残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

Past news

残しておきたい福祉ニュース

 2014年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

 2014. 2. 1 NPO法人不適切運営問題:障害者13グループホームが継続困難、別法人が運営へ/横浜
 2014. 2. 1 無理心中:介護疲れか 60代、妻と認知症の夫 大阪
 2014. 2. 1 すき家運営のゼンショー、介護に参入 札幌の業者買収
 2014. 2. 1 緊急ショートステイ導入へ 和歌山
 2014. 2. 1 オルゴール:善意の音色、50年 卒業生に、匿名女性から 山梨の盲学校
 2014. 2. 2 赤ちゃんポスト、もう一つの試み 相談24時間、救われた命
 2014. 2. 2 袖ケ浦の少年死亡:施設虐待問題 診療室機能せず? 入所者受診、記録ほとんどなし /千葉
 2014. 2. 3 袖ケ浦福祉施設虐待問題、新たに1人の虐待を確認 千葉
 2014. 2. 4 「養育園」県の立ち入り検査終了 虐待認識、甘さ露呈
 2014. 2. 4 <福祉・介護事業で増加>2013年倒産動向調査結果――東京商工リサーチ
 2014. 2. 4 介護老人施設:認知症患者4人に薬 傷害容疑で家宅捜索
 2014. 2. 4 損賠訴訟:障害者家族、社福法人を提訴 佐世保の施設入所、転倒事故で意識不明 /長崎
 2014. 2. 4 源泉タンクから大腸菌 /山口
 2014. 2. 4 看護労働 改善急務 「慢性疲労」 74%、「辞めたい」 75% 日本医労連調査
 2014. 2. 5 低血糖症で入所者搬送相次ぐ…介護施設で誤薬?
 2014. 2. 5 生駒市:障害者の就労や自立支援、「山麓公園」を活用 「全国のモデルに」 市が方針 /奈良
 2014. 2. 5 提訴:虐待を誤認定と第三者委を 西東京の法人 /東京
 2014. 2. 5 社福法人優遇見直しも 規制改革会議 介護、企業参入促す
 2014. 2. 6 不正受給:障害者補助金を 容疑でNPO元理事長逮捕 県警 /広島
 2014. 2. 6 補助犬の飛行機への搭乗訓練、全国で初めて実施
 2014. 2. 8 介護事業詐欺:「いずみ」福祉事業、全指定取り消し 来月末で /島根
 2014. 2. 8 袖ケ浦の少年死亡:施設虐待問題 無断で投薬変更か 県が調査、複数の保護者証言 /千葉
 2014. 2. 8 長崎・グループホーム火災:発生1年 防火安全月間始まる 福祉施設で避難訓練 /長崎
 2014. 2. 8 着服:知的障害者の預金を 容疑で元世話人逮捕 /長野
 2014. 2. 8 雪でスリップ…正面衝突で高齢の2人死亡 石川、介護施設の車
 2014. 2. 8 介護車の試作品が完成 阿南高専、軽量化へ協力企業募る
 2014. 2.10 <介護給付>110万円不正受給 福岡の事業者指定取り消し
 2014. 2.10 2013年の老人福祉事業者の倒産、2000年以降で最多
 2014. 2.10 船橋市が小型家電リサイクル回収ボックス設置−県内初、障がい者参画事業 /千葉
 2014. 2.10 「都有地に福祉施設」 舛添氏のアイデア、実現可能性いかに?
 2014. 2.11 老人ホーム入居権購入詐欺に注意…国民生活センター
 2014. 2.11 入所者受け入れ協力を 介護施設低血糖問題 和歌山市が要請
 2014. 2.11 介護2割負担、対象は50万人 現役世代になお重荷 15年8月から
 2014. 2.12 大江文彦さん 障害者と共に被災地を支える建築会社社長
 2014. 2.12 袖ケ浦の少年死亡:施設虐待問題 少年の自傷行為誘発か 5職員配属後に症状悪化 /千葉
 2014. 2.12 訪問入浴車全台にAEDを設置、ケアサービス
 2014. 2.13 暴言:男児に「殺すぞ」 保育士処分検討 滋賀・近江学園
 2014. 2.13 発達障害の人の就労支援 仕事を通じ能力引き出す
 2014. 2.13 スーパー遠い…被災地の高齢者、閉じこもりがち
 2014. 2.13 アルツハイマー原因物質を掃除…阪大教授ら発見
 2014. 2.13 「虐待防止責任者」障害者施設の1割不在  北海道
 2014. 2.13 高齢者 楽しんで脳刺激…ゲーム、運動で機能向上
 2014. 2.14 <障害者施設虐待>検証委 外部チェックなど緊急提言
 2014. 2.14 <障害児通所施設>男性管理者が女児を個室で「支援」
 2014. 2.14 経営状態が悪く先送りしても… 賃金不払いでクリーニング会社と社長を書類送検 大阪・淀川労基署
 2014. 2.15 北原佐和子 介護福祉士の筆記試験に合格 実技も「頑張る」
 2014. 2.15 袖ケ浦の少年死亡:施設虐待問題 「幹部の入れ替えを」 第三者委、県に緊急提言 /千葉
 2014. 2.15 特別養護老人施設:高砂の付近住民、建設に反対運動 着工めど立たず きょう説明会 /兵庫
 2014. 2.15 住民同士の介護10年 江戸川のニュータウン NPO設立 家事・外出支援
 2014. 2.16 高砂の特養問題:市と交渉へ 建設反対の住民が方針 /兵庫
 2014. 2.16 「優しくしたいが怒鳴ってしまった…」介護者らの悩みに寄り添うカフェがオープン 和歌山
 2014. 2.17 障害者の幸福、低賃金では… 施設職員に奮起促す 亀岡でセミナー
 2014. 2.17 働く障害者が労組設立 環境改善へ「相談窓口に」 
 2014. 2.17 2040年の鹿児島市 65歳以上42%増
 2014. 2.17 報・連・相(ほうれんそう)を禁止せよ 決断力のない上司が部下に求める無駄な作業
 2014. 2.18 <介護報酬を不正に請求>訪問介護事業所を指定取消処分――高松市
 2014. 2.18 食料底つき、燃料残りわずか…大雪で孤立の特養
 2014. 2.18 大量残雪、福祉ケア阻む 悪路で送迎できず  ヘルパー、徒歩で訪問
 2014. 2.18 介護福祉士:資格取得の長期研修 義務付け延期
 2014. 2.18 女介護士…実はスリ パチンコ店で足不自由な高齢女性介抱装い 和歌山
 2014. 2.18 埼玉・春日部特養老人ホーム 死亡女性の遺族が検察審査会に不服申し立て
 2014. 2.19 <サ計画未作成>不正請求で居宅介護事業所を指定取消――愛媛県
 2014. 2.20 県議会:開会 「改めておわび」 障害者虐待問題で知事 /千葉
 2014. 2.20 防災情報タオル:障害者ら津波防災タオル製作 高台避難呼びかける標識デザイン 宮古 /岩手
 2014. 2.20 診療報酬2億6983万円不正、福岡・岡垣記念病院
 2014. 2.20 “共助の精神”根付く トイレの貸し出しや除雪に協力
 2014. 2.21 老人福祉事業の倒産、介保法導入後で最多−昨年だけで46件、帝国データバンク調査
 2014. 2.21 53施設で身体拘束、北海道所管の34% 障害者虐待調査
 2014. 2.21 中津の施設で虐待 利用者にあざ、市が行政指導 [大分県]
 2014. 2.21 53施設で身体拘束、北海道所管の34% 障害者虐待調査
 2014. 2.21 高砂の特養問題:補助金取り下げへ 市が方針「代替地探しも」 /兵庫
 2014. 2.21 社会福祉法人千葉県社会福祉事業団に対する勧告について 千葉県健康福祉部障害福祉課
 2014. 2.22 福祉センター「養育園」虐待問題で、理事長退任の検討求め勧告 千葉
 2014. 2.22 袖ケ浦の少年死亡:施設虐待問題 理事長辞任表明「経験は必要だった」 「天下り」路線修正へ 後任は外部から /千葉
 2014. 2.23 ノロウイルス相次ぐ 大量調理増え、感染大規模に
 2014. 2.25 看護師ら197人中、残るのが89人だけの病院
 2014. 2.25 特養で同僚女性を刺殺未遂、男に懲役7年判決
 2014. 2.25 準詐欺容疑:介護施設元管理者ら 認知症男性の預金奪う
 2014. 2.25 福祉本質考えるきっかけに 糸賀一雄生誕100年
 2014. 2.27 被災地の現状と課題報告 宮城の障害者施設理事長講演 兵庫
 2014. 2.27 <千葉・施設虐待>保護者の県批判省略か 検証委資料
 2014. 2.27 殺人容疑:札幌の自立支援施設入所者 職員を包丁で刺殺
 2014. 2.27 点字ブロック発祥地:校区の誇り、大切に 操山中生ら、毎月清掃 中区・原尾島交差点 /岡山
 2014. 2.28 生駒山麓公園で障害者就労支援 生駒市、今秋施設改修 雇用へ 奈良
 2014. 2.28 介護が少ない街、和光市の秘密
 2014. 2.28 インクルーシブ教育を考えるシンポジウム:合理的配慮の仕組みづくりを ;豊中 /大阪
 2014. 2.28 社会福祉法人に社会貢献活動を義務付け 規制改革会議


■2014.2.1  NPO法人不適切運営問題:障害者13グループホームが継続困難、別法人が運営へ/横浜
NPO法人「PWL」(箕輪一美理事長)が障害者グループホーム(GH)などの不適切な運営で横浜市から指導を受けた問題で、PWLの計13カ所のGHを同市内の社会福祉法人が引き継いで運営することが31日、分かった。PWLから「継続した運営は困難」と支援の申し出を受けた市が、要請していた。2月1日から移行する。自立訓練や就労移行支援など七つの日中活動についても、引き受け手を探している。

PWLは運営するGHや日中活動事業をめぐり、個別支援計画の未作成や提供していないサービスの自立支援給付費の請求、実費負担額を上回る家賃の徴収など不適切な実態が判明。市は昨年、市や利用者へ返還するよう指導した。総額は少なくとも4千万円を超える。

指導に伴い、改善が確認されるまで年間約4500万円のGH家賃補助の支給が保留となっているほか、介護保険事業所の指定取り消しで介護報酬や運営費補助金など約1580万円の返還も求められている。

こうした中で、PWLは昨年12月、市に対し「事業の継続が難しい」と伝達。市は「利用者へのサービス継続が最優先」として、PWLと交流がある社会福祉法人同愛会(同市保土ケ谷区)に事業の継承を要請した。

横浜、川崎両市と東京都内で知的障害者の入通所施設など計約150事業所を運営する同愛会は「横浜市の要請を受けるのが法人としての社会的責務」として昨年末、GH事業を引き継ぐことを決めた。

市障害支援課によると、GH13カ所はすべて賃貸物件で、入居者は昨年12月現在で計71人。同愛会が入居者や家主側とあらためて契約を交わし、サービスを継続する。

一方、142人が利用登録する就労移行支援など日中活動の7事業について、PWLは市の支援を受けながら引き受け手を探している。市は「利用者のサービス継続のためには時間的猶予はなく、2013年度内には方向性を見いだしたい」としている。引き受け先が決まるまで、事業はPWLが継続して行う。

PWLは神奈川新聞社の取材に対し、「このような事態を招き、利用者に不安を与えてしまったことを大変申し訳なく思っている。横浜市の指導を受け、利用者の不利益にならないよう事業の引き継ぎを進めたい」とコメントした。

不適切な運営で市から繰り返し指導されているPWLをめぐっては、介護事業進出のための定款変更が総会の議決を経ずに行われ、議事録を偽造していたことが判明。市は昨年12月1日付で、小規模多機能型居宅介護事業所の指定を取り消した。

■2014.2.1  無理心中:介護疲れか 60代、妻と認知症の夫 大阪
1月31日午後11時半ごろ、大阪府豊中市新千里北町3の府営住宅1階の一室で、住人の男性(69)と妻(61)が亡くなっているのを通報で駆けつけた府警豊中署員が見つけた。男性の首には電気コードが巻かれ、妻は、頭にビニール袋をかぶった状態だった。室内に遺書のようなメモが残されており、同署は、妻が無理心中を図ったとみて調べている。

同署によると、2人は居間で並んだ状態で見つかった。部屋は施錠され、「(夫が)認知症でこれ以上介護できません」と妻が書いたとみられるメモが床の上にあった。

男性は人工透析を受けるため病院に通っており、30〜31日に病院や介護施設の職員が迎えに行った際、妻は「夫は出て行っていない」などと説明。心配した介護施設から連絡を受けた市福祉事務所が豊中署に通報した。

■2014.2.1  すき家運営のゼンショー、介護に参入 札幌の業者買収
牛丼チェーン「すき家」で知られる外食大手のゼンショーホールディングス(HD、東京)が、道内で介護事業に新規参入することが31日、分かった。サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などを道内で展開する中堅会社の株式100%を取得。ゼンショーは十勝管内で農業に参入するなど事業多角化を進めており、北海道を外食産業と1次産業、介護事業を融合させた試験モデルの重要拠点と位置づける戦略だ。

同社が31日付で買収したのは、札幌市西区の「介護サービス輝(かがやき)」(狩野美香子社長)。2002年創業で、道央圏などでサ高住5棟、高齢者向け賃貸住宅11棟、住宅型有料老人ホーム1棟の計17棟を運営、入所者は約600人。生鮮食品や宅配弁当の販売事業を手掛ける子会社も持つ。

買収額は明らかにしていない。狩野社長は続投し、子会社を含めた社員、パート計221人は継続雇用する。

ゼンショーは国内外ですき家など4780店(1月末現在)を展開。外食産業は円安による輸入原材料高騰で経営環境は厳しい。同社は国産食材の調達先として08年、十勝管内大樹町で畜産や畑作に乗り出すなど、北海道との関係が深い。

同社は今後、取得した各施設で社員研修を行い、介護現場のノウハウを学ぶ。また、十勝産食材を使ったメニュー開発をはじめ、介護食の宅配サービスも視野に入れ、「介護を外食・小売業に続く事業の柱に育てたい」としている。

■2014.2.1  緊急ショートステイ導入へ 和歌山
県は2014年度から、家族らが急病になった際に、介護を受けている高齢者が緊急でショートステイサービスを利用できる体制を導入する。高齢化による「老老介護」やストレスによる家族間の虐待が増える中、在宅介護の現場を支える狙い。受け入れへの負担が大きい施設側に、県が緊急対応費を支払う。

在宅介護をしている人に急病や冠婚葬祭などの急用ができたり、ストレスが悪化したりした際に、原則1週間以内で高齢者が施設に滞在するショートステイが支援の対象。県全域で常時、受け入れ可能な施設を用意する一方、施設側には利用料とは別に、1回当たり3万円を上乗せする。

県内で在宅介護を受けている人は昨年12月現在で5万4060人に上り、高齢化が進んだ配偶者や子どもらが一人で世話をしている世帯も多い。

一方、ショートステイを行っている特別養護老人ホームは約100か所あるが、予約でいっぱいだったり、人手不足で予定外の業務には対応できなかったりする施設もあるという。

このため、県内を10地域に分けて施設関係者に協議してもらい、当番制などで地域ごとに2施設が緊急の受け入れにも対応できる体制を作ってもらう。

特別養護老人ホームでつくる団体と運営に関する協定を締結し、各施設とは具体的な手順を盛り込んだ契約を結ぶ方針で、緊急対応費は人件費などにあててもらうことを想定している。

県は、施設への聞き取りなどから、年500回程度の利用を見込んでおり、新年度予算案に1500万円を計上する。今夏頃までに始める見通しという。

県によると、2012年度中に県内の家庭で虐待を受けた高齢者は83人。虐待者と同居していた75人のうち、62人には、ほかに同居の家族がおらず、孤独な介護によるストレスも虐待の背景にあるとみられている。

県長寿社会課の担当者は「施設側の協力を得て、介護に疲れた家族が発するSOSを、しっかりと受け止められる地域をつくりたい」と意気込んでいる。

■2014.2.1  オルゴール:善意の音色、50年 卒業生に、匿名女性から 山梨の盲学校
甲府市の山梨県立盲学校に毎春、匿名の女性から卒業生の数だけオルゴールが届けられる。1965年から始まった「音の卒業祝い」。今年届けば50年目になる。「オルゴールを開くたび、見守ってくれる人の存在を感じる。感謝を伝えたい」。卒業生らはその音色に耳を傾け、見知らぬ人への思いをはせる。

64年1月の「事件」が物語の始まりだった。高等部生徒だった川口敏雄さん(当時19歳、故人)が、甲府駅前の公衆電話に大切にしていたクラリネットを置き忘れ、紛失した。新聞で報じられ、10日後に「S」と名乗る女性から同校に新品のクラリネットが届いた。「心の中にはいつも光を」との手紙が添えられていたという。そして翌年から毎年、オルゴールが届くようになった。

同校理療科の羽田豊教諭(41)=甲府市=もオルゴールを受け取った一人だ。生まれつき左目が見えず、27歳の時には右目も網膜剥離を発症。勤めていた建設会社で働き続けることは難しく、しんきゅう師を目指して同校に入り、2006年に卒業した。

その時に受け取ったオルゴールを折に触れて開いてきた。パッヘルベルのカノンが流れる。中に添えられていた「あなたの上に神様のお守りを祈ります」という点字のメッセージを指で読み返した。

「家族、学校、地域、そして見知らぬ誰か……。自分が多くの人に見守られていると気付いた」と羽田教諭。教員を志し、東京のしんきゅう学校で猛勉強し、08年に同校に赴任した。「自分も人を支える一人になりたい、そう思いました」

毎年2月上旬、同校に女性の声で「卒業生は何人ですか」と尋ねる電話がある。3月の卒業式の当日、女性から依頼されたと思われる人がオルゴールを届けに来る。昨春は6人分。同校は「名乗り出ない思いを尊重したい」として氏名などは聞かず受け取っている。半世紀で600個以上が届き、卒業生はオルゴールと共に巣立った。

05年の女性からの手紙には「80年余りの人生」と書かれていた。今は80〜90代ということになる。羽田教諭は「女性に感謝の気持ちを伝えたい。周囲の支えがあり、今の自分があるのだと教え子にも伝えていきたい」と話している。

■2014.2.2  赤ちゃんポスト、もう一つの試み 相談24時間、救われた命
日本テレビ系ドラマ「明日、ママがいない」をめぐり、親が育てられない子供を匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を設置する熊本市の慈恵病院などが人権侵害を訴えている問題。主人公が「ポスト」とあだ名されたように病院の活動は「ゆりかご」ばかりが強調されるが、同病院は望まぬ妊娠に悩む女性への相談を通じ、特別養子縁組を6年8カ月で190組成立させている。これは全国の成立数の1割近くに当たる。地方都市の一民間病院は、どんな取り組みを進めているのか。

望まぬ妊娠の果てに

千葉県南房総市の自然公園で昨年末、生後すぐの男児の遺体が見つかった。県警によると、雑木林の枯れ草の上、白いタオルと透明なポリ袋に包まれていた。へその緒がついており、頭の骨が一部見えていた。

児童虐待死を検証する厚生労働省の専門委によると、虐待死で最も多いのは生後0日。平成24年3月末までの8年9カ月に虐待死した495人のうち16%に当たる83人が、生まれた「その日」に死んでいた。

慈恵病院の蓮田太二理事長(78)がドイツを手本にゆりかごの設置を決めたのも、熊本県で置き去り死が相次いだためだった。病院の前身は明治31年、カトリックの神父が建てたハンセン病の施療所。捨て子を育てる乳児院もあった。

ゆりかごは平成19年5月から運用を始めた。「捨て子を助長する」といった批判の中、25年3月末までの5年11カ月で92人を受け入れた。一方で、病院は14年から相談活動を始め、18年11月からは24時間無料で電話を受けている。未婚、生活困窮、世間体、戸籍に入れたくない、不倫の子…。24年度は1千件に達し、累計は3800件を超えた。

慈恵病院の「貢献」

蓮田さんは「一方で、預けられた子供を育てたいと養子縁組を希望する相談が多いことに驚いた」と振り返る。昨年11月末までの7年間で1092件が寄せられ、190組の特別養子縁組が成立した。司法統計年報によると、18〜24年の7年間の全国の成立件数は2273件。慈恵病院の数だけでこの1割近くになる。

望まぬ妊娠などで生まれてくる新生児の特別養子縁組は「赤ちゃん縁組」と呼ばれる。愛知県の社会福祉士、矢満田篤二さん(79)が児童相談所に勤めていた昭和57年から始めた。政令市の名古屋市を除く県内の児童相談所で31年間に161組が成立し、「愛知方式」として知られる。

厚労省は平成23年7月、「妊娠の悩み相談体制を充実させる」「匿名相談にも応じる」「養育困難の新生児は、妊娠中からの相談を含め、出産した病院から直接里親へ委託するという特別養子縁組を前提とした委託が有用」とする通知を全国の自治体へ出した。

矢満田さんは「この通知を最も具現化しているのは慈恵病院の24時間相談であり、ゆりかごの匿名保護であり、その一歩手前で相談により保護した190人を養父母と結んだ赤ちゃん縁組ではないか」と指摘する。



全国で保護された新生児は児童相談所を経て9割近くが乳児院で育てられる。ゆりかごでも、23年9月末までに預けられた81人のうち乳児院が27人、里親委託が26人で、特別養子縁組は11人。蓮田さんは「乳児院では3歳になると児童養護施設へ移ることになる。子供にとって、お母さんと思っていた乳児院の職員との別れは非常に過酷な体験となる。精神的な虐待と言わざるを得ない」と話す。

「ゆりかごへ預ける前に相談により一人でも多くの赤ちゃんが特別養子縁組を結び、実子として戸籍に入って、深く愛される家庭で育ってほしい。ゆりかごはあくまでシンボルであり、できるだけ赤ちゃんが入らないようにと願っている」

■特別養子縁組、実子として養育

望まぬ妊娠や児童虐待など親が育てられない子供を他の家庭で養育する制度には、里親と特別養子縁組がある。里親は、自治体に登録した家庭が児童相談所の委託で育てる制度。一方、特別養子縁組は法的に親子になる制度で、一般的な養子縁組とは異なり、実の親との親子関係が消滅するため戸籍も「養子」でなく「長男」「長女」などと記載。実の子供として育てられるよう配慮されている。

制度化のきっかけは昭和48年の「菊田医師事件」。宮城県石巻市の産婦人科医、菊田昇医師は、中絶に訪れた女性を説得して出産させ、子宝に恵まれない夫婦に偽の出生証明書を書いて無報酬であっせんした。実の母親の戸籍に出生の記録を残さず、養父母の戸籍には実子と記載できるよう配慮したためといわれる。

菊田医師は医師法違反で罰金と半年の医療行為停止となったが、望まれぬ子供の命を救うとの精神から近年、新生児の特別養子縁組「赤ちゃん縁組」の先駆者として再評価されている。


菊田医師事件
菊田 昇
(1926年5月31日‐1991年8月21日)は、日本の産科婦人科医師。望まれずに生まれた新生児を子宝に恵まれない夫婦に偽の出生届を書いてあっせんするという、赤ちゃんあっせん事件(菊田医師事件、菊田医師赤ちゃんあっせん事件とも)と呼ばれる事件を起こした。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%8A%E7%94%B0%E6%98%87

■2014.2.2  袖ケ浦の少年死亡:施設虐待問題 診療室機能せず? 入所者受診、記録ほとんどなし /千葉
袖ケ浦市の県立障害者支援施設「袖ケ浦福祉センター」の各施設の虐待問題で、職員の暴行後に死亡した少年(19)が生活していた寮の職員日誌に、センターに併設された診療室へ入所者を受診させた記録がほとんどないことが分かった。入所者の健康管理のために設置されている診療室が日ごろから機能していなかった可能性があり、県は診察記録を調べて健康管理の実態解明を進める方針。

虐待原因などを調べる県の第三者検証委員会が1月31日夜、記者会見して明らかにした。体調不良の入所者を診療室で受診させる基準なども作成されていなかったという。同席した山田勝土・県障害福祉課長は「(受診させる)明確な基準がないことが、(少年の)受診の遅れにつながった可能性があった」と話した。

県や県警によると、少年は昨年11月24日午後3時ごろ、20代の男性職員から腹を数回蹴られた。同日午後5時半と同8時ごろに2回、嘔吐(おうと)したが受診せず、同25日の夕食後に呼吸困難で救急搬送され、翌26日未明に死亡が確認された。死因は小腸に開いた穴がきっかけとなって起こった腹膜炎だった。24日に腹を蹴った職員を含め計5人の職員が過去に少年を暴行していたという。

■2014.2.3  袖ケ浦福祉施設虐待問題、新たに1人の虐待を確認 千葉
知的障害のある児童らが入所する千葉県の袖ケ浦福祉センター「養育園」(袖ケ浦市蔵波)で、少年=当時(19)=が職員の虐待を受けた後に死亡した事件で、県は3日、指定管理者の社会福祉法人「千葉県社会福祉事業団」が運営する「アドバンスながうら」(同所)への立ち入り検査で、新たに養育園で40代の男性職員が利用者に暴行していたことを確認したと発表した。

また、アドバンスながうらでも20代の男性職員が利用者に暴行した疑いが浮上。これで、同センターの3施設で利用者への暴行が確認された職員らは11人、疑いが持たれているのは3人に上った。

また、昨年6月、この40代の男性職員が利用者に暴言を吐く事例があったが、近藤敏旦理事長が県に報告していなかったことも判明。男性職員は口頭注意のみで養育園に異動し、同年夏ごろに利用者に暴行したという。3日に会見した近藤理事長は暴言について「虐待ではないという判断だった。指導すべきだった」と述べた。

県は同日、両施設に対し、虐待防止体制の充実や保護者への説明を十分に行うことを求める勧告を出した。一連の事件をめぐり、県が同センターの施設に勧告を出すのは3回目。

■2014.2.4  「養育園」県の立ち入り検査終了 虐待認識、甘さ露呈
袖ケ浦市の県立障害者施設「養育園」で職員から暴行を受けた少年(19)が死亡した問題で、県は三日、関係施設への一連の立ち入り検査をひとまず終えた。昨年十二月から二カ月に及んだ検査では、施設側の虐待への認識の甘さが露呈した。施設運営に関わる構造的な問題も指摘されている。県によるこの日の三度目の改善勧告を受け、再発防止策や幹部の責任問題はなお残っている。

県は十二月から、少年が死亡した養育園のほか、同じ敷地内にあり成年を対象にした「更生園」と、近くにある就労支援などを行う「アドバンスながうら」の三つの入所施設で立ち入り検査を続けてきた。

その結果、この日新たにアドバンスながうらで暴言による心理的虐待一件が判明し、虐待は三施設ともに及んだ。昨年六月にあったこの暴言については、施設を運営する県社会福祉事業団の理事長が「軽微なもので県へ報告する必要がない」と判断し、事故報告書も提出されていなかった。

これまでの調査で暴行や性的・心理的虐待が確認された職員は十五人。ただ、目撃情報で暴行の疑いがある職員がほかにも複数おり、県は今後も追加検査を続ける方針。虐待をしていた職員はまだ増える可能性がある。

事業団は、暴行に関わった職員を懲戒解雇するなど現場から外す措置をとったが、理事長以下の幹部の責任問題は今後の課題となっている。

県はすでに三度、同事業団に改善勧告をしているが、これに対する事業団の報告書もこれからだ。第三者委員会による検証も始まったばかりで、「引き続き全容の究明を図っていく」(県担当者)としている。

http://social-welfare.rgr.jp/databox/xx5xxxxxx7z.png

■2014.2.4  <福祉・介護事業で増加>2013年倒産動向調査結果――東京商工リサーチ
信用調査の大手・東京商工リサーチは、2013年の業種別倒産動向調査結果を発表した。

それによると、2013年の倒産動向は老人福祉・介護、個人消費関連で前年よりも増勢が目立ったことが特徴で、老人福祉・介護事業の倒産件数は、54件で、前年より63.6%増の21件増加となった。介護保険法が施行された2000年以降では、2008年の46件を上回り、最多。
負債総額は、約50億円で、前年より微増、2008年の約200億円の1/4。このことから、中小規模の事業者の倒産が増えていると推測できる。

調査では、介護関連事業は、高齢化社会に伴い将来性の高い産業として注目を集めたが、慢性的な人手不足、低賃金などに加え、他産業からの新規参入で競争が激化し、厳しい経営環境が続いている、と分析している。

■2014.2.4  介護老人施設:認知症患者4人に薬 傷害容疑で家宅捜索
和歌山市中島の介護老人保健施設「ラ・エスペランサ」に入所する認知症の80代の患者4人が何者かに血糖値を下げる薬を投与された疑いがあるとして、和歌山県警和歌山東署は4日、施設を傷害容疑で家宅捜索した。

捜査関係者によると、昨年12月22日、施設入所者の認知症の86歳と85歳の女性2人が低血糖で和歌山市内の病院に搬送され、28日にも同じ症状で男性(85)が搬送された。翌1月18日には、12月に搬送された85歳女性と男性が再度搬送された。

病院は、3人とも糖尿病の持病がないにもかかわらず低血糖状態になったため不審に思い和歌山市に相談。市は先月21日、施設へ立ち入り検査して薬の管理体制などを調査した上で、同23日に和歌山東署に相談した。

一方、今月3日夕にも、新たに別の入所女性(85)が同様の症状で病院に搬送された。

和歌山東署は、施設職員から事情を聴き、投薬方法や管理状態に問題がないか調べる。

同施設によると、病院に搬送された4人はいずれも命に別条はないものの、うち1人は現在も低血糖状態で入院中という。施設の増井良造事務局長は取材に「原因は分かっていない。原因究明は警察や市に委ねている」と答えた。

■2014.2.4  損賠訴訟:障害者家族、社福法人を提訴 佐世保の施設入所、転倒事故で意識不明 /長崎
佐世保市の障害者支援施設に入所していた女性(65)が、別の入所者に転倒させられ、意識不明となったとして、女性の家族が法人側を相手取り、約4000万円の損害賠償を求め、地裁佐世保支部に提訴したことがわかった。学園側の安全配慮義務違反が原因と主張している。

訴状などによると、女性は2011年1月28日、社会福祉法人「民生会」の障害者支援施設「白岳学園」で、生活支援担当の職員が入所者2人に見守りを頼んで場を離れた間、転倒して頭を打ち、寝たきり状態になった、としている。

原告の成年後見人は「入所者の行動の注視など、配慮すべき義務があったにも関わらず、事故発生を防止する具体的措置をとらず放置した」と主張。学園側は「事故が起きたことは事実だが、弁護士と相談して方針を検討する」と話している。

■2014.2.4  源泉タンクから大腸菌 /山口
下関市は3日、同市豊田町日野の老人福祉施設「日野温泉いこいの家」で、源泉をためるタンク内から大腸菌が検出されたと発表した。1月末の下関保健所の立ち入り検査で発覚し、施設は同月30日から臨時休業している。市によると、タンクの底に直径10センチの穴が見つかり、これが原因の可能性もあるという。

■2014.2.4  看護労働 改善急務 「慢性疲労」 74%、「辞めたい」 75% 日本医労連調査
日本医労連(日本医療労働組合連合会、山田真巳子委員長)は3日、「看護職員の労働実態調査(2013年度)」の結果を発表しました。74%が慢性疲労を訴え、切迫流産が約3割など、過重労働や健康悪化はまったく改善されていないことが明らかになりました。

過重負担・健康悪化 浮き彫り

日本医労連は1988年以降ほぼ5年に一度、同調査を実施してきました。今回は、看護師などの勤務環境の改善を求める厚生労働省5局長通知(11年6月)後、初めての調査。16年度からの「第8次看護職員需給見通し」策定に向けて1年前倒しで実施し、3万2372人が回答しました。

「疲れが翌日に残る」「休日でも回復しない」といった「慢性疲労」が73・6%(グラフ参照)、「強いストレス」が67・2%、「健康に不安」が60%といずれも高率で、前回調査(09年度)からほとんど改善していません。健康不調の割合は35%で、全産業(女性)に比べ20ポイント以上高くなっています。

妊娠者の3分の1が夜勤免除されず、約3割が切迫流産に。女性労働者平均の2倍近くにあたります。

健康悪化に拍車をかけているのが、夜勤の過重負担や時間外労働です。

看護師確保法に抵触する月9日以上の夜勤が36・6%で前回より4・9ポイント増えました。交代勤務にもかかわらず9割が時間外労働をしており、始業前の時間外労働が増加。看護職の過労死ラインである「時間外労働月60時間以上」は253人でした。

時間外労働や休憩時間の取得状況が、慢性疲労やストレスなどに大きく影響しています。2交代夜勤での慢性疲労の割合は、休憩がきちんととれる場合は13・4%に対し、まったく取れない場合は47・6%と3倍以上です。

75・2%が「仕事を辞めたい」と答え、理由は「人手不足で仕事がきついから」(44・2%)が最多でした。自由記載欄には「看護の仕事は好きだがもう辞めたい!」「精神的にも肉体的にもボロボロ」など切実な声が多数寄せられました。

東京都内で会見した山田真巳子委員長は、「看護師の置かれた実情はまったく改善されていない」とのべ、実効ある夜勤規制や労働条件を改善するに見合う増員が切実に求められているとしています。

■2014.2.5  低血糖症で入所者搬送相次ぐ…介護施設で誤薬?
和歌山市中島の介護老人保健施設「ラ・エスペランサ」で昨年12月以降、いずれも認知症の入所者4人が相次いで低血糖症を突然発症し、意識障害になるなどして救急搬送されていたことがわかった。

1か月足らずの間に2度発症した人もいて、市は、誤った薬を服用させた可能性もあるとして立ち入り調査を実施。市からの通報を受け、和歌山県警も捜査を始め、4日、傷害容疑で施設を捜索した。

市によると、昨年12月22日に80歳代の女性2人、同28日には80歳代の男性1人が低血糖症になり、市内の病院に救急搬送されて入院。今年1月17日までに3人とも退院したが、翌18日、うち2人が再び同じ症状を起こして入院した。3人に糖尿病などの症状はなく、血糖値を下げる薬も常用していなかったため、不審に思った病院側が市に通報。市は21日に立ち入り調査を行い、23日に県警に通報した。今月3日にも別の80歳代の女性入所者が同様の症状で搬送されたという。

■2014.2.5  生駒市:障害者の就労や自立支援、「山麓公園」を活用 「全国のモデルに」 市が方針 /奈良
生駒市は、市の施設「生駒山麓(さんろく)公園」(俵口町)を障害者の就労や自立支援の場として活用する方針を決めた。現在の運営委託業者との契約終了後の7月から、社会福祉法人「青葉仁会」(奈良市)とアウトドア用品会社「モンベル(montbell)」(本社・大阪市)の共同体に運営を委託する意向だ。

生駒市は障害者100人以上の雇用の場確保を目指しており、「行政、企業、社会福祉法人の協力による障害者支援の全国のモデルになるような取り組みにしたい」と意気込む。

生駒山中腹にある山麓公園は約30ヘクタール。レストランや宿泊施設、浴場などが入るふれあいセンター、野外活動センター、フィールドアスレチック施設などがある。1991年に開園し、2009年7月から、運営を外部に委託する指定管理者制度を導入している。

市によると、市内の障害者手帳交付者は4577人(13年4月1日現在)。障害者の人数が増加する一方、就労先の確保は難しい。市は山麓公園に注目し、障害者の就労支援で実績がある青葉仁会に協力を打診した。青葉仁会側から、提携関係にあり、社会福祉活動に積極的なモンベルと共同で運営する形での提案を受けた。

指定管理者は公募が原則だが、市は「他に同様の提案を得るのは難しい」と判断し、公募しない方針を決めた。指定管理期間は7月から10年間で、3月の市議会に関連議案を提出する。

計画によると、整備時期は未定だが、ふれあいセンターの改修で宿泊研修食堂厨房棟を整備。情報発信基地で障害者が作った商品の販売などをする管理事務所・売店と、カフェレストラン(食堂)を新築する。将来的にはアニマルセラピーやカヌー体験などの構想もある。公園施設外に障害者が集団生活する「グループホーム」(約40人)も設ける。

■2014.2.5  提訴:虐待を誤認定と第三者委を 西東京の法人 /東京
職員による虐待があったとして都の処分を受けた西東京市の知的障害者入所施設「たんぽぽ」を運営する社会福祉法人田無の会(田中清理事長)が、誤った虐待認定をしたなどとして、第三者委員会の全委員に計1000万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こした。第三者委側は「調査は詳細に行われた。開き直りの提訴だ」としている。

3日行われた第1回口頭弁論で、施設側は虐待と認定された元職員の行為に関し、入所者が暴れるため数回殴打したもので虐待とは認定できないと主張。第三者委側は「殴られて殴り返すなら施設の責任放棄に等しい」との陳述書を提出した。

都はこの暴行などを虐待と認定して昨年9月、1年の新規利用者受け入れ停止処分とした。

■2014.2.5  社福法人優遇見直しも 規制改革会議 介護、企業参入促す
政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)は4日の会合で、介護や保育分野で、企業などの参入を促進する規制緩和策の原案を提示した。特別養護老人ホームの運営を企業にも参入可能とすることや、社会福祉法人への補助金や非課税措置など優遇策を見直し、企業などとの競争条件を対等にすることが柱。6月にまとめる規制改革会議の答申に向け、さらに議論を進める。

会議では、社会福祉法人の経営や財務の状況を明らかにするため、財務諸表の作成を義務づけることや、補助金の受給状況の公表について、今年度中に関係通知を改正することで厚労省とほぼ一致した。

一方で、社会福祉法人への優遇措置は、「優遇に見合った貢献を義務づける」と主張する厚労省と、「同じ事業なら税制などはあくまで対等にすべきだ」とする規制改革会議の意見が分かれ、合意には至らなかった。会合後の会見で、岡議長は「(厚労省から)改善に向けた姿勢は感じられたが、同じ事業をする以上差をつけるべきではない」と述べ、厚労省と引き続き協議を継続するとした。

現在、特別養護老人ホームの運営は、社会福祉法や老人福祉法で、都道府県または社会福祉法人に限定されている。

認可保育所への企業の参入は、平成12年に可能となったが、競争条件が対等でないことなどで、24年4月時点で、企業の参入は全体の約2%にとどまっている。

■2014.2.6  不正受給:障害者補助金を 容疑でNPO元理事長逮捕 県警 /広島
障害者支援制度を利用し国の補助金を不正に受給したとして、県警捜査2課などは5日、NPO法人元理事長、福田抄湖(しょうこ)容疑者(33)=西区井口3=を補助金適正化法違反容疑で逮捕した。

逮捕容疑は、厚生労働省の障害者生活支援のための補助金を申請する際、運営する施設の利用者を22人分水増しして窓口となる広島市に申請。11年3月に10年度の補助金304万円の交付を受けたとされる。「全員が要件に該当すると思っていた」と容疑を否認しているという。

県警によると、12年5月に匿名の通報を受けた市が県警に被害を相談し発覚。NPO法人は12年7月に解散したが、11年度の補助金約2100万円の交付も受けており、県警は余罪を調べている。

福田容疑者は、自身がかつて非行少女だった経験を基に、矯正教育に関する講演も行っており、広島市教委主催のセミナーにも講師として参加していた。昨年8月に毎日新聞の取材に応じた際、「居場所づくりではお金は下りない。障害者にはお金を下ろす仕組みがこの国にはあるが、青少年の育成はプラスアルファになっている」と補助金制度に対して苦言を呈していた。

県警などによると、補助金は国と県の補助金を財源の一部として、市が障害者の生活を支援する法人に対し、運営費として利用者1人あたり日額3800円を補助する制度。広島市では市内居住で15歳以上の利用者が10人以上いる法人が交付の対象となる。福田容疑者は男女25人分を申請したが、うち該当者は3人で、残りは健常者や市外居住者などだった。

福田容疑者の逮捕を受けて、広島市精神保健福祉課は「より厳密なチェックをすべきだった」と確認体制の甘さを認めた。同課によると、利用者の確認は補助金申請時の通所者名簿など書類のチェックのみにとどまり、施設への監査も2年に1度しか実施されていなかった。問題発覚後は医師の診断書などの添付を義務づけ、立ち入り調査や監査の頻度を増やしたという。

■2014.2.6  補助犬の飛行機への搭乗訓練、全国で初めて実施
身体障害者をサポートする補助犬(盲・聴導犬、介助犬)の旅客機への搭乗訓練が3日、全日空のANA訓練センター(東京都大田区)で行われた。訓練はこれまで電車やバスだけで、旅客機を想定した訓練は初。主催した日本補助犬協会によると、補助犬が旅客機内の雰囲気に慣れていない不安から利用を躊躇するユーザーが目立つという。訓練は実物大の旅客機の模型で実施。客室乗務員が補助犬を伴う利用客を案内する手順などを確認した。

■2014.2.8  介護事業詐欺:「いずみ」福祉事業、全指定取り消し 来月末で /島根
県は7日、詐欺容疑で逮捕、起訴された田窪紘子被告が社長を務める福祉事業所運営会社「いずみ」(松江市西川津町)の短期入所と放課後等デイサービスの2事業の指定を3月31日付で取り消すと発表した。県と市が別の指定を既に取り消しており、いずみの福祉関連の指定は全て取り消される。

県障がい福祉課によると、同社が運営する「ゆめハウス」の2012年4月以降を調査したところ、短期入所事業での架空請求や、他の支援事業をデイサービス事業に付け替えていたことが判明。義務づけられた常勤指導員数を満たしているように装い、1年間にわたって給付費を通常よりも多く受け取っていた。不正受給の総額は約601万円。県は加算金を含めた約842万円を給付した松江市に返還させる。

■2014.2.8  袖ケ浦の少年死亡:施設虐待問題 無断で投薬変更か 県が調査、複数の保護者証言 /千葉
袖ケ浦市の県立障害者支援施設「袖ケ浦福祉センター」の各施設で発覚している虐待問題で、複数の入所者の保護者が「子供が飲む薬について、施設から『薬を変えた』と事後報告を受けたことがある」と取材に証言した。医療の面でも不適切な支援が行われていた可能性があることから、県も事実関係の確認を始めた。

保護者の一人は、息子が自傷・他害行為や強いこだわりがある行動障害を抱えており、抗うつ剤など複数の種類の薬を幼い時から飲ませていたという。入所させる際、センターの診療室で面会した医師には「薬を変える時は、今後(保護者の)立ち会いが必要になる」と伝えられた。

だが、一度も医師に呼ばれないまま、約1年半前に医療従事者ではないセンターの支援員から電話で「薬を変えました」などと説明された。服用する薬の種類も増やしたと説明されたという。

この保護者は「息子は最近、ふらつくことがある。(センターで)飲んでいる薬の種類は把握しているつもりだが、どれくらいの量が与えられているのか全然分からない。たくさん飲んでいるのではないか」と不安を口にする。

また、センター側は、「養育園」の入所少年(19)が昨年11月に死亡した後、同園の寮に入る入所者全員を対象にCT検査を実施していたことも判明。この検査も事前に保護者への連絡はなかったという。

■2014.2.8  長崎・グループホーム火災:発生1年 防火安全月間始まる 福祉施設で避難訓練 /長崎
5人が死亡した長崎市東山手町の認知症高齢者グループホーム「ベルハウス東山手」火災から8日で1年。長崎市では7日、「福祉施設防火安全強化月間」が始まり、市内の福祉施設で避難訓練などが行われた。

17人が利用する知的障害者のグループホーム・ケアホーム「小浦の里ひまわり」(長崎市向町)では、市消防局職員の立ち会いで避難訓練。施設2階の台所から出火したとの想定で、119番通報や利用者の避難誘導など、職員が非常時の動きを確認した。福田英夫施設長は「1年前の火災が、自分の施設で起きる可能性もある。常に気をつけたい」と話していた。

◇消防局203カ所を立ち入り検査へ

市消防局は3月7日までの1カ月間で、市内の福祉施設203カ所の立ち入り検査を行う。

ベルハウスの火災では、防火扉の不備など構造違反の情報共有が、市の担当部署間で徹底されなかったことが問題になった。

「縦割り」の弊害をなくそうと、長崎市は昨年5月、福祉部、建築部、消防局で「福祉関連施設運営連絡会議」を設置。施設の課題解決などを一緒に検討するようにした。また、各部署が立ち入りなどで指摘した点や、その後の改善されたかなどを記入する共通の連絡表も作成し、施設の最新状況を共有する仕組みをつくった。グループホームなどへの3部局合同の立ち入りにも取り組んでいる。

吉峯悦子・市福祉部理事は「担当外の法令にも接することで、部署単位で入るよりも、職員の意識付けができ、見る目も養われる。施設に入る頻度も、火災前より増えるのではないか」と再発防止への思い語った。

◇「おばの死、無駄にしない」 安全最優先、広く伝えたい 遺族

グループホーム火災で亡くなった井上ハツコさん(当時86歳)のおいで大工の飯田光一さん(56)=雲仙市吾妻町。防火扉の不備など火災後に浮かび上がった諸課題に触れ、「安全を最優先させていたらあれほどの犠牲は出なかった。安心できる施設には何が必要か。行政と施設は遺族と向き合って考えてほしい」と訴えている。

飯田さんは1月、ベルハウスの経営会社の桝屋幸子代表に長崎市で初めて個別に面会した。遺族への賠償はどうなったのか。経営会社の他の施設は防火の面で改善されたのか。他の遺族の状況も聞きたかった。だが、桝屋代表からは「いろいろなことにまだ時間がかかる」と詳しい説明はなかったという。

1年前、飯田さん一家は施設から井上さんを連れ出し、長崎市の「ランタンフェスティバル」を見に行く予定だった。火災はその2日前に起きた。「外出を喜んでもらおうと計画していたのに、かなわなかった」。今も悔やんでいる。

腰より高い窓、狭い廊下、急な階段……。大工として建設現場を長年見ている目からは、ベルハウスの構造が高齢者の避難や救出の妨げになったと感じる。防火扉などに不備があったことは報道で知った。再発防止に向け、長崎市など行政の改善策を見極めていくつもりだ。

笑顔を見せる在りし日の井上さんの写真を見ながら「おばの死を無駄にしないためにも、遺族の声を広く伝えていきたい」。思いを新たにしている。

■2014.2.8  着服:知的障害者の預金を 容疑で元世話人逮捕 /長野
駒ケ根市内の知的障害者のグループホームで入所者の預金を着服したとして、駒ケ根署などは6日、松川町上片桐、パート従業員、吉川静枝容疑者(66)を業務上横領容疑で逮捕した。

逮捕容疑は、グループホームの世話人として入所者の金銭管理などをしていた2010年3月下旬から同10月上旬、複数回にわたり入所者の預金口座から現金計24万円を引き出し、着服したとしている。「全部生活費に使った」と容疑を認めている。グループホームを運営管理する県社会福祉事業団(長野市)は11年12月、入所者の預金などから計約300万円を着服したとして吉川容疑者を懲戒免職処分とし、同署に告発状を提出していた。

■2014.2.8  雪でスリップ…正面衝突で高齢の2人死亡 石川、介護施設の車
8日午前9時25分ごろ、石川県小松市東山町の国道で、高齢者を乗せた介護施設の軽乗用車と同市瀬領町、パート店員、瀬川佳代さん(27)の軽乗用車が正面衝突した。

小松署によると、介護施設の車に乗っていた同市希望丘、村口政子さん(90)と能美市末信町、小西清子さん(88)が胸などを強く打ち死亡、運転していた介護士の女性(23)と瀬川さんがけがをした。

小松署によると、現場は片側1車線の緩やかなカーブ。路面は雪の影響でぬれていた。現場の状況などから瀬川さんの車がスリップして対向車線にはみ出したとみて調べている。介護施設の車は、村口さんと小西さんがデイケアサービスを利用するため送迎中だった。

■2014.2.8  介護車の試作品が完成 阿南高専、軽量化へ協力企業募る
高齢者や障害者らを津波から守る県の「災害弱者津波避難支援モデル事業」で、阿南高専(阿南市見能林町)などが開発を進めていた高台避難用介護車の試作品が完成した。電動アシスト機能を備え、介護者が階段を楽に昇降できる。軽量化が課題で、共同研究してくれる企業や団体を募っている。

阿南高専は2013年春に県から開発委託され、校内のベンチャー企業・バンブーケミカル研究所と共同で市販のシルバーカー(高齢者用の手押し車)を改良してきた。

介護車は後輪の背部に取り付けたベルトを階段の段差に引っかけ、モーターの力で高台などに運び上げる仕組み。車体を抱え上げて運ぶより負担が少なくて済む。実験では最大55キロの男性を運ぶことができた。平時は高齢者の歩行補助車として坂道も上がれる。

目下の課題は本体の重量が25キロと重く、持ち運びしづらい点。安全面から今の耐久性を保持する必要があり、高専は金属素材の軽量化に協力してくれる企業を探している。将来的に商品化を目指しており、介護用品業界参入を検討している福祉施設も募っている。

電動アシスト機能を備えたシルバーカーは国内になく、高専は1月に特許出願した。バンブーケミカル研究所の鶴羽正幸社長は「南海トラフ巨大地震に備え、沿岸部に介護車を早急に配備するためにも実用化したい」と話している。

画像
http://social-welfare.rgr.jp/img/qqqqrqqwq.PNG


災害弱者の高台避難 阿南高専、支援道具を開発へ 2013/8/1
阿南高専(阿南市見能林町)が、高齢者や障害者などの「災害弱者」を津波から守るための避難支援道具の開発に乗り出した。シルバーカー(高齢者用の手押し車)に改良を加え、介護者が階段を楽に上り下りできる機能を持たせるほか、平時は高齢者が歩行補助車としても使えるようにする。来年3月までに完成させ、将来的には実用化を目指す。
 
県から開発委託を受け、校内のベンチャー企業・バンブーケミカル研究所が設計と製作を担当している。5月に津波減災モデル地区になっている美波町西由岐に出向いて高齢者や介護者から意見や要望を聞き、7月から開発を始めた。

幅約50センチ、長さ約50センチ、高さ約90センチでシルバーカーがベース。避難時に高齢者らを乗せてベルトで固定し、介護者2人が高台などに簡単に運べるよう改良を加える。

最大の課題は階段の上り下り。これを克服するため▽後輪の半径を階段の段差よりも大きくする▽背もたれ部分にも車輪を付けて重さを分散させる▽後輪を三つにして段差に引っかかりにくくする−などのアイデアが挙がっている。

このほか、持ち手をキャリーバッグのように伸縮するようにしたり、介護者が階段で手を放しても滑り落ちないようストッパーを付けたりといった工夫も施す。

試作品を今秋の西由岐地区の防災訓練などで使ってもらい、さらに改良を加えて完成させる。

開発には学生2人も携わっている。機械工学科5年の高川裕太さん(19)と建設システム工学科3年の西田心さん(17)は「体の不自由な人に安心してもらえるよう知恵を絞り合いたい」と話している。

画像
http://social-welfare.rgr.jp/img/qqqeqqq.PNG

■2014.2.10  <介護給付>110万円不正受給 福岡の事業者指定取り消し
福岡市は10日、介護給付費約110万円を不正受給したとして同市早良区西新の介護会社「ブラベリー」に対する福祉サービス事業者の指定を同日付で取り消したと発表した。

市によると、同社は障害者を対象とした居宅介護や重度訪問介護、同行援護の福祉サービスを提供する会社。同社は、サービス提供記録を実際に働いた人とは違う人名で作成するなどして、2012年12月のサービス実施分の介護給付費計約110万円を不正に請求し、受領した。

市は昨年2月の監査で不正事実を確認し、福岡県警にも相談。福岡・中央署は10日、市の監査に対し虚偽の答弁をしたとして同社と、同社代表の女(48)と実質的経営者の男(48)を障害者総合支援法違反の容疑で福岡地検に書類送検したと発表した。

■2014.2.10  2013年の老人福祉事業者の倒産、2000年以降で最多
帝国データバンクは、2000年〜2013年(14年間)における「医療機関※1」「老人福祉事業者※2」の倒産動向(法的整理を対象)について、調査・分析した。

病院、診療所、歯科医院が対象。「病院」=病床数20以上、「診療所」=病床数20未満で区別
養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウスを含む)、老人福祉センター、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設の運営および、移動入浴サービス、在宅介護サービス(医療は行わず日常生活の介護)を行っている事業者を対象

調査結果

1 2013年の医療機関の倒産は36件(内訳:病院8件、診療所15件、歯科医院13件)、老人福祉事業者の倒産は46件となり、病院倒産が増加(2012年:3件→2013年:8件)に転じたほか、老人福祉事業者の倒産が2000年以降で最多となった

2 2000年以降の動向をみると、倒産態様別では、診療所、歯科医院、老人福祉事業者の8割超が「破産」となった一方、病院は過半数が民事再生法となった。また、業歴別では老人福祉事業者の73.3%が「10年未満」となった

http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p140203.pdf

■2014.2.10  船橋市が小型家電リサイクル回収ボックス設置−県内初、障がい者参画事業 /千葉
船橋市役所に2月5日、使用済み小型家電の回収ボックスが設置された。

小型家電の回収事業で、自治体と障がい者団体の連携が実現するのは県内初。今回、船橋市役所の他、FACEビル5階の船橋駅前総合窓口センター(船橋市本町1)、北部清掃工場(大神保町)、東図書館1階(習志野台5)の計4カ所に設置した。
 
同事業は2013年4月に小型家電リサイクル法が施行されたことに始まる。同リサイクル法とは、使用済みのデジタルカメラ・ビデオカメラ・HDDレコーダー・ヘアアイロン・カーナビなどの小型電子機器を収集し解体分解を行い、有用な資源を再度活用するという取り組み。いずれも15センチ×30センチ以下のものが対象となる。分解・分別を行ったリサイクル品は国が認定した事業者に障がい者団体が売却し、収入にする。

これまで使用済みの小型家電は、鉄とアルミニウムのみの回収にとどまり、その他は不燃ごみとして収集され、リサイクルできる資源を活用できずにいた。法律が施行されたことから、「小型家電を収集すること」と「解体し有用資源を分別すること」は義務化され、これら一連の作業は地方自治体に任されることになった。

同リサイクル法を聞き、事業参加へと手を上げたのが県障害者福祉事業リサイクルネット事業ネットワーク協議会の理事と障がい者福祉サービス事業所であるNPO法人「1to1(わさび)」。

回収ボックスへの招集と小型家電の解体分別を行うのはNPO法人「1to1」と「光風みどり園」(大神保町)を利用する20代〜40代のメンバー。

両施設は就労継続支援(B型)として運営しており、就労経験のある障がい者に就労と生産活動などの提供を行い、知識や能力の向上のために必要な訓練を指導している。「障害を持つ方は誰かにお世話されているというイメージが多いかもしれない。社会に貢献していて働いている姿も見てほしい。それが彼らの誇りにつながるはず」と、1to1代表の武井さん。

NPO法人「1to1」では、近隣の草むしり、希望者宅のアパートの掃除、船橋のタブロイド新聞「Funaco.」配布など地域に関わる数多くの仕事に取り組んでいる。しかし屋外での作業が、体力的に難しい人たちも出てきたという。部屋の中で作業できるうえ、納期に縛られずできる仕事をと、考えていたところ、同事業の取り組みを知り、協議会で提案。何度も会議を重ね船橋市に働きかけた。後の市がこれを承諾、2月5日より正式に事業へと参加する運びとなった。

窓口となっている船橋市クリーン推進課課長の長尾さんは「有用資源をリサイクルすることで、不燃ごみは減り、その上障害を持つ方たちの安定収入も期待できるこの取り組みは素晴らしいことだと思っている。まずは船橋市で実績を作り、他の市町村へ広げていけたら」と話す。

■2014.2.10  「都有地に福祉施設」 舛添氏のアイデア、実現可能性いかに?
都有地の借地料は土地評価額に金利を掛けた額の半値と格安。都は「公募をすると、言葉は悪いが食いつきがいい」と人気の高さを説明する。

都によると、高齢者施設や保育所に適した最低限の広さは500平方メートルとされる。都内には未利用の都有地が25年4月現在で335カ所あるが、その中には道路整備で余った約1平方メートルの土地なども含まれ、使い道が限られた場所が多い。500平方メートル以上の広さとなると、多摩地域の山林も含めて全体で約90カ所に絞られ、JR山手線より内側には、ほぼないという。

江戸川区、葛飾区、足立区など下町エリアには広い土地が「それなりにある」(都担当者)が、すでに福祉施設が近くにあったり、交通の便が悪かったりするケースも多い。

福祉施設は利便性の高い市街地などにあるのがベストだ。ある都職員は「周囲の開発、送迎バスの運行などの施策を総動員させれば、見向きをされない場所のニーズが高まるかもしれないが、そこまでやるのが適当かどうか」と漏らす。

都市計画に詳しい早稲田大学の後藤春彦教授(56)は「都有地といっても交通の便が悪いようなところに福祉施設をつくっても負債が膨らむだけ。行政が戦略的に規制緩和や補助を行うなどし、民間の力を借りて中心地に福祉医療施設を誘導するようにすべきだ」と話している。

都有地の福祉施設用貸し出し

自治体の「公有財産」には使用目的の決まった「行政財産」とそれ以外の「普通財産」があり、民間に売却や貸し出しが可能な土地は、普通財産のうち当面の活用見込みがないものに限られる。東京都が平成15年以降取り組んでいる都有地の福祉目的貸し付け事業「都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業」の契約実績28件では、計約4ヘクタールが定期借地され、高齢者施設28、障害者施設13、保育所4の計施設が作られている。

東京都知事選で初当選し、10日には「次点の候補の倍以上の票をいただいたことは非常に大きい」と語った元厚生労働相の舛添要一氏(65)。公約に「待機児童ゼロ」や高齢者施設の空きを待つ「待機高齢者」の削減などを掲げて支持を受けたが、実現には施設の増設が急務だ。舛添氏は未利用の都有地に介護施設や保育所を造るアイデアを披露、「都有地は都民のものだから安い賃料で提供する」と述べるが、その実現可能性は−。

「福祉なども訴えてきたが、原発依存をやめていこうという政策も評価された。ただ、私が母の介護をしたから、介護で苦労している人はそのことだけ考えて私に入れてくれたかもしれない」。取材に応じた舛添氏は10日、社会保障の充実などが支持されたと分析。12日の初登庁後は平成26年度予算案の知事査定に着手するが、「舛添カラーが出るようにやりたい」と公約を反映させる意向を語った。

掲げた政策のうち、少子高齢化対策の一つに都有地の活用を打ち出した舛添氏。実は、都は高齢者施設は15年から、認可保育所は20年から、広さや立地が適当な未利用都有地を福祉目的で貸す事業を始めている。昨年末実績で世田谷区、墨田区などで28件の契約が結ばれているという。

■2014.2.11  老人ホーム入居権購入詐欺に注意…国民生活センター
複数の人物が役回りを演じて金融商品や事業の権利の購入などを持ちかける詐欺で、有料老人ホームなどの入居権を勧める手口が増えているとして、国民生活センターが注意を呼びかけている。

70代の女性は昨夏、自宅に老人ホームの入居権利申込書が入ったダイレクトメールが届いた後、別会社から「入居希望者が30人いるが、ダイレクトメールが届いた人しか権利を買えない。金は用意するから、人助けと思って申し込みだけしてほしい」などという電話を受けた。1口100万円の権利を30口分申し込み、後日、解約しようと業者に電話すると、損害賠償として1500万円の支払いを求められたという。

同センターによると、老人ホームなどの入居権に関する詐欺の相談は2010年4月から13年12月末までに、全国で計149件。このうち82件は昨年4月以降に寄せられた。相談者のほとんどが60代以上。実際に金を払ってしまった25人の平均額は約551万円で、最高額は2000万円だった。老人ホームなどの施設は全て実在せず、金が戻ったケースもないという。

■2014.2.11  入所者受け入れ協力を 介護施設低血糖問題 和歌山市が要請
和歌山市の介護老人保健施設「ラ・エスペランサ」の入所者が相次いで低血糖症状で病院に搬送された問題を受け、同市は10日、同施設の入所者の受け入れに協力するよう市内38施設に要請するとともに、介護老人保健施設など45施設に安全管理の徹底を通知したと発表した。

問題となった施設では昨年12月末から今月にかけて、入所する高齢の男女が次々と低血糖の症状で救急搬送された。何者かが血糖値を下げる薬を飲ませた疑いがあるとして県警が捜査を進めている。

同施設は、入所者約50人の安全確保のため、緊急的に他の施設に移すことを決定。これまでに2人が移されたが、大半の入所者は移動先が決まっていないという。

■2014.2.11  介護2割負担、対象は50万人 現役世代になお重荷 15年8月から
政府は介護保険の自己負担増を柱とする医療・介護制度の見直しに乗り出す。2015年8月から所得の高い人を対象に、介護の自己負担を00年に制度が創設されて以来初めて1割から2割に引き上げる。ただ、負担が直接増える人は現在介護を受けている人全体の10%、50万人程度にとどまる見込みで、介護費用の拡大に歯止めはかからない。現役世代の負担増の抑制にはなお課題が残る。

政府は12日に「地域における医療・介護の総合的な確保を推進するための関係法案」を閣議決定し、今通常国会で成立させる。現役世代の税と保険料からなる給付費は医療で現在35兆円、介護は8兆円に上る。

介護では、いわゆる団塊の世代が75歳以上になる2025年度には、いまの2.4倍強の約20兆円になる見通し。制度維持のためにサービスを受ける高齢者にも支払い能力に応じた負担をひとまず求める。

政府は改革の柱として、介護の自己負担上げを掲げる。従来一律1割に据え置いてきたが、15年8月以降、所得の高い人は2割に引き上げる。

いま制度を利用している人(500万人弱)の10%程度にあたる約50万人が負担増になる。退職後に年金だけで生活している人の場合、税金を引く前の収入額が「年280万円」を上回れば、2割負担になる。自営業の場合、年間の所得から経費などを差し引いた額が「160万円」以上だと2割負担になる。

個人単位で所得や収入を判断する方式にする。例えば会社員だった夫(年金で280万円)と、専業主婦の妻(同79万円)で年間収入が計359万円だと、2割負担になるのは夫のみで妻は1割となる。

現役世代にとっては、会社員の場合「40歳時点で年収1千万円以上の人」が目安になり、今後サービスを利用する場合には原則2割負担になる。

給付抑制では、全国に7千カ所以上ある特別養護老人ホームで、入所者を支援する条件を15年8月から厳しくする。いまは入所者に対し、5万円前後の食費や部屋代を補助しているが、預貯金が単身で1千万円超、夫婦で2千万円超あれば、補助を打ち切る。

このほか、特養への入所をめぐっては原則、症状の重い「要介護3」以上に制限する仕組みを15年4月から導入する。

今回の改革で、介護給付費を年1430億円抑制できると試算するが、高齢化に伴う費用の増加ペースには到底追いつかない。

一連の改革の中では、軽度な要支援者向けのサービスは15年4月から国から市町村にすべて移し、費用を効率化する計画だったが、自治体からの反発を考慮し、移す事業は当初計画から絞り込んだ。

特養ホームに入れない高齢者は東京都で4万人、全国で40万人に上るとされる。こうした待機老人問題の解消の受け皿探しのほか、在宅介護の質の向上などサービスを充実させなければならない分野もある。無駄を削り膨張に歯止めをかけながら、負担の公平さにも目配りした適正な規模でのサービス水準をどう確保するか、課題はなお多い。

■2014.2.12  大江文彦さん 障害者と共に被災地を支える建築会社社長
被災地の畑から運ぶ新鮮な野菜を売りにしたレストランが人気の商業施設「ロクファームアタラタ」を昨年秋、起業家仲間6人で宮城県名取市にオープンさせた。6億5千万円を投じた上に、従業員90人の半数に就職口の少ない障害者を雇う。

「ちゃんと働けるのか」。当初は自身も懐疑的だったが、障害者が働く飲食店を実際に見て意識は変わった。「適材適所で僕よりずっと働き者。障害者雇用を特別視すること自体が偏見だった」

本職は山形市の建築会社社長。中学の時、父親が事業に失敗し、自宅に借金取りが何度も怒鳴りこんできた。水道が止められ、食べられない日も。家出し、「山形内陸一のワル」と言われた。けんかで補導され、高校も辞めた。

大好きだった祖父の家が差し押さえられ、もっと稼いで取り戻したいと、20歳で起業した。当時は塗装業だったが、電球交換から何でもやった。「面倒をみてほしい」と警察や学校から紹介された少年たちと会社を大きくした。

東日本大震災後、農家の協力を得てすぐに炊き出しを始めた。半年で1万5千食。その後、農産物の生産から加工、販売までを手がける6次産業化を通じた被災地支援を続けてきた。炊き出しには今も足を運ぶ。「僕ら起業家だからこそできることがある。人が喜ぶ顔を見るのが大好きなんすよ」

■2014.2.12  袖ケ浦の少年死亡:施設虐待問題 少年の自傷行為誘発か 5職員配属後に症状悪化 /千葉
袖ケ浦市の県立障害者支援施設「袖ケ浦福祉センター養育園」で当時19歳の入所者の少年が死亡した問題で、死亡前に暴行していた職員5人(既に解雇)が同園に配属され始めた2011年ごろから、少年の自傷行為などの問題行動が悪化していたことが分かった。県の調査では、その頃から入所者への暴行が始まっており、職員の対応が少年の自傷行為を誘発した可能性がある。

虐待原因などを調べる県の第三者検証委員会が10日夜、記者会見して明らかにした。少年は自傷・他害行為や激しいこだわりなどを示す「強度行動障害」の傾向がある。この障害は虐待を加えるなど、支援者が不適切な対応を取ると症状が悪化すると指摘されている。

県や県警によると、少年の死因の腹膜炎は小腸に開いた穴がきっかけで、職員5人のいずれかの暴行が原因とも考えられる。一方、少年には園内の設備に体をぶつけるような自傷行為もあり、こうした行動が影響した可能性もあるという。

職員5人は男性で、うち4人が20代、1人が50代。同園を運営する法人の別施設からの異動や新規採用で11年4月から順次配属された。少年のほかにも複数の入所者への暴行が確認されている。

◇「投薬変更、連絡は事後」 施設側、医師と認識にずれ 検証委調査

入所者への投薬が保護者らに無断で変更されていた可能性が浮上した問題で、検証委は同日、「施設側は『投薬量の変更は事後に保護者へ連絡するもの』と認識していた」とする調査結果を明らかにした。

検証委が、センター敷地内の診療室に勤務する医師らに聞き取りをした。その結果、センターの支援員は「事後報告で良いと思っていた」とした一方、医師は「投薬の変更は事前説明を経て実施する」と説明したという。さらに、記録上は入所者が暮らす寮に勤務しているはずの看護師が、実際は診療室に常駐していることも分かった。

検証委の佐藤彰一座長は「寮と診療室のコミュニケーションが十分でなかったのでは。利用者がどれだけ薬を飲んでいたか、明確な記録がない可能性もある」と指摘した。

一方、少年の死亡後、同じ寮の入所者に対して実施されたCT検査については、運営法人が「保護者の承諾を得てやった」と県に説明したという。複数の保護者は毎日新聞の取材に「事前の説明は何もなかった」と話している。

■2014.2.12  訪問入浴車全台にAEDを設置、ケアサービス
訪問入浴車全台にAEDを設置
東京23区を中心に地域に根ざした介護サービスを提供する株式会社ケアサービスは、2014年2月10日(月)、同社の訪問入浴車全43台に、AED(自動体外除細動器)を設置完了したと発表した。

胸骨圧迫ナビゲート機能付きAEDを採用
AEDは、旭化成ゾールメディカル株式会社が販売する「ZOLL AED Plus」を採用。電気ショックによる除細動に加え、心停止患者の蘇生に必要な胸骨圧迫(心臓マッサージ)へのナビゲート機能を有する点が採用の決め手となった。

上級救命講習を修了したスタッフも乗車
AEDはケアサービスにおいて訪問入浴サービスを提供する全14事業所の訪問入浴車全43台の車内に設置され、迅速かつ効果的な救命措置を行うことが可能になった。

また、同社の訪問入浴車には、緊急時の応急手当やAEDの適切な利用が可能となるよう、看護師に加えて上級救命講習を修了したスタッフが乗車する。

株式会社ケアサービスについて
寝たきりの高齢者への寝具乾燥を行う事業会社として、1970年に創業。 現在は首都圏を中心に、通所介護(デイサービス)、訪問入浴、居宅介護支援などを中心とした介護事業、サービス付き高齢者向け住宅事業などを展開している。

株式会社ケアサービスのプレスリリース
http://www.value-press.com/pressrelease/121749

■2014.2.13  暴言:男児に「殺すぞ」 保育士処分検討 滋賀・近江学園
滋賀県は12日、知的障害児が入所する「県立近江学園」(同県湖南市)で、30代の保育士が小学生男児に「殺すぞ」と暴言を吐いていたと発表した。県は処分を検討する。

県障害福祉課によると、保育士は昨年12月28日午後、雪遊びをしていた男児に室内に戻るよう促したところ、男児が走り出したため、暴言を吐いたという。男児の保護者からの相談で今年1月に発覚した。県によると、保育士は他の児童に対しても含め、日常的な暴言などはなかったという。

■2014.2.13  発達障害の人の就労支援 仕事を通じ能力引き出す
障害者の法定雇用率が昨年4月に引き上げられ、精神障害者の雇用が増えている。しかし、発達障害のある人にとって、障害者手帳を取得するか、一般の就職を目指すかは難しい選択だ。障害者として働くことで、どんなサポートが受けられるのか。現場を訪ねた。

◆必要とされる喜び

3年近い引きこもりを経て、21歳で広汎性発達障害と診断された吉沢祐子さん(24)。初めて就職した「ぐるなびサポートアソシエ」(千葉市中央区)は障害者に配慮した取り組みを行う特例子会社だ。

入社から丸3年。「自暴自棄になったときも解雇せず、向き合ってくれた。給料分の働きができるようになりたい」と言い、積極的にパソコン(PC)の技術を磨く。

高校1年のとき、パニック障害で通学ができなくなった。何度か就職を試みたが、目を合わせて話すなどの接客業務が難しく本採用に至らず、医師の提案で訪れた障害者職業センターで発達障害が判明。「それまでは鬱の診断で、いつか治ると思っていました。先天的な障害と分かり、踏ん切りがつきました」と、障害者枠での就職を決意した。

入社当初は「周囲に配慮してもらうしかない」と考えていたが、職場で勧められた専門機関の訓練を受け、対人関係の苦手意識を解消。現在は業務支援システムの保守を担当する。「うまく作動しなくて呼ばれると、役に立っていると感じられる。名前を呼んでもらえ、必要とされる喜びはいいなと思います」

◆可能性を広げる

同社は親会社の飲食店検索サイト運営会社「ぐるなび」(東京都千代田区)が、増え続ける社員数に対し、障害者の法定雇用率を達成するため、平成22年11月に設立された。日報に体調や起床・就寝時間の記入欄も設け、健康状態を把握。社員の不安解消のため、面談を定期的に行うなどの取り組みを実施している。

障害者13人(25年12月10日現在)が契約社員として働き、月給13万〜16万円を得る。広汎性発達障害のある別の女性社員(33)は働きやすさを「マニュアルが整っていて(苦手とする)『見て覚える』『1回聞いてメモをとる』などの場面がない」と説明する。

業務内容は、親会社の取引先である飲食店から届く月約2万件の契約申込書の電子化からスタート。より高度なウェブ監視業務などを担当する社員が増えている一方、PCが苦手で辞めた人もいる。

このため、採用時にはPC事務でやっていく覚悟を求める。同社管理部の工藤賢治さんは「社員には業務の枠を広げる挑戦をしてもらう。可能性を広げれば面白くなり、会社のメリットにもなる」と能力を引き出す重要性を指摘する。

障害者雇用促進法の改正で、精神障害者の雇用が30年4月に義務化され、障害者としての就労機会が増えるとみられている。しかし、松為(まつい)信雄・文京学院大教授によると、発達障害のある子を持つ親は実践的なカリキュラムのある特別支援学校か、一般の学校かの選択に悩まされるという。

松為教授は「障害者として働けば法に基づくサポートが受けられるが、必ずしも一般の社員と同様には処遇が上がらない。いずれの選択肢にもメリット、デメリットがあることを専門家が示し、意思決定につなげるべきだ」と話している。

【用語解説】特例子会社

障害者の雇用に特別な配慮をして設立され、雇用している障害者を親会社やグループ企業全体の雇用とみなし、雇用率を算定できる子会社。障害者雇用促進法に基づき、一定要件を満たしたと認定される必要があり、認定企業は380社(平成25年6月1日現在)。常用の従業員50人以上の企業には障害者の雇用(法定雇用率2.0%)が義務付けられており、達成できない企業(従業員200人超)に納付金が課される一方、達成企業には調整金が支給される。

■2014.2.13  スーパー遠い…被災地の高齢者、閉じこもりがち
スーパーなどの食料品店から家が遠いほど、被災地の高齢者は閉じこもりがちになっていることが岩手大の平井寛准教授(社会環境工学)らの調査でわかった。

外出頻度が少ないほど要介護となる危険性が上がることが知られており、平井准教授は「高齢者が外出しやすい環境の整備が必要」と訴えている。

調査は岩手県陸前高田市で2012年から13年にかけて、保健師らが戸別訪問してアンケート形式で実施。自宅に住む65歳以上の2327人について、外出頻度と、自宅から食料品店や買い物バスの停留所までの距離との関係を分析した。

その結果、食料品店や食料品の移動販売車までの距離が1・2キロ以上の人は400メートル未満の人より、外出が4〜5日に1回以下で家に閉じこもりがちになる割合が、男性で約1・9倍、女性で約1・7倍高かった。買い物バスの停留所までの距離でも同じ傾向があった。

■2014.2.13  アルツハイマー原因物質を掃除…阪大教授ら発見
アルツハイマー病の原因物質が脳に蓄積されるのを防ぐたんぱく質を発見したと、大阪大蛋白(たんぱく)質研究所の高木淳一教授らのチームが発表した。

新しい治療薬開発につながる可能性があるという。13日の米医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン」電子版に掲載された。

チームは、アルツハイマー病の患者で、「ソーラ」というたんぱく質が、少ないことに着目した。

病気の原因物質「アミロイドβ」の量を一定にしたマウスに対し、このたんぱく質の量を多くしたものと平均的な量のものとで比較。その結果、たんぱく質の量が3〜4倍多いマウスは、平均的な量のマウスよりアミロイドβの蓄積量が4分の1になったという。

高木教授は「ソーラはアミロイドβの『掃除屋』となっているようだ。アルツハイマー病の発症リスクを下げる役割を果たしていると考えられる」と話す。

■2014.2.13  「虐待防止責任者」障害者施設の1割不在  北海道
北海道内157の障害者施設のうち、道条例で設置が義務づけられている「虐待防止責任者」を置いていない施設が15か所あったことが、道のまとめでわかった。

虐待防止の対策を検討する内部組織を設置していない施設も27か所あった。道はこれらの施設に対し、改善するよう指導した。

道内では昨年4月、別海町の知的障害者施設で、職員が入所女性の顔を殴るなどしてけがを負わせたことが発覚した。この施設では、虐待防止責任者や内部組織が設置されていなかったため、道は昨年11月、道が所管する157施設を対象に、虐待防止策を点検し、報告するよう求めていた。

その結果、必要な手続きを取らずに入所者の身体を拘束した施設が10か所あり、従業員への虐待防止研修をしていない施設が8か所あることもわかった。

■2014.2.13  高齢者 楽しんで脳刺激…ゲーム、運動で機能向上
自治体や企業も導入

楽しみながら脳を使おうと、考えたり瞬時に判断したりするゲームや運動が高齢者の人気を集めている。

リフレッシュや認知機能の向上にもつながると期待され、企業や自治体も積極的に取り入れ始めた。

1月下旬、高齢者を対象に、パズルゲームの体験教室が東京都内で開かれた。インターネットプロバイダーの「インターリンク」(東京)が主催。タブレット端末「iPad(アイパッド)」を使い、60、70代の12人が、同社が開発したアプリ「クルクルタイル」に挑んだ。

立方体の6面の色をそろえるパズル「ルービックキューブ」のようなゲームで、画面にタッチして、白と黄色に色分けされるなどした正方形のタイルを縦横に動かし、正解の図柄に合わせる。

同社は2013年度、大阪や鹿児島、沖縄など6か所で、同様の教室を開き、高齢者89人が参加した。参加者からは「面白くて飽きない」「頭の体操になる」との声が寄せられているという。

アプリは、アイパッドなどで無料ダウンロードできる。難易度に応じて遊べる問題集(有料)もある。

フィットネスクラブ大手の「ルネサンス」(東京)は、中高年らを対象に、「脳を活性化する」とうたったプログラムを、全国約80か所で展開している。昭和大学脳神経外科の協力を得て開発したもので、数人がチームとなって、音や色などの刺激に対応する動作などを行う。

例えば「4動作」。「右手を上げる」「左足を出す」などの動作を、1〜4の数字で覚え、数字で指示された動作を行う。指示の言葉も、数字から色や季節などに変える。単純な動作でも、複雑なルールを設けることで、脳を刺激するという。

メガネチェーンの「ゾフ」を運営するインターメスティック(東京)では、昨年7月から毎週月曜日の朝礼後、社員向けに、「4動作」などの運動を始めた。「休み明けの頭をすっきりできると、社員にも好評です」と同社。

自治体も、介護予防の一環として高齢者を対象に、歌を歌いながら体操をしたり、記憶力を頼りに近所の地図を作ったりする教室を開く。東京都目黒区や千葉県松戸市、佐賀県嬉野市などが取り組んでいる。

中高年の健康問題にくわしい筑波大学教授の田中喜代次さん(スポーツ医学)は「楽しみながら取り組めるので、自然と笑顔も生まれ、気分をリフレッシュできる。認知機能の向上や抑うつ感の低下、ストレス軽減などにつながると期待されています」と話す。今後、企業でも導入の動きが広がる、と見る。

ただし、集中力を伴う運動は、長時間取り組むと心身が疲れることもある。田中教授によると、1回あたり10〜20分程度を、継続して取り組むことが大切という。

■2014.2.14  <障害者施設虐待>検証委 外部チェックなど緊急提言
千葉県袖ケ浦市の県立障害者支援施設「袖ケ浦福祉センター」の各施設の虐待問題で、県内の有識者らでつくる第三者検証委員会は14日、センターの運営法人「県社会福祉事業団」の幹部の入れ替えや外部チェックの強化を県に求める緊急提言を行った。

同委は「緊急に改善すべき問題点」として、事業団内部で虐待防止への取り組みが不十分だったうえ、県の監査や第三者評価によるチェックが機能しなかったと指摘。「検証に結論が出るまでの間、現在入所している利用者の安全を確保する必要がある」ため、3月末をめどにまとめる中間報告に先行して緊急提言を発表した。

提言は、虐待被害者の多くが抱える「行動障害」に精通する人材を事業団以外から登用して施設長以上の幹部に就任させ、職員の意識改革を図ることを求めた。

また、入所者1人に外部の福祉専門家1人を割り当て、定期的に施設での生活状況をチェックする「パーソナルオンブズパーソン(仮称)」の導入を提案。保護者や第三者も出席する「個別支援連絡会議」を開いて、関係者間で情報共有を図ることも求めた。

記者会見した検証委座長の佐藤彰一弁護士は「(提言の内容は)可及的速やかに実施してほしい」と話した。一方で、こうした体制づくりに必要な人材の選定については県に委ねるとした。

提言について、県障害福祉課は「重く受け止めている。県ができるものは速やかに実施を検討し、事業団が実施するものについては勧告を検討したい」と話している。

■2014.2.14  <障害児通所施設>男性管理者が女児を個室で「支援」
千葉県袖ケ浦福祉センターの敷地内にあり、放課後の集団生活の場などを提供する障害児通所施設「児童サービスセンター」で2011年夏ごろから12年5月ごろまで、当時管理者だった50代の男性が自閉症の女児を個室に誘導し、支援していたことが分かった。

県は性的虐待はなかったとみているが、女性職員による支援を望んでいた保護者の意向に反する「不適切な支援」にあたるとして、運営する県社会福祉事業団に10日付で改善を指導した。

県障害福祉課によると、男性は障害児が集団生活する「プレールーム」にいた女児を個室の「個別療育室」や「静養室」で支援していた。男性は「落ち着かせるために連れて行き、見守っていた」と説明しているが、支援内容の記録は残っていない。職員の一人は「(男性は)不要と思われる時まで個室へ連れて行っていた」と証言しているという。ただ、個室のドアは開かれていたといい、女児に接触するなどの行為は確認されなかった。

今年1月下旬、事業団関係者への聞き取りで発覚。県の指導を受け、男性は13日付で別施設で管理者を補佐する役職に降格させられた。

■2014.2.14  経営状態が悪く先送りしても… 賃金不払いでクリーニング会社と社長を書類送検 大阪・淀川労基署
従業員に給料を支払わなかったとして大阪の淀川労働基準監督署は13日、最低賃金法違反容疑で豊中市向丘のクリーニング会社「ホワイトランドリー」と同社社長(39)を書類送検した。「経営状態が悪く、払えなかった。(支払いを)先送りしてもいいだろうと思った」などと容疑を認めているという。

書類送検容疑は同社の従業員2人に、昨年2月分の賃金の全額計約16万円を支払わなかったとしている。

同労基署によると、2人は障害者で家族から「給料がもらえない」などと相談が寄せられて発覚。少なくとも平成24年の秋ごろから他の従業員に対しても賃金の支払いが滞りがちになっていたとみられる。

■2014.2.15  北原佐和子 介護福祉士の筆記試験に合格 実技も「頑張る」
女優の北原佐和子(49)が介護福祉士の筆記試験に合格した。15日、自身のブログで報告した。

芸能活動の傍らで介護、ボランティアに関心を持ち、いじめや自殺のなくなる事を願い朗読会も開催している北原。「介護現場での多くの出会いが、私の潜在意識に変化をもたらしたような…そんな気がします」と過去のブログでも明かしている。雑誌にも介護をテーマにしたインタビュー記事が掲載され「便まみれになつた事いっぱいあります」「認知症の方が歩き回り一晩中休めなかつたり…」と赤裸々に語っている。

ブログ読者からも激励や質問が寄せられ、国家試験の受験票をアップし「気を引き締め、実技試験頑張ります〜」「皆さんの声援が励みになっておりました!心から感謝しています」と次の関門へのチャレンジへ意気込んでいる。

■2014.2.15  袖ケ浦の少年死亡:施設虐待問題 「幹部の入れ替えを」 第三者委、県に緊急提言 /千葉
袖ケ浦市の県立障害者支援施設「袖ケ浦福祉センター」の各施設の虐待問題で、県内の有識者らでつくる第三者検証委員会は14日、センターの運営法人「県社会福祉事業団」の幹部の入れ替えや外部チェックの強化を県に求める緊急提言を行った。

同委は「緊急に改善すべき問題点」として、事業団内部で虐待防止への取り組みが不十分だったうえ、県の監査や第三者評価によるチェックが機能しなかったと指摘。「検証に結論が出るまでの間、現在入所している利用者の安全を確保する必要がある」ため、3月末をめどにまとめる中間報告に先行して緊急提言を発表した。

提言は、虐待被害者の多くが抱える「行動障害」に精通する人材を事業団以外から登用して施設長以上の幹部に就任させ、職員の意識改革を図ることを求めた。

また、入所者1人に外部の福祉専門家1人を割り当て、定期的に施設での生活状況をチェックする「パーソナルオンブズパーソン(仮称)」の導入を提案。保護者や第三者も出席する「個別支援連絡会議」を開いて、関係者間で情報共有を図ることも求めた。

記者会見した検証委座長の佐藤彰一弁護士は「(提言の内容は)可及的速やかに実施してほしい」と話した。一方で、こうした体制づくりに必要な人材の選定については県に委ねるとした。

提言について、県障害福祉課は「重く受け止めている。県ができるものは速やかに実施を検討し、事業団が実施するものについては勧告を検討したい」と話している。

◇女児を個室に誘導 男性管理者、降格処分に

袖ケ浦福祉センターの敷地内にあり、放課後の集団生活の場などを提供する障害児通所施設「児童サービスセンター」で2011年夏ごろから12年5月ごろまで、当時管理者だった50代の男性が自閉症の女児を個室に誘導し、支援していたことが分かった。県は性的虐待はなかったとみているが、女性職員による支援を望んでいた保護者の意向に反する「不適切な支援」にあたるとして、運営する県社会福祉事業団に10日付で改善を指導した。

県障害福祉課によると、男性は障害児が集団生活する「プレールーム」にいた女児を個室の「個別療育室」や「静養室」で支援していた。男性は「落ち着かせるために連れて行き、見守っていた」と説明しているが、支援内容の記録は残っていない。職員の一人は「(男性は)不要と思われる時まで個室へ連れて行っていた」と証言しているという。ただ、個室のドアは開かれていたといい、女児に接触するなどの行為は確認されなかった。

今年1月下旬、事業団関係者への聞き取りで発覚。県の指導を受け、男性は13日付で別施設で管理者を補佐する役職に降格させられた。

■2014.2.15  特別養護老人施設:高砂の付近住民、建設に反対運動 着工めど立たず きょう説明会 /兵庫
高砂市が公募し中島3の住宅街民地に計画された市民専用の特別養護老人施設の建設に、住民の反対運動が起き工事の見通しが立たなくなっていることが分かった。

計画によると、施設は尼崎市の社会福祉法人博愛福祉会の仮称「サンホーム高砂」(敷地1874平方メートル=49年11カ月借地、4階建て延べ2821平方メートル)で9月完成予定。29人の入所を見込んで、将来は認知症者の受け入れも予定されている。これに、市では昨年12月議会で1億1600万円の建設補助金が可決された。

反対運動は昨年12月1日の法人による地元説明会で顕在化、計画地付近約100世帯の一部から声が上がったという。市への反対意見は▽施設性格への嫌悪▽電波障害▽交通増▽日照悪化などの迷惑観点からとしている。14日、法人は毎日新聞の取材に対し、態度を明らかにしていない。一方、付近住民に聞いたところ「反対意見のある住宅地に建てなければならないほど緊急性があるのか」「私もお世話になるかも知れないし近くにあれば助かる」「もめ事の原因になりそう。別の場所で計画し直して」「家から遠いしあまり意識しない」など、年齢、性別、家族構成、計画地との距離によって見方が異なっている。

説明会は15日にも予定されているが、担当の市福祉部では「反対意見は根強い」とみている。また「市内には108人の入所待機者がおり、他の建設場所があれば、それでもよいと考えている」現状だ。

■2014.2.15  住民同士の介護10年 江戸川のニュータウン NPO設立 家事・外出支援
住民の高齢化が進む江戸川区の「なぎさニュータウン」(南葛西7)で、住民有志がNPO法人を設立し、介護保険事業に乗り出して今年で10年になる。高齢者が安心して暮らせる街づくりを目指し、家事や外出の支援なども行ってきた。住民同士が助け合う共助の精神に、専門家は「高齢化社会に対応した取り組みとして注目される」と指摘している。

なぎさニュータウン内にあるNPO法人「なぎさ虹の会」の施設に、デイサービス利用者約10人の歌声が響いた。いずれも介護を必要とする高齢の住民らで、リハビリなどを受けた後、最後に全員で歌を歌って帰っていく。「今日は元気ね」「ありがとう」。室内にはお年寄りやスタッフの笑い声がこぼれた。

虹の会が活動を始めたのは2005年。当初は住民有志が高齢者の買い物に付き添ったり、家事を代行したりしていたが、高齢者から介護サービスを求める声が高まり、法人化に踏み切った。外部からヘルパーやケアマネジャーを雇い、都から介護保険事業者の指定を受けて、会員への訪問介護や在宅介護などの介護保険事業に取り組んでいる。

当初は、ボランティアも含めてスタッフ約40人の小所帯だったが、現在は約150人に拡大。利用者は近隣住民にも広がり、会員数はこの10年間で約300人から約470人に増えた。

なぎさニュータウンは、1977〜82年に約1500世帯が入居した分譲マンション。当時、入居者の多くは30〜40歳代だったが、2010年国勢調査によると、なぎさニュータウンが人口の大半を占める南葛西7丁目は、65歳以上の高齢者が全体の26・2%を占めるまでになった。なぎさニュータウン管理組合の村瀬達海事務長(64)は「来年の国勢調査では約35%が高齢者になる」と予測する。

虹の会の池山恭子会長(73)は「住民が『ついの住み家にしたい』と思えるような街づくりを目指してきた。今後は若い世代にも、会の活動への協力を呼びかけたい」と話している。

■2014.2.16  高砂の特養問題:市と交渉へ 建設反対の住民が方針 /兵庫
住民の反対運動が起きた高砂市中島3の住宅街に計画された4階建て特別養護老人施設について、住民側は市の公募施設(市予算1億1600万円)のため市と直接交渉する方針を固めた。

15日、計画事業者の社会福祉法人博愛福祉会(尼崎市)の説明会後、毎日新聞の取材に明らかにされた。説明会は約40人が出席。意見交換は賛否を中心に平行線だったが、昨年12月1日の初説明会以降、近隣約100世帯で日照悪化や電波障害、施設の性格などを理由に建設場所を変更するよう求める意見が多くなっている現状が浮き彫りとなった。

一方、市福祉部では14日の取材に「初回説明会に市は出席していない。15日も出席しない。理由は法人から状況報告は受けているし、法人の仕事だから」の姿勢だ。このため、会場に市職員の姿はなく、住民からは「多額の予算を税金で組みながら、様子も見に来ないのか」など、行政不信の声が聞かれた。

■2014.2.16  「優しくしたいが怒鳴ってしまった…」介護者らの悩みに寄り添うカフェがオープン 和歌山
家族の介護や福祉の仕事に携わる人たちの精神的負担を和らげてもらおうと、ボランティアが話を聞いたり、利用者同士で情報交換したりする「ケアする人のためのカフェ ぼちぼちIKOKA(いこか)」が15日、和歌山市のJR和歌山駅前のみその商店街の一角にオープンした。担当者は「気軽に立ち寄って、心をリフレッシュしてもらえれば」と利用を呼びかけている。

高齢者が高齢者を介護する「老老介護」が問題となるなか、「共助のまちづくり協会」と「和歌山高齢者協同組合」、NPO法人「こみゅにけーしょんサポートかるっちゃアカデミー」が共同で運営。昨年開かれた介護者らを対象にしたセミナーで、「優しくしたいが怒鳴ってしまった」など切実な相談が寄せられたこともあり、「何気ない日々の気持ちを打ち明けて、少しの時間でもほっと安心できる場所を作りたい」とカフェを開設した。

共助のまちづくり協会の島久美子理事長は「気持ちを聞いてもらうことは大きな支え。このカフェに立ち寄って、『ぼちぼちいこか』と思ってもらえたら」と話していた。

■2014.2.17  障害者の幸福、低賃金では… 施設職員に奮起促す 亀岡でセミナー
障害者の就労について考える「南丹圏域障害者就業支援セミナー」が15日、京都府亀岡市余部町のガレリアかめおかであった。積極的な事業展開で、働く障害者に最低賃金を保証しているNPO法人代表の講演などを通して、参加者が障害者雇用の在り方を考えた。

なんたん障害者就業・生活支援センター(同市千代川町)が開いた。基調講演では、カフェやギャラリーを運営し、障害者125人に最低賃金を保証しているNPO法人「ワークスみらい高知」の竹村利道代表が話した。

竹村代表は、障害者が低賃金の単純作業に甘んじている現状を施設職員がまず否定することが必要と強調。福祉を売り物にせず、高い品質とサービスで売り上げを伸ばすことが、障害者の真の幸福と社会参加につながるとした。「『できない』ではなく、『どうやれば障害者ができるか』を考えてほしい」と施設職員に奮起を促した。

障害や難病を抱えた当事者からの発表もあり、発達障害の男性が周囲の無理解から職や施設を転々とした苦労や、仕事ぶりが認められた時の喜びを語った。

■2014.2.17  働く障害者が労組設立 環境改善へ「相談窓口に」 
働く障害者に特化した日本初の労働組合「ソーシャルハートフルユニオン」(東京都豊島区)が昨年12月、設立された。働く障害者のための環境整備が進む一方、課題は多い。同ユニオンの石崎真一執行委員長は「働く障害者の相談窓口となっていきたい」と話している。

◆我慢してしまう

 働く障害者を巡る環境は近年、急速に変化してきた。昨年4月には民間企業の障害者に対する法定雇用率が1・8%から2%へアップ。さらに、日本は今年1月、障害者への差別を禁止し、社会参加を促す「障害者権利条約」の批准書を国連に提出。今月19日から発効する。

障害者の労働環境が整っていく中、働く障害者は40万人に上る。石崎執行委員長は「働く障害者は企業内ではごく少数しかいない。障害者の声が届きづらい現状がある」と説明する。

公務員や一部上場企業など恵まれた環境で仕事ができる障害者もいるが、日常的に差別や虐待を受け、過酷な労働環境下に置かれているケースもあるという。

不当な低賃金労働をさせられているケースもある。ある知的障害者の男性は、入社当初は10万円以上あった給与が理由もなく減額され、数万円しか支給されなくなった。給与明細もまともにもらっていない。「何かあっても子供は親を心配させたくないと思って黙ってしまう。親も、日中働ける所があるなら、と我慢してしまうケースも多い」と石崎委員長は指摘する。

石崎委員長自身も障害者の家族として、働く障害者の苦悩に直面してきた。長男が知的障害を持ちながら働いているが、「長男は職場に希望や要求を出したことはありません。『合わなければ退職して結構です』と言われることが分かっているからです」と話す。

◆外部に評価委

一方、企業側も雇用条件に対する不安や課題の多さに困惑しているという実情がある。石崎委員長は「何か言ったら差別になるのではないか、などの不安を企業も持っている。対立が目的ではなく、ユニオンが入り、ワンクッションを置くことで、問題解決に向けて企業と働く障害者の橋渡しができれば」と話す。ユニオンが間に入ることで個別の労使紛争を未然に防ぐことが可能だという。

団体交渉だけでなく、障害者の交流の場や情報交換のための活動も行う予定だ。諮問機関として、有識者による評価委員会を外部に設け、企業側の要望に応えたり、行き過ぎた組合活動を防いだりする仕組みも整えた。

評価委員の一人で、働く障害者団体協議会の藤代洋行会長は「働く障害者は身近に同じ立場の人がいないため、孤立しやすい。ユニオンがあることで情報交換もできるし、労働の専門家が集まることで解決の可能性も高まる」と期待を込める。

■2014.2.17  2040年の鹿児島市 65歳以上42%増
鹿児島市の65歳以上の人口は2040年までに42%増え、北部の住宅団地で高齢化が深刻になる――。

日本政策投資銀行南九州支店(鹿児島市)が行った人口構造に関する調査で、そんな将来像が浮かび上がった。同支店は、都市型の限界集落ができる可能性があるとして、対策の必要性を指摘している。

◇政投銀調査 都市型限界集落の可能性「対策が必要」◇

10年の国政調査などを基に、県内各市町村の人口構造が10年から40年まで30年間にどのように推移するかを算出した。

それによると、65歳以上の人口増加率は、鹿児島市が42%と県内全市町村(平均9%)で最も高かった。こうした傾向が予測されるのは、地方は既に高齢化が進んでいる一方、県都はまだ若い世代が多いためだという。

鹿児島市内に関しては、5ヘクタール以上で形成している59か所の住宅団地別でも30年間の推移を予測した。

住宅団地は同世代が一斉に暮らし始め、子ども世代が成長して出て行くため高齢化しやすい。古い団地ほど高齢化することになり、整備完了後40年以上がたった市北部の城山団地や玉里団地は65歳以上の構成比が目立って高い結果となった。

整備完了後30年以上がたった団地も39か所あるうえ、どの団地でも住民の入れ替わりがなければ、将来の高齢化は避けられない。さらに、高齢化が進展すると、公共施設の老朽化や空き家の増加、商店の撤退による利便性の低下、地域コミュニティの停滞なども懸念される。

同支店の紀芳憲次長は「今後、高齢化が進んでいる地域をモデルケースに知見や対策のノウハウを蓄積することが望ましい」としている。

■2014.2.17  報・連・相(ほうれんそう)を禁止せよ 決断力のない上司が部下に求める無駄な作業
社員間の円滑なコミュニケーションで組織力を高めると期待された「報・連・相(ほうれんそう)」もその1つ。IT化の進展や携帯、スマホの登場などコミュニケーションツールも増え、企業は益々、声高に「報・連・相」の重要性を叫ぶようになった。だが、目的を誤ると、思わぬ罠に陥る。


「今、名古屋駅です。これから新幹線で戻ります」

出張先から携帯やスマホで上司に連絡を入れる。常に自分の居場所を上司に知らせるのはビジネスパーソンの基本。ごくありふれた光景に映るだろうが、こうした連絡を全社的に禁止しているのが岐阜県にある未来工業だ。

「小学生ではあるまいに、なぜ、いちいち連絡をしてくるのか。通話料も無駄だし、かけてくる社員の時間はもちろん、受ける事務員の時間も無駄」とばっさり切り捨てる。

それだけではない。数年前、同社では営業日報も廃止した。

山田雅裕社長は「『どこどこを訪問してカタログを置いてきた』といった報告を書かれてもなんの参考にもならない」と廃止した理由を語る。

多くの職場で「報・連・相シンドローム」が起きている

報告、連絡、相談のそれぞれ一文字目をつなげた「報・連・相(ほうれんそう)」。この“経営ワード”が世に広まるきっかけとなったのは1986年のこと。当時、山種証券の会長だった山崎富治氏が自身で実践した「ほうれんそう運動」の経験をまとめた書籍『ほうれんそうが会社を強くする』を出版、大きな反響を呼んだ。

1986年は昭和61年。日本経済はバブルを迎え、日本企業の歯車はどこかきしみだした。そして平成に入り、バブルは崩壊した。業績が急降下するばかりではなく、社内からバブル時代のさまざまな問題が表面化してきた。

この状況を乗り切るには、まずは社内の透明化を図り、バブル時代の膿を出した上で、社員の結束を強めるほかにない。大きな投資がなくとも始められる「報・連・相」に多くの企業が飛びついた。

そして「報・連・相」はIT(情報技術)化の進展ともに進化した。パソコンとインターネットの普及によりメール、グループウエアなど情報共有のためのツールも発達した。さらにスマホの登場により、いつでもどこでも報・連・相が可能になった。

だが、商店街の活性化事業を手掛けITネットワークに詳しい木下斉、エリア・イノベーション・アライアンス代表は「ITシステムを入れて「報・連・相」させればコミュニケーションが図れるというのは幻想だ」と断言する。

木下氏は街の活性化事業などで外部と連携してプロジェクトを進めることが多い。ビデオ会議やSNS、クラウドサービスをフル活用して効率的に仕事を進めている。その木下氏が「報・連・相」を批判するのは、そもそも目的をはきちがえている管理職を多く目にしているからだ。

ccメールなんて誰も見てない

木下氏は「昭和から平成になり景気が悪化すると、リーダーは『決断して失敗する』リスクを避け、決断を先延ばしするようになった。会議では部下に意見を発表させるが何も決断しない。『各部署に持ち帰ってさらに検討せよ』が結論でこれが繰り返される。会議のたびに上司は部下に『報・連・相』を求める」と多くの職場で目にした状況についてこう語る。

さらに「会議がどんどん増えるので『報・連・相』は乗数的に増える。上司は部下に『報・連・相』を指示することが仕事となり、部下は『報・連・相』のための書類を作ることが仕事となる。『報・連・相シンドローム』と呼ぶべき状況だ」と指摘する。

こうなると部下は疲弊して大変だと思うかもしれないが、実は、部下にとってもこの終わりのない「報・連・相」は楽な側面もある。「どうせ上司は中身を見ない。見たとしてもどうせやり直しを命ぜられる。ということは、報告さえすればいい」と考える。そして「あとは、いかに手を抜くか」のみを考える。以前の報告書をコピペしてちょっと文言を書き換える、または見栄えをよくして内容はあまり変えないなど小手先の「報・連・相」テクニックで乗り切れてしまう。

あとは「ccメール攻撃」。取引先のやり取りなどで上司にccメールを送り、報告を済ませてしまう。

「上司も『ccメールばかり来てうんざりだ』などと部下を非難する前に、まずは自分自身の振る舞いをチェックした方がいい」(木下氏)

社外との無用な「報・連・相」も排除

未来工業の山田社長に「『報・連・相』も禁止、営業日報もない。それでは部下の動きが分からなくなってしまうのではないか」という質問を投げかけてみた。その回答は以下だ。

「上司の仕事は部下の様子を観察して、話しかけるなどして情報を聞き出すことだ。昭和の会社はそれが当たり前だったし、それができない上司は仕事をしていないのと同じことだ」

同社ではさらに3年前、すべての営業スタッフのパソコンを取り上げ、処分した。その数、83台。取引先との連絡でメールに頼ってしまう社員が目についたからだ。社内だけではなく、社外についてもできるだけ無用な「報・連・相」を排除する考えだ。

住宅やビルなどの電気設備資材を製造する同社にとって、新製品を生み出す技術開発力こそが会社の命綱。そして、それは営業スタッフが取引先と交わす生の会話に多くのヒントが隠されている。

そう考えるからこそ、同社ではあえて「報・連・相」を禁止しているのだ。

「報・連・相」を提唱した山崎富治氏が会長を務めた山種証券はバブル崩壊後、含み損を抱えた有価証券を転売する「飛ばし」問題が発覚し、経営危機に陥った。そして山崎氏自身、その責任をとって92年に会長を辞任、93年には取締役を退いた。

だが、「報・連・相」だけはその後、むしろ導入する企業が増えたように見える。

安易に「報・連・相」を導入していないか。今一度、見直してみる時期に来ている。

■2014.2.18  <介護報酬を不正に請求>訪問介護事業所を指定取消処分――高松市
高松市は、2月13日、介護報酬を不正に請求・受領したことを理由に、市内の訪問介護事業所を指定取り消しにすると発表した。取り消し日は2月28日。

同市は今後、不正に請求・受領した介護給付費と加算額を返還させる。

■事業者の名称:有限会社アイニー(代表者・取締役 田中 仁)
■事業者の所在地:高松市木太町1945番地25
■事業所の名称:アイニー介護サービス
■事業所の所在地:高松市木太町1945番地25
■サービスの種類:訪問介護・介護予防訪問介護

■処分の理由
・不正請求
2012年11月から12月にわたり、訪問介護を提供していないにもかかわらず、提供したとする訪問介護日誌を作成し、介護報酬を不正に請求した。

・虚偽の報告、答弁
2013年、同市の立入検査にて、虚偽の訪問介護日誌を提出した。また、同市の検査にて、実際には提供していない指定訪問介護について提供したとする虚偽の答弁を行った。

■2014.2.18  食料底つき、燃料残りわずか…大雪で孤立の特養
関東甲信から東北地方を襲った大雪により、18日も山間部での孤立状態や、物流の混乱が続いた。

埼玉県秩父市大滝地区の特別養護老人ホーム「大滝・桜の園」では、通常の食料品が底をつき、備蓄していた缶詰やレトルト食品を食べ始めたが、3日分しかない。短期入所者を含め56人の利用者がいるが、暖房用の灯油は1週間分、プロパンガスも5日分ほどしかない。水道も使えず、悲鳴を上げている。

同施設事務長の黒沢登明さん(61)によると、周辺は深い所で1メートル以上の積雪があるという。体調を崩した人はいないが、何かあっても病院にすぐに連れていけないのが不安だという。黒沢さんは「一刻も早く道路と水道を復旧してほしい」と訴えている。

■2014.2.18  大量残雪、福祉ケア阻む 悪路で送迎できず  ヘルパー、徒歩で訪問
大雪の影響は県内の介護現場にも影を落としている。郡内地方を中心に、送迎ができないことを理由に開所できないデイサービスが続出。甲府市では、ホームヘルパーが雪かきをしながら徒歩で利用者の家を回るなどの対応に追われた。

県内10カ所でデイサービスを運営する「やさしい手甲府」(本部・甲府)は15日から、利用者の宿泊を受け入れた4カ所を除き、送迎や食材の確保ができないため休止した。約260人が利用する甲府市の配食サービスも、弁当を作る業者が食材を手配できず、17日は行わなかった。

一方、荒川ホームヘルパーステーション(同市)は、配食サービスが受けられない高齢者に食事を作るため、急きょ訪問するなどの対応に追われた。雪で車が通れない道路も多く、ヘルパーは雪かきの道具を片手に徒歩で回った。

1人暮らしの認知症高齢者ら介護の度合いが高い人を優先し、1日の訪問件数は平常時の半数程度。土屋いづみ所長は「体調を崩す利用者は出ていないが、訪問できていない人もいて心配」と話す。

「おおくにいきいきプラザ」(同市)は、車が利用できないため看護師やヘルパーの訪問が十分にできず、17日から利用者約10人に宿泊してもらう対応を取った。雪や路面の状況をみながら1週間程度受け入れる。

身延、早川両町では国道や県道が通行止めのため、デイサービスや訪問介護、配食サービスが行われておらず、再開の見通しも立っていない。

富士吉田、都留、笛吹3市のデイサービスでも、送迎ができないことから休止が相次いでいる。

ヘリで病院へ搬送 透析患者「治療行けない」

大雪の影響で、定期的に治療を受ける必要がある人工透析患者の治療に影響が出ている。医療機関に向かうことができない患者をヘリコプターで搬送したのをはじめ、透析専門のクリニックは患者からの問い合わせや治療スケジュールの調整に追われた。

丹波山村内では、道路が雪で閉ざされて村外に出られないため、自衛隊に救助を要請。17日午前、村内の人工透析患者男性(53)を甲府市内の病院にヘリで搬送した。

人工透析治療を行っているすずきネフロクリニック(甲府市塩部1丁目)や、まつした腎クリニック(昭和町押越)は、大雪に見舞われた15日の透析治療を見送り、通常行っていない日曜日(16日)などに振り替えた。

すずきネフロクリニックでは、担当者が患者の透析の頻度や体調に応じたスケジュール変更などに追われた。担当者は「透析を受けている人の健康に差し支えないように配慮しながら、調整していきたい」と話した。

透析が欠かせない患者が治療を受けられないと、血中のカリウムの値が高くなり、心臓病など深刻な症状に陥る危険があるという。

県健康増進課は、(1)ごはんやパンを中心にエネルギーをしっかりとる(2)タンパク質は控えめに(3)干した食品や野菜ジュースなどカリウムの多い食品は控える(4)缶詰やカップ麺など塩分の多いものは控える−といった注意点をホームページで公開した。

農業施設の被害甚大 出荷、春先まで打撃

大雪に見舞われた山梨県内で、果樹や野菜を栽培するビニールハウスの多くが倒壊し、温室で栽培する農産物の出荷量が大きく落ち込む見通しとなった。峡東地域のブドウや桃農家のビニールハウスは7〜8割が壊れ、中北地域ではトマトやトウモロコシなどの被害が深刻。選果作業をする共選所の屋根が壊れた山梨市では、春先の出荷作業に影響が出る恐れが出ている。

峡東地域では4月からブドウのデラウエアや桃の日川白鳳などの出荷が始まる。被害状況を確認するため、横内正明知事は近く峡東地域でハウスの倒壊現場を視察する予定で、県農業技術課は「この時期にハウス内を加温できなければ、生育への影響は避けられない。甚大な被害が出る可能性がある」とみている。

イチゴ農園が軒を連ねる甲府市小曲町では、農家15戸(4ヘクタール)のビニールハウスが倒壊。このうち、石原観光農園では、雪の重みで長さ約75メートルの四つのビニールハウスがM字型につぶれ、食べ頃のイチゴが雪の下敷きになった。園主の石原光子さん(76)は「商品価値がなくなった」と悔しさをにじませた。

一方、JAこまのによると、南アルプス市藤田や南湖地区を中心にトマトやキュウリなどを栽培するビニールハウスに被害が集中。全壊は33件、半壊は22件に上り、市内で野菜を栽培するハウスの半数以上が被害を受けたという。

甲府市西油川町の約80アールの畑でトウモロコシを栽培する飯田裕さん(65)は、二重構造のビニールトンネルの大半が壊れたといい、「水分を含んで種が腐ってしまう。昨年の凍霜害もひどかったが、当時とは比べものにならない大きな被害が出る」と肩を落とした。

一方、JA共選所の倒壊も相次いで確認された。JAフルーツ山梨の山梨共選所(山梨市落合)では屋根が崩れ落ち、光センサーで桃の糖度や大きさを判別する選果機やブドウの計数器が壊れた。JAは復旧を急ぐ方針だが、「4月の出荷開始には間に合わない」(同JA)。JA甲府市の甲運共選所はほぼ全壊し、建て替えを検討している。

■2014.2.18  介護福祉士:資格取得の長期研修 義務付け延期
厚生労働省は介護福祉士の国家資格取得を目指す人に長時間の研修などを義務づける時期を1年延期する方針を決めた。資格を目指す人が減り、介護の人材不足が一層深刻化しかねないと判断した。以前も2012年度から15年度に先送りしており、延期は2度目。

現在、介護福祉士の資格を得るには(1)3年以上の実務経験を積み、その後国家試験に合格(2)福祉系の大学や専門学校を卒業−−などのルートがある。ただ、専門性を高める必要があるとして07年の法改正で、12年度以降、実務経験者が国家試験を受ける場合は600時間以上の研修受講を義務付け、福祉系の学校を卒業した人にも、研修は不要ながら国家試験への合格を条件とした。

ところが、介護現場や与党から「介護人材の確保が困難になる」との声が強く上がり、この時は実施を15年度に延ばしたうえで、研修時間を450時間に短縮した。今回も実施が迫ると、与党から再び同様の懸念が示され、厚労省は再延期を決めた。関連法案を通常国会に提出する。この間、人材確保対策も検討する。

■2014.2.18  女介護士…実はスリ パチンコ店で足不自由な高齢女性介抱装い 和歌山
和歌山県橋本市内のパチンコ店で、高齢女性を介抱するふりをして女性のバッグから財布を盗んだとして、県警橋本署は17日、窃盗容疑で同市高野口町名古曽の介護士、川植慶子容疑者(58)を逮捕した。容疑を認めているという。

逮捕容疑は昨年3月23日午後5時15分ごろ、橋本市内のパチンコ店で、店内で知り合った足の不自由な同市内の女性(85)に寄り添い、手助けするふりをして女性の持っていたショルダーバッグから現金約5万円の入った財布を盗んだとしている。

同署によると、店内で女性が財布がなくなっているのに気づき、店が同署に通報したという。

■2014.2.18  埼玉・春日部特養老人ホーム 死亡女性の遺族が検察審査会に不服申し立て
埼玉県春日部市の特別養護老人ホーム「フラワーヒル」で平成22年、入居者が相次いで死傷し、元職員の大吉(おおよし)崇紘(たかひろ)被告(30)が逮捕された事件で、不起訴となった傷害致死事件の被害者とされた女性=当時(78)=の次男(46)が処分を不服とし、さいたま検察審査会に審査を申し立て、17日付で受理された。

県警は昨年12月、大吉被告が22年2月16日に女性を殴り、死なせた傷害致死容疑で書類送検。さいたま地検は「犯罪行為を立証しうる十分な証拠が認められなかった」と判断し、不起訴処分としていた。

フラワーヒルでは22年2月、4日間にこの女性を含め入居者3人が死亡、1人が重傷を負った。県警は3件の死傷事件に大吉被告が関与したとして立件。地検はこの女性の傷害致死事件と、別の女性入居者=同(84)=の傷害事件を不起訴としていた。

次男は取材に「検察は不起訴ありきで捜査をしていた。大吉被告は自供していると聞いた。なぜ起訴できないのか」と話した。

検察審査会は検察の刑事処分が適切か審査する。同会が不起訴不当を議決すれば、地検は再捜査して改めて処分を決定する。

■2014.2.19  <サ計画未作成>不正請求で居宅介護事業所を指定取消――愛媛県
愛媛県は、2月13日、介護報酬を不正請求したとして、西条市内の指定居宅介護支援事業所を指定取り消し処分にしたと発表した。処分は同日付け。

県は、今後、西条市分259,000円・四国中央市分85,000円の計344,000円(介護保険法の規定により、不正請求の返還請求は過去2年分ため)の返還を求める。

■事業者の名称:つばき合同会社(代表社員 柳瀬恵子)
■事業者の所在地:西条市壬生川44番地
■事業所の名称:ケアサポートプラン椿
■事業所の所在地:西条市壬生川44番地
■サービス種別:居宅介護支援

■処分の理由
・不正請求
2011年11月から2013年11月までの間、8名の利用者に対する居宅サービス計画を作成していない月があるにもかかわらず、居宅介護サービス計画費計377,500円を不正に請求し、受領した。

■2014.2.20  県議会:開会 「改めておわび」 障害者虐待問題で知事 /千葉
県議会の2月定例県議会が19日開会し、森田健作知事は冒頭、袖ケ浦市の県立障害者支援施設「袖ケ浦福祉センター」の各施設で虐待が相次いで発覚したことについて、「施設の利用者や県民の信頼が損なわれている中、更にこのような問題が確認されたことは誠に遺憾であり、心からおわび申し上げる」と述べ、改めて謝罪した。

森田知事は「(利用者の少年が死亡した)養育園以外の施設でも虐待が行われていたことや、管理運営体制に問題があったことなどが新たに発覚した。(虐待原因などを調べる)第三者検証委員会の検証結果を踏まえ、二度とこのようなことが起こらないよう、県民の信頼回復に全力で取り組む」と述べた。

■2014.2.20  防災情報タオル:障害者ら津波防災タオル製作 高台避難呼びかける標識デザイン 宮古 /岩手
津波警報が発表された時、津波浸水区間にいる人に高台避難を呼びかける防災情報タオルを、社会福祉法人自立更生会「宮古アビリティーセンター」(宮古市板屋)が製作、20日発売する。

体に障害のある人たちが自立を目指す通所施設の同センターが東日本大震災で減った工賃収入を少しでも増やし、防災にも役立ててもらおうと、岩手大地域防災研究センターや震災を考えるグループ「かかしの会」などの協力を得て企画した。

「絆・伝える」と名づけたタオルは縦34センチ、横84センチ。被災した陸前高田市から久慈市までの県沿岸部をデザインし、「津波浸水区間」と「津波避難場所」のマークを紹介。「地震!海岸線 津波警報発令!」「この標識に注意!」「すぐ安全な場所に☆」と喚起し、県立宮古商業高校美術部の佐々木遥さん(18)が描いたイラストの「みなとちゃん」が看板を掲げて避難を呼びかけている。

同市茂市の同センター食堂・販売施設「あびさぁべ」で19日にあった発表会で越田孝弘センター施設長は「一人でも多くの人に手に取ってもらい、防災意識を高めてほしい」と期待し、佐々木さんも「分かりやすい図柄になった」と話した。

同センターや「あびさぁべ」、市内の道の駅などで650円(税込み)で販売する。

■2014.2.20  診療報酬2億6983万円不正、福岡・岡垣記念病院
九州厚生局は19日、福岡県岡垣町の「医療法人社団清涼会 岡垣記念病院」が診療報酬を不正請求し、約2億6983万円を受け取っていたとして、保険医療機関の指定を取り消すと発表した。

同病院に入院中の約90人は転院などの措置が必要なため、取り消し日は6月1日とする。

発表によると、同法人は2009年9月〜12年8月、診療報酬が高くなるよう不正に請求。実際には一般病棟に看護職員が10人しかおらず、1人当たりの月平均夜勤時間も100時間を超えていたのに、診療報酬がより高くなるよう、12人以上の配置があったように装ったり、勤務表を改ざんするなどして72時間以下だったと虚偽報告したりした。

病院側は「移転・新築を行った際、多額の借入金が生じ、収入を減らしたくなかった」と話しているという。

■2014.2.20  “共助の精神”根付く トイレの貸し出しや除雪に協力
県内を襲った大雪は交通網がまひするなど県民生活に大きな影響を及ぼしたが、その半面、道路で立ち往生した運転手への支援やトイレなどの貸し出し、除雪に協力して取り組む人の姿が各地で見られた。東日本大震災で芽生えた「共助の精神」が住民間に根付いていることを証明した格好となった。

福島市南部の国道4号福島南バイパスと平行する市道(旧国道4号)。認知症高齢者向けのグループホーム「フクチャンち」は、身動きができないドライバーや徒歩での帰宅者に施設を開放した。簡易看板を掲げて周知、トイレを貸し出し、食料も提供した。管理者の成田絹子さん(62)や職員の介護支援専門員星拓大朗(たくたろう)さん(29)によると、早めの判断が奏功したという。「震災時に民間の避難所として果たした経験が生きた」

親類の葬式参列のため、同市の勤務先から郡山市の自宅に向かっていた会社員橋本泰嗣さん(53)は、国道4号で約36時間にわたって立ち往生した1人。「幸いにもパンなどを買っていたが、近くに止まっていた人からドーナツを分けてもらった」と振り返った。「沿線住民が炊き出しもしたと聞いた。ありがたい」と感謝した。

■2014.2.21  老人福祉事業の倒産、介保法導入後で最多−昨年だけで46件、帝国データバンク調査
昨年に倒産した老人福祉事業者は46件で、介護保険法が導入された2000年以降で最多となったことが、帝国データバンクの調査で分かった。人手不足の深刻化などが影響したとみられる。医療機関の倒産は36件だった。

帝国データバンクでは、特別養護老人ホームや高齢者向けデイサービス事業所などを運営する老人福祉事業者と、病院や診療所に歯科医院を含めた医療機関の2000年から13年までの倒産動向について調査・分析した=グラフ=。

その結果、13年の老人福祉事業者の倒産件数は前年比58.6%増の46件となり、介護保険法が導入された2000年以降で最多となった。倒産態様では破産が42件、民事再生法の適用が4件で、負債総額は35億1500万円だった。

老人福祉事業者の倒産の増加について、帝国データバンクでは「他業種などからの参入が相次ぎ、競争が激化したことや、低賃金に伴う人手不足などが影響したのではないか」と分析している。

■医療機関の倒産は36件

13年の医療機関の倒産は36件で、前年から1件減少した。その内訳は病院が8件、診療所が15件、歯科医院13件だった。倒産態様では破産が32件、民事再生法の適用が4件。負債総額は病院が76億3700万円、診療所が32億3000万円、歯科医院が16億1500万円だった。

■2014.2.21  53施設で身体拘束、北海道所管の34% 障害者虐待調査
道は20日までに、道が所管する157の障害者入所施設を対象に実施した入所者に対する虐待の実態調査結果をまとめた。緊急時に身体の拘束を行った施設は53カ所あり、このうち10施設で拘束時間の記録の不備など道の条例に抵触する事例があった。

調査は、後志管内仁木町の施設で昨年10月、入所者に対する職員の暴力行為が発覚したことなどを受けて実施。11月に虐待を誘発しやすい身体拘束の有無など17項目にわたる「自己点検票」を施設に発送し、年末までに全施設から回答を得た。

利用者がけがをしたり周囲を傷つけたりする恐れがあるとして、ベルトでいすに固定するなどの身体拘束を行ったことがあると回答したのは、53施設で全体の34%に達した。

努力規定を定めた道の条例に反する事例もあった。10施設で記録の不備や家族への事前説明がなく、8施設では虐待防止に向けた職員研修を行っていなかった。27施設は虐待防止策の検討組織がなく、15施設は対策責任者を置いていなかった。

■2014.2.21  中津の施設で虐待 利用者にあざ、市が行政指導 [大分県]
中津市豊田町の住宅型有料老人ホームで2012年10月、男性職員=当時(35)が利用者の女性=同(87)を虐待したとして、市が施設を運営する医療法人聖信会(古川信房理事長)に対し、高齢者虐待防止法に基づき改善を求める行政指導をしていたことが20日、分かった。指導は3日付。

市によると、職員は同月21日、女性を居室のベッドに座らせるため、両肩や両手首を強く握り、左手首にあざができる身体的虐待をした。職員はすでに退職しているという。

通報を受けて市が聞き取り調査などをし、複数の職員が女性の悲鳴を聞いたりあざを確認したりしていたため、虐待と認定。同法人は、職員研修を徹底するなどの改善報告書を14日に市に提出した。

同施設をめぐっては、施設から報告を受けた市の担当者が「虐待ではない」と判断し、県への報告もしていなかったとして、おおいた市民オンブズマンが県と市に再調査を求めていた。

■2014.2.21  53施設で身体拘束、北海道所管の34% 障害者虐待調査
道は20日までに、道が所管する157の障害者入所施設を対象に実施した入所者に対する虐待の実態調査結果をまとめた。緊急時に身体の拘束を行った施設は53カ所あり、このうち10施設で拘束時間の記録の不備など道の条例に抵触する事例があった。

調査は、後志管内仁木町の施設で昨年10月、入所者に対する職員の暴力行為が発覚したことなどを受けて実施。11月に虐待を誘発しやすい身体拘束の有無など17項目にわたる「自己点検票」を施設に発送し、年末までに全施設から回答を得た。

利用者がけがをしたり周囲を傷つけたりする恐れがあるとして、ベルトでいすに固定するなどの身体拘束を行ったことがあると回答したのは、53施設で全体の34%に達した。

努力規定を定めた道の条例に反する事例もあった。10施設で記録の不備や家族への事前説明がなく、8施設では虐待防止に向けた職員研修を行っていなかった。27施設は虐待防止策の検討組織がなく、15施設は対策責任者を置いていなかった。

■2014.2.21  高砂の特養問題:補助金取り下げへ 市が方針「代替地探しも」 /兵庫
周辺住民から反対意見が出ている認知症者用の市公募特養施設(4階建て)建設について、高砂市は3月補正予算で県費の建設補助金1億1600万円を取り下げる方針を固めた。

特養施設は同市中島3の住宅街に2月着工、9月完成の計画だったが、事業者の社会福祉法人博愛福祉会(尼崎市)が補助金の辞退を申し出たという。

建設には▽日照悪化▽電波障害▽交通増▽施設性格への嫌悪などの理由で住民の反対意見が根強い。市議会議長に計画地変更の陳情も出されていた。

登幸人市長は19日、毎日新聞の取材に「市福祉部から法人へ代替地探しも伝えている」と明らかにした。

■2014.2.21  社会福祉法人千葉県社会福祉事業団に対する勧告について 千葉県健康福祉部障害福祉課


http://social-welfare.rgr.jp/databox/19houdou-topics_202.jpg


別添1
県の立入検査結果を基にした社会福祉事業団における虐待の背景についての考察(2月14 日時点)
平成26 年2月14 日
千葉県社会福祉事業団問題等第三者検証委員会
http://social-welfare.rgr.jp/databox/19houdou-topics_202.pdf


別添2
千葉県袖ヶ浦福祉センターの利用者の適正な処遇と安全を確保するための緊急提言
平成26 年2 月14 日
千葉県社会福祉事業団問題等第三者検証委員会
http://social-welfare.rgr.jp/databox/19houdou-topics_203.pdf

■2014.2.22  福祉センター「養育園」虐待問題で、理事長退任の検討求め勧告 千葉
袖ケ浦福祉センター「養育園」(千葉県袖ケ浦市蔵波)で入所者の少年=当時(19)=が職員の虐待を受けた後に死亡した事件で、県は21日、指定管理者の社会福祉法人千葉県社会福祉事業団に対し、障害者総合支援法などに基づき、近藤敏旦理事長の退任などを検討するよう求める勧告を行った。勧告は4回目で、改善措置期限は3月31日。

勧告では、近藤理事長や前常務理事兼センター長、前養育園施設長が運営に関与しないことも求めた。ほかの事業団幹部6人についても、後任を外部から登用後、解職を検討するよう要請。さらに近藤理事長は自身と前理事長の責任を明らかにした上で、前センター長と前同園施設長の賞罰委員会を開催し、「厳正な処分を講ずること」とした。

また、同事業団理事長には県OBらが就任する慣例が続いていたが、県障害福祉課の山田勝土課長は「後任に県職員や県OBを紹介することは考えていない」と説明。県知的障害福祉協会に人材の推薦を依頼していることを明かした。

勧告を受け、近藤理事長は同センターで会見を開き、「私の責任は重い。適当な人材が見つかり次第、辞任したい」と述べた。

■2014.2.22  袖ケ浦の少年死亡:施設虐待問題 理事長辞任表明「経験は必要だった」 「天下り」路線修正へ 後任は外部から /千葉
虐待発覚が相次いだ県立障害者支援施設「袖ケ浦福祉センター」(袖ケ浦市)を運営する「県社会福祉事業団」の近藤敏旦理事長が21日、辞任を表明し、後任に障害者福祉に精通した人材が外部から就く見通しになった。これまで県は県関係者を理事長に推薦し、「天下り人事」を容認してきたが、路線修正を図った形だ。記者会見した近藤氏は就任前に「(事業団側からは)『特段(障害者福祉の)経験がなくても大丈夫』と言われていた」などと明かした。

県によると、1966年に設立した事業団の理事長は当初は副知事が兼務し、特に初代の川上紀一氏と3代目の沼田武氏は後に知事となる重鎮だった。県OBの「天下り」が始まったのは、元千葉中央署長の加瀬恵三氏が就いた75年から。歴代理事長の県退職時の役職を見ると、出身部署はバラバラだが、県障害福祉課は「経営能力を勘案した結果」と説明している。

虐待原因などを調べる県の第三者検証委員会などによると、県消費者センター所長だった近藤氏は福祉部門では児童家庭課に勤務したことがある程度で、障害者福祉分野に通じていなかった。「現場の対応を部下に任せきりにしていた」(県関係者)と言い、職員の不祥事に関する情報もほとんど報告されていなかったという。

会見で、近藤氏は「やはり経験、知識は必要だった」と悔やみ、他の事業団幹部全員の刷新も「適切な対応をしたい」とした。その上で「大半の職員は一生懸命頑張っていることを理解いただければ大変ありがたい」と付け加えた。

 【県社会福祉事業団の歴代理事長】

     県退職時の役職     就任年月

    (※は就任時に県現職)

川上紀一 ※副知事       66年7月

松本健二 ※副知事       74年10月

沼田武  ※副知事       75年5月

加瀬恵三 千葉中央署長     75年10月

山本良一 ※社会部参事     79年4月

井上達雄 環境部長       84年4月

安川三雄 がんセンター事務局長 86年4月

鈴木達也 水道局長       89年4月

赤羽明  副出納長       93年4月

筒井康二 職員研修所長     95年4月

馬場誠一 社会部参事      97年4月

花香慎司 ※社会部理事     98年4月

鈴木碩  社会部理事      99年4月

飯野芳郎 水道局長       02年4月

山本修平 ※健康福祉部参事   05年4月

小川延英 ※健康福祉部参事   07年6月

近藤敏旦 消費者センター所長  13年4月

■2014.2.23  ノロウイルス相次ぐ 大量調理増え、感染大規模に
ノロウイルスの集団感染が相次いで報告されている。今や冬の食中毒の原因として知られるようになったノロウイルスだが、「昔はノロウイルスによる食中毒なんて聞いたことがない」と思う人も多いのではないだろうか。集団感染は、大量調理施設で調理する食品が増えるなど社会の変化とも関係しているといえる。感染予防にはノロウイルスの性質をしっかり知って対応することが大切だ。


昔はおなかの風邪

ノロウイルスは手指や食品などを介して経口で感染し、1、2日の潜伏期間後、嘔吐(おうと)や下痢、腹痛などを起こす。軽い風邪のような症状で、かつて「おなかの風邪」と呼ばれていた多くがノロウイルスによる感染性胃腸炎の可能性が高い。

京都大学東南アジア研究所の西渕光昭教授(微生物学、公衆衛生学)は「ノロウイルスは培養が困難で、以前は電子顕微鏡でしか検査できなかった。今は遺伝子検査で簡単に検査できる。集団食中毒が発生したとき、原因がノロウイルスかすぐに分かり、報じられるようになった。ノロウイルスの名前をよく耳にするようになったのはそのためだろう」と説明する。

ノロウイルスによる食中毒はかつて、カキなどの二枚貝が原因とされることが多かった。最近は感染者が調理することで食品が汚染され、それを食べた人が感染するケースの方が圧倒的に多くなっている。原因食材はさまざまで、浜松市の小学校で相次いだノロウイルスによる集団食中毒は、学校給食で提供された食パンが原因だった。

過去には、仕出し弁当や漬物、菓子など大量調理施設で調理された食品が汚染源となり、多数が感染したケースが報告されている。仕出し弁当など昔は1つの施設で作るのは多くても数十人分ぐらいだったが、今は数百人、数千人分を調理する施設も珍しくない。このため、問題があると一度に大量の食品が汚染されてしまう。食品をめぐるこうした社会環境の変化もノロウイルスによる食中毒が増えている一因といえる。

症状ない人も

嘔吐や下痢の症状は通常は2、3日で回復する。ただ、症状がなくなった後も2〜3週間にわたって糞便(ふんべん)中にウイルスが排出される。また、全く症状が出ない不顕性感染もある。「症状が出ず、感染に気づかない人も多いが、自覚症状がなくても感染後、1週間ぐらいはウイルスを排出する。食品を扱う仕事や家庭で調理をする人は症状の有無にかかわらず、調理前に丁寧に手を洗うことが大事だ」と西渕教授。

手洗いは、せっけんを十分泡立て、指先、つめの間、指の間、親指の周り、手首まで念入りに洗い、十分に水や温水で流し、洗い終わった手はペーパータオルや清潔なタオルでよくふくこと。子供や高齢者など抵抗力の弱い人の食事は生ものを避け、加熱調理を十分行った方がいい。

乾燥すると空気感染も

ノロウイルスは10〜100個の少量のウイルス量でも感染する。ノロウイルスが酸に強いためで、胃酸で死ぬことはなく、腸に達し、腸管内で増殖する。

ノロウイルスは乾燥すると空中に漂い、口に入って感染することもある。以前、ホテルの廊下で感染した人が嘔吐し、清掃したものの乾燥して舞い上がったウイルスを吸い込んだ人が感染したこともあった。

嘔吐物などの処理は、使い捨てのマスクや手袋を着用し、ペーパータオルなどでふき取り、塩素消毒後、水ぶきをする。ふき取った嘔吐物や手袋などはポリ袋に密閉して廃棄し、終わったら必ず丁寧に手を洗う。

■2014.2.25  看護師ら197人中、残るのが89人だけの病院
医療法人「徳洲会」が4月から指定管理者となる大阪府和泉市立病院で、看護師らの半数以上が、市事務職員への職種変更や退職を希望していることがわかった。

病院に残ると給与が下がることが主な理由とみられる。

人員確保を目指し、徳洲会は病院で引き続き勤務する看護師らを対象に、一定条件を満たせば返済の必要がない就業支度金制度を設けたが、費用は市が全額を負担するため、市議からは「税金投入はおかしい」との声も出ている。

市によると、常勤の看護師と准看護師計197人のうち徳洲会へ移籍して病院に残るのは89人。74人が職種変更を希望し、34人が退職を希望した。放射線技師など医療技術職員は57人中病院に残るのが17人で、職種変更希望者が30人、退職希望者が10人いるという。

■2014.2.25  特養で同僚女性を刺殺未遂、男に懲役7年判決
茨城県つくば市の特別養護老人ホームで昨年8月、元交際相手の同僚女性(24)を刺殺しようとしたとして、殺人未遂罪に問われた同市観音台、無職鮎川欽一被告(32)の裁判員裁判で、水戸地裁は25日、懲役7年(求刑・懲役8年)の判決を言い渡した。

根本渉裁判長は、傷の深さなどから、「死んでも構わないと思った」と殺意を認めた。

判決によると、鮎川被告は昨年8月6日午前4時15分頃、当時勤務していた同市稲荷原の特養ホーム内で、夜勤中の女性の胸や腹を4回にわたって果物ナイフで深く刺し、救助せずに立ち去った。女性は重傷を負った。

弁護側は「殺意はなく傷害罪が相当」と主張し、執行猶予付き判決を求めていた。

■2014.2.25  準詐欺容疑:介護施設元管理者ら 認知症男性の預金奪う
北九州市若松区で施設に入所している認知症の男性(83)が現金1000万円をだまし取られたとされる事件で、福岡県警若松署は25日、この男性からさらに約1000万円をだまし取ったとして同市小倉北区高尾1、介護事業所の元施設管理者、松尾光信被告(48)ら3人=別の準詐欺罪で起訴=を準詐欺容疑で再逮捕した。同署は3人の認否は明らかにしていない。

他に再逮捕したのは、同市八幡西区藤原4の元介護職員、矢野みゆき(52)と、同区永犬丸2の介護職員、寺田香(30)の両被告。

逮捕容疑は、男性が入所している施設に勤務していた2010年11月、小倉北区内の金融機関に男性を連れて行き、男性名義の定期預金を解約させ、男性の心神耗弱状態を利用して現金1025万9302円を受け取ったとしている。

3人は10年8月に若松区内の郵便局で、同じ男性に現金1000万円を引き出させ、受け取ったとして準詐欺罪で起訴されている。

■2014.2.25  福祉本質考えるきっかけに 糸賀一雄生誕100年
鳥取市に生まれ、戦災孤児や知的障害児の療育施設「近江学園」を滋賀県に設立した糸賀一雄(1914〜68年)の生誕から、ことし3月で100年を迎える。“共生社会”と“人がありのままに存在することの価値”を見いだし、「障害者福祉の父」と呼ばれた糸賀。「ともに生きる」を新年度の主要テーマに掲げる鳥取県は、記念行事を通し糸賀の功績にスポットを当て、その実践と思想を現代に引き継ぐ。


■世の光に

糸賀は鳥取市立川町生まれ。鳥取二中(現鳥取東高)を卒業後、京都帝国大学(現京都大学)を経て滋賀県庁入り。終戦後、路上にあふれる戦災孤児や障害児を目の当たりにし「この子たちの教育と福祉の実践こそが日本再建の最も大切な事業」と、46年に大津市に近江学園を創設した。現在は湖南市に移転している。

教育と生活、療育を一本化し、24時間子どもたちと一緒に暮らす先駆的な活動を展開。乳幼児健診確立や児童福祉法制定など国施策にも影響を与えた。

共に生きることの重要性を提唱し、障害児を大切にする社会が平和な世界をつくる思想から生まれた言葉「この子らを世の光に」は、多くの福祉関係者の心に刻まれた。

■人と人との関係

現在94人の障害児が在籍する近江学園。一人一人の発達を大切にする糸賀の思想は今も受け継がれ、植田重一郎園長は「時代が変わっても職員と子どもが家族のように生活し、子どもの発達を支える役割と使命は変わらない」と話す。

同園は昨年末、園内にあるシンボルの母子像「世の光」とレリーフ「友愛」をリニューアル。植田園長は「いずれも糸賀が当時の彫刻家に依頼し制作した。障害児に対する一貫した情愛、子どもたちを世の光たらしめたい思いが込められている」と解説する。

「糸賀がまいた種が、あちこちで芽を出した」と話す糸賀一雄記念財団の山口伊佐男事務局長。糸賀が創設にかかわった「あざみ寮」などを運営する社会福祉法人「大木会」の斎藤昭理事長は「障害の有無にかかわらず、人と人との関係で考えることが、糸賀思想で一番大切な部分」と語る。

■知られず

鳥取県は、4月12日に鳥取市のとりぎん文化会館で糸賀の記念フォーラムを開催。糸賀研究者による講演やパネル討議、鳥取砂丘では障害者が「この子らを世の光に」の文字をろうそくでともすイベントのほか、7月開幕の「全国障がい者芸術・文化祭」でも顕彰プレートの設置を予定している。

県全国障がい者・芸術文化祭課の小林真司課長は「出生地でありながら、糸賀の功績は県内で十分に知られていない。福祉団体とも連携し、障害福祉の本質やノーマライゼーションについて考えるきっかけにしたい」と話している。

■2014.2.27  被災地の現状と課題報告 宮城の障害者施設理事長講演 兵庫
障害者向けの就労施設を宮城県内で運営している社会福祉法人「臥牛三敬(がぎゅうさんけい)会」の理事長、湯村利憲さん(66)が26日、神戸市中央区の市勤労会館で講演し、震災から間もなく3年を迎える被災地の現状と課題を報告した。

講演は同区の住民で作る民間団体「中央区東日本大震災被災地プロジェクト」が主催。同団体が毎月、東北の被災地の障害者が作る商品を販売するバザーを開いている縁で、湯村さんを招いた。

湯村さんは講演で、障害者が働く同法人の店舗が津波で流された同県山元町の現状などを紹介。約700人の死者・行方不明者を出した同町では、被災者が仮設住宅から復興住宅に移り始め、新しい市街地が2年後までに完成する予定であることなどを報告した。

湯村さんは「『がんばれ』と励ましを受けるが、被災者はこれ以上がんばれない。神戸で『ともに』と思ってもらっていてありがたい」と話し、同じ被災者として共感する姿勢に感謝を示した。

■2014.2.27  <千葉・施設虐待>保護者の県批判省略か 検証委資料
千葉県袖ケ浦市の県立障害者支援施設「袖ケ浦福祉センター」の虐待問題を巡り、県が第三者検証委員会に資料を提供する際、県を批判する保護者の発言を省略した可能性があることが分かった。直前の説明会では県の姿勢を疑問視する保護者が複数いたが、資料には運営を委託されている社会福祉法人を問題視する声ばかりが記されていた。検証委が県の責任に着目するのを避けようとしたとも受け取れるため、保護者は不信感を募らせている。

センターを運営する法人は今年1月26日に利用者の保護者を集め、各施設ごとに説明会を開催。県OBの法人理事長や園長のほか、県障害福祉課長と意見交換するなどした。

法人が作成した議事録などによると、職員の暴行を受けた後で入所者の少年(当時19歳)が死亡した「養育園」の説明会では、保護者が「県の施設を県が調査し、事件の背景が明らかにできるのか。隠蔽(いんぺい)されないよう、外部の人を入れて調査してほしい」と注文を付けた。

また、別の保護者は園の実情に対する県の無理解を指摘し「県の人も現場を体験してほしい」と発言。障害福祉課長は「県職員が現場を全て分かっていないのはご指摘の通り」と回答したとされる。

だが、「養育園保護者説明会(県障害福祉課同席)における主な意見」と題され、同月31日の検証委の第2回会議で委員に配られた資料からは、「県」や「県職員」を名指しして批判した保護者の発言が消えていた。一方で「勤務体制に問題はなかったか」「支援員の質が落ちたのではないか」などと運営法人の責任を問う意見が箇条書きで列挙された。

昨年11月に養育園で少年が死亡した後、センターの関連施設では暴行や性的虐待などが次々発覚している。ある保護者は「県に都合の悪いこと、耳の痛いことが落ちている。県はうみを出し切って園を良くしようという思いがあるのか。亡くなった少年が浮かばれない」と訴える。

これに対し、県障害福祉課は「資料には『外部の第三者も入れて調査してほしい』という保護者の意見を記述した。そこに県への批判も盛り込まれている」として、恣意(しい)的な省略ではなく「要約」だったと説明。「県のチェック体制のあり方も検証の論点に挙がっており、県の問題点が委員から指摘されれば受け止めたい」としている。

情報開示制度に詳しい独協大法科大学院の右崎正博教授(憲法学)の話 指定管理者を選び、運営を委託する県の監督責任が問われているということを、県が十分認識していない可能性がある。(検証委に)必要な情報が提供されないと、十分な事実に基づいた検証ができず、検証の意味が大きく損なわれてしまう。

◇保護者の意見(運営法人作成の議事録より)

・県の施設だったところを県が調査している状況で、事件の背景が明らかにできるのか、隠蔽(いんぺい)されるのではないかと危惧している。ぜひ外部の人を入れて調査してほしい。3月以降の職員配置がどうなるか、あいまいな回答しかもらえず心配。それなりのスキルのある経験者を配置してほしいことが親の希望。外部の検証委員には率直な意見を言ってもらいたい。あいまいなままにせず、県も本気で取り組んでほしい。

・(県は)具体的に何を改善していくか、保護者に的確に知らせてほしい。ニュースで知るのはおかしい。世の中の人も(運営法人は)変われるのか?と見ている中なので、情報を公開してほしい。

◇検証委に示された保護者説明会の「主な意見」のうち、県が「県への批判として盛り込んだ」と言う部分

・事業団(運営法人)の体制の特質、事件の背景が明らかになるように外部の第三者も入れて調査をしてほしい。その都度、保護者に開示してほしい。

■2014.2.27  殺人容疑:札幌の自立支援施設入所者 職員を包丁で刺殺
27日午後3時40分ごろ、札幌市白石区菊水元町10の1の自立支援施設「援護寮 元町館」から「職員が刺された」と110番があった。北海道警札幌白石署員が駆けつけると、施設内にある入所者の自宅で職員の木村弘宣さん(35)=札幌市中央区北14西15=が首を切られ血まみれで倒れており、搬送先の病院で死亡が確認された。

同署は、その場にいた入所者の無職、鎌田正則容疑者(38)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕、容疑を殺人に切り替えて調べる。「(木村さんを)殺して自分も死のうと思った」との供述をしているという。

容疑は午後3時35分ごろ、木村さんの首を複数回にわたって包丁で切りつけ、殺害しようとしたとしている。

道警によると、鎌田容疑者から施設の事務所に木村さんを刺したという電話があり、駆けつけた職員らが包丁をもった鎌田容疑者と、室内で倒れている木村さんを発見した。

施設は障害者総合支援法に基づき運営され、入所者は自立のため共同生活をしている。

■2014.2.27  点字ブロック発祥地:校区の誇り、大切に 操山中生ら、毎月清掃 中区・原尾島交差点 /岡山
1967年3月18日、視覚障害者の歩行を支える点字ブロックが世界で初めて、中区の原尾島交差点に敷設された。2010年には、点字ブロック発祥の地として同交差点に記念の石碑が建てられた。以来、近くの岡山市立操山中学校の生徒が毎月、石碑や周辺の清掃をしている。26日も放課後に清掃し、石碑の設置を呼びかけた県立岡山盲学校の元教頭、竹内昌彦さん(69)が立ち会い、「若者たちが関心を持ち、見守り続けてくれてうれしい」と喜んだ。

点字ブロックは岡山市の旅館業、故三宅精一さんが昭和30年代、杖(つえ)だけを頼りに歩く視覚障害者のそばを車が走るのを見て、「もっと安全に歩行できるようにならないか」と考案。私費を投じて試作を繰り返し、岡山盲学校の通学路である原尾島交差点に、初めて敷設された。竹内さんが「発祥地として知ってもらいたい」と呼びかけ、経営者や文化人でつくる団体「ワンダーシップ」や県視覚障害者協会など、市民や団体の寄付で3種の石碑が建てられた。碑には敷設当時の点字ブロック3枚が埋め込まれている。

操山中のボランティア委員会は、石碑完成当時から汚れを布でふいたり、周辺のごみを拾ってきた。2年、久岡真歩さん(14)は「自分たちの校区に発祥の地があるのは誇り。これからもきれいに、大切にしたい」と笑顔。藤島文雄校長は「ささやかな活動だが、点字ブロックについて意識が高まるように継続したい」と語る。竹内さんは「県外の視覚障害者もよく訪れているので、いつもきれいにしてくれてありがたい」と感謝を述べた。

■2014.2.28  生駒山麓公園で障害者就労支援 生駒市、今秋施設改修 雇用へ 奈良
生駒市は27日、市の施設「生駒山麓公園」(俵口町)を障害者の就労支援の場として活用すると発表した。7月から障害者支援の実績がある社会福祉法人「青葉仁会」(奈良市)と、提携関係にあるアウトドア用品会社「モンベル」(大阪市)を共同の指定管理者とし、公園内のレストランや宿泊施設などを改修。受け付けや接客、調理、公園の管理、清掃などの仕事に障害者を雇用する。

市は施設の改修工事費と指定管理費として、平成26年度一般会計当初予算案に約2億千万円を計上した。

公園は生駒山の中腹にあり、敷地面積は約30ヘクタール。レストランや宿泊施設のほか、浴場などを備えた「ふれあいセンター」やフィールドアスレチック施設などがある。

現在の指定管理者の契約終了後の7月以降、青葉仁会とモンベルを共同の指定管理者にする。期間は10年間。

市公園管理課によると、ふれあいセンターは平成3年のオープン以降、本格的な改修をしていない。今回の指定管理者選定にあわせ、今年秋ごろ、雇用する障害者が使いやすい施設への改修を始める。

市によると、市内の障害者手帳交付者は4577人(昨年4月現在)。

市の担当者は「障害者がいきいきと働いて自立できるよう支援していきたい」と話している。

■2014.2.28  介護が少ない街、和光市の秘密
お年寄りの「引きこもり」が社会問題化する中、埼玉県和光市の“高齢者を街に連れ出す”取り組みが注目を集めている。

和光は10年以上も前から高齢者対策に乗り出し、「和光モデル」と呼ばれる独自のノウハウを確立。その仕組みを学ぼうと、霞が関の官僚や自治体などの視察団が、次々と押し寄せている。その数は年間300団体を優に超えるという。

「現場のノウハウを国政に生かしてほしい」との要望で、市の職員が国に2年半出向。介護保険制度の構築にも全面的に参画したほどだ。

和光の高齢者対策は何が優れているのか。そもそも本当に、抜本的な高齢者対策になるのか。松本武洋市長に聞いた。

■ カジノも登場!  お年寄りが外に出る工夫


――「和光の高齢者対策は画期的」と、介護関係者の間で話題です。介護を必要とする状態の人がどれぐらいいるかを示す「要介護」認定率は、和光の場合は10.2%と、全国平均の17.4%を大きく下回っています。いったい、どのような特徴があるのでしょうか。

和光の取り組みの特徴は、介護の「予防」に力を入れていることです。

「要介護」「要支援」状態になると、お年寄りは介護保険の対象になり、そういった方にいかに手厚いサービスを提供するかが、従来の介護のメインテーマでした。ただ、和光は2003年ごろから、「要介護」になるより「前」のケアを重視しています。

当時はちょうど、全国的に65歳以上の高齢者人口が格段に増えていく、という推計が注目され始めた頃です。その少し前から予防医学を提唱していた当時の市長が、「予防型の仕組みを確立する」との先進的な方向性を示したのです。

方向性を示した市長は、就任前はお医者さんだったので、専門的な見地から将来のあり方を見据えていたのでしょう。

お年寄りには住み慣れた自宅で過ごしてもらいながら、介護サービスを受けることができる施設に通っていただいています。この「在宅型」の介護を重視していることも、和光市の特徴です。

さらに、お年寄りにはなるべく家から外出してもらい、地域の仲間と交流していただこうと、日常生活圏で歩いていける範囲の中で、小規模な施設をたくさん作っています。

お年寄りはそうした施設で、ボールを使ったトレーニングをしたり、体操をしたり、小物を作ったり、地元の野菜を使った料理教室を楽しんだりと、いろいろと身体を動かすことができます。

介護状態になる原因としては、「衰弱」や「関節疾患」「骨折・転倒」などがあるのですが、身体を動かさないことが長く続いた場合、そのような状態になることが多いので、それを防ぐ狙いです。

たとえば、折り畳み式の簡易なトレーニングマシーンを使いながら、10人ぐらいのお年寄りが集まって、ワイワイとにぎやかに運動していますよ。もちろん、インストラクターがそばに寄り添っています。

このように、コミュニケーションを重視して、楽しんで活動していただこうと力を入れています。

――身体を動かすのが大事と認識していても、若い人でも億劫でできないものです。お年寄りは抵抗なく、そのような施設に通われるのですか? 

こういった体操やトレーニングは、女性については比較的抵抗なく受け入れられるのですが、男性を引っ張り込むのは難しい。

そこで、「アミューズメント・カジノ」と称した事業を取り入れました。これはルーレットやトランプを楽しめる、娯楽性のある定期的なイベントです。本物のカジノの機材を使って、現場のスタッフもカジノディーラーの格好をしてゲームをします。

パチンコもありますよ。本物の機械です。それを楽しみに来てもらうことで、施設に足を運んでもらう、という狙いですね。

学校の空き教室を利用して、「喫茶サロン」と名づけたくつろぎの場も定期的に提供しています。まさに、引きこもり防止に役立っています。
「アミューズメント・カジノ」や「喫茶サロン」は交流の場としてだけではなく、看護師や管理栄養士も待機していますので、健康や栄養バランスのチェックの場としても機能しています。運動と栄養管理、そして口腔機能向上などのサービスを複合的に展開している、というわけです。

■ 小規模な施設を網の目のように張り巡らす

――施設をたくさんつくっているとのことですが、具体的にはどのような施設なのでしょうか。特別養護施設のようなものですか? 

特別養護施設をつくることは住民ウケがよいので、実は自治体のトップには政治的メリットがあります。ですから、特別養護施設をいっぱいつくる地域も少なくありません。

ところが、それをすると費用負担が大きいので、てきめんに介護保険の医療費に跳ね返ってきます。また、特別養護施設に入ることが、はたして幸せなのだろうか、という思いもあります。自宅から施設に通いながら、あるいは自宅に近い施設で、今までの生活圏の中で過ごされるほうが幸せではないか、と和光は考えるのです。

和光には特別養護施設が1軒しかありません。8万人という住民がいる中で、特別養護施設が1軒しかないのは異例のこと。それに対する批判は、いまだに根強いことも確かです。

一方で、特別養護施設よりも小規模なサービスつき高齢者向け住宅(サ高住)を和光はいち早く積極的に整備してきました。 サ高住は住居ですから、お年寄りはそこで、自宅にいるような感覚で住むことができる。特別養護施設と同じようなサービスを受けられます。運動などトレーニングができるのはもちろん、食事のサービスもあり、クリニックを併設しているところもあります。

また、先ほど話題に出た「喫茶サロン」を備えた「ふれあいプラザ」など、小規模ながらも多く機能を持つ施設を張り巡らせ、加えて24時間随時対応、定期巡回のサービスを全地域で提供しています。

小規模多機能施設は市にとって、資金負担が少ないのですが、実際の運用面では負担が大きい。料理屋さんでもそうでしょうが、小さなお店でたくさんの種類の料理を出すのは、どうしても手間がかかる。ただ、和光は「日常生活圏」との考えを重視しているので、小規模施設をきめ細かく配置しています。

――確かに小規模とはいえ、たくさんの施設をつくるとなると、運用や全体の管理が難しそうです。すべて行政が担っているのですか? 

市は事務局としての役割を担いつつ、全体的な運営を主導しています。

ただ、実際のサービスの提供は、民間に委託しています。居宅支援や訪問介護の事業者、グループホームの運営者などです。

民間委託した際に、どうしてもありがちなのが、“サボタージュ”のような状況。お年寄りが次々に元気になってしまうと、企業にとっては「収入源が減る」という側面があるためです。お年寄りの健康と事業者の利益は、ややもすると「相反関係にある」と言えるかもしれません。

そこで、契約した事業者には、介護の心配がなくなったお年寄りに対しても、継続的にサークル活動とかトレーニングといったサービスの提供をお願いしています。つまり、事業者側のメリットを考慮し、予防対策のサービスだけでなく、その後のケアも事業者に委託する包括的な契約を結んでいるのです。

先ほどお話した「喫茶サロン」も事業者に委託していますが、栄養指導や健康チェックなども一緒にお願いしています。

市側では、保健福祉部の「長寿あんしん課」が中心となって運営しています。たとえば、お年寄りの個別の課題や地域の課題を把握するために、アンケート形式(「健康に関する基本チェックリスト」など)で調査を実施します。

もちろん、返信されないケースもあるのですが、そのお宅を職員が1戸1戸訪問し、どのような課題を抱えておられるのかを調べて把握しています。

行政と民間との連携も重要です。お年寄りのケアプランの質の向上や、職員のレベル向上を目的に、「コミュニティケア会議」を毎週開催しています。そこには、市の職員だけでなく、管理栄養士や理学療法士といった外部助言者、そして時には居宅支援や訪問介護の事業者など民間の代表者が参加し、一人ひとりのケアプランを把握しています。適切なサービスの提供を専門的な見地からチェックしているのです。

この行政と民間、そして専門家による3者連携も、「先進的な部分」と評価していただいています。

■ 当初は市民から苦情もあった

――先ほど、「2003年ごろから積極的に展開した」と話されましたが、住民の間にはこのような介護対策がすぐに根付いたのですか? 

実は、当時はこちらの意図がなかなか伝わりませんでした。

「トレーニングを強制させられている」「(本格的な)介護サービスを受けさせたくないだけなのでは」など、数々の批判がありましたね。議会にも市民からの苦情が相次ぎ、かなりの議論になりました。

ところが、2年ぐらい経過すると、「要介護」認定率が明らかに下がってきたのですね。そして周囲にも、元気になるお年寄りが増えてきたのです。

数字で表れ、実例がたくさん出てくると、マスコミにも取り上げられるようになりました。こうなってくると、だんだんと市民の認識も変わってきて、最初の苦情めいたものが劇的に減ってきました。今では、予防的な活動は和光では「当たり前」となっています。
――霞が関の官僚だけでなく、全国の自治体から視察団が殺到している、と聞きました。

そうですね。2012年の9月には、天皇・皇后両陛下が和光の「新倉高齢者福祉センター」をご視察されました。器具を使って運動しているお年寄りにお声をかけていただいたり、高齢者センターで小物を作ったり、塗り絵を楽しんでいる様子をご覧いただきました。

今年の1月には、田村憲久厚生労働大臣も来られて、「ふれっしゅらいふパワーアップ」という筋力トレーニングの取り組みを視察されました。楽しそうにおしゃべりしながら高齢者が筋トレをする姿に、大臣は驚いておられました。

ほかにも、視察の希望はひっきりなしです。自治体の一つひとつに個々に対応していては間に合わないので、2〜3団体など合同で視察していただいています。それでも、年間300件ぐらいの対応がやっと。日程調整が難しければ、お受けできないケースもけっこうありますよ。

――今後の課題と、それについて、どのような仕掛けを考えておられますか? 

街の開発が進んだのは1970年代で、そこから市の人口が増えてきました。

最近も、2013年に東京メトロ副都心線と東急東横線の直通運転が開始されたこともあり、人口が増えています。人の動きが変わってきましたね。朝のラッシュ時など副都心線も混み具合が増してきました。

人口増加に街の開発が追いついていない部分もあり、たとえば和光駅の北側にいくと、未整備の地域があります。これからこういった地域を開発していきます。小学校の数も足りないので、2016年4月に小学校を建設する計画です。

若い人がどんどん流入していることもあり、市全体では高齢化比率15%と低いのですが、大規模な集合住宅では37%という高い比率になっており、高齢化している地域と、そうでない地域がハッキリと分かれています。この2面性は和光が抱える独自の課題であり、高齢者対応のサービスをさらに強化していくにあたり、今後、対応していかなければいけない側面だと認識しています。

そこで、この春には大きな公団がある商業ゾーンに「まちかど健康相談室」を整備します。お年寄りが日常的に血圧などバイタルのチェックを受けることや、保健師、管理栄養士などに相談することができる複合的な施設になります。この施設では、閉じこもり予防のために「喫茶サロン」を常時営業します。

和光の「お家芸」とも言える、小規模で多機能を備えた施設を拡充し、そして公民連携型のサービスをこれからも強化していくつもりです。

■2014.2.28  インクルーシブ教育を考えるシンポジウム:合理的配慮の仕組みづくりを ;豊中 /大阪
障害の有無にかかわらず、すべての子どもが地域の普通学級で学ぶ意義を考える「第12回インクルーシブ教育を考えるシンポジウム」(毎日新聞社・豊中市教職員組合主催、同市・同市教委など後援)が1日、同市立大池小学校であった。

テーマは、障害のある人がない人と同じ権利を行使できるよう、障害特性に応じた調整がされる「合理的配慮」だ。国連の障害者権利条約と、昨年成立した障害者差別解消法に規定されている。第1部の北野誠一・元東洋大ライフデザイン学部教授の講演「教育の場における『合理的配慮』とは?」の要旨と、第2部のパネル討論を報告する(コーディネーターは遠藤哲也・毎日新聞学芸部副部長)。

◆主催者あいさつ

◇山崎靖彦・豊中市教組委員長

学校や地域の序列化や競争をあおりたてるような動きがある中、今年1月、日本がようやく国連障害者権利条約を批准した。批准をきっかけに、障害のある子、ない子が当たり前に共に学び、共に育つ、インクルーシブ教育につながることを強く願う。

◇井上朗・毎日新聞大阪本社編集局次長

合理的配慮は学校現場、家庭などそれぞれの立場で、解釈が重なる部分と重ならない部分が出てくる可能性がある。重ならない部分をどう解決していくのかを議論してもらった。学ぶことに分け隔てはない。歴史をつくってきたこのシンポジウムの協力者に改めて感謝したい。

◆来賓あいさつ

◇渡辺浩・豊中市教委教育監

市が長年継続して取り組む、共に生き、共に学び、共に育つ教育の定着を日々実感している。今後も福祉、医療などの関係機関と連携し、教育環境の整備、教職員の専門性の向上に取り組みたい。



◇高木智志さん、多様な介助で前向きに 小澤久美さん、先生の工夫で立ち直り 山口奈津樹さん、認め合える環境が大事

高木 小中高校と、普通学級で友達と共に学んだ。小学校では友達に車椅子を押してもらったり、隣の席の子に教科書をめくってもらったりした。休み時間には腕相撲をし、運動場で遊んだ。次第に言いたいことが文字盤なしでも伝わるようになった。中学校の時は疲れた時に休めるベッドを教室に置いてもらった。テストも皆と内容は同じで、別室受験、時間延長、代読・代筆などの介助をしてもらった。旅行や遠足も全て参加した。

インクルーシブ教育のおかげで、友達としゃべったり、口げんかしたり、勉強したり、ごく普通のことが体験できた。いろいろな配慮で前向きになり、人とつながりたいという思いが強くなった。

小澤
息子が小学3年生の時、注意欠陥多動性障害(ADHD)だと分かり、どうフォローしたらいいか勉強の毎日だった。5年生の時、教室に入れなくなった。先生が、教室の扉に「靴を脱いで本棚に行くこと」と張り紙をし、本棚に行くと次の張り紙があり、気づくと机に着くという工夫をしてくれ、自然に入れるようになった。校長先生が、段ボールでクールダウンのための小さい家を教室の隅に作ってくれたこともある。

「学校に行きたくない」と言い出した中学2年生の時は、特別支援学級の先生が、何で悩んでいたか、息子の話をじっくり時間をかけて聞いてくれて、次の日から元気に登校できるようになった。今、普通高校の受験に向け頑張っている。

山口
私は自分の学生生活で障害のある人と同じ教室で一緒に勉強する経験がなかった。教師1年目、隣のクラスに障害のある子がいた。教室を飛び出し、廊下で大声を出す子を見て、同じ教室で勉強する意味に疑問を持った。翌年、私はその子を担任したが、友達の関わり方に驚いた。クラスの仲間として励まし、けんかをし、一緒に成長していた。疑問を持った自分を恥ずかしく思った。

今のクラスにも支援を必要とする子がいるが、特別扱いをするつもりはない。どの子にも苦手なことは手を差し伸べ、できるようになったことは皆で共有し認め合うクラスにしたい。自分の気持ちを言いあえる環境を子どもと一緒に作ることが大切だ。

遠藤
特別扱いと合理的配慮の違いは? 誤解されやすく、どう考えればよいか。

北野
特別扱いという発想は、ひとりひとりの子どもを大事にする教育ができてない社会だからこそ出てくる。インクルーシブな教育を考える上で大事なのは(障害の有無は関係なく)すべての子どもたちが何らかの支援を必要としているということだ。

遠藤
豊中で受けた配慮について、うれしかったことは。

小澤
息子は文字からだと頭に入りやすい。難しい分数を習う前に学校に「漫画からなら覚えられる」と話したところ、漫画から学べる本を用意してくれた。学校と保護者の話し合いで実現した。

遠藤
今後の課題は。

山口
どの子も同じ支援でうまくいくとは限らない。障害の有無にかかわらず、ひとりひとりの子どもが支援を必要としていることを見逃したくない。また一人ではなく、多くの先生が、その子にとってどんな配慮が一番いいのかを考えることが必要だ。

小澤
子どもは成長していく。自分で抱え込まず、いろんな人に相談していくことが大事だ。

北野
一斉教育で授業を受けるのが難しい場合、ある部分を特別支援学級で受けることがあってもいい。障害者権利条約は、本人と家族の「選択する権利」を保障している。ただ大事なのは、原則はインクルーシブで普通学級で学ぶこと。そのために、きっちりと合理的配慮の仕組みをつくることが重要だ。



◆講演要旨

◇障害の個別ニーズに対応を 北野誠一・元東洋大教授

日本の障害児者への支援制度は、外圧が大きな影響を与えてきた。初めは、1981年の国際障害者年だ。80年代にインクルーシブ教育をしていたのは大阪市や豊中市くらいで、障害のある子は特殊教育を受けるのが「普通」だった。

次の大きな外圧が2006年に採択され、日本が今年1月に批准した国連の障害者権利条約。24条で「インクルーシブな教育制度及び生涯学習の確保」を定めるが、その目的として、文部科学省が「障害のある人が精神的、身体的な能力を最大限発達させること」という項目を強調しているのが心配だ。

24条がうたう教育目的には「人間の多様性の尊重の強化」や「障害のある人が社会に参加すること」もあり、この目的を達成するためには障害のある子もない子も共に学ぶインクルーシブ教育が大前提になる。日本はこれまでも条約の解釈で、ある項目を強調し、ある部分を無視することがあった。「日本型のインクルーシブ教育」として、特別支援学校を増やすことにつながると危険だ。

条約批准のために定められた障害者差別解消法は、国や地方公共団体に、障害を理由とした差別的取り扱いを禁じるだけではなく、合理的配慮を法的義務とした。合理的配慮は、ユニバーサルな生活環境を前提に、障害のある人の個別のニーズに基づいた配慮をすることだ。公立学校の場合、施設がバリアフリーであることは当然で、障害特性に合わせ教材を変えたり、機器を用意したりするのが合理的配慮になる。

「中央教育審議会」(文科相の諮問機関)は、合理的配慮について「学校と本人、保護者が可能な限り合意形成をして決めるのが望ましい」とした。意見が一致しない場合は「教育支援委員会(仮称)」の助言などで解決するが、委員会の第三者性が重要だ。中教審では他に、合理的配慮の方法についても示している。共に育ち、学ぶ社会を実現するため合理的配慮という考え方を活用してほしい。

============================

■人物略歴

◇高木智志さん

1995年豊中市生まれ。花園大1年生。脳性まひによる身体障害がある。

============================

■人物略歴

◇小澤久美さん

1972年大阪市生まれ。中学3年生の長男に発達障害がある。

============================

■人物略歴

◇山口奈津樹さん

1983年秋田県出身。現在教師8年目で、南桜塚小教員。

============================

■人物略歴

◇北野誠一・元東洋大教授

1950年生まれ。大阪市立大大学院博士課程満期退学。桃山学院大教授などを経て、2005〜09年東洋大ライフデザイン学部教授(障害児者福祉論)。

■2014.2.28  社会福祉法人に社会貢献活動を義務付け 規制改革会議
政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)は28日の会合で、介護事業を担う社会福祉法人に社会貢献を法令で義務付けるよう厚生労働省に求める方針を確認した。厚生労働省と具体策を詰め、6月にまとめる答申に盛り込む。

社会貢献は低所得者向けの無料・低額介護サービスの提供が柱。違反した場合、業務停止など罰則を設けることも検討する。特別養護老人ホームの経営を社会福祉法人などに限る参入規制の緩和を今後議論することでも一致した。安易に事業から撤退できないよう、新たな規制も検討する。ただ厚労省は民間企業の参入に反対の姿勢を示している。


 

トップへ フッターへ