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残しておきたい福祉ニュース

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 2018. 7. 6 地震で停電した国立循環器病センター、電気事業法違反が判明 経産省立ち入り
 2018. 7. 6 介護施設がミニFM開局 地域に情報発信し交流を
 2018. 7. 9 グループホームで暮らす障害者の数が施設を逆転 精神科は微減 <2020年度見通し>
 2018. 7.27 児童福祉司、2千人増へ 5歳女児の虐待死受け政府方針


■2018.7.6  地震で停電した国立循環器病センター、電気事業法違反が判明 経産省立ち入り
大阪北部地震で国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)が3時間にわたって停電した問題で、経済産業省の中部近畿産業保安監督部は4日、電気事業法に基づき、同センターに立ち入り検査を行った。

同センターでは6月18日の地震発生後、全館が停電。自家発電機と非常用バッテリーが作動したが、途中で自家発電機からの送電が止まり、復旧に約3時間かかった。

その後の同センターの調査で、毎年1回、全館を停電状態にして行う電気設備の点検を5年以上怠り、同法に違反していたことが判明。報告を受けた同監督部が事実を確認するため、立ち入った。

■2018.7.6  介護施設がミニFM開局 地域に情報発信し交流を
周南市の久米と城ケ丘で有料老人ホームやグループホームなどの介護福祉事業を手掛ける「こもれびの杜(もり)」が、ミニFM局「エフエムcocomo(ここも)」を8月に開局する。施設の職員や利用者らが出演する番組を放送し、ラジオを通じて地域に開かれた介護福祉施設を目指す。

FM局の名称は事業所の名「こもれびの杜」にちなんだ。開局予定日は8月8日。開局時は月に2回、数時間の番組を放送する予定。番組の内容は施設内のイベント、介護予防情報、職員と利用者の紹介、防災情報、買い物情報など。放送を聞ける距離にある徳山大の学生も番組作りに参加する。同大のイベントや展示、コンサート情報も伝える。

開局に向け、ラジオ関係者やボランティアのパーソナリティー、同大の学生らが集まって番組作りの会議を重ねている。当初は施設内で放送し、軌道に乗れば地域にも周波数を公開し近隣住民にも聞いてもらう。

こもれびの杜は2003年に「福祉が充実したコミュニティーの実現」を目指して設立した。職員約130人、利用者約200人。5月に本部事務所をリニューアルする際、ラジオ専用スペースを新設した。ラジオによって職員のコミュニケーション能力の向上につなげ、職員と利用者の距離がより近いサービスを提供するのが開局の目的。

局長はこもれびの杜の管理企画課長、岩崎卓哉さん(51)。介護福祉施設は地域との交流が少ないため、利用者の声を放送することで”明るい介護福祉施設“をつくりたいとの思いを電波に乗せる。岩崎局長は「誰でもいつでも気軽に出演してもらえる身近なラジオ局にしたい。利用者さんや地域の人に愛される地域密着ラジオが定着し、全国に広がっていけば」と期待を込める。

ミニFM局は免許や申請などが必要ない微弱な電波を利用した放送局。半径300メートル程度で放送できるため、手軽なラジオ局として愛好者から人気を集めている。県内では岩国市のJR岩国駅前でエフエムいわくにが地域情報を発信している。

■2018.7.9  グループホームで暮らす障害者の数が施設を逆転 精神科は微減 <2020年度見通し>
2020年度にグループホーム(GH)で暮らす障害者が障害者支援施設に入所する人の数を上回ることが6月27日、厚生労働省の集計で分かった。施設からGHなどへの地域移行を進め、入所者数を減らす政策により逆転する。一方、精神科病院の長期在院者数は、厚労省の掲げた目標ほどは減らないことが判明。厚労省は退院した精神障害者を応援する地域住民を増やす方法を模索し、退院が進む環境づくりを進める考えだ。

都道府県が策定した第5期障害福祉計画(18〜20年度)の集計結果を、同日の社会保障審議会障害者部会(部会長=駒村康平・慶應義塾大教授)に報告した。計画には、厚労省が示した目標値を踏まえ、20年度までのサービス利用見込みが盛り込まれている。

それによると、施設入所者は18年度の13万583人が20年度は3%減の12万7399人になる。GHは18年度の入居者数12万2114人が、20年度は11%増の13万6019人となり、1989年の制度化から初めて施設入所者を上回る。

施設入所者の約8割、GHの約7割は知的障害者だ。入所施設やGHなどで構成する日本知的障害者福祉協会の井上博会長は本紙の取材に、「GHの利用者が施設利用者を上回るのは、選択肢が増えたという意味で良いことだ。GHでの生活が地域社会とつながるよう、さらなる工夫が必要だ」としている。

一方、精神科病院の入院期間が1年以上の長期在院者数は、さほど減らない。厚労省は18万5000人(14年)を20年に15万7000人以下にする目標を掲げたが、集計結果では15万9000人。その半分が65歳以上の高齢者だ。

厚労省は入院後3カ月、6カ月、1年時点で目標とする退院率(それぞれ69%以上、84%以上、90%以上)を示し、45都道府県がそれを上回る目標を設定した。しかし、実績が伴うかは不透明だ。

退院率に関する厚労省の目標値より低く設定した山口県は、本紙の取材に「入院患者が高齢化し、なかなか退院が進んでいない。そうした現実に合わせて設定した」(障害者支援課)と話す。

同日の障害者部会で委員からは、「退院率ありきではダメだ。地域移行にはとても手間がかかる。精神疾患を予防する観点が必要だ」(松田ひろし・日本精神科病院協会副会長)との声も上がった。

厚労省は今後退院を促すには、受け皿となる地域に理解者を増やすことが必要と判断。その方策として「精神障害者地域生活サポーター(仮称)」の養成を検討する考えを明らかにした。

既に先行している「認知症サポーター」(約1000万人)を参考に、「年齢や立場を問わず広く住民に精神障害について理解を深めてもらいたい」(精神・障害保健課)としている。

このほか、18年度からの新サービスの利用者見込みも分かった。

「自立生活援助」(施設やGHから1人暮らしに移る人をサポート)は18年度で4550人、「就労定着支援」は1万3572人。いずれも20年度まで増える見込みだ。

人口10万人当たりの施設入所者が全国で最も少ない神奈川県は、自立生活援助の利用者数を480人、就労定着支援の利用者数を1686人と見込んでいる。いずれも全国の利用者数の1割超を占め、「施設から地域での暮らしや一般就労への移行をさらに進める」(障害福祉課)としている。

■2018.7.27  児童福祉司、2千人増へ 5歳女児の虐待死受け政府方針
東京都目黒区で5歳の女児が虐待を受けて死亡したとされる事件を受け、政府は児童虐待防止の対策案をまとめた。2022年度までに児童相談所(児相)の児童福祉司を約2千人増やす新プランを策定することと、児相職員が子どもの姿を見て安全を確認できなければ立ち入り調査を原則とすることが柱。20日に行われる関係閣僚会議で決定する。

児童虐待の件数は年々増加しており、16年度に児相は12万2575件に対応。06年度から16年度にかけて件数は3・3倍に増えた。一方、対応にあたる児童福祉司は1・4倍の増加にとどまっている。

新プランでは人手不足が指摘されている全国の児相の体制強化として、19〜22年度の4カ年で、3253人(17年度末見込み)の児童福祉司を約2千人増やす。児童福祉司は国家資格ではなく、医師や社会福祉士などの資格を持った人や、大学で社会学や心理学を学んだ人など条件を満たす人たちの中から自治体が任用する。国は地方交付税の増額なども検討し、自治体に任用を促す考えだ。

これに伴い、政府は現在取り組んでいる児相強化プラン(16〜19年度)について、19年度に見直す予定を前倒しして18年度中に新プランを作成し、19年度から実施する。虐待の相談窓口がある市町村の体制強化についても盛り込む方針。具体策は今後検討する。

 

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