、それに非常用電源などを設置することから、規模によっては1000万円を超える工事費がかかる。ところが簡易型は水道の配管を天井に回してスプリンクラーヘッドをつけるもので、工事費は1uあたり1万から2万円です。

この工事費のうち、厚生労働省は1uあたり9000円を補助している。今回のように設置義務のない小規模施設で、この制度を利用したのは600ヶ所余りにとどまり、まだ全国の1300ヶ所余りの施設にはスプリンクラーが設置されていないものとみられる。

総務省消防庁は、今回の火災の発生を受けてグループホームの防火対策を検討することにしているが、これまでのように、スプリンクラーの設置基準を火災が起きた施設の広さに合わせて引き下げるのではなく、規模の大小を問わず、すべての社会福祉施設に義務づけるべきだ。
また厚生労働省は補助金の制度を広く周知するとともに、規模の小さい施設ほど財政状況が厳しい実態を踏まえて、制度の充実をはかり、すべてのグループホームへの設置を急いで欲しいと思う。

◆まとめ◆
またも繰り返されたグループホーム火災は、防火対策を高齢化社会に対応したものに変えていかなければいけないことをはっきりと示している。
これまでの防火対策は、建物の大きさや中にいる人の人数によって基準を決めてきたが、どんな人がどのような状態でいるかによって対策を考えるべきだ。消防と福祉の関係者が密接に連携し、今後、同じような高齢者施設火災の悲劇を繰り返さないようにして欲しいと思う。

■2013.2.16  逮捕の元役員、系列施設でも虐待=福岡の障害者暴行事件―佐賀
福岡県小郡市の障害者就労支援施設で利用者の男性が虐待された事件で、同施設を運営するNPO法人「リブロ」の元役員坂本静治容疑者(48)=暴行容疑で逮捕=が、佐賀県内の系列施設でも障害者を虐待していたことが16日、県への取材で分かった。県は障害のある女性利用者への性的虐待などを認定し、1月9日付で同容疑者を除外した運営体制を築くよう勧告した。

■2013.2.16  障害者虐待:福岡の元次長、佐賀の系列施設でも
福岡県小郡市の障害者就労支援施設「ひまわり」の知的障害者虐待事件で、暴行容疑で逮捕された元支援次長、坂本静治容疑者(48)が、「ひまわり」で虐待をしていたとされる同時期に佐賀県内の系列施設でも障害者に虐待をしていたことがわかった。坂本容疑者は運営法人の幹部の立場で、各施設を巡回していたとみられる。

■2013.2.16  暴行容疑の元施設次長、性的虐待も 佐賀県、警察に通報
福岡県小郡市の障害者支援施設で知的障害者を虐待したとして暴行容疑で県警に逮捕された元施設次長、坂本静治容疑者(48)が、佐賀県内の系列施設を利用する障害者の女性らに性的虐待などをしたと、佐賀県が認定していたことがわかった。佐賀県は警察に通報し、施設を運営するNPO法人に改善勧告を出した。

佐賀県によると、昨年10月に福岡県から連絡を受け、坂本容疑者が巡回していた佐賀県内の系列施設3カ所を障害者自立支援法に基づき立ち入り調査した。

11月まで計4回の調査で女性利用者が昨年8月ごろまでに性的虐待を受けていたことが判明。昨年5〜6月ごろには、利用者の男性2人に複数回、殴る蹴るの暴行を加えたと認定した。

■2013.2.16  3福祉施設で違反 松山市が火災予防特別査察
松山市は15日、市内の福祉施設を対象に実施した特別査察の結果、3施設で消防法令上の違反があったと発表した。

査察は、4人が死亡した長崎市の認知症グループホーム「ベルハウス東山手」の火災を受け、同市内の類似福祉施設24事業所に対して、12〜15日に実施したもの。

同市予防課によると、消防計画の未作成や、火災通報装置の未設置、防火対象物点検や訓練の未実施などの違反があった。

市は、違反があった施設に改善計画書の提出を求める。

■2013.2.18  <発症者52名に>都内の総合病院でノロウイルスによる食中毒発生――東京都
東京都は2月12日、都内目黒区内の病院の給食で、ノロウイルスによる食中毒が発生しましたと発表した。

2月7日(木)14:00、目黒区内の病院から目黒区保健所に「入院患者10名及び職員10名の計20名がおう吐及び下痢症状を呈しており、簡易検査を行ったところノロウイルス陽性者が数名いることが判明した」旨の連絡があった。目黒区保健所はただちに感染症と食中毒の両面から調査を開始した。

調査の結果、発症者は病院の入院患者33名及び職員19名の計52名で、2月6日(水)10:00〜9日(土)0:00にかけて下痢、腹痛、発熱、おう吐等の症状を呈していた。

発症者は全員、病院が調理し提供した給食(昼食)を喫食していたこと、発症者及び調理従事者のふん便からノロウイルスを検出した。

目黒区保健所は、発症者の共通食は、病院が調理し提供した給食の他にはないこと、発症者19名及び調理従事者3名の検便からノロウイルスを検出し、発症者の症状がノロウイルスによるものと一致しており、かつ発症もほぼ同一の時期に集中していることから、この件を当該病院が調理し提供した給食を原因とする食中毒と断定した。

■担当保健所:目黒区保健所

■発症日時:2月6日10時から2月9日0時まで

■症状:下痢、腹痛、吐き気、発熱、おう吐など

■発症場所:自宅及び入院病室等

■発症者数:発症者総数 52名(入院患者33名、職員19名)
【内訳】男:10名(発症者の年齢:24〜81歳)、女:42名(発症者の年齢:26〜95歳)

■診療医療機関数・受診者数:8ヶ所10名(男:3名、女:7名)

■原因食品:当該病院で調理提供した給食

■メニュー:給食(昼食)のメニュー
【2月4日】米飯、メンチカツ、イカリングフライ、線キャベツ、スパゲティ、ひじきサラダ、味噌汁、さんま塩焼、レモン、大根おろし、そば又はうどん、薬味、ワカメ、ちくわ天
【2月5日】米飯、生揚あんかけ、カリフラワーラビコット、豚汁、牡蠣フライ、春巻き、キャベツ、タルタルソース、そば又はうどん、薬味、ワカメ、ゆで卵

■病院物質:ノロウイルス

■原因施設:総合病院厚生中央病院

■措置:当該病院は2月8日から調理場の使用を自粛しており、目黒区は2月12日から14日までの3日間の食事の供給停止の処分を行った。

■2013.2.19  北新地の元ホステス、生活保護不正受給で逮捕
大阪の歓楽街、北新地の高級クラブでホステスをしていたにもかかわらず、収入を隠して生活保護を不正受給したとして、大阪府警西成署は19日、詐欺容疑で大阪市西成区梅南の自称事務員、倉田寛子(ともこ)容疑者(27)を逮捕した。

同署によると、倉田容疑者は昨年2〜11月まで北新地のクラブ2店舗に勤務し、計約460万円の収入があったという。

逮捕容疑は昨年4〜10月、ホステスとしての収入を隠し、大阪市から保護費計約60万円を詐取したとしている。倉田容疑者は「生活保護のことは、おばに任せていてよく分からない」と容疑を否認している。

同署によると、倉田容疑者は平成19年2月に受給申請を行い、月額7、8万円が支給されていた。同署に「生活保護を受給している北新地のホステスがいる」との情報が寄せられ、不正が発覚した。


■2013.2.19  福祉年金廃止へ 福山市
福山市は独自に続けてきた市重症心身障害者福祉年金について新年度、6月の支給を最後に廃止することを決めた。市は、国などの障害者向けの医療費助成や障害基礎年金の増額を挙げ「他の制度で支援の充実が図られた」(市障がい福祉課)と説明しているが、障害者からは反対の声も出ている。

同年金は1968年開始。身体障害者手帳1〜3級などの所持者が対象で、20歳未満に年2万2千円、20歳以上に年1万3千円を2回に分けて支給してきた。本年度は、計1万5530人分の計2億936万円を当初予算に計上した。

市は廃止理由について、他制度の充実に加え、虐待防止や権利擁護支援の拡充に対するニーズの高まりを強調。市障がい福祉課は「限られた財源で相談体制などを強化する必要がある」として、節減する年約2億円を活用する意向だ。

一方、障害者の生活と権利を守る広島県東部連絡会の藤井洋治代表世話人(66)=福山市=は、作業所で得る工賃の安さやヘルパーの利用料の負担の重さを主張。「1、2万円の年収減は大打撃。当事者の意見と影響を踏まえて再検討を」と訴える。

広島県内ではほかに、東広島、尾道、三原、府中の4市と海田町が同様に重症心身障害者を支援する独自手当の制度を設けている。いずれも新年度は続けるという。

■2013.2.19  「白杖シグナル」広めよう 九州盲人大会で採択
九州各県の視覚障害者団体の会員らが、福祉のあり方などについて話し合う九州盲人福祉大会が17、18日、福岡市であり、延べ約500人が参加した。大会では、視覚障害者が街角で困った際に白杖(はくじょう)を頭上に掲げて周囲に助けを求める「白杖シグナル運動」を盛り込んだ宣言を採択した。

白杖シグナル運動は1970年代に提唱されたが、社会的には浸透しなかった。2011年の東日本大震災や昨年の九州豪雨災害で、視覚障害者が避難に困る事態があったことを踏まえ、災害弱者のSOSサインとして見直され、福岡県盲人協会(小西恭博会長)が昨秋に再提起していた。大会では「運動を広げ、障害者が積極的に社会活動へ参加できる環境を整えることが、共生社会の実現につながると信じる」とする宣言を採択した。今後、各県の団体で運動の進め方などを協議、6月の日本盲人会連合の全国大会にも提案される。

■2013.2.19  障害者虐待 人権守る理念の再認識を
知的障害のある男性を椅子に座らせ、頭上の壁に貼った的に向けて千枚通しを投げ付ける−。一瞬、耳を疑った。事実なら、とんでもないことだ。

福岡県小郡市にある障害者就労支援施設の元次長が、そんな暴行容疑で福岡県警に逮捕された。現職だった昨年5月、施設内の作業場で起きた事件だという。男性にけがはなかった。元次長は「記憶にない」と容疑を否認している。

昨年10月に「(次長が)暴力行為をしている」との通報を受け、福岡県が施設を2回にわたり立ち入り調査した。

その結果、2010年夏ごろから、通所者の男性4人に暴力を振るっていた疑いがあるとして、施設を運営するNPO法人に改善を勧告している。同県警小郡署によると、施設職員や通所者の証言では、男性をエアガンで撃ったり、ザリガニのハサミで鼻を挟んだりする暴力行為を繰り返していた疑いもあるという。

福岡県から通報を受けた佐賀県も、同県内の系列施設で立ち入り調査し、利用者に性的虐待などをしたことを認定した。今月5日には、障害者虐待防止法に基づき被害者3人のうち施設の利用を続けていた2人を、別の施設に移す「一時保護」の措置が取られている。

NPO法人の理事長は容疑者の父親で、施設内部の聞き取り調査では暴行の事実は確認できなかったが「疑われたのは事実」として逮捕直前に次長を懲戒解雇している。釈然としない対応である。

昨年12月には、北九州市で知的障害と精神障害があった女性の遺体が自宅の床下から見つかった。

同居していた義妹が義母と共謀の上、昨年8月から9月にかけて虐待を繰り返し、女性を死なせたとして死体遺棄罪などで身内の2人が起訴されている。これまた、信じ難い事件である。

「何人も、障害者に対し、虐待をしてはならない」。そんな理念を掲げた障害者虐待防止法が施行されたのは昨年10月のことだ。にもかかわらず、痛ましい障害者虐待事件が相次ぐ。問題の根深さをあらためて認識せざるを得ない。

同法は虐待が疑われる家庭や福祉施設に対する強制立ち入り調査や被害者保護を可能にしたのが最大の特徴だ。障害者への虐待を未然に防ぐのが目的だが、強制措置の実施にはプライバシーの問題もあって課題が多い。障害者自身に虐待の認識がない場合も少なくないという。

「人命を第一に考え、行政は必要な介入をためらうべきではない。福祉に詳しい専門職員の養成や増員も急務だ」とする専門家の指摘に耳を傾けたい。施設や障害者のいる家庭などが、地域住民と日常的に交流できる環境整備を進めることも、虐待防止には有効だろう。

障害者虐待防止法の通報対象から外れている学校や医療機関でも、虐待が起こる恐れは十分考えられる。一連の事件を機に、障害者の人権を守るという理念を社会全体で再確認し、共有したい。

■2013.2.20  非正規35%高止まり 12年 福祉分野で増える
総務省が十九日発表した二〇一二年平均の労働力調査の詳細集計によると、役員以外の雇用者のうち、アルバイトなどの非正規労働者の割合は前年より0・1ポイント増の35・2%と三年連続で過去最高を更新した。同省は「医療・福祉を中心としたサービス分野で、非正規の仕事が増えたため」と説明している。

パートや契約社員、派遣社員などの非正規労働者は千八百十三万人で、二万人増えた。男女別の非正規割合は、男性が0・2ポイント減の19・7%で三年ぶりに低下。景気の回復や、退職年齢の引き上げが影響した。一方、女性は54・5%と0・1ポイント増えた。

一二年平均の完全失業者数は二百八十五万人。このうち過去一年間に離職した人は百九万人で、前職を産業別にみると、製造業が二十万人と前年比で二万人増えた。総務省は「海外経済の減速などに伴う製造業の不振で、大企業を中心にリストラを加速させたことが響いた」としている。

総務省は、一一年平均の非正規労働者の割合を昨年発表の35・2%から、35・1%に修正した。当初は東日本大震災で被害が大きかった岩手、宮城、福島三県を除いて集計したが、三県の推計値を入れて計算し直したところ、小幅修正が必要になったという。

■2013.2.21  福祉の手、届かず 群馬 3歳女児餓死か
生活保護が必要な人に行政は目を背けていた。福祉の目が届ききらない所でわずか三歳の女児が亡くなった。人として生きる権利が脅かされている現実と課題が、また浮き上がった。

群馬県大泉町のアパートで十八日夜、三歳の女児が死んでいるのを帰宅した中学生の姉(14)が見つけ、警察に通報した。県警は餓死の可能性が高いとみている。

県警によると、姉妹はフィリピン国籍の母親と三人で暮らしていたが、母親は二月上旬から家族に会うため帰国し、姉が女児の面倒を見ていたという。県警は保護責任者遺棄の疑いもあるとみて、母親が日本に戻るのを待って事情を聴く方針。

県警などによると、女児は発見時、洗面台近くで油まみれで倒れ、既に意識がなかった。目立った外傷はない。司法解剖の結果、胃の内容物はほとんどなかったという。捜査関係者によると、姉は「十七日の夜中から洗面所に横たわっていたが、眠っていると思ってそのままにしていた」などと話しているという。

町教育委員会などによると、姉は「体調が悪い」と十二〜十四日に学校を欠席。十四日に担任が自宅を訪ね、玄関先で姉と話したが、異常は感じなかった。姉は十五日に登校し「母親が一日留守にしている」と説明。担任が母親の携帯電話に電話したが、つながらなかった。

中学は十五日、県東部児童相談所(児相)に連絡。児相は中学が見守っていたことから「緊急性はない」と判断し、母子宅を訪問しなかった。学年主任と担任の教諭は十八日夕に再び自宅を訪ね、姉は「妹は知人に預けられている」と話したという。

県によると、姉妹は経済的理由などで二〇〇九年十二月に児童福祉施設に入所。姉は一一年十一月に、女児は一二年四月にそれぞれ施設を出て、母親と暮らしていた。虐待などの情報はなく、児相による定期的な訪問はなかった。

■2013.2.22  小規模福祉施設の実態調査=スプリンクラー未設置で−田村厚労相
田村憲久厚生労働相は22日の閣議後の記者会見で、長崎市のグループホームで4人が死亡した火災を受け、スプリンクラーを設置していない小規模福祉施設の実態調査を行うことを明らかにした。市町村に実施してもらう。厚労相は「調査結果は4月19日までに厚労省に報告していただく」と述べた。

■2013.2.22  地検、高齢被告に刑の猶予求める 知的障害理由、千葉
有罪判決の執行猶予期間中に自転車を持ち去ったとして、占有離脱物横領罪に問われた男性被告(76)の公判が21日、千葉地裁(蔵本匡成裁判官)であり、検察側は懲役10月を求刑した上で、知的障害などを理由に保護観察付きの執行猶予を求めた。

執行猶予中に起訴された被告に、検察側が再び執行猶予を求めたケースは極めて珍しい。

検察側は「受け入れ先の養護老人ホームが決まり、福祉や行政の協力が得られる」と理由を説明。専門家は「前例にとらわれない柔軟な対応」と評価している。

■2013.2.23  障害者福祉地域と共に 岩手・カナンの園40周年 あす式典
知的障害者施設などを運営する社会福祉法人「カナンの園」(岩手県一戸町)が昨年、設立40周年を迎えた。若いキリスト教徒が始めた取り組みは地域に根を広げ、障害者に欠かせない存在となっている。23日に盛岡市で記念式典を開く。

法人は1972年、知的障害者が外出を許されず、自宅に閉じ込められている現状を知ったキリスト教徒の岩手大生らが中心となり設立。一戸町奥中山地区に翌年、知的障害のある児童向け施設を開いた。
 
97年に開設したパン工場「カナン牧場」(一戸町)は法人事業の柱の一つ。現在、32人が無添加で保存料を使わないパンや地元の農産物を使ったジャムなどを作り、年間1億円超の売り上げがある。
 
従業員の三上美幸さん(40)は民間会社に一度勤めたが、人間関係などに悩み、工場開設時に転職した。「仲間がいっぱいいるから楽しい」と明るい表情で語る。
 
法人は一戸町と盛岡市で、児童向け入所施設と特別支援学校、生活介護や就労継続事業所など8施設を運営。400〜500人が利用している。
 
町健康福祉課によると、奥中山地区の人口約3000人のうち、知的障害者は約1割を占めるとみられる。法人は毎秋、「カナン祭」を開き、地域との交流を図ってきた。
 
元理事長が2002年に施設利用者の障害者年金を不正に流用する事件もあったが、これを機に運営の透明性を高め、信頼回復に努めてきたという。
 
佐藤真名事務局長(54)は「ここでは障害者が一住民として暮らすことが当たり前となった。障害の有無に関係なく、一人一人ができることをして、一緒に生きていく社会ができればいい」と話す。

■2013.2.23  施設内にリコール中加湿器=ヒーター部分脱落で異常過熱か−長崎グループホーム火災
長崎市のグループホーム「ベルハウス東山手」で入所者ら4人が死亡した火災で、TDK(東京都中央区)の上釜健宏社長が22日、市内で記者会見し、同社がリコール(回収・無償修理)を届け出ている加湿器が出火元の2階の部屋にあったことを明らかにした。加湿器のヒーターが一部脱落し異常に発熱したことから、火災となった可能性が極めて高いという。
 
上釜社長は「亡くなられた4人の方とご遺族におわび申し上げるとともに、謹んでご冥福を祈る。製品回収と対策を強化する」と謝罪した。

同社によると、この加湿器は1998年9月に販売が開始され、同年12月まで製造されたKS−500H。ヒーターの一部が脱落し最悪の場合、発煙・発火に至る恐れがあるとして、99年1月に通産省(現経済産業省)にリコールを届け出ていた。

県警などの立ち会いの下、同ホームの現場にあった加湿器を同社が調べたところ、管状のヒーターが本来ある溝から脱落し、上部のセンサー付き蒸発皿で温度を感知できない状態になっているのを確認した。このため、ヒーターの温度は1000度以上になった可能性があり、加湿器本体のプラスチック部分を溶かすなどして、火災になった可能性が高いという。同社は、ヒーターを組み込む手順を誤ると、脱落する可能性があるとしている。この作業は国内の業者に外注していた。

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■2013.2.23  グループホーム運営の社福法人が介護報酬約1千万円を不当に受給 和歌山市
和歌山市内のグループホームを運営する社会福祉法人が、同市から介護報酬の医療連携体制加算として約5年間で計約1千万円を不当に受給していたことがわかった。同法人は「認識が誤っていた」として、すでに全額返還したという。

市によると、医療連携体制加算の算定には、国の基準で看護師1人以上を配置▽看護師による24時間連絡体制を確保−などを満たす必要がある。しかし、同グループホームは平成19年11月〜24年9月、基準で認められていない准看護師を配置したり、看護師による24時間の連絡体制を確保していなかったりした。

昨年10月、グループホーム利用者の関係者が住民監査請求し、市の調査で発覚した。

■2013.2.23  38人修了 介護の道へ 高校生対象の 江別市ホームヘルパー2級講座
【江別】市が高校生の就職支援策として、本年度に初めて開講した「ホームヘルパー2級講座」の修了式が21日に行われ、38人の受講生が資格を手にした。資格は高齢者の介護に必要とされることが多く、講座は専用の実習室を備えた北翔大などの協力で通常の半額ほどの受講料で行われた。受講生たちは「講座で得た資格と知識を地域のために役立てたい」と話している。

ホームへルパー2級は、高齢者宅を訪問し、掃除洗濯、食事や入浴などの介護サービスを行うために必要な資格。筆記試験はなく、通信教育、介護技術を学ぶ演習、高齢者施設での実習などを経て資格を得られる。資格取得者は介護関連の就職に有利とされている。

講座は、江別高の大久保貴司教諭(41)が「介護の道に進みたい高校生を応援してほしい」との思いで、市に呼び掛けたことから実現。市と連携協定を結んでいる北翔大が持つ介護教育用の実習室のほか、市有の施設も無料で使えたことから、受講料を通常のほぼ半額の3万2千円に抑えることができた。

講座は、昨年12月23日に開講し、江別、札幌、恵庭の生徒38人が受講。札幌の福祉業「あいこ介護福祉サービス」が、講義や入浴・食事介助などの実習を指導した。江別の高齢者施設の協力による実習も行われた。

市大麻出張所で行われた修了式には、受講生のうち24人が出席し、修了証明書を直接手渡された。

介護関係の就職を目指している野幌高3年の工藤弥生さん(17)は「お年寄りを笑顔にできる介護職を目指していきたい」と意気込んでいる。

■2013.2.23  千歳の障害者バンドに支援金 ヤマハ 社会貢献活動を評価
【千歳】千歳を拠点に活動する視覚障害者アマチュアバンド「ブルーファミリア」(目黒達也代表)に、東京の一般財団法人「ヤマハ音楽振興会」から支援金20万円が贈られることになり、エルム楽器(信濃3)で21日に認定証が授与された。

ヤマハ音楽振興会は、音楽教室での収益をもとに地域の音楽活動などを支援している。

ブルーファミリアは千歳で年1回、全国からメンバーが集まってコンサートを開催。売り上げで千歳市立図書館に本を寄贈する活動も行っており、今回はこれらの社会貢献活動が評価された。

認定証を受け取った目黒代表は、「支援を受けるのは初めてで、活動を認めていただいてうれしい。これからも地域に勇気と希望を届けられるように活動したい」と話している。

■2013.2.23  エコボール:知的障害者が再生、球児に継投 京都のNPO就労支援 就労ネットうじ みっくすはあつ
硬式野球ボールの修繕を知的障害者らの就労に生かす取り組みが広がっている。京都府宇治市や神奈川県座間市など、4カ所の福祉施設で行っており、修繕数は月4000球以上。全国の高校や大学など22チームから発注があり、中には今春のセンバツに出場する高校もある。「エコボール」と呼ばれ、球児らが道具を大切にするようになると好評で、取り組みを呼びかけるNPO法人は「障害者の就労に課題を抱える被災地を含め、地域ごとに取り組んでもらえるようノウハウを制度化したい」と話している。

NPOは宇治市の「就労ネットうじ みっくすはあつ」(西山治理事長)。取り組みは09年に始めた。

同NPOが運営する宇治市の作業所では、19〜57歳の男女8人がエコボールを手掛けている。糸が切れたボールに真新しい糸を縫い込み、1時間に1人5〜6球を「再生」させる。1球50円で請け負い、全額が作業者の報酬となる。完成品は手渡ししており、作り手の女性(25)は「球児から『きちんと縫ってあるので使いやすいです』と言われた時はうれしい」と話す。

通常、糸が切れたボールはテープを巻くなどして補修する。だが、試合では使えず、打撃練習用に限られる。一方、縫い目を修繕すれば普通のボールと同じように実戦練習で再利用でき、寿命は3〜4倍程度延びるという。硬式野球ボールは練習用でも1球500円程度と高価なため、節約にも一役買っている。

同NPOには現在、京都府や大阪府、和歌山県の高校など18チームからボールが持ち込まれる。この中から、甲子園出場校も生まれた。3月22日開幕の第85回記念選抜高校野球大会に初出場する京都翔英(宇治市)で、3年前から依頼を続けていた。修繕後のボールを手にした選手らは「こんなにきれいに縫えるのか」と驚くとともに、バットやグラブなどを丁寧に手入れするようになり、トンボなどの備品も修理して使うようになったという。野球部の太田弘昭監督(40)は「物を大切にする心が根付き始めている。施設の方の優しい思いを力に変えたい」と話している。

取り組みは、プロ野球・横浜や阪神の元投手で、コンサルティング会社を経営する大門(だいもん)和彦さん(47)が発案。高校時代、野球部員で修繕していた経験を思い出し、交流のあった同NPO管理責任者の小畑治さん(43)に提案した。小畑さんは「障害者らが心を込めて作った思いを受け止めてもらい、物を大切にする気持ちを育んでほしい」と話した。

■2013.2.23  「赤ちゃんから大人まで」発達障害者一貫支援 大阪府市が連携
大阪府と大阪市が連携した発達障害者支援の取り組みが4月からスタートする。乳幼児期から成人期まで成長段階に応じた一貫支援体制を全国で初めて構築。広域自治体である府と基礎自治体である市が連携することで、よりきめ細かなサポートを可能にした。平成25年度当初予算案に府は前年度当初比で約2倍、市は約7倍となる計4億7千万円を計上。社会保障関連経費が年々増大する中、発達障害者の自立を促すのが狙いだ。

予算大幅アップ

府は24年度当初の6325万円から1億1519万円にほぼ倍増。市は5341万円から3億5975万円と約7倍に引き上げた。背景には発達障害と疑われる人の増加がある。

文部科学省の昨年の調査では、公立小中学校に発達障害の疑いがある児童生徒が6・5%(40人学級で2〜3人)在籍していると推定され、14年の同様の調査(6・3%)から増加。

一方、府に寄せられる相談も年々増加している。22年は877件と、国や地方自治体に発達障害者の支援を義務づける発達障害者支援法が施行された17年の182件の約5倍にのぼる。

松井一郎知事は「自立の助けになるような技術や試みがあればどんどん取り入れたい」と強調。橋下徹市長も「府と比べて足りない支援を市で補っていく」と述べ、府市が連携して取り組む姿勢をアピールした。

情報の共有を徹底

具体的な支援策について予算編成前に府市で事前に協議した結果、府市ともに支援の段階を乳幼児期、学齢期、成人期の3つに区分。これまでは福祉や医療関係、教育委員会など各部局が個別に対応していたが情報を共有化し、乳幼児期から成人期まで一貫した支援体制を整備する。

府に6拠点あった専門療育機関を市でも新たに設置するほか、府が乳幼児検診の際に使う問診票に発達障害関連項目を追加。ひな形として市などに示すことで、府市などが連携して障害の早期発見に努める。

また学齢期には発達障害のある児童生徒にも分かりやすい授業の実践研究、成人期には就労支援の強化に加え、障害発見の機会充実も図る。府の担当者は「部局間で情報を共有し成長段階ごとに支援体制を整備することで支援の切れ目がなくなる」と部局連携のメリットを強調する。

府市間で支援策を調整し役割分担しているのも大きな特徴で、府は専門医養成のための研修を行うなど広く府民に関わる事業を、市は小中学校教員への指導の充実を図るなど、より住民に身近な事業を担う。

先進的取り組み

発達障害児を持つ親の会「チャイルズ」(大阪市港区)代表の是(これ)沢(さわ)ゆかりさん(46)は「学童保育では発達障害児も無料で預かってくれるなど大阪市はもともと支援体制が整っているが、小学校の入学時や社会人になる際に支援が切れてしまわないのはありがたい」。府の発達障害関連施策に助言を行ってきた大阪大学大学院の片山泰一・連合小児発達学研究科長は「部局が横のつながりを持つことで支援のつなぎが生まれた全国でも先進的な取り組み」と評価。「個人の医師や教師らの経験則に頼らず、過去の検証結果に基づいた診断方法や教育体制を確立することが重要だ」としている。

■2013.2.23  不正経理:県が社会福祉法人に改善命令 /熊本
県は22日、裏金づくりや不適切な土地購入があったとして、和水町の社会福祉法人「菊水福祉会」(園田和生理事長)に対し、社会福祉法に基づく改善命令を出した。

県などによると、同会は和水町で障害者支援施設「精粋園」(定員52人)などを運営している。園を建設した80年6月〜03年3月、食品などの納入業者に水増し請求させて裏金をつくり、借入金償還に充てていた。現在は福田恒敏前理事長の親族の口座に約767万円が残っているという。

10年9月には、同会が福田前理事長の長男から熊本市北区植木町の土地2421平方メートルを約2197万円で購入。その際、購入が妥当か検討する評議員会を開かず、議事録を捏造(ねつぞう)していた。

1月25日に福田前理事長ら理事5人が引責辞任しており、同会は「改善命令を真摯(しんし)に受け止め、これまでの経緯を反省して報告する」と話している。県は4月23日までに報告するよう求めている。

■2013.2.26  発達障害で懲役20年判決破棄、高裁は14年に
自宅を訪ねてきた姉(当時46歳)を刺殺したとして殺人罪に問われ、1審・大阪地裁の裁判員裁判で広汎性発達障害の「アスペルガー症候群」を理由に求刑を4年上回る懲役20年を言い渡された無職大東一広被告(42)(大阪市平野区)の控訴審判決が26日、大阪高裁であり、松尾昭一裁判長は1審判決を破棄し、懲役14年を言い渡した。

松尾裁判長は犯行に至る経緯や動機には障害が大きく影響したと指摘し、「刑事責任は低減される。更生への意欲も認められる」と述べた。

判決によると、大東被告は小学5年の頃から自宅に引きこもり、自立を促す姉に恨みを募らせて犯行を計画。2011年7月、胸などを刺して殺害した。

昨年7月の1審判決は、障害に対応する受け皿が社会になく、再犯の恐れが強く心配されるとし、「許される限り長期間、刑務所に収容することが社会秩序維持につながる」とした。

これに対して松尾裁判長は、犯行には意思疎通が困難なことなど同症候群に特有の障害が影響したとし、「被告のみを責めることはできず、量刑判断にあたって相当程度、考慮されるべき事情だ」と判断。

さらに、元受刑者の社会復帰を支援する「地域生活定着支援センター」などを挙げて、「公的機関による対応がなされている。被告も更生への意欲を示している」と結論付けた。

 ◆アスペルガー症候群◆ 生まれつきの脳機能障害のため、対人関係の構築や意思疎通、感情のコントロールなどが苦手とされるが、犯罪などの反社会的行動とは直接結びつかないとされる。


2012年07月30日
<姉殺害>発達障害の被告に求刑超す懲役20年判決…大阪
姉を殺害したとして殺人罪に問われた大東(おおひがし)一広被告(42)=大阪市平野区=の裁判員裁判で、大阪地裁(河原俊也裁判長)は30日、懲役16年の求刑を超える懲役20年を言い渡した。判決は、大東被告が広汎(こうはん)性発達障害の一種、アスペルガー症候群と認定。母親らが被告との同居を断り、被告の障害に対応できる受け皿が社会にないとして、「再犯の恐れがあり、許される限り長期間内省を深めさせることが社会秩序のためになる」と述べ、殺人罪の有期刑の上限が相当とした。

大東被告は小学5年生で不登校となってから、自宅に引きこもる生活を送っていた。判決は、引きこもりの問題を姉のせいと思い込んだ被告が、姉に恨みを募らせた末の犯行と指摘。動機にアスペルガー症候群が影響したと認定する一方、「最終的には自分の意思で犯行に踏み切った」と述べた。また、判決は被告の態度にも言及し、「(障害の)影響があるとはいえ、十分な反省がないまま社会復帰すれば、同様の犯行に及ぶことが心配される」と指摘した。

弁護側は「姉への殺意を抱くようになったのはアスペルガー症候群のためで量刑上考慮すべきだ」として執行猶予付きの判決を求めていた。

判決によると大東被告は昨年7月、被告の自宅を訪れた姉(当時46歳)を包丁で多数回突き刺し、出血性ショックによる低酸素虚血性脳症で死亡させた。

弁護側によると、大東被告は母と2人暮らし。事件当時、母は施設に入所していたという。


2012年07月31日
発達障害で求刑超えた判決 評価分かれる
アスペルガー症候群の被告に求刑を超える懲役20年を言い渡した大阪地裁判決は、量刑理由で「再犯の恐れ」や「社会秩序の維持」に強く言及した。有識者は「裁判員裁判らしく、一般の国民感覚に沿った妥当な判決だ」と評価したが、臨床心理の専門家からは疑問の声もあがった。

弁護側は公判で「被告が殺意を抱いたのは障害のためであり、どうすることもできなかった」として、保護観察付き執行猶予を求めた。しかし、判決は「犯行の残虐性や結果の重大性から、執行猶予にする事案ではない」と退けた。

元最高検検事の土本武司筑波大名誉教授(刑事法)は「責任能力に問題がない以上、刑罰を決めるにあたって最も重要な点は社会秩序の維持だ」と強調。「検察側の求刑が軽すぎた。裁判員の判断の方が常識にかなっている。裁判員裁判を導入した成果といえるだろう」と述べた。

一方、発達障害に詳しい六甲カウンセリング研究所の井上敏明所長(臨床心理学)は「アスペルガー症候群だからといって、すぐに再犯に走るわけではない。発達障害には家族など周囲の理解が必要だ。単に刑務所に長期収容するだけでは何の解決にもならない」と批判した。

■2013.2.27  大人の発達障害 自分で修正してうまく適応できるケースあり
発達障害は脳の中枢神経系の発育がなんらかの理由で損なわれ、前頭葉のドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンの代謝が障害されたり、領域間のコネクションが弱であったりすることで様々の症状が起こるとされる。社会性、協調性、感情のコントロールなどがアンバランスになり、不適応が起こる。

 幼少時から頻繁に不適応が遷延していると医療機関を受診することが多いが、発達障害は知的遅れを伴わないことがあり、大人になるまで“ちょっと変わった人”と思われるだけで気付かれないこともある。

 大人の発達障害は大きく「自閉症スペクトラム障害」と「ADHD」に分けられ、中には混在している症例もある。「自閉症スペクトラム障害」は今まで自閉症や高機能自閉症、アスペルガー症候群などと分類され、新たに提唱された疾患概念だ。

 本人が良かれと思ってやったことを周囲が歓迎していないことに気づかずキレる、想定の範囲が狭く想定外のことが起こるとパニックになる、人の気持ちがわからないなどが主な症状である。

「ADHD」は気をつけていても不注意が無くならない、衝動的に行動する、社会の規範や会社のルールから外れてしまうなどだ。

「自閉症スペクトラム障害の治療薬はありません。知的レベルの高い患者は、指摘すると自分で修正してうまく適応できるようになることもあります。通常レベルは認知行動療法や類似のアプローチで、じっくり治療していきます。しかし不適応を自覚できない患者は、治療を継続できないこともあります」

 

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