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残しておきたい福祉ニュース

 2018年 
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 2018. 3. 1 保育士の賃上げ要件緩和 厚労省
 2018. 3. 7 車ピカピカ 働く場広がれ 葛飾の支援事業所、障害者洗車サービス開始
 2018. 3.18 看護師の8割が慢性疲労、服薬も 秋田県医労連 和歌山県医労連
 2018. 3.25 近江学園、老朽で現地建て替えへ 滋賀の障害児入所施設
 2018. 3.29 犬や猫の殺処分ゼロへ少女が絵本  吉崎莉菜さん「現状伝えたい」
 2018. 3.30 10年で1400人分増へ 知的障害支援学校受け入れ 大阪府


■2018.3.1  保育士の賃上げ要件緩和 厚労省
厚生労働省は、若手保育士らの給与を引き上げる要件を緩和する方針を決めた。現在は3年以上の経験を積んだ保育士の給与に月5000円を上乗せしているが、対象人数は標準的な規模で1施設3人まで。これを3人以上に増やすほか、中堅保育士向けの加算分を若手に配分できるようにする。待機児童解消に向けた保育士の確保が狙いで、近く自治体に通知する。

政府は今年度から、キャリアに応じた保育士の処遇改善を実施。経験年数が7年以上の中堅は給与に月4万円、3年以上の若手は月5000円を上乗せした。しかし1施設当たりの人数は、若手が「3人まで」、中堅が「5人以上」との要件があり、若手が多かったり、中堅が少なかったりする保育所では、十分な処遇改善ができないとの不満が出ていた。このため若手は「3人以上」に増やすほか、中堅は「2人以上」と要件を緩和する。

厚労省の2016年調査によると、保育士の平均月給は21万5800円で、全産業平均の30万4000円と9万円弱の開きがある。

■2018.3.7  車ピカピカ 働く場広がれ 葛飾の支援事業所、障害者洗車サービス開始
知的障害者の就労をサポートする東京都葛飾区の奥戸福祉館が、洗車サービス事業に挑戦している。障害者の働く職種を増やし、収入アップを目指す試み。出張も引き受け、地域との交流の広がりも期待する。障害者らは「ありがとうと言ってもらうとうれしい」と意欲的で、丸山二美(ふたみ)館長(54)は「新しい仕事を知ってもらい、収入を増やしたい」と期待している。

1月中旬、奥戸福祉館前の駐車場。白いミニバンを、里見幸太さん(44)らスタッフ3人が職員とともに洗っていた。そろいのTシャツと帽子を身に着けた「まごころ洗車隊」だ。

光沢を出す効果のある洗剤を車体に吹き付ける。汚れをタオルで黙々と拭いて落とし、別のタオルで水分を丁寧に拭き取る。窓もガラス専用洗剤できれいにし、30分ほどで仕上げた。初めて依頼した男性(66)は「よく洗えている」と満足げに車に乗り込んだ。

社会福祉法人が運営する福祉館での仕事は、これまでパンやクッキーの製造販売、高齢者施設などの清掃などが中心だった。しかし1年前、長崎県佐世保市の障害者就労支援事業者「フュージョン」の洗車事業を知った。力のいる作業がなく、障害があっても取り組みやすそうだった。丸山館長は「洗車を通じて地域との交流も深まってほしい」と挑戦を決めた。

福祉館の車などを使って練習を始め、昨年10月に仕事としてスタート。軽自動車や普通自動車は料金が千円で、手ごろさも売りだ。作業時間は20〜30分ほどで、福祉館駐車場で行うほか出張も請け負っている(区外有料)。

里見さんたちは、これまでパン製造などを担当していたが、洗車について「もう慣れた」と胸を張る。ともに作業を担当する職員の佐藤晋平さん(41)は「お客さんからお礼を言われると、洗車した車以上にぴかぴかした笑顔になる」と顔をほころばせた。

◆賃金アップに職種拡大課題

一般企業への就職が難しい障害者や、障害者を支援する事業所にとって収入増は大きな目標だ。障害者の能力に応じて担える新しい仕事の開発も課題になっている。

事業所には、雇用契約を結び、最低賃金以上を原則支払う「就労継続支援A型事業所」や、雇用契約を結ばず、福祉的な面が大きい「就労継続支援B型事業所」などがある。

厚生労働省の2015年度の賃金調査では、A型は月額平均で約6万7千8百円、B型は約1万5千円にとどまっている。NPO法人「就労継続支援A型事業所全国協議会」(東京都豊島区)の事務局は「単価の高くない仕事や商品が多く、一般の賃金より低くなってしまう」と話す。

協議会の2017年の調査(有効回答・942事業所)では、事業所の自主事業は農業が最多の159カ所。次いで喫茶店・レストランの96カ所、弁当・配食・総菜の八十五カ所の順だった。事務局によると、このほかに清掃、チラシやダイレクトメールの封筒入れ、データ入力なども多いという。

事務局は「障害者のできる新しい仕事をつくるのは難しく、これまでの商品やサービスを一般に負けない質に高めることに力を入れているところが多い」と説明。高収入を得ている実践例を冊子で紹介することを検討している。

◆全国で27事業所

洗車事業のモデルとなった佐世保市のフュージョンは昨年1月、国内初という障害者による出張中心の洗車事業を開始。そのノウハウを基に知的・精神障害者らの就労を支援する東京、神奈川、埼玉など15都府県計27事業所が取り組む。都内では奥戸福祉館=電03(5670)8111、東京自立支援センター(国立市)=電042(576)9088=が実施する。

■2018.3.18  看護師の8割が慢性疲労、服薬も 秋田県医労連 和歌山県医労連
秋田県内の看護師の約8割が慢性疲労を抱え、鎮痛剤などの薬を常用している――。県医療労働組合連合会(県医労連)が、看護職員に対する労働実態調査の結果を発表した。人手不足や過重労働のため、仕事を「辞めたい」と答えた人も8割に迫った。

全国調査の一環で、県内では昨年5〜7月、看護職員1620人から回答を得た。そのうち、1年前より仕事量が「増えた」人は67・2%、次の勤務までの間隔が12時間未満の人は計74・4%を占めた。

こうした状況から、「疲れが翌日に残る」「休日でも回復しない」などの慢性疲労を訴えた人が計79・3%に上る一方、常用している薬が「ない」は21・6%にとどまった。心身の不調を抱えながら勤務する状況がうかがえる。

仕事を辞めたいと「いつも思う」「ときどき思う」も計79・4%に上り、「人手不足で仕事がきつい」「思うように休暇が取れない」などを理由に挙げる人が多かった。

県医労連によると、看護師の賃金は同年代(35〜39歳)の高校教員より7万5100円低いという。8日に県庁であった会見で、秋田市内の病院に勤める看護師らは「業務が増えるのに人手不足で休みが取れない。夜勤も月平均8回以上あり、50代以上の負担も増えている」と訴えた。




看護職員の7割、慢性的に疲労感 和歌山県医労連調査

和歌山県内の病院で働く看護職員のうち、慢性的に疲労を感じている人は76%、健康に不安を感じている人が69%、仕事に不満や悩み、ストレスを感じている人が66%――。和歌山県医療労働組合連合会(県医労連)がこんなアンケート結果をまとめた。

アンケートは日本医労連が昨年5、6月に全国で実施し、県内では10の病院で働く205人の看護職員が答えた。このうち調査の前月にサービス残業をした人は65・8%で、その主な業務は「記録」「情報収集」「患者への対応」の順に多かった。仕事を辞めたいと思うことがいつもまたはときどきあると答えた人は71%で、その半数以上が理由に「人手不足で仕事がきつい」と「思うように休暇が取れない」を選んだ。

日本医労連と県医労連はこの結果を受け、人手不足や労働基準法違反が常態化しているとして、長時間労働と夜勤を法的に規制することや看護職員の確保などを国・県に要請したという。県医労連の佐藤英昭・書記長は「人手不足がすべての背景にある。国や県には、労働環境の改善につながるような人員体制を作ってほしい」と話している。

■2018.3.25  近江学園、老朽で現地建て替えへ 滋賀の障害児入所施設
滋賀県は、障害者福祉の父と呼ばれる故糸賀一雄氏らが創設した福祉型障害児入所施設「県立近江学園」を、湖南市東寺4丁目の現在地で建て替える方針を決めた。築40年以上が経過し施設が老朽化したためで、知的障害がある児童の障害特性や個性に配慮して全室個室にする。県は概算事業費約40億3千万円を見込んでおり、2022年度の完成を目指す。

近江学園は1946年に大津市南郷に開設、71年に湖南市に移転した。重複障害や強度行動障害、発達障害などを抱える小学1年〜高校3年が集団生活を送り、卒園後に地域生活に移行できるよう、個々のニーズに応じた専門的支援や自立支援を担っている。

敷地内のグラウンドに平屋の入所棟や管理棟を建てる計画で、延べ床面積約7200平方メートルを想定。定員は80〜100人とし、現在の規模(定員100人)をほぼ維持する。

建て替えに伴って、性別や年齢層で分けた20人前後のグループを、より家庭的な雰囲気で生活できる4〜8人の小規模グループに組み直し、職員との個別的な関係を重視して支援する。グループごとにリビングやダイニングの共有スペースを設け、居室は6〜8畳の個室とする。

近江学園の入所者は70人前後で推移しているが、近年は家庭内の虐待を理由に入所する児童が増え、11年度以降は入所者数の半数を占めている。心理的ケアや親子関係の再構築支援にも力を入れる。県は「入所者への生活支援にとどまらず、近江学園が培ってきた自立支援のノウハウを地域の支援にも生かしたい」としている。


近江学園
http://chachacha.rgr.jp/shot/sansaku/OsakaWalker.html

■2018.3.29  犬や猫の殺処分ゼロへ少女が絵本  吉崎莉菜さん「現状伝えたい」
動物を題材にした幻想的な絵画や鉛筆デッサンで、国内外から評価を受けている吉崎莉菜さん(13)=福井県鯖江市=が、犬や猫の殺処分をなくそうと訴える絵本を制作している。「命がモノのように売られ、簡単に捨てられている現状をみんなに伝えたい」との思いを込め、丁寧に筆を走らせている。

発達障害がある吉崎さんは、障がい者アート協会(埼玉県)が運営する絵画投稿サイト「アートの輪」で作品を発表しつつ、絵画や造形など創作活動に取り組んでいる。特に動物のアクリル画や鉛筆デッサンは同サイトを通じて話題となり、スマートフォンケースやTシャツとして商品化された。現在は市内のチャイルドセンター(適応支援教室)に通いながら、創作に力を入れている。

絵本の仮タイトルは「私の命はどうなるの」で、ペットショップで売られている犬の目線から始まるストーリー。ショップのガラスケース越しの飼い主との出会い、最初はかわいがられている様子、飽きられ放っておかれるようになり、ストレスで部屋を散らかしてしまう―などと続く。ケースに入れられ、保健所に連れて行かれる直前までが描かれており、母の幸子さん(43)は「半分くらい完成したみたい」と話す。

幸子さんによると、幼いころから動物好きの吉崎さんは2017年夏ごろ、「絵本でみんなに伝えたい」と言い出したという。小学校の読書感想文の題材の本で、犬や猫が殺処分されていることは知っていたが「殺処分をなくしたいという気持ちがどんどん強くなったのでしょうね」と幸子さん。

秋には、地元の健康福祉センターを見学し、収容されている犬や猫の写真を撮ったり、様子を観察したりした。おびえている犬や、「出して」と言わんばかりに暴れる犬がいた。

また、母娘で訪れたペットショップで「セール」と銘打ち、子犬が次から次へと「たたき売り」されているのを目の当たりにした。「子犬を『かわいい』としか見ていなかった(母娘の)視点が変わった」と話す幸子さんに、梨菜さんはうなずく。

幸子さんは「莉菜はそういうショップをなくしたい、簡単に犬や猫を捨てる人を減らしたいという思いを絵で伝えたいと強い気持ちを持っているみたい。あせらずゆっくりと形になれば」と話している。



13歳が描いた絵に国内外から称賛 2017年6月22日
福井県鯖江市の吉崎莉菜さん(13)が動物を題材に描いた幻想的なアクリル画が、障がい者アート協会(埼玉県)運営の投稿サイトを通して国内外から反響を呼んでいる。都内の通販サイト業者が商品化したスマートフォン(スマホ)ケースのデザインにも採用され、自信を深めた現在は初の個展開催を目指し創作に励んでいる。

莉菜さんは、母幸子さん(43)が自宅で開いているチョークアート教室「アルコバレーノ」の講師をしていることもあり、幼い頃から絵を描くことが好きだった。

2015年に発達障害があると分かり、「好きな絵をのびのびと描き、才能を伸ばしてあげたい」と幸子さん。自宅リビングの一角にはキャンバスとイーゼルを置き、ミニアトリエとした。莉菜さんはさらに夢中になり、特別支援学級に通う以外のほとんどの時間を、筆を手にスケッチブックやキャンバスに向き合っている。

昨年、障害者の創作活動などを支援する同協会運営の絵画投稿サイト「アートの輪」があることを知った。グラデーションの星空の下、オオカミの影が浮かび上がって見える絵や、鹿のシルエットの中に森が広がる絵などを「RINA」の名で投稿したところ、国内外から「芸術的ですごい!」「才能があるよ」といった称賛のコメントが寄せられた。

今年3月、同協会を通し、もの作りに取り組む障害者を支援している通販サイト業者「BTOK」(東京)から商品化の話が持ち掛けられた。投稿したオオカミの絵などがスマホケースのデザインに採用され、既にサイト内で販売されている。

大型作品にも挑戦しており、昨年9月には障害者や特別な支援を必要とする児童生徒を対象にしたアート作品展「きらりアート展」に40号の作品を応募し大賞に輝いている。個展は来年の開催を目標にしており、投稿サイトでの反響や商品化を励みに一段と創作に励んでいる。

幸子さんは「親としてこの子の人生に創作活動だけを選択させるのが良いのか迷いもあったけど、今は迷いは晴れている。実際の作品をぜひ見ていただき、たくさんの人に莉菜の作品を好きになっていただきたい」と話している。

■2018.3.30  10年で1400人分増へ 知的障害支援学校受け入れ 大阪府
大阪府教育委員会は29日までに、今後10年間で約1400人増加する見込みの府立支援学校の知的障害児童生徒数に対し、対応策の基本方針をまとめた。既存施設の運用を工夫するとともに、閉校した府立高の活用などを検討していく。

府立支援学校は計44校2分校あり、9千人余りが在籍。今後、発達障害を含む知的障害児童生徒は、大阪市を中心に増加傾向と見込んでいる。そこで2018年度から10年間で対応していくための基本方針を策定、四つの観点で取り組む。

前半の5年間で着手するのは、知的障害支援学校の既存施設の活用。科目別などにある特別教室の普通教室への転用や、通学区域の変更で400人分程度を確保する。肢体不自由支援学校との再編整備も行い、知的障害との併置で250〜300人分受け入れられるようにする。

23〜25年には知的障害支援学校を新設。閉校した府立高の活用を検討し、府の所有する施設と市町村の施設を交換して開設する手法も考える。600人分程度を整備する。

21年以降には、美術や体育など特色のある府立高校で支援学校分教室の設置も150〜200人分確保。児童生徒や保護者への調査の結果、趣味などを通した社会参加を求める声が多いことを踏まえた。府教委担当者は「よりより教育環境ができるよう検討していく」としている。

 

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