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 2017.12.21 障害者スポーツ  パラ専用体育館、来年5月完成
 2017.12.24 放課後デイサービス、急増 障害ある子預かり、5年で4倍に
 2017.12.26 幼稚園や保育園にカフェを設置、コミュニケーション活性化と定期購入狙う


■2017.12.21  障害者スポーツ  パラ専用体育館、来年5月完成
日本財団パラリンピックサポートセンターは20日、障害者によるパラスポーツ専用の体育館「日本財団パラアリーナ」を東京都品川区の臨海副都心地区に建設することを発表し、起工式を行った。建設費は約7億9000万円で、来年5月末の完成を予定している。

体育館で行う車いすラグビー、車いすバスケットボールは、床を傷つけるなどの理由や、施設のバリアフリーの問題で、日常的な練習場所が少なかった。2020年東京パラリンピックに向けた強化の拠点としても期待され、普及や啓発イベントにも使用する。

起工式に出席した東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は「体育館ができる意義は大変大きい。東京の真ん中に、いい場所を提供していただいた」と話し、車いすラグビー日本代表の島川慎一選手は「長年、練習場所の確保に苦労していた。練習環境が整ってうれしい」と笑みを浮かべた。

体育館はお台場にある「船の科学館」の敷地を活用して建設される。

■2017.12.24  放課後デイサービス、急増 障害ある子預かり、5年で4倍に
障害のある子どもを預かる「放課後等デイサービス」が急増している。開設の条件が緩いこともあって新規参入が相次ぎ、5年間で4倍以上になった。その半面、質の低下への懸念が強まっており、厚生労働省が対策に乗り出した。


■事業の質ばらつき 「アニメ見せるだけ」苦情も
千葉県船橋市にある発達障害児向けの放課後デイ「STEP(ステップ)」は昨年10月に開設された。ビルの2階、約70平方メートルの部屋に特別支援学校の子どもらが通う。

月に1度の調理実習日。子どもたちはエプロンをつけ、フルーツサンドづくりに挑戦した。ジャムをうまく塗れなかったり作業が遅れたりしても、職員は「おいしそう。上手だね」と励ましながら見守る。施設管理者の石毛利枝さん(52)は「自分に自信が持てず息苦しくなりがちな子どもたちが、達成感や自己肯定感を得られるように支援する場所」と説明する。

障害のある子どもは一般の学童保育では対応が難しいため、放課後デイは共働き世帯のニーズが高い。2人の子どもを預けるパート女性(41)は「以前は働くことをあきらめていたこともあった。預かってもらっている間に働けるようになって助かる」と話す。

放課後デイが児童福祉法で制度化された2012年度初めは2540事業所だったが、今年4月時点には1万613事業所になり、約16万人が利用する。

だが、放課後デイの事業者でつくる「障害のある子どもの放課後保障全国連絡会」には苦情も集まっている。本来は生活能力を高める訓練をする場所のはずなのに、「アンパンマンなどのアニメ番組を見せているだけ」「おやつを食べさせるだけ」といった内容だ。

複数の事業所を利用してきた小学6年の女児の母親(50)は「職員が少なく、子どもが放置されているように感じた施設もあった。娘も行くのを嫌がっていた」と明かす。小学4年の男児を通わせている母親(49)は、アニメを見せるだけだった日もあるとして、「テレビ依存にならないか心配だった」と漏らした。

同連絡会の真崎尭司(たかし)事務局次長は「一部の事業者のせいで放課後デイ全体の印象が悪化してしまったら残念」と懸念を示している。


■職員に資格求める 緩かった基準、厚労省が改定
放課後デイには子ども10人で職員2人という配置の最低基準がある。ただ、子どもとかかわる職員は資格が必須ではなかった。

厚労省の担当者は「事業者によってサービス内容に大きな差がある」と指摘する。そこで厚労省は、職員の資格に新たな基準を設定。子どもに対応する職員は児童指導員や保育士、障害福祉サービスでの勤務経験がある人に限り、管理責任者は障害者や子どもにかかわる分野での「3年以上の実務経験」という条件を設けた。

また、来年4月に改定される障害福祉サービスの報酬では、基準より多く職員を配置した際の加算配分を見直す方向で調整。児童指導員の資格がある職員への配分を大きくする。

新しい基準は来年4月から完全実施する方針。厚労省は事業者に対し、それまでに職員の資格基準を満たすよう求めている。

こうした対策について、京都市の放課後デイの責任者で精神保健福祉士の山本剛郎(よしろう)さん(41)は「障害の特性を理解して対応するには様々な専門知識や経験が不可欠。優良な事業者が増え、保護者が安心して選べるようになれば」と話す。

京都教育大の丸山啓史(けいし)准教授(障害者教育)は「質を上げるには、職員の専門性に加え、子どもと触れ合う人を増やさなければならない。配置を手厚くすることで、質を担保する制度にしていく必要がある」として、職員の配置基準の見直しも求めている。

<放課後等デイサービス> 障害児を放課後や長期休暇中に預かるサービス。利用者の負担は原則1割で、所得に応じた上限もある。厚労省の2015年の調査によると利用者は小学生が62.2%、中学生が21.7%、高校生が15.4%。民間企業や社会福祉法人が運営するほか、公立もある。

■2017.12.26  幼稚園や保育園にカフェを設置、コミュニケーション活性化と定期購入狙う
ネスレ日本(本社・神戸市)が、子育て中のお母さん、お父さんと、幼稚園の先生、保育士さんとのコミュニケーションを活性化する目的で、幼稚園や保育園にカフェを設ける「ネスカフェ パパママカフェ」の展開に力を入れている。

幼稚園や保育園に通う子供は保護者が送り迎えしているが、その際に保護者と先生、保育士がコミュニケーションをとる機会は意外と少なく、簡単な挨拶だけで終わってしまっているケースが多いことが、同社の調査でわかった。

ライフスタイルの多様化や共働き世帯の増加により、以前と比べ、限られた時間で保護者が仕事や家事に追われていることや、近年、地域コミュニティーのつながりが希薄になってきていることも背景にあるとみられる。ネスレ日本では、幼稚園や保育園にカフェブースを設けることで、保護者や先生たちとのコミュニケーションを活発化したいとの狙いから、パパママカフェを発案した。

2016年12月に千葉市内の幼稚園に導入したのを手始めに、17年12月12日時点で全国31か所の幼稚園、保育園で導入した。東日本、西日本を問わずに各地に広がっているのが特徴だ。

幼稚園・保育園側で「ネスカフェ アンバサダー」のサービスを通じ、コーヒーなどのネスレ製品を定期購入してもらうことで、ネスレが家庭用コーヒーマシン「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」を無償提供する仕組み。

カフェブースに設置する什器にもこだわり、丸みのあるデザインで、園児たちの手の届かない高さにコーヒーマシンを設置する仕様にするなど、安全面でも十分配慮している。

ネスレでは、保護者が活用できるスペースにこの什器を設置することをひとつの条件としており、保護者同士や先生・保育士が集まるきっかけづくりを目指している。コーヒー自体は1杯当たり20円程度で飲める計算。簡単なボタン操作で本格的なカフェメニューを楽しめるほか、授乳期や妊産婦のママへも考慮したカフェインレスコーヒーの飲用にも活用できる。

利用者の反応はおおむね好評で、「普段接することのない学年の異なる保護者と会話が生まれた」「カフェでイベントの準備や打ち合わせなどをすることができて便利」といった声が寄せられている。

ネスレ日本によると、「パパママカフェ」の導入先は2017年中に50か所以上が見込まれるほか、18年末までには100か所以上に増やしたい意向だ。ネスレは今後も様々な場所でコーヒーマシンを利用したコミュニケーションの環境作りや活性化の支援を行いたい考えだ。

 

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