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 2016. 8. 3 高松・ハンセン病療養所  「大島青松園」が島外移転を検討
 2016. 8.16 経産省など、高齢者定額送迎への参入促す


■2016.8.3  高松・ハンセン病療養所  「大島青松園」が島外移転を検討
高松市沖の大島にある国立ハンセン病療養所「大島青松園」の新盛英世(しんもりひでよ)園長(65)が毎日新聞の取材に対し、同園の島外移転を検討していることを明らかにした。厚生労働省によると、療養所の移転の可能性が表面化するのは初めて。離島にある同園は、全国13療養所で唯一、地域との共存などをふまえた将来構想を策定できていない。新盛園長は今秋にも入所者に提案する予定で、「医療を確保し、最後の一人まで園として診るために一番良い方法だ」と訴えた。

らい予防法(1996年廃止)に基づき、国はハンセン病患者を強制隔離した経緯がある。一方で、高齢になった入所者は移転に難色を示す人が多いとみられ、今後発言は波紋を呼びそうだ。

 大島青松園の入所者は64人(8月1日現在)。全国の療養所で3番目に少なく、平均年齢は83歳を超える。園の医師は7人と定数(9人)割れが続いており、新盛園長は「深刻なのは医師不足。確保するためにも高松市中心部に出た方がいい。入所者は慣れた職員にみとられたいと思っている。職員も含めて園ごと移せばいい」と説明する。

 2009年施行のハンセン病問題基本法で、療養所施設の地域開放などが可能になり、入所者自治会を中心に各療養所の将来構想がまとめられ、邑久(おく)光明園(岡山県)では16年に高齢者福祉施設を開所した。しかし大島青松園の場合、島内に入所者とその関係者しか住民がおらず、高松市街との交通手段が1日5往復の専用船しかない。園と共存する施設の誘致が難しいことなどから、将来構想を描けておらず、入所者は「島に隔離した国が責任を持って(将来像を)示すべきだ」と訴えてきた。

新盛園長は「入所者が10人になった時に移転を検討したのでは遅い。島外でも安心な生活ができる」と移転の意義を強調。一方で「長い人は70年も島で生活している事実があり、強引に移転を進めることはできない」と話し、入所者と協議しながら慎重に移転を検討するとしている。

新盛園長の発言に対し、大島青松園入所者自治会長の森和男さん(76)=全国ハンセン病療養所入所者協議会会長=は「将来構想を検討したが、入所者は大島にいたいとの思いが強い。有人島として存続を目指すという高松市の方策に自治会は合意している。移転という選択肢はない」と否定的だ。

厚生労働省国立ハンセン病療養所管理室は「国は入所者の意思を尊重したい。将来構想の内容や思いを聞き、協力できるところは協力する」としている。


大島青松園

高松港の沖合約8キロ、周囲約7キロの離島にある。日本でハンセン病患者の隔離政策が始まった2年後の1909年、中国、四国地方の8県が設立し、46年に「国立療養所大島青松園」に改称した。入所者数のピークは740人(43年)。開所から2100人以上が島で亡くなった。新盛英世園長は愛媛大出身の医師で、厚生労働省中国四国厚生局を経て、2007年に就任した。

■2016.8.16  経産省など、高齢者定額送迎への参入促す
経済産業省と観光庁はタクシー会社や旅行会社に、自宅と病院や介護施設の間の定額送迎サービスへの参入を促す。旅行業法の「ツアー旅行」に位置づけることで、医療や介護に関わる企業でなくてもサービスを手がけやすくする。高齢化で今後の需要が見込まれることに対応する。

両省庁は旅行業法の解釈を見直し、法的な位置づけをはっきりさせた。一定期間であれば、自宅とあらかじめ決めた施設の間の送迎を定額で何度でも利用できるサービスをツアー旅行に該当させることにした。

これまで自宅と施設の間を送迎するサービスがどの規制に該当するか明確でなく、タクシー会社などが参入に二の足を踏んでいた。経産省によると、まだサービスを手がける企業はないが、検討中の企業から問い合わせがあるという。

今後、旅行会社がタクシー会社と組んで高齢者の送迎サービスを展開するといった新事業の開拓も期待できる。利用者からみても、ツアー旅行に位置づけることで予定通りに送迎されなかったり事故などに遭ったりした際に旅行業法に基づく補償を受けられる。

 

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