残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2015年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 * * *

 2015. 4. 1 生活保護世帯が最多更新 161万8817世帯
 2015. 4. 1 アスベスト被害、検索するサイト
 2015. 4. 2 吉野ケ里町社協、ローソン「移動コンビニ」提携 全国初
 2015. 4. 2 無届けホーム、全国に961施設 行政の対応追いつかず
 2015. 4. 2 累犯障害者への支援 福祉は監視の代替でない
 2015. 4. 3 高齢化率が過去最高の28・71%に  青森県
 2015. 4. 3 障害児者、新拠点で一貫支援 沼津のNPO法人
 2015. 4. 3 新明和 障害者雇用促進へ特例子会社設立
 2015. 4. 3 10年後、高齢者の4分の1は要介護に 職員3万6000人不足 東京都推計
 2015. 4. 3 救急車の出動・搬送が過去最多を更新、高齢化も影響
 2015. 4. 3 電子カルテの手入力はもう不要!? 看護師の作業効率を高める「HRジョイント」
 2015. 4. 4 障害者らの「天才アート」 京都で56人出展
 2015. 4. 4 <JOY?楽部>障害者3人の絵がフランスへ
 2015. 4. 5 児童虐待通告が最多に 昨年4189人、社会の関心高まり 神奈川
 2015. 4. 7 顔写真キーホルダー人気 クープ独自、障害者福祉施設で販売−伊東
 2015. 4. 7 徳洲会20億円所得隠し、徳田氏親族に利益提供…国税指摘
 2015. 4. 7 酒・トランプ… デイサービス変身、男性の関心引く
 2015. 4. 8 乳幼児も一緒、デイサービス…保育園併設施設
 2015. 4. 8 正看護師養成校が小林に開校 西諸県地区で初  宮崎県
 2015. 4. 8 認知症の行方不明者と気づかず…警察・消防保護せず死亡
 2015. 4. 8 カレッジ久留米:開校 社会で生きる力を 障害者ら対象に、4年制教育機関 /福岡
 2015. 4. 8 女性と仕事  看護職、経験より夜勤重視
 2015. 4. 8 乳幼児も一緒、デイサービス…保育園併設施設 大阪市   富山型デイサービス
 2015. 4.10 どうすれば救えたか…認知症男性、保護されず公園で死亡
 2015. 4.10 ペットボトルキャップ回収NPO、ワクチン代金寄付せず 「資金なかった…」
 2015. 4.10 鹿毛運輸 福祉運送従事者を育成、定期講習会に寄付
 2015. 4.11 1510施設で高齢者虐待の疑い 2012年以降で調査
 2015. 4.11 人手不足、虐待の温床 高齢者施設、月280時間労働も
 2015. 4.11 <厚労省>介護福祉士や保育士の資格を統合
 2015. 4.11 保育所開設へ協定 YKK、黒部の社福法人と
 2015. 4.13 知的障害者を一流のチョコ職人に 高級店のシェフが商品監修 京都
 2015. 4.15 ラーメン“定期便”に舌鼓 福祉施設へ慰問 鹿沼飲食業組合
 2015. 4.15 亜鉛で健康維持、公開講座に130人  亜鉛不足が様々な難病の一因になっている可能性がある
 2015. 4.15 65歳以上も雇用保険加入へ 労使同意条件、政府検討
 2015. 4.19 明るさや衛生面など配慮…NPO法人「いぬいふくし村」リサイクル棟などが完成
 2015. 4.22 知的障害者の自立を支援 大阪の福祉事業型学校で公開授業
 2015. 4.22 高さ3メートルの防音壁 保育所は迷惑施設か
 2015. 4.22 知らないと怖い!「発達障害の発症リスク」を高めるママのNG行動2つ
 2015. 4.25 従事者の虐待を「加速」させるもの
 2015. 4.26 障害者が働くカフェレストラン 国道175号沿いに開店
 2015. 4.26 酒かすケーキ、全国的人気で工房新設 滋賀の支援施設
 2015. 4.29 介護保険料、初の5000円台 10年後は8000円超えも
 2015. 4.29 太陽光設備管理:障害者の就労支援 阿南で落成式 /徳島


■2015.4.1  生活保護世帯が最多更新 161万8817世帯
厚生労働省は1日、全国で生活保護を受けているのは1月時点で161万8817世帯となり、過去最多を更新したと発表した。前月から621世帯増えた。受給者は前月比81人増の217万242人で、過去2番目の多さだった。

世帯別(一時的な保護停止を除く)では、伸び続ける65歳以上の高齢者世帯が76万5735世帯で全体の約48%を占める。働ける世帯を含む「その他の世帯」は、前月から157世帯減って27万9379世帯だった。

■2015.4.1  アスベスト被害、検索するサイト
従業員にアスベスト(石綿)による健康被害が認められた工場などを簡単に検索できるサイトができた。企業名だけでなく事業所の住所や、「建築」「自動車」「解体」といった作業内容からも検索でき、記憶が薄れた人も確認しやすくなっている。

労働者を支援する全国労働安全衛生センター連絡会議(東京都)が開設。

連絡会議のサイト
http://joshrc.info/
のトップにある「石綿ばく露作業による労災認定等の事業場一覧はこちら」から入る。問い合わせは連絡会議(03・3636・3882)へ。

■2015.4.2  吉野ケ里町社協、ローソン「移動コンビニ」提携 全国初
高齢者の生活支援

神埼郡吉野ケ里町社会福祉協議会は1日、大手コンビニチェーン「ローソン」と業務提携し、食品などを出張販売する「移動コンビニ」事業を始めた。コンビニの品ぞろえや商品管理力を生かし、従来の社協の取り組みを拡充した。身近に商店がなく、移動手段も持たない高齢者が暮らす中山間地を中心とした約30集落を定期巡回し、食料品や生活用品約300品目を販売する。社協とコンビニが提携し「買い物難民」を支援する事業は全国で初めて。

◆30集落巡回 商品充実、利便性に期待

町社協は2010年2月から移動販売事業に取り組んでいた。小売店から商品を買い取って販売するため割高になったり、鮮度や品ぞろえといった商品管理が難しいという課題があり、企業やNPOを業務委託先として探していた。

移動コンビニは、ローソンが社協の簡易冷蔵車を借り受け、自社で取り扱う総菜や弁当、菓子類、飲料水など商品を積み込んで巡回する。会計はタブレット端末を使い、次回の商品予約もその場で受け付ける。

日曜日を除く週6日、30集落を2回巡る。実施時間は午前10時〜午後5時(夏期は午後6時)。巡回先は地区の公民館や福祉施設のほか、1人暮らしの高齢者宅の近くも回り、安否確認も行う。実務はローソン佐賀吉野ケ里店を経営する地元のトーワインダストリー(伊東和孝社長)が担当する。

社協時代は週4日、20集落を一度回り、年間4千人前後が利用していた。町社協事務局は「小売りのプロが関わることで利便性が向上する。温度管理が難しくて扱えなかった弁当やおにぎりもあり、品ぞろえが充実している」と期待を込める。

コンビニ業界は移動販売に力を入れており、ローソンは吉野ケ里を過疎高齢化集落の活性化モデルにする。担当者は「広島や北九州での移動販売はあるが、車貸与など地元の協力がこれほど受けられるのは初めて。培ったノウハウで地域再生のお手伝いができれば」と力を込めた。

■2015.4.2  無届けホーム、全国に961施設 行政の対応追いつかず
名古屋市の無届け有料老人ホームで、入居者へ暴行したとして介護ヘルパーの男3人が逮捕された事件は、増え続ける無届け施設に行政の対応が追いついていない実態を浮き彫りにした。無届けホームは全国に900以上あり、専門家は「安心・安全な居住の場を増やす仕組みを」と訴える。

このホームは同市名東区の「ケアホームひまわり」。3人は入居女性(93)の鼻や口に指を入れるなどしたとして暴行容疑で愛知県警に逮捕された。

老人福祉法では、特別養護老人ホーム(特養)など介護保険施設をのぞき、入居する高齢者に介護や食事などを提供する場合、「有料老人ホーム」として自治体に届ける必要がある。しかし、「ひまわり」は届け出をしていなかった。

無届けのホームは珍しくない。厚生労働省の昨年10月時点の調査では、無届けは全国に961施設。各自治体が把握する分だけの集計で、実態はさらに多いとみられる。愛知県は68施設で都道府県別で2番目に多く、うち名古屋市は35だった。また、2013年10月時点で無届けだった911施設のうち、1年間に届け出たのは164にとどまり、591は1年後も無届けのままだった。

■2015.4.2  累犯障害者への支援 福祉は監視の代替でない
自動車窃盗事件で無罪判決を受けた京都市の男性(38)の姿を一昨年10月に小欄で記事にした際、末尾にこう記した。「今、トラブルなく過ごしている」。再犯を見越していると読まれないか−。迷いがあった。男性には重い知的障害がある。同様の事件で5回服役していた。京都地裁は責任能力なしと判断。釈放後、福祉関係者が地域生活を支援していた。

昨年2月、男性は窃盗容疑で逮捕された。中古車工場にあった車をバックで動かし、前進できず運転を断念。車を放置して立ち去ったという。

逮捕後、弁護人が「我慢できなかったの?」と聞くと男性は「うん」と答えたという。公判で「刑罰より福祉を」と主張していた弁護人は「次、裁判所は刑務所に入れた方がいいと判断するかもしれない」と漏らした。

再び裁判が始まった。男性は小柄な体を丸め、いつもこわばった表情で傍聴席を見回す。弁護人に「車の写真がほしい」と求め、「運転したい?」と問われると、視線を泳がせてから「いや…免許取ってから」とつぶやいた。今年2月の地裁判決は懲役1年10月の実刑。前回の無罪も高裁で覆った。

20代半ばから30代前半までの大半を刑務所の中で過ごしてきた男性にとっては、隔離でしかない。社会に戻った時、どう生きられるのか。裁判に答えはなかった。

ヘルパー派遣や通所施設など複数の在宅福祉事業所が男性を支えていた。だが、男性が利用者であると地域に知られるのを懸念する事業所もあったという。累犯障害者への支援が地域の反発を招きかねない現実。ただ、取り組みが可視化されないと社会の理解は広がらない。

大阪府八尾市の福祉施設理事長畑健次郎さん(67)を訪ねた。8年前、知的障害がある通所者の男性(49)が歩道橋から男児を落とした。幼児連れ去りの前科があり、殺人未遂罪で実刑判決を受けた。施設は地域住民に「危険人物がいる」「資産価値が下がる」と非難された。畑さんは「受け入れる障害者を選別する事態が広がらないか」と案じた。事件の1年後、閉めていた門扉を開けた。行事を企画し、地域に参加を呼び掛けた。「いつも地域へ開いている姿勢の他に、方策はない」

男性は出所し、5月から本格的に地域へ戻り、畑さんの施設が再び受け入れる。職員同居のグループホームに入居予定で外出時は移動支援のヘルパーが付き添い、幼児とは接触しないとの「約束」を交わそうとしている。

「『見守り』に名を借りて彼の自由を奪う矛盾を自覚しないといけない」と畑さんは葛藤を口にした。「よりよく生きる結果が再犯防止につながれば。治安維持の肩代わりが福祉の役割ではない」。支援の在り方は定期的に見直していくという。

■2015.4.3  高齢化率が過去最高の28・71%に  青森県
青森県は2日、「2014年度県高齢者人口等調査」の結果を発表した。総人口に占める65歳以上の割合「高齢化率」は、過去最高となる28・71%に上ったほか、前年度と比べて1・10ポイント増え、これまでで最も大きい伸び幅≠ノなったことが分かった。総人口中の75歳以上の割合も、14・57%で過去最高を更新した。県高齢福祉保険課は、人口減少が続く中、寿命が延びたことや、団塊世代が65歳に突入したことが背景にあると分析している。

■2015.4.3  障害児者、新拠点で一貫支援 沼津のNPO法人
障害のある子どもの自立支援などに取り組む沼津市の認定NPO法人マム(川端恵美理事長)が1日から、同市本に完成した新施設で活動を始めた。

マムは障害者自立支援法に基づく移動支援やデイサービス、地域生活支援などを展開している。施設完成に伴って新たに就労移行支援事業も手掛け、雇用に結び付けていく。療育から、就労移行まで一貫した支援ができる体制の構築を目指す。

完成した建物は鉄筋コンクリート造り3階建てで延べ床面積は約600平方メートル。約30人のスタッフが対応に当たる。施設の建設では消費税増税や建設資材の高騰などの影響で自己負担分の建設費用が増大したため、寄付の協力を呼び掛けている。

川端理事長は「障害にかかわらずに誰もが安心して暮らせる地域づくりに貢献していく。多くの人が障害への理解を深めてほしい」と訴えた。

■2015.4.3  新明和 障害者雇用促進へ特例子会社設立
輸送機器メーカーの新明和工業(兵庫県宝塚市)は障害者雇用を推進する特例子会社を設立し、事業を始めた。

子会社は「新明和ハートフル」(神戸市東灘区)。新明和工業と子会社の新明和商事(兵庫県西宮市)が計2千万円を共同出資し今年2月に設立した。

救難飛行艇を製造する甲南工場内に本社を置き、障害者5人を雇用。初年度は主に同工場の技術書類の電子化を行う。将来的には、新明和グループ全体の書類の電子化を手掛けたいという。

特例子会社は、厚生労働大臣の認可を受けると障害者の雇用数を親会社の雇用率に算入できる。新明和工業の障害者雇用率は、民間企業の法定雇用率2・0%を若干下回るといい、「法定雇用率を満たせるよう事業をしっかり進めたい」としている。

■2015.4.3  10年後、高齢者の4分の1は要介護に 職員3万6000人不足 東京都推計
団塊の世代が75歳以上になる2025年度には都内の高齢者の4人に1人は要介護者になり、介護職員が3万6千人不足する――。都は15年度からの高齢者保健福祉計画で10年後の推計を初めて示した。要介護者の増加に伴い、65歳以上の介護保険料も1・5倍に跳ね上がると見込む。

区市町村別に推計した数値をもとに都が集計した。介護保険では介護サービスにかかる給付費の半分を、国(25%)と都道府県(12・5%)と区市町村(12・5%)が折半し、残る半分を40歳〜65歳未満(第2号被保険者)の保険料で28%、65歳以上(第1号被保険者)の保険料で22%負担する仕組み。

都によると、今年は65歳以上の299万人のうち、要介護者は57万人で「5人に1人」。今後10年で要介護者が20万人増える。25年には、315万人のうち77万人となり、「4人に1人」になるという。

これに伴い、介護サービスにかかる費用も15年度の8363億円から25年度には1兆2107億円へと3700億円増える。都の財政負担も600億円増えると見込まれる。

介護にかかる費用の増加は、65歳以上が払う保険料にも跳ね返る。3年に1度の改定で、都内の平均月額5538円(15〜17年度)は、5年後の20年度には6918円に、10年後の25年度には8436円に上がる見込みという。

一方、介護を担う人材不足も深刻だ。

12年度の介護職員は14万8475人。都は25年度には24万7786人が必要になると見込む。今後10年で10万人増やす必要があるが、これまでの離職率や再就職率をもとに試算すると、介護職員が約3万6千人不足する見通しだ。

介護人材の確保に向け、都は今年度から、スキルや知識に応じて人材を評価する国の「介護キャリア段位制度」を活用して、介護職員の給料を月額平均2万円上げる処遇改善に取り組む。介護の仕事に関心を持つ人を増やすため、養成施設で説明会を開く。

都内の受け皿不足も課題だ。13年10月の特別養護老人ホーム(特養)の待機者も都内は4万3千人と全国最多。都は25年までに、特養の定員を4万2千人から6万人へと1万8千人分、介護老人保健施設も2万300人から3万人へと9700人分、認知症グループホームも1万600人分増やす目標を掲げる。

舛添要一知事は先月27日の会見で「税金、保険料の負担は免れなくなる。総合的にあらゆる施策を導入したい」と話した。


■都が示した高齢者福祉の10年後の姿

                  現在         2025年 

65歳以上の高齢者数       299万人        315万人

要介護認定者数           57万人         77万人 

介護保険給付費         8363億円     1兆2107億円

65歳以上の介護保険料(平均)  5538円        8436円 

介護人材             約15万人(12年度)  約25万人

■2015.4.3  救急車の出動・搬送が過去最多を更新、高齢化も影響
総務省消防庁は3月31日、2014年の救急車の出動件数が598万2,849件にのぼったと発表した。

救急搬送された人数は539万9,618人で、件数・人数ともに過去最多を更新している。出動件数が増えた消防本部では、要因として高齢化を指摘する声が多かった。

調査は、全国751の消防本部を対象に実施。前年と比べると、出動件数は7万1,568件、搬送人数は5万7,630人増えていた。件数と人数は6年連続で増加し、5年連続で過去最多となっている。

全国の消防本部のうち、前年から出動件数が増えたのは470本部。このうち76.8%(複数回答)では、その要因を「高齢のけが人や病人が増えたため」と答えている。

一方、件数が減った278本部のうち、42.1%(同)にあたる117本部は、その理由として「救急車の適切な利用に関する広報活動」をあげている。

■2015.4.3  電子カルテの手入力はもう不要!? 看護師の作業効率を高める「HRジョイント」
テルモは、「未来医XPO’15」(2015年3月28日〜4月5日、神戸国際展示場)において、体温計や血圧計などの医療用測定機器で測定した値の入力を「FeliCa」を介して行うシステム「HRジョイント」のデモンストレーションを披露した。

HRジョイントは、FeliCaを提供するソニーと共同で開発した。FeliCaを組み込んだテルモの医療用測定機器を使って測定を行った後、電子カルテシステムと接続したPCにつなげたICカードリーダーをかざせば、測定値や測定日時などが入力されるという仕組みだ。

500床の病院で年間337万円のコスト削減が可能

 同社の調査によれば、体温、最高血圧、最低血圧、脈拍、酸素飽和度、血糖という6種類の測定値をPCのキーボードで手入力した場合の所要時間は35.5秒。これに対して、HRジョイントを使えば、約3分の2の19.9秒に短縮できるという。

 テルモの説明員は、「病床数が500、病床利用率が90%の病院で、患者1人の1日当たりの測定回数が2回と仮定すると、その病院における1日当たりの総測定回数は900回になる。これが1カ月なら2万7000回、1年なら32万4000回となり、ぼう大な測定回数になる。この32万4000回に、HRジョイントで削減した入力1回当たりの時間15.6秒をかけると、1404時間になる。看護師の時給を2400円と仮定すれば年間で337万円のコスト削減効果が見込める。看護師はその分だけ、患者に本当に求められている業務に時間を割けるようになるわけだ」と説明する。

HRジョイントのメリットは看護師の作業効率の向上だけにとどまらない。手入力に付きものの誤入力を避けられるのだ。同社の調査では、先述のコスト削減事例と同じ前提条件の場合、手入力だと年間40回の誤入力を起こす可能性があるという。

また、手入力の場合、看護師が後でまとめて行うこともあるため、測定日時が正確性を欠いていることもある。HRジョイントに対応した医療用測定機器は、測定値と測定日時をセットで記録しているので、そういった問題が起こらない。

「HRジョイントは、富士通やNEC、ソフトウェア・サービス、シーエスアイといった大手ベンダーとの協力によって、ほとんどの電子カルテシステムと連携できるようになっている。2014年から約50施設で運用が始まっており、今後も展開を拡大したい」(同説明員)という。

■2015.4.4  障害者らの「天才アート」 京都で56人出展
知的障害者らが制作した作品を紹介する「天才アートミュージアム展2015」がこのほど、京都市中京区の堀川御池ギャラリーで始まった。来場者は色鮮やかなアクリル画や切り絵など個性豊かな作品に見入っていた。

障害のある人たちの表現能力の高さや、色彩感覚の豊かさを理解してもらおうと、NPO法人「障碍(がい)者芸術推進研究機構」(東山区)が主催した。市内の総合支援学校の生徒や、府内の障害者支援施設利用者ら10〜60代の56人が出展した。

ライオンやヒツジなど動物の顔を色鮮やかに描いたアクリル画や、1枚の紙を使ってサソリやトンボなどを表現した立体的な切り紙など約100点が並ぶ。作品を使ったクリアファイルやトートバッグなども販売している。

14日まで。無料。12日午後2時から、堀川音楽高(同区)で、国内外の障害者らによる芸術活動の動向を紹介するシンポジウムを開く。先着300人。無料。


■2015.4.4  <JOY?楽部>障害者3人の絵がフランスへ
福岡市博多区の障害者福祉施設「JOY?楽部(くらぶ)」に通う男性3人の絵が、フランスの美術団体「欧州造形美術振興協会」に認められ、今年9月に協会がパリのマドレーヌ寺院で開く展覧会に出品される。その後1年間、フランス国内のギャラリーやカフェなど6カ所を巡回するほか、来年6月にはフランス政府主催のイベントで展示されることも決まった。福岡で生まれた3人の絵は海を越えてフランス国内を旅する。

3人は絵を描くことを職業にした「JOY?楽部」のアーティスト集団「アトリエブラヴォ」の本田雅啓(まさはる)さん(31)▽樋渡(ひわたし)幸大(こうだい)さん(32)▽小林泰寛さん(28)。知的障害や高機能自閉症といった障害がある。

本田さんは幾何学模様を並べたような繊細な作品が得意で、樋渡さんは顔のしわなどを忠実に再現する細かい描写が特徴。小林さんは色覚異常で赤と緑が同じような色に見えるため、作品には緑が多く、独特な色遣いが光る。

「アトリエ」は2002年に発足。原田啓之副施設長(40)は「以前は今よりも障害者が選べる仕事がなかった。アートや音楽のプロとして活動させようと『アトリエ』をつくった」と振り返る。発足時2人だった所属アーティストは今では13人に増え、JOY?楽部にはプロのミュージックアンサンブルもある。

ギャラリーやカフェなどで作品を展示すると、独創的な発想と真摯(しんし)な仕事ぶりが人気を呼び、企業のカレンダーやTシャツのイラスト、商品のパッケージデザインなど全国各地の企業から依頼を受けるようになった。

福岡県糸島市で現代ヨーロッパ美術のギャラリーを営む高藤邦夫さん(41)が3人の絵を見て「今までに例のない色彩やタッチが受け入れられる」と感じ、欧州造形美術振興協会に紹介した。その際、3人に障害があることは伝えずに絵を送ったという。

協会でも高い評価を得て今回の出品となった。高藤さんはアトリエを訪れた際に彼らが絵を描く姿を見て「描くことが生きがいになっているんだなと感じた」と話し、フランスでの展示に「純粋にアーティストの絵として評価を受けた。次の新たなステップにつながれば」と期待している。

樋渡さんはフランスでの巡回展について「聞いた時は驚いた。今はドキドキしている。今以上に絵を描くことを頑張りたい」と話している。

■2015.4.5  児童虐待通告が最多に 昨年4189人、社会の関心高まり 神奈川
県警は、昨年1年間に認知した児童虐待やストーカー、ドメスティック・バイオレンス(DV=配偶者・パートナーによる暴力)事案の件数を公表した。いずれも児童虐待防止法やストーカー規制法、配偶者暴力防止法といった関連法が相次いで施行された平成12〜13年以降で最も多く、県警は「社会の関心の高まりが背景にある」と分析する。

県警少年育成課によると、警察から児童相談所への児童虐待事案の通告は4189人(前年比263人増)。傷害や暴行、児童福祉法違反などの容疑による両親らの検挙は39人に上り、5月には厚木市内のアパートで長男=当時(5)=を衰弱死させたとして、保護責任者遺棄致死の容疑で父親が逮捕された。

また、県警人身安全事態対処室によると、つきまといなどストーカー事案の認知件数は1117件(同128件増)。被害者の88・5%は女性で、20〜40代が全体の84・9%を占めた。

ストーカー行為を行った人物に対するストーカー規制法に基づく警告は113件で、警告に従わない場合に出される禁止命令は13件。脅迫や住居侵入容疑などでの検挙も76件に上り、6月には横須賀市内のホテルで飲食店従業員の女性=同(22)=が元交際相手の男に刺殺される事件が発生した。

被害者の住民基本台帳の閲覧制限、防犯カメラやGPS(衛星利用測位システム)機能付き緊急通報装置の貸し出しといった援助も131件に上っている。

一方、DVは4794件(同751件増)で、被害者の81・9%が女性。20〜40代が全体の78・4%を占めた。住民基本台帳の閲覧制限が820件で、傷害や暴行容疑などでの検挙も233件に上り、6月には中井町内で無職男性=同(79)=が妻に殴り殺される傷害致死事件も発生した。

県警は、25年5月に伊勢原市内で女性が元夫に刃物で切りつけられた事件を受けて発足させた「人身安全事態対処プロジェクト」を昨年4月、人身安全事態対処室に格上げし、室長以下72人態勢でストーカーやDV対策に従事している。

■2015.4.7  顔写真キーホルダー人気 クープ独自、障害者福祉施設で販売−伊東
■子どもの成長記録、祖父母にプレゼント 高齢者の名札代わりにも


NPO法人クープが伊東市内で運営する障害者福祉施設で取り扱っている「マイベイビー・キーホルダー」が、市民らの人気を集めている。子どもや孫の写真をプラスチック製のケースに入れて作るオリジナル製品で、「成長の記録に」「おじいちゃん、おばあちゃんへのプレゼントに」などと言って買い求めていく人が多いという。

本格的に扱い始めたのは1年ほど前。当時生活介護事業所「おおはら」の管理者を務めていた小林律雄さんが、自分の孫の写真を使って試作したのがきっかけだった。小林さんは「周囲の人に見せたところ、『自分も欲しい』という人が何人もいた。NPOの活動を紹介する催しに出品したところ、そこでも好評だった。それから積極的に注文を受けるようになった」と振り返った。

キーホルダーは直径5センチほど。希望の写真を丸く切り抜いてケースに入れ、チェーンを付ける。裏表があり、両面写真にすることも片面に名前を入れることもできる。価格は1個250円。小林さんは「高齢者が顔写真と一緒に住所や連絡先を掲載すれば、名札代わりになる。スポーツ少年団の仲間でおそろいのキーホールダーを作ってもいい。希望があれば、できるだけ応えていきたい」と話した。

小林さんが今月から異動で同NPOの就労継続支援B型事業所「プラウ」の管理者になったため、キーホールダーも今後は同事業所で扱うことになる。問い合わせはプラウ

■2015.4.7  徳洲会20億円所得隠し、徳田氏親族に利益提供…国税指摘
医療グループ「徳洲会」の医療法人や関連会社が東京国税局などの税務調査を受け、2014年3月期までの7年間に計約20億円の所得隠しを指摘されたことが、関係者への取材でわかった。

約20億円のほとんどが、関連会社からグループ創業者・徳田虎雄氏(77)の親族側への利益提供と認定されたという。

所得隠しを含む申告漏れは総額約25億円で、重加算税を含む法人税の追徴税額は約10億円。徳洲会側は取材に「指摘を受け、修正申告した」と回答した。

関係者によると、医療機器販売を手がける株式会社「徳洲会」(東京)は、自社がグループの病院と行った取引を、複数の親族企業が行ったように装って利益を付け替え、約15億円の所得を圧縮。また、徳田氏の妻(76)ら親族側に業務委託料名目で支払った計約4億円について、業務実態が乏しく、経費に認められない寄付だと認定されたという。

■2015.4.7  酒・トランプ… デイサービス変身、男性の関心引く
高齢者が集うデイサービスにキャバレー風やカジノ風など新顔が登場、女性に比べて家に引きこもりがちな男性にも人気だ。本格的な遊びで競争心をかき立てるほか、お酒も飲めるなど、男性目線で楽しめる工夫が盛りだくさんだ。

北海道の積丹半島にある余市町。夕方、ウイスキー蒸留所近くの飲食街に「デイサービスセンターよいち銀座はくちょう」の赤いネオンがともる。元キャバレーを改装、ビロードのソファが置かれ、ダンスステージにシャンデリアが輝く。「いらっしゃい。きょうも時間の許す限り楽しみましょう」と運営するよいち福祉会(余市町)の四方妃佐子さんが呼びかける。

デイサービスは原則、介護保険で認定を受けた人が利用でき、簡単な健康チェックの後、運動と食事や入浴のほか、仲間と一緒に楽しむ。夕方に終わる施設が多い中で、午後8時半までの運営は珍しい。夕食時の酒を楽しみにする人も多い。

男性利用者の一人がマージャン卓を準備するそばで職員も交えてトランプの「ジジ抜き」も始まる。「ビールとカラオケが楽しみ。シャンソンを勉強中」という佐々木昇さん(73)は一人暮らしで週2回利用する。「若い頃通った思い出の場所。ダンス上手の女性もいるよ」と懐かしげ。通い始めて認定度も要支援2から1に軽くなった。

利用者の6割が男性。「医師や本人などと話をして問題がなければ、ビールや焼酎も提供する」(四方さん)。施設でのレクリエーションといえば皆で一斉に折り紙や塗り絵などをすることも多いが、ここではダンスにカラオケ、マージャン、トランプと銘々が好きなものに興じ、職員は見守る。「少し興奮することがあっても社会ではよくあること」と制しない。

横浜市の住宅街にあるのは「デイサービス・ラスベガス」。一歩中に入ると、まるでカジノのようにバカラ台、スロットマシンなどが並ぶ。利用者宅からの送迎も、黒塗りの高級車に。「デイサービスに通うことへの抵抗感を減らしたい」(運営する日本エルダリーケアサービス)

黄色いネクタイとチーフを合わせ、ブラックジャックを楽しむ80代の男性は「ここは社交場。ディーラーをすっからかんにしてやるんだ」と意気込む。利用するには「ベガストレッチ」と呼ぶ軽い体操をして疑似通貨「ベガス」をもらう必要があり、施設管理者は支配人、家族との連絡帳もパスポートと呼ぶなど楽しみの要素が満載だ。

介護現場のレクリエーションに詳しい余暇問題研究所(東京都目黒区)の山崎律子代表は「施設でのレクといえば、職員の掛け声で皆が同じ作業をするのを想像しがち。でも生きる喜びを感じるものなら、節度を守る範囲でマージャンやお酒も楽しんで良い」とみる。体や頭の体操に良かれと思って職員が提案するレクでも「年を取るにつれ思うように動かなくなる体で『皆より遅れた』『手が出ていない』などと言われる場所に出かけたいと思いますか?」と問いかける。

女性は仲間との会話で満足する人も多いが「男性は『子どもっぽい遊びはやりたくない』と遠くで見ている」(早稲田大学エルダリーヘルス研究所の荒木邦子さん)。多くの施設で、男性の参加を促すのに苦労しているという。荒木さんは「会話をたくさんし、昔の仕事や育った場所などから関心事を知る工夫が欠かせない」と指摘する。


元会社員の中高年男性が集まり「自分たちが通いたくなる場所づくり」を目標に14年前に始めた松渓ふれあいの家(同杉並区)は男性利用者が7割強。クラブ活動と称しマージャン、囲碁など10種類以上のプログラムがある。5の付く日には飲酒も可能だ。「やりたいことをやれるとなると取り組み姿勢が違う」と運営するNPO法人生きがいの会の小原健一理事長。

ただ「個人の好みに合わせるには人手が必要」(小原理事長)。施設は送迎や入浴、食事や服薬の手助けなど分刻みの忙しさだ。小原理事長は「ボランティアを積極的に受け入れ、職員の負担も軽減している」と話すが、誰もが通いたくなる楽しい場所にするには課題も多い。

■2015.4.8  乳幼児も一緒、デイサービス…保育園併設施設
大阪市生野区に高齢者と乳幼児を一緒に受け入れる施設がある。認可外保育園を併設する高齢者向けデイサービス施設「あでらんて」。

運営する西村洋三さん(51)が、乳幼児からお年寄り、障害者など様々な人が利用できる富山県発祥の「富山型デイサービス」に共感し、取り組みを始めた。こうした施設は全国に広がりつつあり、大阪市も導入の検討を始めた。

2月の昼下がり、2歳から100歳の利用者計約10人が絵本の読み聞かせに耳を傾けた。お年寄りが懐かしい歌謡曲を口ずさむと、2歳児らが太鼓をたたいてはしゃいだ。

80歳代の女性は「子供と遊べば元気をもらえる」と言い、2歳の孫を預ける池永啓子さん(64)は「お年寄りが子供をあやしてくれるおかげで、人見知りをしなくなった」と話す。

高齢者や乳幼児を一緒に受け入れる「富山型」の施設は、富山市の惣万佳代子さん(63)らが1993年に開いた「このゆびとーまれ」が始まり。デイサービス施設は通常、介護保険法に基づき高齢者が対象だが、お年寄りや子供、障害者らが自然に触れ合うことで、ケアの効果が高まるとして注目された。

富山県などは2003年、高齢者のデイサービスを障害者や障害児も利用できる事業の推進特区として申請。国はこれを認め、06年には特区認定を受けなくても事業ができるよう全国自治体に通達し、各自治体の判断で設置できるようになった。

生野区でデイサービス施設を運営していた西村さんは10年に区内の仲間と惣万さんを招いた講演会を開いたのがきっかけとなり、11年1月、「地域共生ケア生野推進委員会」を結成した。地域の有志と富山の施設を視察し、利用者が大家族のように過ごす姿に心打たれ、「生野区でもやりたい」と市に働きかけるとともに、2年前に認可外保育園を開いた。

大阪市は従来、高齢者など各福祉サービスが整備されているとして、富山型の申請を認めてこなかった。しかし、同委員会の働きかけもあり、14年12月、地域の要望がある生野区に限り、試験的に事業の申請を認めることにした。市は今後、同区の事業所の取り組みを検証し、市全域で導入するか検討する方針だ。

あでらんては、同区内の障害者支援団体などと農園での作業などで交流を深めている。西村さんは「介護や育児で困ったら駆け込める場所になればと思う。ここを拠点に住民同士で支え合える地域づくりを目指したい」と話している。

■2015.4.8  正看護師養成校が小林に開校 西諸県地区で初  宮崎県
西諸県地区(小林、えびの市、高原町)で初の正看護師を養成する施設となる小林看護医療専門学校が、小林市駅南に開校した。

高校卒業生を対象にした看護(3年制・40人)と医療秘書(2年制・20人)の2学科。3日に市文化会館で開校式と入学式があり、看護学科に40人が入学した。医療秘書学科は志願がなかったが、来年度以降も募集する。

公務員試験の専門学校などを手がける宮崎総合学院(宮崎市)が運営し、鉄骨4階建て校舎の建設費や運営費の一部は3市町が助成する。西諸医師会からの講師派遣も予定されている。

3市町と同医師会などが、正看護師不足解消のため2012年8月、「西諸看護学校誘致促進協議会」を発足させ、開校の準備を進めてきた。正看護師を養成する専門学校は県内6校目。

■2015.4.8  認知症の行方不明者と気づかず…警察・消防保護せず死亡
東京都中野区の路上で昨年8月、家族から行方不明者届が出された認知症の男性(当時83)が倒れているのが見つかったが、警察や消防は保護せず、2日後に死亡していたことが、警視庁への取材でわかった。受け答えがしっかりしていたことなどから認知症と気づかず身元照会しなかった、と警視庁は説明している。

地域総務課によると、死亡したのは横浜市の男性。昨年8月19日、利用していた福祉施設から行方不明になり、家族が同日、神奈川県警に届けた。

2日後の21日午前10時20分ごろ、中野区内の路上で倒れているのが見つかった。中野署の交番の警察官と東京消防庁中野消防署の救急隊が駆け付け、男性には微熱やのどの渇きといった症状があったが、男性は救急搬送を拒んだ。

警察官が名前や生年月日を聞くと、男性は実際の年より20歳若く答えていたが、外見が若く見えたことなどから「受け答えに問題はない」と判断。男性が「歩いて帰れる」と答えたため、近所の人だと考え、行方不明者情報の照会はせず、水を飲ませて近くの公園に連れて行き、現場を離れた。


東京都中野区の路上や公園で昨年8月、行方不明になっていた男性=当時(83)=が倒れているのを発見された際、警察官が保護せず、2日後に死亡していたことが8日、警視庁への取材で分かった。警察官は認知症と気付かず、身元照会もしていなかった。男性の家族は同庁に認知症だったと説明しているという。

警視庁によると、男性は昨年8月19日、横浜市鶴見区のデイサービス施設から行方不明となり、家族が神奈川県警に届け出。同21日午前にJR中野駅近くの路上で倒れているのを発見された。東京消防庁の救急隊や警察官が駆け付けたが、男性は搬送を拒み、氏名を答えたという。警察官は身元照会はせず、水を飲ませ、休息できる近くの公園に連れて行った。

しかし、同日深夜に「男が公園で寝ている」と通報があり、引き継ぎを受けていない別の警察官が対応。警察官が救急車を呼ぶか尋ねても「大丈夫」などと答えたため、警察官は現場を離れ、身元照会もしなかった。

男性は2日後の23日朝、公園のトイレ脇で死亡しているのを発見された。死因は脱水症などとされ、外傷などはなかったという。警視庁はホームページで持ち物や特徴など情報を掲載。家族から連絡があり、身元が判明した。

警視庁地域部は身元照会や保護をしなかった理由について、「外傷や不審な点などがなく、受け答えもしっかりしていた」と説明。同部は都内全署に対し、「不審な点が認められない人でも高齢や病気、認知症などで自分の身を守れない人がいる」と注意して対応するよう指示した。

警視庁幹部は「身元確認が迅速にできたらと思うと残念でならない。今後に生かしたい」と話した。 

■2015.4.8  カレッジ久留米:開校 社会で生きる力を 障害者ら対象に、4年制教育機関 /福岡
◇入学式で「学び」へ意欲


特別支援学校の高等部を卒業した知的障害者ら向けの4年制教育機関「カレッジ久留米」が7日、久留米市東町に開校し、1、2年生9人が入学式に臨んだ。今後、コミュニケーション能力向上や働く技術を身に着け、社会で生きる力を学ぶ。【宗岡敬介】

カレッジ久留米は、社会福祉法人・鞍手ゆたか福祉会(長谷川正人理事長)の運営で、既に福岡市や北九州市、東京都などに開校しており、久留米は5校目。久留米校を含め、学生は約80人という。

長谷川理事長によると、特別支援学校の高等部を卒業、就職した知的障害者の4割近くが3年以内に離職する。中には、忍耐力やコミュニケーション能力の不足などで離職するケースがあるという。

カレッジは1、2年が教養課程で、3、4年が専門課程。教養課程は金銭計算など自立や生活訓練を、専門課程では、パソコンなど就労スキルや働く自信を身に着ける。

久留米校では教員免許を持つ3人が授業を受け持つ。入学金や授業料は国の支援を使っており無料という。

2年生の近藤真未さん=筑後市=と山浦慎太朗さん=大木町=は福岡校に電車やバスを乗り継ぎ1年間通った。山浦さんは「漢字を勉強して丁寧な字が書けるよう練習したい」と意気込んだ。

新入生の宮原史亜さん(18)は「運動したいし、いっぱい勉強したい」。坂梨龍希さん(19)の父潮さん(59)は「今までは特別支援学校で終わりでその後の学びの場がなかった。お金の計算や電車の乗り方などを学んでほしい」と話した。

■2015.4.8  女性と仕事  看護職、経験より夜勤重視
●産休拒否され退職

それは待望の妊娠だった。不妊治療を続け、5回目の体外受精で授かった我が子。「守れるのは私しかいない、そう思ったんです」。看護師の恵さん(39)=仮名=は1年前、妊娠4カ月の時に、パート職員として働いていた東京都内の有料老人ホームを退職した。産前産後休暇と育児休暇の取得を拒否されたからだ。

老人ホームでのパート職員を選んだのは「産休・育休」が取れると説明を受けたからだった。

妊娠が判明してから1カ月後には本社の看護部長に報告。育休後、職場復帰したいと伝えた。しかし思わぬ言葉が返ってきた。「お母さんの元で育てた方がいい」。話が通じず「これ以上ストレスを抱えておなかの子に何かあったら」と、職場と闘い続ける気にもならなかった。

恵さんはそれ以前、大学病院に常勤職員として勤務し、救急救命センターなどを担当していた。その間にも体外受精で妊娠したが、勤務中に出血し流産。それでもその翌日、夜勤を務めた。

子宮筋腫手術を受け、ピル治療で吐き気やめまいに苦しんだ時期もあったが、夜勤の免除はなく、最終的に約10年勤めた大学病院を辞めた。

「大学病院を辞めて、キャリアを捨てて、介護施設のパートになったのに、まさか産休という権利さえ与えられない職場があるなんて」。恵さんは今も納得がいかない。

 ●求人は「土日勤務」

働く女性の17人に1人は「看護職」というデータがあるほど、看護は女性の代表的な職場だ。しかし、働きながら産み育てることに理解があるとは言いがたい状況にある。

日本看護協会によると、看護職員は結婚・出産期にあたる20代後半〜30代にかけ、離職者が増え、復職する人が少ないのが特徴だという。

東京都江東区の看護師、千春さん(38)=仮名=は次男を妊娠中、切迫早産の診断を受け自宅安静になった。その2カ月後には、当時勤めていた都内の病院のパート契約の更新を拒否され、退職に追い込まれた。上司に契約打ち切りを告げられた時、「こう(切迫早産に)なる前になぜ休まなかったの」と言われた。

病院には元々、正規職員として就職した。5年前、長男の妊娠が分かった時、業務軽減はほとんどなく、月7〜8回の夜勤をこなし、日勤の日も10時間近く重症患者の担当をした。長男の時も切迫早産の診断を受けた。

長男の育休が明け、職場復帰の半年後には夜勤と日曜出勤を要求された。子どもや家族の時間を確保するため、自らパート職員に転換した。年収は約200万円下がった。

今は再就職活動中。面接で「夜勤に入れるか」「育児の協力者はいるか」と聞かれ「NO」と答えては落とされることの繰り返しだ。「経験や資格でなく、夜勤や土日勤務に入れるかが重視されるのは納得できない。そもそも、命を助ける専門職が、なぜ自分や子どもの命を大切にできないのか」と憤る。

 ●妊娠時期「お伺い」

女性が95%と圧倒的多数を占める保育士の世界でも、仕事と家庭の両立がままならないのは同じだ。

東京都世田谷区の保育士、絵里子さん(40)=仮名=が、約20年勤めている私立認可保育所の常勤職員15人のうち、子どもがいるのは絵里子さん含め4人。子育てとの両立の難しさを目の当たりにし、妊娠した職員の約7割は辞めていったという。

子どもが1歳を超えると早朝や夜の勤務もあり、仕事を持ち帰らざるを得ない日も。絵里子さんは夫の実家近くに引っ越し、協力を得ながら3人の子どもを育ててきた。

保育ニーズの高まりで、求人を出しても保育士確保が難しい中、業務の多さに人手が追いつかず、妊娠・出産するにも職場の空気を「そんたく」しなければならない。「私も、そろそろ(妊娠するのは)どうでしょうか、と上司の顔色をうかがったこともある」と苦笑する。

保育所の職員らが加入する全国福祉保育労働組合の調査(2014年11月〜15年2月、保育所136カ所対象)によると、74・3%の施設で不払い残業があり、育休などの制度なしは11・8%、妊産婦の業務軽減なしは18・4%に上り、最低限の法律さえ守られていない職場が多数存在することが分かった。

福祉労働が専門の淑徳大短大部の亀山幸吉教授は「保育士は保母、介護ヘルパーは家政婦などを起源とし『家事労働の延長』という扱いを受け、一般の会社員や看護師と比べても待遇が劣悪だ」と説明する。

 ●国の予算確保急務

看護や保育現場に詳しい、ジャーナリストの小林美希さんは「ケアワークは労働集約的で、利益を出すには人件費を削るしかない。一方で技術の高度化、サービス業化が進み、人手はかかるのに利益追求が優先され、労働者への負荷は一層高まっている。最もそのしわ寄せが出ているのが妊婦」と指摘する。

また、元々女性が多く、妊娠や育児に伴う負担や危険を知っていても、現場では「何とかしてあげたいが人員不足でできない」と思う人、反対に「自分も同じ経験をしてきたからできるはず」と考える人もいて、なかなか職場全体の改善に結びつかないのではないかとみる。

医療は診療報酬、介護は介護報酬など国の制度に縛られている。国が十分な予算を確保しなければ人手は増えない。「職場環境が変わるかどうかは、最終的には国の姿勢にかかっている」と小林さんは訴える。=つづく

 ●再就職、7割が「短時間」希望

出産や育児などを理由に看護職を辞め、再び働くことを希望する人の7割近くは、夜勤や長時間勤務などを避けるため、パートや、通常より短い時間で働く正社員を望んでいる。しかし実際に就業している人の8割はフルタイムの正社員で、まだまだ働き方の選択肢は少ない

■2015.4.8  乳幼児も一緒、デイサービス…保育園併設施設 大阪市   富山型デイサービス
大阪市生野区に高齢者と乳幼児を一緒に受け入れる施設がある。認可外保育園を併設する高齢者向けデイサービス施設「あでらんて」。

運営する西村洋三さん(51)が、乳幼児からお年寄り、障害者など様々な人が利用できる富山県発祥の「富山型デイサービス」に共感し、取り組みを始めた。こうした施設は全国に広がりつつあり、大阪市も導入の検討を始めた。

2月の昼下がり、2歳から100歳の利用者計約10人が絵本の読み聞かせに耳を傾けた。お年寄りが懐かしい歌謡曲を口ずさむと、2歳児らが太鼓をたたいてはしゃいだ。

80歳代の女性は「子供と遊べば元気をもらえる」と言い、2歳の孫を預ける池永啓子さん(64)は「お年寄りが子供をあやしてくれるおかげで、人見知りをしなくなった」と話す。

高齢者や乳幼児を一緒に受け入れる「富山型」の施設は、富山市の惣万佳代子さん(63)らが1993年に開いた「このゆびとーまれ」が始まり。デイサービス施設は通常、介護保険法に基づき高齢者が対象だが、お年寄りや子供、障害者らが自然に触れ合うことで、ケアの効果が高まるとして注目された。

富山県などは2003年、高齢者のデイサービスを障害者や障害児も利用できる事業の推進特区として申請。国はこれを認め、06年には特区認定を受けなくても事業ができるよう全国自治体に通達し、各自治体の判断で設置できるようになった。

生野区でデイサービス施設を運営していた西村さんは10年に区内の仲間と惣万さんを招いた講演会を開いたのがきっかけとなり、11年1月、「地域共生ケア生野推進委員会」を結成した。地域の有志と富山の施設を視察し、利用者が大家族のように過ごす姿に心打たれ、「生野区でもやりたい」と市に働きかけるとともに、2年前に認可外保育園を開いた。

大阪市は従来、高齢者など各福祉サービスが整備されているとして、富山型の申請を認めてこなかった。しかし、同委員会の働きかけもあり、14年12月、地域の要望がある生野区に限り、試験的に事業の申請を認めることにした。市は今後、同区の事業所の取り組みを検証し、市全域で導入するか検討する方針だ。

あでらんては、同区内の障害者支援団体などと農園での作業などで交流を深めている。西村さんは「介護や育児で困ったら駆け込める場所になればと思う。ここを拠点に住民同士で支え合える地域づくりを目指したい」と話している。

■2015.4.10  どうすれば救えたか…認知症男性、保護されず公園で死亡
横浜市の施設から行方不明になった認知症の男性(当時83)が昨年8月、東京都内の公園で死亡した。2日前に警察が2度接触しながら認知症と気付けず、行方不明者のデータベース(DB)に照会したり保護したりしなかった。徘徊(はいかい)する認知症の人をどうすれば救えるのか。

■「熱中症か貧血かと」 119番した男性

東京都中野区の路上に倒れていた男性に警視庁中野署員が接触したのは、昨年8月21日午前。名前をはっきりと答え、歩いて帰れるかどうか尋ねると「帰れる」と言った。

男性は19日に横浜市鶴見区の通所介護施設から行方不明になり、家族はこの日、神奈川県警に行方不明者届を提出。名前などの情報は警察庁が管理するDBに入力され、全国の警察が照会できる状態になった。

男性はカッターシャツにジーンズ姿。髪は黒々としていた。署員は近所の人と思い込み、DB照会をしなかった。男性は誤って生年月日を20年若く答えていたが、不審に思わなかった。

男性に気づいて、119番通報した男性も、「熱中症か貧血のような状態で認知症とは思わなかった」と振り返る。署員は約300メートル離れた公園で男性を休ませ、現場を離れた。

その日の夜。警察がもう一度、照会するタイミングがあった。

「60代くらいの酔客が寝ている」。先の現場にほど近い公園のトイレで倒れている男性を通行人が見つけて通報した。男性は生年月日を聞かれても「大丈夫」と繰り返し、救急搬送も拒んだ。「家がないのか」と問うとうなずいたため、署員はホームレスと思い込んだ。

2日後の朝、公園で男性の遺体が見つかった。死因は脱水症と低栄養。連日30度を超える暑さが続いていた。

この日、署は初めてDBに照会。外見から「60〜70歳」で検索したため、ヒットしなかった。後日、「50〜80歳」に広げて再検索したが、83歳の男性の情報は表示されなかった。

約2カ月半前に警察庁が「認知症の疑いのある迷い人を発見した場合、行方不明者照会をより広範囲に実施する」との通達を出したばかりだった。

警視庁だけで1年間に受理する行方不明者届は約4千〜5千件。効率化のため、年齢幅を狭めて照会する傾向があるという。地域総務課は「対応は適正を欠いたとは言い難い」とする一方、見た目の年齢にとらわれず積極的に行方不明者の情報を照会するよう先月、全署に指示した。

■徘徊かも? 放っておかない

今回の事例が浮き彫りにしたのは、認知症の「実像」が十分伝わっていないということだ。認知症は物忘れなどが中核的な症状だが、原因や進行度合いなどによって症状はさまざま。外見から判断がつかないとき、どう接すればよいのか。

群馬県沼田市の「認知症にやさしい地域づくりネットワーク」運営にかかわる田中志子(ゆきこ)医師は、少し時間をかけて様子を見て、とアドバイスする。同じ場所を行ったり来たりするなど不自然な様子だったら声をかければいいという。

不安そうだったり、答えがちぐはぐだったりする場合は「どちらに向かわれますか?」などと聞いてみる。1人で行動するのが難しそうだと思ったら「家族の人に連絡しましょうか?」と促したり、周囲に助けを求めたりすることも考えたほうがいいと言う。

「大丈夫です」「いいです」と言われるかもしれない。「その時は時間を置いて、もう一度見に行ったり、心配な人がいると交番に伝えたり、という方法もある。こうすればいい、という正解はない」

認知症の人が安心して外出できるまちづくりを目指し見守り・声かけの模擬訓練をする福岡県大牟田市。市認知症ライフサポート研究会代表の大谷るみ子さんは「(声をかけても)『来なくていい』と怒ったり、逃げたりする人もいる」と話す。そうした場合は「問い詰めるのではなく、いったんその場から離れ、高齢者施設に助けを求めたり、自治体の福祉窓口に連絡したりする方法もある」と助言する。

「市民も見守りや声かけならできる。警察や消防、行政、地域包括支援センターなどの連携の強化も欠かせない。地域ぐるみで、気になる人を放っておかない、という意識を持つことが大切だ」。大谷さんは指摘する。

■認知症で捜索願1万人超

厚生労働省などによると、2012年時点での65歳以上の認知症の人は推計462万人。25年には約700万人に達するという予測もある。家族などから13年に警察に捜索願が出された認知症の人は、1万322人に上る。車を運転して死亡事故を起こしたり、徘徊して列車にはねられて家族が鉄道会社から賠償を求められたりする事例もある。

北海道釧路市では、徘徊による死者が出たのをきっかけに、1994年に警察やタクシー会社、コンビニなどが情報を共有する「SOSネットワーク」を立ち上げ、14年までの21年間で686人の行方不明者を捜し、662人を保護した。

ただ、こうした仕組みを導入しているのは、昨春時点で616市区町村。全国の3割程度にとどまっている。

厚労省は05年から「認知症サポーター」の養成に着手。認知症特有の症状や接し方などを学んでもらい、認知症の人と出会った時に手助けできるようにする取り組みだ。3月末までに、住民や金融機関の従業員ら約611万人がサポーターになった。政府は、17年度末までに800万人に増やす目標を掲げている。

■2015.4.10  ペットボトルキャップ回収NPO、ワクチン代金寄付せず 「資金なかった…」
「世界の子供たちにワクチンを届けよう」と呼びかけ、全国からペットボトルのキャップを集めているNPO法人「エコキャップ推進協会」(エコ推、横浜市)が平成25年9月以降、キャップの売却益をワクチン支援事業に充てていなかったことが10日、分かった。会見したエコ推の矢部信司理事長(55)は事実関係を認め、「昨年度は(売却益を)障害者支援事業に充てたため、ワクチン支援事業に寄付する資金がなかった」と釈明した。

エコ推は19年に設立。全国から集めたキャップをリサイクル業者に販売し、売却益で社会福祉事業に取り組んできた。これまでに123億個以上のキャップを集めて売却。世界各地へポリオなどのワクチンを送る活動をしている認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを 日本委員会」(JCV、東京都港区)に総額約1億2400万円を寄付してきたが、25年9月以降はJCVへの寄付を停止していた。

矢部理事長は「決して私腹を肥やしていたわけではない。今後もワクチン支援は続けていく」と強調し、「市民や関係者に多大なご心配をおかけしたことを心から陳謝する」と謝罪した。

■2015.4.10  鹿毛運輸 福祉運送従事者を育成、定期講習会に寄付
鹿毛運輸(鹿毛美和社長、福岡県朝倉市)では社会貢献活動の一環として、福祉有償運送運転者講習会を行っている。同社は運送業のほかに訪問介護業も手がけていることから、利益の3分の1をNPO法人にこにこプラットホームに寄付し、講習会を定期的に実施しているという。

少子高齢者社会を迎え、身体障害者や要介護者など、一人では公共交通機関を利用することが困難な移動制約者に対して、NPOなどによるドア・ツー・ドアの個別輸送サービスを提供する福祉有償運送のニーズが高まっている。同運送のドライバーには国交大臣の認定する講習を受けることが義務付けられており、にこにこプラットホームでは同講習会を随時開催し、受講者には修了証が発行される。

同講習会は、安全運転や交通事故対策について、訪問介護の移動支援事業者として長年に渡り培ってきた同社のノウハウを注ぎ込んだ内容で実施。受講者からは「運転に対する意識を変えなくてはいけないと感じた」「目視の必要性を再確認した」など、運転意識の改善につながったという感想が多く寄せられている。

同社の鹿毛哲也相談役は、「これからも講習会を続けて、一人でも多くのヘルパーさんが移動サービスに従事し、外出の支援を求めている方の手助けを行うことで、当社としても社会に貢献したい」と話す。

また、運送事業では省エネ活動を推進。燃費チェックを毎月実施し、上位3人のドライバーを表彰、下位5人は省エネ運転講習などに参加させている。同氏は「CO2削減や事故防止、トラックのこまめな点検につなげることができ、業績も上がる」と、一層の省エネ運転励行に努める考えだ。

■2015.4.11  1510施設で高齢者虐待の疑い 2012年以降で調査
全国の介護施設や療養型病院のうち少なくとも1510施設で、2012年以降の3年間に高齢者への虐待があったり、虐待の疑いがあったりしたことが、厚生労働省の補助を受けたNPO法人の調査でわかった。調査に回答した施設の2割弱にあたる。人手不足の施設ほど虐待が多い傾向もみられた。

調査したのは、NPO法人・全国抑制廃止研究会(吉岡充理事長)。今年1〜2月、全国の3万5278施設に郵送で行い、施設名を出さない前提で、虐待に関しては8988施設から回答があった。

このうち461施設が「虐待があった」、1049施設が「あったと思う」と答えた。虐待を受けたり、受けたとみられる高齢者数を聞いたところ、計2203人になった。

施設の職員数が「不十分」と答えた施設では、虐待が「あった」「あったと思う」とした割合が計23%だったのに対し、職員数が「十分」な施設では計12%だった。人手が足りない施設では、職員がストレスから暴力をふるったり、介護を怠ったりする傾向が強まるためとみられる。

施設の種類別に見ると、自宅復帰に向けてリハビリを行う「介護老人保健施設」が21%と最も高く、「特別養護老人ホーム」が20%、認知症の人が共同生活する「グループホーム」が18%で続いた。療養型病院は1割程度だった。

ただ、今回の調査では7割以上の施設は未回答のため、虐待の全容を把握するのは難しい。

国が、自治体を通じて把握している介護施設での虐待件数は221件(2013年度)。これを上回る数の施設から虐待や虐待疑いの回答が寄せられたことについて、NPOは「虐待の多くが行政に届け出されないまま、見えない状態になっている」と指摘する。

厚労省は「虐待」の具体的内容について「暴力的行為」「威嚇的、侮辱的な言葉」「治療や介護を怠る」などと例示している。また、高齢者虐待防止法では、介護施設の職員らは虐待をみつけたら速やかに自治体に通報することが義務づけられている。今回、回答した施設が通報したかは不明だ。施設や家族から通報を受けた自治体は、事実関係を調べ、虐待と認めた場合は施設を指導して改善を図る。

虐待とは別に、認知症高齢者らを車イスにベルトで固定したり、点滴を抜かないようにミトン(手袋)をはめたりする「身体拘束」について聞いたところ、回答した施設の2割強、療養型病院では7〜8割が拘束をしていた。

介護施設での身体拘束は原則禁止だ。例外的に、生命の危険がある▽拘束以外に介護の方法がない▽一時的な手段、の3要件を満たす場合のみ認められ、それ以外は虐待と判断される。

今回の調査では、拘束をしていた施設の約2割が、拘束を避ける方法がないかを事前に検討しないケースもあると回答しており、同研究会は「違法な拘束が少なからず行われている可能性がある。行政は指導を徹底すべきだ」とする。

〈NPOによる調査の概要〉 全国の介護施設などに、対外的に施設名を出さない前提で郵送により行った。厚生労働省が研究テーマを設定し、実施者を公募して予算をつける「老人保健健康増進等事業」の一つで、今回の調査の予算は約1300万円。調査したNPO法人・全国抑制廃止研究会は、身体拘束をなくし、介護や看護の質を向上させる活動をしている。

■2015.4.11  人手不足、虐待の温床 高齢者施設、月280時間労働も
厚生労働省の補助を受けたNPO法人・全国抑制廃止研究会の調査で、少なくとも全国1500以上の高齢者施設で虐待やその疑いがあることが分かった。朝日新聞の取材でも、第三者の目が届きにくい深夜の施設などで、入所者への暴力や介護放棄が起きている実態が浮かび上がった。

介護職の男性(40)は、数年前に東京都内のデイサービス施設で目にした虐待が忘れられないという。ある職員が80代の利用者を殴り、眼底出血の大けがを負わせた。利用者はパーキンソン病と認知症を併発していたが、職員は「言うことを聞かないので手が出た」と話したという。

男性が勤めていた会社が運営する千葉県の別の施設では、精神障害などで対応が難しい利用者がくると、食事や入浴の時間帯以外は部屋に鍵をかけて閉じ込めていた。だが、ある時、一人が抜け出して外で凍死した。鍵をかけず、見守りを強化する改善策が取られるかと思ったが、閉じ込めは続いたという。

背景にあるのが人手不足だ。この会社の施設は、日中だけでなく宿泊利用もできる。規定では利用定員を10人としていたが、多い時は1カ所で15人の利用者を受け入れ、職員は6人ほど。日中は3人、夜間は1人で対応するが、パートが半数で、男性のような常勤職員は長時間労働が常態化していた。多い月で夜勤が15回、勤務が月280時間にのぼったこともあった。

「虐待は絶対に正当化されないが、過酷な労働が職員から気持ちの余裕を奪い、一線を踏み越えた言動につながっている」。男性は、いつか自分も加害者になるのでは、という怖さから会社を辞めたという。

横浜市の有料老人ホームで3年前まで働いていた元男性職員は、必要な介護が放棄される現場を見てきた。酸素吸入が必要な人の鼻からチューブが外れてアラームが鳴ったのに放置されたり、杖をつかないと歩けない人を一人で風呂に入れたりしていたという。こうした事例が市に報告されることもなかった。

背景にはやはり人手不足と過重労働があった。夜勤に入ると、翌日まで24時間以上、働かされるのが当たり前だったという。職員の目が行き届かず、入居者が大けがしそうになったことも、一度や二度ではなかった。「ストレスがたまり、職員は次々に辞めた」と元職員は振り返る。

看護師などに比べて給料が低く、仕事もきついため、介護の現場の多くは深刻な人手不足に悩まされている。東京都高齢者福祉施設協議会が昨年末、都内の445の特別養護老人ホームに調査したところ、回答した305施設のうち、規定で定める職員の定数に満たないところが半数近くあった。(本田靖明、松田史朗)


■<考論>経営基盤強化し、労働環境向上を

柴尾慶次・日本高齢者虐待防止学会理事 介護施設では、重い認知症や要介護度の高い入居者が増えている。一方、人手不足で経験の浅い職員も増えており、うまく対応できずにストレスをためこみやすいことが、虐待の背景の一つにあるのではないか。

介護事業者も、介護報酬だけに頼らず事業の幅を広げ、経営基盤を強化することで、職員の待遇や労働環境を向上させる工夫をするべきだ。


■<考論>症状ごとの対応、蓄積が足りない

梶川義人・淑徳大学短期大学部兼任講師 今の介護現場では、例えば暴れるなど認知症の症状が強い高齢者らに、どう対応すればいいかというノウハウの蓄積が不十分だ。症状に合ったきめ細かいケアをもっと追求すべきだ。

そのうえで、努力して専門性を高めた職員には相当の対価を払うようにすれば、人も集まりやすくなる。そのための介護報酬の引き上げなら、世間も納得するのではないか。


<NPOによる調査の概要> 全国の介護施設などに、対外的に施設名を出さない前提で郵送により行った。厚生労働省が研究テーマを設定し、実施者を公募して予算をつける「老人保健健康増進等事業」の一つで、今回の調査の予算は約1300万円。調査したNPO法人・全国抑制廃止研究会は、身体拘束をなくし、介護や看護の質を向上させる活動をしている。

■2015.4.11  <厚労省>介護福祉士や保育士の資格を統合
◇一本化検討入り 福祉人材の確保に向けて

厚生労働省は少子高齢化と人口減で人手不足が懸念されている福祉人材の確保に向け、介護福祉士や保育士などの資格を一本化する検討に入った。戦後ベビーブームの「団塊の世代」が全員75歳以上になる2025年以降を見据えた動きで、介護施設と保育施設などを一つにまとめて運営できるようにすることも考えている。近く省内に検討チームを発足させ、利点や課題を整理する。

厚労省の推計によると、25年に必要とされる介護職員の数は約248万人で、このままでは約33万人不足し、保育士も17年度末には約7万人足りなくなる。

人口減が進む40年には、地方の過疎化が一層深刻化する見通しで、厚労省は介護施設や児童福祉施設などがバラバラに点在している現状では、人手不足で存続できない施設が続出する可能性があるとみている。

ただ、保育士の場合、今後の少子化で大幅に人員を増やせば将来過剰となる。このため、厚労省は介護施設、保育施設、障害者施設を1カ所にまとめられるよう規制を緩和したうえで、介護福祉士や保育士など専門職種で分かれている資格を統合し、1人の職員が子育てから介護サービスまで提供できるようにする仕組みを検討することにした。

参考にするのが、フィンランドが導入している医療と社会福祉サービスの共通基礎資格(ラヒホイタヤ)だ。ホームヘルパーや准看護婦、保育士、リハビリ助手など計10の中学校卒業レベルの資格を一本化した資格で、福祉や介護に従事する職員を確保する必要性から生まれた。1人で複数の分野を掛け持ちできる職員を福祉の現場に配置し、柔軟に対応できるようにしているという。

この資格を持っていると、子育てから介護まで幅広い分野で働くことができ、求人も多いため、生涯仕事を続けることができるという。厚労省は同様の仕組みを日本で導入すれば、雇用対策にもつながるとみている。

問題になるのは、乳幼児の世話と認知症患者も含めた高齢者のケアでは、求められる技術や知識が大きく異なる点だ。すべて1人でこなすには高い能力が求められ、資格の一本化には、人材をどう育成し確保するかという課題が横たわる。介護、福祉の現場からは、資格統合に対する反発もあり、同省は時間をかけて検討することにしている。

■2015.4.11  保育所開設へ協定 YKK、黒部の社福法人と
ファスナー大手のYKK(東京)は10日、黒部市の社会福祉法人「あいじ福祉会」と保育所開設に関する協定書を交わした。同市で建設中の集合住宅「パッシブタウン」で来年4月、保育所をオープンする。同社が保育所を設けるのは初めてで、社員を対象に0〜2歳児15人程度を預かる。


同日、吉田忠裕会長が福祉会の岩井恵澄理事長を訪ね、調印した。黒部市に生産拠点を持つYKKグループは東京から黒部への本社機能の一部移転を進めており、保育所を開設し、東京から異動する社員の保育環境を整える。

吉田会長は、社員向けに保育所を整備することは、創業者である父、忠雄氏の構想だったことを紹介し「子育てがハンディにならないよう、働きやすい環境をつくる。子どもの教育のベースは保育園であり、日本の保育環境に一石を投じたい」と語った。

岩井理事長は「世界に冠たるYKKの仕事を支えるため全力投球で努める」と話した。堀内康男黒部市長が立ち会った。

■2015.4.13  知的障害者を一流のチョコ職人に 高級店のシェフが商品監修 京都
知的障害のある人たちが一流のショコラティエ(チョコ職人)を目指して修業する異色のチョコレートショップが京都市内にある。高級店のシェフが商品を監修し、本格的な味で勝負。店長の吉野智和さん(38)は「専門のショコラティエは日本でも数少ない。障害者たちもスペシャリストとして名を連ねるようになってほしい」と話す。

京都市上京区の「NEW STANDARD CHOCOLATE kyoto」。調理場をのぞくと、知的障害がある20代の男女3人が楽しそうにチョコレートを仕上げていた。

昨年12月開店。店内は木のぬくもりを感じさせる落ち着いた雰囲気で、ドライフルーツや黒豆を入れたチョコレートの洋菓子「京テリーヌ」が看板商品だ。東京都渋谷区や港区の高級チョコレート店でシェフショコラティエを務める野口和男さんが事業に賛同。商品監修と指導にあたる。

知的障害のある3人も少しずつチョコレート作りを覚え、工程のほぼ全てを任せられるようになってきているという。

店長の吉野さんはもともと、京都市内の知的障害者授産施設に勤め、障害者が制作した陶器を福祉バザーだけでなく、一般業者も出品する知恩寺(京都市左京区)のバザーに出品。作品が社会で受け入れられていく状況に目を輝かす障害者の姿を見て、知人だった野口さんらの支援を受けてショコラティエ育成を始めることにした。

一部の福祉関係者からは「障害者をビジネスに巻き込むのか」と反発もあったが、「むしろ巻き込むことで社会とのつながりができる」と考えた。

「純粋においしい商品しか店頭には並べていない」と胸を張る吉野さん。「商店街にある果実店などいろいろな店とも無限にコラボできる」と将来構想を膨らませている。

■2015.4.15  ラーメン“定期便”に舌鼓 福祉施設へ慰問 鹿沼飲食業組合
市内の飲食店で組織する鹿沼飲食業組合(金田正巳組合長)は14日、日吉町にある市の障害者支援施設「やまびこ荘」を訪れ、入所者、通所者らにラーメンを振る舞った。

同組合は1992年からラーメンによる施設慰問を行っており、同荘の訪問は26回目。この日は同組合食堂部会(瓦井博史部長)の9人が手際よく調理、約2時間かけて80食分を用意した。

金田組合長(73)は「皆さんのうれしい顔が見たくてことしも来ました。お代わりもたくさんあります」とあいさつ。高齢の入所者には麺を細かく切って食べやすいようにしてあり、チャーシューやホウレンソウなど5種類の具が入ったしょうゆ味のラーメンを味わった。入所者は「おいしい。食べやすい」と次々と2杯目を注文していた。

鈴木一夫施設長(60)は「ふだんラーメンは出せないので皆さん楽しみにしている。ありがたい慰問です」。金田組合長は「麺は市内の食品会社からの提供。これからも社会貢献として、ラーメンでの慰問を続けていきたい」と話した。

■2015.4.15  亜鉛で健康維持、公開講座に130人  亜鉛不足が様々な難病の一因になっている可能性がある
栄養素である亜鉛の重要性を広めている「近畿亜鉛栄養治療研究会」の設立5周年を記念した公開講座が10日、京都市下京区内で開かれた。

医療関係者ら約130人が参加し、専門の医師らが、健康維持に果たす亜鉛の役割などについて講演した。研究会は2010年4月、近畿地方の医師らが設立し、現在の会員は約300人。

研究会の代表世話人を務める草津総合病院(滋賀県草津市)の宮田学顧問があいさつした後、吉川敏一・府立医大学長を座長に、内藤裕二・同大学准教授と、伊佐地秀司・三重大教授がそれぞれ特別講演を行った。内藤准教授は、亜鉛に炎症を抑える役割があることに触れ、「亜鉛不足が様々な難病の一因になっている可能性がある」と指摘。伊佐地教授は、亜鉛の吸収に膵臓が関わっていると説明し、「膵臓の摘出手術をすると、亜鉛が極端に欠乏し、他の症状を引き起こす」と述べた。



亜鉛が不足すると、味覚障害や発育不全、機能性障害などを引き起こすといわれています

亜鉛を含む食べ物・食品
亜鉛は、食品では特に肉類、魚類、穀物に多く含まれています

牡蠣(カキ)、うなぎ、牛肉(もも肉)、チーズ、レバー(豚・鶏)、卵黄、大豆、納豆、きな粉、豆腐、そば、ゴマ、緑茶、抹茶、カシューナッツ、アーモンド、黒米、赤米

亜鉛の1日の必要量は、15mg

牡蠣ならわずか2粒で16mgですので、一日分が補えます。


亜鉛不足チェック方法
次のような症状が出ていたら、あなたは亜鉛不足かもしれません。当てはまるものが多い人は要注意。食生活を振り返るきっかけにして下さい。

◆肌荒れ・シミが目立つ
亜鉛が減ると、細胞の分裂や再生が上手く行なわれなくなり、肌が荒れてくる。シミやそばかすも目立ってくる。

◆爪が変形・変色したりする
亜鉛が減ると、たんぱく質の合成が上手く出来なくなるため、爪の伸びが遅れたり、伸びても割れやすくなる。

◆お酒に弱くなった
アルコールを分解するアルコール脱水酵素は亜鉛がないと働かず、そのため、二日酔いもおこしやすい。

◆抜け毛が多い
亜鉛不足で、髪の毛の成長が遅くなったり、切れ毛や抜け毛を起こすことがある。

◆すり傷が治らない
亜鉛の欠乏で傷の回復が遅くなる。

◆立ちくらみ
亜鉛不足が慢性化すると、貧血が起こりやすくなり、血圧調整がうまくいかず、立ちくらみが起こることがある。

◆目の疲れ
亜鉛の欠乏で、夜盲症になるほか、網膜の光を感じる能力が弱くなり、その結果、目が疲れやすくなる。

◆精力が衰えた
亜鉛は男性ホルモンの合成にも関係していることから、セックスミネラルとも言われる。欠乏すると生殖能力の低下を招く。(男性不妊)

◆生理不順
女性の卵子には亜鉛が豊富に含まれていて、欠乏すると妊娠しにくくなる(不妊)ほか、生理不順も多くなる。

◆物忘れが激しい
記憶をつかさどる海馬という部分には亜鉛が多く含まれている。亜鉛が減ると記憶力も衰える。
◆疲れやすい
最近、運動選手の疲労と亜鉛との関係が注目されている。筋肉中の亜鉛が減ると、筋肉の収縮力が弱まり、疲労が強まる。

◆風邪をひきやすい
亜鉛が減ると、免疫の司令塔であるT細胞がうまく働かなくなり、カゼをひきやすい。

◆味覚障害
亜鉛不足で、味覚障害を起こす。





■2015.4.15  65歳以上も雇用保険加入へ 労使同意条件、政府検討
政府は14日、民間企業などで働く65歳以上の人も雇用保険に加入し、失業手当を受給できるよう制度を見直す方向で検討に入った。労働者と勤務先の双方の同意を条件とする方針。現行で65歳以上の人は雇用保険に新規加入することができない。

少子高齢化が進む国内で労働力を確保するため、政府はより多くの高齢者に働いてほしいと考えている。65歳以上も対象とすることで雇用の安全網を拡充し“生涯現役社会”に向けた環境整備を図る。

何歳まで加入を認めるかなど詳細は今後、詰める。労使の代表が参加する労働政策審議会などで議論し、早ければ来年の通常国会に関連法案の提出を目指す。

■2015.4.19  明るさや衛生面など配慮…NPO法人「いぬいふくし村」リサイクル棟などが完成
兵庫県篠山市乾新町で、障害者の自立支援に取り組む指定障害者サービス事業施設「NPO法人・いぬいふくし村」(岩谷晃圓理事長)の新しいリサイクル作業棟と事務所棟が完成した。新施設は障害者らが作業しやすいよう明るく、衛生面などに配慮している。

いぬいふくし村は、市内の篠山養護学校のPTA有志らのグループ。重度障害者が通える作業所開設のため、平成14年2月から募金活動を始め、15年に無認可の知的障害者小規模作業所「紙ふうせん」を開設、16年にはNPO法人を設立した。

現在、20代を中心に約10人が生活介護、20〜60代の約20人が軽作業を中心に活動している。軽作業は主に、リサイクル資源の回収とトイレットペーパーの販売。市内の個人、事業所などからペットボトルやアルミ缶、段ボールなどを回収し、選別・洗浄などをして運営資金にしている。

完成した作業棟は、鉄骨平屋建て約160平方メートル。棟続きの事務所棟は、鉄骨2階建て延べ約220平方メートル。事業費は約6千万円。旧リサイクル作業棟と倉庫などを解体し、昨年7月に着工した。

これまでの作業所は四方に囲いがなく、冬場は風や寒さが厳しく、風雨が強いときは作業を中断していた。新作業棟の整備は、いぬいふくし村の念願だった。障害者らの仕分け作業や汚れた床面を洗いやすくするため、衛生面や明かり取りなどを配慮。出入りが頻繁なため、スイングドアにした。

次長の増田豊彦さんは「新しい作業棟は作業環境がよくなったことで、作業の安全にもつながった」と喜んでいる。問い合わせはいぬいふくし村

■2015.4.22  知的障害者の自立を支援 大阪の福祉事業型学校で公開授業
知的障害者が高校卒業後、新たな進路として選択できる大阪市浪速区の福祉事業型の学校「エルズカレッジおおさか」で、生活社会科の公開授業が行われた。知的障害者の自立支援のための試みで、生徒たちは電子黒板を使い、自宅から学校までの通学路を来場者に説明した。

障害者総合支援法に基づき、2年制の福祉事業型の学校として4月1日に開校した。

これまで知的障害者は府内でも、高校卒業後の進路選択が福祉作業所などに限られていた。

そのため「もっと学びたい」「学ばせたい」という生徒や保護者の声を受け、障害者の就労移行支援事業所などを運営する一般社団法人「エル・チャレンジ」(大阪市中央区)が母体となって開校した。

在学期間は2年。知的障害者が社会生活をするうえで必要な広範な知識を学ぶ「生活社会」などの授業がある。

公開授業では、1期生8人が自宅からの通学路について資料などを使い、保護者ら約60人の来場者に分かりやすく説明した。

通学路の理解に役立てるほか、発表力を高める狙いもあり、発表を終えた生徒たちは「緊張した」「うまくできた」などと感想を話していた。

同校は授業を主体とするカリキュラムを組んでおり、校外学習や水泳大会なども計画している。

辻行雄校長は「知的障害者の特性を考えると、落ち着いて人の話が聞けるようになるのは20歳ぐらいになってからの生徒もいる。さまざまな活動を通して、自立するための力を身につける場を提供していきたい」と話している。

■2015.4.22  高さ3メートルの防音壁 保育所は迷惑施設か
4月の陽光が降り注ぐ園庭で、社会福祉法人「新芽会」の鶴丸聡一郎理事長(52)は高さ3メートルの防音壁を寂しそうに見上げた。「子どもの声は不快なのか…」

福岡県古賀市に1日、新設された認可保育所「舞の里バディ保育園」(定員110人)。建設を計画した2年前から近隣住民の反対運動に遭った。(1)騒音対策として防音壁を設置(2)住宅側にある幅6メートルの市道を送迎に利用しない−ことを求められた。資金不足のため、鶴丸理事長はブロック塀での代用や高さ1・5メートルの防音壁などを提案したが、「民家側の約60メートル全てに高さ3メートルの防音壁を設置」は譲ってもらえなかった。

結局、約600万円掛けて防音壁を設置。駐車場や給食食材の搬入口の位置も市道を通過しないよう変更した。鶴丸理事長は「いろんな意見があると思うが、子どもの存在が活気あるまちづくりにつながると理解してほしい」と話す。

「子どもたちには何の罪もない。保育所が必要なのも分かる。でも、自分たちには死活問題ということも理解してほしい」。市道を挟んで保育所に隣接する自宅に住む男性(65)は訴える。

約20年前に今の家を購入し、7年前に退職した。夫婦で老後を過ごしてきたが、保育所ができれば環境が激変してしまう。「この辺りの静かな環境を気に入って家を買った。子どもの声や送迎で騒がしくなると…。ついのすみかと思っていたのに」と戸惑いを隠せない。

近隣約200世帯への説明会や意見交換会は4回開かれたが、住民でつくる「新設保育園建設計画の再考を求める会」は、見直しを求める3717人分の署名を市に提出した。同会代表の男性(50)は「保育所が迷惑施設とはこれっぽっちも思っていなかった。でもここは開発から約30年たった住宅地。60代、70代を超えた住民が多いことを配慮してほしかった」と振り返る。今のところルールは守られ、トラブルは起きていない。

4月から始まった「子ども・子育て支援新制度」。深刻な待機児童問題の解消に向け、保育の量と質の充実を図るのが狙いだが、どのような施策を展開していくかは市町村に任される。

福岡市のベッドタウンである古賀市(人口約5万8千人)では2013年度に待機児童が発生。「ありがたい話」(同市子育て支援課)と新芽会に建設費として国、県合わせて約1億7千万円を補助するなど支援してきた。しかし、防音壁設置など具体的なトラブルについては「民と民の問題」との立場だ。

都市部で土地を探すのは難しい。住宅街に保育所が建設され、トラブルが起きることは珍しくないだろう。次回は、住民と良好な関係を築いた保育所を紹介し、あるべき姿を考えたい。

■2015.4.22  知らないと怖い!「発達障害の発症リスク」を高めるママのNG行動2つ
近年、発達障害の子どもが増加傾向にあることをご存じでしょうか? 文部科学省が2012年に行った調査によれば、小中学生の6.5%にあたる推計約60万人以上の子どもが発達障害の可能性があるとのこと。

発達障害が増えている要因としては複数あるようですが、知らずにやっている習慣が発症のリスクを高めている可能性も……!

そこで今回は、心療内科医・医学博士の星野仁彦先生の著書『発達障害を見過ごされる子ども、認めない親』などを参考に、“発達障害の発症リスクを高める”NG習慣をご紹介します。

■遺伝的要因の可能性が高い

同著によれば、そもそも、ADHDやアスペルガー症候群、自閉症といった“発達障害”の発症については、遺伝的要因の可能性が高いことがわかっているといいます。


発達障害と遺伝には深いつながりがありますが、親や兄弟が発達障害だからといって、必ずしも発達障害になるわけではありません。あくまでも「障害の持ちやすさ」が遺伝しているのであり、複数の遺伝子といくつかの環境要因が重なることで発症すると考えられています。

上記のとおり、複数の要因が重なると発症する可能性があるとのこと。もし、遺伝的な要因を持っていたとしても、“環境要因”を避けることで、発症のリスクを低くすることができるでしょう。

では、避けたい環境要因とは、どのような習慣なのでしょうか?

1:妊娠・出産前後のタバコ・アルコールは止めるべし

発達障害の子が増えている要因の一つに、“妊娠中の喫煙、アルコール摂取”が挙げられるようです。


バークレーらの調査によると、20名のADHD児の母親の妊娠中の喫煙量は、健常児の子どもの母親の2倍以上だったと報告しています。

また、妊娠中だけでなく、生後のタバコの煙(副流煙)もADHDの発症率を上げることがわかっています。さらに、アルコール依存症の女性から生まれた子どもは、多動や不注意などの症状を示しやすいとも報告しています。

妊娠の可能性がある方は、喫煙・アルコール摂取は控えましょう。また、配偶者やパートナーが喫煙者の場合には、子どもの近くでタバコを吸わせない、禁煙をしてもらうなどの対策をとりたいですね。



■2:妊娠中は“汚染された食物”を避けるべし

妊娠中に口にするものも、発達障害の発症について影響を及ぼしているとのこと。


近年、重金属(水銀、鉛など)や環境ホルモン、たとえばPCB(毒性の高い化合物)やダイオキシンなどによる環境汚染と発達障害との関連が指摘されています。ある研究では、生後3〜6カ月の間に母親が鉛の影響を受けると、その子どもに多動と不注意の症状が現れやすいと報告されています。

水銀を多く含んでいる魚介類は、マグロ、メカジキ、キンメダイなどの大型魚が知られていますよね。魚介類は、健康的な生活を送るための優れた栄養素を含んでいる一方で、食物連鎖の過程で体内に水銀が蓄積されていますので、水銀含有量の高い魚介類をたくさん食べることは気をつけたほうがよさそうですね。



以上、発達障害の発症リスクを高めるNG習慣をご紹介しましたが、いかがでしたか?

上記の事柄は、あらためて肝に銘じておきましょう。また、子どもが誕生してからは規則正しい生活を送らせるように心がけることも大切とか。ご参考にしてみてください。

■2015.4.25  従事者の虐待を「加速」させるもの
愛知県名古屋市の介護施設で、職員3人が入居者に暴行した容疑で逮捕されました。容疑者の一人は、暴行の様子をスマートフォンで撮影していたといいます。ちなみに、この施設は未届けの有料ホームで、こうした行政の目が届かない環境下での問題の根は深いといえます。さまざまな観点から、こうした虐待ケースを防ぐための方策を考えてみます。

「密室」となる未届ホームが虐待の温床にも

厚労省が毎年実施している「高齢者虐待に関する対応状況等の調査」によれば、最新の平成25年度調査における「養介護従事者等による虐待」の件数は、虐待と判断されたもので221件にのぼります。前年度が155件だったので、年間66件の増加(+42.6%)となります。養護者(親族など)による虐待件数に比べればわずかですが、こちらが頭打ち傾向にある一方で、従事者による虐待件数の増加が目立つ結果となっています。

ただし、これは市町村が相談・通報を受理したもののうち、虐待判断にいたった件数に過ぎません。今回のケースのように未届ホームなどで密室状態となり、しかも身近で気づく親族などがいない場合もあることを想定すれば、潜在的な虐待ケースはまだまだ増えることも考えられます。国は「自治体による未届ホームの把握が進んでいる」としていますが、行き場所のない要介護者の受け皿自体が急速に増えている可能性もある中では、実態調査をさらに加速する必要があるでしょう。

職員への倫理教育はどこまで効果があるのか

今回のような事件が起こるたびに、職員の倫理観や人権意識をどのように高めるかが課題として上がります。しかし、今回容疑者となった職員のように25歳以上となれば、社会的な倫理観などはある程度完成されています。こうした年齢から、事業所・施設で教科書的な人権教育などを行なっても、大きな上積みをほどこしていくことは難しいでしょう。

大切なのは、個々の職員の倫理観が「ある程度固定されている」ことを前提としたうえで、1.足りない部分を組織としてどう補っていくか、2.非倫理的な部分が(一時的にでも)拡大させないような環境をどうやって整えていくかという点です。サービス提供の主体としてのリスクマネジメントの問題といえます。

たとえば、若い世代と接していると、一人ひとりはやさしく、礼儀正しいケースが目立ちます。ただ、「その場の空気に過剰に順応する」という傾向を感じることがあります。つまり、行為自体の良い・悪いにかかわらず、集団の流れに乗ることへのリミッター(抑止力)が働きにくくなる瞬間が生じるわけです。

今回のような事件も、容疑者のうちの一人でも「この行為はおかしいのではないか」という意思表示があれば、ここまでエスカレートしたでしょうか。言い換えれば、その場の「流れ」に無抵抗となることが、事態をさらに悪化させるリスクとなってくるわけです。

地域単位で「未届」の実態把握を加速させる

この点を考えたとき、1.一人の利用者に対応するチームを固定させない、2.管理者が現場をラウンドして利用者の異変を早期に察知する機会をもつ、3.職員が過剰なストレスや疲労を抱えて「流されることが楽」となってしまわない状況を作ることが必要です。日々の記録をしっかり書かせることで、「自分がやったことの振り返り」へとつなげて「我に返しやすい」状況を作ることも必須でしょう。

とはいえ、未届ホームのように「密室化」(つまり、流されるままになりやすい環境)が組織的に進むようなケースでは、常識的なリスクマネジメントなど機能しません。

たとえば、地域ケア会議に地元の不動産業者・オーナー、そして自治会・民生委員の人々も巻き込みながら、「あそこは未届ホームなのではないか」といった情報を地域で共有し実態把握を進めていくことが求められます。また、入居者が相当に悪化した状態で救急搬送されるなどのケースも考えられる中、(児童虐待における通報のような)医療機関からの情報提供を求めるしくみも検討したいものです。

■2015.4.26  障害者が働くカフェレストラン 国道175号沿いに開店
障害者が働くカフェレストランとパン、アイスの製造・販売などをする施設が入る「あまづキッチン」が29日、福知山市勅使の国道175号沿いにオープンする。社会福祉法人ふくちやま福祉会が運営する就労継続支援B型事業所で、障害者が生きいきと働ける場所を目指す。

■「あまづキッチン」 パン、アイス製造も■

移転前の天津(あまづ)小学校があった土地約4900平方メートルを市から無償で借り受け、すでに弁当製造などの第2ふくちやま作業所が開設している。新施設のあまづキッチンは国道そばの一角に、木造平屋建て延べ床面積約430平方メートルを建てた。床に無垢材を使うなど温かい印象で仕上げ、車いすなどでも利用しやすいように、ユニバーサルデザインで開口部や通路を広めに設定している。

障害者スタッフは6人でスタート。調理補助、ホールスタッフ、アイスとパン製造などの仕事をする。

カフェレストランの営業時間は午前10時(土・日曜、祝日は午前8時)から午後4時まで。テーブルと1人掛けで、屋内27席とウッドテラス12席がある。

献立はハンバーグプレート、牛すじカレー、米粉ピザ、パスタなど。週替わりプレートランチも準備する。午前11時まではモーニングメニューを提供する。野菜など地元の食材をふんだんに使い、地産地消に取り組む。

このほか、パン工房と「収穫のアイス」の製造場が入り、それぞれ販売スペース(午前10時〜午後6時)を置く。アイスなどの手作りスイーツはカフェレストランでも味わえる。

■地元と連携 農家が毎週朝市■
地域の活性化を目指して、下川口地域活性化委員会と連携し、地元農家が作った野菜の朝市を土、日曜日と祝日の午前8時〜11時30分に開く。

これまでは同委員会が、少し離れた国道175号沿いで開いていたが、あまづキッチンに場所を移す。朝市開催時間にはカフェレストランが営業を始めており、相乗効果を狙う。

障害者スタッフの一人(31)は「緊張しているけれど、いよいよ始まる。すごく楽しみです」と話していた。

あまづキッチンでは「ゆったりとくつろいでもらえる空間にしていきたい。住民のみなさんと一緒に地域を盛り上げていきたい」と意気込んでいる。

水曜日休み。祝日の場合は翌日が休み。

■2015.4.26  酒かすケーキ、全国的人気で工房新設 滋賀の支援施設
全国的な人気となった酒かすチーズケーキを生産する障害者支援施設「あゆみ作業所」(滋賀県東近江市平田町)の工房が24日、同市上羽田町に「工房しゅしゅchou−chou」として新設された。ゆとりのあるスペースで増産を狙い、障害者の雇用や自立につなげる。

あゆみ福祉会は2012年、利用者の賃金アップのため県内六つの酒蔵の酒かすを使った「湖(こ)のくに生チーズケーキ」を発売。観光庁の「世界に通用する究極のお土産」など数々のコンクールで高い評価を受け、全国から注文が相次いでいる。

だが作業所利用者3人が働く調理場は約6畳と狭く、1週間で千個作るのがやっと。昨年10月に国の補助や銀行の融資を受け、移転新築に取り掛かった。

新工房は木造2階建て床面積約270平方メートル。大型のオーブン、冷蔵庫を備え、店舗を併設する。スタッフは10人に増やし、生産も1日600個ほどに増加。インターネット販売も含め売り上げ増を狙う。調理を担う周防美子さん(26)は「お客さんとの会話が楽しみ」と喜んでいた。

工房責任者の大野眞知子さん(63)は「東近江に生まれ育ったスタッフの働く場ができた。おいしいチーズケーキで滋賀のファンを増やしたい」と意気込んでいた。

■2015.4.29  介護保険料、初の5000円台 10年後は8000円超えも
厚生労働省は二十八日、六十五歳以上が支払う介護保険料が四月分から全国平均五千五百十四円になると発表した。二〇一二〜一四年度の四千九百七十二円から五百四十二円増え、初めて五千円台に達した。五年後の二〇年度には月六千七百七十一円、十年後の二五年度には月八千百六十五円まで上昇するとの推計も明らかにした。

六十五歳以上の保険料は市区町村や広域連合ごとに決められ、三年に一度見直される。高齢化の進行に伴いサービス利用の需要が高まり、保険料は急激に上昇。介護保険制度が始まった〇〇年当時から二倍近くになった。保険料の最高八千六百八十六円と最低二千八百円の差は約六千円となり、地域差が拡大している。

厚労省が全千五百七十九の市区町村や広域連合の保険料を集計した。一五〜一七年度に月六千円を超えるのは二百十五カ所で、うち十三カ所は七千円超だった。千四百八十八カ所が保険料を引き上げる一方、六十四カ所は保険料を据え置き、二十七カ所は引き下げた。介護予防などの取り組みが奏功したとみられる。

月額保険料の最高は奈良県天川村の八千六百八十六円で、福島県飯舘村の八千三円、奈良県黒滝村と岡山県美咲町の七千八百円と続いた。最低は鹿児島県三島村の二千八百円。次いで北海道音威子府村三千円、北海道中札内村三千百円だった。厚労省は「高齢化率、要介護の認定率が高い自治体ほど、保険料が引き上げられる傾向にある」と分析する。

都道府県別の平均では、沖縄県が六千二百六十七円で最も高く、埼玉県の四千八百三十五円が最も低い。中部地方は福井県が五千九百三円、三重県が五千八百八円、滋賀県が五千五百六十三円、岐阜県が五千四百六円、長野県が五千三百九十九円、愛知県が五千百九十一円。

〇〇年度の介護費用は三兆六千億円だったが、一五年度予算では十兆一千億円。政府は、事業者に支払う介護報酬を四月から2・27%引き下げたが、費用と保険料の上昇は止まらなかった。

■2015.4.29  太陽光設備管理:障害者の就労支援 阿南で落成式 /徳島
阿南市那賀川町敷地の知的障害者更生施設「シーズ今津」で、施設利用者が太陽光発電設備を管理する就労支援が始まることになり、設備の落成式が28日開かれた。施設を運営する社会福祉法人悠林舎の林正敏理事長(65)は「太陽光発電を使った就労支援は全国で初めてではないか」と話している。


敷地内の約250平方メートルに約1000万円を投じて、太陽光発電パネル計96枚を設置した。出力は最大24キロワット。固定価格買い取り制度を使い、月約12万円の売電収入を見込む。施設利用者のうち希望する10人が、パネル表面の汚れなど決められた項目を点検し、用紙に書いて施設管理者に報告する。

従来は菓子作りや資源回収などに取り組んでいたが、屋内の単純作業では十分な訓練にならない場合があり、収入も安定しないといった課題があった。施設の責任者、古賀健雄さん(40)は「設備を大切に管理し、働く力を付けてほしい」と期待を込めた。

 

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