残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2017年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

 2017. 1. 1 京大卒の大道芸人 高齢者向けレク本出版
 2017. 1. 1 バリアフリー温泉、熱い人気 ホテルも需要掘り出し
 2017. 1. 5 障害児預かり、運営厳格化 厚労省
 2017. 1. 7 やまゆり園を「開かれた園に」 神奈川県が建て替え構想
 2017. 1. 7 アダルトDVDに高級車レクサス、婦人服まで 不正流用1・4億円、社福理事長一族の乱脈経営
 2017. 1.10 相模原殺傷事件 障害者施設の建て替え構想案に賛否
 2017. 1.11 生活保護受給世帯 3か月連続で過去最多を更新
 2017. 1.11 相模原殺傷事件  「衝撃的な事件だった」 かながわ共同会の米山理事長が心境語る
 2017. 1.11 公聴会で反対相次ぐ 津久井やまゆり園建て替え
 2017. 1.11 神奈川県の議論は拙速 やまゆり園建て替え巡り公聴会 出席者の声
 2017. 1.12 やまゆり園管理法人理事長が辞意表明 「責任を痛感」  社会福祉法人かながわ共同会 米山勝彦理事長
 2017. 1.12 やまゆり園建て替え 異論噴出に知事「非常に心外」
 2017. 1.12 保育所に苦情回避「指南」 園庭は住宅と離し配置、行事予定を住民に周知
 2017. 1.12 子ども施設環境配慮手引書 「子ども施設と地域との共生に向けて」  保育所・保育園の開園をめぐるトラブル
 2017. 1.16 悪質老人ホームの監督強化 停止命令新設へ  厚生労働省
 2017. 1.16 職員給与増で介護報酬1.14%引き上げ
 2017. 1.17 高齢ドライバーの死亡事故、3割が運転操作ミス
 2017. 1.17 高齢ドライバー事故防止へ 警察庁が初の有識者会議
 2017. 1.17 損保ジャパンが社会福祉法人の役員向け賠償保険の販売開始
 2017. 1.19 障害者と作る熱々ラーメン  社会福祉法人ライフサポート協会 大阪
 2017. 1.19 <西部ガス>福祉事業者「絆結」を子会社化
 2017. 1.20 高齢者と障害者や子どもとの共生型サービス  厚労省社会保障審議会 介護保険部会
 2017. 1.20 福祉施設向けパッケージ型自動消火設備 消防法の改正により義務化された小規模福祉施設への設置に対応 モリタ宮田工業株式会社
 2017. 1.21 乳幼児・就学時健診で発見を=発達障害者支援で勧告―総務省
 2017. 1.22 NPO法人スローレーベル NPO法人とくしま障害者授産支援協議会 NPO法人作業所こまどり 今治市内の障害者作業所
 2017. 1.22 老人福祉・介護事業、2016年倒産件数が過去最多 新設法人数も減少傾向で淘汰の動き
 2017. 1.22  NPO法人スローレーベル NPO法人とくしま障害者授産支援協議会 NPO法人作業所こまどり 今治市内の障害者作業所
 2017. 1.23  障がい者の雇用受け皿「わーくはぴねす農園 船橋ファーム」開所 /千葉市
 2017. 1.23 手携え特産品づくり 坂下の若手農業者有志と障害者 未来工房ここぱる
 2017. 1.23 自由造形、一心焼の力作並ぶ 施設の子供ら倉吉で作品展
 2017. 1.23 滋賀・守山のPRキャラクター「もーりー」の木工品手作り
 2017. 1.25 高齢者と障害者を分け隔てなく支える  2018年度に創設する「共生型サービス」
 2017. 1.25 高齢者と障害者を分け隔てなく支える  2018年度に創設する「共生型サービス」
 2017. 1.25 悪質有料老人ホームは業務停止に 厚労省、監督強化へ
 2017. 1.25 障害者が洗車事業に参入 株式会社FUSION
 2017. 1.25  「静岡県持ち歩くキーホルダー」 障害福祉事業所が発売へ
 2017. 1.25 障害者介護施設の利用者、鈴鹿でアート展 『笑』私たちの世界
 2017. 1.26 津久井やまゆり園 施設建て替え再検討 神奈川知事「あり方を検証したい」
 2017. 1.26 発達障害の乳幼児と親対象の療育教室が注目「専門的支援行われる施設は重要」…民間企業が奈良に開設
 2017. 1.26 やまゆり園、建て替えに異論噴出 大施設「時代に逆行」
 2017. 1.26 <高齢者施設>避難計画作成の努力義務6割が把握せず 青森県が調査
 2017. 1.27 介護福祉士の出願者半減 「受験資格に研修義務」が要因
 2017. 1.27 障害者に「地域生活を」 やまゆり園建て替え巡り集会 26日横浜市神奈川区の県民センター
 2017. 1.27  捨てるのもったいない「白菜の根」を商品化 NPOステップアップ
 2017. 1.28 桜区の障がい者支援施設が「いちご農園」 イチゴ狩りと直売に喜びの声も /埼玉  障害者支援施設しびらき
 2017. 1.28 山口宇部空港に立ち飲み屋 地酒「獺祭」や特産品を販売  社会福祉法人南風荘
 2017. 1.30 障害者殺傷事件半年 忘れず、諦めず共生社会の構築を  愛媛新聞:社説
 2017. 1.31  米子で障害者ら働く飲食店「海の声」2月1日オープン


■2017.1.1  京大卒の大道芸人 高齢者向けレク本出版
関西を拠点に活動する京大卒の大道芸人、たっきゅうさんが、『笑って楽しい!高齢者レクリエーション』(法研)を出版した。高齢者施設や介護予防教室での活動を基にまとめた簡単に誰でも楽しめるアイデア満載の1冊。たっきゅうさんは「日常に笑いを届けたい」と話している。

たっきゅうさんは京大時代にジャグリングを学び、同大大学院に進むも「中途半端はだめだ」と退学して芸の道を選んだ異色の大道芸人。2014年からは大学院で学んだ計量経済学を生かし、高齢者施設などの訪問活動を展開している。

「この10年で笑いの効用は高く評価されるようになった」とたっきゅうさん。施設で大道芸を通して笑いの効用を楽しくレクチャーする中で、「僕の行うレクリエーションは笑うきっかけづくりで、それを日常に落とし込むことが大切」と、これまでの経験や出し切れなかったことを分かりやすく1冊にまとめることを決めた。

■イラスト交え
同書は7章立てで、「簡単で親しみやすい」というバルーンアートは2章分を使って紹介。輪の状態から力を加えただけで完成する「ハート」や、定番の「犬」「花」などもイラストを交えて丁寧に説明。介護施設などでは、「利用者にとって難しい風船先を縛るところなどを、職員と役割分担しながら進めるとコミュニケーションが取れて楽しめる」という。

6、7章では家庭で子どもたちでも楽しめる、お手玉一つからできるレクリエーション、トランプを使ったマジック、皿回しやコップの早積みなどの一発芸を紹介した。
またレクリエーションの計画表や振り返り表の作り方についても解説し、「施設で職員の人にも活用してほしい」とアピールする。

■病院に笑顔を
たっきゅうさんは、小児科の病棟を訪問し芸術を届ける「スマイリングホスピタルジャパン」に参加し、入院中の子供に笑いを届ける活動も行っている。大人向けの病院での活動も視野に、夢は「病院常設の演芸コーナー」だ。

出版についても、「手を使わないでもできる脳トレなどもある」とアイデアは沸き上がるばかり。ただ不慣れな出版作業にややお疲れ気味で、「書く方はいったん休み、さらにネタを仕込んでいく」と芸の鍛錬にも余念がない。

■2017.1.1  バリアフリー温泉、熱い人気 ホテルも需要掘り出し
車いすでも、足腰が弱って介助が必要な高齢者でも楽しめる「バリアフリー温泉」が、全国各地で人気を集めている。観光庁や旅行会社も後押ししている。

先駆けとされるのが、富士レークホテル(山梨県富士河口湖町)だ。バブル崩壊で宿泊も宴会も落ち込んでいた1999年、当時常務だった井出泰済(やすなり)社長が「新しいものに挑戦しなければ」と、ユニバーサルデザインの客室をつくった。

5年ほど前には河口湖を望む「レークビュー貸切風呂」に、入浴介助用のリフトを付けた。利用者は同行者らの介助を受けて洗い場でリフトに乗り、湯船に移動できる。事前に予約すれば別料金で介助スタッフも呼べる。

2011年の東日本大震災後、全国的な行楽自粛ムードで利用客が激減し、特色を打ち出そうとより一層バリアフリー化を進めた。現在、74室のうち23室がユニバーサルデザインで、障害者や高齢者のリピート率は約40%と高いという。

高山グリーンホテル(岐阜県高山市)も01年、専用の車いすに乗ったまま大浴場に入れるサポート機器を導入した。森野有(たもつ)・営業企画係長は「健常者と同じように大きなお風呂に入ってほしかった」と振り返る。ユニバーサルデザインの客室も9室備え、今後も段差解消やスロープ設置などの改修を進める方針だ。

ホテルニューアワジプラザ淡路島(兵庫県南あわじ市)も同年、電動のサポート機器が付いた4、5人用の貸し切り風呂をつくった。現在はユニバーサルデザインの客室が13室あり、見た目の美しさや華やかさを損なわない減塩食や刻み食、ミキサー食も提供するなど要望に細かく応じている。前田憲司・副支配人は「3世代の家族旅行で選んでもらうためにはバリアフリー対応が重要」と話す。

一方、観光庁は全国でバリアフリー観光の受け入れ拠点づくりを支援している。拠点は観光施設や行政、福祉サービス事業者などと連携し、利用者の希望に沿う施設を紹介。施設向けには改修の助言をしたり勉強会を開いたりしている。昨年度末時点で21都道府県に一つ以上の拠点があり、NPO法人などが運営している。

旅行会社も力を入れる。JTBはホームページで「車椅子で泊まれる宿」を特集し、全国13施設を紹介。国内769店舗やグループ会社を含む約2万2千人の社員に「ユニバーサルツーリズムガイドブック」を配り、「耳や言葉の不自由なお客様には、窓口の順番がきたら、行ってお知らせする」などと細やかな対応手順を指導している。

「バリアフリー温泉で家族旅行」(昭文社)の著作がある温泉エッセイストの山崎まゆみさん(46)は「各施設が試行錯誤しているが、何か一つ基準ができると取り組みやすいのではないか」と指摘する。著作では、施設改修が十分ではなくても、歩行練習など湯治に力を入れる施設も載せた。山崎さんは「大切なのは心。立派な設備がなくても対応できることを知ってほしい」と話す。

■2017.1.5  障害児預かり、運営厳格化 厚労省
厚生労働省は4日、障害のある子どもを放課後や休日に預かる「放課後等デイサービス」について、職員に障害児の支援経験を求めるなど、事業運営の条件を4月から厳格化する方針を固めた。利益優先の事業者による報酬の不正受給や、テレビを見せるだけでほとんどケアをしないといった事例があるため、不正防止や質確保を図る。

放課後デイは、学童保育を利用しづらい障害児(6〜18歳)に専門的な支援をする居場所として2012年度に制度化された。施設数が急増しており、全国約8400カ所で約11万人が利用している。

また、厚労省は主に成人の障害者が最低賃金以上を受け取って職業訓練する「就労継続支援A型事業所」も、不適切な運営がみられるため、是正策を講じる。いずれも6日に開く審議会で見直し案を示す。

放課後デイでは現在、じかに子どもに接する指導員に資格要件が定められていない。今後は、社会福祉士の資格などが求められる「児童指導員」や保育士、障害福祉経験者の配置を条件とし、職員の半数以上を児童指導員か保育士とする基準も設ける。

支援計画を作る「児童発達支援管理責任者」についても、現在は障害者に限らず高齢者の支援経験があれば従事できるが、障害児・者や児童分野での3年以上の経験を必須とするよう改める。厚労省が昨年定めた運営指針の順守と、自己評価結果の公表も義務付ける。

就労継続支援A型事業所も参入例が増えており、15年度現在で約3200カ所あるが、訓練実態がないなどの事例が指摘されている。本来は職員の人件費などに充てなければならない給付費で賃金を賄っているケースもある。今後は給付費から賃金を支払うことを禁止する。



■放課後等デイサービス
6〜18歳の障害児を放課後や長期休暇中などに預かる施設。全国に約8400カ所あり、2015年度は1カ月平均で約11万人が利用した。個別に支援計画を作り、遊びや学習などを通じて発達を支援。定員10人以下の施設で平日に1人を預かると、時間に関係なく1日に4730円が事業者に支払われる。職員が社会福祉士の資格を持つ場合などには別途加算もある。利用料は保護者の収入に応じて変わるが、原則1割負担。残りは公費で賄われる。

■2017.1.7  やまゆり園を「開かれた園に」 神奈川県が建て替え構想
神奈川県は6日、殺傷事件があった障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)の建て替えについて、基本となる考え方や利用にあたっての構想を公表した。閉鎖的にならないように、施設の入り口周辺の門や塀を撤去して「開かれた園」にするという。10日に県内の障害者団体や有識者から意見を聞き、3月末までに基本構想を策定する。

大規模施設の建て替えは、「『施設から地域へ』という国の方針に逆行する」との声があるものの、県は現在地で建て替えることで、「凄惨(せいさん)なイメージを払拭(ふっしょく)し、再生のシンボルとする」とした。

管理棟には地域住民の美術作品を展示できるスペースを設け、体育館やプールは「交流促進ゾーン」と位置づけて積極的に地域に開放していく方針。

一方で侵入者対策として、防犯ガラスの取り付け▽センサー付き防犯カメラの設置▽職員室から見渡せるように居住棟を配置――といった取り組みをするという。建て替えは2019年度中に始まり、20年度末には完了の予定。

■2017.1.7  アダルトDVDに高級車レクサス、婦人服まで 不正流用1・4億円、社福理事長一族の乱脈経営
大阪や兵庫、東京など全国7都道府県で保育園を運営する社会福祉法人「夢工房」(兵庫県芦屋市)で、理事長一族による運営費の不正流用問題が発覚した。10月19日に公表された法人の第三者委員会の調査報告書によると、法人の資金から流用されたのは約1億4千万円。親族の架空勤務による給与支給に始まり、高級車レクサスの私的使用▽子供の学費▽新居用家具・家電や妻の婦人服、理事長が購入したアダルト商品代2万円−など。あまりの乱脈ぶりに、第三者委は「法人は私物化され、利用者は二の次」と指弾した。

「法人の私物化」
「今回の問題を総括すると、理事長一族による法人の私物化が主な原因」
「詐欺罪などで告訴されうる事案で、理事長らは解任されるべきだ」

10月19日、神戸市内で開かれた第三者委員会の記者会見。法人の理事らが同席する中、委員長の藤原孝洋弁護士はこう指弾した。
報告書によると、理事長の母と義母、当時大学院や専門学校に在学中だった長女と長男には、法人が運営する保育園などでの勤務実体のない「架空勤務」で給与が支給されていた。

さらに長女と長男の学費も専門資格の取得に対する補助として支出。藤原氏は「ほかの職員がこの制度を利用したことはなく、夢工房の費用で身内を進学させようとしたに過ぎない」と指摘した。長女が同じマンションの別フロアに住所変更した際には赴任手当まで支給され、給与・手当をめぐる不正な支出だけで流用額は約6300万円に上った。

理事長一族の流用はこれだけにとどまらなかった。

理事長妻の婦人服に
「平成26年8月27日 ○○保育園 2万2680円 アナと雪の女王衣装」「26年11月4日 ××保育園 2万7300円 ハロウィン帽子・衣装」

これは理事長の妻が、兵庫県内の高級婦人服専門店で商品を購入、偽造した領収書の記載の一部だ。26年8月以降だけで計11回、支出は総額約123万円に達した。
妻は第三者委に対し、領収書に実際には購入していない商品名を記入したことは認めたが、「婦人服の生地を利用してハロウィングッズなどを作成するつもりだった」と弁明。しかし第三者委は「園の行事で使う備品を装い、実際は自身の婦人服を購入していた」と判断した。

また、法人が所有する約700万円の高級車「レクサス」は長女が独占的に使用。長女が結婚した際には、家電や家具約210万円分が買い与えられた。領収書には園で使う掃除機やプランターを購入したように記載されていたが、実際はソファ、テレビ、テレビ台、冷蔵庫などが園の経費で処理されていた。

このほか、理事会の決議を経ずに法人名義で銀行から借り入れた約6300万円も見つかった。

社会福祉専門書と偽り
第三者委の説明に、報道陣から失笑が漏れたのが次の報告だった。

理事長によるアダルトDVDの購入費2万円−。
22年5〜6月、理事長が複数回、購入したアダルトDVDを社会福祉関係の専門書と偽装して法人本部宛に送付させ、うち2回分2万円を法人経費で支払わせていた。2回の金額は「9441円」と「1万559円」。合わせてちょうど2万円だった。

会見後、報道陣の質問に対し、藤原氏は職員からの聞き取りで「理事長宛に届いた荷物を開けたところ、アダルトDVDが入っていた。すぐに閉じたため、DVDの細かい内容までは覚えていない」と証言したという。第三者委で商品と領収書を付き合わせると、DVDの代金が報告書で説明があった専門書購入に偽装されていたことが分かったと説明した。

また、勤務していない職員を雇用したように見せかけるなどし、姫路市と東京都港区から補助金計約4560万円を不正に受け取った疑いも判明。藤原氏は「自治体に返還すべき補助金と認識している」と語った。

誰も逆らえない存在
理事長一族による法人の運営費不正流用疑惑が浮上したのは、今年6月上旬。きっかけは姫路市の監査だった。

法人が運営する「姫路保育園」など2つの保育園で22年4月以降、架空勤務の理事長の母や義母に給与約2200万円を支払うなど、計約2750万円を親族らに供与していたことが明らかになったのだ。

事態を重く見た兵庫県からの指示もあり、法人は6月24日、弁護士の藤原氏をはじめ、公認会計士と大学教授の3人で構成する第三者委を設置、関係者からの聞き取りなどを行った。

そもそも法人は昭和22年、現理事長の祖父が姫路市で保育園を立ち上げたのが事業の始まり。理事長職は一族が引き継ぎ、平成25年に就任した現理事長は祖父、叔父、父に続いて4代目となる。現在26の保育園や特別養護老人ホームを運営するようになった法人の拡大に手腕を発揮したのは現理事長だ。15年に専務理事に就任した後、新たな保育園を全国各地に毎年開園、いずれも収益を出すカリスマ的存在となった。

第三者委は「唯一の成功者として絶対的な発言力があり、逆らうと職さえ失いかねないという恐怖が存在した」と、不正がはびこる法人の体質を指摘した。
関係者によると、理事長本人は「事実関係として、認められないところがたくさんある」と話していると伝えられるが、法人は9月から理事長を出勤停止とした。

「行政に甘さ」

法人の関係者によると、問題発覚以降、運営する各地の保育園には保護者から「説明会を開いて本当のことを教えて」「閉園したり、先生が大量に辞職し、規模を縮小せざるを得なくなったりすることはないのか」などと不安の声が複数寄せられている。

報告書では、経営から理事長ら創業者一族の関与を排除するよう求め、「働く女性や住民を裏切った。待機児童ゼロ作戦で悩む自治体と保護者を手玉にとり、理事長らが今回のような事件を起こしたことは許されない」と結ばれている。

企業などの不正に詳しい近畿大の芳沢輝泰准教授(企業統治論)は「これほどひどい不正流用は聞いたことがない」とした上で、社会福祉法人を監督する行政側の甘さを指摘する。

「待機児童が全国で問題となる中、保育園の充実を図る行政はできるだけ園を維持したい弱い立場。法人に対する監査も甘くなる傾向がある」と説明。「今回はあまりにも問題が深刻だったため放置できなかったのでは」とみている。

■2017.1.10  相模原殺傷事件 障害者施設の建て替え構想案に賛否
去年、殺傷事件が起きた相模原市の知的障害者施設の建て替えに向けて、神奈川県が障害者団体などから意見を聞く公聴会が開かれ、これまでと同様に大規模な施設が必要だという意見があった一方で、小規模な施設を複数作り、障害者が地域に根ざした生活を送れるようにすべきだと、県の計画に反対する意見も出された。

去年7月、相模原市の「津久井やまゆり園」で起きた殺傷事件を受けて、神奈川県は、全面的な建て替えを決め、平成32年度中の完成を目指している。
10日は、横浜市で新しい施設について意見を聞く公聴会が開かれ、障害者団体や福祉の専門家などおよそ90人が出席した。

最初に県の担当者から新しい施設の規模は、これまでと同様に150人程度とする構想案が示された。そのうえで、地域に開かれた施設となるよう入り口の塀を撤去する一方で、入所者が生活する建物には、異常を感知すると警備会社に通報するセンサー付きの防犯カメラを設置すると説明された。

出席者からは「大規模な施設を維持してほしい」という意見があった一方で、「小規模な施設を複数作り、入所者が地域に根ざした生活を送ることができるようにすべきだ」と、県の計画に反対する意見も出された。
県はさらに検討を重ね、今年度中に基本構想をまとめて公表することにする。


「津久井やまゆり園」の再建構想案

神奈川県は、「津久井やまゆり園」の全面的な建て替えに向けて、今年度中に基本構想を策定することにしている。
基本構想の案では、事件をきっかけに施設が閉鎖的にならないよう、住民との交流をより深めるなど地域に開かれた施設を目指すとしている。このため、施設の入り口周辺の塀を撤去するほか、体育館やグラウンドなどを交流促進ゾーンと位置づけ、地域住民に積極的に開放する。

一方で、入所者が生活する建物は防犯対策を充実させ、割れにくい防犯ガラスを取り付けるほか、異常を感知すると警備会社に通報するセンサー付きの防犯カメラを設置する。
このほか、将来的に施設を出て、地域での生活への移行を促進するため、入所者が一緒に生活する「ユニット」と呼ばれるグループ分けを、これまで20人単位だったものを10人程度に小規模化し、家庭的な生活環境を作ることも盛り込まれている。

■2017.1.11  生活保護受給世帯 3か月連続で過去最多を更新
生活保護を受けている世帯は、去年10月の時点で163万7000世帯余りとなり、1人暮らしの高齢者の増加を背景に、3か月連続で過去最多を更新した。

厚生労働省によると、去年10月に生活保護を受けた世帯は163万7866世帯だった。これは前の月より964世帯多く、3か月連続で過去最多を更新する。

世帯別で最も多いのは「高齢者世帯」で、前の月より985世帯増えて83万6387世帯となり、全体の51%を占めた。このうち、1人暮らしの高齢者は9割以上となる。

次いで、働くことができる世代を含む「その他の世帯」が26万2712世帯、けがや病気などで働けない「傷病者世帯」が23万8494世帯、「障害者世帯」が19万2107世帯、「母子世帯」が9万9131世帯などどなっている。

厚生労働省は「雇用情勢の改善などで、働くことができる世帯などの受給が減少している一方で、それを上回る勢いで高齢者世帯の受給が増えている。特に1人暮らしの高齢者は貧困に陥りやすく、今後も増加傾向が続くのではないか」と分析している。

■2017.1.11  相模原殺傷事件  「衝撃的な事件だった」 かながわ共同会の米山理事長が心境語る
神奈川県立の障害者支援施設「津久井やまゆり園」(相模原市)で7月に発生した入所者殺傷事件をめぐり、指定管理者として同施設を運営する社会福祉法人かながわ共同会が12月26日、県に業務改善計画を提出した。今年度中に危機管理対策本部を設ける。2017年度に向け、職員の採用から育成、評価まで一貫して取り組む人事・企画部も設ける。

事件の再発防止策を議論した県の検証委員会は11月、共同会が危機情報を県に報告しなかったことなどに触れ、「非常に不適切」と指摘。これを受けて県は共同会に対し業務改善を勧告していた。

また、同施設は同日、正門前の献花台を撤去し、規模を縮小したものを敷地内に移した。事件直後に設置され、献花に訪れる人が絶えなかったが、職員や近隣住民の心情に配慮して区切りをつけるという。
業務改善計画の提出に先立ち、共同会の米山勝彦理事長は12月20日、横浜市内で開かれた追悼集会(神奈川県知的障害施設団体連合会主催)で心境を語った。記者会見を除く公開の場で事件について話すのは初めて。概要は次の通り。


■米山理事長の話

衝撃的な事件だった。全国から、外国からも心にしみる弔問、お見舞い、励ましのお手紙などを数々いただき、どれだけ心の支えになったか計り知れない。
現在、職員は少し落ち着いてきたが、時がたてばたつほどことの重さを痛切に感じる。
あってはならない蛮行を防げなかったことの悔恨は増すばかりだ。誠に申し訳なく、亡くなられた方々に哀悼の意をささげる。

この事件、全国の障害をお持ちの方々に大きな不安をもたらし、日常生活にも影響を与えた。福祉に携わる者の誇りを傷つけ、社会的信用を失墜させ、日本の福祉社会のあるべき方向に衝撃を与えた。重ね重ね深くおわび申し上げる。
しかし、共同会はいつまでもめげてはいられない。

今回の事件は「障害者は生きる価値がない」という理不尽かつ偏った思想により起こされた。命あるもの、皆、精いっぱい生きたい。それを支え合うのが共に生きる社会だ。それを推し進めていくことが私どもの使命であり、犠牲になられた方々へのせめてもの償いだ。

津久井やまゆり園は地域に開かれた施設として地域に愛され育った施設だ。これからも地域と共に生きる方針は微動だにしない。
県の検証報告書は共同会にとって極めて厳しい内容だった。県からは改善勧告が出された。真摯に受け止め、総力を挙げて取り組んでいく所存だ。

共同会においては、元職員による犯行という極めて厳しい事情がある。事件の背景は何か、私的な要因を含めて何が犯行に至らしめたのか、職場との因果関係はどうだったのか、職場として何を充実すべきかなど課題は山積みだ。
裁判の過程で明らかにされてくる部分が多いと思うが、私どもは長期的視点にたってこれを追求し実践していかなければならない。

■2017.1.11  公聴会で反対相次ぐ 津久井やまゆり園建て替え
神奈川県は10日、殺傷事件があった障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)の建て替えについての基本構想をまとめるため、福祉の専門家や障害者団体などから意見を聞く公聴会を開いた。県は現在地での建て替えを「再生のシンボル」としているが、出席者からは「今さら大規模施設はいらない」「費用を障害者の地域移行のために使ってほしい」などと否定的な意見が相次いだ。

公聴会で大熊由紀子・国際医療福祉大学大学院教授は「人里離れたところに大きな施設を造ったりしたことなどに事件の根っこはある」と指摘。「大型施設は時代錯誤」として、グループホームなど障害者の地域生活への移行を促進する小規模施設の設置を求めた。
県が建て替えの費用に60億〜80億円を見積もっていることについても、在宅支援やグループホームの拡充といった「地域生活支援への予算にあててほしい」(障害児の高校入学を実現する会・柳沢恵美子事務局長)など、再考を求める発言が目立った。

また、「入所者本人の意思を様々な方法で聞き取ってもらいたい」という意見もあった。県によると、津久井やまゆり園の入所者約100人に調査した結果では、2割が「今後もいたい」と答えた一方、6割が「意思表示できない」「わからない」だったという。小島誉寿・県福祉部長は「本人の意思にどうアプローチできるか、やっていかないといけない」と話した。

■2017.1.11  神奈川県の議論は拙速 やまゆり園建て替え巡り公聴会 出席者の声
10日、横浜市神奈川区のかながわ県民センターで公聴会を開いた。県内27の障害者団体、有識者13人が出席。入所者の意向確認の徹底を促す意見が相次いだ一方で、「議論が拙速」として白紙撤回を求める声も上がった。

保存した
http://archive.is/UNhTr#selection-1239.3-1239.14


NPO法人県障害者自立生活支援センター理事長 鈴木治郎
基本構想を巡る県の姿勢は性急過ぎるし ・・・・

障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会事務局長 室津滋樹
今後、地域移行を進めるためのモデルとして県が ・・・・

県頸髄損傷者連絡会 磯部浩司
健常者が事件現場に家を建て替えて住むかと聞かれたら ・・・・

NPO法人県精神障害者地域生活支援団体連合会 戸高洋充
やまゆり園は1964年に作られた施設。50年 ・・・・

県手をつなぐ育成会会長 依田雍子
今後の人口減少を考慮すれば、大規模収容型の再建は ・・・・

県障害者施策審議会委員でNPO法人県視覚障害者福祉協会理事長 鈴木孝幸
建て替えありきではなく、事件をきっかけに ・・・・

県重症心身障害児者を守る会会長 伊藤光子
外部からの安全よりも、まず内部で ・・・・

■2017.1.12  やまゆり園管理法人理事長が辞意表明 「責任を痛感」  社会福祉法人かながわ共同会 米山勝彦理事長
相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で19人が刺殺されるなどした事件で、施設の指定管理者である社会福祉法人「かながわ共同会」の米山勝彦理事長が11日、辞職する考えを神奈川県の黒岩祐治知事に伝えた。米山理事長が同日、黒岩知事と面会し「責任を痛感しており、職を辞したい」と述べたという。辞職は4月以降の見通し。

県が設置した第三者検証委員会が昨年11月にまとめた報告書では、元職員の植松聖(さとし)容疑者(26)=殺人容疑で再逮捕、鑑定留置中=の犯行予告を警察から伝えられていた事実について、共同会が入所者の生命に関わる危険情報を認識しながら県に報告しなかったのは「非常に不適切」と指摘していた。

■2017.1.12  やまゆり園建て替え 異論噴出に知事「非常に心外」
昨年7月、入所者19人が殺害されるなどの事件があった相模原市緑区の県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」を、現状の規模で建て替える県の方針をめぐり、障害者団体や有識者から異論が相次いでいることについて、黒岩祐治知事は11日、報道陣の取材に「非常に心外」と語った。

知事は、障害者福祉は地域生活への移行がテーマとなっていることに触れて「大きな流れは承知している」とした。

その上で、事件直後に園職員や入所者家族らから聞き取った結果、現場の悲惨な状況から現施設を活用し続けることは困難と判断したと説明。「緊急事態を早く修復しなければならない。切実な思いを受け止め、早く進めるべきだと決断した。建て替え判断そのものが間違っているのでは、と言われることは非常に心外だ」と述べた。

一方で知事は「意見を整理して、どう具体的に反映するか、しっかり受け止めて前向きな形を出していきたい」とも語り、3月末の「園再生基本構想」の策定に向けてさらに検討する考えを示した。

建て替え方針については、10日の関係団体・有識者ヒアリングで、現在の定員150人の施設規模での建て替えに異論が噴出。大規模施設ではなく、小規模施設を整備してほしいなどの要望が出た。 

■2017.1.12  保育所に苦情回避「指南」 園庭は住宅と離し配置、行事予定を住民に周知
保育所や幼稚園の子供らが出す音や声への苦情が近隣から相次いでいることを受け、大阪府はトラブル回避のための手引書を初めて作成した。

実際の苦情事例をもとに、園庭を住宅側に配置しないことや、行事予定を住民らに事前周知するなどの方法を紹介している。府によると、自治体がこうしたマニュアルを作るのは珍しいという。

府が昨年7月に行った全43市町村へのアンケート調査では、37自治体で2013〜15年度の間に苦情やトラブルがあったと回答。その原因では、園児の声など「日常的な音」が最も多く、保護者の送迎時の路上駐車など「交通に関すること」、楽器の演奏など「イベント時の音」も目立った。
手引書(90ページ)では、50〜60人の子供が園庭で遊んでいる場合、音の大きさは主要道路周辺に匹敵する70デシベル前後になるとし、「(施設に)反対する住民は特別な存在ではない」と、近隣に配慮するよう求めた。

施設面の対策では、園庭は道路や川などに近い場所か、窓が少ない住宅北側に配置することが効果的とした。子供は集団になると気持ちが高ぶって声が大きくなるとし、屋上にも園庭をつくるなど遊び場を分散させる方法や、市販の防音壁の性能も紹介している。
運営面では、住民らは音が出る時間帯がわかっていればストレスが減る可能性があるとして、年間の行事予定や1日のスケジュールなどを事前に伝えたり、職員の呼び出しをスピーカーの代わりにトランシーバーで行って音量を下げたりする方法も紹介した。

苦情があった場合、初期対応を間違えて大きなトラブルへと発展することがないよう、きちんと聞き取ることが重要とし、「住宅の方が後からできた」といった反論は「NGワード」として控えるよう促している。
保育施設を巡っては、政府は「待機児童ゼロ」を掲げて受け皿作りを進めている。府は手引書を、府内の保育所や幼稚園など全2300施設に配布する。府幹部は「各施設の実情に応じて対策を進め、地域との円滑な関係を築いてほしい」と話している。


■保育所に厳しい住民意識

厚生労働省の調査からは、保育所や幼稚園に対する厳しい住民意識も浮かび上がる。
同省が2015年3月に民間委託して行った「人口減少社会に関する意識調査」では、住宅地に立地する保育所の子供の声を「騒音」と受け止め、苦情を言ったり立地に反対したりする住民の立場に同感できるかを聞いたところ、「同感できる」と答えた人が「ある程度」(29・7%)と「とても」(5・4%)を合わせ、全体の3分の1を占めた。
一方で、保育所立地に理解を示す人の割合は、地域活動への参加頻度が多い人ほど高まる傾向も明らかになった。


大阪府のトラブル回避のための手引書
http://social-welfare.rgr.jp/storage/newsreport_0x1.jpg

■2017.1.12  子ども施設環境配慮手引書 「子ども施設と地域との共生に向けて」  保育所・保育園の開園をめぐるトラブル
保育所や幼稚園などの施設の近隣住民から「子供の声がうるさい」「送迎のマナーが悪い」といった苦情が寄せられていること対し、大阪府が解決策を「手引書」としてまとめ12日、公表した。遊び場の配置の工夫や保護者へのルール周知のほか、地域での交流を深めるよう促している。府によると全国初の取り組みという。

「日常的な交流で良好関係を」

「子ども施設環境配慮手引書」と題する冊子で「騒音トラブル」を中心に構成。屋外の遊び声や、屋内のピアノ、放送音などの項目ごとに「大きな声が出やすい遊具は住宅から離す。行事の予定を地域に知らせる」「住宅側の窓は二重サッシにする」などの対応策を例示している。

保護者の送迎については「できるだけ送迎車両の台数を減らすことが重要」「交通ルールとマナーを守るよう粘り強く周知すること」などと提示。ほかに「施設が地域との良好な関係を築くには、日常的な交流が不可欠だ」ともアドバイスしている。

手引書は、府が地域社会と施設の共生を目的として昨年7月、大学教授ら有識者と検討会を設置し、作成。検討会の調査では、府内43市町村のうち37の自治体が「子供施設に関する苦情やトラブルがあった」と回答し、特に音に関する内容が多かったという。府のホームページからも無料でダウンロードできる。


子ども施設環境配慮手引書 大阪府
http://www.pref.osaka.lg.jp/kotsukankyo/oto/kodomo_tebiki.html



子ども施設と地域との共生に向けて 子ども施設環境配慮手引書
一括ダウンロード 21.54MB
http://social-welfare.rgr.jp/storage/osakahu-kodomo_tebiki.pdf

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/913/00236120/kodomo_tebiki_ikkatsu.pdf


はじめに [2.02MB]
http://social-welfare.rgr.jp/storage/osakahu-kodomo_hazimeni.pdf


第1部 子ども施設と「音」 [3.85MB]
1. 「音」に関する基礎知識
2. 騒音に関する法令・規制
3. 子ども施設で発生する「音」
http://social-welfare.rgr.jp/storage/osakahu-kodomo_1bu.pdf


第2部  子ども施設における苦情・トラブル事例と対応策 [11.39MB]
1. 「音」に関する苦情・トラブル
2. 「交通」に関する苦情・トラブル
3. その他の苦情・トラブル
http://social-welfare.rgr.jp/storage/osakahu-kodomo_2bu.pdf


第3部  子ども施設と地域との共生のために [2.86MB]
1. 新しい施設を開設するときに
2. 地域との良好な関係を築くために  苦情等になる前に
3. 苦情等が発生したときに  大きなトラブルに発展させないために
http://social-welfare.rgr.jp/storage/osakahu-kodomo_3bu.pdf


おわりに 子ども施設に関わる皆様へ [1006KB]
1. 子ども施設の事業者の皆様へ
2. 市町村の方へ
3. 建築事務所の方へ
4. 保護者の方へ
5. 地域の方へ
http://social-welfare.rgr.jp/storage/osakahu-kodomo_owarini.pdf


参考資料 [606KB]
(1)検討経緯
(2)子ども施設と地域との共生に向けた検討委員会
(3)府内市町村アンケート調査結果
http://social-welfare.rgr.jp/storage/osakahu-kodomo_sankou.pdf

■2017.1.16  悪質老人ホームの監督強化 停止命令新設へ  厚生労働省
厚生労働省は再三の指導に従わないなど悪質な有料老人ホームへの指導監督を強化するため、現行よりも厳しい「事業停止命令」措置を来年4月から新たに設けることを決めた。自治体に届け出をしない無届けホームも対象に含める。通常国会に提出する介護保険法などの改正案に盛り込む。

有料老人ホームは全国で増えており、定員は2015年度時点で約42万人。共同通信の調査では、このほか少なくとも約1万5000人が無届け施設に入居している。現行制度では、自治体が業務改善命令を出すことはできるが、事業停止を命じる規定はない。

改正案では、運営事業者に対し、利用料やサービス内容の自治体への報告も義務付け、これらの情報を公開することも定める。

このほか、事業者が倒産した場合に、入居者が支払った前払い金がきちんと返還されるよう、全ホームに保全義務を課す。現行では、06年3月以前設立の場合は義務化の対象になっていないため。倒産時には他の施設への転居を都道府県などが援助することも盛り込む。

■2017.1.16  職員給与増で介護報酬1.14%引き上げ
厚生労働省は13日、介護職員の給与を月平均1万円増やすため、事業者に支払う介護報酬を4月に臨時改定し、1・14%引き上げる方針を決めた。18日の社会保障審議会の分科会に示す。
これに伴い利用者の自己負担(1〜2割)が増えるほか、40〜64歳が支払う保険料も月60円ほど高くなるが、65歳以上の保険料は変わらない見通しだ。




介護報酬、昇給制度導入の事業者に加算 厚労省 2016年11月16日

厚生労働省は16日、来年4月に予定している介護職員の処遇改善の方法をまとめた。働いてきた経験や資格、人事評価などを利用して職員を昇給させる仕組みを導入している事業者に、介護職員の平均給与が月額1万円相当上がるように介護報酬を加算する。厚労省は職員のキャリアアップを促して人材不足の解消につなげたい考えだ。

介護職員の平均給与は月給ベースで約26万円で、全産業平均と比べて約10万円低い。一方で昇給制度がある介護事業者は全体の約半分にとどまる。離職する職員も多いため人材不足が深刻だった。介護事業所への報酬は従来は3年に1度改定しており、次回は2018年の予定だった。政府が今年6月に決めた「ニッポン一億総活躍プラン」に介護職員の処遇改善が盛り込まれ、見直しが1年前倒しになった。

■2017.1.17  高齢ドライバーの死亡事故、3割が運転操作ミス
75歳以上の高齢ドライバーが2015年に起こした死亡事故のうち、ブレーキとアクセルの踏み間違いなど運転操作ミスが原因だった事故は29%に上ることが警察庁のまとめでわかった。

事故原因別では最多で、75歳未満のドライバーの約2倍にあたる。加齢による身体機能の衰えが要因とみられる。
同庁が分析したのは、同年に起きた死亡事故3585件。このうち75歳以上の高齢ドライバーが第一当事者だったのは458件だった。

75歳以上の事故の原因別では、踏み間違いなどの操作ミスが29%(134件)で最も多く、左右を確かめないなどの安全不確認が23%(106件)。昼間の事故が全体の83%を占めた。

状況別では、車との衝突が44%(204件)、電柱や柵に衝突するなどの単独事故は39%(178件)。歩行者をはねたのは15%(68件)で、75歳未満の40%を大きく下回った。

■2017.1.17  高齢ドライバー事故防止へ 警察庁が初の有識者会議
社会問題となっている、高齢者ドライバーの事故防止の対策に関する警察庁の有識者会議が16日、初めて開かれた。会議では運転免許証の自主返納などの課題について議論を進め、ことし6月をめどに提言をまとめることにする。

去年、高齢者ドライバーによる死亡事故が相次いだことを受け、警察庁が初めて開いた16日の有識者会議には、大学教授や医師、関係する省庁の担当者など、およそ20人が出席した。
会議では、75歳以上のドライバーによる死亡事故について、警察庁が初めて詳細に分析した結果が説明された。

それによると、おととし1年間に起きた75歳以上のドライバーによる死亡事故は458件で、運転免許証の保有者10万人当たりの件数で比較すると、75歳未満の2.4倍に上ったという。
原因別では、ハンドル操作を誤ったりブレーキとアクセルを踏み間違えたりしたといった運転操作の誤りがおよそ3割と最も多く、75歳未満のおよそ2倍、また、ドライバー本人が死亡した割合もおよそ2倍に上った。

警察庁は、高齢による判断力の低下や身体の衰えなどが背景にあるのではないかと分析していて、会議では今後、運転免許証の自主返納やより効果的な安全教育などの課題について議論を進め、ことし6月をめどに政府への提言をまとめることにする。


相次ぐ高齢ドライバーによる死亡事故

高齢者ドライバーによる死亡事故は、去年10月には横浜市で87歳の男が運転する軽トラックが登校中の小学生の列に突っ込み、1年生の男の子が死亡したほか、小学生4人を含む7人が重軽傷を負った。
11月には栃木県下野市の大学病院のバス停に84歳の男が運転する乗用車が突っ込み1人が死亡、2人がけがをしたほか、その2日後、東京・立川市で病院の敷地内を歩いていた男女2人が83歳の女性が運転する車にはねられて死亡した。
警察によると、下野市の事故は、男がアクセルとブレーキを踏み間違えて急発進した疑いがあるという。


事故原因 運転操作の誤りが最多

警察庁が、75歳以上の高齢者ドライバーによる死亡事故について初めて詳細に分析したところ、おととし1年間に起きた75歳以上のドライバーによる死亡事故は458件で、死亡したのは474人。
運転免許証の保有者10万人当たりの死亡事故の件数は9.6件と、75歳未満の2.4倍に上った。

事故の原因別では、ハンドル操作を誤ったり、ブレーキとアクセルを踏み間違えたりといった運転操作の誤りが29%と最も多く、75歳未満のおよそ2倍に上ったほか、交差点で安全確認を怠ったといった安全不確認が23%、居眠りなどによる前方不注意が19%などとなっている。

また、ドライバー本人が死亡した割合は64%と、75歳未満のおよそ2倍となったほか、電柱や建物に衝突したり、用水路に転落したりした単独事故の割合が39%と、75歳未満の2倍近くに上った。また、75歳以上のドライバーによる死亡事故の8割以上は日中の時間帯だった。

16日の有識者会議は、相次ぐ高齢者ドライバーによる死亡事故を受け、安倍総理大臣が去年11月の関係閣僚会議で事故防止に向けた対策をより積極的に講じるよう指示したことを受けて初めて開かれたもので、警察庁は今回の分析結果について、会議で出された意見を基に政府への提言や今後の対策に生かしたいとしている。


運転免許証の自主返納は増加傾向

警察庁によると、75歳以上の運転免許証の保有者は増加を続け、去年11月の時点で、これまでで最も多い511万3330人だという。
高齢者ドライバーによる死亡事故が後を絶たないことを受けて、警察庁は平成10年、高齢や健康上の理由により、自主的に免許の取り消しを申請する運転免許証の自主返納の制度を始めた。

警察庁によると、免許証を自主返納した75際以上の高齢者ドライバーは平成24年が75歳以上の免許保有者全体の1.74%に当たる6万5147人、平成25年が2.16%に当たる8万7014人、平成26年が2.27%に当たる9万6581人で、おととしが2.77%に当たる12万3913人と、返納者数も免許保有者に占める割合も過去最多となった。

一方で、高齢者が買い物や病院に向かうための交通機関が少なく、車の運転が欠かせない地域も多いことから、車に代わる移動手段の確保などが課題になる。
警察庁は「運転免許証の返納はあくまで自主的なもので数を競うものではない。今後も返納したい人がしやすい環境を整えていくことが課題だと考えている」と話している。

■2017.1.17  損保ジャパンが社会福祉法人の役員向け賠償保険の販売開始
損害保険ジャパン日本興亜が、保育園や福祉施設などの運営主体となる社会福祉法人の役員を対象とした「賠償責任保険」の販売を始めたことが15日、分かった。4月に施行される改正社会福祉法で、法人役員に対する損害賠償責任が明記されることに対応したもので、保険業界では初めて。初年度に2千件の契約を目指す。

賠償責任保険は、民間企業などの役員が、自身の業務に関連して訴えられた際、弁護士費用や賠償金などをカバーする保険。

現行の社会福祉法では、社会福祉法人の役員に対する損害賠償請求規定は明記されていない。だが改正社会福祉法では、事業運営の透明性確保や組織のガバナンス強化などを目的に、法人役員に対する損害賠償責任が定められた。

改正法の施行により、商品を納入する外部業者の契約打ち切りをめぐるトラブルで、社会福祉法人の担当役員個人が訴えられるケースなどが想定される。訴訟費用などに充てる支払限度額は、保険料に応じて3千万〜3億円の4段階を設ける。事業収入が5億円程度の社会福祉法人が支払限度額1億円の契約をした場合、保険料は年約8万3千円になるという。

損害保険ジャパン日本興亜は、改正法施行に先立ち保険商品を発売することで社会福祉法人の需要を取り込めると判断した。改正法施行に伴う訴訟の増加を恐れ、社会福祉法人の役員の引き受け手が減ることを防ぐ効果も期待できるという。

■2017.1.19  障害者と作る熱々ラーメン  社会福祉法人ライフサポート協会 大阪
「オーダー通します。塩ラーメン1丁、醤油しょうゆあぶり丼1丁、お願いします!」
厨房ちゅうぼうにハキハキとした声が響くと、手際よく調理が進み、湯気の立ち上るおいしそうなラーメンが客の前に差し出される。

住吉総合福祉センター(大阪市住吉区)内の一角で店を構える「天日塩らーめん べらしお福祉 住吉東店」では、知的障害や発達障害のある通所者が就労支援の一環でスタッフとして働く。
チェーン展開するラーメン店「べらしおフード」(堺市)の協力を得て、同センターが2012年4月にオープンさせた。系列の店で研修を受け、ラーメン店運営のノウハウを学んだ社会福祉法人の職員がサポート役となり、障害者と一緒に切り盛りする。

スープ作りなど通常の店舗では1人で担う工程も細かく分け、障害の特性に合わせて仕事を割り振る。それにより系列店と同じ味が再現できるのだ。
障害者の支援員として厨房に入る田畑信彦さん(27)(ライフサポート協会所属)は「スタッフのその日の調子を見て、作業の割り振りを考える。でも皆、仕事は丁寧ですよ。包丁を扱うのがすごく上手なスタッフもいる」と胸を張る。

通所や準備、片づけの時間も考慮し、営業時間は午前11時半から午後1時半までと限られているが、それでも毎日40人ほどの客が訪れる。「ラーメン、すごくおいしかったです」と満面の笑みでスタッフをねぎらう客もいて、店内には食欲をそそるスープの香りとともに、ほっこりとした雰囲気も漂っている。

営業が終了するとスタッフの一人、廣田涼子さん(24)は「きょうはカウンターでの接客もうまくできた」と充実の表情を浮かべた。
同センターの原田徹館長は「おいしいラーメン店として評判になり、今までセンターに来たことがない人も足を運ぶきっかけになれば」と期待を込める。
基本的に平日に営業。

コチラで詳しく 福祉は牛の涎
http://social00welfare00dt.blog.fc2.com/blog-entry-3221.html

■2017.1.19  <西部ガス>福祉事業者「絆結」を子会社化
西部ガスは19日、福岡県春日市で障害者の就労支援事業所を運営する「絆結(ばんゆう)」の全株式を今月5日付で取得し、完全子会社化したと発表した。取得額は非公表。法律で事業者は一定割合以上の障害者雇用が義務付けられており、西部ガスは子会社化で障害者の雇用率上昇と共に雇用促進も図る。

西部ガスは現在46人の障害者を雇用しており、子会社化によりグループ全体で52人まで増加する。全従業員に占める雇用率も約2・4%から約2・8%に上昇する。絆結は社名を「西部ガス絆結」に変更し、西部ガスから書類作成などの業務を受託する。

絆結は元西部ガス社員の船越哲朗さん(49)が2014年3月に設立。従業員とは別に、16人の障害者が就職のための職業訓練を受けており、西部ガスは今後訓練を終えた障害者の雇用も、グループ全体で検討していく。船越さんは「西部ガスの子会社になることで、入所者の就職への道が広がる」と喜ぶ。

障害者を直接雇わず子会社で雇うことに、西部ガスの高山健司・人事労政部長は「(絆結の方が)障害者に配慮された職場環境が提供でき、職場の定着率も高まる」と説明した。

■2017.1.20  高齢者と障害者や子どもとの共生型サービス  厚労省社会保障審議会 介護保険部会
地域共生社会の実現

現状と課題

(1)公的な福祉サービスの「丸ごと」への転換について
○ 高齢者、障害者等の対象者ごとに充実させてきた福祉サービスについては、サービス事業所は、各制度に基づいて、都道府県又は市町村の指定等を受けて事業を実施しているが、利用者の利便の観点や、サービスの提供に当たる人材の確保などで課題があることから、同一の事業所で一体的にサービス提供しやすくなるようにすることが必要である。
介護保険サービスと障害福祉サービスとでは、各制度に固有のサービスもあるが、デイサービス、ホームヘルプサービス、ショートステイ等相互に相当するサービスもあり、例えば「丸ごと」の実践例の「富山型デイサービス」では、1つの事業所で介護保険サービスとしてのデイサービスと障害福祉サービスとしてのデイサービスを同時に提供している。

○ このようなケースでは、障害福祉サービス事業所としての指定を受けていない事業所のサービスであっても、介護保険サービス事業所としての指定を受けていれば、市町村の判断により、障害福祉サービスとして給付を行うことができる、障害福祉制度における「基準該当サービス」という仕組みを活用してサービス提供している。

○ 一方で、介護保険制度においては同様の仕組みが存在せず、障害福祉サービス事業所としての指定を受けているというだけでは保険給付の対象とすることができないため、必ずしも全ての障害福祉サービス事業所において介護保険サービスを同時に提供できる仕組みとはなっていない。

○ また、「基準該当サービス」は、市町村の判断に委ねられているため、地域によってその取扱いに差があるとの指摘がある。

○ さらに、介護保険優先原則(※)の下では、障害者が高齢になり介護保険の被保険者となった場合、その障害者がそれまで利用してきた障害福祉サービス事業所が、介護保険サービス事業所としての指定を併せて受けていなければ、その障害者は、それまでとは別の介護保険サービス事業所を利用しなければならない場合がある。
(※)障害者が高齢になり介護保険の被保険者となった場合、障害福祉サ―ビスに相当するサービスが介護保険サービスにあれば、介護保険サービスの利用が優先される。

○ この点については、社会保障審議会障害者部会報告書「障害者総合支援法施行3年後の見直しについて」(平成27年12月14日)においても指摘されており、障害福祉サービス事業所が介護保険サービス事業所になりやすくする等の見直しを行うべきであるとされている。

○ また、これまで障害福祉サービスを利用してきた障害者が介護保険サービスを利用する場合や、障害福祉サービスと介護保険サービスを併給する場合等において、相談支援専門員と介護支援専門員が利用者の状態やサービスの利用状況等について情報共有を図るなど、緊密な連携を行うことが必要である。

○ こうした観点を踏まえ、同報告書において、「相談支援専門員と介護支援専門員の連携を推進するため、両者の連携が相談支援事業及び居宅介護支援事業が行うべき業務に含まれる旨を明確にする」べきであるとされている。


(2)地域共生社会における地域力強化(住民主体による地域課題の解決力強化・体制づくり、市町村による包括的な相談支援体制の整備等)

○ 介護保険制度においては、被保険者の保健医療の向上及び福祉の増進を図るため、地域包括支援センターにおいて、総合相談支援業務として各種相談・支援を行っている。
また、高齢者の社会参加の推進及び生活支援体制の充実・強化を図るため、生活支援コーディネーターの配置等により、関係者間のネットワーク構築や、サービスの担い手や地域に不足するサービスの開発等に取り組んでいる。
※ 地域包括支援センターや生活支援コーディネーター等の活動にかかる経費については、地域支援事業において、1号保険料22%、国39%、都道府県・市町村それぞれ19.5%の財源構成により運営されている。

○ また、介護保険法においては、地域包括支援センターの設置者に対し、民生委員等の地域の関係者との連携に努めなければならない旨を規定しており、介護予防・日常生活支援総合事業に係る指針(告示)においても、共生社会の推進の基本的な考え方に関する規定を設けている。

○ 地域共生社会の実現に向けては、地域包括支援センター等が対象を高齢者から障害者や子どもへ拡大した対応が求められるが、こうした取組の実現に向けては、地域包括支援センターの業務の状況や、人員体制等について留意が必要であるとの意見がある。

○ なお、厚生労働省社会・援護局において、平成28年度より、多機関の協働により世帯全体の複合化・複雑化した課題に対応することができる総合的な相談支援体制を構築する取組を、モデル事業として実施しており、さらに、平成29年度概算要求においては、小中学校区等の住民の身近な圏域で、住民が主体的に地域課題を把握し、解決を試みることができる体制を構築するモデル事業も盛
り込んでいる。


論点

○ 高齢者、障害者等にとっての利便性の確保及び限られた人材の有効活用の観点から、同一の事業所で一体的に介護保険サービス及び障害福祉サービスを提供することを可能とするため、サービスの質の確保に留意しつつ、介護保険サービスの一類型として新たに共生型サービスを位置付け、障害福祉サービス事業所が介護保険事業所の指定を受けやすくするための見直しを行うべきではないか。
その際、具体的な指定基準等の在り方については、介護報酬改定にあわせて検討することとしてはどうか。併せて、事業所の指定手続について、可能な限り簡素化を図るべきではないか。

○ また、これまで障害福祉サービスを利用してきた障害者が介護保険サービスを利用する場合や、障害福祉サービスと介護保険サービスを併給する場合等において、相談支援専門員と介護支援専門員が、支援に必要な情報を共有できるよう両者の連携を進めていくべきではないか。
その際、具体的な居宅介護支援事業所の運営基準の在り方については、介護報酬改定にあわせて検討することとしてはどうか。

○ 地域包括支援センターにおける相談支援や、生活支援コーディネーター等の取組等について、地域共生社会の実現を目指す観点から、その理念を明確化してはどうか。

○ また、「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部における議論や、厚生労働省社会・援護局において平成28年度より実施しているモデル事業を踏まえ、地域共生社会の実現に向け、どのような対応が可能か、財源を含め、引き続き検討を行うこととしてはどうか。

http://social-welfare.rgr.jp/storage/kaigohokenbukai-nhlw_01x.pdf

■2017.1.20  福祉施設向けパッケージ型自動消火設備 消防法の改正により義務化された小規模福祉施設への設置に対応 モリタ宮田工業株式会社
モリタ宮田工業は、小規模福祉施設でスプリンクラー設備の代替品として設置できるパッケージ型自動消火設備II型「スプリネックス ミニ」に準不燃未満の壁材対応モデル「CPW13094」を追加し、1月20日より発売する。

建物火災での犠牲者の6割以上は逃げ遅れによるもので、その半数以上が高齢者だ。社会福祉施設で死傷者を伴う火災が多発したことを受けて消防法が改正され、2015年4月より、施設の規模に関わらず、介助がなければ避難ができない高齢者・障害者が多く入居する施設のスプリンクラー設備の設置が義務化された。既存の建物で2018年3月末までに設置する必要がある。

スプリネックス ミニは、これまで28年間福祉施設や病院等で2718件の導入実績を持つスプリネックスを、コンパクトに設計した自動消火設備。大がかりな配管工事が不要なため、設置施設に負担が少なくまた、優れた感知性能と高い消火性能を持つ。

同社は2016年4月より3機種の販売を開始してきたが、今回、新たに木質材料など準不燃未満の壁材に対応した「CPW13094」をラインアップに追加。様々な建築条件や設置パターンに合わせて、4機種から選択することが可能となった。

また同時に、本体を屋外へ設置し複数の部屋をカバーできる「スプリネックス ミドル」をラインアップに追加。施設の規模と建築条件に合わせてより柔軟に対応が可能となる。




従来の特定施設水道連結型スプリンクラーの問題点を解消!

スプリネックス ミニは火災を早期に感知し、瞬時に自動で消火を行うことで、初期火災に大きな威力を発揮します。スプリネックス ミニは従来の特定施設水道連結型スプリンクラーと比べ、設置施設に負担の少ない自動消火設備です。

http://www.moritamiyata.com/products/equ01/subequ01/eq-02.html

https://www.youtube.com/watch?v=vvM5xWFC6nA

■2017.1.21  乳幼児・就学時健診で発見を=発達障害者支援で勧告―総務省
総務省は20日、発達障害を早期発見する機会となる乳幼児健診や就学時健診で障害が見逃されている可能性があるとして、関係する厚生労働、文部科学両省に改善を勧告した。

厚労省の研究では、発達障害の疑いがある乳幼児は全体の1.6%。ところが総務省が全国の自治体をサンプル調査したところ、1歳6カ月児健診で障害の疑いがあると判明した割合が0.2%にとどまる自治体があるなど、障害を見逃していると思われるケースがあった。原因として、担当保健師の経験不足などが考えられるという。

就学時健診でも、調べた31市町村教育委員会のうち11教委で障害が疑われる児童を見つける取り組みを実施していないことが判明した。 

■2017.1.22  NPO法人スローレーベル NPO法人とくしま障害者授産支援協議会 NPO法人作業所こまどり 今治市内の障害者作業所
全国の福祉施設や企業とアーティストを結び、特色ある商品を生み出しているNPO法人スローレーベル(横浜市)のディレクター栗栖良依さん(39)がこのほど、今治市内の障害者作業所などを視察し、丁寧なものづくりの現場に触れた。

スローレーベルは、市民参加型のものづくりプログラムや障害者施設との協働による商品販売などを実施。四国では、NPO法人とくしま障害者授産支援協議会と、障害者施設で藍染めした糸や布で作った一点ものの雑貨シリーズを展開している。

栗栖さんは講演のため同市を訪れ、市内の2作業所を訪問。NPO法人作業所こまどり(菊間町長坂)では、主任指導員の菅まりさん(69)から、飼育する羊の毛や栽培する綿で作った洋服、マフラーなどを紹介され「うまく売るのが悩み。まだまだ研究の余地がある」と説明を受けた。


NPO法人とくしま障害者授産支援協議会
http://arunjo.com/

■2017.1.22  老人福祉・介護事業、2016年倒産件数が過去最多 新設法人数も減少傾向で淘汰の動き
東京商工リサーチは1月11日、有料老人ホーム、通所・短期入所介護事業、訪問介護事業などを含む「老人福祉・介護事業」の倒産状況を発表した。2016年(1月〜12月)に発生した「老人福祉・介護事業」倒産は、調査を開始した2000年以降で最も多かった2015年の76件を大幅に上回り、同年の約1.4倍となる108件に急増した。負債総額も前年比47.2%増の94億600万円で、前年を大きく上回った。

倒産件数を業種別にみると、最も多かったのは「訪問介護事業」の48件(前年比65.5%増)で、深刻な人手不足からサービス提供が困難になり、経営に行き詰まったケースも見られた。以下、施設系のデイサービスを含む「通所・短期入所介護事業」の38件(同31.0%増)、「有料老人ホーム」の11件(同120.0%増)と続いた。

倒産の原因をみると、「販売不振」が69件(前年比97.1%増)で最も多く、「事業上の失敗」の18件、「運転資金の欠乏」の6件が続いた。「販売不振」が全体の6割強を占めるなど、競争の激化が倒産の主な原因になっているが、「本業不振のため異業種からの参入失敗」(6件)や「過小資本でのFC加盟」(4件)など、事前準備や事業計画が甘い小規模業者の倒産も多いと同社は指摘している。

一方、東京商工リサーチが10月28日に発表した「老人福祉・介護事業者」の新設法人調査の結果によると、同事業の新設法人数は減少傾向にあるようだ。2015年(1月〜12月)に新設された法人数をみると、全業種は前年比4.5%増で6年連続で増加する中、「老人福祉・介護事業者」は同14.0%の3,116社にとどまり、2年連続で減少した。2016年1月から6月までの半年間でも、「老人福祉・介護事業者」は同12.3%減の1,483社にとどまっており、通年では3年連続で減少するとみられている。

高齢者の増加で、老人福祉・介護事業への需要は高まっている。しかし、競争の激化や人手不足など、事業環境は厳しさを増しており、経営基盤の弱い事業者の淘汰が進んでいきそうだ。

■2017.1.22  NPO法人スローレーベル NPO法人とくしま障害者授産支援協議会 NPO法人作業所こまどり 今治市内の障害者作業所
全国の福祉施設や企業とアーティストを結び、特色ある商品を生み出しているNPO法人スローレーベル(横浜市)のディレクター栗栖良依さん(39)がこのほど、今治市内の障害者作業所などを視察し、丁寧なものづくりの現場に触れた。

スローレーベルは、市民参加型のものづくりプログラムや障害者施設との協働による商品販売などを実施。四国では、NPO法人とくしま障害者授産支援協議会と、障害者施設で藍染めした糸や布で作った一点ものの雑貨シリーズを展開している。

栗栖さんは講演のため同市を訪れ、市内の2作業所を訪問。NPO法人作業所こまどり(菊間町長坂)では、主任指導員の菅まりさん(69)から、飼育する羊の毛や栽培する綿で作った洋服、マフラーなどを紹介され「うまく売るのが悩み。まだまだ研究の余地がある」と説明を受けた。


NPO法人とくしま障害者授産支援協議会
http://arunjo.com/

■2017.1.23  障がい者の雇用受け皿「わーくはぴねす農園 船橋ファーム」開所 /千葉市
船橋市内の県道8号線(通称=船取線)から北東に抜ける道沿いに完成した障がい者の就農施設「わーくはぴねす農園 船橋ファーム」(船橋市高根町)の開所式が1月11日、松戸徹市長をはじめ約200人が出席して行われた。

同園を運営するのは、障がい者雇用のコンサルティングや就労支援事業を行う「エスプールプラス」(本社=東京都千代田区)。2010年、千葉県市原市に6700坪の農園を開所して以来、船橋ファームは県内6カ所目、同社運営の農園としては7カ所目となる。

船橋ファームは、地主である仲村学さんの協力の下、2800坪の敷地に大型ビニールハウスが立ち並ぶ。「トラクターなどの機械も事故につながる可能性があるので一切使わない。就労者の中には土ぼこりなどに対して神経質な方も多い」と同社の和田一紀社長。そのため培養土の代わりに、発泡スチロールに「パミスサンド」と呼ばれる軽石を細かく砕いた物を土の代わりに敷き詰めた養液栽培装置を使う。

敷地内には、事務所や更衣室、休憩室として使用するコンテナハウス6基、共同スペースとして大型冷蔵庫や収穫した農産物の洗浄スペースも用意する。そのほか、JR西船橋駅〜JR船橋駅〜同園を巡る送迎バス2台も配備。

同社のビジネスモデルは、今後そのパーセンテージが上がることがほぼ確実とされている法定雇用率にのっとって障がい者を雇用したい企業に対し、農園の敷地を区画貸しする。区画は、障がい者1人の雇用に対して2区画を貸し出すルール。

雇用に関しては、特別支援学校やハローワーク、事業所、市の福祉課などと連携を取りながら同社が企業に代わって求職者を集める。就労者は大手企業に雇用される形となり、「約10万円の給料を受け取りながら障がい年金も受給できるので、月十数万円の収入が得られる。所得税も納め、しっかり社会に貢献している」とも。

就労希望者は、まず「チャレンジファーム」と呼ばれる実習場所で農業体験をしながら適性チェックを受け、その後実際の訓練で仕事を覚えてから企業に橋渡しされる。

■2017.1.23  手携え特産品づくり 坂下の若手農業者有志と障害者 未来工房ここぱる
福島県会津坂下町の若手認定農業者有志でつくる「未来工房ここぱる」は障害者と手を携えて農作物の生産拡大を目指す取り組みを始めた。第1弾としてジャンボニンニクの栽培を共同で開始し、将来的に町の新たな特産品とする構想を描く。農作業現場の人手不足を解消するとともに障害者の雇用機会をつくり、両者の所得向上につなげる。

一面が銀世界となった町内牛川の田園地帯の一角。50センチ以上積もった雪を掘り起こすと、ニンニクの青々とした芽がひょっこりと顔を出す。未来工房ここぱる代表の新国竜太郎さん(39)は「障害者の皆さんが植えてくれた種がしっかりと育っている。雪解け後に作業を再開したい」と笑顔を見せる。

未来工房は新国さんら30代の町認定農業者会青年部員4人で平成27年に結成した。部員の1人が栽培していたジャンボニンニクが25年の首都圏での販売促進活動で飛ぶように売れたのがきっかけだった。

4人で27年度に18アールの畑で生産し、約60万円を売り上げた。しかし、それぞれに水稲や果樹など主力作物を抱えており、とても手が足りなかった。これでは活動を広げられない。働き手を探していたところ、町から農作業に障害者が関わる「農福連携」の提案を受けた。

町内の障害者作業所のゆうゆうハウスと自立サポートセンター桜に話を持ちかけると快く応じてくれた。作業所にとっても、農作業は室内作業よりも高い賃金を得られる好条件の仕事だった。

未来工房は昨年10月に初仕事としてジャンボニンニクなど2種類のニンニクの種を植える作業を依頼した。畑は前年の2倍に当たる35アールに広げた。新国さんは手際よく確実に作業をこなす障害者の姿に、今後も継続的に任せられると思った。「障害者と仕事をしたのは初めてだったが作業の早さに驚いた。ぜひ他の作業もお願いしたい」と雇用拡大に意欲的だ。

ニンニク畑では4月に除草作業、6月には約1万個の収穫を依頼する予定だ。収穫したニンニクを熟成させる「黒ニンニク」への加工を考えており、加工作業や袋詰めなど委託の幅を増やしていく。新たに落花生の栽培にも取り組む計画だ。

町障がい者地域自立支援協議会就労・地域生活支援部会の小椋厚子部会長(52)は「障害者が農作業に携わることで気持ちが明るくなっている。仕事のやりがいを感じるとともに、地域の人と交流する機会にもなる」と歓迎している。

■2017.1.23  自由造形、一心焼の力作並ぶ 施設の子供ら倉吉で作品展
鳥取市出身で“障害福祉の父”と呼ばれる糸賀一雄(1914〜68年)にゆかりがある2つの知的障害者施設「近江学園」(滋賀県湖南市)と「皆成学園」(鳥取県倉吉市)の造形作品を紹介する展覧会「For the COLORFUL WORLD」が22日、くらよしアートミュージアム無心(同市)で始まった。

生涯を知的障害児の福祉と教育にささげた糸賀は、戦後の昭和21年、戦災孤児や知的障害児らの保護施設、近江学園を設立。24年には、当時の鳥取県知事に働きかけ、皆生学園(同県米子市、皆成学園の前身)が誕生した。両学園では窯業など職業教育がなされ、そこから多くのユニークな作品が生まれた。

同展は、近江学園の土の造形や、皆成学園の陶芸「一心焼」など計65点を展示している。
近江学園の作品は、子供らが「自由造形」として思いのままに形作ったもの。牛を筒の周りに無数に張り付けたり、タツノオトシゴなど生物の造形を円錐(えんすい)状に構成したりと、迫力ある作り込みの中に作る楽しさが伝わってくる。

一心焼はいったん途絶えていたが、昨年から活動が再開。地元の土に心を込めた作品が並んでいる。同展は3月5日までで、3月8〜16日には米子市の米子コンベンションセンターに巡回。いずれも入場無料。

■2017.1.23  滋賀・守山のPRキャラクター「もーりー」の木工品手作り
滋賀県守山市立田町の障害者通所施設「ワークショップぷくぷく」に通う障害者が、同市のPRキャラクター「もーりー」をデザインした手作りの木工品の販売を1月末から始める。一つ一つ丁寧に商品づくりに励んでいる。

同施設はNPO法人「ぷくぷく」が2001年に開設し、18〜61歳の20人がストラップやパズルなどの木工品を製作している。より目立つ商品を開発しようと昨年12月から、もーりーをあしらったキーホルダーやペーパーホルダー、メモクリップを作っている。

計100個を販売する予定で、このうちキーホルダーは約3センチの大きさで40個を用意する。通所者らは間伐材を電動糸のこぎりで切り出し、目や手の位置に注意して色づけしている。包装担当の西岡砂綾(さや)さん(35)は「ご当地キャラが好きなので、他の作業より楽しい。多くの人に買ってほしい」と話す。

JAおうみ冨士の直売所「おうみんち」(同市洲本町)や市駅前総合案内所(同市梅田町)などで販売する。キーホルダー350円など。問い合わせは同法人TEL077(585)7620。

■2017.1.25  高齢者と障害者を分け隔てなく支える  2018年度に創設する「共生型サービス」
現行の障害福祉制度では、介護保険サービスを提供する事業所として指定を受けているところであれば、市町村が給付を認める判断を下せる。一方、介護保険制度にはそうした措置がない。障害福祉サービスの事業所として指定を受けているだけでは、介護保険サービスは行えない決まりだ。このため、65歳を迎えて介護保険を優先して利用することになった障がい者が、馴染みの事業所を離れて他に移らなければならないケースがある。

厚労省は「共生型サービス」を設け、制度の利便性の向上につなげる考え。詳細はこれから詰めるが、「障害福祉サービスの事業所が、介護保険サービスの事業所としての指定を受けやすくなるようにする」と説明している。このほか次期改定に向けて、相談支援専門員とケアマネジャーとの連携をさらに促進する観点から、居宅介護支援事業所の基準の見直しを検討していく意向も示した。

■2017.1.25  高齢者と障害者を分け隔てなく支える  2018年度に創設する「共生型サービス」
2016年10月1日
<厚労省、次期改定で「共生型サービス」創設へ 障害福祉の通所で介護給付を可能に>

厚生労働省は9月30日までに、障害福祉サービスの事業所でも介護保険の給付が受けられるようにする方針を固めた。2018年度の介護報酬改定で、通所の新たな類型として「共生型サービス」を創設して対応する計画。具体的な要件・基準は来年末にかけて議論していく。社会保障審議会・介護保険部会で提案し、委員から大筋で了承を得た。

高齢者や障害者、子どもといった既存の制度の垣根を越えて、困難を抱える人を一体的に支える「地域共生社会」に向けた施策の一環。マンパワー不足のさらなる深刻化が懸念されるなか、限られた人材を効率的に活用したいという思惑もある。

関係者などから要望も出ていた。現行の障害福祉制度では、介護保険サービスを提供する事業所として指定を受けているところであれば、市町村が給付を認める判断を下せる。一方、介護保険制度にはそうした措置がない。障害福祉サービスの事業所として指定を受けているだけでは、介護保険サービスは行えない決まりだ。このため、65歳を迎えて介護保険を優先して利用することになった障害者が、馴染みの事業所を離れて他に移らなければならないケースがある。

厚労省は「共生型サービス」を設け、制度の利便性の向上につなげる考え。詳細はこれから詰めるが、「障害福祉サービスの事業所が、介護保険サービスの事業所としての指定を受けやすくなるようにする」と説明している。このほか次期改定に向けて、相談支援専門員とケアマネジャーとの連携をさらに促進する観点から、居宅介護支援事業所の基準の見直しを検討していく意向も示した。



2017年1月23日

高齢者と障害者の「共生型サービス」、訪問・通所・ショートステイが対象 厚労省方針
高齢者と障害者を分け隔てなく支える仕組みとして2018年度に創設する「共生型サービス」について、厚生労働省は訪問、通所、ショートステイを対象にする方針だ。介護保険サービスと障害福祉サービスのどちらかで指定を受けている事業所なら、もう片方を提供する許可が得やすくなるルールを作って普及を図る。19日に開催した自治体向けの政策説明会で、こうした考えを明らかにした。

介護や障害、子育て、生活困窮といった既存の分野の垣根を越えて、本人も含めたあらゆる関係者が横断的に福祉を担う「地域共生社会」に向けた施策の一環。この分野を担当する坂口卓審議官は壇上で、「様々な問題が複層的に関わっているケースに対応できるようにする。『地域力』の強化につなげていく」と意欲をみせた。マンパワー不足のさらなる深刻化が懸念されるなか、限られた人材を効率的に活用したいという思惑もある。


「指定が受けやすくなる特例を」
新たな「共生型サービス」は、高齢者と障害者の生活の支援をひとつの拠点で展開していくものだ。厚労省が社会保障審議会・介護保険部会で提案し、昨年末にまとめた意見書に盛り込んでいた。詳細な運営基準や報酬は、次の介護報酬改定に向けたプロセスで議論していくという。

もっとも、現在も「共生型サービス」を実践できないわけではない。介護保険サービスを提供する事業所として指定されているところには、市町村が独自の判断で障害福祉サービスの給付を行うことが可能だ。ただし、その逆は認められていない。障害福祉サービスの指定を受けているだけでは、高齢者に介護保険サービスを提供することはできないとされている。

厚労省は今後、介護保険制度と障害福祉制度の両面から規制を見直し、より柔軟な運用を可能にする考え。19日の政策説明会では、「障害福祉サービスの事業所が介護保険の指定を受けやすくなる特例を設ける。逆も同じ」とアナウンスした。そのうえで、対象のサービスとして訪問、通所、ショートステイを想定していると明らかにした。

■2017.1.25  悪質有料老人ホームは業務停止に 厚労省、監督強化へ
指導に従わない悪質な有料老人ホームに対して都道府県が業務停止命令を出せるように、厚生労働省は今国会に介護保険法などの改正案を提出する。現在は業務改善命令しか出せないが、2018年度からは、より厳しい対応ができるようにする。

業務停止命令を出すのは、入居者に対する虐待などを行い、都道府県が再三指導しても改善させないケースを想定。都道府県に届け出をしていない「無届けホーム」も対象に含める。
有料老人ホームは全国で急増しており、15年度時点の定員は約42万人。良好な環境整備を進めることが急務だが、義務に違反した無届けホームも同年度時点で1650施設もある。

改正案では、業務停止命令が出た場合やホームが倒産した場合、都道府県が入居者に対して転居先のあっせんをすることなども求める。



その他のニュース記事

厚生労働省は16日までに、再三の指導に従わないなど悪質な有料老人ホームへの指導監督を強化するため、現行よりも厳しい「事業停止命令」措置を来年4月から新たに導入することを決めた。

自治体に届け出をしない無届けホームも対象に含める。通常国会に提出する介護保険法などの改正案に盛り込む。
有料老人ホームは全国で増えており、定員は2015年度時点で約42万人。現行制度では、自治体が業務改善命令を出すことはできるが、事業停止を命じる規定はない。

改正案では、運営事業者に対し、利用料やサービス内容の自治体への報告も義務付け、これらの情報を公開することも定める。
このほか、事業者が倒産した場合に、入居者が支払った前払い金がきちんと返還されるよう、全ホームに保全義務を課す。現行では、06年3月以前設立の場合は義務化の対象になっていないため。倒産時には他の施設への転居を都道府県などが援助することも盛り込む。

■2017.1.25  障害者が洗車事業に参入 株式会社FUSION
障害者らが職業訓練に取り組んでいる佐世保市の就労継続支援A型事業所が、市内の大型商業施設の駐車場で買い物客を対象にした洗車事業を今月から始めた。福祉として洗車事業に取り組むのは全国的にも珍しいという。安価で質の高いサービス提供を目指す一方、障害者の賃金向上や雇用促進にもつなげる狙い。

今月10日、同市大塔町にあるイオン大塔ショッピングセンターの駐車場。この日から始まった洗車事業に取り組むため、事業所の利用者やスタッフが集まっていた。洗車に携わるのは7人。これまで約2カ月間、洗い方の訓練を受けてきた。

事業は「まごころ洗車隊」と名付けた。軽乗用車なら10分で500円という短時間、低料金が特長。また買い物中に駐車場で洗車を済ませておくので待ち時間がなく、特殊な溶剤を使っているため水をあまり使わずに手洗いで仕上げることも売りにしている。
初日は10台を洗った。"洗車隊員"の一人、岡村雅美さん(39)は「普段は屋内での作業が中心。お客さまの大切な車を洗うので緊張したけれど、やりがいを感じている」と語った。


障害者が職業訓練する就労継続支援事業所には、A型とB型がある。両者の大きな違いは、A型は障害者が法定の最低賃金以上を受け取って訓練する点だ。県障害福祉課によると、昨年12月1日現在、県内にB型は209カ所ある一方、A型はその3分の1以下の63カ所にとどまる。事業による収益で利用者の十分な賃金を確保することの難しさが、背景にはあるとみられる。

事業所を運営するフュージョンの中村耕司社長は、障害者の賃金確保を目的に、より収益を上げられる取り組みを模索していた。洗車事業に参入した理由を、初期投資が抑えられ、天候などを除けば継続的に仕事を得られる可能性がある点を上げる。今後は活動範囲を広げていき、各家庭に出向く「出張洗車」も展開する計画だ。

中村社長は「障害者を納税者に」の理念を掲げている。その上で「まだ始まったばかりで、成果を出すには時間がかかる。ただ、お金を稼ぐという意識を身に付けることで、一人でも多くの障害者の自己実現を手助けしたい」と語った。


「まごころ洗車隊」は、イオン大塔ショッピングセンター駐車場で午前10時から午後3時まで活動。日曜祝日と雨天時は休業。予約、問い合わせは(電0956・59・8859)。

■2017.1.25  「静岡県持ち歩くキーホルダー」 障害福祉事業所が発売へ
静岡市駿河区光陽町の障害福祉サービス事業所「ラポール川原」は静岡県の地形をかたどった「静岡県を持ち歩くキーホルダー」を製作し、近く発売する。伊豆半島の部分がフックの役割を果たすなどユニークな使い方もできるのが特徴。新製品のキーホルダーをきっかけに、今までは施設のみでの販売が多かった授産製品の販路を一般市場に拡大することを目指している。

材料に県内産ヒノキを使い、静岡の名物を表現した▽富士山ブルー▽お茶グリーン▽みかんオレンジ▽さくらえびピンク−−の4色を用意する。大きさは横約6センチ、縦約4センチで重さは約8グラム。

同事業所は、通常の障害福祉事業所で働くのが難しい知的障害者の訓練や支援を行う「就労継続支援B型事業所」で、障害者21人が働く。これまでも、動物の形をした木製のマグネットなどを製作していたが、「より身近に感じてもらえて一般の商品にも肩を並べられるものを作ろう」とキーホルダーを開発。昨年9月に完成し、同10月には県授産製品コンクールで「オールしずおかベストコミュニティ理事長賞」を受賞した。

キーホルダーの色づけを担当する勝見遥さん(18)は昨年特別支援学校を卒業したばかりだが、絵を描くことが得意で新商品の作業に抜てきされた。勝見さんは器用に筆を動かし、厚さ約8ミリのキーホルダーのふち部分に色を塗っていく。週2回各2時間の作業で20個ほどを仕上げており、「自分の好きなことを仕事にできてとても楽しい」と笑顔で話す。

同県内のB型事業所で働く障害者の2015年の平均工賃は月額1万4818円。06年の障害者自立支援法施行後に県が目標値として定めた3万円には届いていない。また事業所によって平均月額工賃が約2000〜約4万円と幅があり、格差は大きい。県障害者政策課の植田祥宏・就労支援班長は「授産製品を商品として継続的に購入してもらうことが工賃の値上げにもつながる」と話す。

ラポール川原の平均月額工賃は約1万3500円。松岡純施設長(54)は「複雑で専門的な商品を作ることは難しいが、根気のいる作業が得意な利用者の力を最大限に生かして勝負したい」と意気込む。

キーホルダーは1個500円。同県焼津市浜当目のホテルアンビア松風閣などで販売される予定で、松岡施設長は「静岡の新たなお土産として楽しんでもらいたい」と話している。

■2017.1.25  障害者介護施設の利用者、鈴鹿でアート展 『笑』私たちの世界
鈴鹿市障害者生活介護施設「ベルホーム」(同市江島町)の利用者の作品を紹介するアート展「『笑』私たちの世界」が、同市白子駅前の白子ショッピングタウンサンズで開かれている。利用者の社会参加を図る狙いで2013年に始まり、5回目。29日まで。

約20人の利用者が段ボール箱を活用して共同制作した獅子や、新聞の折り込み広告などを使った破魔矢やたこ、絵画やはり絵など約70点が展示されている。写真で施設の活動も紹介している。

担当者は「みんな創作が好きで、作品を通して市民と交流を進めたい」と話している。

■2017.1.26  津久井やまゆり園 施設建て替え再検討 神奈川知事「あり方を検証したい」
黒岩祐治知事は25日の定例記者会見で、入所者らが殺傷された障害者施設「津久井やまゆり園」の建て替えについて、「改めて関係者とじっくりと話し合う必要がある」と述べ、再検討する方針を示した。

県は昨年9月、同施設の元の場所での建て替え方針を表明。今月6日には、門や塀を撤去して「開かれた園」を目指すなどとした再生基本構想を示した。それに対し、外部の障害者団体から「小規模な地域密着施設を数カ所に分けて建てるべき」などの批判が相次いでいた。

黒岩知事は会見で、「家族会や地元住民から、建て替えの強い要望があったことは確か」と強調。その上で、「(障害者)施設が本来どうあるべきか、一度冷静に考えるところに来ている」と述べ、やまゆり園関係者らに再度、意向を聞く予定であることを明かした。県は、改修によるやまゆり園の再利用は考えておらず、建物の建て壊し自体は計画通り進める。

やまゆり園の建て替えをめぐっては、横浜市の障害者施設団体「横浜知的障害関連施設協議会」が、やまゆり園の入所者を同団体に加盟する事業者が運営するグループホームなどに受け入れる意向を示すなどの動きもある。黒岩知事は「(こうした団体から)正式な申し入れがあった場合は、入所者の意向を丁寧に確認した上で支援していきたい」とした。

一方、方向性を改めて確定させるまでの期日は「スピード感も大事だが、新しい時代の施設のあり方をじっくりと検証していきたい」として、明言を避けた。

■2017.1.26  発達障害の乳幼児と親対象の療育教室が注目「専門的支援行われる施設は重要」…民間企業が奈良に開設
発達に課題のある乳幼児とその親が共に専門的な療育指導を受けられる教室が奈良市に開設され、注目を集めている。重度の知的・身体的障害がある子供に対応する施設は多いが、親子がともに専門的な療育指導を受けられる民間の教室は全国でも珍しいといい、県外から通う親子も。専門家は「専門的な支援が行われる施設は大変重要」と指摘している。

教室は、引っ越し大手、アートコーポレーション(本社・大阪府大東市)の関連会社で保育事業を手がけるアートチャイルドケア(同)が運営する「アートチャイルドケアSEDスクール近鉄学園前」。埼玉県朝霞市に昨夏開設されたのに続いて昨年10月、奈良市の近鉄学園前駅近くのビル内にオープンした。

広さは約170平方メートルで、保育士や作業療法士、社会福祉士、児童発達支援管理責任者らを配置し、保護者同伴での通所利用に対応している。対象は1歳半から就学前で、障害福祉サービス受給者証を取得している乳幼児。発達検査や行動観察の結果を受けて個別の支援計画を作成し、マンツーマンで専門プログラムを提供している。

子供が療育を受ける様子を保護者がマジックミラー越しに見守る「観察室」を備え、療育後は保護者への指導・助言も実施。専門家が監修した独自プログラムは「生活リズム」「感覚・運動リズム」の調整が基礎で、カラフルなゴムボールがいっぱい入ったボールプールやブランコなどの遊具で体幹やリズム感、握力を鍛えたり、紙芝居で言語力を養うなど、さまざまな療育が行われている。

現在、奈良県や京都府からの2〜6歳計9人が通っている。広汎性発達障害や注意欠如多動性障害(ADHD)、自閉症と診断された子供らが週2、3回、個別またはグループでの療育を利用しているという。

軽度の聴覚・言語障害がある奈良市の公立幼稚園の男児(4)は週2回利用。母親(32)は「市から病院での療育を勧められたが、『待ち』が多くて月1、2回しか受けられなかった」と明かし、「ここは希望日を選べて病院と遜色ない療育が受けられ、子供も遊び感覚で楽しんでいる。集団行動が苦手な子だが、徐々に他者と共感することやルールを覚えているように感じる」と話した。

利用料は世帯収入によるが、1回千円〜1200円程度。相談や見学に県外から訪れる親子もあるといい、乾妙子スクール長は「発達障害は目に見えづらく対応が遅れがちだが、早期療育が効果的とされている」と指摘。「一人一人に合ったプログラムを親子で共に学ぶ効果は大きく、悩みを抱える保護者は早期に相談してほしい」と話している。問い合わせは同施設((電)0742・93・3218)。



平成24年の文部科学省の調査では、発達障害で療育が必要とみられる小中学生は約6・5%に上ったが、うち児童福祉施設などの専門機関利用者は1割未満とされる。それでも、25年度に全国の「発達障害支援センター」に寄せられた相談は8年前の約4倍に相当する約6万8千件に上っており、潜在的な要支援者はさらに多いとみられている。

昨年5月には発達障害者支援法が10年ぶりに改正。一人一人の特性に応じて学校で個別計画を作成したり、事業主に雇用確保を求めたりするなど教育・就労の支援が拡充された。

だが、社会的対応はまだ十分とはいえない。アートチャイルドケアの顧問も務める日本赤ちゃん学会理事長の小児科医、小西行郎(ゆくお)・同志社大教授(小児神経学)は、「障害が認知されることは大変重要だが、容易に改善される障害ではないため、無資格者による療育を行う施設の増加には危機感を持っている。専門的な見地から適切で継続的な支援が行われる必要がある」としている。

■2017.1.26  やまゆり園、建て替えに異論噴出 大施設「時代に逆行」
入所者など46人の殺傷事件が起きた相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」について、建て替えを決めた神奈川県に対し、障害者団体や有識者から見直しを求める声が強まっている。「施設から地域へ」という障害者福祉の流れに反するという考え方だ。県は園を建て直して「再生のシンボル」にしたい考えで、合意を探るという。

園は神奈川県立で、「指定管理者」と呼ばれる社会福祉法人が運営してきた。

「大規模収容施設は、時代の逆行以外の何物でもない」。10日に県が開いた公聴会。県内の障害者団体や有識者から意見を聴き、施設の構想に反映する目的だったが、建て替えへの異論が相次いだ。2006年に施行された障害者自立支援法(現・障害者総合支援法)では、障害者が地域社会の中で暮らしていくことを支援すると、国として明確にうたっている。

横浜市に家族が住む入所者も多く、114団体でつくる横浜知的障害関連施設協議会は、希望があればグループホームなどに受け入れる意向を示している。
しかし公聴会の翌日、黒岩祐治知事は記者団に語気を強めて反論した。「国の流れは承知しているが、建て替えが間違っていると言われるのは非常に心外だ」

県は事件から2カ月後の昨年9月に建て替えを決めた。背景には、入所者の家族と、園を運営する社会福祉法人からの要望があった。家族会の大月和真会長(67)は「地域への移行ができないから園で暮らしている。現実を考えたら、1日も早い建て替えを」と望む。

■2017.1.26  <高齢者施設>避難計画作成の努力義務6割が把握せず 青森県が調査
昨年8月の台風10号による豪雨で岩手県岩泉町のグループホーム入所者9人が死亡した事故を受け、青森県が高齢者らの避難対策について調査したところ、避難計画の作成が努力義務とされている施設の約6割が当時、計画作成について把握していなかったことが分かった。また、身体障害者や妊婦など移動に時間のかかる「要配慮者」に避難開始を呼びかける「避難準備情報」の意味について、約半数が知らなかった。県健康福祉政策課の担当者は「意識が甘かったという現状を把握できた。今後は避難計画や訓練をより実効性のあるものにしていきたい」と話している。

調査は県が昨年11〜12月に実施。「避難情報」(避難準備情報、避難勧告、避難指示)が発令された県内21市町村の浸水想定区域や土砂災害警戒区域にある239の要配慮者利用施設にアンケートし、169施設から回答があった。

昨年8月30日、県内では21市町村が避難準備情報と避難勧告を発令した。こうした避難情報について43%が「発令されていない」、9%が「把握していない」と回答し、情報が正確に伝わっていなかった状況が明らかになった。実際に「入所者や利用者を避難させた」施設はなく、「特に対応しなかった」との回答は42%に上った。

施設の立地に関する質問では、25%が「水害や土砂災害の恐れのある地域に立地していない」、18%が「分からない」と回答。災害から約3カ月経過したアンケート時でも浸水想定区域などの施設に避難計画作成の義務があることは37%が「知らない」と答えた。

避難情報の正確な理解が進んでいない現状を受け、国は昨年12月、「避難準備情報」を「避難準備・高齢者等避難開始」に変更し、誤解のない名称にした。県は今月、この名称変更やアンケート調査を踏まえ、避難情報を正確に周知するためのポスターを作成し、県内の社会福祉施設や学校に配布した。

■2017.1.27  介護福祉士の出願者半減 「受験資格に研修義務」が要因
29日に実施する介護福祉士の国家試験の受験申込者数が前年度の半分の約8万人に激減していることがわかった。今年度から受験資格として実務者研修が義務付けられたのが要因とみられる。

介護福祉士は国家資格で、介護職の中核的な役割を担うことが期待されている。社会福祉振興・試験センターによると昨年度は16万919人だったが、今年度は7万9113人。合格率は例年6割前後。

昨年度までは「3年以上の介護職としての実務経験」があればよかった。しかし、厚生労働省は「介護職の資質向上」を打ち出し、実務者研修を導入。たん吸引など医療的なケアも含めた研修の受講が義務付けられた。研修時間は、ヘルパー2級の資格がある人は320時間だが、無資格の場合は450時間。受講料も必要で、勤務先の施設などが出してくれなければ自己負担になる。一方で、資格を取得しても賃金アップは月5000〜1万円程度のケースが多いとされている。

淑徳大学の結城康博教授(社会保障)は「450時間の研修は長すぎる。働きながらお金をかけて実務者研修を受けるのはハードルが高く、その割に国家資格を取得しても、それに見合う賃金体系になっていないのが要因の一つではないか」と話す。介護業界内にも、将来的に人手不足がさらに深刻化しかねないとの懸念がある。

実務者研修は当初、2012年度実施予定だったが、介護の人材不足が深刻化しかねないなどとして2度にわたって延期され、研修時間も600時間から短縮された。

■2017.1.27  障害者に「地域生活を」 やまゆり園建て替え巡り集会 26日横浜市神奈川区の県民センター
大量殺傷事件のあった相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」の建て替え問題などについて話し合う集会が26日、横浜市神奈川区の県民センターで開かれた。同じ場所に大規模施設を再建する県の構想への反対意見があらためて出され、障害者が地域で暮らせる取り組みを進めるよう求める声が相次いだ。

NPO法人県障害者自立生活支援センター理事長の鈴木治郎さん(61)ら当事者や支援者ら30人が呼び掛け人となり、県内外の300人が参加した。呼び掛け人を代表して日本グループホーム学会事務局長の室津滋樹さんが「入所者本人の意向を大切にしながら神奈川の福祉をどう進めていくかを考える集会になれば、亡くなった人の気持ちに応えることになるのではないか」とあいさつした。

講演したのは、入所施設に勤務経験がある浦和大特任教授の河東田(かとうだ)博さんと、県社会福祉審議会委員で国際医療福祉大学大学院教授の大熊由紀子さん。いずれも県の建て替え構想を批判し、地域生活への移行を目指すべきだと訴えた。
河東田さんは入所施設の閉鎖性を指摘し、さまざまな人権侵害の事例を示した上で「隔離された施設に自ら望んで入所した人はほとんどいない。当事者の声を聞いて、地域で生活の質を高める取り組みを進めるべきだ」と指摘。大熊さんは「県職員自身が、事件現場で再建した大規模施設に一生住むことになったらどう思うか。そういう視点に立ったら、いい政策が生まれてくるのでは」と建て替え構想の見直しを求めた。

知的障害者の当事者団体「ピープルファースト横浜」の岩間幸さん(31)は県の再建構想について「当事者の人生は親や職員、行政が決めるものではない。本人の思いが大事。やまゆり園入所者の4割に上るという横浜市出身の人を地元に戻してほしい」と強調した。

横浜を拠点に障害者の当事者運動に長年取り組んできた渋谷治巳さん(60)は優生思想について触れ、「『障害者はいなくなればいい』という考え方は容疑者だけではなく、多くの人が持っている」と警鐘を鳴らした。

集会の締めくくりとして、やまゆり園入所者が望む居住先を丁寧に確認した上で、地域で生き生きと暮らせる取り組みを県に求めるアピールを採択した。
集会後、呼び掛け人らはアピール文を県に提出。鈴木さんらは「あの場所に大規模施設が本当に必要なのか。もう一度、考え直してほしい」と要望した。応対した小島誉寿福祉部長は「10日の公聴会だけでなく、議論を今後深めていきたい。入所者の意向確認も地道に進める」と回答。検討を続ける姿勢を示したものの、3月までにまとめる予定の基本構想の策定延期については明言しなかった。

■2017.1.27  捨てるのもったいない「白菜の根」を商品化 NPOステップアップ
宮城県栗原市瀬峰の総菜・漬物製造「二上」と同市築館の障害者就労支援事業所「NPOステップアップ」、宮城大が、白菜の根を使った商品開発に取り組んでいる。本来は廃棄する部位だが、高い栄養価と独特の風味に着眼、茶や菓子などに混ぜて利用する。全国でも珍しい試みで、関係者は「宮城発、日本初の事業として成功させる」と意気込む。

使うのは、ステップアップの利用者が市内の畑で育てた無農薬白菜の根。天日干しで乾燥、粉砕したものをようかんやかまぼこに混ぜるほか、焙煎(ばいせん)したものは茶として使う。味の分析や協力企業の募集、販売など事業全般を同社が担う。

製品化の契機は昨年冬にあった学生コンペ。宮城大のグループが根を使ったビジネスを提案し、最優秀賞に輝いた。その後、指導に当たった同大の鈴木康夫教授(知的財産経営)が顔見知りの二上達也社長(56)と検討を重ね、商品化を目指すことになった。

鈴木教授によると、白菜の根は不眠解消やストレスに対する抵抗力強化に効果があるとされるギャバや、グルタミン酸などのうま味成分が、葉より多い。苦味を持つアミノ酸もあり、味に奥行きが出る可能性がある。

同社は風味の生かし方や商品に適した分量を分析し、3月をめどにティーバッグなどにして試験販売する。消費者の声を聞きながら味を調整し、新年度にも店頭での本格販売を目指す。

二上社長は「先例はないが、健康志向や『使えるものを捨てるのはもったいない』という機運の高まりから、十分に商機はある。協力企業と連携し、魅力ある商品を作りたい」と話す。

■2017.1.28  桜区の障がい者支援施設が「いちご農園」 イチゴ狩りと直売に喜びの声も /埼玉  障害者支援施設しびらき
「障害者支援施設しびらき」(さいたま市桜区新開3、TEL 048-839-3910)が1月15日、イチゴ農園「しびらきファームいちご屋」をオープンした。

2014年から商店街でパンやクッキーを製造、販売するなど、障がい者就労と自立に力を入れている同施設。農林水産省が「障害者の農業支援」を掲げていることから、以前より農業への挑戦を検討していたという。今回、店の常連客で施設前の遊休農地の管理者から声を掛けられ、実現にこぎ着けた。

同施設長の相浦卓也さんは「気軽に人が来てくれて地域との接点が持てることや、ハウス栽培は天候に左右されず同じ作業で障がいのある人も働きやすいのではと思い、イチゴ農園に決めた」と振り返る。施設の職員は農作業の経験がなかったため、昨年9月から深谷市の農家へ何度も足を運んで学び、育成状況を確認してもらいながら栽培。12月に赤く実った。

同施設の支援副主任で農園長の丸山翔太さんは「初めての農作業と栽培で育つか心配だったが、農家をうならせるほどおいしくできた。多くの人の喜ぶ顔を見ると本当にうれしい」と話す。障がい者の2人は細かい整備や掃除などを担当。実ったイチゴを来園者に配った時は、うれしそうな表情を見せたという。ほかにも農園の作業に意欲を見せる障がい者がおり、今後作業を教えていく予定。

30分食べ放題のイチゴ狩りのほか、直売を行う。家族で歩いて訪れた宮崎依子さんは「甘くて新鮮でおいしかった。子どもたちも喜んでいた。近くでイチゴ狩りができてうれしい。ハンディキャップのある方が作業すると聞いて、すごいと思った。応援していきたい」と笑顔を見せる。

形の崩れたイチゴは、加工しジャムとして販売。パンと組み合わせて料理するなど作業の幅を広げて最大20人の障がい者を受け入れる予定。相浦さんは「個々に能力が違うので作業工程を増やし発揮できる場を設けたい。将来は農家や企業への就業につなげたい」と話す。

開園日は土曜・日曜。開園時間は9時〜16時。電話(TEL 080-9429-9225)で予約が必要。料金は大人(小学生以上)=1,800円、3歳以上=1,200円、3歳未満無料(時期によって異なる)。

■2017.1.28  山口宇部空港に立ち飲み屋 地酒「獺祭」や特産品を販売  社会福祉法人南風荘
山口県宇部市の社会福祉法人南風荘(西重國隆理事長)は山口宇部空港内で、特産のワタリガニを使った煎餅を販売し、立ち飲み屋と地酒販売店も経営している。障害者の「働きたい」「地域で暮らしたい」という願いをかなえるため、さまざまな仕事に挑戦する取り組みは、地域活性化にも貢献。空港の「おもてなし役」となっている。

就労継続支援B型事業所「セルプ南風」「セルプ岡の辻」など6事業所を運営する南風荘は、1954年に聴覚障害者の職業自立を支援するために設立された「県聾唖連盟」を母体とする法人。その後、重度身体、知的などさまざまな障害者を支援するようになり、それに合わせて作業内容もウエス加工、観賞魚のリース、印刷事業など増やしていった。

食品の加工・販売は、2002年に県の「障害者等地域モデル協働事業」に応募して、地元企業や行政などと一緒に地域活性化のための名産品づくりに着手。2年かけて特産のワタリガニを使った「おごっそ蟹せんべい」を開発したことから始まった。

煎餅は、地元企業が開発したプレス機で生のワタリガニの身を搾り、残った殻をミキサーにかけて蟹ソースを抽出。これにデンプン、キビ糖などを加え混ぜた後、2度焼きする。蟹のプレスから焼き、袋詰めまで工程の大半を6人の利用者が担う。

煎餅(9枚入り360円)は空港の土産物店やキヨスク、スーパーなどで販売し、「蟹の風味いっぱいで、おいしい」と大好評。県特産品振興奨励賞を受賞するなど市を代表する名産品になり、売り上げも10年度に1800万円になるなど地域振興に一役買った。

煎餅を通して築かれた地元企業や行政との関係は、全国の空港で唯一の立ち飲み屋「角打鍋島」と、社会福祉法人唯一の地酒販売店「地酒鍋島」へとつながっていった。

「角打鍋島」は、閉店した立ち飲み屋を引き継ぐ形で08年に開店。職員の「やりたい」という声に応え、法人役員が空港関係者などに働き掛けた。最初は赤字続き。接客技術を向上させ、メニューを工夫するなど営業努力を重ねたことで徐々に売り上げが伸びた。

売っているのは6種類の地酒とビール、かまぼこ、エビの佃煮などのつまみ、うどんなどの軽食。2人の利用者が調理・接客補助で働いており、売り上げは年1300万円を超える。空港内の飲食店が午後7時に閉まる中、最終便の到着まで開けている同店は、出張帰りの地元企業社員などにとって有り難い存在になっている。

「地酒鍋島」も閉店した土産物店の後を受けて10年に開いた。開店に際しては一般酒類小売業販売免許を取得する一方、西重理事長らが地元酒造メーカーをまわり、酒を卸してくれるよう依頼。その結果「獺祭」「貴」「雁木」「五橋」などの銘酒を販売できるようになった。利用者1人が販売補助で働いており、年間売り上げは5400万円を超えるという。

地元企業や行政との連携を図りつつ、作業項目を増やしている南風荘。平均月額工賃は、煎餅づくりや縫製作業のセルプ南風が1万5000円、「角打鍋島」などを経営するセルプ岡の辻が2万6500円、ウエス加工のセルプ藤山が3万2000円と、全国平均を大きく上回る。

セルプ南風の工賃がやや低いのは重度・高齢者が多いことと、煎餅の売り上げが最盛期の半分以下に落ちたためだ。そこで南風荘は、煎餅の塩分を減らすなど味を改良するとともに、新商品として「揚げ」を開発。最盛期と同様の売り上げを目指す一方、行政や企業などからの仕事を受ける「共同受注」にも力を入れている。

「空港の仕事は休みがなく、立ち仕事でつらい。職員の負担も大きい。利用者の高齢化も進んでおり、個々に合った仕事を確保しないといけない」と話す西重理事長。利用者の「働きたい」「地域で暮らしたい」という願いをかなえる取り組みが止まることはないようだ。

■2017.1.30  障害者殺傷事件半年 忘れず、諦めず共生社会の構築を  愛媛新聞:社説
「私たちは、障害の重い人たちが施設をでて、生き生きと地域の中で暮らせる神奈川県をつくることこそが必要であると考えます。それがとりもなおさず事件をおこした元職員の考え方や行為が、間違いであったことを明らかにすることなのです」

相模原市の知的障害者施設、「津久井やまゆり園」で昨年7月26日、19人が刺殺され27人が負傷した事件から、半年が過ぎた。追悼集会では、地元のグループホーム関係者や当事者ら200人以上が連名で「障害のある人とともに生きる」ことを誓うアピールが採択された。

当事者はもちろん、事件に深く傷つけられ、おびえる全国の障害者や家族、さらには多様な「共生社会」を目指す努力を一瞬で壊され、無力感を感じた多くの国民の痛みは、まだ癒えない。それでも再び立ち上がった人々の意志に希望を見いだす。

弱者が弱者を攻撃し、政治家までが負の感情を公然と語り、弱者であることで排除のみならず批判までされる。そんな社会は生きづらく、苦しい。忘れないこと、諦めないことで差別や「排除の論理」にあらがい続ける、その覚悟を新たにしたい。

神奈川県は、アピール採択の翌日、やまゆり園と同規模の大型施設再建の方針を転換した。「施設から地域へという時代の流れに逆行する」「小規模施設を増やすべきだ」と反対意見が続出したためで、基本構想の策定延期と再検討を表明した。

再建は、主に施設と家族会の要請を根拠に決定したという。肝心の入所者本人の希望を丁寧にくみ取る努力が足りなかった面は否めない。家族の意向も大切だが、問題の根が「大規模施設に入らねば生きていけない」と感じさせてしまう社会の冷たさ、地域の支援体制の弱さにあることを忘れてはならない。

 問われているのは、日本の福祉政策のありよう。過去の「隔離収容政策」への反省なしに社会は変わらない。障害者を「見えない存在」にしてはならず、24時間介護保障の実現など、誰もが自立や1人暮らしができて当然の社会を構築することが、政治や行政の責務であろう。

その意味で、現時点の国の対策が再発防止、治安維持に偏っている懸念は拭えない。容疑者の元施設職員は精神鑑定中で、精神障害との関連も含め動機や経緯の解明には至っていない。だが昨年末の国の報告書は、行政に措置入院患者全員の退院後の支援計画策定の義務化を求めた。「支援」より「監視」に傾き、別の新たな偏見や差別を助長することを危惧する。

園近くのレストランが好きだった女性。母親に大切に育てられ、女性職員の言うことをよく聞いた男性…。19人の「生きた証し」を残そうと生前の様子を記録し始めた元職員がいる。犠牲になったのは「名もない、無関係な誰か」ではなく、私たちと同じく懸命に生きた人。それを忘れないことから、よりよい社会への一歩を踏み出したい。

■2017.1.31  米子で障害者ら働く飲食店「海の声」2月1日オープン
鳥取県米子市の商店街の一角にある元町交流センター「さん」(米子市日野町)に、障害者らが働く飲食店「海の声」が2月1日、オープンする。撤退で、館内に飲食店がない状態が1年余り続いていた。地物の魚をふんだんに使った海鮮丼などを提供する予定。一帯のにぎわいを取り戻すきっかけになってほしいと関係者は期待している。

地元の商業者でつくる街づくり会社が元町サンロードの空き店舗を改修して、2011年から、さんの運営を始めた。15年秋に飲食店が撤退していた。
2階建ての1階部分に入る海の声は、NPO「山陰福祉の会」(同市加茂町2丁目)が運営する。

大山町で水揚げされた新鮮なイカやモサエビなど地元の魚介類を中心的に使う。伯耆町など周辺市町村の高齢者らが作る野菜も利用し、地産地消を進める。
障害者6人が働く。経験豊富な料理人の指示の下、食材の調理や下処理などを担う。当面は食堂での食事提供と弁当の販売に限る。将来的には、近隣高齢者らへの総菜の配達も行いたいという。

ひとり親世帯の貧困問題などに取り組む山陰福祉の会の山中裕二理事長(37)は、2階の多目的空間を生かした無料の学習塾の開講なども思い描く。山中理事長は「住民とかかわりながら障害者が就労するのは望ましい姿だと思う。いろいろな人を巻き込みながら、にぎわいを生み出したい」と話す。

営業は、平日の午前11時半〜午後2時。



障害者働く飲食店に 元町交流センター「さん」 2月2日
鳥取県米子市の元町通り商店街の一角にあり、飲食店の撤退により1年余り休業していた元町交流センター「さん」(同市日野町)の1階に、新たにNPO法人山陰福祉の会(同市加茂町2丁目、山中裕二理事長)が運営する飲食店「海の声」が入店し、1日から営業を始めた。

さんは2011年、商店街の空き店舗を利用してオープンしたが、飲食部門の入店者が撤退し、15年10月から休業していた。

海の声は専門のシェフが料理を作り、発達障害や精神障害のある人も食材の下処理や片付けなどを担当する。地元の魚や野菜を使った食事や弁当を提供。入り口で盆を取り、好きな料理を選ぶカフェテリア方式を採用した。

座席数は50席。魚料理など和食を中心に、ロコモコ丼やグリーンカレーなどの洋食メニューもある。今後は総菜の販売や夕食時の営業も検討している。営業時間は午前11時半〜午後2時。土日祝日は休み。

山中理事長は「商店街の中でにぎわいを創出するとともに、障害のある人が社会の一員として働ける場として盛り上げていきたい」と話した。

 

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