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残しておきたい福祉ニュース

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 2016. 1. 5 障害者事業所の屋台うどん好評 倉敷市立短大で週2回移動販売
 2016. 1. 5 都知事 障害者スポーツ振興に200億円の基金創設へ
 2016. 1. 5 都内タクシー1万台の車椅子対応へ61億円 都の来年度予算案
 2016. 1.13 ブラック批判に降参した「ワタミ」の渡邉美樹氏
 2016. 1.16 ハンセン病療養所と民間老人ホーム併設 全国初、相互交流を期待 岡山


■2016.1.5  障害者事業所の屋台うどん好評 倉敷市立短大で週2回移動販売
倉敷市立短大(倉敷市児島稗田町)で週2回、昼食時にやってくる“屋台うどん”が人気を集めている。障害者の自立支援に当たる就労継続支援B型事業所「うどん工房 ひまわ里(り)」(同市林)が始めた移動販売で、調理器具を備えた車を使って熱々を提供。麺づくりで10年の実績を基にした味と、手ごろな価格からキャンパスの名物になっている。

同事業所は知的障害のある利用者が国産小麦粉でうどんの生麺などを製造。近隣スーパーに卸し、事業所のバザーでも販売してきた。製麺事業が10年を迎え、「活動のさらなるPRにつながれば」と移動販売を企画。福祉車両の購入などを支援する日本財団(東京)の補助制度を利用してガスこんろや揚げ物用のフライヤーなどを備えたキッチンカーを購入し、昨年9月から本格的に始めた。

倉敷市立短大では火、木曜に中庭で出店。事業所の利用者2人が接客し、職員が自家製麺をゆでたり、天ぷらを揚げたりと調理を担当する。うどんはきつね、カレー、えび天、肉など約10種類で300〜400円。空揚げやポテトのサイドメニューもある。

出来たてをその場で味わえ、行列ができることもある。服飾美術学科2年の女子学生(20)は「麺のもちもち感とだしのうまみが病みつきになる。財布に優しいのもうれしい」と満足そう。

ほかにも地元のイベントなどで出店。管理責任者の高見一彦さん(56)は「利用者の頑張りを広く知ってもらうため、営業エリアを広げてファンを増やしたい」と話している。

■2016.1.5  都知事 障害者スポーツ振興に200億円の基金創設へ
4年後のパラリンピックに向け、東京都の舛添知事は障害者スポーツの振興のため、新年度に新たに200億円の基金を創設し、今後、基金を活用して将来のトップアスリートの発掘や選手の就職支援など総合的な取り組みを進めていく考えを示した。

東京都の新年度、平成28年度の予算編成は4日から最終段階として舛添知事による査定が始まっています。舛添知事は5日の定例会見で4年後のパラリンピックに向けて障害者スポーツの振興に集中的に取り組むため新たに200億円の基金を創設する方針を示した。
障害者スポーツを巡ってはスポーツや福祉など複数の部局にまたがる事業があることから、基金の創設について舛添知事は「どの部局でも予算を使えるような仕組みにした」と述べた。
そのうえで今後、基金を活用して将来のトップアスリートを発掘したり生活を安定させて競技に集中できるように選手の就職支援を行うなど、総合的な取り組みを進めていく考えを示した。

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東京都は2020年東京パラリンピックに向け、障害者スポーツの普及や啓発に重点的に取り組むため来年度に200億円の基金を創設する方針を固めた。舛添要一知事は5日の定例記者会見で「(都庁内の)部局を超えて税金を有効に使うような仕組みに変えていきたい」と語った。

都によると、基金は障害者スポーツの理解促進や、楽しめる場の整備、競技活動の支援の経費に充てる方針。具体的な活用方法は今後詰める。舛添知事は「(引退後)社会で就職したい時にどう助けられるか。有効に使いたい」と述べ、引退後の就労支援なども視野に活用する考えを示した。

■2016.1.5  都内タクシー1万台の車椅子対応へ61億円 都の来年度予算案
都の平成28年度予算編成作業の最終段階となる知事査定が4日に始まり、一般会計の予算規模が4年連続増の7兆100億円程度になる見通しとなった。7兆円台となるのは23年ぶり。

都によると、税収は景気回復に伴う地方法人2税(法人事業税、法人住民税)の増加によって、前年度当初予算より約1900億円増の約5兆2100億円となる見込みで、5年連続の増加となるという。

新規事業では、都内タクシーの5分の1に当たる1万台を、車椅子のまま乗車することができ、環境性能が高いハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)にするため、事業者向けの補助制度に61億円を計上する方針。

また、2020年東京五輪・パラリンピックに向け、新たに「障害者スポーツ振興基金(仮称)」(200億円)を創設し、普及啓発のほか、施設整備や競技活動の支援を行う。

■2016.1.13  ブラック批判に降参した「ワタミ」の渡邉美樹氏
居酒屋大手「和民」で働いていた森美菜さん(当時26歳)が過労自殺したのは会社側の責任だとして、遺族らが運営会社ワタミ(株)と創業者で当時の社長の渡邉美樹氏(自民党参議院議員)に損害賠償を求めた訴訟は2015年12月8日、東京地裁で原告側が 懲罰的要素を含む巨額な賠償金を支払うことで和解が成立した。ワタミ側が業務に起因する自殺であると認めて謝罪したうえで、1億3,365万円を支払う。「24時間、死ぬまで働け」と過重な業務を強いるなど最も重大な損害賠償責任を負っていると認定された渡邉議員は、経営責任をとって今後、ワタミの経営にタッチしない。居酒屋の勝ち組と言われた名物経営者がワタミから去る。ワタミの身売りが公然と囁かれている。

ブラック企業の代名詞に

2008年6月。ワタミフードサービスが運営する居酒屋チェーン和民京急久里浜店(横須賀市)で働く女性社員が入社してわずか2カ月で、自宅マンションから飛び降り自殺した。「体が痛いです。体が辛いです。気持ちが沈みます。早く動けません。どうか助けて下さい。誰か助けて下さい」。亡くなる1カ月前の日記には、心身の限界に達した彼女の悲痛な叫びが記されていた。

遺族の求めにより審査していた神奈川労災補償保険審査官は12年2月14日、「朝5時までの勤務が1週間続く長時間労働により、1カ月あたりの残業が140時間に達し、4月から6月の2カ月間の残業は227時間に及んでいた」とした。

「休日には午前7時からの早朝研修会やリポート執筆が課され、休日や休憩時間が不十分で極度の睡眠不足の状態に陥り、不慣れな調理業務の担当となり、強い心理的負担を受けた」ことなどが主因として、「精神障害を発病」し女性が自殺に追い込まれたと、業務と自殺の因果関係を認め、労災認定をおろした。

審査官が過労自殺と正式に認定したにもかかわらず、会長の渡邉氏は2月21日のツイッターで、謝罪の言葉もなく、「労災認定の件、大変残念です。労務管理ができていなかったとの認識はない」と開き直りと受け取れる発言をした。

そのわずか5時間半後に、渡邉氏は学校法人郁文館夢学園理事長として姉妹校建設のためにバングラデシュを訪れた。22日のツイッターで、「バングラデシュで学校をつくります。そのことは、亡くなった彼女も期待してくれると信じています」と書き込んだ。これに対して、「過労で自殺したのに、期待する気になるわけがないだろう」と反発が起きた。渡邉氏の思慮を欠いた発言で、ネット上は炎上してしまったのである。

この炎上騒ぎで、渡邉氏の過去の発言が、バッシングに晒された。自社ビルの高層階での会議で部下を叱る際、「ビル8階とか9階から今すぐ、ここから飛び降りろ!と平気で言う」との発言も、ネット上で議論が沸騰した。従業員に劣悪な労働を強いるブラック企業を“表彰”する目的で始まった「ブラック企業2012」(主催・ブラック企業大賞実行委員会)で、ワタミは「市民賞」に選ばれた。

ブラック批判が経営に影響

居酒屋や介護など客商売を主力にしてきたワタミにとって、ブラック企業という批判は経営の重石になってきた。2015年9月中間期連結決算は、売上高が10.3%減の696億円、最終損益は20億円の赤字だった。

和民など居酒屋チェーン店舗は、この2年で全体の3割近い160店舗の閉鎖に追い込まれた。画一的なメニューを嫌う客が離れ、さらにブラック企業批判も拍車をかけた。中間期の国内外食のセグメント利益は15億円の赤字だ。

稼ぎ頭だった介護子会社ワタミの介護(株)を15年10月、損保ジャパン日本興亜ホールディングス(株)(SOMPO)に210億円で売却した。93%あった有料老人ホームの入居率は78%まで落ち込んだ。それでも中間期の介護事業のセグメント利益は3.9億円の黒字。
 介護事業と宅食事業(セグメント利益は5.7億円の黒字)は黒字を出したが、国内外食事業の赤字を吸収できなかった。ブラック批判の影響が出た。

ワタミの介護の売却により、16年3月期の業績予想を下方修正した。売上高は当初予想より218億円減額し1,270億円(15年3月期1,553億円)、営業利益は13億円減額の13億円の赤字(同20億円)の赤字、最終損益は120億円増額の130億円の黒字(同128億円の赤字)に転換する見通しだ。

稼ぎ頭の介護事業を売却したワケ

ワタミが稼ぎ頭の介護事業の売却に追い込まれたのは、主力銀行の横浜銀行が自己資本比率の低下を問題視したからだ。12年3月期に25.4%あった自己資本比率は、15年3月期には7.3%と10%を割り、さらに15年9月中間期には5.9%にまで落ちた。債務超過に転落するのは時間の問題だ。

自己資本比率が大きく落ち込んだのは、負債が増大したため。外食事業は次々と閉鎖したが、次の成長の柱に据えた介護事業は有料老人ホームの建設に積極的に投資してきたことによる。自己資本比率を改善するには、大きく膨れた介護事業の借入金を削減しなければならない。銀行は介護事業向け融資をSOMPOに移し替えることで保全ができる。

介護事業の売却で、自己資本比率を30%近くにまで持ち直す。これが稼ぎ頭の介護事業を売却した理由だ。これで、当面の経営危機は切り抜けた。

しかし、赤字を垂らし流し続ける外食事業をどうやって立て直すのか。一度、染み付いた「ブラック」のイメージをぬぐうのは、簡単ではない。

再生には身売りしかない
創業者でオーナーの渡邊美樹氏は、『週刊東洋経済』(15年11月28日号)のインタビューで「ワタミに戻ることは1,000%ない」と言明した。「もともと教育が僕のライフワークだから、そちらに力を入れていく」と語る。

渡邉氏はブラック批判に白旗を掲げて経営の表舞台から去る。ワタミが再生するには身売りするしかない、というのが外食アナリストたちの一致した見方だ。

ワタミの筆頭株主は、発行済み株式の25.0%を保有する渡邊家の資産管理会社、(有)アレーテー。すでに銀行に担保に提供されている。渡邉氏と銀行の合意で、アレーテーが保有するワタミの株式が売却される可能性が、極めて高い。

■2016.1.16  ハンセン病療養所と民間老人ホーム併設 全国初、相互交流を期待 岡山
岡山軒瀬戸内市邑久町虫明の国立ハンセン病療養所・邑久光明園の敷地内で、初の地域開放施設として整備されていた特別養護老人ホーム「せとの夢」が完成し、15日、落成式が行われた。オープンは2月1日。

式典には、事業者の社会福祉法人愛あい会(岡山市北区楢津)の前田計子理事長ら関係者約40人が出席し、神事で施設の完成を祝った。ホームはモダンな内装で、瀬戸内海を一望する環境にあり、出席者からは「リゾートホテルみたい」との声も出ていた。

「せとの夢」は、国から借りた用地(約4千平方メートル)内に、総工費9億7100万円で建設。鉄筋3階建て(延べ床面積約3070平方メートル)で入所用50床、ショートステイ用10床を個室で設置した。入所家族の宿泊室1室のほか、2カ所の交流スペース(計約230平方メートル)もあり、外部とのふれあいや機能回復訓練などに役立てる。

現時点での入所予定者は定員の半分程度。前田理事長は「ゆったりながらも、にぎやかに楽しく過ごしてもらえるよう食べ物屋台を出すなどの仕掛けも考えています」と話した。

平成21年のハンセン病問題基本法施行で、県外には敷地内に保育園を誘致した療養所もあるが、老人ホームの併設は光明園が全国初。同園自治会の屋猛司会長(74)は「(民間施設の新設は)われわれにとっての“社会復帰”。今後、花見などで入所のみなさまと親交したい」と期待していた。

 

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