残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

Past news

残しておきたい福祉ニュース

 2016年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

 2016. 4.18 介護施設に子供や障害者受け入れ 政府が方針
 2016. 4.18 動物保護施設で子供達が猫と一緒に読書をするプログラムが好評  自閉症児の言語能力に改善
 2016. 4.21 発達障害者に支援や配慮を 避難生活なじめずパニックも
 2016. 4.26 発達障害者「配慮を」=避難所入れず物資困窮−家族ら、無理解を痛感・熊本地震


■2016.4.18  介護施設に子供や障害者受け入れ 政府が方針
政府は、介護施設で高齢者だけでなく子供や障害者を受け入れ、交流を促す方針を固めた。

子供と共に遊んだり、世話をしたりすることで、高齢者や障害者が生きがいを持って暮らすようになる効果が期待できる。5月末に策定する「ニッポン1億総活躍プラン」に具体策が盛り込まれる見通しだ。

交流を促す具体策として、施設が障害者や子供を受け入れる環境を整備するために、介護職員や保育士の配置基準を緩和したり、事業者への報酬を増やしたりすることなどを検討している。厚生労働省は関連予算を来年度予算の概算要求に盛り込みたい考えだ。

高齢者用の介護施設や障害者向けの就労支援施設など、施設によって対象となる利用者が決まっているのが一般的だ。政府は、誰もが活躍できる「1億総活躍社会」を実現するために、高齢者や障害者も「支え手」として役割を担えるように後押しする必要があると判断した。

■2016.4.18  動物保護施設で子供達が猫と一緒に読書をするプログラムが好評  自閉症児の言語能力に改善
ペンシルベニア州バーズボロの動物保護施設にて、猫が保護されている施設で子供達が本を朗読するという試みが行われている。アニマルセラピーの一種のようなこのプログラムでは、子供達の読書力向上だけでなく、保護された猫達も同時に癒やされているという結果が確認された。

バーズボロの動物保護施設『Animal Rescue League(ARL)』で行われている『読書仲間(Book Buddies)』と称されたこのプログラムは、6歳から14歳までの子供達に猫のいるエリアで本を朗読してもらうというものだ。

このプログラム開始のきっかけとなった出来事は、ARL職員のKristi Rodriguezさんが、失読症の傾向があった10歳の息子Sean君を猫のいる中で本を読ませてみようと思い立ち、施設に連れてきたことである。

その結果は期待以上のものであった。Sean君は猫達のいる中で楽しみながら朗読することができ、「また施設に行って本を読んでもいい?」と自分からRodriguezさんに聞くようになったのだ。現在では施設だけでなく、自宅でもすすんで読書をするようになったという。

Sean君のこうした様子を見ていたRodriguezさんは、他の子供達も施設で同じように楽しみながら読書をすることができるのではないかと思い、自らが責任者となって昨年8月から『読書仲間』のプログラムを立ち上げることにした。すると参加した子供達にはSean君同様、読書力の目覚ましい向上が見られるようになったのだ。

人間と動物の関係が子供達の学習過程に良い影響を与えることは、タフツ大学における研究で、動物と触れ合った自閉症児の言語能力に改善が見られた結果などからも既に証明されている。

だがこのプログラムは、子供達だけでなく猫達にも良い影響を及ぼしている。意外なことに、朗読における子供達の声とリズムは猫達にとって心地よく安らげるものであり、また元飼い主などに捨てられた過去のあることが多い猫達は、傍で子供達が朗読することで「自分が注目されている」と意識できるようになるそうだ。もちろん子供達は動物愛護の大切さを自然に学ぶことができるため、このプログラムは子供達、猫達どちらにも相乗効果があると保護施設の職員は話す。

ARLにはこのプログラムに参加した子供達の両親からも、「読書力の向上だけでなく、動物を大切にする気持ちも育まれた」という感謝の声が届いている。

■2016.4.21  発達障害者に支援や配慮を 避難生活なじめずパニックも
熊本県などでの一連の地震で、多くの住民が避難生活を強いられている。自閉症など発達障害がある人の中には、環境の変化に対応するのが難しいため、パニックをおこしたり、共同生活になじめなかったりすることがあるので配慮が必要だ。

国立障害者リハビリテーションセンター研究所の発達障害情報・支援センターが東日本大震災(2011年)の翌年、岩手、宮城(仙台市を除く)、福島の3県で、発達障害がある人(もしくは、家族が代理で回答)にアンケートしたところ、276人が回答。避難所を利用した人は23%で、そのうち避難所で問題なく過ごせた人は18%にとどまった。

▽偏食で配給食が食べられない
▽見守りが必要で配給の受け取りに行けない
▽夜中に目を覚まして声を出してしまうなど、障害特有の行動で、本人だけでなく、家族の負担も大きかった。周囲に遠慮し、避難所生活をあきらめて車中生活を送った家族もいた。

同センターは調査を元に、「災害時の発達障害児・者支援エッセンス」を冊子にまとめた。見た目で障害があるように見えないことがあるため、周囲の理解と支援が必要だという。「周囲が本人を大声で叱ったり、取り押さえたりする」といった避けるべき事柄や、指示の伝え方、居場所の配慮など、避難所や自宅での対応例がまとめられている。

支援エッセンスなどの情報が載った「災害時の発達障害児・者支援について」のページへは、
同センターのトップページ http://www.rehab.go.jp/ddis/ から入る。

日本自閉症協会も、「防災・支援ハンドブック」と自閉症の人が困った時に支援を求める「助けてカード」を、
ホームページ http://www.autism.or.jp/bousai/index.htm からダウンロードできるようにしている。

同協会によると、今回の震災で、自閉症の人がいる家族の中には、車中泊している人が出てきているという。孤立し、必要な情報が届かない危険性がある。支援に関する問い合わせは「発達障害者支援センターか、地元自治体などに」と話す。窓口の対応で問題が解決しない場合は、同協会事務局(03・3545・3380)へ。
厚生労働省と情報共有するという。

■2016.4.26  発達障害者「配慮を」=避難所入れず物資困窮−家族ら、無理解を痛感・熊本地震
熊本地震では、自閉症など発達障害を持つ子供やその家族の多くが、トラブルを恐れて避難所に入れず、車や自宅での生活を強いられている。行列に長時間並べず、食料や水の配給すら受けられない人も。東日本大震災で同様の問題が多発したため、厚生労働省などは必要な対応をパンフレットにまとめたが、教訓が生かされたとは言い難い。

被災による環境変化に対応できない発達障害の人は、共同生活になじめずパニックを起こしたり、大声を上げたりすることがある。制止や叱責が混乱を助長する場合もあり、周囲の理解と支援が必要だ。

「『物資が欲しければ避難所に入ればいい』と門前払いされた。入れないから苦しんでいるのに」。発達障害の息子(15)がいる熊本市の岡田丈二さん(50)は悔しそうにつぶやいた。16日未明の本震でライフラインが止まったが、地震におびえ落ち着きをなくした息子を見ると、周囲への迷惑が不安で避難所に行けなかった。

自宅の備蓄が底を尽き、助けを求めた避難所で掛けられたのは「一人一つ、平等なので欲しければ並んでください」という言葉。息子連れで長時間並ぶのは不可能で、手ぶらで自宅に戻った。

同じ境遇の人から相談を受けた古木満雄さん(63)は、発達障害を持つ次男を施設に預けて支援に奔走。同市の支援センターに掛け合い、何とか回してもらった物資を障害者のいる家庭に配った。センターもそこで問題に気付き、ようやく21日に物資を受け取れない人向けの配給を始めた。

「誰も避難できず、じっと我慢していた」と振り返る古木さん。避難所でパンフレットを見せて説明しても取り合ってもらえず、「普段以上に理解のなさを痛感した」と話した。

「張り詰めた中で問題を起こせば地域に住めなくなる。避難所に入れない自分たちはどこにいけばいいのか」と話すのは、自閉症の娘を持つ益城町の玉作恵子さん(58)。過去の台風や防災訓練でも全く対応がなく、「高齢者らと同じ配慮の目を少しでも向けてほしい」と訴えた。 

厚労省所管の発達障害情報・支援センターの東日本大震災翌年の調査では、岩手、宮城、福島の3県で回答した276人中、避難所に行ったのは23%。「問題なく過ごせた」のはその18%だけだった。同省の担当者は「市などと連携し、熊本地震の実態把握や対策に努めたい」と話した。

 

トップへ フッターへ