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残しておきたい福祉ニュース

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 2016. 3. 1 障害者支援法案を閣議決定 障害児への支援強化
 2016. 3.12 辞めない介護現場はこんな職場 秘訣は小型マイクとヘッドフォン、夜勤の軽減にあった  社会福祉法人合掌苑
 2016. 3.15 根井三郎氏の写真発見 杉原千畝氏と命のバトン 根井三郎氏の写真
 2016. 3.20 子どもの貧困率  子育て貧困世帯.20年で倍 39都道府県で10%以上
 2016. 3.28 社会福祉法改正案が参院で可決 15項目の付帯決議を掲載
 2016. 3.29 児童虐待の相談ダイヤル 9割がつながる前に切れる


■2016.3.1  障害者支援法案を閣議決定 障害児への支援強化
政府は1日、障害者総合支援法の改正案を閣議決定した。障害がある子供の支援を強化することなどが柱。施行日は一部を除き、平成30年4月1日。

虐待を受けて児童養護施設などにいる障害のある子供のために、保育士や支援員を派遣し、生活訓練などを行う。人工呼吸器などの医療的ケアが欠かせない子供の支援も充実させる。

65歳になると原則、障害福祉サービスから介護保険サービスに移行し、新たに1割の自己負担が生じる問題への対策として、低所得者に限り負担をゼロにする救済策も盛り込んだ。

1人暮らしを希望する障害者の日常生活を支えるため、自宅を定期的に訪問し、食事や健康状態を見守るサービスも新設した。

■2016.3.12  辞めない介護現場はこんな職場 秘訣は小型マイクとヘッドフォン、夜勤の軽減にあった  社会福祉法人合掌苑
高齢化が進展する中、介護職がますます不足することが懸念される。採用の難しさに加えて、離職率の高さも指摘されるが、「辞めない職場」を目指して採用を行い、環境を整える法人もある。

利用者の家族がやってきたのを見て、介護スタッフが口元のマイクにささやく。

 「○○さんのご家族が、いらっしゃいました」

 「了解。エレベーター前で迎えます」

 「あ、私、お話ししたいことがあるんだ」

スタッフ同士が離れた場所にいても、こんな会話ができるようになった。社会福祉法人「合掌苑」は5年前、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、通所介護事業所などに、小型マイクとヘッドホンのセット「インカム」を導入した。規模の大きな飲食店などで接客をする店員らが利用する携帯無線機だ。

それまでは、利用者の頭越しに同僚を呼んだり、指示を出したり、高齢者が大声に驚くこともしばしば。求めたのは「静かな環境」だった。

だが、導入してみると、思いがけない効果があった。まずは、チームで仕事をしている実感が持てるようになったこと。合掌苑の地域福祉支援事務局の神尾昌志さんは「インカムに向かって話せば、誰かの声が返ってくるから、みんなで働いている感覚になる。新人もチームの一員という感覚が持てるようになった」と言う。

それが、スタッフの不安や孤独感の解消にもなったようだ。介護職の保坂千尋さん(28)は合掌苑に就職して9年目。インカムがなかったころは、1人でフロアをカバーする泊まり勤務が不安だった。高齢者に気がかりなことがあっても、同僚に相談したり、来てもらったりするにはフロアを空けなければならず、緊張感があった。「今は気軽に相談できる。いつも誰かがそばにいるよ、という安心感がある」と言う。

合掌苑が「人の定着」を目指して、他業界を視察し始めたのは7〜8年前。当時の採用は、他の介護事業所同様、資格や学歴重視。離職率は20%に近く、「入れれば入れるだけやめていた。今は抜けていくのを抑える採用方針に変えました」(神尾さん)。

インカム導入はあるリース事業者に学んだが、大手自動車ディーラーにも影響を受けた。離職率の高い業種の一つとされるが、その会社は「第一に従業員満足」を掲げており、顧客満足度も業界随一。採用に時間をかけ、理念を共有し、社員定着を図っていた。以来、合掌苑も理念重視に転換。法人の目標に「職員の満足」も掲げる。職員が不幸だと、利用者を幸せにはできないからだ。

負担軽減でもう一つ特徴的なのは、泊まり勤務に専従スタッフをあてたこと。一般の介護施設の泊まり勤務は15〜16時間と長く、昼間のスタッフが交互に担当する。合掌苑は9時間勤務に軽減して担当者を分け、高齢の職員もこなせるようにした。月におおむね14日泊まると、給与は30万円超。募集をかけたら大人気で、介護経験の豊富なスタッフを選ぶことができた。

泊まり専従のある女性(64)は以前は、病院で看護補助者として働いていた。生活していくだけの給与が必要だが、60歳を超えて賃金が減った。「今は勤務時間が短くなり、収入はずっと良くなった。ここは職員の連携が良く、昼間にあったこともすべて伝えてくれるし、夜の間のこともすぐに対処してくれる」と満足げだ。

一方、一般のスタッフは泊まり勤務から解放されたが、収入は減った。だが、元の勤務体制に戻りたいという声はなかったという。保坂さんも「泊まりの勤務がなくなり、身体的にも精神的にも楽になった」と話す。合掌苑の離職率は昨年度、10%を切った。今年から、母子専用のシェアハウスを整備し、シングルマザーを対象にした介護職の募集も始める。


原因は「賃金」より「ストレス」

厚生労働省の資料によると、常勤介護職の離職率は平成25年度に16・8%で、全産業の平均の12・4%に比べると高い。だが、事業所間のばらつきも大きい。離職率が10%未満の事業所が半数ある一方、30%以上の事業所も2割ある。

離職の原因について、聖隷クリストファー大学大学院の古川和稔教授は、自身が現場で働いた経験も交え、「賃金を上げられれば、それに越したことはないが、賃金は離職の大きな原因ではない。必要なのは『専門性の育成』と『職場のストレス軽減』です」とする。

26年度の介護労働実態調査によると、介護の仕事を辞めた理由は、「職場の人間関係に問題があった」が26・6%で最も多く、「法人や施設・事業所の運営のあり方に不満があった」(22・7%)「他によい仕事・職場があった」(18・8%)が続く。「収入が少なかった」(18・3%)は4番目だった。

古川教授は、介護職の専門性として、介護職ならではの技術を重視する。例えば高齢者の日中の活動量を上げ、水分や栄養補給を見直し、おむつを外せれば達成感が得られる。世の中からも専門職と認められる。

大きなストレスは、孤独感と夜勤負担。「個室での介護が増え、介護職は他の介護職とコミュニケーションが取れず、逃げ場がない。泊まり勤務の負担は大きく、休んだ実感が得られるシフトが必要です」。泊まり勤務を切り離すのも一例だが、それ以外の工夫もある。古川教授は「日中のケアの質が悪いと、高齢者は夜間にちょこちょこ起きて、一度に2〜3カ所でコールが鳴る。転倒すれば、事故の責任を問われる。そういう職場の夜勤負担は特に重い。昼間のケアの質を上げて、泊まりの負担とストレスを軽減することが必要です」と話している。

■2016.3.15  根井三郎氏の写真発見 杉原千畝氏と命のバトン 根井三郎氏の写真
第2次大戦中のソ連(現ロシア)・ウラジオストクの総領事代理として、ナチス・ドイツの迫害から救う「命のビザ(査証)」を認め、ユダヤ人を日本へ渡航させた旧広瀬村(現宮崎市佐土原町)出身の外交官、故・根井三郎氏(1902〜92年)の写真が、同町の親族宅に保管されていることが分かった。

人道的立場からビザを発給した外交官の故・杉原千畝(ちうね)氏(1900〜86年)と“命のバトン”をつないだ関係にある。根井氏については国内外で顕彰の動きが高まっているが、資料がほとんどなく、研究者は史実の解明に期待を寄せる。

根井三郎氏の写真
http://social-welfare.rgr.jp/storage/20160314-saburou.jpg

■2016.3.20  子どもの貧困率  子育て貧困世帯.20年で倍 39都道府県で10%以上
少子化で子どもの数が減少しているにもかかわらず、生活保護費以下の収入で暮らす子育て世帯が過去20年で倍増したことが、山形大の戸室健作准教授の研究で分かった。戸室氏は都道府県別の「子どもの貧困率」も初めて明らかにした。39都道府県で子育て世帯の10%以上が貧困状態にあり、子どもの貧困が全国的に深刻化していることが浮き彫りになった。

戸室氏は、総務省が国民の就業実態を調べるため、5年ごとに実施する「就業構造基本調査」のデータなどを分析。生活保護費の受給対象となる最低生活費以下の収入しかなく、かつ17歳以下の子どもがいる世帯数の20年間の推移を調べた。

その結果、1992年に約70万世帯だった子育て中の貧困世帯数は、直近の2012年調査では約146万世帯に倍増していた。一方でこの間、子育て世帯自体は約1293万世帯から約1055万世帯まで約2割減っているため、「子どもの貧困率」(17歳以下の子どもがいる世帯に占める貧困世帯の割合)は5.4%から約2.6倍の13.8%に悪化した。

都道府県別では、貧困率が高い順に(1)沖縄(37.5%)(2)大阪(21.8%)(3)鹿児島(20.6%)(4)福岡(19.9%)(5)北海道(19.7%)と続き、ワースト10のうち8府県が西日本に集中した。10%を切ったのは、最も低い福井(5.5%)など8県にすぎず、残りは10%以上だった。また、1回前の調査(07年)と比較すると、埼玉、千葉、神奈川などの首都圏や三重、静岡などの中京圏で全国平均を上回る貧困率の上昇がみられた。

「子どもの貧困率」については、政府も厚生労働省の「国民生活基礎調査」に基づいて算出。国全体の平均のみ公表し、直近の12年は16.3%だった。ただ、平均的な所得の半分未満で暮らす人はすべて相対的に貧困状態にあるとみなす政府の算出方法では、貧困率に大きな変化はなく、91年でも12.8%だった。これに対し、戸室氏は都道府県や世帯人数などによって異なる最低生活費に基づいて算出することでより貧困の実態に近づけた。

戸室氏は「貧困率の高位平準化が進んでいる。国が率先して対策を進めることが重要で、生活保護費を全額国庫負担にすべきだ」と提言している。戸室氏の論文は、近く刊行される「山形大学人文学部研究年報13号」に掲載される予定。

■2016.3.28  社会福祉法改正案が参院で可決 15項目の付帯決議を掲載
社会福祉法人改革を柱とした社会福祉法改正案が23日、参議院本会議で一部修正の上、賛成多数で可決された。法案は2015年の通常国会に提出され、衆議院を通過したが、時間切れで継続審議扱いとされ会期をまたぐことになった。このため、衆議院で再度審議されるが、3月中には成立する見込みだ。

15〜17日に開かれた参院厚生労働委員会では、付帯決議が15項目付いた。社会福祉充実残額の算出にあたり事業継続に必要な財産額を適切に算定することや、法人が労働関係法制を確実に順守するよう措置することなど、衆院の付帯決議にはなかった内容も盛り込まれた。


法案は福祉サービスの供給体制の整備と充実を図るため、社会福祉士及び介護福祉士法と社会福祉施設職員等退職手当共済法の改正案とセットで提出された。


法人改革では、無料または低額な料金による福祉サービス(地域公益活動)の提供を法人の責務とする。全法人に議決機関としての評議員会を必置とし、一定規模以上の法人には会計監査人による監査を義務付ける。定款や役員報酬基準などを広く一般に公表することも求める。


また、法人の全財産から事業継続に必要な財産を控除して社会福祉充実残額(いわゆる余裕財産)を明確にし、残額のある法人は社会福祉充実計画を策定し所轄庁の承認を得なければならない。施行日は改正事項によって異なる。


厚労省は15日の参院厚労委員会で、法人改革に関して「地域公益活動の責務化は法人の本旨を明確化したもの」「充実残額の算出を容易にするソフトを開発して配付し、小規模法人を支援する」「充実残額を職員処遇改善に充てる場合は充実計画に位置付けることになる」「大規模法人の会計監査人の費用は法人が負担する」などと答弁した。


また16日は、参考人として武居敏・全国社会福祉法人経営者協議会副会長ら4人が出席。法人改革について武居氏は「前向きに捉えており、真の公益法人としての役割を果たせるようにしたい」とした。


共産党、社民党・護憲連合は「地域公益活動を法人の責務とすることは社会福祉制度における公的責任を縮小させるものだ」などとして法案に反対した。


なお、介護福祉士の資格取得方法の見直しについては、22年度から養成施設卒業生に国家試験を課す。退職手当共済制度の障害者施設・事業への公費助成は経過措置を設けて廃止する。



■付帯決議の内容は以下の通り



 @社会福祉法人の経営組織のガバナンスを強化するには評議員、理事等の人材の確保や会計監査人の導入等、社会福祉法人にとって新たにさまざまな負担も懸念される。このため特に小規模の法人については、今後も安定した活動ができるよう、必要な支援に万事遺漏なきを期すこと。また、人材の確保が困難な地域にある法人についても必要な配慮を行うこと。さらに、社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する人材を育成するため、自治体等が行う研修等の取り組みに必要な支援を行うこと



 A事業運営の透明性の向上を図るため、都道府県による財務諸表等の収集、分析および活用ならびに国による全国的なデータベースの整備に当たっては、一般国民、特に利用者が社会福祉法人の経営状況を了知でき、かつ、外部評価に耐えられる内容となるよう、分かりやすい評価尺度を作成し、公表すること



 Bいわゆる内部留保の一部とされる社会福祉法人が保有する純資産の額から事業の継続に必要な財産額を控除等した「社会福祉充実残額」の算出に当たっては、社会福祉法人の経営に支障を来すものとならないよう、事業の継続に必要な財産額が適切に算定されるようにすること。また、政府統計等により把握される他産業の民間企業の従業員の賃金等の水準を所轄庁から所管法人に示すよう要請することにより、「社会福祉充実残額」を保有する社会福祉法人が社会福祉充実計画を作成するに当たって、当該賃金等の水準を斟酌した上で、社会福祉事業を担う人材の適切な処遇が確保されていることを確認することの重要性の周知を徹底すること



 C事業の継続に必要な財産額が確保できない、財産の積立不足が明らかな法人に対しては、必要な支援を検討すること



 D地域公益活動の責務化については、待機児童、待機老人への対応等、本来の社会福祉事業を優先すべきであり、社会福祉法人の役割と福祉の公的責任の後退を招くことのないようにするとともに、社会福祉法人設立の主旨である自主性と社会福祉事業の適切な実施に支障を及ぼすような過度の負担を求めるものではないことを周知徹底すること



 E社会福祉法人の所轄庁については、指導監督等の権限が都道府県から小規模な一般市にも委譲されていること、社会福祉充実計画の承認等の新たな事務が増えることから、所轄庁に対し適切な支援を行うとともに、一部の地域において独自の取り扱いが散見されるとの指摘があることに鑑み、また指導監督が法定受託事務であることを踏まえ、指導監督にかかる国の基準を一層明確化することで、その標準化を図ること



 F社会福祉法人の提供するサービスの質の確保に当たっては、高い能力を発揮する人材の雇用および職員全体で職務を補い合う業務体制の確立が求められることから、社会福祉法人において労働基準法、労働安全衛生法等の労働関係法令の確実な順守ならびに業務に関する規程の整備および運用がなされるよう、所要の措置を講ずること



 G現下の社会福祉事業における人材確保が困難な状況に鑑み、介護人材を始めとする社会福祉事業等従事者の離職防止に資する措置を講ずるとともに、介護報酬、障害福祉報酬の改定による影響を注視しながら、職員の処遇の実態を適切に把握した上で、人材確保のための必要な措置について検討すること。また、介護人材の現状を正しく把握し、必要な人材を養成・確保するに当たっては、その量のみならず質についても適切に評価できる手法を検討すること



 H社会福祉施設職員等退職手当共済制度の公費助成廃止に当たっては、職員確保の状況および本共済制度の財務状況の変化を勘案しつつ、法人経営に支障が生じないよう、障害者支援施設等の経営実態等を適切に把握した上で報酬改定を行うなど必要な措置を講ずるよう検討すること。また、公費助成の廃止の対象となった法人のうち、本共済制度から脱退した法人および新規採用者を本共済制度の対象としない法人に対し、社会福祉事業を担う人材の確保に当たって退職金が果たす役割の重要性の周知を徹底すること



 I准介護福祉士の国家資格については、フィリピンとの間の経済連携協定との整合を確保する観点にも配慮して暫定的に置かれたものであることから、早急にフィリピン側と協議を行う等の対応を行うとともに、当該協議の状況も勘案し、准介護福祉士の名称、位置付けを含む制度の在り方について介護福祉士への統一化も含めた検討を速やかに行い、所要の措置を講ずること



 J介護職員の社会的地位の向上のため、介護福祉士の養成施設ルートの国家試験義務付けを確実に進めるとともに、福祉サービスが多様化、高度化、複雑化していることから、介護福祉士が中核的な役割および機能を果たしていけるよう、引き続き対策を講ずること



 K将来的に福祉職、介護職に就く人材を増やすべく、現在中学・高校教育における福祉、介護に関わるインターンシップの体験率が必ずしも高くない状況も勘案し、関係府省と連携して、福祉、介護に関わる基礎的理解と経験が得られるよう努めること



 L介護職員の処遇については、介護・障害福祉従事者の人材確保のための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する法律(平成26年法律第97号)等により処遇改善に関する措置が行われてきたことを踏まえ、人材確保に支障を来さぬよう処遇改善に資する措置など必要な措置を講ずるとともに、正規・非正規、フルタイム・パートタイム等にかかわらず、均等・均衡待遇を確保するよう努めること



 M介護職員が抱える心的・精神的負担に対する支援については介護労働がいわゆる燃え尽き症候群を引き起こす例が見られることから、今後も必要な調査を行うことにより介護現場の実態を適切に把握した上で、産業保健等によるメンタル面からのサポートについて幅広い観点から検討を行い、施設の労働環境を評価できる仕組みの構築を含めた所要の措置を講ずること



 N本法律による改正後の社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律付則第6条の4の規定に基づき、育児休業、介護休業に準ずる休業を厚生労働省令で定めるに当たっては、雇用は継続しているものの、やむを得ず介護の実務に就けない場合、倒産や事業の縮小・廃止等の本人の責めによらない離職の場合、疾病等により雇用されること自体が困難な場合など実務に従事できないことにやむを得ない理由があると認められる場合について、適切に配慮すること

■2016.3.29  児童虐待の相談ダイヤル 9割がつながる前に切れる
児童虐待の相談を受け付ける全国共通の相談ダイヤルにかかってきた電話のおよそ9割が、児童相談所につながる前に切れていたことが分かりました。厚生労働省は、音声ガイダンスが長いことが原因だとして、ガイダンスの時間を半分以下に短縮することにしています。

児童虐待の相談を24時間受け付ける全国共通の相談ダイヤル「189」は、去年7月から運用が始まり、半年間にかかってきた電話は月の平均で2万6070件と、運用が始まる前に児童相談所に寄せられた電話のおよそ15倍に上っています。
ところが、このうち実際に相談に当たる児童相談所につながったのは2963件と、全体のおよそ1割にとどまり、残りの9割は音声ガイダンスの途中で切れていたということです。

「189」は音声ガイダンスに従って都道府県番号などを入力しなければならず、児童相談所につながるまでに平均で70秒かかり、運用の改善を求める声が上がっていました。
このため、厚生労働省は来月から入力の手間を減らすなどして、音声ガイダンスの時間を現在の半分以下の30秒ほどに短縮することにしています。厚生労働省は「利便性を向上させて相談しやすい態勢を作りたい」としています。

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児童虐待の通報や相談を24時間体制で受け付ける児童相談所(児相)の全国共通ダイヤル「189」の音声案内が長くつながりにくかった問題で、厚生労働省は29日、新年度から音声案内を短縮し、最寄りの児相につながるまでの時間を平均70秒から30秒に短縮すると発表した。塩崎恭久厚労相が閣議後の会見で明らかにした。

厚労省は昨年7月、児童虐待に即応するため、専用ダイヤルの番号を従来の10桁から3桁に短縮。入電数は月平均約2万6千件と、従来の10桁の相談電話に比べて約15倍に増加した。

しかし、児童相談所につながった確率はそれまでの約49%から約11%に低下。原因として、携帯電話からかけた場合、最寄りの児相の窓口につなげるため利用者が住む地域の郵便番号などの入力が必要となり、音声案内が長く入力操作の手間がかかることなどが指摘されていた。4月からは冒頭と途中の操作の案内などを短くし、利便性を向上させる。

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児童虐待の通告を受け付ける児童相談所(児相)の全国共通ダイヤル「189」について、厚生労働省は29日、児相につながるまでの音声案内の時間を平均70秒から30秒ほどに短縮すると発表した。4月1日から実施する。長すぎて途中で切られるケースが多いとの指摘を受けて改善した。

30秒かかっていた冒頭の音声案内を5秒に短縮するほか、携帯電話でかけた場合の追加の音声案内の構成を変える。共通ダイヤル「189」は「いちはやく」の語呂合わせ。厚労省によると、導入した昨年7月から12月までの電話は月平均2万6070件に上り、同1〜6月の月平均1739件の15倍に増加。児相につながった件数も月平均2963件と3・5倍に増えたが、つながった割合は49%から11%に低下した。

 

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