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 2016. 9. 8 自閉症の発症メカニズムを解明 − 治療への応用を期待
 2016. 9. 8 自閉症の発症メカニズム解明 九大チーム、神経変異の原因分かる
 2016. 9.17 女児の体をさわる 容疑の「障害者施設経営」男を現行犯逮捕 和歌山
 2016. 9.29 6団地を集約する公営住宅敷地に社会福祉複合施設、芦屋市が事業予定者を決定


■2016.9.8  自閉症の発症メカニズムを解明 − 治療への応用を期待
九州大学 生体防御医学研究所の中山 敬一 主幹教授、西山 正章 助教、片山 雄太 研究員らの研究グループは、ヒトの自閉症患者で最も変異が多いCHD8というクロマチンリモデリング因子に着目し、ヒト患者と同じような変異をマウスに起こすと、コミュニケーション異常や固執傾向が強まるなど、ヒトの自閉症とよく似た症状を呈することを見出しました。研究グループはこのマウスを用いて自閉症の発症メカニズムを解明し、将来の治療応用に向けた基盤を確立しました。

自閉症は、非常に頻度の高い精神疾患(発達障害)の一つで、全人口の約2%(50人に1人)が発症すると言われています。自閉症の原因として、胎児期の神経発達障害が以前から示唆されてきましたが、具体的な発症メカニズムは謎でした。

近年、自閉症患者における遺伝子変異の大規模な探索により、最も変異率が高い遺伝子としてCHD8が発見されました。CHD8は、染色体構造を変化させるクロマチンリモデリング因子というたんぱく質の一種です。本研究グループは今までCHD8の研究で世界をリードしてきましたが、この度、ヒト自閉症患者と同じようにCHD8遺伝子変異を持つマウスでは、ヒトの自閉症で観察されるコミュニケーション異常や固執傾向が強まるという現象を発見しました。

この自閉症モデルマウスを用いて、自閉症が発症するメカニズムをトランスオミクス解析という新技術によって調べたところ、遺伝子変異によってCHD8の量が減少するとRESTという神経発達に重要なたんぱく質が異常に活性化され、その結果として神経の発達遅延が起こることがわかりました。つまりCHD8を人工的に上昇させるか、RESTを抑えるかのいずれかで自閉症が治療できる可能性を示すものです。

本研究成果は、2016年9月7日(水)午後6時(英国時間)に英国科学雑誌「Nature」で公開されました。


研究者からひとこと
健常者ではCHD8がRESTの活性を抑えることによって正常な神経発生が行われますが、自閉症患者ではCHD8の変異によりRESTが異常活性化して神経発生が遅延することが明らかとなりました。自閉症の原因が判明したことによって、新たな治療法の開発が期待されます。


詳細
http://social-welfare.rgr.jp/storage/shougai-jiheishou_y1.pdf


研究に関するお問い合わせ先
生体防御医学研究所  教授 中山敬一

■2016.9.8  自閉症の発症メカニズム解明 九大チーム、神経変異の原因分かる
自閉症の発症メカニズムを突き止めたと、九州大生体防御医学研究所の中山敬一主幹教授(分子生物学)らの研究グループが7日付の英科学誌ネイチャーに発表した。自閉症の原因遺伝子がタンパク質に作用し、神経発達の遅延を引き起こす過程を解明。症状を抑制する治療や薬の開発につながると期待される。

自閉症は先天性の脳の発達障害で、他人との意思疎通が苦手だったり、物事を計画的に進められなかったりすることがある。100人に1人が発症し、文部科学省によると、自閉症と診断された全国の通常学級に通う公立の小中学生は約1万4千人いるとされる。

これまでの研究では、患者の多くが半欠損した遺伝子「CHD8」を持ち、何らかの作用で自閉症につながることは分かっていた。

中山教授らは、CHD8が半欠損したマウスを人工的につくり、自閉症を発症させて検証。その結果、この遺伝子が神経の発達を制御するタンパク質「REST」を異常に活性化させ、神経発達の遅延を引き起こすことが分かった。

自閉症は遺伝子に原因があるため、現在の医療では根本的な治療はできないといわれている。中山教授は「タンパク質の働きを抑制して症状を改善させる治療法や薬の開発につなげていきたい」としている。

金沢大子どものこころの発達研究センターの東田陽博特任教授(神経化学)は「自閉症には他にも原因遺伝子があり、全てに当てはまるわけではないが、タンパク質への作用が分かったのは画期的」と話している。


詳細
http://social-welfare.rgr.jp/storage/shougai-jiheishou_y1.pdf



研究に関するお問い合わせ先
生体防御医学研究所  教授 中山敬一

■2016.9.17  女児の体をさわる 容疑の「障害者施設経営」男を現行犯逮捕 和歌山
小学2年の女子児童(8)の体をさわったとして、和歌山県警岩出署は17日、県迷惑防止条例違反(卑わいな言動)の疑いで、大阪市中央区の自称、障害者福祉施設経営、****容疑者(26)を現行犯逮捕した。容疑を認めているという。

逮捕容疑は同日午後4時5分ごろ、岩出市内の路上で女児の下腹部をさわったとしている。

同署によると、女児が自宅近くで友人と2人で遊んでいたところ、近づいてきた**容疑者に声をかけられ、服の上から下腹部をさわられたという。

女児から事情を聴いた父親が**容疑者を追いかけて取り押さえ、母親が「娘の下半身を触った男を捕まえた」と110番した。

■2016.9.29  6団地を集約する公営住宅敷地に社会福祉複合施設、芦屋市が事業予定者を決定
兵庫県芦屋市は、同市高浜町の市有地で社会福祉複合施設の整備・運営を行う事業予定者として社会福祉法人山の子会(福岡県行橋市)を選定した。9月16日に発表した。

芦屋市では、芦屋大学グラウンド跡地を購入し、市内に点在する老朽化した市営住宅、公社住宅の6団地を集約して建て替える「市営住宅等大規模集約事業」(2018年4月完成予定)を進めている。この敷地内に、民間の力を活用して多機能複合型の社会福祉施設を建設するというのが今回のプロジェクトだ。

多機能複合型とは、高齢者や障がいのある人、生活困窮者など支援を必要とする様々な人、および子供から大人までの幅広い世代を対象に、総合的にサービスを提供できる施設のこと。具体的には、ギャラリーやサロンなど子どもから大人までの様々な世代が集う交流スペースのほか、高齢者のための巡回・訪問介護の拠点、障がいがある人に対して相談や短期入所、就労などに対応する機能、災害時の市民の緊急利用場所といった機能、乳幼児連れのための授乳とおむつ替えのスペースなどを盛り込む計画だ。

事業者は市から土地を借り受け、設計、施工、施設運営を一体的に担う。「市営住宅等大規模集約事業」の計画地約1万8000m2のうち約1600m2の土地に、社会福祉複合施設を建設する。事業期間は50年間。土地には定期借地権を設定し、事業者は月額75万円の賃借料を市に支払う。

施設の提案募集に際して芦屋市は、上記の機能を必須のものとして盛り込むほか、多機能複合型の社会福祉施設という趣旨に則った事業者独自の提案も求めた。事業者に選定された山の子会は、民営の保育所や病児保育・病後児保育、児童発達支援センター、障がい者向けのデイサービス、高齢者向けのデイサービス、健康体操教室などの機能やサービスを独自に提案した。

当初、2016年2月から3月にかけて公募を実施したが、選定に至らず、5月から改めて募集要項を公表し、再び公募を開始していた。山の子会と兵庫県西宮市の社会医療法人からの応募があり、選定の結果、山の子会に決定した。施設は2018年3月末日までに整備を終える計画だ。


事業予定者の提案内容
http://social-welfare.rgr.jp/databox/houdou-ashiya_001.jpg

 

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