残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

Past news

残しておきたい福祉ニュース

 2017年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

 2017.11. 1 障害者不妊手術称賛?団体など抗議文 兵庫県立こども病院
 2017.11. 1 ハンセン病療養所に新施設、知的障害者と交流 鹿児島


■2017.11.1  障害者不妊手術称賛?団体など抗議文 兵庫県立こども病院
兵庫県立こども病院(神戸市)が昨年発行した「病院移転記念誌」に、かつて実施されていた精神障害者や知的障害者への強制不妊手術を称賛するかのような記述があったことが分かった。全国40以上の障害者団体や市民グループが1日、病院や県に抗議文を提出する。

問題の記述は小川恭一名誉院長の寄稿で、1970年の病院設立当初を振り返った部分。当時の金井元彦知事が「子供に障害が起こってしまってからでは遅すぎる」との信念から、「本邦では初めてのユニークな県民運動となった『不幸な子供の生まれない施策』を展開されました」と書かれている。

「不幸な子どもの生まれない運動」は66年に兵庫県が開始。障害児や遺伝性疾患を持つ子を「不幸な状態を背負った児」と位置づけ、精神障害者や知的障害者への強制不妊手術費用を県が負担して「出生予防」を進めた。運動は全国に広まったが、障害者団体が激しく抗議し、74年に県は対策室を廃止した。

抗議文では、障害者差別解消法が施行された現在なお、この「運動」を肯定的に取り上げていることを問題視。病院側に削除・訂正を求める。呼びかけ人の一人で脳性小児まひの古井正代さん(64)は「かつての抗議活動は何だったのか」と憤る。

抗議文に名を連ねた立岩真也・立命館大大学院教授(社会学)は「この『生まれない運動』の中心は医療でもなんでもなく、障害児の選択的中絶を進めようという運動だった。当該の文章はそのことにまったく触れていない」と批判したうえで、「鈍感と無知を知らせるためにも記念誌はそのままに、説明と釈明を加えることを望む」という。

県立こども病院総務課は取材に「病院設立の背景を説明したものと理解している。もらった原稿を掲載しただけで内容を評価する立場にない」と説明している。



精神障害者強制不妊を「ユニーク」と表現 病院記念誌に名誉院長が寄稿、障害者が抗議

兵庫県立こども病院が昨年、神戸市須磨区から中央区に移転した際に刊行した記念誌に、同病院の名誉院長による寄稿として、同県が1960(昭和35)〜70(同45)年代に展開した精神障害者らに強制不妊手術などを促した施策を「本邦で初めてのユニークな県民運動」との記述があることが1日、分かった。

この表現を知った障害者らが、障害者らの抗議で施策が中止された経緯を隠蔽し、差別を助長しているとして、削除を求めている。

県は施策を「現在の価値観からすると不適切」とし、こども病院は「昭和45年に病院が設立された当時の社会情勢を書いただけで、決して運動を称賛する趣旨ではない」と説明している。

県は41年に「不幸な子どもの生まれない施策」として始め、不妊手術費用を負担するなどしていた。49年には、県の担当部署の「対策室」が廃止された。

抗議を呼び掛け、自身も脳性まひがある大阪市の古井正代さん(64)は「記述を知った時は驚いた。障害者の気持ちを考えておらず、許せない」と話している。






■2017.11.1  ハンセン病療養所に新施設、知的障害者と交流 鹿児島
鹿児島県鹿屋市の国立ハンセン病療養所「星塚敬愛園」で1日、園内の職員宿舎跡地に建設された障害者支援施設「新樹楽園」の落成式が開かれた。新たに20〜80代の知的障害者約50人が暮らし、運動会などの行事や日常生活で139人の入所者と交流を深める狙い。

平成21年に施行されたハンセン病問題基本法により、それまで入所者に限定されていた療養所を地域に開放し、民間施設の誘致も可能になった。敬愛園は27年に事業者を公募。新樹楽園を運営する同県肝付町の社会福祉法人が、新築移転を計画し選ばれた。

落成式に参加した敬愛園の岩川洋一郎自治会長(80)は「療養所内にこういった施設ができるのは歴史的なこと。障害のある皆さんと共生していきたい」と歓迎した。

厚生労働省によると、全国13カ所の国立療養所の入所者数は計1468人で、平均年齢は85・3歳(5月1日現在)。入所者が減少し高齢化も進む現状を踏まえ、岩川自治会長は「私たちに残された時間は少ないが、地域と交流し、心豊かに暮らせれば」と語った。

療養所と地域社会を結ぶ取り組みは広がりつつあり、24年に熊本県の菊池恵楓園、東京都の多磨全生園で保育所がオープン。28年には岡山県の邑久光明園に特別養護老人ホームが開設されている。

 

トップへ フッターへ