残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2014年 
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 2014. 4. 1 事業団が改善計画 19歳死亡の「養育園」虐待問題 /千葉
 2014. 4. 1 介護従事者の月額給与を1万円増へ法案提出
 2014. 4. 1 「介助ガイド検定」を始める 介護福祉士らのNPO法人
 2014. 4. 1 発達障害も不登校の要因に 根強い誤解「怠けている」
 2014. 4. 2 発達障害児:脳内で情報を伝達する活動が弱い傾向
 2014. 4. 2 介護士が女子トイレ侵入の疑いで逮捕、盗撮のカメラ設置 京都・京丹後市
 2014. 4. 3 全盲の女性が殴られ負傷 傷害容疑で男逮捕 須磨署
 2014. 4. 3 災害時、簡易ベッド提供 神戸市 伊丹のメーカーと協定
 2014. 4. 3 なんばに障がい者就労支援施設−パソコンやビジネスマナー習得、就活支援も /大阪
 2014. 4. 3 厚労省 障害福祉サービスの従事者処遇状況調査の結果を公表
 2014. 4. 3 大震災、「障害者」はどうやって身を守ったか
 2014. 4. 3 <厚生労働大臣>介護従事者の処遇改善について言及
 2014. 4. 3 不正請求860万円 介護事業者の指定取り消し 前橋市
 2014. 4. 3 みんなの家に集って笑って 富山市支援のサロン第1号
 2014. 4. 3 40〜64歳の介護保険料 なぜ5000円突破?
 2014. 4. 4 爺婆のバーガー召し上がれ 龍神村でジビエの新商品販売
 2014. 4. 4 介護給付費、8・1兆円に 12年度、6・5%増
 2014. 4. 4 女児死亡:家庭福祉員が保育 東京・目黒
 2014. 4. 4 いい子が育つ都道府県ランキング、1位は「秋田県」
 2014. 4. 4 TOTO、精神・知的障害者の雇用拡大
 2014. 4. 4 医療・介護が絶対的に不足、衛生環境も最悪に ― 首都大地震の被害予測
 2014. 4. 5 名古屋マラソン大会で介護タクシー巡る疑惑
 2014. 4. 5 国立障害者施設、虐待の報告遅れ 把握から7カ月後
 2014. 4. 5 外国人活用、遅れる日本 介護など期待強く
 2014. 4. 5 早く歩ける高齢者ほど、記憶力が高い!熊本大チームが研究結果を発表
 2014. 4. 7 大津 「くれおカレッジ」開校 知的障害者の就労支援
 2014. 4. 7 初の認定社会福祉士が誕生
 2014. 4. 8 特養ホーム攻防 民間参入阻止で厚労省まず先勝か
 2014. 4. 8 ホンダ太陽:新棟増設起工式 日出町 /大分
 2014. 4. 8 処遇改善で給与はアップしたか?――社保審介護給付費分科会レポート
 2014. 4. 8 福祉施設ショップ大入り 北上の「まごころ」
 2014. 4. 8 発達障害、幼児から就学まで一体支援へ
 2014. 4. 8 50歳以上男性、尿漏れ経験3人に1人
 2014. 4. 8 車いすごと送迎バスから転落、重傷 河北・福祉施設利用の女性
 2014. 4. 8 老若男女問わずできる新しいスポーツ!ノルディックウォーク
 2014. 4. 8 小規模多機能型居宅介護事業所 経営に苦慮 新潟県が調査
 2014. 4. 8 厚生労働省 訪問介護労働者の労働条件改善事業
 2014. 4. 9 意思表示タオル:災害時の要援護 障害者へ民生児童委協、明石・避難マップともに配布 /兵庫
 2014. 4. 9 ボイラー:燃料は紙おむつごみ 町営温泉施設に完成 伯耆 /鳥取
 2014. 4. 9 短命県の汚名、ウォーキングで返上
 2014. 4. 9 産地なのに児童ら野菜不足…徳島県の4市町
 2014. 4. 9 高次脳機能障害 理解求める声切実 静岡県内
 2014. 4. 9 マスコットの愛称が「技王」に決定 16年秋開催の技能五輪・アビリンピック
 2014. 4. 9 役立つ:津波救命艇 平らな艇内の床、高齢者や障害者にやさしく
 2014. 4.10 手話パフォーマンス甲子園:ダンスや演劇…来たれ、全国の高校生 鳥取で11月初開催
 2014. 4.10 ちば経済:障害者取り組み、千葉銀を県認定 バリアフリー化など /千葉
 2014. 4.10 <指定取り消し>ケアプラン作成の不備、約507万円を不正受給ー群馬県
 2014. 4.10 西東京・障害者虐待:頭骨折、都に報告せず 処分の施設
 2014. 4.10 「まるこ福祉会」ジビエ処理加工施設 今年度中の建設断念へ 長野
 2014. 4.11 記者の目:千葉県立施設の虐待死事件
 2014. 4.11 <不正請求860万円>人員基準違反などで訪問介護事業所を指定取消――前橋市
 2014. 4.11 仮設「孤独死」34人 年々増加、8割が男性
 2014. 4.12 高齢世帯の41%独居に 道内35年推計、全国5番目の高さ
 2014. 4.12 ダウン症児外し入学式写真 長野の小学校、校長がおわび
 2014. 4.12 福祉施設送迎バスのリフトから転落、女性死亡・河北
 2014. 4.13 兵庫県優良企業、不良債権6億円 障害者事業で失敗
 2014. 4.14 脳梗塞で3年寝たきりの81歳男性 噛む訓練ガムで歩行可能に
 2014. 4.14 高松市、障害者の就労支援強化/施設に発注4倍
 2014. 4.14 130施設・団体に2.1億円 岡山で赤い羽根共同募金交付式
 2014. 4.14 障害者が働きやすいスーパー…千葉
 2014. 4.14 介護福祉士会が外国人受け入れに反対の声明、「介護は単純労働じゃない」
 2014. 4.15 茨木市議長:地元の社福法人に10年間寄付 公選法違反か
 2014. 4.15 精神障害者向け 雇用ガイド本
 2014. 4.15 パナソニック、車いす一体型介護ベッド「リショーネ」を在宅用にレンタル、販売へ 施設用は6月から受注
 2014. 4.15 在宅用介護食品が多様化 おいしさや見た目も重視
 2014. 4.16 無許可健診156回…大阪市の医療法人が府外で
 2014. 4.16 日本の総人口21万減、65歳以上25・1%に
 2014. 4.16 <不正数億?>いわき市の老健「昌平黌」老健など5事業を受入停止処分
 2014. 4.16 袖ケ浦の少年死亡:虐待問題 独自の過去調査「限界」 県議会委で県の担当者 第三者委検証待つ意向 /千葉
 2014. 4.16 西東京・障害者虐待:「処分後も暴言続く」 知的障害者施設、職員ら都に通告 /東京
 2014. 4.16 障害者との避難、教訓を発信 津波被災・福祉事業所職員の手記
 2014. 4.17 <福島第1原発事故>行き場失う障害者 13通所施設休廃止
 2014. 4.17 茨木市議長辞職へ 社福法人寄付問題
 2014. 4.17 タンデム自転車:一般道解禁 視覚障害者、走る喜び 盲導犬見守る中、試乗会 /新潟
 2014. 4.17 社説:人口減と高齢化 悲観しないで生きよう
 2014. 4.17 特養待機全国で52万人 「椅子取りゲーム」の様相 要介護3以上に
 2014. 4.17 医療・介護「ICT」で情報共有…厚労省が構想
 2014. 4.17 神戸に全国初、住居と職場を兼ねる障害者自立支援専用マンション
 2014. 4.18 共生の森:障害者の就労や自立支援 10周年、45人が協力者らに感謝 /宮城
 2014. 4.18 介護福祉士会の石橋会長、養成課程見直しの先送りや外国人受け入れを批判
 2014. 4.19 損賠訴訟:介護で死亡、法人に1565万円賠償命令 地裁「窒息事故、予見できた」 /愛媛
 2014. 4.19 性的虐待:発覚も、1カ月男性勤務 大阪・児童福祉施設
 2014. 4.19 認知症男性:仮名2年、身元不明のまま 大阪の路上で保護、届けなく
 2014. 4.19 重症心身障害者の自立支援施設が5月に開所
 2014. 4.19 ダウン症児の出生、過去15年で倍増 全国調査から推計
 2014. 4.20 ふんわりシフォンが人気 一関・川崎の福祉事業所
 2014. 4.21 児童福祉施設職員が少年虐待、1か月報告せず
 2014. 4.22 認知症:緊急一時保護546人 身元不明、高齢者ら 5人が「仮名」
 2014. 4.22 福祉法人前理事長 保育運営費490万円不正受給
 2014. 4.23 <不正請求>桑名市の居宅を指定の一部効力停止――三重県
 2014. 4.23 自殺はパワハラ原因と賠償命じる 備前の社会福祉法人に岡山地裁
 2014. 4.23 岡山地裁:介護員自殺はパワハラ原因と認定、賠償命令
 2014. 4.24 障害児の学童保育所「放課後等デイサービス」 株式会社も参入、選択肢拡大
 2014. 4.24 2025年に要介護人口100万人 兵庫県、福祉人材の調査へ
 2014. 4.24 消費増税、介護施設を直撃 食費・光熱費…負担重く 鹿児島県内
 2014. 4.25 <返還金1,000万円超>不正請求で訪問介護事業所を指定取消――愛知県
 2014. 4.25 特別支援校生 就職率100%…昨年度
 2014. 4.25 認知症で列車にはねられ死亡、遺族の賠償額半減
 2014. 4.26 認知症の行方不明者9607人 24年届け出 社会で支える仕組み重要
 2014. 4.26 2県が虐待里親に委託継続 / 登録消さず児童福祉法違反の疑い
 2014. 4.27 くらしをひらく:低い賃金、介護疲弊
 2014. 4.28 松江城山ウオーキング:障害者と警察学校生が交流 /島根
 2014. 4.28 清掃事業で随意契約20年以上 兵庫県西宮市「不適切だった」と見直す方針 一般社団法人西宮高齢者事業団
 2014. 4.29 知的障害者に虐待 県、改善勧告など検討 社会福祉法人あすなろ会
 2014. 4.29 虐待:あすなろ会、障がい者施設で 施設長把握も届け出ず /鳥取
 2014. 4.29 介護報酬を引き上げへ 15年度、人手不足解消狙う
 2014. 4.30 神戸のNPO法人が340万円不正受給 就労支援の指定取り消し


■2014.4.1  事業団が改善計画 19歳死亡の「養育園」虐待問題 /千葉
知的障害がある児童らが入所する袖ケ浦市蔵波の千葉県立福祉施設「養育園」で昨年11月、入所者男性(19)が暴行を受け、その後死亡した事件で、施設を運営する社会福祉法人「千葉県社会福祉事業団」は31日、千葉県に改善計画を提出した。改善方針で事件を猛省するとした上で、虐待防止の体制整備などを行い「事業団の再生、信頼回復に向けて職員一丸で取り組む」としている。

計画は、セルフチェックなどで全職員に対し人権擁護・虐待防止の意識徹底を図り、虐待防止委員会に第三者や保護者代表を加えることを明記。レベルに応じた講習やロールプレイ形式の研修、外部講師の招請などで職員の資質向上を目指すほか、評価に応じた適正な処遇で人材確保を進めることなどを示した。

また、養育園や更生園など施設ごとの改善計画も作成。養育園については、保護者を対象にした定期的な連絡会やダイレクトメールなどで、支援現場の透明性を確保するとしている。

県障害福祉課は「計画は勧告や第三者検証委員会の中間報告を踏まえた内容で、取り組めるものからすぐに始めるように指示をした。改善できているか継続して確認していきたい」とコメントした。

事業団は近藤敏旦理事長が同日で辞任するなど理事会を刷新。きょう1日、県知的障害者福祉協会副会長の田中齋氏らによる新理事会がスタートする。

■2014.4.1  介護従事者の月額給与を1万円増へ法案提出
民主、みんな、生活、結い、共産、社民の6党が介護・障害福祉従事者の給与を上げて、人材確保を図る必要があるとし、特別措置法案を31日までに衆議院に提出した。

介護、障害福祉従事者の役割や労働負担からみて、他の業種に比べ賃金が低いことが人材難につながっており、待遇改善が人材確保のうえで求められているほか、優れた人材の確保により高齢者ら支援を必要とする人らへの支援水準の向上を図る狙いがある。

介護職員処遇改善加算や福祉・介護職員の処遇、改善加算の対象になっている関係法の指定事業者やこれに類する事業者が従業員の賃金改善を図るために行った措置に伴う費用増加について都道府県知事が助成金を支給する。

都道府県の支給分は国が全額交付する。民主党などによると、1人、1ヶ月平均1万円賃金をあげると算定して、対象者は122万2000人程度(介護で96万4000人、障害福祉で25万8000人)いるので年間約1466億円の額になるとしている。

■2014.4.1  「介助ガイド検定」を始める 介護福祉士らのNPO法人
体が不自由でも「安心して旅を」

高齢者や障害者の旅行に付き添うときに必要な知識を問う「旅行介助ガイド検定」を、介護福祉士や看護師らがつくるNPO法人が始めた。「車椅子の人に話し掛けるときは目の高さを合わせる」といった知識を身に付けてもらい、体の不自由な人に安心して旅行を楽しんでもらうのが狙い。実際に観光地を回る「現場講座」も好評だ。

平成25年11月24日、東京・上野のアメヤ横丁や浅草を50、60代の男女8人が交互に車椅子に乗りながら観光した。これは、旅行介助ガイド検定と併せて開かれた現場講座。前日の検定を受けた人や、もっと知識を身に付けたいという介助経験者が参加した。

「長い坂道を下りるときは、車椅子を後ろ向きにして介助者がゆっくり後ずさりすると、車椅子に乗っている人は安心」「人の多い観光地では、座高の低い車椅子は周囲から見えにくいので本人も怖い」。参加者は車椅子の人の視点も確認しながら観光地を回った。

検定はNPO法人「ジャパン・トラベルボランティア・ネットワーク(JTVN)」(東京都多摩市)が25年5月に初めて都内で実施した。正誤問題100問と記述式3題で解答時間は1時間。11月に第2回があり、これまで介護施設や旅行業界で働く51人が受検、34人が合格した。
JTVN代表、おそどまさこさん(64)は旅行会社を経営していた経験を生かして約20年前から、1人では移動が難しい高齢者や障害者の旅行を企画。高齢者に介助者を紹介する活動を続け、著書も多数ある。山梨県北杜市の自宅で92歳の母親の介護もする。

「介助する人がいないので外出を諦めている高齢者と、一緒に旅を楽しめる人を増やしたい。将来は古里やお墓参りに同行できる人も育てたい」と、おそどさんは語る。

第1回の検定に合格した東京都在住の介護福祉士、青木千鶴子さん(60)は昨年11月、東京・浅草の現場講座に参加した。人混みで車椅子を押したとき、「できるだけ流れに逆らわず、周囲に声を掛けながら進めばいい」と実感したという。訪問介護の仕事では、近所の買い物など通い慣れた場所に付き添うことがほとんど。「現場講座は初めて行く場所でどう対応すればいいか学ぶことができた」と話している。

■2014.4.1  発達障害も不登校の要因に 根強い誤解「怠けている」
2日から発達障害の啓発週間。誤解を受けやすい障害のため、理解を深める活動が各地で行われる。例えば、不登校の要因の一つとされるが、専門家からは「怠けているという誤解が根強い」との指摘がある。発達障害のある4人の子供の不登校を経験した堀内祐子さん(57)は講演や執筆活動を通じて自身の子育てを伝えてきた。

◆子供の意思を尊重

堀内さんと外資系企業の社長を務める夫との子は長女、長男、次男、三男の4人。全員に発達障害とアトピー性皮膚炎、ぜんそくがある。上の3人はアスペルガー症候群(言葉の発達や知的発達に遅れのない自閉症)。長男はADHD(注意欠陥・多動性障害)とLD(学習障害)、次男はADHDもある。三男はADHDのみと診断された。

4人で交通事故が計7回、堀内さんが救急車に乗った回数は10回を超える。4人とも不登校の時期を経験。成人した長女は結婚し、長男は働いている。

今は25歳になった長女の不登校期間は長く、6年に渡った。登校が難しくなったのは小学3年の終わり頃。きっかけはいじめだったが、原因が取り除かれても、1日行くと2日休むという状態が続いた。

発達障害のある子供は、感覚過敏のために長時間の集団生活で疲れやすいなどから不登校になることがある。しかし、当時は発達障害そのものがあまり知られておらず、長男のパニックなど次々と起こる問題に、堀内さんはどうすればいいか分からなかった。

「娘に学校に行ってほしいと思うのは、自分の不安を解消したかったからでした。娘が決めたことを尊重し、娘が『行かない』と言ったときは学校へ行かない娘をサポートしました」

親として積極的に学校の教員とコミュニケーションを取り、校長から「居場所が家庭にあるのはすばらしい」と理解を示されるなど、ほとんどの教員と良い関係を築けたという。

長女は引きこもらず、地元の劇団で厳しい指導を受けて舞台に立ち、親以外の大人から褒められたことが自信につながった。中学3年の夏、アスペルガー症候群との診断を受けたが、定時制高校に通いながら働き、ヘルパー2級資格を取得した。自活できる収入を得て、18歳で1人暮らしを始めた。結婚し、今は海外で暮らす。

◆自ら立ち上がる

堀内さんは子育てに悩む親らに向け、自らの子育て経験を共著『発達障害の子が働くおとなになるヒント』(ぶどう社)などにまとめ、講演も行っている。「大事なのは子供が働いて自立すること。不登校で道が閉ざされたと思いがちですが、その間に充電できれば子供は自分で立ち上がります」と話す。

不登校の問題に詳しい星槎(せいさ)教育研究所(東京都新宿区)の三森睦子所長は「不登校の背景には、その子供に発達のデコボコがあるケースが見られる。能力があっても細かい所にこだわるあまり、ペースが遅くなって『怠けている』と誤解されたり、コミュニケーションがうまくいかなかったりして、学校で自信をなくす子がいる」と指摘する。

そのうえで、「こうした子供たちに対し、得意な分野の能力を引き出す教育が重要だ。不得意な分野でも特性に合った学び方で成果を出せる子供もいる」と理解を求めている。

【用語解説】発達障害啓発週間

国連が2007(平成19)年に制定した「世界自閉症啓発デー」の4月2日に合わせ、厚生労働省は2日から8日までの1週間を「発達障害啓発週間」と位置付け、発達障害への理解を深める啓発活動を集中的に行っている。

国内では平成17年に発達障害者支援法が施行され、啓発対象を自閉症も含めた発達障害に広げた。日本自閉症協会などと連携し、23年から毎年4月2日、東京タワー(東京都港区)のブルーライトアップを実施している。今回も東京タワーのほか、横浜マリンタワー(横浜市)や通天閣(大阪市)など約30カ所でブルーライトアップが実施される。

■2014.4.2  発達障害児:脳内で情報を伝達する活動が弱い傾向
自閉症など発達障害のある児童と、障害がみられない児童に好きな映像を見せ、脳の神経活動を調べると、発達障害のある児童の方が脳内で情報を伝達する活動が弱いことが、金沢大の「子どものこころの発達研究センター」の菊知充特任教授らの研究で分かった。

大人の脳では確認されていたが、子どもでは世界初という。英国の学術誌の電子版に発表された。

菊知特任教授によると、高感度の磁気センサーで脳の神経活動を計測できる機器を使用し、発達障害のある児童と、ない児童計100人に好きな映像を最長12分間見せて、脳の活動を調べた。

■2014.4.2  介護士が女子トイレ侵入の疑いで逮捕、盗撮のカメラ設置 京都・京丹後市
勤務先の養護老人ホームの女子トイレに侵入したとして、京都府警京丹後署は2日、建造物侵入の疑いで、京都府京丹後市の介護士(26)を逮捕した。

京丹後署によると「盗撮目的で侵入し、小型カメラを設置した」と容疑を認めている。設置したのは主に職員が使うトイレという。

2日午後、養護老人ホームから「女子トイレに小型カメラが設置されている」と通報があった。盗撮の容疑についても調べる。

逮捕容疑は2日正午ごろ、京丹後市の養護老人ホームの女子トイレに侵入した疑い。

■2014.4.3  全盲の女性が殴られ負傷 傷害容疑で男逮捕 須磨署
全盲の女性を殴って負傷させたとして、須磨署は3日、傷害容疑で、神戸市須磨区の無職の男(44)を逮捕した。同署の調べに容疑を認め「脚が女性に引っかかり、腹が立った」などと供述しているという。

逮捕容疑は、2日午後3時ごろ、神戸市内のスーパーの通路で女性(41)の顔を殴り、負傷させた疑い。

同署によると、女性は顔面を骨折しているとみられ、重傷のもよう。親族と2人で買い物に訪れ、いすに座って休んでいた。女性は白杖を使用しており、視覚障害者であることが分かるという。

■2014.4.3  災害時、簡易ベッド提供 神戸市 伊丹のメーカーと協定
■震災教訓に要援護者用

阪神大震災や東日本大震災で、避難生活中の高齢者や障害者が低体温症などの健康被害を受けたことを教訓に、神戸市は災害時、段ボール製の簡易ベッドなどの提供を受ける協定を伊丹市の企業と締結した。企業は、伊丹市の段ボール製造メーカー「セッツカートン」。市が民間事業者と要援護者用物資の調達に関する協定を結ぶのは初めて。

簡易ベッドは、幅約90センチ、長さ約2メートル、高さ約35センチで、1畳ほどの大きさ。約8トンの重さに耐えることができる。2人で組み立てる場合、作業時間は10分程度という。提供は有償で、1個2900円。

協定では、市内で大規模災害が発生した場合、同社は、市の要請に応じて必要数の簡易ベッドや簡易トイレを提供。簡易ベッドなどは、72時間以内に高齢者や障害者ら要援護者が避難する「福祉避難所」に届けられるとしている。

また、市は災害に備え、あらかじめ簡易ベッド約100床を備蓄するという。

阪神大震災や東日本大震災では、体育館などで長期の避難生活を送る要援護者が、低体温症や粉塵(ふんじん)による肺炎などの健康被害を受けたとされている。災害時に避難所に簡易ベッドを導入することで、要援護者の健康被害や介護者負担の軽減などが期待できるという。

市保健福祉局の三木孝局長は「(協定は)高齢者や障害者の避難所生活に心強く、温かい支援になる。阪神大震災の経験を踏まえ、全国のモデルになるような災害弱者に対する避難所の環境整備を心がけていきたい」と話した。

■2014.4.3  なんばに障がい者就労支援施設−パソコンやビジネスマナー習得、就活支援も /大阪
障がい者の就労支援サービスを手掛けるウイングル(東京都目黒区)は4月1日、障がい者就労移行支援事業所「ウイングル大阪なんばセンター」(大阪市浪速区元町1、TEL 06-6632-1644)を開設した。

障害者自立支援法で定められた福祉サービス事業所の1つで、就職を目指す障がい者に対して、パソコン訓練、ビジネスマナー訓練、企業実習、就職活動のスキルアップ訓練などを行い、企業が求める人材へのステップアップを支援する。大阪府内では梅田・天王寺・枚方に次ぐ4カ所目のセンター開設となり、全国では40カ所目。

場所は、地下鉄四つ橋線・なんば駅の近く。明るくポップな色使いの約30坪のセンター内には、研修スペース、面談スペースなどを設置。センター内でロールプレーイングやグループワークを中心とした研修を行うほか、大阪府内で90件超の実習先企業を確保。実際の職場環境の中での就労訓練も行う。就職活動に向けた履歴書の作成支援など、就職活動のサポートも行う。

同センターには現在、20〜40代を中心に9人の障がい者が通う。個人の目標やスキル、健康状態により異なるが、週5日、9時〜15時の通所・実習が可能。個人ごとの長所や課題などは7人のスタッフが常に把握・記録し、支援内容を決定する。通所期間は最長2年間だが、早ければ3〜4カ月で就職先を見つける人もいるという。就職後も同センターのスタッフと月に1回程度面談を行い、定着支援を行う。

利用料金のうち自己負担は1割だが、前年度の所得により負担金の上限(9,300円または3万7,200円)が決まっており、多くの場合、自己負担はかからないという。また、障害者手帳がなくても、医師の診断や定期的な通院があれば自治体の判断により利用も可能。

同センターマネジャーで社会福祉主事の森田和樹さんは「客観的な視点で課題を見付け、ウイークポイントを本人にも伝え、目標を設定する。本人の努力ではどうにもならない部分は企業や社会にも働きかけ改善していく」と話す。

■2014.4.3  厚労省 障害福祉サービスの従事者処遇状況調査の結果を公表
処遇は改善されたか!?
厚生労働省は、「平成25年度 障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査」の結果を厚生労働省ホームページにて公表した。

調査は、障害福祉サービスなどを実施する施設・事業所で、休止・廃止を除いた11,398の施設・事業所を対象に行われ、回収数は9,381件となった。

主な調査項目は3項目
平成24年度障害福祉サービス等報酬改定で創設された、「福祉・介護職員処遇改善加算」および「福祉・介護職員処遇改善特別加算」について、実際に従事者の処遇改善につながったかどうかを検証するために行われた。

この調査では、「福祉・介護職員処遇改善加算等の届け出状況」「施設・事業所の給与等の引き上げ状況」「福祉・介護職員処遇改善加算等の処遇改善効果」の3項目を主に調査した。

検証結果を踏まえ、次回の改定時にその扱いについて検討するための基礎資料を得ることも目的のひとつである。

平均給与が7,375円増加
平成25年度に処遇改善加算の届け出をしている施設・事業所は74.1%あり、処遇改善特別加算の届け出をした施設・事業所は2.9%あった。届け出をしなかった施設・事業所は23.1%となっている。

そして、平成25年4月1日から平成25年9月30日の間に給与等を引き上げた施設・事業所は64.5%あった。引き上げの実施方法は定期昇給が76.8%と高い結果となった。

実際の給与額は、平成25年9月における処遇改善加算対象職員の給与額が前年9月との比較で、7,375円増加した。また、給与の引き上げ以外の処遇改善状況をみると、「職員の増員による業務負担の軽減」の改善を行った(予定も含む)施設・事業所が28.5%あった。




厚生労働省 平成25年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果について
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/toukei/

平成25年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果(概要)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/toukei/shogu_tyousa/dl/h25_gaiyou.pdf

平成25年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果(詳細)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/toukei/shogu_tyousa/dl/h25_shosai.pdf

■2014.4.3  大震災、「障害者」はどうやって身を守ったか
近い将来起きるとされる南海トラフ巨大地震などの大災害時に、難病患者や障害者は自らの命をどう守ればいいのか? 

死者・行方不明者が1万8千人を超え、最大約47万人が避難を余儀なくされた東日本大震災の発生から3年が過ぎた3月22日、兵庫県伊丹市でその参考になりそうなフォーラムが開かれた。

「避難中に人工呼吸器のバッテリーがなくなった」「車いすを持ち出せなかった」。宮城県で被災した難病患者や障害者、その家族、施設の担当者ら9人が語った恐怖の体験とは−。

人工呼吸器が止まる

月に数回通っていた宮城県名取市のデイサービスセンターで被災した桜井理さん(38)は筋肉が徐々に衰える筋ジストロフィー患者で、生活には人工呼吸器が欠かせない。

激しい揺れの後は、施設の職員らと市役所に避難。間もなく施設は津波に見舞われた。「わずかでも避難が遅れていたらと想像すると、ぞっとする」。夕方、迎えに来た父親の車で自宅に戻ったが、停電が続いていたため、人工呼吸器の内臓バッテリーと外部バッテリー、車のシガーライターを数時間ごとに交互に使いながら命をつないだ。

ところが4日目、内蔵バッテリーの残量が少なくなったうえ、外部バッテリーにつなぐインバーターが2台も不具合を起こした。そこで、停電から復旧していた仙台市の叔母宅に家族と避難することにしたが、出発直前、警告音とともに呼吸器が停止。母親が移動中の車内で、手動で呼吸を確保する機器を約20分間にわたって操作して叔母宅にたどり着き、何とか危機を乗り切った。
普段から入浴時に機器を使っていたことが幸いし、桜井さんは「呼吸器が停止して慌てたが、パニックを起こすことはなく落ち着いていた」と振り返った。

普段から備え

桜井さんは平成15年から、24時間人工呼吸器を使用している。震災前から防災意識は高く、不測の事態に命綱となる外部バッテリーやインバーターは自宅の決まった場所に保管。月に一度は充電し、定期的に買い替えていた。シガーライターから呼吸器の電源を確保することも想定し、車のガソリンが半分以下になったら必ず給油する“決まり”も設けていたという。

震災に遭っても避難所に行くのが極めて困難なため、寸断されたライフラインが復旧するまで自宅で過ごせるよう食料なども準備。外出時には外部バッテリーやインバーター、懐中電灯を車いすに備え付けていた。

震災を機に「命には代えられない」と発電機を購入したほか、新しいインバーターや情報収集のためのスマートフォン(高機能携帯電話)も買いそろえた。

「体験を教訓に啓発を」

「患者や家族、周囲の人たちが『最悪の事態でも手動の機器があれば、命を救うことができる』という共通認識を持つことが重要」 桜井さんはこう語り、日常的に医療機器を使用する人や家族は手動の機器を用意し、使い方に慣れておく必要があると指摘。こうした人たちが災害時に医療機器の電源を確保できるように、デイサービスセンターなど障害者を受け入れる施設や自治体の施設は発電機を常備しておくことが望ましいと強調した。

昨年、かかりつけの病院の協力を得て、外出が難しい在宅療養者がつながりを持てるようにする組織をつくり、各地で講演も続ける。桜井さんは「体験を生かし、地域で暮らす災害弱者の防災面の啓発に取り組みたい」と力を込めた。

偶然が重なり避難

障害者を受け入れる施設は震災にどう向き合ったのだろうか。

宮城県名取市の沿岸から約1・2キロにあったある施設は津波で全壊したが、サービス管理責任者の菊地浩さんは「偶然が重なり、利用者を避難させることができた」と振り返る。

偶然とは、(1)お茶の時間で利用者が2カ所に集まっていた
(2)利用者の送迎に備えて車両や運転手が待機していた
(3)施設を運営する社会福祉法人の理事長と施設長、事務長のトップがそろっていた−の3つ。震災直後に携帯電話で情報を収集した職員が津波の危険性を察知し、約10分後には6台の車両で、職員約30人と利用者約40人が近くの駅前に避難。さらに内陸の体育館へと避難し、迎えに来た家族に利用者を引き渡した。菊地さんは「迅速な判断で命拾いしたが、施設の側に迷いがあれば、避難できなかったかもしれない」と話す。

フォーラムでは、震災3カ月後に職員を対象に実施したアンケートの結果も紹介した。それによると、施設は海から近い場所にあったにもかかわらず、津波を想定した訓練をしていなかったことへの指摘に加え、「携帯電話を1台しか持ち出せなかった」「利用者の車いすを持ち出せなかった」といった反省の声が多かったという。

同じことが繰り返されてはならない。菊地さんは「失敗談を参考に、対策を立ててほしい」と参加者に呼びかけた。

飲料水備蓄、事業継続計画(BCP)策定へ

宮城県岩沼市の就労支援センター園長の佐々木健一さんは、震災で浮き彫りとなったさまざまな課題の解決に向けた取り組みを報告した。

断水に見舞われ、仙台市内の職員の自宅の井戸から水を確保したという経験を踏まえ、震災後は施設に3日分の飲料水を備蓄したほか、発電機や蓄電池、拡声器なども準備。災害時の送迎のルールを利用者の家族にあらためて周知したという。

マグニチュード(M)9・0、最大震度7という巨大地震で危機管理計画がまったく機能しなかったため、新たに震度6強以上を想定した危機管理計画を作成。衛星電話を使った情報収集や安否確認の訓練を行うことを盛り込んだ。さらに今年の秋をめどに、事業継続計画(BCP)を策定する方針という。

支援協定が縁

一方、阪神大震災で被災した障害者を支援した実績があり、東日本大震災の被災地にも入ったNPO法人「ゆめ風基金」(大阪市東淀川区)理事の八幡隆司さんは発生から1週間後に東北の被災地に入り、避難所の見回りを続けた。障害者はほとんどおらず、自宅で耐える障害者と家族の姿が目立ったという。「被災して自宅で暮らしている障害者は誰にも頼れず孤立し、支援の手からもれる可能性がある」。八幡さんはこう警鐘を鳴らし、「あらかじめ避難する場所を決めておいた方がいい」と提案する。

フォーラムには障害者やその家族、施設の関係者や民生委員ら約100人が参加し、関心の高さをうかがわせた。主催した伊丹市社会福祉協議会は震災後の23年7月に宮城県岩沼、名取の両市の社会福祉協議会と支援協定を結び、がれき撤去や仮設住宅でのボランティアを募りバスツアーなどを行ってきた。

震災に備え、身体が不自由な人たちに対してはこうした連携や情報交換が欠かせない。その上で、東日本大震災の記憶を風化させることなく、その教訓を踏まえ、南海トラフ巨大地震などに備えた実効的な対策が求められている。

■2014.4.3  <厚生労働大臣>介護従事者の処遇改善について言及
田村厚生労働大臣は、4月1日の閣議後記者会見にて、医療・介護改革の一層の改革とともに、介護従事者の処遇改善の必要性について言及した。

まず、この日から8%に引き上げられた消費税について、財源分はすべて社会保障に使われること、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度を維持していくために必要な消費税であることを国民に理解してもらえるよう、「しっかりと周知していく」と発言。

医療・介護については、来年4月からの低所得者の保険料減額を「さらに深掘りをするということもある」と発言しながらも、ただ単に負担が軽くなるだけではなく、医療提供体制の見直し、地域包括ケアシステムの推進など必要な医療や介護の体制を整備するところに「しっかり財源を使っていきたい」と発言した。

また、記者から質問が出た、民主党など野党がこのほど共同提出した介護従事者の処遇改善を主旨とする介護人材の確保法案については、民主党議員などの議員立法であり、事前に与党に話がなかったこと、国会でどのような議論をしていくかを静観する姿勢であることを述べ、その上で、来年度の介護報酬の改定にて「介護従事者の方々の処遇改善に向かい、野党提出の法案に関わらず努力していきたい」と回答した。

■2014.4.3  不正請求860万円 介護事業者の指定取り消し 前橋市
介護報酬の不正請求や障害者の虐待防止に関する義務違反があったとして、前橋市は2日、介護保険法と障害者総合支援法に基づき、同市青柳町のNPO法人「凌心」(鈴木凌太理事長)の事業者指定を10日付で取り消す、と発表した。不正請求額は約860万円で、市は返還を求めている。

市によると、同法人は同所で高齢者向け訪問介護事業所「ケアステーションまもる」と、障害者の居宅介護などを行う「ケアステーションゆう」を運営。「まもる」を始めた2011年9月から昨年11月までの間、無資格者がサービスを提供したり、報酬請求に必要な記録を提出しないまま約860万円を受給した。

■2014.4.3  みんなの家に集って笑って 富山市支援のサロン第1号
富山市が支援し、地域の高齢者が憩いの場として集うコミュニティーサロンの第1号「 若竹みんなの家」は2日、富山市若竹町2丁目に開所した。地元住民が運営に当たり、高 齢者の外出機会を増やして世代間交流を促進し、地域全体で高齢者を支える。

開所式では、サロンの運営に当たる若竹みんなの家推進本部の七山政廣本部長が「気楽 に来て、談笑してほしい」とあいさつ。富山市の作田正樹市民生活相談課長、市熊野地区 センターの高木邦孝所長、熊野校下自治振興会の四津谷陸郎会長が加わりテープカットし た。

サロンは市のモデル事業として、推進本部が補助金20万円と月3万円の運営費を活用 。空き家を活用し、1階に14畳の座敷部屋や台所を備え、2階には6畳の会議室を設け た。高齢者が茶や菓子を味わって交流するほか、寄席や映画観賞、防犯の出前講座の会場 としても活用する。近隣の公園で高齢者が野菜を育てることも計画している。4月中は毎 週水曜午前10時〜午後3時に開放し、5月以降はオープンの曜日を増やす。

推進本部によると、若竹町は昨年3月末時点で65歳以上の501人が暮らし、高齢化 率40・37%。高齢者が交流する朝市などの取り組みを積極的に行っており、サロン開 設が決まった。 七山本部長は「高齢者だけでなく、障害のある方や子どもたちにも利用 してもらいたい」と話した。

サロンは5月末以降、岩瀬地区でも開設する。

■2014.4.3  40〜64歳の介護保険料 なぜ5000円突破?
四十〜六十四歳の人が毎月払う介護保険料が、二〇一四年度に初めて一人当たり月額五千円を超える見通しになった。どうして、負担が重くなるのか。

Q 保険料はどうなるのか。

A 厚生労働省の推計によると、一四年度の見込み額は月五千二百七十三円になり、〇〇年度に介護保険制度が始まって以来、初めて五千円を突破した。〇〇年度が二千七十五円だったことを考えると、十四年間で二・五倍にはね上がった計算になる。

Q なぜそんなに増えたの。

A 介護が必要な高齢者が増え、介護に掛かる費用が膨らんでいるのに、負担する現役世代が減っていることが原因だ。

介護に掛かる費用は、サービス利用者が払う自己負担分と、介護給付費で賄われる。介護給付費の財源構成は、公費すなわち税金と保険料が半分ずつ。保険料の部分は、一四年度は六十五歳以上が21%、四十〜六十四歳が29%を負担する。

具体的には、介護予防事業費を含め一四年度に必要な介護給付費は九兆三千三十一億円と過去最高が見込まれる。この29%分を四十〜六十四歳が賄わなければならないが、この世代の人口が減っているため、一人当たりの負担が重くなる。

Q 六十五歳以上の人は?

A 六十五歳以上の保険料は三年に一度見直される仕組みで、一二〜一四年度は一人当たりの全国平均が月額四千九百七十二円。一五〜一七年度の保険料は一四年度中に各自治体が決めるが、こちらも五千円を超える可能性が高い。

政府は、現在は一割となっている介護サービス利用料の自己負担を、一定以上の所得がある人は二割に引き上げる法案を国会に提出している。法案が成立すれば一五年度から実施予定で、ダブルの負担増を抱える高齢者世帯も出そうだ。

Q 増えすぎるのは困るね。

A 四十〜六十四歳の場合、全員が負担増になるとは限らない。保険料は本人と、その人が入る健康保険組合が原則折半するので、一四年度の一人当たり見込み額で単純計算すると、月二千六百三十七円になる。ただし財政にゆとりがあるなら、健保組合側が多く拠出する場合もある。また、六十五歳以上の場合に政府は低所得者の保険料を軽減する策も打ち出している。

しかし、介護給付費の増加傾向は今後も続く。政府は、介護サービスの質と量を見直す考えだ。

Q 具体的には?

A 高齢者の見守りや生活支援、介護の必要な度合いが低い「要支援1、2」の訪問介護、通所介護を、市町村の事業に移し、既存の介護事業者に加えてボランティアやNPOも参入できるようにする。

介護給付費を抑制する対策として、特別養護老人ホームへの入所を要介護3以上の人と限定し、特養にいる低所得者への食費補助なども縮小する考えだ。

■2014.4.4  爺婆のバーガー召し上がれ 龍神村でジビエの新商品販売
和歌山県田辺市龍神村の高齢者らでつくる「村の爺婆(じじばば)会」(辻達行代表)は5日から、同会が運営している産品直売所「村の爺婆の店 まあはいらんせ」(龍神村柳瀬)でイノシシ肉とシカ肉を使ったハンバーガーの販売を始める。週2日だった営業日もこの春から週3日に拡大するなど運営体制を強化。辻代表は「春の目玉商品。ぜひ味わってみて」と話している。

直売所は、活性化に取り組む地域を支援する県の補助事業の一環で、国道425号沿いに昨年10月にオープンした。地元住民らが自家栽培の野菜、すしや漬物といった加工品など、地元ならではの商品を出品している。特に龍神村産のサトイモを使ったコロッケやプリンが人気という。

同会は昨年9月、食品加工場(龍神村安井)も開設し、直売所で販売する加工品の製造や商品開発にも取り組んでいる。

龍神村に観光などで訪れる人が増える春に合わせ、新商品の販売を始めようと考えていた同会は、以前来店した客から「手軽に食べられるハンバーガーを売ってはどうか」と提案を受けたことや、県が流通量拡大に取り組むなどしてジビエが注目されていることから、ジビエを使ったハンバーガーを作ることにした。

当初の案では、すでに店の人気商品になっているサトイモコロッケとジビエを合わせたコロッケバーガーにしようと考えていたが、最終的にはジビエだけを使ったハンバーグをパンに挟むことにした。ハンバーグはイノシシ肉とシカ肉の2種類で、特性ソースで煮込む。肉はジビエ加工施設「ジビエ本宮」(田辺市本宮町)から仕入れる。

このほどメンバーが加工場に集まり、ハンバーグを作り置きして冷凍保存するなど、5日からの販売に向け準備をした。皆で試食もした。

ハンバーガーはイノシシ肉、シカ肉いずれも1日15個限定。1個400円。

辻代表は「店の運営は現在、会員のボランティアに頼っているが、将来的には売り上げから人件費を出せるようにしたい。ハンバーガーが人気商品になり、運営体制の強化につながればうれしい。2種類のハンバーガーが軌道に乗れば、コロッケバーガーなどにも挑戦したい」と話している。

■月曜も毎週営業

直売所はこれまで、基本的に毎週土日曜のみ営業していたが、4月以降は月曜も店を開け、週3日の営業となる。大型連休中は4月29日、5月6日の火曜も営業する予定。時間は午前9時〜午後4時ごろ。

■2014.4.4  介護給付費、8・1兆円に 12年度、6・5%増
厚生労働省が4日公表した2012年度の介護保険事業状況報告によると、介護給付費(1割の利用者負担を除いた額)は前年度比6・5%増の8兆1283億円だった。給付費は介護保険制度が始まった00年度から増え続け、当初の2・5倍に膨らんだ。

高齢者の増加が今後も見込まれるだけに、給付と負担のバランスやサービス効率化などの議論が不可避となりそうだ。

13年3月末時点の要介護認定者は、前年同時期と比べ5・8%増の561万人。「要支援1〜2」「要介護1〜5」の7段階に分かれている介護の必要度でみると、要介護1が105万人で最多だった。

■2014.4.4  女児死亡:家庭福祉員が保育 東京・目黒
東京都目黒区は4日、家庭福祉員が保育していた生後7カ月の女児が3日に救急搬送され、4日に死亡したと発表した。警視庁碑文谷署によると外傷はなく、司法解剖して詳しい死因を調べる。

目黒区や同署によると、3日午後2時ごろ、区内の自宅で女児を保育していた家庭福祉員の女性が、就寝中の女児の呼吸が止まっているのに気付き、119番した。女児は救急車で病院に搬送されたが、4日午後2時過ぎに死亡した。家庭福祉員は当時、この女児を含め2人の子供を預かっていた。

区によると、女性は保育士の資格を持ち、4年前に家庭福祉員として区の認定を受けた。女児の家族は区の紹介で今月1日からこの家庭福祉員と契約していたという。家庭福祉員は「保育ママ」とも呼ばれ、仕事や病気などで昼間に子供の世話をできない保護者に代わり、子供を保育する。目黒区では13人を認定し、4月1日現在、36人の子供が利用しているという。

■2014.4.4  いい子が育つ都道府県ランキング、1位は「秋田県」
共立総合研究所は4月2日、文部科学省「平成25年度全国学力・学習状況調査」の分析による「いい子どもが育つ」都道府県ランキングを発表した。総合評価は、1位「秋田県」、2位「宮崎県」、3位「山梨県」がランクインした。

ランキングは、2013年度に行われた「全国学力・学習状況調査」の小学6年生を対象とした学習状況調査(児童質問紙調査)にある123設問のうち、「子どもの資質や成育環境として望ましい・望ましくないという判断が可能」な46設問を抽出。

各設問について、一般常識に照らしてもっとも望ましいと思われる回答の割合を都道府県別に算出し、偏差値化した。
また、46設問を「生活習慣」「意志・人格」「家庭」「道徳・規範」「地域」など11分野に分類した分野別のランキングも行っている。

1位の秋田県は、学力調査でもトップ。分野別では、全11分野中6分野でトップ。設問別では、46設問中20問でトップだった。特に、「コミュニケーション能力」や「体験」では全項目でトップとなった。

分野別に見ると、「生活習慣」は、東北・北関東・甲信越・北陸・中国で高く、「意志・人格」は北関東・中国南部・四国・九州南部で高い傾向がみられた。


http://resemom.jp/article/2014/04/04/17909.html

総合ランキング
http://social-welfare.rgr.jp/databox/ddda66xvd.png

■2014.4.4  TOTO、精神・知的障害者の雇用拡大
TOTOは特例子会社のサンアクアTOTO(北九州市)を中心に障害者の雇用を拡大する。特に精神・知的障害者については2017年度末までに新しく60人程度雇う方針だ。雇用する障害者のうち精神・知的障害者の比率を17年度末で20%(12年度末で12%)に引き上げる。多様な人材を確保し幅広い発想を製品開発などに生かす。

サンアクアに隣接するTOTOウォシュレットテクノの本社の一部400平方メートルをサンアクアの事業所として改装し、まず30人分の作業スペースを確保した。

サンアクアはTOTOが障害者の雇用促進を目的に1993年に設立した。北九州市なども出資している。水栓金具や暖房便座などの加工・組み立てを手掛けている。

TOTOグループ全体の障害者雇用率は12年度末で2.12%。創立100周年となる17年度末までに2.5%とする目標を掲げている。

■2014.4.4  医療・介護が絶対的に不足、衛生環境も最悪に ― 首都大地震の被害予測
最大で約720万人もの避難者が発生し、医療・介護や応急物資などが絶対的に不足してしまう ― 。

国土交通省が今週まとめた首都直下型地震に備えた計画は、想定される事態の深刻さがよく分かる内容だ。食料や水の不足が続き、高齢者や乳幼児に欠かせないものが行き届かない状況も予想。ライフラインの被害が保健衛生環境の悪化を早め、高齢者など多くの人が危機に直面すると警告している。

計画では、首都圏を襲う大地震のリスクを「我が国の存亡に関わる喫緊の根幹的課題」と強調。平時から進めておくべき対策や、被災者を支える物資を運ぶ手段、迅速な復興に向けた戦略などをまとめている。

一方で、「国民ひとりひとりが高い防災意識を持ち、自助・共助に備えて取り組むことが非常に重要」とも指摘。想定される被害を具体的に描き、あらかじめ課題を把握しておくように促している。

以下、計画で示された地震後の状況をまとめた。想定されているのは、首都圏で震度6〜7の大地震が起きたケース。

・約18万棟の木造住宅、老朽ビル・マンションなどが全壊。約41万棟が焼失する。

・建物倒壊による死者は最大で約1万人、火災による死者は最大で約1.6万人。倒壊や火災により、救助を要する人が約5〜7万人発生する。

・首都圏の鉄道では、地震発生時に最大で約180万人の利用者が見込まれる。主要駅や地下鉄、地下街などでは多くの利用者が滞留する状況となり、停電や火災、情報の遅れによるパニックが発生、出口を求めて殺到する人々の集団転倒など人的被害が拡大する。
・1都3県には約26万台のエレベーターが稼働しており、最大で約1.7万人が閉じ込められる。

・最大で約800万人の帰宅困難者が発生、徒歩帰宅者が車道にあふれ渋滞を助長し、緊急車両などの通行の支障となる。幹線道路には膨大な数の滞留車両・放置車両が生まれ、自衛隊や消防など救命救助活動にあたる車両の移動を阻害する。

・都心部では携帯電話やインターネットなどの情報通信網の寸断やアクセスの集中により、個人による状況把握・情報収集が困難となる。

・避難者は発災2週間後に最大約720万人に及び、 避難所のキャパシティを超過する。

・食料や救援物資のほか、乳幼児、高齢者、女性などの物資ニーズへの対応ができない状況が継続し、食料不足は最大で約3400万食に及ぶ。発災1週間後でも、1都3県で停電率は約5割、断水は約3割で継続し、冷暖房の利用、飲料水の入手、水洗トイレの利用が困難な状況を強いられる。飲料水の不足は最大約1700万リットルにのぼる。

・都市部の避難所では、避難者の集中やライフラインの被災により、居住スペースの減少、仮設トイレの不足、屎尿処理やごみ収集の遅延、感染症の蔓延など、避難所での保健衛生環境が悪化し、高齢者などを中心に健康を害する人が続出する。

・首都圏の交通・物流システムが、発災直後から長期間に渡り機能不全に陥る。鉄道の運行停止も長期化、 発災後1ヶ月を経過しても約60%の復旧に止まり、通勤困難などで首都圏の企業活動が停滞する。


■2014.4.5  名古屋マラソン大会で介護タクシー巡る疑惑
3月9日開催の「名古屋ウィメンズマラソン」。歴代の五輪メダリストも出場した名古屋国際女子マラソンを2012年に衣替えし、国際レース基準を満たしながら一般にも参加枠を広げている

男子も出場できる「名古屋シティマラソン」や車いすマラソンを含め、3月の3日間は「マラソンフェスティバルナゴヤ・愛知」として定着した。しかし、街を挙げての華やかなイベントの裏で、ランナーの命にもかかわりかねない、ずさんな医療救護態勢が浮かび上がった。

■ 救護車の実態とは

「救護」と印刷されたピンク色の布。大会開催中、公道を走り回っていた救護車に掲げられていた表示だ。問題なのは、この救護車だ。

「普段は『介護タクシー』として主に要介護のお年寄りを自宅から病院などに送り届けている。マラソン大会には昨年から声を掛けられて出ているが、応急手当の講習などは受けたことがない。こんな事業者でもよかったのかと今でも心配だ」

愛知県内のある事業者はこう打ち明ける。

「介護タクシー」とは車いすやストレッチャーでも乗り込めるタクシーの通称。道路交通法に基づき、「福祉輸送事業限定」の一般乗用旅客自動車運送事業として各地方運輸局長が許可を出す。乗せることができるのは障害者手帳を持っている障害者や要介護認定者、単独でタクシーに乗ることのできない肢体不自由者などに限られている。ただし例外として「消防機関または消防機関と連携するコールセンターを介して、患者等搬送事業者による搬送サービスの提供を受ける患者」が認められている。

「患者等搬送事業者」とは、東京消防庁の主導で全国に広まった制度で、救急車が出動するほど緊急でない患者を民間車両がカバーする目的のため「民間救急」とも呼ばれる。サイレンがない以外は公的な救急車とほとんど変わらない「医療系」の車両のほか、介護タクシーも事業者が応急手当などの講習を受けたうえで各地の消防本部から認定を得て「福祉系」の民間救急車として活動している。

名古屋では昨年の大会に18台の介護タクシーが初参加。今年はさらに拡大して34台が参加し、けが人など30人以上を搬送したという。しかし取材で確認したところ、少なくとも13の参加事業者は民間救急の認定を取得していなかった。冒頭の業者のように最低限の講習すら受けていない業者もあれば、講習を受けた乗務員に交付される「適任証」は持っているが、車両を含めた申請を怠っていたり、大会までに登録が間に合わなかったりした業者も。また、本来は愛知県内で営業できない岐阜ナンバーの車両も最低3台確認できた。

大会実行委員会は、公式サイトで「すべての救護所に民間救急搬送車を配置し、傷病者を医療機関およびフィニッシュ会場へ搬送します」とうたっていた。これに偽りはないのか。実行委側は「患者等搬送事業者制度は、認定がなければ患者を搬送できない制度ではない。本大会車両が認定を受けていなかったとしても何ら問題はない」と反論する。

しかし、疑問点はこれにとどまらない。

今回、実際に車両を手配したのは名古屋市に本部を置く一般社団法人「福祉・介護移送ネットワークACT(アクト)」。電話やメールで介護タクシーの予約を受け付け、配車するコールセンターを運営している。元名古屋市議が2年前に開業し、現在は約30のグループ事業者を擁する。

■ 運輸局も重大な関心

実行委はアクト側に事業者の調整や運行管理などを委託し、委託料を支払っていたことを認める。ところが事業者側からは「ボランティアのつもりなのでまったくの無報酬だった」「搬送に伴う高速道路代などの実費だけは受け取った」との証言が出てくる。

さらに、実行委は自力で帰宅できなくなったランナーが出た場合、事業者が自宅や駅へ有料で送り届けることを促していた。救護所の業務を停滞させないためだという。その際は「救護」の幕を外し、事業者がランナーと個別契約をするよう指示しており、これは完全に「営業」の範疇に入ることになる。

「営業ナンバーである以上、許可条件以外の用途に車両を使うのはおかしい」。関東、中部、近畿の各運輸局に問い合わせると、いずれの担当者も疑念を隠さなかった。

「健常者のみを搬送」「営業所以外での運送引き受け」「区域外での運送業務」など法令違反の可能性が続々浮上する。「こうした話は今まで聞いていなかった。実態を調べないといけない」と、中部運輸局愛知運輸支局も調査に乗り出す意向を示した。

今年2月の「東京マラソン」でも、緑ナンバーの介護タクシー3台を含む27台が救護車として出動している。ただし、これは普段から東京消防庁認定の民間救急車を手配する公益財団法人「東京防災救急協会」を介しての要請だった。つまり、20ページ下段25行目に示した「消防機関と連携するコールセンターを介して」という運輸局の例外要件を満たしているわけであり、アクトのコールセンターと同列には論じられない。

アクト代表の元市議は「実行委を通して対応する」として直接取材に応じていない。市民マラソン大会と介護タクシー事業。どちらも不透明さがあってはならないだろう。疑惑の解明が求められる。

■2014.4.5  国立障害者施設、虐待の報告遅れ 把握から7カ月後
群馬県高崎市にある独立行政法人国立重度知的障害者総合施設「のぞみの園」は4日、施設内での職員による虐待が疑われる事案について、障害者虐待防止法に基づく県などへの報告が遅れたと発表した。内部で事案を把握したのは昨年8月だが、群馬県と市への報告は約7カ月後だった。

園によると、昨年8月、60代の男性入所者の頭をたたいたという虐待が疑われる事案が寮長に報告されたが、調査が遅れ、同法に基づく通報を県と高崎市にしていなかったとしている。

施設関係者によると、虐待したとされるのは園の女性職員で、昨年8月29日、入所者をたたく姿を複数の職員が目撃し、翌30日には寮長に報告された。しかし、高崎市への通報は今年3月31日、県への通報は今月1日だった。園側は「女性職員は体を押さえただけだと説明しており、県などの調査に協力して適切に対応したい」としている。

■2014.4.5  外国人活用、遅れる日本 介護など期待強く
現在、日本で働く外国人労働者は68万人。労働力人口全体に占める割合はわずか1%と、主要国で最も低い。政府は今回、外国人の受け入れ拡大に一歩踏み出すが、まずは建設、介護など国民の理解が得られやすい分野から始める。

慢性的な人手不足に悩む介護分野。政府は団塊の世代が75歳以上となる2025年には介護職員数を現状から約100万人増やす必要があると推計する。だが「給与が上がりにくく仕事もきつい」(九州の有料老人ホーム経営者)ため、人材がなかなか定着しない。

経済連携協定(EPA)に基づき、2008年に導入した外国人介護福祉士制度もうまく機能していない。インドネシア人とフィリピン人候補者の国家試験の合格率は4割程度。日本人も含めた全体の合格率(6割強)と開きがある。日本語による試験が壁だ。

家事分野でも今後、働く女性がますます増え、共働き世帯による「代行のニーズが高まり人材不足感が強まる」と家事手伝いサービス、ベアーズの高橋ゆき専務は話す。

建設業では人手不足で公共工事の担い手が現れない「入札不調」が頻発。2月の建設分野の有効求人倍率は2.94倍にのぼった。

一方、外国人が日本で働く魅力を感じる環境づくりも課題だ。

外国人技能実習制度では、劣悪な環境で長時間労働を強いる事業者も散見される。同日の会議で岸田文雄外相が「国際的批判に耐えうる制度の適正化が必要」と訴えた。民間議員からは、法律に基づいて事業者への厳しい立ち入り検査ができる仕組みが必要との指摘があった。

移民政策を巡っては「社会的なあつれきも懸念される」(明治大学の飯田泰之准教授)と慎重な声が根強い。だが「人口減の中で、外国人を積極活用しなければならない現実がある」(法政大学の小峰隆夫教授)のも確かだ。

■2014.4.5  早く歩ける高齢者ほど、記憶力が高い!熊本大チームが研究結果を発表
今後の認知症予防などに期待される研究結果
熊本大学文学部認知心理学研究室が、健康な高齢者では、速く歩ける人ほど記憶力が優れているという研究結果を発表しました。

この研究結果は、大学院社会文化科学研究科博士後期課程1年の川越敏和さんと文学部・積山薫教授が行った、高齢者の運動能力と認知機能との関係を調べた研究で明らかになったもので、この研究結果が今後、認知症予防などに期待されます。

「ワーキングメモリ」の種類に着目!歩行速度との関連は
今回の研究では、高齢者が急速に低下するといわれている一時的な記憶である「ワーキングメモリ」の種類に着目。

提示された文字をどの程度覚えているかといった“音韻ワーキングメモリ”と、人の顔を記憶する“顔ワーキングメモリ”、場所を記憶する“空間ワーキングメモリ”の3種類に分けて、「ワーキングメモリ」の成績と運動能力の関連を測定しました。

測定結果では、歩行速度が速い人ほど、“顔・空間ワーキングメモリ”が高いことが明らかになりました。

この測定結果から、早足の歩行ができる運動能力を維持することが認知症予防につながる可能性が考えられます。

「歩行能力が高い高齢者は記憶力が優れる―熊本大のチームが発見」国立大学法人熊本大学※PDF
http://www.kumamoto-u.ac.jp/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2013_file/release140320-1.pdf

■2014.4.7  大津 「くれおカレッジ」開校 知的障害者の就労支援
特別支援学校などを卒業した知的障害のある人が対象の就労移行支援施設「くれおカレッジ」がオープンし、大津市一里山1丁目の同カレッジでこのほど開校式が開かれた。関係者ら約60人が出席し、新入校生の新たなスタートを祝った。

同施設は、知的障害者が社会生活と就労に必要な技能を学ぶ大学相当の場として、大津市が進めている事業の2カ所目の施設として開設された。国の自立訓練事業2年と就労移行支援事業2年を組み合わせ、4年間で国語や英会話などの教科学習や生活・就労訓練などを行う。本年度、18〜24歳の男女10人が入校した。

開校式では、同カレッジを開設した社会福祉法人共生シンフォニー(同市大将軍2丁目)の柴田與一郎理事長が「入校生のみなさんには、ここで自分を磨いて、オンリーワンの自分を見つけて社会に出てほしい」とあいさつ。入校生を代表し、別所真基さん(18)=同市=が「友達をつくったり、サークル活動をやって、友達とのきずなを深めたい」と抱負を述べた。その後、一人一人に学生証が手渡された。

別所さんの父親の勝美さん(49)は「少人数で一人ずつ対応してもらえる。4年間で美術の腕と自信をつけ、成長してほしい」と話した。


■2014.4.7  初の認定社会福祉士が誕生
日本社会福祉士会は1日、社会福祉士の上乗せ資格にあたる認定社会福祉士が178人誕生したと発表した。専門分野ごとの研修を経た社会福祉士を第三者機関「認定社会福祉士認証・認定機構」(運営委員長=橋本正明・至誠学舎立川常務理事)が認定した。

認定社会福祉士は所属組織の相談部門のリーダーとなる人。相談援助の実務経験が5年以上ある社会福祉士が、所定の研修などを経て、高齢、障害、児童・家庭、医療、地域社会・文化の5分野ごとに認定される。

178人の内訳は医療分野(病院などでの相談援助)が161人で最も多い。登録者の氏名、認定分野、勤務先は日本社会福祉士会のホームページで公開されている。

2007年の社会福祉士及び介護福祉士法改正の際、より専門性の高い社会福祉士を設けるよう付帯決議が付き、同会など関係団体が協議してきた。

http://www.jacsw.or.jp/10_senmon/nintei/toroku_meibo.html

■2014.4.8  特養ホーム攻防 民間参入阻止で厚労省まず先勝か
社会福祉法人という存在をご存じだろうか。福祉事業の担い手として特別養護老人ホーム(特養)や保育所を運営している法人で、その数は全国で2万弱。非営利で公共性が高いために強い規制をかけられる一方、法人税などの税金が原則として課税されない。

介護施設や保育所は民間企業も運営している。企業は法人税を納めているのに、社会福祉法人は税負担が原則ゼロ。さらに社会福祉法人による施設整備には手厚い補助金が入っている。社会福祉法人と民間企業の競争条件を同じにすべきではないか――。こんな議論が昨年来、政府の規制改革会議で進んでいる。

■「慈善事業を義務づけ」で逃げ切り

やり玉にあがっているのは、特養だ。寝たきりや認知症などの要介護高齢者を対象に介護サービスを提供する施設で、全国に7000カ所以上ある。しかし、この施設をつくれるのは社会福祉法人と地方自治体だけ。民間企業にも参入させてはどうか、というのが規制改革会議の意見だ。

もう一つが、社会福祉法人向けの財政上の優遇措置だ。税金を納めていないのであれば、収益の一定割合を慈善的な地域の福祉活動に振り向けることを義務づけてはどうか。義務を果たさない場合は業務を停止させてはどうか、と規制改革会議は厚労省にぶつけてきた。

特養の市場をこじあける。社会福祉法人に非課税に見合った慈善事業をやらせる。いわば二正面作戦で「岩盤規制」を打ち砕こうと試みたのだ。

昨年11月の規制改革会議。厚労省の担当審議官は「いろいろな方法で社会福祉法人に地域での福祉に貢献してもらう」。社会福祉法人に無料や定額の慈善事業を義務づけることを検討すると明言したのだ。

あっさりと厚労省が譲歩のカードを切ったのは、特養という「官製市場」を守るため、と疑いたくなる。それぐらい特養への民間参入をめぐる厚労省の姿勢はかたかった。

今年2月。規制改革会議の大田弘子議長代理らは「介護・保育では営利法人と非営利法人が混在する市場になった。だからイコールフッティング(同一条件)ということを問題にしている」と攻め立てた。

だが、厚労省は「特養は社会福祉法人が中心、有料老人ホーム、グループホームなどは民間営利企業が中心というなかで、多様なサービスの種類の中で高齢者介護サービスを満たす」。社会福祉法人と企業は介護施設の種類ですみ分けができているので、特養を企業に開放する必要はないというわけだ。

厚労省は布石を打っていた。すでに昨年、特養への新規入所の要件を「要介護度3以上」と比較的症状が重い人に限る方針を決めていた。安全網(セーフティーネット)としての役割を明確にすることで、民間施設とのすみ分けを際立たせたともいえる。「最後は政策論だ。もう特養の話はやめたい」と厚労省幹部には厭戦(えんせん)気分が漂う。

■攻防の第2幕は「慈善事業の中身」

実は規制改革会議にも弱みがあった。「特養を手掛けたいという企業はないんです」とある介護サービス大手の幹部は言い切る。2000年に介護保険制度が始まってから約14年。有料老人ホームやグループホームなどをかなり増やしてきた民間企業にとって、特養は収益性が低く「いまさら『特養を運営できます』といわれても困る」というのが本音だ。さすがに民間の援軍がなければ、規制改革会議も攻めきれないだろう。

規制改革会議に作戦ミスはあったかもしれない。ただ、社会福祉法人に地域に貢献する慈善事業を義務づける方向へと厚労省を追い詰めた点は成果ともいえる。焦点はこの先だ。

3月25日に厚労省が示したペーパーは、地域貢献事業の例として(1)低所得者の利用者負担軽減(2)地域の単身高齢者を対象とする見守り・配食サービス(3)災害時の各種支援活動(4)貧困・生活困窮者への住宅のあっせん、食事の提供――などを挙げているが、いまひとつはっきりしない。

社会福祉法人に収益の何割程度を地域に還元させるのか。誰がどのようにこれを監視するのか。もしも社会福祉法人が義務を怠った場合のペナルティーをどうするのか。こうした仕組みをいつから実施するのか――。6月の成長戦略に向け、社会福祉法人改革をめぐる規制改革会議と厚労省の攻防は最終局面に入る。


■2014.4.8  ホンダ太陽:新棟増設起工式 日出町 /大分
障害者の雇用拡大に努める日出町川崎のホンダ太陽は、現工場の隣にデータビジネス棟の増設を決め、起工式を行った。

新棟は2階建て延べ約2000平方メートルで、9月に完成する。主にバイク部品の試作品などを製作する。新棟の完成後、約20人の雇用を増やす。

同社は、別府市内の社会福祉法人「太陽の家」とホンダが、障害者の雇用の場を生み出そうと1981年に設立した。日出町の工場では従業員241人中133人の障害者が働いている。

■2014.4.8  処遇改善で給与はアップしたか?――社保審介護給付費分科会レポート
3月27日、社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋・分科会長 以下、分科会)の第99回が開かれ、「2013年度介護従事者処遇状況等調査の結果」、「2012年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(2013年度調査)の結果」、「2012年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(2014年度調査)の進め方」について、厚生労働省老健局から報告があった。
分科会では、介護報酬や事業所基準などの見直し案が検討されるが、現在、通常国会で介護保険法改正案の審議がはじまったばかりで、第6期(2015〜2017年度)の介護報酬の見直しの検討は、法案の成立待ちの状態だ。

■2009年からはじまった「介護従事者」の給与調査
第99回では、「介護従事者処遇状況等調査結果」の報告が行われた。
介護労働者のなかで、ホームヘルパーと施設などで働く介護職員は、「介護従事者」と呼ばれている。現在、「介護従事者」は約136万人(常勤換算約83万人)だ。
介護保険制度は2000年度からスタートしたが、介護報酬は第2期(2003〜2005年度)にマイナス2.3%、第3期(2006〜2008年度)にマイナス2.4%と6年間にわたって引き下げが続いた。介護労働者の給与はサービスの売上(介護報酬)から支払われるので、給与の引きあげは見込めず、また労働環境が厳しいことなどから離職率が上昇した。
このため、政府は第4期(2009〜2011年度)の介護報酬プラス3.0%改定とともに、介護保険料の上昇を抑制するため「介護従事者処遇改善臨時特例交付金」で、税金を投入した。さらに、2009年9月から2012年3月まで「介護職員処遇改善交付金」を追加した。
これらの交付金の効果を検証するため、実施されたのが「介護従事者処遇状況等調査」で、サービスを提供する事業所にアンケートを行い、1年以上働いている「介護従事者」の前年9月と翌年9月の給与を比較するという手法で実施されている。
厚生労働省は「介護従事者」の平均給与(基本給+手当+一時金)は、2009年度調査で8,930円、2010年度調査で15,160円、2012年度調査で5,880円とそれぞれ増えたと報告している。
その後、交付金(税金)は介護報酬に移され、第5期(2012〜2014年度)はプラス1.2%改定となり、介護報酬に「介護職員処遇改善加算」(以下、加算)が創設された。

■「給与は増加している」
分科会では、迫井正深・老人保健課長から2013年度調査結果の報告があり、1.事業所の87%が処遇改善加算の届け出を行い、2.定期昇給を実施している事業所が77%になり、「加算は処遇改善として定着している」との説明があった。

また、2012〜2013年にかけて1年間、同じ事業所で働いている「介護従事者」は、「常勤・月給の者」の給与は7,180円、平均基本給は2,400円増え、「時給・非常勤の者」では平均時給が10円増え、「勤続1年以上の者の給与額は増加している」と報告された。(資料1-3)。

■加算の届け出状況は、サービスによってばらつきがある
介護職員の給与を引きあげるために設けられた加算だが、加算をつけるかどうかは事業所の判断にもとづくため、表1にあるように、サービスによって届け出割合にばらつきがみられる。

特別養護老人ホームなどの施設サービス、認知症グループホーム(居住系サービス)では届け出が9割を超えるが、在宅サービスのデイサービスとホームヘルプ・サービスは8割台となっている。なお、老人保健施設などに転換し、廃止が予定される介護療養病床は届け出が5割台だ。

届け出をしない理由は、「事務作業が煩雑」と「利用者負担の発生」が多い。
また、現状の事業所数と調査で有効回答になった事業所数を比べると、特別養護老人ホームは24%、老人保健施設は26%と高いが、認知症グループホームは10%、デイサービスは7%、ホームヘルプ・サービスは6%と低く、データ不足も推測される。

表1 「介護職員処遇改善加算」の届け出状況
http://social-welfare.rgr.jp/databox/bvbbbbbbjb-1.PNG

■加算の届け出状況は、サービスによってばらつきがある
調査対象となった「介護従事者の給与」について、表2にまとめた。
「常勤・月給の者」が約2万人と多く、「時給・非常勤の者」は約6,000人だ。

2010年データで、介護従事者の実数は約136万人で、常勤が約73万人(53%)、非常勤が約63万人(47%)と報告されているので、とくに「時給・非常勤の者」は調査対象者が少ない。
いずれにしても、2008年以降、交付金や加算により給与の引きあげをはかってきたわけだが、平均給与は「常勤・月給の者」で27万6,940円、「時給・非常勤の者」で9万450円だ。

介護分野のほかの職種をみると、「常勤・月給の者」の場合、看護師は36万6,460円、ケアマネジャーは33万3,380円、「時給・非常勤の者」の場合、看護師は21万1,810円、ケアマネジャーは21万3,600円と報告されているので、同じ制度のもとで働く人のなかでも、「介護従事者」の給与は低いことになる。
なお、「時給・非常勤の者」の給与については、実労働時間が異なるので単純な比較はできないといわれるが、表に「※時給換算」した金額を入れてみた。「常勤・月給の者」では1,702円、「時給・非常勤の者」は1,221円になる。

表2 「介護従事者」のデータ
http://social-welfare.rgr.jp/databox/bvbbbbbbjb-2.PNG

サービス別の平均給与は、6万円の開きがある。
調査の対象になっているのは6サービスの「介護従事者」だが、「常勤・月給の者」の平均給与は7,180円増えて、27万6,940円と報告されている。だが、サービス別でみると、平均給与をうわまわるのは、特別養護老人ホーム(30万2,680円)と老人保健施設(29万1,300円)で、特に認知症グループホームは24万3,380円と低い。
また、「非常勤・時給の者」では、平均給与は9万450円だが、特にホームヘルプ・サービス(8万140円)とデイサービス(9万6,350円)の低さが目立つ。
また、サービス別平均給与も実労働時間で割って「時給換算」してみたが、ホームヘルプ・サービス(1,439円)をのぞくすべてのサービスで、「非常勤・時給の者」が低いことがみてとれる。

表3 サービス別の平均給与
http://social-welfare.rgr.jp/databox/bvbbbbbbjb-3.PNG

■1年未満で辞める人の調査はない
調査は、1年以上同じ事業所に勤務する「介護従事者」の給与を調べている。
しかし、2008年から2009年の1年間で、新たに28.1万人が介護職員として就職するものの、同時にそれまで働いていた21.8万人が離職し、差し引き6.3万人増えるのが実態であることが報告されている。おまけに、離職した21.8万人のうち13.7万人(63%)が「他産業に出ていく者」で、介護分野での定着率もまた低い(厚生労働省老健局「介護職員の処遇改善等に関する懇談会」〈2012年5月11日〉資料5)。
なかには1年未満で辞める人もいるわけだが、それらの人を対象とした調査はない。

■「介護職員処遇改善加算」は2015年度以降も続くのか?
分科会は2011年12月7日の「2012年度介護報酬改定に関する審議報告」で、介護職員の給与の引き上げは、「本来、労使間において自律的に決定されるべき」で、「介護職員処遇改善交付金相当分を介護報酬に円滑に移行するために」、「例外的かつ経過的な取扱い」として「介護職員処遇改善加算」を設けるとした。つまり、「介護職員処遇改善加算」は第5期(2012〜2014年度)限定だ。

だが、3月27日の分科会では、「加算の継続を」(村上克彦・全国老人福祉施設協議会副会長)、「形は変えても加算の継続を」(内田千惠子・日本介護福祉士会副会長)という事業所や職員の立場からの発言があった。「処遇改善はすべきだが、利用者の負担ではなく、一般財源でやってもらいたい」(田部井康夫・認知症の人と家族の会理事)という利用者側の発言もあった。さらには、「病院のなかで、介護職員だけ給与を上げるのは苦しい。人件費は経営者の裁量で決めるべきだ」(武久洋三・日本慢性期医療協会会長)という労働法を無視した経営者サイドの発言もあった。

具体的な議論がはじまるのは、国会で介護保険法改正案の成立後となる。
介護保険法改正案(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案)は、4月1日、衆議院(第186回国会)の本会議で審議がスタートし、衆議院厚生労働委員会(後藤茂之・委員長)、参議院厚生労働委員会(石井みどり・委員長)で順次、検討が行われる予定だ。

また、今国会には野党6党共同提案で、「介護従事者等の人材確保に関する特別措置法案」が出されている。

■2014.4.8  福祉施設ショップ大入り 北上の「まごころ」
北上市と西和賀町の障害者福祉施設9事業所が、同市北鬼柳の江釣子ショッピングセンターパル内に2010年開設した「ハートフルショップまごころ」の売り上げが、近く累計5千万円を突破する。スタートから約4年。9事業所が連携して商品開発に励み、品質を追求し続けたことで消費者の信頼を得た。震災3年を経て各種助成金の打ち切りが迫る中、各事業所の利用者らは自立に向けた努力を重ねている。

香ばしいパンや菓子、手作りみそなどが約30平方メートルの店内に並び、女性客が次々と買い求める。下瀬川ふくみ店長は「ここでは『障害者がかわいそう』と買う人はほとんどいない。『安全・安心』とおいしさをしっかり評価し、選んでくれている」と自信を見せる。

売り上げは年々増え、現在は9事業所のほか被災地など県内の障害者福祉施設14事業所が製造した商品約200品目を取り扱う。

■2014.4.8  発達障害、幼児から就学まで一体支援へ
発達障害などがみられる子どもを幼児期から就学期まで支援する「橿原市子ども総合支援センター」が完成し、7日、開所式が行われた。

行政の福祉部門と教育委員会に分かれていた担当部署を統合した奈良県内初の組織で、全国でも珍しいという。

鉄筋コンクリート2階建て975平方メートルで、市立白橿南小の北新館を改築して整備。岩場に見立てた壁をよじ登る遊具やブランコなどで遊びながら訓練する「感覚統合訓練室」のほか、「機能訓練室」「言語訓練室」などがある。

センターには、同市久米町に設けていた未就学児対象の療育訓練施設「かしの木園」を移転し、「子ども療育課」として拡充したほか、発達相談や幼児療育教室の運営、小中学校への訪問支援、教職員研修などを担当する「教育支援課」も設置。言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、臨床心理士、保育士らを含む計32人体制で業務にあたる。

式には関係者ら約80人が出席。テープカットをした後、森下豊市長が「子どもたちの療育を第一に考えた。よりよい施設にしていきたい」とあいさつした。

■2014.4.8  50歳以上男性、尿漏れ経験3人に1人
50歳以上の男性3人に1人に尿漏れの経験があることが、衛生用品製造大手ユニ・チャームの調査で分かった。

昨年3月に行ったインターネットによる調査で、全国の20〜79歳の男性2万2150人から回答を得た。

それによると、50歳以上の男性の30%が、最近3か月以内に尿漏れを経験したと回答した。

尿漏れが始まったきっかけは、「トイレに行きたいときに間に合わずに」が最も多く42%、「気が付いたら下着やズボンにしみていた」が28%、「重いものを持ち上げたり、せき、くしゃみをした時」が12%と続いた。

尿漏れの経験者に対処法を聞いたところ、69%がパンツの中にちり紙を入れて対処していた。しかし、そのうちの多くの人が、「尿がズボンにしみて周囲に気づかれるのが不安」と答えていた。

尿漏れは、加齢による筋肉の緩みなどで、本人の意思とは関係なく、尿が出てしまう症状。同社の担当者は、「一人で悩まずに、早めに専門医などに相談をしてほしい」としている。

■2014.4.8  車いすごと送迎バスから転落、重傷 河北・福祉施設利用の女性
7日午前9時20分ごろ、河北町谷地のデイサービスセンター「ちょうよう」(渡辺明管理者)で、施設通所者で近くの無職槙ナミさん(93)が送迎用マイクロバスの昇降リフトから車いすごと転落し、頭の骨を折る大けがをした。

寒河江署によると、50代の男性介護員が送迎バスの後部にある電動の車いす昇降リフトを操作してバスから降ろそうとした際、槙さんが車いすごと約90センチ下のアスファルト地面に転落し、後頭部を打った。外傷性くも膜下出血の疑いもあるという。槙さんは週2回施設に通っていた。

施設によると、リフトには昇降操作に応じて自動的に作動する転落防止の車輪止めがあるが、当時はこのロックが不完全だったという。操作は男性介護員が1人で行っていた。渡辺管理者は「心からおわびする。事故防止対策委員会を立ち上げてマニュアルを作成し、昇降時は職員2人が付くなど、安全確認の徹底と再発防止を図りたい」と話している。

同署は、車輪止めが正常に作動しなかった原因を調べるとともに、男性介護員が安全確認を怠った可能性もあり、業務上過失致傷の疑いも視野に入れて詳しい事情を聴いている。

■2014.4.8  老若男女問わずできる新しいスポーツ!ノルディックウォーク
介護予防や生活習慣病予防にも!ノルディックウォーク
ノルディックウォークは、2本のポールを持って歩くだけで、手軽に全身運動ができる新しいスポーツとして、介護予防や生活習慣病予防などを目的に、さまざまなリハビリステーションや福祉施設などで取り入れられています。

老若男女問わずできるトレーニング法としても人気
もともとは、フィンランドのクロスカントリー選手が夏場のトレーニング法として始まったノルディックウォークですが、今では老若男女問わずできるトレーニング法として世界中で人気が高まっています。

足腰に不安がある人でも安心!
そのトレーニング法は、2本のポールを持って、腕の振り方やポールの突き方で運動強度をコントロール。リハビリや介護予防など、目的や体の状態に合わせて効果的な歩き方で歩きます。

また、足腰に不安がある人でも、2本のポールを持って歩行する事が転倒抑止に効果的です。

介護予防をはじめ、首や肩こりの解消などにも効果的
このノルディックウォークは、体全体の約9割の筋肉を使う全身運動で、通常のウォーキングに比べて運動効果を20%前後アップさせる事ができ、介護予防はもちろん、首や肩こりの解消やロコモティブシンドロームの予防改善にも効果が期待できます。

「NORDIC de まち歩き」一般社団法人 全日本ノルディック・ウォーク連盟
http://www.chibabox.com/nw/nordic/index.html

一般社団法人 全日本ノルディック・ウォーク連盟
http://www.nordic-walk.or.jp/index.aspx

■2014.4.8  小規模多機能型居宅介護事業所 経営に苦慮 新潟県が調査
小規模多機能型居宅介護事業所等に関する実態調査
新潟県福祉保健部高齢福祉保健課は4月3日、平成25年度の「小規模多機能型居宅介護事業所等に関する実態調査報告書」を公表した。

新潟県内の小規模多機能型居宅介護事業所及び複合型サービス事業所は145施設。

調査からは、小規模事業所が抱える運営上の悩みや課題が浮き彫りとなった。調査に寄せられた自由意見をみると、深刻な人材不足と黒字経営の難しさを訴える事業所が多い。

黒字経営が困難。人件費削除せざるを得ないのが現状

介護度の低い利用者が中心であるが、低い程、楽なのではなく、身の自由が利く分、訪問や受診介助などの機会を増やさないと包括支援センターはじめ紹介者や家族のニーズにこたえられない。すなわち人件費を掛けなければ獲得からサービスまでの流れができにくくなってきているのが現状。

平均介護度が2以上ないと運営は難しい。しかし、実際の利用を希望する方は、要支援者が多く制度を見直していかなければ、地域の方々や利用者のニーズに応えることは難しい。

など、利用者の小規模介護サービスについての理解不足と相まって、介護ニーズに応えることが困難といった意見が多く寄せられている。

また、利用回数の増加など「定額制」の弊害についても意見が寄せられた。職員の負担は増える一方だが、事業所を維持していくためには人件費を削減せざるをえないのが現状だ。

山間部の農村地帯への訪問ロスや、豪雪地帯ならではの冬期間の「泊まり」サービス増といった地域特有の課題もあり、介護保険制度の柔軟な対応が求められている。

小規模多機能型居宅介護は、高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を続けていくために開設されたサービス。このため、きめ細かな対応が求められるが、介護保険制度が足かせとなって十分な報酬を得られないなど、課題は山積している。

地域の介護拠点としての機能を発揮するためには、小回りの効く小規模事業所のメリットを最大限に引き出せるシステム作りかせ不可欠といえそうだ。

新潟県 平成25年 小規模多機能型居宅介護事業所等に関する実態調査報告書
http://www.pref.niigata.lg.jp/25houkokusho.pdf

■2014.4.8  厚生労働省 訪問介護労働者の労働条件改善事業
訪問介護労働者の労務管理マニュアルを作成しました。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kaigo/index.html

労務管理マニュアル 1〜8

■2014.4.9  意思表示タオル:災害時の要援護 障害者へ民生児童委協、明石・避難マップともに配布 /兵庫
災害時に援護が必要となる障害者を支援しようと、明石市民生児童委員協議会は、支援を必要とすることが一目で分かる意思表示タオルと、自宅から指定避難所までの経路を示した個別の避難マップを作り、約1200人に配布している。

民生児童委員は災害発生時、障害者ら「災害時要援護者」の安否確認を行うことになっているが、多くの要援護者を避難させるためには、地域での支え合いが必要となる。タオルとマップは「地域で防災に取り組むきっかけになれば」と、同協議会の勉強会、障害福祉専門部会(前田享子部会長、27人)が自主的に作製した。

タオルを首に掛けると、正面からは「支援をお願いします」、後ろからは「HELP」の文字が読め、障害者が「自分から声をかけにくい」と感じた時に活用してもらう。

避難マップは民生児童委員が各担当区域の対象者宅を訪問し、本人や家族とともに作った。裏面には災害時の避難に関する確認事項も記載している。

前田部会長は「多くの人に知ってもらえるよう、連合自治会などを通じて周知に努めたい」と話している。

■2014.4.9  ボイラー:燃料は紙おむつごみ 町営温泉施設に完成 伯耆 /鳥取
使用済み紙おむつで作ったペレットを燃料にしたボイラー施設が8日、伯耆町大殿の町営温泉施設「ゆうあいパル」に完成し、稼働を始めた。増加する紙おむつの可燃ごみの減量化、ボイラーのガス使用抑制、二酸化炭素の排出削減の効果がある燃料化は全国でも始まったばかりで、自治体では同町が初という。

町内の老人福祉施設、病院、保育所計10施設で出る使用済み紙おむつは1日当たり約500キロある。2011年度から町清掃センターにあるペレット化装置で同約150キロのペレットを生産。これまで同センターで助燃剤としてきたが、専用のボイラー施設完成で温泉施設での使用に踏み切った。当面、ガスとペレットを併用。事業費は3300万円。

町は使用済み紙おむつの可燃ごみを年間120トン減量、現在のガスボイラーのガス代の約2割に当たる260万円抑制、二酸化炭素も31トン削減できると試算している。

約30人が出席した完成式典で森安保町長は「社会的使命が果たせる施設で町の誇り」と5年がかりの取り組みを説明。経済産業省の若井英二・中国経済産業局長は「伯耆町モデルとして全国に普及することを期待します」と語った。

■2014.4.9  短命県の汚名、ウォーキングで返上
青森県は短命県を返上しようと、大型ショッピングセンターや商店街のスペースを活用し、誰でも手軽にできるウォーキングの普及を進めようとしている。

商業施設側も企業イメージの向上や売り上げ増につながる利点があり、県は同様の取り組みが広がることを期待している。

厚生労働省によると、県民の1日あたりの歩数は2006〜10年の平均値で成人男性が5976歩で全国46位、成人女性が5657歩で41位だった。12年の調査では歩数は伸びたものの、成人男性が7001歩で37位、成人女性が6283歩で42位で引き続き下位のままだ。

歩数が相対的に少ないのは、移動手段として車を使うことが多いためとみられる。特に冬場は大雪が降れば屋外を歩くと危険が伴う、という雪国特有の事情もある。そこで、健康増進の指標となる歩数をアップさせようと、着目したのが大型ショッピングセンターや商店街などの商業施設を使うことだ。

西北地域県民局では、7月にも大型ショッピングセンター「イオンモールつがる柏」(つがる市)内の通路を利用したウォーキング講習会を始める。独自の健康体操で知られるウォーキングドクターのデューク更家(さらいえ)さんやデュークさんの弟子を講師に招き、来年3月までに約20回行う予定だ。

同県民局地域支援室は「屋内なら天候を気にせず、安全にウォーキングができる。施設にとっても、店内の商品が消費者の目に留まる機会が増え、(売り上げ面での)メリットがあると思う」と語る。

商工労働部は2015年度に県内の商店街4か所で、各店舗が100円均一のお薦め商品を用意するイベント「100円商店街」やウォークラリーなどを行う計画だ。アーケードがない場合でも商店街は除雪を比較的こまめに行うため、冬場でも足元をあまり気にする必要はない。

商店街は大型ショッピングセンターの郊外への進出などで集客力が落ちており、商工労働部は「地域住民の健康作りに取り組むことで商店街の活性化にもつなげたい」と話す。

■2014.4.9  産地なのに児童ら野菜不足…徳島県の4市町
徳島県西部の美馬、三好両市と東みよし、つるぎ両町の小、中学生や大人の8割以上が野菜不足ということが、美馬、三好両保健所の「食の実態調査」でわかった。

両保健所などでつくる「にし阿波・こころとからだの健康づくり推進会議」は、今月から毎月24日を「にし阿波・野菜食べようデー」に指定。新たにのぼりを作るなどキャンペーンを展開し、野菜摂取量が増えるよう啓発活動に力を入れる。

調査は昨年5〜7月、4市町の小学5年生(当時)と中学2年生(同)の計1326人、5年生の保護者、産直市の関係者ら1951人を対象にアンケート方式で実施。小・中学生の1093人、保護者ら1323人から回答があった。

1日平均の野菜摂取量は、小学生が199グラム、中学生が200グラムで、保護者らは242グラム。厚生労働省は1日の摂取目標として、小学生290グラム、中学生300グラム、大人350グラムを掲げており、全世代で100グラムほど少ない結果となった。

同会議関係者は、県全体の野菜摂取量は全国ワーストクラスにあるものの、両保健所管内には野菜の生産農家が多いことから「目標量はクリアしている」と考えていた。それだけに結果を重大に受け止め、対策を検討。まずは、毎月24日を「野菜食べようデー」とし、「1日 100グラムアップ!」などと書いたのぼりを200本作成。イベント開催時や産直市に立てて呼びかけることにした。また、管内の高校に通う生徒を「健康づくりサポーター」として登録し、学校の文化祭などのイベントで野菜摂取を呼びかけるなど、リーダー役を担ってもらうことを計画している。

美馬保健所の担当者は「予想以上に野菜の摂取量が少なかった。様々な方法で食生活の改善を働きかけていきたい」と話している。

■2014.4.9  高次脳機能障害 理解求める声切実 静岡県内
脳を損傷し記憶や社会的行動などに影響が生じる「高次脳機能障害」。外見上は障害の有無が分かりにくいため、“見えない障害”として支援のはざまに落ち込むことがある。支える家族らの高齢化も進む。当事者周辺からは、社会の理解を求めるとともに、将来への不安を訴える切実な声が聞こえてくる。

県内の当事者やその家族ら約200人でつくる「脳外傷友の会しずおか」が昨年開いた勉強会。会合後、当事者家族はそれぞれに深刻な事情を打ち明けた。「失語、記憶障害があり、1人での生活は無理」「親が高齢になって本人のこれから先の生活、生き方が心配」

焼津市の女性(73)は、長男(50)を35年間支えてきた。長男は15歳の時、自転車を運転中にトラックと衝突して頭を強打。3カ月の入院などを経て外傷はほぼ完治したが、覚えたことをすぐに忘れてしまう記憶障害などが残った。年を重ねても学習が蓄積されず「精神年齢も事故時のまま」(女性)。障害が一般的に認知されていないためにトラブルも相次ぎ、高校卒業後の約30年で勤めた会社は40を超えた。

現在は焼津市内の運送会社の理解を得て、清掃員を務める。しかし、気持ちが続かないと欠勤してしまうこともあり、収入は月数万円程度。女性がヘルパーとして働き、家計を支える。「私が動けなくなったら―」。不安は尽きない。

同障害は身体や言語などの機能障害がない場合、精神障害者保健福祉手帳の交付を受ける。ただ、身体障害とのサービス格差は大きい。受け入れ施設も少なく、長男が施設入所を考えても、現状では65歳まで待って老人福祉施設に入るしかないという。

頼みの行政は「必要な支援について専門家委員会を通じて考えたい」(県障害福祉課)という段階。「脳外傷友の会しずおか」の滝川八千代相談役(60)は「障害への理解が深まり、既存施設での受け入れが進んでほしい。グループホームの整備や拡充も必要」と訴える。

高次脳機能障害 交通事故などによる外傷や、病気による脳血管障害などにより脳が損傷し、脳の働きに支障が出る状態。記憶障害や注意障害、相手の気持ちを思いやれないなどの社会的行動障害、計画を立てて物事を実行できない遂行機能障害などが主な症状。県は2002年度から相談事業を始め、07年度からは支援コーディネーターを配置する拠点機関を設けた。県内の患者数は把握されていないが、県によると12年度の相談者数は441人だった。

■2014.4.9  マスコットの愛称が「技王」に決定 16年秋開催の技能五輪・アビリンピック
2016年秋に本県で開催される技能五輪全国大会と全国障害者技能競技大会(アビリンピック)のマスコットキャラクターの愛称が「技王(わざおう)」に決まった。吉村美栄子知事が8日の定例記者会見で発表した。

愛称は1月14日〜2月末に募集し、全都道府県から計1243点の応募があった。3人から「技王」が寄せられ、やまがた技能五輪・アビリンピック2016推進協議会長の吉村知事が選んだ。

マスコットキャラクターは金剛力士像のような力強さと、東北の復興を願う観音像をイメージ。技術職や職人の厳しさ、真剣さを表現した。愛称は頭にある技のマークと、日本一を競う大会であることを考慮したという。同協議会は、のぼり旗やチラシなどに活用してPRを強化し県民の機運醸成を図るほか、メダルのデザインにも用いる考え。

「技王」で応募した3人のうち、抽選で1人に賞品の県産米「つや姫」5キロを、ほかの2人と、同じ漢字で読み方の違う類似愛称の応募者9人にはつや姫2キロを贈る。

■2014.4.9  役立つ:津波救命艇 平らな艇内の床、高齢者や障害者にやさしく
南海トラフ巨大地震による津波などに備えるため、堺市堺区の救命艇メーカー「信貴(しぎ)造船所」が「津波救命艇」を開発した。船からの脱出に使われる救命艇の製造で培ったノウハウを生かし、「災害弱者」が使いやすいよう工夫を凝らした。

津波救命艇は、足腰の弱い高齢者や病人、障害者らの避難方法として東日本大震災後に研究が本格化した。国土交通省四国運輸局が品質水準などを示したガイドラインを策定。総合重機メーカー「IHI」(本社・東京都)が、ガイドラインを満たした全国初の津波救命艇を製造した。

信貴造船所も震災後に開発に乗り出し、大阪府立大の技術協力も得ながら、津波救命艇「ライフシーダー」を完成させた。衝撃吸収力の高いウレタン製緩衝材を装着した「タイプI」(全長8・7メートル、税抜き900万円)と、緩衝材のない「タイプ2」(全長6・8メートル、同700万円)を用意。ともに定員25人で、浸水しても沈まず、転覆しても元に戻るなど、従来型救命艇の特長を受け継ぐ。タイプIは時速36キロの正面衝突に耐える強度があり、今年2月、四国運輸局からガイドラインを満たしていることを証明する「原型承認」を受けた。艇内の床をほぼ平らな構造とし、高齢者や障害者が移動しやすいよう配慮。床下には1週間分の食料や医療器具を備蓄できる。

発売後は、太平洋沿岸の津波被害が想定される自治体などから問い合わせが相次いでいるという。信貴造船所の石井久雄営業部長(66)は「津波から一人でも多くの命を救うことに貢献したい」と話している。問い合わせは同社

■2014.4.10  手話パフォーマンス甲子園:ダンスや演劇…来たれ、全国の高校生 鳥取で11月初開催
全国初の手話言語条例を昨年10月に制定した鳥取県は9日、1周年イベントとして全国の高校生による「手話パフォーマンス甲子園」を11月23日に開催することを決めた。手話を身近に理解してもらうのが目的で、文部科学省によると、高校生による手話パフォーマンスの全国大会は初めてとみられる。

県や県手話通訳士協会などでつくる実行委が主催。手話を使ったダンスや歌唱、演劇、コントなど形態は問わず、参加資格は高校または特別支援学校高等部の生徒とする。パフォーマンスを撮影した動画を募集し、予選を通過した8チームが鳥取市で開く本戦で競う。

大会前日には、県立鳥取ろう学校の生徒との交流会を開き、パフォーマンスを通じて健常者と聴覚障害者の交流を進める。開催に協力する全日本ろうあ連盟(東京都)の久松三二(みつじ)事務局長は「例のない取り組みで素晴らしい。あらゆる表現を通じて高校生の関心を呼び、手話普及に大きく貢献する」と評価する。

鳥取県手話言語条例は手話を言語と認め、聴覚障害者が暮らしやすい社会環境の整備を目指すとしている。

■2014.4.10  ちば経済:障害者取り組み、千葉銀を県認定 バリアフリー化など /千葉
店舗のバリアフリー化や行員向け研修が評価され、千葉銀行が県から「障害のある人へのやさしい取り組み」の認定を受けた。

県が2006年に制定した「障害のある人もない人も共に暮らしやすい県づくり条例」に基づく施策の一つ。昨年5月から7月の間に応募があった事例128件のうち、同行の取り組みなど10件を選んだ。

同行では点字ブロックや手すり、スロープ、視覚障害者対応の現金自動受払機(ATM)の設置を進めるほか、サービス介助士や認知症サポーターの育成も進めてきた。昨年3月には、視覚障害者のためキャッシュカードの名前部分を点字にする取り組みも始めた。また、ATMのディスプレーを大型化し、タッチパネルで入力できるようにしたり、店内の番号案内表示板に、色覚障害者でも見やすいユニバーサルデザインの「白色番号表示」を採用している。

同行は「銀行の社会的責任を強く認識し、『未来を育む』をスローガンに地域社会に貢献していきたい」としている。

■2014.4.10  <指定取り消し>ケアプラン作成の不備、約507万円を不正受給ー群馬県
群馬県は、3月31日付で、著しい運営基準違反と居宅介護計画費の不正請求があったとして、太田市内の居宅介護支援事業所「プロケアサービス」を指定取り消し処分にすると発表した。

県健康福祉部によると、2013年10月21日の監査時点で、契約していた利用者の関係書類を確認した結果、ケアプラン(居宅サービス計画)を適切に作成せずに居宅介護サービス計画費約507万円を不正受給していたことがわかった。保険者は今後、事業者が不正に請求し受領していた介護報酬について、時効に係らないものを返還させるほか、返還額に100分の40を乗じて得た加算額を徴収する。返還予定額は約570万円。

県は2010年にも同様の違反で同事業所を指導していたが、昨年10月の監査で改善していなかったため、処分に踏み切った。県が居宅介護保険事業所の指定取り消し処分を出すのは2009年4月以来。

■事業者の名称:有限会社プロケアサービス
■事業所の名称:居宅介護支援事業所プロケアサービス
■事業所の所在地:群馬県太田市新田上田中町709-2
■サービスの種類:居宅介護支援
■処分内容:指定の取消
■指定取消年月日:3月31日

■処分の理由
1)著しい運営基準違反
・11人の利用者に、ケアプラン作成前に、面接などのアセスメントを実施していない。
・9人の利用者に、ケアプランの原案について、利用者または家族から同意を得ていない。
・18人の利用者に、居宅訪問、利用者面接による月1回以上のモニタリング(経過観察)を行っていない。
・24人の利用者に、モニタリングの結果の記録がない。

2)不正な介護報酬の請求
上記のような運営基準を行っていたにもかかわらず、不正に居宅介護サービス計画費を請求・受領していた。

■2014.4.10  西東京・障害者虐待:頭骨折、都に報告せず 処分の施設
入所者への虐待で東京都から新規利用者の受け入れ停止処分を受けた知的障害者入所施設「たんぽぽ」(西東京市、社会福祉法人田無の会運営)が、頭の骨を折るなど入所者を巡る重大事故やけが計3件について、都に報告していなかったことがわかった。虐待防止の前提として事故やけがの速やかな報告を求めており、都は施設側に厳重注意するとともに他に未報告がないか調べている。

障害者総合支援法令や都の条例では、施設でのけがや事故については、自治体などへの報告が義務付けられている。しかし都などによると、昨年12月19日〜1月30日、それぞれ別の入所者について、左まゆの下を4針縫うけが▽頭の骨を折る転倒▽薬を誤って飲んだ事故が起きていたが未報告で、都は2月13日付で施設側に「厳重注意書」を出した。

情報を寄せられた都が1月末、施設を調査して発覚。事件性はないと判断されたが、施設側は「報告が必要とは認識していなかった」と釈明したという。

また3件の未報告以外にも、入所者がけがなどで医療機関を受診する際、2度目以降は保護者に付き添いを求める慣行があり、保護者が対応できない場合に受診が遅れがちになっている実態が判明したという。

■2014.4.10  「まるこ福祉会」ジビエ処理加工施設 今年度中の建設断念へ 長野
さまざまな活動で障害者に雇用の場を提供している社会福祉法人「まるこ福祉会」(上田市)は8日夜、建設を予定していたジビエ処理加工施設について、今年度中の建設は断念せざるを得ないと表明した。施設の敷地として土地を取得した同市腰越地区の自治会が1月下旬に反対を決議し、その後も姿勢を変えておらず、県から補助金が交付されないためだ。

また、この問題は2月の県議会定例会でも、共産党の高村京子県議が地元住民の反対を理由に補助金を交付しないよう求めた経緯がある。ただ、同会では自治会が説明を聴かないまま誤った認識で反対していることから、同意を得るべく説得を続け、平成27年度の建設を目指す方針だ。


◆説明拒んだまま決議

まるこ福祉会は8日夜、上田市内で、「ジビエ処理加工施設説明会」を開き、施設建設の意義と現状などについて約150人の参加者と意見交換を行った。この中ではまず、同会の柳沢正敏理事長が今年度中の施設建設が断念に追い込まれた経緯について説明した。

それによると、同会は施設建設のため、同市腰越の土地を取得し、自治会に説明の機会を設けてくれるよう要請していたが、自治会はそれを拒んだまま、1月26日に施設建設反対の決議をしたという。その後、2月28日に腰越地区を含む丸子地域の協議会で、この問題が議題となり、同自治会が反対の理由を述べたが、「施設建設について説明がなかった」「施設はと畜場だ」「血や内臓、皮をどう処理するのか明らかにしていない」など事実と異なる内容で、障害者への差別的発言もあったという。

こうした点について、8日夜の説明会では、まるこ福祉会側から施設は法的にと畜場ではなく食品衛生法に基づく処理加工施設であることや、施設には保健所の認可が得られるよう浄化設備を整える計画であることなどが改めて説明された。これに対し、一般参加者からは野生鳥獣による農業被害防止やジビエ振興、障害者の雇用創出の観点から、「地元住民を何とか説得して進めてほしい」など、施設建設に賛同する意見が相次いだ。

◆同意へ説明続ける

説明会終了後、柳沢理事長は記者団に対し、「この問題に高い関心を持っていただいていることを実感した。腰越地区の自治会には引き続き説明の場を設けてもらえるようお願いしており、理解を得たうえで、計画から1年遅れても施設を建設したい」と語った。

まるこ福祉会のジビエ処理加工施設建設は、農林水産省の交付金を活用する県の信州産シカ肉認証処理施設整備事業の補助金を受けて行う計画だが、交付金の活用は「地域住民の同意」を要件としているため、県は自治会の同意がなければ補助金を交付できない。同会が今年度中の建設を断念せざるを得ないとしているのはこのためだ。

◆自治会も「協議続行」

施設建設に反対の決議をした腰越地区自治会の宮坂雄一会長は9日、産経新聞の取材に対し、まるこ福祉会の説明を拒んだまま反対を決議した事実を認めたうえで、理由については「説明を聴く時間がなかった」とだけ語った。そのうえで、今後、説明を聴く場を設けるかどうかについては「自治会内部でも意見が割れて困っているが、協議は続けていきたい」と述べた。

一方、県議会で問題を取り上げた高村県議は同日、「腰越地区自治会から話を聞いたところ、臭いが出る、子供に悪影響を与えるなど施設建設に反対の意見が強かったので、質疑で取り上げた」と説明。ただ、「ジビエ振興はいいことなので、自治会が同意すれば建設に賛成する」との考えを示した。

問題を所管する県上小地方事務所は「県としてはジビエ振興を積極的に進める方針で、地元の理解が得られることを望んでいる。補助金は26年度予算に計上してあり、要件である自治会の同意が得られれば今年度中に交付することは可能だ」と話している。

■2014.4.11  記者の目:千葉県立施設の虐待死事件
昨年12月に千葉県袖ケ浦市の県立障害者支援施設「袖ケ浦福祉センター」で発覚した障害者虐待事件を、千葉支局の記者として3月末まで追い続けた。何重にも施錠され、外界から隔てられた施設で何が起きたのか。同じような悲劇はどうしたら防げるのか。考えながら取材を進めると、運営団体の「暴力黙認」体質と、虐待に気づき得る立場にありながら何の手当てもしなかった千葉県の対応のまずさが浮かび上がってきた。

約240人が入所するセンターの施設には、異常な頻度で自分や他人を傷つけたり、特定の物事に激しくこだわったりするような問題行動を示す「強度行動障害」の傾向がある知的障害者が多くいた。生活支援をする職員には高いスキルが求められるが、「支援」とは呼べない「制圧」が一部で横行してきた。県の調査では、200人余りの職員のうち15人以上が利用者23人に身体的、心理的虐待などを繰り返していた。

◇暴れる利用者を「管理対象」視

県から運営を委託されていた社会福祉法人「県社会福祉事業団」の生え抜き職員で、引責辞任した前常務理事は、自身も体罰で利用者を骨折させたことがある。「責任感があり、一生懸命な職員ほど利用者の体を押さえてしまう」。本人に理由を問うと、そう説明した。暴れる利用者の体を押さえて静かにさせる方法を自ら「名人芸」とも表現した。利用者を「管理対象」としてしか見ていないのではないか。そんな印象を抱いた。

知的障害者の少年(当時19歳)の腹を蹴って死亡させたとして、傷害致死罪で起訴された元職員(23)は、県警の調べに「うまく支援できずイライラしてやった」と供述している。逮捕前には母親に「とんでもないことをしてしまった」と泣きながら話したという。勤務していた「養育園第2寮」には、行動障害があるうえ言葉を話せず被害を訴えられない利用者が集められる一方で、経験の浅い職員が配置されていた。事業団幹部が「苦情が外に出にくい」と考えた結果だ。未熟な職員が適切な研修を受けないまま、前常務理事のように身体に直接手出しする方法で「一生懸命」支援した結果、少年を死なせてしまったのだとすれば、やりきれなさが残る。

こうしたセンターの体質が変わらなかった最大の責任は、外郭団体である事業団に運営を事実上丸投げしてきた県にある。事業団の理事長には1966年のセンター設立以来、県や県警のOBらが就任し続けた。後に知事になった重鎮もいたが、障害福祉に詳しい人材はほとんどいなかった。県OBの前理事長は、辞任を表明した記者会見で「福祉の経験は必要だった」と述べた。支援が難しい障害者に対応できる人材を登用せず、県幹部らの「再就職先」を守り続けた結果、一連の虐待が起きた側面は否定できない。

◇問題直視しない県の姿勢透ける

県を巡っては、虐待発覚後の説明会で県を批判した保護者の発言を第三者検証委員会への提供資料に盛り込まなかった疑いも浮上した。正面から問題に向き合わない姿勢が見え隠れする。体制刷新で天下りは終わったが、センターが県立施設であることは変わらない。行動障害者を受け入れてくれる施設はもともと少なく、虐待被害を受けた人の大半は今も施設に残ったままだ。利用者のためにも、自浄能力を示してほしい。

ただ、センターの立て直しは最終目標ではないはずだ。行動障害を持つ人は刺激に敏感で、利用者同士が互いの問題行動に影響を受けてパニックを起こすとも指摘される。重い負担を強いられる職員が力で押さえつけようとすれば、虐待が起きやすい。そもそも、同じ障害を持つ人たちが一つの県立施設に集まっているのは不自然ではないか。民間の通所施設、在宅サービスなどを活用しながら、障害者が地域で生活できる仕組みを整えるのが理想だ。

そのためには、「必要な支援スキルを持った人材が確保できない」と民間事業者が嘆く現状を変える必要がある。第三者検証委の提言を受け、センターでは利用者一人一人の生活状況を確認する「パーソナルサポーター」の運用が始まった。こうした個別支援を地域でも実現できるよう、国や自治体が人材育成のための研修を充実させるべきだ。まず入所施設での手厚い支援を実現するため、職員配置数の基準を見直してもいい。

「自分が犠牲となって障害者施設の現状を明るみに出したのだと思っています」。亡くなった少年の母は、メールで息子への思いを伝えてくれた。障害者が地域社会で生き生きと暮らすために何が必要か。事件を契機に、議論が進むことを願う。

■2014.4.11  <不正請求860万円>人員基準違反などで訪問介護事業所を指定取消――前橋市
前橋市は、4月2日、人員基準違反や無資格者によるサービス提供を行ったことを理由に、市内の訪問介護事業所を指定取り消し処分にすると発表した。
不正または不当に受領した介護報酬は、利用者への返還分も含め、約860万円にのぼる。処分の発効は4月10日。

また、この事業者は、障害福祉の居宅介護・重度訪問介護事業所も運営しているが、人格尊重義務違反や人員基準違反があったとして、指定障害福祉サービス事業者の指定も取り消し処分となった。

■事業者の名称:特定非営利活動法人凌心(理事長 鈴木凌太)
■事業者の所在地:前橋市青柳町94番地6
■事業所の名称:ケアステーションまもる
■事業所の所在地:前橋市青柳町94番地6
■サービスの種類:訪問介護、介護予防訪問介護

■処分の理由:
1.人員基準違反
・訪問介護員などの員数が常勤換算方法で2.5以上いない。
業務を行っているのは常勤1名と非常勤1名で、勤務実態として常勤換算方法で2.5以上訪問介護員などがいるとは認められない。

・サービス提供責任者が常勤かつ専従として認められない。
指定申請変更時にサービス提供責任者として届け出たサービス提供責任者は、訪問介護事業所にてほとんど勤務しておらず、週40時間の勤務時間を満たしているとはいえない。また、サービス提供責任者として専従しているとも認められない。
常勤の訪問介護員も福祉ホームの業務にも従事しており、サービス提供責任者の要件を満たしていない。

2.不正請求
・無資格者による訪問介護を提供し、介護報酬を請求した。
・当日勤務していない人によるサービス提供の記録が作成され、介護報酬を請求した。
・サービス提供の記録がないまま介護報酬を提供した。

3.提出命令拒否
・市が求めた報告、帳簿類の提出に従わなかった。

4.検査拒否
・監査に管理者およびサービス提供責任者の出席を求めたが、訪問介護員に対応させ、正当な理由なく検査を拒否した。

■2014.4.11  仮設「孤独死」34人 年々増加、8割が男性
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で避難生活を強いられ、福島県内の仮設住宅で誰にもみとられずに死亡した「孤独死」は3月31日現在、累計34人に上ることが県警への取材で分かった。震災と原発事故から11日で3年1カ月。県や市町村などは避難者の生活環境の改善など震災関連死(原発事故関連死)対策を強化しているが、孤独死が増え続ける現状が浮き彫りとなっている。

県警は孤独死としての集計はしておらず、震災と原発事故後に仮設住宅で一人暮らしをしていて、死亡した状態で見つかった人数を福島民報社が聞き取り、「孤独死」としてまとめた。

平成23年は3人、24年は11人、25年は12人と年々増加し、今年は3月末時点で既に8人となっている。

34人の内訳は、男性27人、女性7人で、男性が全体の約8割を占める。

年代別に見ると、60代が12人(うち女性1人)と最も多く、次いで70代の8人、80歳以上の8人(同6人)、50代の4人、30代の2人の順だった。65歳以上の高齢者は24人(同7人)で、全体の約7割となっている。

今年3月に郡山市の仮設住宅で亡くなった富岡町の60代男性は、町社会福祉協議会の生活支援相談員に発見された。台所付近で倒れ、死後、数日が経過していた。病死だった。男性に家族はいたが、避難後、一人暮らしだったという。

県は、避難の長期化、広域化で家族や地域のつながりが薄れ、孤立する被災者は少なくないとみている。富岡町の男性のように、死後、数日たってから発見されるケースが多いという。

避難自治体の関係者によると、原発事故による避難と死亡の因果関係が認められ、遺族に災害弔慰金が支給された例もある。

県内の避難者は10日現在、仮設住宅の2万8228人を含め、8万6003人に上る。借り上げ住宅などでの孤独死や県外避難者の孤独死はつかめておらず、総数はさらに膨らむとみられる。

■2014.4.12  高齢世帯の41%独居に 道内35年推計、全国5番目の高さ
北海道の高齢世帯のうち1人暮らしが占める割合が2035年に41・8%に達し、全国で5番目の高さになると予想されることが、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が11日公表した「日本の世帯数の将来推計」で分かった。高齢者の孤立の深刻化に伴い、見回りや介護など社会的支援の拡充が求められそうだ。

推計によると、全国の世帯数は10年から35年までに沖縄県を除く都道府県で減少。北海道は10年の241万8千世帯が210万3千世帯に減少する。世帯の類型では「1人暮らし」の比率が上昇し、25年にはすべての都道府県で「夫婦と子」「夫婦」などを上回って最多となる。

高齢世帯に占める1人暮らしの割合は全国で37・7%に及ぶ。東京都の44%をトップに大阪府43・8%、鹿児島県43・1%、高知県42・7%と続き、北海道が5番目となる。

人口問題研究所は「高齢者の1人暮らしの増加は、核家族化や未婚化に加え、1980年代以降に離婚率が上がったことが要因」と指摘。北海道が上位に入った理由として「東北や北陸に比べ、3世代同居が多くないことが影響したのではないか」と分析している。

■2014.4.12  ダウン症児外し入学式写真 長野の小学校、校長がおわび
長野県内の公立小学校で今月初めの入学式での新入生の集合写真をめぐり、同校にも通うことになった特別支援学校のダウン症の男児が外れた写真と、加わった写真の2種類が撮影された。校長が男児の母親に対して提案した。校長は「配慮が不足していた」として男児の両親におわびした。

 母親は「今は、私たちを他の児童と同じように受け入れてくれているので感謝している」と話す。

 母親によると、男児はこの春、特別支援学校小学部に入学。同時に、地域の児童との交流の一環で地元の小学校の授業や行事にも月に1、2回参加することが決まった。小学校の教室に男児の机も置かれ、クラスの一員として受け入れられることになった。

■2014.4.12  福祉施設送迎バスのリフトから転落、女性死亡・河北
河北町谷地のデイサービスセンター「ちょうよう」(渡辺明管理者)で送迎用マイクロバスの昇降リフトから転落し、頭に大けがをした同町谷地の無職槙ナミさん(93)が10日夜、入院先の病院で亡くなったことが11日、関係者への取材で分かった。死因は脳挫傷。

事故は7日朝、50代の男性介護員がリフトで槙さんを降ろそうとした際に発生。槙さんは後ろ向きの状態で車いすごと約90センチ下のアスファルト地面に落下して後頭部を打ち、救急搬送された。事故の翌日から危篤状態となっていた。

リフトには自動で持ち上がる転落防止用の車輪止めが付いていたが、機能しなかったとみられ、寒河江署は業務上過失致死容疑での立件を視野に、男性介護員らから引き続き事情を聴いている。

県によると、県内の老人介護施設では昨年度、20件の死亡事故が発生。大半が食事の誤嚥(ごえん)や施設内での転倒が原因で、送迎中の事故はなかった。渡辺管理者は「最悪の結果となり心から申し訳なく思う。事故が二度と起こらぬよう対策を講じていきたい」としている。

■2014.4.13  兵庫県優良企業、不良債権6億円 障害者事業で失敗
障害者雇用に貢献したとして昨年9月に兵庫県の優良企業に選ばれたベンチャー企業「エスコアハーツ」(兵庫県稲美町、エ社)が、障害者による給湯器リサイクル事業に失敗、2011〜13年の3年間で約6億円の不良債権が生じ、担当役員を解雇していたことが分かった。同社は、ガス給湯器大手ノーリツが100%出資しており、先月28日のノーリツの株主総会で6億円の貸し倒れとして報告された。

エ社は、事業パートナーの資源回収会社「トレジャーボート」(同町、ト社)による未払いが原因として第三者破産を申し立て、ト社側もエ社の債務不履行を主張する異常事態に陥っている。

エ社は、ノーリツ代理店から買い取った中古給湯器を障害者が分解し、鉛などの資源に分別してト社に売却する計画だった。関係者によると、ト社の支払いの数割が滞っているという。

一方、ト社の社長は「給湯器は兵庫県内の回収拠点から買い取る約束だったが、数が集まらず、全国で事業展開した結果、拠点整備費や輸送費がかさんだ。元役員は膨らんだ経費約6億円分をエ社が負担すると口頭で約束した」と主張する。

エ社の元役員も神戸新聞の取材に対し、ト社への「口約束」を認めたが、エ社側は「関知していない」と支払いを拒否したという。エ社は昨年11月、ト社の破産を神戸地裁姫路支部に申し立て、認められた。

エ社側は、破産申し立ての理由として「12年末からト社の経営再建に協力してきた。当社への未払い金があるのに、社長が自社から数千万円を借りるなど不適切な対応があった」としている。

エ社は、資源を直接資材メーカーに販売する形で事業を継続しており、障害者の雇用も続けている。


【エスコアハーツ】 解雇された元役員の提案で2006年にノーリツが社内のベンチャー起業制度を活用して設立。障害者雇用を目的とした「特例子会社」で、障害者の給与や設備投資には国の補助がある。印刷など複数の事業を展開し、障害者50人を雇用している。

■2014.4.14  脳梗塞で3年寝たきりの81歳男性 噛む訓練ガムで歩行可能に
口の中の衛生状態を改善し、噛む機能を回復すると、寝たきり老人が歩き出す──こんな耳を疑ってしまうような事例は、歯科医の間では「当たり前」になりつつある。

 噛んで飲み込む機能の重要性をレポートした『噛み合わせが人生を変える』(日本顎咬合学会著)のエッセンスに最新臨床例を加え、「奇跡の歯科医療」の最新事情を報告する。

 81歳・男性のAさんは脳梗塞で倒れ、3年間寝たきり状態が続いていた。自宅で妻の介護を受けていたが、食べることも、しゃべることもできなかった。家族は何とか口から食べさせたい一心で、大分県で開業する河原英雄・歯科河原英雄医院院長の元を訪れた。

 来院当初のAさんは両脇を支えられても歩行ができず、表情はぼんやりとし、口元が半開きで舌がのぞいていた。義歯(入れ歯)が合っていなかったため、満足に噛めなかった。

 河原院長の治療は食物を噛める義歯を作ることから始まった。

「噛むことを忘れていたAさんに必要なのは、咀嚼のための筋力を回復させることでした。そのために口を開閉する口腔リハビリを行ない、家庭では介護食を利用して、食べる訓練をしてもらいました」(河原院長)

 その効果はすぐに現われた。Aさんは治療を受けるたびに生気を取り戻し、通院6〜7回で噛めるようになった。同時に医療用のガムでさらに噛む力を回復させるべく「ガムトレーニング」を開始した。

 このガムは元々子供の噛む訓練用のものだったが、河原院長は義歯につかない特徴に着目し、高齢者用に応用したのだ。

 すると、2か月後には脇を支えられれば歩けるようになり、丸くなっていた背筋もまっすぐ伸びてきた。表情にも笑みが戻ってきた。

「咀嚼能力を試すためにりんごを食べてもらうと、『おいしい』という言葉が出たのです。来院して初めて発した言葉でした」(河原院長)

 4か月後、Aさんは介助なしで診察所内を歩けるようになった。足取りもしっかりし、手すりにつかまりながら自力で階段を降りることもできた──。

 この奇跡的ともいえる回復は、なぜ起きたのか。河原院長からは、次のような極めてシンプルな答えが返ってきた。

「薬も点滴も使わず、ただ噛めるようにしただけなのです」

■2014.4.14  高松市、障害者の就労支援強化/施設に発注4倍
高松市は本年度、障害者の就労支援策の強化に乗り出す。小規模作業所などの就労施設に物品・サービスを発注する目標金額を昨年度の4倍に拡大するほか、市中央商店街の空き店舗などで障害者を雇用する事業者への支援もスタートする予定。地域で働く場を広く提供し、障害者の自立を一層促進する考えだ。

国は昨年4月、障害者就労施設から率先して物品などを調達する義務を自治体に課す「障害者優先調達推進法」を施行した。同法に基づき、市は2013年度の調達目標額を500万円に設定。ポスターやチラシの印刷、啓発ステッカーのデザイン業務を就労施設などに発注した。

本年度は優先調達の取り組みを拡大し、調達目標額を13年度の約4倍となる2千万円に設定。市役所など公共施設内に喫茶スペースといった「就労訓練の場」を設けた上で、障害者施設に運営を委託する計画に加え、パンフレットの印刷などの発注を増やす方針。

また、取り組みの実効性を高めるため、各課の物品取扱担当者を優先調達推進員に任命。障害者就労支援施設などが提供可能な物品やサービスに関する情報を共有するとともに、市主催のイベントなどで配る記念品やチラシ印刷について積極的に発注を進める。

このほか、市中央商店街の空き店舗で障害者を雇用し、事業を展開する事業者を対象にした支援を開始。家賃や店舗の改装費用などの補助を計画するなど、障害者にとって多様な労働の場の確保を目指す。

■2014.4.14  130施設・団体に2.1億円 岡山で赤い羽根共同募金交付式
岡山県内で集まった2013年度の赤い羽根共同募金の交付式が14日、岡山市内であり、130の福祉施設やボランティア団体などに計2億1258万円が贈られた。

関係者約120人が出席。県共同募金会の藤本道生会長が「多くの県民の協力で得られた募金。地域福祉の推進に向けて役立てて」と述べ、各施設・団体の代表者に配分決定通知書を手渡した。

重症心身障害者の支援に取り組む社会福祉法人泉学園デイセンターなずな(岡山市北区玉柏)の福田博明統括責任者(64)は「皆さまの善意を、私たちの活動という形に変えてしっかり届けたい」と謝辞を述べた。

■2014.4.14  障害者が働きやすいスーパー…千葉
障害者の総合支援を行うNPO法人「ぽぴあ」(千葉県袖ケ浦市)が運営するスーパー「C&Cスーパーのぞみ野マルシェ」(同市のぞみ野)が、備品を工夫し、障害者が働きやすい環境を整えるなど、県から「障害者にやさしい取り組み」と評価され、今年3月に認定書が授与された。

同法人の関口幸一理事長(66)は「障害者が主役で働く店。より多くの人が来店したいと思えるような魅力ある店にしたい」と意気込む。

県内の障害者は、2012年度末現在で約24万2000人。県は昨年6月、事業者や民間団体などの「障害のある人へのやさしい取り組み」を紹介し、支援するために事例を募集した。128件の応募から、特に優れた取り組みとして同店など計10件が選ばれた。

同法人は、障害がある子を持つ親たちが設立した。障害者の仕事は裏方ばかりのため、関口理事長らが「障害があっても仕事を楽しみ、誇りを持って働いてもらいたい」と、12年7月に同店を開業した。

働いているのは同法人が運営する「就労継続支援A型事業所」に通う知的、精神障害を持つ23〜66歳の男女20人。同事業所職員の支援を受けて、レジ、調理、商品陳列などを行う。

障害者でもレジを担当できるように、客が画面を見て商品の値段を確認しながら支払う日本初の「対面式セミセルフレジ」を3台導入した。作業は商品の読み取りと袋詰めだけで済む。また、簡単な設定でフライを揚げられる機械を設置、注文を受けてからカツなどを揚げるサービスも人気だ。

当初、客足が伸び悩み、客から心ない声も聞かれたが、口コミで広まり現在は1日約300人が訪れる。約2000種類の商品を扱い、売り上げは30万円ほどだ。

同店で働く武藤昭二さん(45)は「レジでお客さんと直接やり取りできて、とてもやりがいがある」と笑顔をみせる。

また、地域住民の交流の場として60席を用意、車椅子での利用や商品が飲食できるほか、集会スペースとしても貸し出す。

近所の主婦喜多公江さん(70)は「『障害者が働いている』という意識はない。日々の買い物や井戸端会議で使うなど地域にとって不可欠な店」と語る。

関口理事長は「地域に受け入れられ、第一歩としては成功したが、黒字化し、利益をもっと店員に還元することが課題」とする。今後は文具・事務用品の外商や移動販売なども行うという。

同店は午前10時半〜午後7時半まで。館山道姉崎袖ケ浦インターチェンジから車で10分。問い合わせは同店

■2014.4.14  介護福祉士会が外国人受け入れに反対の声明、「介護は単純労働じゃない」
日本介護福祉士会は、技能実習制度を使って介護業界に外国人の労働者を受け入れることに反対の立場だ。日本人の人手不足がより深刻になったり、サービスの質の低下を招いたりする懸念が強いとして、「介護職員の処遇改善や労働環境の整備、キャリアパスの構築を行うことこそが必要」と訴えている。

介護福祉士会がロビー活動のために作成した要望書が、14日に公表された。要望書はこれまでに、衛藤晟一総理補佐官や野田毅自民党税調会長、桝屋敬悟公明党政調会長代理など、与党の有力議員に手渡されている。

■2014.4.15  茨木市議長:地元の社福法人に10年間寄付 公選法違反か
大阪府茨木市議会の中内清孝議長(67)=自民=が約10年間にわたり、地元の社会福祉法人に総額約50万円を寄付していたことが毎日新聞の調べで分かった。福祉法人の関係者が中内議長の選挙を手伝ったこともあった。政治家が選挙区内で寄付することは公職選挙法で禁じられており、中内議長は取材に「脇が甘かった。反省している」と話している。

中内議長や関係者によると、茨木市安威(あい)2の社会福祉法人「あい・あい福祉会」。中内議長の遠縁の元市議(86)が2000年11月に設立し、市内で障害者向け通所施設と共同生活施設を運営する。元市議は12年ごろ、福祉会の役員を退き、その後は運営に関わっていないとされる。

中内議長は01年1月の市議選で、この元市議の地盤を継いで初当選した。翌年、施設利用者の父母らでつくる「あい・あい福祉会を支援する会」の会長に就任し、その年から昨年までの毎年秋に3万〜5万円ずつを福祉会に寄付してきた。すべて中内議長個人の財布から支出したという。

支援する会が作製する福祉会の広報紙には、寄付者として中内議長の氏名が記されたこともあった。数年前には、同僚議員が中内議長に「不適切ではないか」と指摘したが、寄付はやめなかった。

一方、支援する会のメンバー数人が昨年1月の市議選で、中内議長の選挙事務所に詰めて有権者に電話で投票を呼びかけるなど、選挙運動を手伝った。

中内議長は今月8日の取材で「支援する会の会長として、率先して寄付するべきだとの思いが強かった。福祉会関係者が選挙に関わったのは昨年1月だけ。条文をまじまじと読んだことがなく、公選法の趣旨を理解していなかったが、今回の件で勉強になった。寄付はやめる」と釈明した。

公選法は、現職の政治家や立候補の意思のある人が選挙区内の個人や団体に現金や物を贈ることを禁じ、罰則規定もある。茨木市選挙管理委員会は毎日新聞に、中内議長の寄付について「公選法違反に該当するものだ」との認識を示した。

福祉会の大橋亜希(つぐき)理事(41)は「法に触れるとは思わなかった。寄付金の返還を理事会で協議したい」と話している。

中内議長は市職員から市議に転身し、現在4期目。今年2月に議長に選ばれた。自民党茨木市支部長も務める。

■2014.4.15  精神障害者向け 雇用ガイド本
精神障害のある人が、企業で働くための基本をまとめた小冊子ができた。障害者手帳を持っていることを会社側に知らせ、理解を得ながら働く「障害者雇用」について解説している。

小冊子は、「働いて元気になる 『障害者雇用』で働くためのガイド」。NPO法人「地域精神保健福祉機構(コンボ)」が作った。

2013年6月1日現在、企業で働く障害者は約32万人。そのうち精神障害者は約2万6000人で、前年に比べ35%増えていた。精神障害者が働くことに、「再発のリスクが高まる」などの意見もあるが、働くことに関心を持つ人は増えている。

冊子は、働くことを具体的にイメージできるよう、精神障害を抱えながら企業で働く6人の体験談を写真と共に掲載、その上司からのメッセージも載せた。また、就職が決まるまでのステップや、受けられる支援サービスなどもまとめた。

無償配布は1人1冊、6月15日まで。申し込みは、週刊誌が入る大きさの封筒に、住所、氏名を書いて205円分の切手を貼り、別封筒に入れ、〒272・8525 千葉県市川市平田3の5の1 コンボ・ガイドブック係へ送る。問い合わせは、コンボ(047・320・3870)へ。

■2014.4.15  パナソニック、車いす一体型介護ベッド「リショーネ」を在宅用にレンタル、販売へ 施設用は6月から受注
パナソニックは14日、リクライニング式の車いすと合体、分離できる離床支援型電動ベッド「リショーネ」=写真=を、在宅用にレンタル・販売することを明らかにした。住宅で組み立てる方式で、介護保険の適用を受けるのを前提に平成27年度に始める。

特別養護老人ホームなどにモニター導入していた施設用タイプは、17日にインテックス大阪(大阪市住之江区)で開幕する福祉・医療機器の見本市に完成品を出展し、6月から受注を始める。リショーネは、寝たきりの要介護者を離床させる際に持ち上げずに車いすを分離できるため、介護者の身体的な負担が小さい。すべての作業を1人できるため介護現場の人手不足や安全確保に有効とされる。

今年1月から特養やパナソニックグループの老人ホームなど試験導入。2月には生活支援ロボットの安全性に関する国際規格の認証を世界で初めて取得した。6月から施設向けの受注を開始。価格は1台100万円程度とし、26年度は100台の販売を目標とする。

27年度には在宅用に組み立て式も投入。在宅介護に用いられる機器は介護保険の適用を受ければ本人負担は1割となり、月額レンタル料を通常のベッド(1千〜1500円程度)の数倍程度に設定する方針だ。

http://social-welfare.rgr.jp/img/yyyyuc21zzc.PNG

■2014.4.15  在宅用介護食品が多様化 おいしさや見た目も重視
かんだり飲み込んだりする機能が低下した高齢者に配慮した介護食品の在宅向け市場が広がっている。「やわらか食」などとも呼ばれ、病院や介護施設で利用されていたが、平成24年の介護保険制度改正で施設入所から在宅介護への流れが促されたのを契機に、市販に注力する企業が増加。食べやすさや栄養面の配慮にとどまらず、おいしさや見た目を重視した商品が続々登場している。

◆スーパーなどで販売

介護食品市場の拡大に対応し、乳業大手の森永乳業(東京都港区)は介護食「やわらか亭」シリーズの取り扱いを昨年4月から開始。在宅高齢者向けに、ドラッグストアやスーパーでの販売を強化している。担当者は「以前はグループ会社のクリニコが医療機関や介護施設向けに販売していたが、高齢者が在宅に戻ったときに手に入りやすくした」と説明する。

商品はカップ入りご飯とレトルトのソースがセットとなった「カレーごはん」など。今月発売の新商品「そぼろごはん」「ハヤシライス」では、高齢者が使いやすいようにパッケージ裏面の文字を大きくするなどの変更も行った。

高齢者の食に関する悩みに多い「食欲低下」に着目したのは、在宅用では老舗のキユーピー(渋谷区)だ。食べる喜びを取り戻してもらおうと、「やさしい献立」シリーズでは食欲喚起に力を入れている。今春はエビや、たらつみれなどの「ゼリー寄せ」3品を発売。「従来の介護食品には珍しい立体感」(広報担当者)が特徴で、「食べやすさと食べたくなる見た目」をコンセプトに食欲喚起を図る。

ベビーフード大手の和光堂(千代田区)の「食事は楽し」シリーズは、フグやカニといった高級素材を具材にした「ふっくら雑炊」が好評だったことから、「食経験の豊かな高齢者のニーズ」に応じて肉や魚、彩りの良い野菜などのおかずのラインアップを増やしてきた。

ただ、同社も含め、介護食品の販売は通信販売やドラッグストア、スーパーなどの介護用品コーナーが中心。「介護用品売り場には行きにくいという高齢者が多い」といい、今後の市場拡大には売り場をどう確保するかが鍵のようだ。

◆開発に5年

食品大手の明治(江東区)は高級志向の新シリーズを投入し、新たな市場の開拓を目指す。横浜中華街に本店を構える中国料理店「聘珍樓(へいちんろう)」の総料理長監修のやわらか食「聘珍茶寮(さりょう)中華シリーズ」を3月に発売。レトルトのエビ入り湯葉粥(がゆ)など粥・スープと汁粉の計7点で、価格は粥・スープが400円(税別)と、200円前後が一般的な従来の介護食品の倍に設定した。

食べやすい料理を求める高齢者が聘珍樓本店で増えたことから、同店が商品化を提案。うま味調味料を使わずに味や彩りを維持するため、5年がかりで開発した。担当者は「おいしさと見た目を重視した、ちょっとしたぜいたく品。(介護食品の従来の販売ルートである)通販やドラッグストアにとどまらず、百貨店での販売も目指す」と意気込んでいる。

■2014.4.16  無許可健診156回…大阪市の医療法人が府外で
企業向けの巡回健康診断を実施している医療法人福慈会(大阪市中央区)が、大阪府外での健診を無許可で繰り返していたことがわかり、大阪市が改善指導した。

同法人は同様の問題で2007年にも市の指導を受けたが、10年頃から再び無許可健診が常態化したとみられる。

医療法などによると、医療法人が診療所のある都道府県以外で巡回健診をする場合、臨時の診療所開設と同様に扱われ、実施のたびに保健所を管轄する知事や市区長の許可が必要。適切な診療行為を行っているかどうかを確認するための制度で、許可申請は1件約2万円。

市などによると、07年の指導後、同法人は許可を得て府外での健診を実施したが、10年以降はほとんど許可を受けていなかった。13年の巡回健診はすべて無許可で、兵庫や京都、滋賀、奈良、和歌山など各府県の計156回に上るという。

同法人は許可手続きをする専任の担当者を配置したが、退職後の引き継ぎが不十分だった、と説明。「意図的ではなく、職員の認識不足でチェックも甘かった。改めて法令順守を徹底し、改善に努める」としている。

市は3月中旬に立ち入り調査を実施して改善を指導。同法人は同月下旬に改善計画を提出した。市保健所保健医療対策課の谷和夫課長は「前回の指導が生かされていなかった。今後も適宜、調査するなどして再発を防ぎたい」と話した。

■2014.4.16  日本の総人口21万減、65歳以上25・1%に
総務省は15日、2013年10月1日現在の日本の総人口(外国人を含む)が前年より21万7000人減り、1億2729万8000人(前年比0・17%減)になったとする人口推計を発表した。

人口減は3年連続。働き手の中心である15〜64歳の生産年齢人口が32年ぶりに8000万人を下回る一方、65歳以上の高齢者の割合が比較可能な統計がある1950年以降、初めて総人口の4分の1を超えた。少子高齢化が進み、人口減による労働力不足が深刻化している実態が浮き彫りになった。

総人口のうち、日本人の人口は前年比25万3000人減の1億2570万4000人。3年連続の減少で、過去最大の減少幅となった。一方、外国人(日本在住3か月以上)の1年間の入国者数から出国者数を差し引いた「社会増減」は、09年以来4年連続で減少していたが、東日本大震災からの復興の本格化や景気回復などにより、5年ぶりに増加に転じて3万7000人の増となった。外国人の増加が、総人口の減少を下支えした形だ。

総人口の年齢別では、生産年齢人口は同116万人5000人減の7901万人となった。8000万人を割ったのは1981年以来だ。0〜14歳の年少人口は同15万7000人減の1639万人で、総人口に占める割合は過去最低の12・9%となった。50年以来増加している65歳以上の高齢者の人口は、同110万5000人増の3189万8000人となり、総人口の25・1%を占めた。

■2014.4.16  <不正数億?>いわき市の老健「昌平黌」老健など5事業を受入停止処分
福島民友ニュースなどの報道によると、福島県いわき市の社会福祉法人「昌平黌(しょうへいこう)」が、介護報酬を不正請求したとして、いわき市は同法人が運営する介護老人保健施設「二ツ箭(ふたつや)荘」など複数の事業所に対し、新規受入停止の行政処分を行ったという。業務停止期間は4月10日〜10月9日までの半年間。

今回、処分の対象となったのは、老健「二ツ箭荘」、短期入所療養介護、介護予防短期入所療養介護、通所リハビリ、介護予防通所リハビリの5事業所。
処分理由は、老健に配置が義務づけられている「常勤」の管理者兼医師を配置していなかったり、その不正を隠ぺいするために出勤状況を偽ったりしていた。さらに人員配置が基準に見たかなった場合の減算を行わず、満額請求していたという。

これまでに行っていた不正請求の額は、現在いわき市が精査中だが、数億円になる可能性もあるとみている。
また、指定取消は通常、知事の権限だが、同市は中核市のため、市に権限移譲されている。

■2014.4.16  袖ケ浦の少年死亡:虐待問題 独自の過去調査「限界」 県議会委で県の担当者 第三者委検証待つ意向 /千葉
県立障害者支援施設「袖ケ浦福祉センター」(袖ケ浦市)の虐待問題で、県議会健康福祉委員会協議会が15日開かれた。過去の監査で問題を見過ごしていたとの指摘があることについて、県障害福祉課の山田勝土課長は「(過去の監査状況をさかのぼって)調査していくのは限界がある」と述べ、県の第三者検証委員会による最終的な検証結果を待ちたいとの見解を示した。

この日、委員からは「県の監査が甘かったとの指摘があり、県独自で調査検証を行うつもりはないか」などの質問があった。山田課長は「2003年当時の監査担当者に聞き取りをしたが、抽象的な報告しか受けられなかった。県調査には限界があると(いう思いが)正直している」と応じた。その上で「検証委で過去の監査が十分だったかどうかは対象。それ(の結果)をみながら考えていく」と述べるにとどまった。

一方で、センターの運営法人「県社会福祉事業団」に対し、検証委などが虐待防止のために実施を求めた各項目について、毎月最低1回、詳細な報告を求めていく方針を明らかにした。

■2014.4.16  西東京・障害者虐待:「処分後も暴言続く」 知的障害者施設、職員ら都に通告 /東京
入所者への虐待で都から新規利用者の受け入れ停止の処分を受けた知的障害者入所施設「たんぽぽ」(西東京市、社会福祉法人田無の会運営)で、処分後も施設幹部による入所者への暴言などが続いているとする新たな通告が15日、都に寄せられた。一方、同法人側の代理人は、都を相手取り、受け入れ停止処分の取り消しを求めて東京地裁に提訴したことを明らかにした。

都などによると、通告は職員8人と元入所者の家族、元職員らからあった。入所者が入浴中にもかかわらず、施設幹部が浴槽の栓を抜いた▽職員に手を出した入所者に「お前、この野郎、外だったらボコボコにするぞ」などと詰め寄った▽入所者を「てめえ」と怒鳴って小突いたなどの内容で、「問題解決が長引く中で障害者が置き去りにされている」と訴えている。

これに対し、法人側代理人の弁護士は「通告の件は聞いていないが、法廷で一連の主張を明らかにする。処分で指摘された行為は虐待とは言えず、誤った処分で不利益を被った」とコメント。提訴は3月17日付といい、一方の都は「訴状を見た上で対応を決める」としている。

■2014.4.16  障害者との避難、教訓を発信 津波被災・福祉事業所職員の手記
NPO法人「みやぎセルプ協働受注センター」(仙台市)は、東日本大震災で被災した宮城県沿岸部の障害者福祉事業所職員の体験をまとめたホームページ(HP)「3.11震災の記憶『あの日、私たちは戦っていました』」を開設した。各事業所が「災害弱者」である利用者とどのようにして避難したのかが記録されており、貴重な体験集となっている。

「みやぎセルプ」が定期的に開催している「被災障害者就労支援事業所連絡会議」に参加している15事業所の18人が手記を寄せた。

精神障害のある人たちを中心に利用がある「みどり工房若林」(仙台市若林区)のスタッフは、6人の利用者と小学校に避難した様子を記している。いったん海に近い指定避難所に避難したものの、津波襲来前に内陸部の小学校に移動した経緯を振り返り、「初めから最大限のリスクを考えて、避難場所を決めておけばよかった」と述べている。

利用者と避難中に津波に襲われ、歩道橋の上で一夜を過ごした多賀城市の「さくらんぼ」のスタッフは「避難誘導を行う職員が地域を知り尽くすことが必須だと思う」と訴えている。

スタッフが避難先から精神科クリニックを訪れ、利用者が必要とする薬をまとめて処方してもらった事業所もあった。団体行動が奏功した事例として報告している。

このほか、「仕事柄、利用者対応優先にならざるを得ない。事前にそのことを、家族や身内に知らせておくべきだ」などの声があった。

手記をまとめた「みやぎセルプ」は「現場スタッフの生の声を、今後の備えに役立てていただきたい」と話している。

HPのアドレスは
http://www.miyagi-selp.org/links/shinsai-no-kioku

■2014.4.17  <福島第1原発事故>行き場失う障害者 13通所施設休廃止
福島第1原発事故によって、30キロ圏内にある福島県相双地区の10市町村で障害者・障害児の就労や活動の場を提供していた通所施設28カ所のうち、半数近くの13カ所が休廃止されていることが毎日新聞の取材でわかった。避難先で再開した施設も、人材が不足している。居場所を失った障害者や保護者は避難生活の中で疲弊しており、専門家からは行政による積極的なかかわりを求める声が上がっている。

◇避難で症状悪化

福島県浪江町の就労支援事業所「コーヒータイム」(橋本由利子所長)に同町の自宅から通っていた精神障害のある女性(56)は震災後1カ月間、避難先の体育館で幻聴に襲われた。声をかけて救ってくれたのは、慣れ親しんだ事業所スタッフ。事業所は同県二本松市で2011年10月に再開。女性も7回の転居の末、同市のアパートに住み、事業所が運営するカフェで働く。橋本所長は「避難生活で症状が悪化するケースも多く、居場所づくりのニーズは高まっている」と話す。

◇人材が不足

10市町村で就労支援や自立訓練をする障害者向け通所施設19カ所と放課後デイサービスなどの障害児向け通所施設9カ所に聞くと、障害者の施設は▽継続7▽別の場所で継続5▽休廃止7。障害児の施設は▽継続2▽別の場所で継続1▽休廃止6−−だった。

同地区で多くの施設を運営する社会福祉法人福島県福祉事業協会(田村市)は、震災前に230人いた職員が11年7月に130人に激減。現在は186人で、募集しても20〜30代を中心に避難などで集まらず、休止中の全施設の再開は難しい。

重度障害者向けに生活介護を担う南相馬市のNPO「さぽーとセンターぴあ」は11年4月に再開すると、休止中の施設の利用者が訪れる一方、20人以上いた職員は3人に。今は人数こそ確保したが「ベテラン職員がいなくなり将来の運営が不安」(郡信子施設長)だ。

◇家族で抱え込み

「障害児を見守ってきた仕組みが崩れ、家族だけで抱え込むケースが増えている」。いわき市で活動する相談支援専門員の古市貴之さん(37)は話す。放課後デイサービスが使えず仮設住宅で孤立し両親とも精神科に通ったり、発達障害のある子供の進学の相談先に苦労したりする。古市さんによると、同市への避難者約2万4000人中、障害者手帳所持者は約1000人いるとみられるが、住まいが分散しフォローしきれていないという。

相沢与一・元高崎健康福祉大大学院特任教授(社会保障論)は「避難者が広域に散らばり、職員も足りず、多くの障害者に手が差し伸べられていない。行政が積極的かつ柔軟な姿勢で事業所と連携する体制をつくる必要がある」としている。

■2014.4.17  茨木市議長辞職へ 社福法人寄付問題
地元の社会福祉法人に約10年間で約30万円の現金を寄付していた大阪府茨木市議会の中内清孝議長(67)が、「問題の責任を取る」として議長を辞職することが17日、分かった。

中内氏は「(公職選挙法違反の)疑惑を持たれたことへのけじめをつける」と話している。

議会関係者によると、中内氏は16日に市議会全会派の代表者と会合を開き、「疑惑を招き議会に迷惑をかけた」と謝罪。議長辞職の意向を伝えた。近く臨時議会が開かれ、辞職が承認される見通し。

■2014.4.17  タンデム自転車:一般道解禁 視覚障害者、走る喜び 盲導犬見守る中、試乗会 /新潟
サドルとペダルが二つずつ備わった2人乗り用の「タンデム自転車」が今月から、県内の一般道を走行できるようになった。県道路交通法施行細則が改正されたため。タンデム自転車は、長野県軽井沢町などの観光地でレジャー用として人気だが、視覚障害者にとってもサイクリングを楽しむことができる貴重な乗り物だ。解禁を受けて新潟市内で試乗会が開かれ、中途失明者らが自転車で風を切る喜びを感じた。【真野敏幸】

タンデム自転車は、一部の県を除き都道府県公安委員会の同法施行細則によって一般道での走行が禁止されている。このため、県視覚障害者福祉協会などが「自転車を通じて視覚障害者の社会参加を進めたい」と約3年前から県公安委に規則改正を要望していた。こうした声を受けて慎重姿勢を見せていた県公安委も、既に解禁している長野や兵庫などで重大事故が発生していないことなどを勘案し、解禁することを決めた。解禁は全国で8県目。

これを受けて、視覚障害者に自転車で走る面白さを体験してもらおうと、自転車愛好者団体「自転車のまち新潟の会」(新潟市)が同市中央区の信濃川堤防緑地「やすらぎ堤」で開催した試乗会には、視覚障害者ら約30人が参加、サイクリングを体験した。

15歳で緑内障を発症し、39歳で失明した同市東区の上林洋子さん(68)は、一緒にやってきた盲導犬が心配そうに見守る中、タンデム自転車に乗り、やすらぎ堤を走り抜けた。上林さんは「目が悪くなって家に引きこもりがちだったのが、盲導犬と出会ったことで人生が変わった。自転車に乗れた今日は、それと同じくらいすてきだった。生きててよかった」と喜びをかみしめた。また、生まれつき弱視で、15年前に完全失明した同区の岩崎深雪さん(69)は「まともに自転車に乗ったのは中学校以来。怖いより楽しさが勝った。何度でも乗りたい」と笑顔を見せた。

同協会の松永秀夫理事長(70)は「目が見えなくても自転車に乗れるということを広めたい」と話した。試乗会を企画した同会の涌井秀行さん(54)は「タンデム自転車は視覚障害者だけでなく、夫婦や友人で乗るなどさまざまな可能性がある。今後も定期的にイベントを開きたい」と語った。

現在、県内では、同市中央区古町通の自転車店「カミフル・サイクルステーション」で、タンデム自転車の有料レンタルを行っている。

■2014.4.17  社説:人口減と高齢化 悲観しないで生きよう
きっと心配している人が多いに違いない。総務省が発表した人口推計によると、2013年10月現在、日本の人口は前年より21万7000人減り、65歳以上の高齢化率は初めて25%を超えた。人口減少は3年連続。鳥取市や山口市規模の人口が毎年消えていくのだ。しかし、いくら心配してもこの傾向は今後数十年は変わらない。過度な悲観は禁物だ。冷静な分析と政策、そして私たちの意識を変えないといけない。

人口減と高齢化ですぐに思い浮かぶのは、働き手不足の深刻化、年金や医療など社会保障の土台が崩れていくことだろう。しかし、統計数字で一喜一憂してはならない。現在は65歳以上を「高齢者」、15〜64歳を「生産年齢」としているが、65歳を過ぎても健康で働いている人は大勢いる。一方、中卒者を「金の卵」と呼んだ時代とは変わり、15歳から働く人は少なくなった。大学を卒業しても就職しない人、海外留学や大学院進学を選ぶ若者は増えている。

働き手不足とは言うが、高度情報化などで生産性が高まれば今より人手は要らなくなる。これまでも国際競争の中で各企業は人件費軽減を図り、高収入の正社員の数は減少してきた。働き手が足りないのは、建設業の現場や介護・保育など、賃金が比較的低く非正規雇用など身分の不安定な人が多い職場なのである。

政府は女性の活用のため保育所の整備を進めているが、安心して結婚や出産ができる賃金と社会保障の充実にもっと尽力すべきだ。人口減少そのものよりも、社会的格差が開いて中間層がなくなり、社会保障の枠からはじき出される人が増えていくことの方が問題だ。

人口は減っても「支えられる側」の人が「支える側」に回れば、社会保障は安定する。65歳を超えても働き続け、自らの選択で年金受給を遅らせれば、今の制度でも年金は加算される。働ける間はみんなが働き、社会保障の枠に入ることが、老いや病気や障害で本当に働けなくなったときの安心につながる。パートなど非正規労働者に厚生年金の適用を広げる必要があるのはそのためだ。

それでも不安は残る。年金はあっても1人暮らしの高齢者が急増し、過疎地では介護事業所すらない所が多い。お金や制度だけでは足りないのかもしれない。地方には新しい暮らしの形を模索している例もある。

富山県では高齢者と若い障害者が同居するグループホームが運営を始めた。専門職のケアを受けながら入居者が助け合って家族のように暮らしている。宮崎県を中心に認知症や終末期の人が民家で暮らすホームホスピスもある。統計数字にはない希望が現場にある。

■2014.4.17  特養待機全国で52万人 「椅子取りゲーム」の様相 要介護3以上に
曖昧な要件 競争生む

特別養護老人ホーム(特養)の入所待機が全国で52万人に上ったとの報道を受け、読者からさまざまな手紙が届いた。今国会に提出されている法案が通れば、特養の入所は来年度以降、原則要介護3以上の人に重点化される。

椅子取りゲーム

特養の入所が「要領の良いもん勝ち」の競争になっていると感じている人は多い。

西日本在住の女性(61)は「軽いうちから申し込んでいる人や、あっちこっちに申し込んでいる人もいる。『椅子取りゲーム』状態で、軽い人が入ると、後の人はなかなか入れない。要介護度が重く、今すぐにでも特養入所が必要な人が待たされるのは気の毒やと思う」と言う。

女性の母親は80代で要介護3。今までは介護サービスもほとんど使わず、1人暮らしをしてきたが、最近、調子を崩して入院。生活の見直しをしなければならなくなった。

当面は介護保険のサービスを使って1人暮らしの予定だが、不安は大きい。日中はリハビリの手厚い施設でサービス(デイケア)を受けて過ごしてもらおうと考えたが、施設側から「要介護3では毎日は使えません。デイケアの前後に訪問介護を組み合わせると、限度額をオーバーします」と言われた。在宅の生活も難しく、かといって、適切なタイミングで入所できる感じもしない。

「虐待を受けた人はすぐに入所できると聞きます。でも、要介護度が軽いなら、そういう人が集まって暮らせる場所があれば、代わりに重い人が特養に入れるかなぁと思ったりします」と話す。

京都市の男性(66)からは「希望があれば、軽い人でも重い人でも、すぐに特養に入所できるように施設整備をすべきだ」という声が届いた。10年ほど前に認知症の母親の介護をした。「軽い人でも入れるようにしないと、家族は働くこともできない。その結果、日本の経済も衰退する」

必要性の高さとは

特養は本来、「待ったら入れる」ものではない。必要性の高い人が優先的に入所するのが原則。自治体ごとに入所基準があり、要介護度や緊急性の高さで点数化されている。

だが、施設側にも事情がある。「重い人ばかりだと、介護職が疲弊してしまう。手のかからない人も一定程度いないと運営できない」(ある特養の施設長)のも現実。また、「全く面識のない人よりも、できればデイサービスやショートステイで本人と家族の状況がある程度分かる人を入れたい」(同)という意向もある。

このため、利用者や家族からは「顔つなぎのためにデイサービスやショートステイを使っている」「いざというときのために施設のケアマネジャーと親しくしておく」という声が絶えない。膨大な待機者リストの背景には、入所が激戦で、要件が透明化しきらないこともありそうだ。

自治体で異なる整備率と入所状況

厚生労働省の調査では、特養の待機者は全国で52.4万人。同省は特に「要介護度4、5」の重度で、自宅にいる8.7万人の待機が問題とする。

「もっと特養を」との声もあるが、特養の整備率は自治体によって事情が大きく異なる。65歳以上の高齢者1人当たりの定員を見ると、不足が著しいのは、愛知、千葉、大阪、埼玉、東京、神奈川などの大都市が並ぶ。地価が高く、高齢化のスピードが遅い地域で施設整備が遅れたためだ。だが、この地域は今後、急速に高齢化する。

都道府県によって、新規入所者に占める要介護度の軽い人の割合も異なる。奈良県や北海道では、要介護1、2の人が新規入所の2割を超えるが、富山県や愛媛県では5%に満たない。

軽い人の入所で多い理由は、(1)認知症で常時の見守り・介護が必要(2)家族による虐待がある(3)老老介護で経済力がない(4)独居で孤独感があり、本人も家族も入所を希望する−などが挙がる。だが、地域差の理由ははっきりしない。
厚労省はこうしたデータを踏まえ、特養の利用を要介護度が重い人に重点化したい考え。今国会に提出中の法案に、入所を原則要介護3以上の人に重点化する方針を盛り込んだ。ただし、「やむを得ない事情で特養以外での生活が著しく困難と認められる」場合は例外とした。具体的には先の(1)、(2)のような事例のほか、知的障害・精神障害などがあって地域での安定した生活が困難なケースなどを挙げる。今後、詳細を検討し、指針を作成する。

法律が成立すれば、来年4月から実施されるが、既に入所している要介護度の軽い人に退所を求めることはしない。

特養も変わりつつある。複数の利用者が交互に特養の1ベッドを使うことで家での生活を支える施設もあれば、大規模施設を分散化した所もある。在宅サービスの充実や低価格の住まいの整備に並んで、柔軟な施設利用も課題になっている。

■2014.4.17  医療・介護「ICT」で情報共有…厚労省が構想
厚生労働省は、医療や介護にICT(情報通信技術)を活用する10年後の姿を示した全体構想をまとめた。

病院や薬局、介護施設が患者の情報を共有する仕組みを全国各地で作り、地域で超高齢社会を支える方向性を打ち出した。ICT化によって診療の検査の重複をなくしたり、医療の水準を高めたりすることも目指す。

構想では各地域で、〈1〉医師が認知症治療薬を処方した後の患者の生活状況を介護事業者がコンピューターに入力する〈2〉「骨が弱っている」といった診療情報を介護者が入浴介護などの際に使う〈3〉診療所での診療情報を救急病院で生かす――などの未来像を示した。

実現に向け、厚労省はまず今年度からの5年で総務省と協力、医療機関や薬局が持つカルテや診療報酬明細書の情報を地域で共有する仕組みや、要介護度などの介護情報を組み込む方法を開発し、普及させる施策を構想に盛り込んだ。地域を超えて情報をやりとりできるようにもする。

厚労省は、団塊の世代が75歳以上となる2025年までに、がん患者や高齢者らが住み慣れた地域で暮らせる地域作りを目指しており、ICT化がカギになるとみている。

■2014.4.17  神戸に全国初、住居と職場を兼ねる障害者自立支援専用マンション
神戸市垂水区に「コ・クール垂水」誕生へ
障害者の自立を支援し、安全で快適な住居と職場という2つの役割を兼ね備えた、全く新しいタイプの賃貸マンション「コ・クール垂水」が6月に開業することがわかった。障害者の就労支援などを進める国土交通省のモデル事業にも指定された全国初の試みだ。

「コ・クール垂水」は神戸市垂水区の下畑町に設けられる多機能型福祉マンション。障害者の就労・生活支援事業を手がけるクオリティライフ株式会社をはじめ、NPO法人オープンエア、株式会社クオリアが運営を行う。

1階には居宅・訪問介護ステーション、就労支援、放課後等デイサービスを併設し、2〜4階に46室のワンルーム居室を、4階にはショートステイを備える。これまでの入所施設に依存せず、地域社会と関わりながら、障害者の自立した豊かな暮らしをサポートすることを目指していくという。

スタッフとしての雇用や一般就労を目指す人へのサポートも充実
一般的な福祉施設とは異なり、自由度の高い住まい環境を提供、一方で安全面にも十分配慮し、車いす対応のトイレを全戸に備えたり、24時間サポート体制でヘルパーを常駐させ、訪問看護・医師による診察、希望者には夜間巡回にも対応したりと細やかなサービスを整える。

共有トイレやダイニングといった、共有スペースの清掃は知的障害者が担当し、将来的にはスタッフとして雇用する方針となっているほか、マンション内で職業訓練・就労支援を行い、本人の希望や適性にあった一般企業への就職支援を進める。障害者のやりがいを重視しながら、地域社会に貢献・参加し、就労による経済的自立が可能となるようサポートしていくという。

ほかにも、知的障害児の保育施設や、就労・生活に関する相談を受け付ける無料相談室、地域との交流スペースなども設けるそうだ。障害者の生活を多面的に支え、社会における障害者雇用促進をスムーズに進めていくことにもつながる画期的な施設、今後の運営が注目される。

多機能型福祉マンション コ・クール垂水 公式サイト
http://www.qol-c.co.jp/co-coeur/index.html

クオリティライフ株式会社 
http://www1a.biglobe.ne.jp/openair/

■2014.4.18  共生の森:障害者の就労や自立支援 10周年、45人が協力者らに感謝 /宮城
障害者の就労や生活の自立を支援する涌谷町涌谷の社会福祉法人「共生の森」は17日、創立10周年の記念式を行った。さまざまな障害を持つ45人の利用者が同法人の社歌「唯一の星々」を合唱し、施設の発展に協力してくれた人たちに感謝の気持ちを伝えた。

共生の森の前身は、リサイクル品回収などを手がける町の小規模な授産施設だったが、展望が見えず、2004年に障害者の社会的、経済的自立を目指す新たな法人としてスタートした。

その際、牛渡重光理事長らが各方面に施設運営の協力を求めたところ、町内の農業生産組合が無償で農地を提供し、大豆の栽培指導をしてくれた。実った大豆は醸造業者らの加工協力で自家ブランドのみそや納豆として販売。韓国から町内に嫁いだ女性の手ほどきで製造する本格キムチも人気を集めている。地元農協も製品の販売に協力する。

その結果、共生の森の事業収入は毎年のように増加。04年度は810万円だったが、13年度は3140万円に。それに伴い利用者の平均工賃も04年度の月1万900円から13年度は同2万3900円に増えた。利用者が生涯暮らせる念願のグループホームの1号館も12年に開設した。

牛渡理事長はこうした発展は町内外の支援のお陰とし、来賓たちに感謝状を贈った。10年後には工賃をさらに今の2倍にしたいとする。

社歌は「この星に生まれた誰もがかけがえのない存在」をテーマに利用者の1人が作詞したもので、45人は心を一つに歌声を披露した。

■2014.4.18  介護福祉士会の石橋会長、養成課程見直しの先送りや外国人受け入れを批判
介護職員の仕事に関わる制度をめぐっては、相変わらず活発な議論が続けられています。国の会議などで意見を言う関係団体は、現在の動きをどのようにみているのでしょうか?

今回は、日本介護福祉士会の石橋真二会長にインタビューを実施。介護福祉士の養成課程の見直しや処遇改善の方策、外国人労働者の受け入れなどについて、現状の考え方を語ってもらいました。

インタビューのポイント!

・介護福祉士の養成課程の見直しを、現行の案のまま早期に実現すべきだと主張。一貫した教育で人材の質を上げ、社会的な評価を高めることが処遇の改善につながり、それが人材の確保にも結びついていくと説明した。

・現行の「処遇改善加算」は、課題を指摘しながらも存続を求めた。

・技能実習制度による外国人の受け入れは「絶対に反対」。「外国人を受け入れる仕組みをつくる予算があるのなら、まずは日本人の処遇改善に注入すべき」と批判した。


日本介護福祉士会・石橋真二会長インタビュー

Q 介護福祉士の養成課程の見直しが、1年間先送りされることになりました。

資格をとるプロセスの一元化は必要だと思います。全ての人が一定の教育を経て、国家試験に合格して資格をとるということは、他の専門職と同じ社会的な評価を得るために重要です。社会的な評価は、人材の質を担保することで得られます。そうして得た評価によって、多くの人が「介護福祉士になりたい」と思ってくれる。つまり、地位の向上が人手不足の解消に貢献するのです。我々はかなり前から、こうした改革の早期実現を求めてきました。

しかし、実施されるはずだった制度の見直しは、先送りされてしまいました。「養成校に人が集まらなくなってしまう」とか、「現場の人が働きながら研修をクリアするのは難しい」といった理由で、人材の確保がますます難しくなるという声が強まったためです。しかし、これは目先のことだけしか考えていない意見だと思います。

先のことを考えれば、重要なのは人材の質を高めていくことです。より良いサービスが提供されていくだけでなく、介護福祉士の社会的な評価の向上に繋がり、それが人手不足の解消にも結びついていく。そうした好循環を生み出すために、きちんと教育を受けた人が介護福祉士になることが重要なのです。資格をとるプロセスの改善が、目先の問題のためだけに先送りされてしまったことは、まったく残念としか言いようがありません。


Q とはいえ、450時間の研修は現場の人にとって厳しすぎるという声が、実際に働いている人からもあがっています。

現場で経験を積んで介護福祉士を目指す人は、必ず国家試験に合格しなければなりません。研修を通じて段階的に対策を進める方が、独学で頑張るよりも成果が上がるのではないでしょうか。研修の義務化は、現場で頑張っている人にとって良いことだと思います。

実際の研修の9割近くは、1日1〜2時間の通信課程で学ぶことができます。このため、仕事に支障が出るとは考えにくいのです。1週間程度のスクーリングもありますが、国家試験の実技が免除になるのですから、それくらいは必要だろうと思います。今の改革案の450時間は、人材の質を担保するために必要最低限の時間でしょう。現場では学びきれないことをしっかりと身につけることが重要ですので、450時間の実現を求めていく方針です。



Q 国家試験のクリアが義務化されると、養成校に入る人が減ると懸念する声にはどう答えますか?

入学した人の大半が合格するという実績をきちんとつくっていけば、学生が減っていくことにはならないと思います。既に、カリキュラム・教育内容の一部を変更するなど、国家試験を見据えた準備も進められています。教育の課程を通じて、国家試験に合格するだけの実力を学生にきちんと身につけてもらう、そうした努力をする人も大勢いるでしょう。学校側も、「うちに入れば多くの人が国試に合格します」というアピールをすれば、生徒が集まってくるのではないでしょうか。



Q 今後の検討課程でも、現行の改革案の実現を求めていく、ということでしょうか?

その通りです。今の改革案の実現を通じ、質の高い人材を育成していくことの重要性を訴えていきます。



Q 人手不足の解消に向けて、外国人の労働者を受け入れようという動きが出ています。

EPA(経済連携協定)はともかく、介護分野を単純労働ととらえて技能実習制度の対象職種に加えることは、絶対に反対です。基本的な考え方は、要望書としてまとめて公表しました。政府の関係者や与野党の国会議員など、様々な人に働きかけていくつもりです。

反対する理由は、サービスの質の低下につながったり、日本人の処遇が上がりにくくなったりする懸念があることです。サービスの質の面でいうと、日本語の能力が低く、コミュニケーションがうまくとれない外国人が特に心配です。利用者のなかには、言語障害のある方や認知症の方など、うまく意思を伝えられない方が少なくありません。現場では、ちょっとした一言や些細な変化で気持ちを汲み取るような、繊細な能力が求められます。文化や風習の異なる外国人で、しかも日本語スキルの低い人で本当に大丈夫でしょうか。

また、外国人が大勢入ってくることにより、一般に「介護は単純労働で誰にでもできる」と認識されてしまえば、介護職員に対するイメージが悪くなります。そうなれば社会的な評価が下がり、処遇の改善も難しくなります。



Q しかし、人手不足の解消は簡単ではありません。

介護福祉士の資格を持っている人のうち、実際に現場で働いている人は5割ほどです。アンケート調査では、「条件が合えば現場に戻りたい」と考えている人がいることもわかっています。条件というのは、賃金や労働環境のことです。

結局、介護職員の処遇に大きな問題があるのです。外国人を受け入れる仕組みをつくる予算があるのなら、まずは日本人の処遇改善に注入すべきではないでしょうか。そうした努力をしないで、安易な形で外国人を受け入れることは、絶対に認められません。


Q 介護職員の処遇は、どんな手法で改善すればいいのでしょうか?

専門性の高い介護福祉士が高い報酬を得られるなど、メリハリをつけた仕組みにしてほしいと考えています。介護現場には、簡単な研修を受けただけの職員もいますが、そうした人も報酬があまり変わらないのはおかしい。国家資格を持っている人を評価するなど、キャリアに応じて高い報酬を受けられるようにすべきです。



Q 来年度の介護報酬改定では、既存の「処遇改善加算」の扱いが焦点になりそうです。

処遇改善加算は、介護職員に一時金などの形で還元されるケースが多く、必ずしも恒久的な処遇の改善に繋がっていないという課題があります。ただし、我々は加算の仕組みを維持して欲しいと考えています。課題はありますが、加算がなくなれば今よりもさらに悪くなる懸念が拭えません。加算を残しつつ、メリハリのきいた処遇の改善を進めるよう求めていきます。

■2014.4.19  損賠訴訟:介護で死亡、法人に1565万円賠償命令 地裁「窒息事故、予見できた」 /愛媛
訪問介護を受けていた松山市の女性(87)が揚げ物をのどに詰まらせ死亡したのは、調理したヘルパーが食べやすい大きさに切らなかったためなどとして、遺族がヘルパーを派遣した同市の老人保健施設を運営する社会福祉法人(東京)に慰謝料など約2335万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、松山地裁であった。西村欣也裁判官は調理方法の過失を認定し、社会福祉法人側に約1565万円の支払いを命じた。

判決によると、女性は2009年12月26日、自宅でヘルパーが昼食に出したうどんを食べた際に具材の揚げ物(直径6〜7センチ)をのどに詰まらせ、窒息による蘇生後脳症、多臓器不全で翌日死亡した。

西村裁判官は「被告は窒息事故の発生を予見できた」と指摘。ヘルパーが揚げ物を切らずに原型で提供した行為について「注意義務を怠った」と判断した。

■2014.4.19  性的虐待:発覚も、1カ月男性勤務 大阪・児童福祉施設
大阪府は18日、府内の民間児童福祉施設で入所男児に性的虐待を繰り返した20歳代の男性指導員を、施設が発覚後1カ月近く勤務させていたと発表した。府は施設を文書で指導し、施設長は15日付で辞任した。

発表によると、指導員は2012年秋から約1年間で計十数回、寝ている10代男児の下半身を触ったという。13年11月上旬に触った際、目を覚ましていた男児が指導員を問い詰めて発覚した。

指導員は翌朝、施設長に虐待を申告した。だが施設長は「勤務ローテーションは早急に変えられない」として、11月末に指導員を懲戒解雇するまで、宿直を含め勤務を続けさせた。さらに児童福祉法で義務づけられた府への通報も、12月初旬までしなかった。

府の調査に対し指導員は「子どもを見て思わず触ってしまった」、施設長は「(通報すると)児童に2次被害を生むと思った」と話しているという。

■2014.4.19  認知症男性:仮名2年、身元不明のまま 大阪の路上で保護、届けなく
2年前に大阪市の路上で警察に保護されたが、名前や住所など身元が全く不明のまま、仮の名前が付けられ介護施設で暮らす重い認知症の男性がいることが分かった。男性は自分の名前が分からず、該当する行方不明者届もない。専門家は「高齢化が進み、今後このような人が増えていくのでは」と危惧している。

大阪市は男性に対し、保護された場所にちなんだ名字に「太郎」という仮の氏名を付けた。福祉の保護を受ける手続きなどで必要なためだ。容姿などから70歳と推定して仮の生年月日も決めた。現在推定72歳になったが、入所する同市内の介護施設の職員には「実際はもう少し若いかもしれない」との見方もある。

記者は4月上旬、介護施設を訪ねた。「お元気ですか」と声をかけると、太郎さんは「ああ」とうなずき笑顔を見せた。判断能力が不十分な人を守る成年後見人に、市長申し立てで選任された山内鉄夫司法書士らによると、太郎さんの要介護度は3。言葉を発するのが難しくトイレも介助が必要だが、足腰は丈夫でひとりで歩くことができる。

2012年3月11日午前8時前、日曜の朝だった。同市西部にある住宅街の歩道でしゃがんでいたところを警察に保護された。水色のダウンジャケットにグレーのスエットズボン、黒の運動靴。身なりに汚れはなかった。お金や所持品はなく、名前を尋ねても「分からん」と答えた。

保護された際にはズボンの下に介護用の紙パンツをはいており、保護前に介護を受けていた可能性がある。介護施設の職員も「介護なしで生活ができるレベルではなかった」と話す。

その日のうちに大阪市による緊急一時保護の手続きが取られ、太郎さんは市内の保護施設に入所した。規定の保護期間(14日間)を過ぎても身元が分からず、同年3月末から現在の介護施設に入った。

介護施設は通常、本人の経歴や病歴、家族構成などを踏まえてケアにあたる。例えば夕方に歩き回る人がいれば「子供の夕食を作るため家に帰ろうとしているのか」と理由を推測し、不安を取り除くよう努める。だが、太郎さんには保護前の情報がない。山内さんによると、30ほどの施設が入所を断り、受け入れ先は容易に見つからなかった。

太郎さんは特殊なケースなのか。認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子研究部長は「超高齢社会では人ごとでなく、同様のケースが身近で増えることは確実だ。これまでも太郎さんのような存在と対面しているが、実態把握も対応も進んでいない。一刻も早く本名を取り戻し家に戻れるように、国や自治体が本格的に対策に乗り出すべき時期だ」と話している。

http://social-welfare.rgr.jp/img/g55555cx819i.PNG

■2014.4.19  重症心身障害者の自立支援施設が5月に開所
重度の肢体不自由と知的障害が重複した重症心身障害者らのために、医療サービスを提供しながら自立を支援する医療型障害児入所施設「ライフゆう」が5月から、横須賀市湘南国際村で事業を始める。医療と福祉機能が一体となった入所施設は市内で初めて。

市は2011年度、施設の建設計画に当たり、設置・運営者を公募。同市芦名で生活介護事業を続けてきた社会福祉法人「みなと舎」が選ばれた。昨年2月に着工し、今年3月に完成。5月1日からサービスを始める。

背景には、子どもを介護する保護者の高齢化や、人工呼吸器など呼吸管理を必要とする利用者の増加といった問題がある。

市こども育成部によると、市内にはこれまで重症心身障害者が寝食できる入所施設がなく、通所を基本にしてきた。入所施設は県内に9カ所あるが、「施設が少なく入所できずに他県に預けざるを得ない人もいた。保護者からの要望は多かった」(同部)という。

施設は地下1階、地上3階建て(延べ床面積4400平方メートル)。居室のほかに診療室も完備し、長期入所64人、短期入所4人に対応。医師や看護師、リハビリスタッフら総勢約100人体制になる見込み。5月の開所後はデイサービスや生活介護、相談支援なども予定している。

建設総工費約15億520万円のうち、国と市が計約5億1700万円の補助金を出した。今月19日に開所のセレモニーが同施設で行われ、20日には利用希望者らへの内覧会もある。

■2014.4.19  ダウン症児の出生、過去15年で倍増 全国調査から推計
ダウン症で生まれる赤ちゃんの数が過去15年間で約2倍に増えているとする推計が、日本産婦人科医会の全国調査の分析をもとにまとまった。高齢妊娠の増加に伴い、ダウン症の子を妊娠する人が増えていることが背景にあるという。同医会が全国約330病院を対象に毎年実施している調査結果を、横浜市立大学国際先天異常モニタリングセンターが分析した。

ダウン症で生まれた赤ちゃんの報告数は1995年が1万人あたり6・3人で、2011年は13・6人と倍増していた。

また、ダウン症を理由に中絶をしたとみられる数も推計。95〜99年の中絶数を基準とすると、05〜09年は1・9倍に増えていたという。妊娠を継続していれば生まれていたとされるダウン症の赤ちゃんの数の推計では、11年は1万人あたり21・8人だった。調査では実数を出していないが、11年の人口動態統計の出生数に当てはめると、ダウン症の赤ちゃんは約2300人生まれるはずだったが、実際に生まれたのは約1500人となる。差の約800人の一部が中絶されたとみられる。

この15年間で超音波検査による出生前診断などが広がっている。昨年4月には、妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新型出生前診断が導入された。半年間の集計では、異常が確定した56人のうち9割以上が中絶を選んでいた。センター長の平原史樹教授は「今後、中絶数がどう変化するか、注意深く見守っていく必要がある」と話す。結果は19日、東京都内で開かれる日本産科婦人科学会学術集会で発表される。

■2014.4.20  ふんわりシフォンが人気 一関・川崎の福祉事業所
一関市川崎町の障害福祉サービス事業所ワークジョイかわさきの利用者が作るシフォンケーキが、地域の人気を集めている。19日は同事業所で「ケーキまつり」が開かれ、丁寧な仕上がりで柔らかな食感の看板商品を求め、大勢の市民が来場した。竹炭や同市特産のカボチャ「南部一郎」など地元食材も積極的に活用し、創意工夫でファンを広げている。

同事業所は同市藤沢町の社会福祉法人ふじの実会(畠山博理事長)が2009年に開所。就労支援として、外部講師の指導を受けながらクッキーやパンなどを加工してきた。主力商品が10種類ほどあるシフォンケーキで、利用者4人が毎日製造する。

現在は地元の桑茶、ナツハゼなども食材にし、南部一郎は今夏、栽培にも取り組む。一関高専の協力を得て微細にした竹炭を使用するなど新たな連携も生まれており、畠山理事長は「竹炭には整腸作用もある。将来性が見込める機能性食品の観点からも、健康に良い地域の食材を取り入れたい」と展望を描く。

■2014.4.21  児童福祉施設職員が少年虐待、1か月報告せず
大阪府は18日、府内の児童福祉施設で、10歳代の少年が20歳代の男性職員に性的虐待を十数回受けながら、被害を把握した男性施設長が府に約1か月、報告していなかったと発表した。

府は、虐待の通告を義務付けた児童福祉法に反するとして施設を改善指導し、施設長は引責辞任した。

府によると、貧困や虐待などのため家庭で暮らせない子供たちが暮らす施設。職員は2012年〜13年に寝ていた少年の下半身を触っていたという。13年11月に少年が気づいて被害が発覚したが、施設長は事実を把握した後も1か月近く職員を勤務させ、府に虐待の事実を通告しなかった。

施設長は12月に職員を懲戒解雇とした後、府に通告。約1か月間、府に通告しなかった理由について、「周囲に知られたくなかった」と話しているという。

■2014.4.22  認知症:緊急一時保護546人 身元不明、高齢者ら 5人が「仮名」
認知症などの疑いで警察に保護された高齢者らのうち、名前が分からないために自治体が介護施設に暫定入所させるなど「緊急一時保護」の対象となった人が、2008年度からの約6年間に少なくとも546人いたことが毎日新聞の調査で分かった。本人が氏名や住所を話せず、引き取る人も見つからないために取られた措置で、年間の対象人数はこの間にほぼ倍増していた。大半はその後、身元が判明するが、現在も身元不明のまま仮の名前が付けられた人が少なくとも5人いることも判明した。

毎日新聞は2〜3月、全国の政令市と県庁所在地の市、東京23区の計74自治体を対象に緊急一時保護の実態を尋ねた。

現在も身元不明のままの人は、大阪市で12年3月に保護されて「太郎」という仮名が付けられ毎日新聞が情報提供を呼び掛けている男性のほか、目黒区で保護された男性、葛飾区の女性、横浜市の女性、松山市の男性。認知症や記憶障害などの疑いがあり、緊急一時保護の期間(自治体ごとに異なりおおむね1〜2週間)を過ぎても身元が分からず現在は生活保護などを受けて施設や病院で生活している。

緊急一時保護が実施されたのは32自治体の計546人。認知症以外の病気や詐病と判明した人なども一部含まれる一方、豊島区、川崎市、名古屋市など統計的に実施件数を把握していない自治体も多いため、実際の人数はさらに膨らむ可能性が高い。

内訳は、23区中14区の計315人と、12政令市と政令市ではない6県庁所在市の計231人。23区は新宿126人(一部に高齢者虐待対応も含む)▽北54人▽葛飾28人▽荒川24人の順で、新宿はターミナル駅の新宿駅近くの交番で保護される人が多い。市は大阪71人▽神戸49人▽横浜46人▽福岡20人など大都市に集中していた。

年度別にみると、08年度は65人で、以後は09年度76人、10年度87人、11年度85人、12年度111人。13年度(14年2月までの集計)は122人に増加した。

 ◇引き取り拒否も

道に迷った高齢者を家族が引き取りに来るようなケースは大半が警察の保護段階で解決しており、緊急一時保護に至るのは、氏名が言えないほど症状が重く身近に家族がいないなどさまざまな事情が重なった場合だ。ある自治体の担当者は「身元判明後は親族らに引き継ぎ、その後の生活は把握できていない。在宅生活を続けることが難しく施設に入る人が多いのではないか。家族や元々いた施設に引き取りを拒否されたこともある」と話している。


 ◇緊急一時保護

道に迷った高齢者などを見つけた警察は法令上、原則24時間を超えて保護できず、介護の対応もできない。それを超える場合は、自治体が本人の健康と安全を守るため施設に預けるなどの対応を取っている。「徘徊(はいかい)高齢者緊急一時保護」などと呼ばれるが、法律に明確な定めはなく、各自治体がそれぞれの手法で対応している。事前に提携した介護施設に最大1〜2週間の預かりを頼むケースが多く、病院や一時宿泊所を使う場合もある。


 ◇緊急一時保護され現在も身元不明でいる仮名の人

 保護年月 保護場所 性別

11年9月  横浜市 女性

12年3月  大阪市 男性

  同6月  目黒区 男性

 同10月  葛飾区 女性

13年6月  松山市 男性

 (記憶障害などの人も含む)

■2014.4.22  福祉法人前理事長 保育運営費490万円不正受給
宮崎市は21日、同市田野町の「ぎんなん保育園」を運営する社会福祉法人ぎんなん福祉会の前理事長の男性(47)が2009〜12年度に職員数を水増しして報告し、国と市からの保育運営費約490万円を不正受給していたと発表した。法人は市に全額を返還しており、市は刑事告訴を見送る方針。

市福祉総務課によると、前理事長は09年度から4年間、学級を担当しない主任の保育士を配置した場合に加算される運営費について、過去に勤務していた保育士3人の名義を使って不正に請求し、約490万円を受給した。

また、前理事長は06〜13年度の8年間、法人の約1160万円を私的に流用していた。この保育士3人への給与支払いを装うなどして、車のローンや家賃の支払いなどに充てたという。

昨年10月の市の定期指導監査をきっかけに判明した。前理事長は法人に、流用した全額を返済。前理事長を含む全役員6人が3月に辞職したという。

■2014.4.23  <不正請求>桑名市の居宅を指定の一部効力停止――三重県
三重県は、4月12日、介護報酬の不正請求で、桑名市内の居宅介護支援事業所を3か月間指定の一部の効力を停止する処分にしたと発表した。

2012年9月の監査をきっかけに、同事業所の介護支援専門員3名のうち2名に勤務実態のない期間があることが判明したことが理由。不正に請求・受領した介護報酬は296万6,023円。

処分の発行日は5月1日で、同事業所はこの日から3か月間新規利用者の受け入れができなくなる。
県は、処分期間が満了する7月31日までに、事業所の運営体制や介護報酬の請求事務が適正に実施されているかを確認する。

■事業者の名称:株式会社ウエルケア(代表取締役 星野仁博)
■事業者の所在地:桑名市大仲新田252-1
■事業所の名称:プラスハート居宅介護支援センター
■事業所の所在地:桑名市大仲新田252-1
■サービス種別:居宅介護支援

■処分の理由
・不正請求
居宅介護支援費は、介護支援専門員1人当たりの取扱件数が一定数を超えた場合、超過した分の介護報酬額が逓減する仕組みとなっている。しかし、同事業者は、2011年11月から2012年7月までの間、介護支援専門員の配置数や取扱件数に基づき、その一部を減額して介護報酬を請求すべきところ、全件について満額の介護報酬を得ていた。

・虚偽報告及び虚偽証言
監査にて介護支援専門員の勤務状況を確認したところ、実際には勤務実態のなかった者について勤務実態があった旨の虚偽の答弁及び帳簿書類(タイムカード、賃金台帳、賃金袋、勤務実績一覧表など)の提出を行った。

■2014.4.23  自殺はパワハラ原因と賠償命じる 備前の社会福祉法人に岡山地裁
備前市の高齢者施設に勤めていた介護員男性=当時(42)=がうつ病になり自殺したのはパワーハラスメントが原因で業務上の死亡に当たるとして、遺族=岡山県和気郡=が、施設を運営する社会福祉法人・備前市社会福祉事業団に5千万円の損害賠償、遺族補償年金などを不支給とした和気労基署の決定取り消しを国に求めた訴訟で、岡山地裁は23日、請求通りの支払いと取り消しを命じた。

判決理由で古田孝夫裁判長は「男性は同僚の厳しい指導や叱責(しっせき)の繰り返しで精神的に落ち込み、2007年4月ごろ発病した」とし、「業務以外に発病をうかがわせる事情はなく、病気により自殺したと推定できる」と因果関係を認定。「施設管理者は配置転換などの対策を取らなかった」として、安全配慮義務違反を認めた。

労基署の決定については「業務上の死亡に当たらないとした処分は違法」とした。

判決では、男性は03年から利用者の送迎や介助などを担当し、07年9月に自殺。遺族は労災保険法に基づく遺族補償年金や葬祭料などの支給を求めたが、和気労基署は10年8月、不支給とした。

備前市社会福祉事業団、厚生労働省、和気労基署は「判決内容を確認し、関係機関と協議の上、今後の対応を検討したい」とコメントした。

■2014.4.23  岡山地裁:介護員自殺はパワハラ原因と認定、賠償命令
デイサービスセンター「大ケ池荘」(岡山県備前市)の男性介護員(当時42歳)が2007年に自殺したのは上司のパワハラが原因だとして、男性の妻ら遺族3人が、大ケ池荘を管理する社会福祉法人「備前市社会福祉事業団」(同市)に計5000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、岡山地裁であった。古田孝夫裁判長は、パワハラと自殺の因果関係を認め、原告の請求通り計5000万円の支払いを命じた。

判決などによると、04年5月ごろから、上司の女性生活相談員が、男性の仕事のミスについて職員会議などで「何でできないの」などと厳しく叱責。男性は07年9月3日夜、妻に「(上司に)『人間失格』とか言われ、きつくこたえました。ダメな亭主でゴメン」などとメールを送り、その直後、岡山県内の河川敷でガソリンをかぶり焼身自殺した。

古田裁判長は「上司は、男性の判断・作業能力が低下している原因を十分見極めることなく、叱責を繰り返した。心理的負荷は過重。自殺行為を思いとどまる精神的抑制力が著しく阻害されていた」と指摘した。

男性の自殺を巡っては、和気労働基準監督署(岡山県)が10年8月に遺族補償年金などの不支給を決定し、遺族が国に処分取り消しを求め岡山地裁に提訴していた。この日の判決で、古田裁判長は「(業務と自殺の)因果関係を否定した処分は違法」として、処分取り消しも命じた。

和気労基署は「関係機関と協議したうえで控訴するかどうか判断したい」とし、備前市社会福祉事業団は「判決内容を十分検討し、今後の対応を決めたい」としている。

■2014.4.24  障害児の学童保育所「放課後等デイサービス」 株式会社も参入、選択肢拡大
障害のある子供の放課後は、通える施設が少なかったり、普通学級の子供が通う学童保育所になじめなかったりして、過ごし方に悩む場合が少なくない。しかし、一昨年の児童福祉法改正で、障害のある就学児童・生徒を対象にした「放課後等デイサービス」が開始。民間企業が参入し、さまざまな特徴のある事業所が増えたことから選択の幅が広がっている。

◆先端技術に触れる

厚生労働省によると、「放課後等デイサービス」は平成24年4月にスタート。従来は障害の種類に分かれ、未就学児と就学児が一緒に通う形態だった。

しかし、法改正で、未就学児のための「児童発達支援」と、小中高校の就学児童・生徒のための「放課後等デイサービス」に分かれ、障害の種別に関係なく通えるようになった。

利用者数は、2年前のサービス開始時に5万1678人だったが、昨年11月には35%増の6万9789人。株式会社など民間事業者の参入が進み、「学習塾型」や「音楽教育」など特色ある事業所も増加している。

昨年11月にオープンした東京都新宿区の「ケアステップ新宿」は、3Dプリンター(コンピューターで作った設計図を基に3次元の物体を作り出す装置)などを使った工作が特徴だ。

一日の流れは、学校が終わった午後3時頃に入室。宿題や自由課題を終えた後、工作などをして過ごし、午後4時半におやつタイム。グループワークなどで午後6時まで過ごす。経営者の田村宏さんは「今後は植物工場も始める予定。最先端の技術を身近に感じてほしい」と話す。

今月オープンした静岡県藤枝市の「クルール」は、体を使った室内遊びを重視した。

親子で遊べる室内「キドキド」を運営する教育玩具輸入業「ボーネルンド」(東京都渋谷区)が協力し、約180平方メートルの室内に、跳びはねながら走ることができる弾力性のあるマット、隠れ家のようなスペースなどを設置。運営するのは、元民主党衆院議員の津川祥吾さん(42)が設立したトレミー。

津川さんは、学生時代の学童保育所でのアルバイト、自身の4人の子育ての中で、「発達の遅れが気になる子」の居場所が少ないと実感。「子供が思いきり体を使って遊べる場所が減っている。集団行動が苦手な子供も楽しく遊べる場所にしたい」

◆学童期から就職支援

障害のある子供たちの学習塾からスタートしたのが、東京都新宿区と大田区、川崎市にある「テラコヤキッズ」。運営するディーアイ(港区)は障害者雇用コンサルティング事業や障害者の就職のための訓練事業を行う会社だ。

障害者の就労が難しい背景には自己肯定感が低かったり、ビジネススキルがなかったりすることもあるため、教育事業に参入。障害者向けのビジネススクールのほか、小学生から高校生に向けた個別指導型の学習塾を手掛ける。一昨年4月からは放課後等デイサービス事業も開始した。

テラコヤキッズでは将来の就職を視野に、障害者雇用に熱心なメーカーや小売業などの見学会も行う。同社は「障害があるから就職できないわけではなく、早い段階で働くイメージを持つことで子供の可能性を最大限広げていきたい」と話している。

【用語解説】放課後等デイサービス

発達障害を含めた障害のある児童・生徒(主に6〜18歳)が生活能力などの向上のため、放課後や長期休暇中に通い、受けるサービス。1カ月に通う日数は保護者などと相談し、区市町村が決める。療育手帳や身体障害者手帳を必ずしも必要としないため、学習障害などの児童も利用しやすい。利用料は、所得によって上限が変わるが、自己負担は原則1割。残りの費用は国が2分の1、都道府県と区市町村が各4分の1を負担する。独自の負担軽減を行う自治体もある。

■2014.4.24  2025年に要介護人口100万人 兵庫県、福祉人材の調査へ
いわゆる団塊の世代が75歳を迎える「2025年問題」に対応するため、兵庫県が5月にプロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、福祉人材の実数調査に乗り出すことが23日、分かった。県によると全国でも珍しい取り組みという。

県はこれまで、国の推計を基におおよその人数を算出してきたが、きめ細やかな対応をするために実態把握が不可欠と判断。併せて障害者支援や保育の人数も調査し、今後の人材確保策に役立てるという。

福祉の現場は「仕事がきつい」「給料が安い」などの理由で慢性的な人材不足が続いている。2012年度の県内の離職率は17%で、全職種より2・2ポイントも高い。こうした状況から、せっかく建設しても介護人材の確保が間に合わず、部分的にしかオープンできない特別養護老人ホームもあるという。

県はこれまでも関係団体と協力し、小中学校の教職員の研修会で福祉職の魅力を話したり、福祉職を対象にした就職フェアを開催したりしてきたが、確保が難しい状況が続いている。

25年には県内の75歳以上人口が現在より30万人増え、約100万人になることが見込まれている。特別養護老人ホームに加え、障害者支援施設や保育所の人材確保も喫緊の課題で、県はPTで取り組むことにした。

PTは健康福祉部内に設置。調査方法を検討し、関係団体の協力を得ながら調査を実施する。秋ごろまでに結果を集約し、それを基に施策の拡充などに取り組むという。

■2014.4.24  消費増税、介護施設を直撃 食費・光熱費…負担重く 鹿児島県内
鹿児島県内で介護保険サービスを提供するグループホームなどの施設が、消費税増税への対応に悩んでいる。介護サービス分は、増税分の補てんとして介護報酬の引き上げはあったが、食費や居住費などはもともと利用者の負担。年金減額と70〜74歳の医療費負担増も始まっており、施設は「簡単には値上げできない」と苦慮している。

2014年度の介護報酬は、全体で0.63%の引き上げ改定だった。消費税増税を踏まえ、介護保険サービスにかかる仕入れ等の負担増を考慮したためだ。一方、利用者側は、1割の自己負担が大半の介護サービスで増えるほか、保険外の食費や光熱費、水道費のアップも懸念される。

認知症の高齢者18人が入所する鹿児島市東俣町のグループホーム「ふるさとの家郡山」は4月から、食費を1日100円増の700円、水道・光熱費も同100円増の200円にした。介護サービス以外で、月計6000円の負担増となる。入所者の家族には、3月までに文書などで同意を得たという。

姶良市のグループホーム「コスモス」は、4月時点では料金を据え置いた。消費増税前後での差額を様子見している状態だ。

4月から、70〜74歳の医療費自己負担は、4月2日以降に70歳になる人から、従来の1割が2割に上がった。国民年金と厚生年金支給も0.7%減額された。「利用者や家族の負担を考えると、簡単に料金は上げられない」と、施設長で県認知症グループホーム連絡協議会の柳川ケイ子会長(69)は頭を抱える。料金を上げるときは、家族会で諮って決めるつもりだ。

特別養護老人ホームや介護老人保健施設は、消費増税により食費や居住費を引き上げた施設は少ないとみられる。これらは介護保険で上限額が定められており、増税後も据え置かれたためだ。上限額を超えた場合、低所得者への補助支給が受けられなくなる。

■2014.4.25  <返還金1,000万円超>不正請求で訪問介護事業所を指定取消――愛知県
愛知県は、4月16日、介護報酬の不正請求などで名古屋市内の介護事業所を指定取り消し処分にすると発表した。

不正に受領した給付費総額は784万6,613円で、県は、40%の加算金を加えた1,042万6,849円の返還を求める。
処分の発効は4月30日。同事業所が指定を受けたのは2013年10月1日で、わずか半年で取り消し処分となる。

■事業者の名称:株式会社なでしこ(代表取締役 清水泰賢)
■事業者の所在地:名古屋市瑞穂区陽明町1-12-1
■事業所の名称:訪問介護事業所なでしこ
■事業所の所在地:清須市桃栄3-194恵風荘6号室
■サービス種別:訪問介護、介護予防訪問介護

■処分の理由
・不正請求
同事業所は、訪問介護計画はサービス提供責任者が作成しなければならないものであることを知りながら、サービス提供責任者が2013年10月26日以降不在となり、訪問介護計画が作成されていないにもかかわらず、2013年10月から2014年1月分までの介護給付費を不正に請求した。
また、介護予防訪問介護計画が作成されていないにもかかわらず、2014年1月分の介護給付費を不正に請求した。

・虚偽報告
2014年2月17日と2月24日に実施した監査にて、介護報酬の不正請求を正当化する目的で、作成日及び利用者への説明・同意日を遡った虚偽の訪問介護計画書を提示し、提出した。
また、利用者への説明者を偽造した虚偽の訪問介護計画書を提示し、提出した。

■2014.4.25  特別支援校生 就職率100%…昨年度
県立盲学校などの特別支援学校を今年3月に卒業した生徒のうち、就職を希望していた75人全員が就職したことが、秋田県教育委員会のまとめで分かった。

決定率100%は、記録のある2002年度以降で初めて。卒業生全体に占める就職者の割合も20%台から38・1%に跳ね上がり、県教委は「職業教育による適性把握が進んだ結果」と手応えを得ている。

県教委特別支援教育課によると、13年度の県内の特別支援学校16校の高等部卒業生は計197人。そのうち38・1%に当たる75人が就職を希望していた。希望者の内訳は、知的障害が68人、視覚障害が5人、聴覚障害が2人。主な就職先は、販売・小売業が18人と最も多く、介護・福祉の10人、清掃の9人と続いた。

同課では05年度まで、3年生の5月に希望調査を行い、それを基に生徒の就職活動を進めていたが、生徒が十分に自分の適性を把握しないまま活動するといった課題があった。そこで、06年度からは5月に加えて10月にも希望調査を実施。さらに、職場実習などを通じて、生徒自身に自分が就職に向いているかどうか検討させるよう促した。

その結果、リーマンショックの影響を受けた08、09年度を除いて、徐々に決定率が上昇。また、「就職を希望していない生徒・保護者にも、職場実習などを通じて適性を把握させ、就職を勧めたことも影響し」、従来、20%台だった卒業生に占める就職者の割合が、13年度は38・1%と大幅に上がった。

決定率の上昇には、景気回復に加え、昨年4月に障害者雇用促進法で義務づけられた法定障害者雇用率が1・8%から2・0%に上がったことも影響しているとみられる。秋田と同じく13年度に100%を達成した岩手県の担当者は「影響はあったと思う」と話す。

もっとも、同課は「法定雇用率に頼るだけでは100%は無理。採用してもらえる人材を育てる必要がある」と強調。14年度も、職業教育の充実や教員の実習などの支援事業に990万円を充て、100%の維持を目指すという。

■2014.4.25  認知症で列車にはねられ死亡、遺族の賠償額半減
愛知県大府市で2007年、認知症の男性(当時91歳)が列車にはねられて死亡した事故で、JR東海が男性の遺族に遅延損害など約720万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が24日、名古屋高裁であった。

長門栄吉裁判長は、男性の妻と長男に全額の賠償を命じた1審・名古屋地裁判決を変更し、妻のみに約360万円の賠償を命じた。

長門裁判長は判決理由で、婚姻関係上の法的義務や、精神保健福祉法で定めていた保護者制度を引用。「同居していた妻は配偶者として男性の保護者の地位にあり、夫が老齢や疾病、精神疾患などで自立生活を送れなくなった場合、生活全般に配慮し、介護、監督する義務を負う」と認定した。

遺族側は、妻自身も事故当時85歳で「要介護1」と認定されていたとし、「過失や賠償責任を問うべきではない」と主張していたが、長門裁判長は「夫婦としての協力扶助義務の履行が法的に期待できない特段の事情はない」と、退けた。

1審判決で監督義務があるとされた長男については、「男性の扶養義務者に過ぎない」とし、「20年以上も男性と別居しており、賠償責任を負わせるような監督者に該当しない」とした。

一方、長門裁判長はJR側の問題にも踏み込み、「駅での利用客に対する監視が十分で、(男性が線路に立ち入ったとみられる)フェンス扉が施錠されていれば、事故を防止できたと推認できる」と指摘。妻らが介護に努めていたことも、ある程度評価し、妻が負うべき賠償責任は損害の5割とした。

■2014.4.26  認知症の行方不明者9607人 24年届け出 社会で支える仕組み重要
警察庁は25日、認知症が原因で行方不明になったとの届け出が平成24年に9607人分あったと明らかにした。231人は24年中に発見できず、25年に入ってから53人見つかったとしている。衆院厚生労働委員会で、民主党の長妻昭氏の質問に答えた。

長妻氏が警察庁から提供された資料によると、受理件数が最も多いのは大阪府警で2076人。兵庫県警(1146人)、愛知県警(735人)と続いた。

24年中に所在が確認できた人は、24年より前に行方不明になっていた人も含めると9478人。帰宅したり、発見されたりしたのは8754人で、死亡者は359人だった。

田村憲久厚生労働相はこの日の記者会見で、徘徊(はいかい)症状がある認知症高齢者が列車にはねられ死亡した事故で、家族の監督責任を認めた名古屋高裁判決について「今回のような事故が起こり得ること自体が大きな課題。どう防ぐかを念頭に置き、政策をつくりたい」と述べた。

認知症患者の遺族に対し、名古屋高裁が24日、鉄道事故の賠償命令を出すなど患者を取り巻く環境は厳しい。

老老介護の厳しさ

「近所に散歩に出ていると思っていた夫が、リュックサックを背負って鉄橋を歩いていたと親戚から聞いた。危ないので一緒に歩くことにしたが、子供時代にいた町まで十数時間歩きっぱなし。足が腫れ、ストレスで目も見えなくなった」

4年前に認知症と診断された70代の夫の介護をする北海道釧路市の70代の女性はそう話す。徘徊など激しく動く高齢者は施設への入所を断られることも多く、夫婦は精神科に入院することに。高齢者の見守りを行う「釧路地区障害老人を支える会(たんぽぽの会)」の岩渕雅子会長は「疲れ切って海岸の崖から心中を考えた妻もいる」と老老介護の現状を明かす。

徘徊阻止は不可能

しかし、こうした認知症患者や介護への理解は十分ではない。24日には名古屋高裁が、徘徊中に電車にはねられた男性の遺族に、賠償支払いを命じる判決を出した。「認知症の人と家族の会」の高見国生代表理事は「鍵を掛けてもうまく外す。ブロック塀を乗り越えて外に出る。認知症の人はまるで忍者。徘徊を完全に防ぐのは不可能だ」と話す。

国立社会保障・人口問題研究所の推計では、平成47年には全世帯の4割超が65歳以上が世帯主の高齢世帯となる。介護訴訟に詳しい浜松医科大の大磯義一郎教授(医療法学)によると、介護中の事故をめぐる民事訴訟はこの10年で倍増したという。大磯氏は「徘徊中の事故に備える保険など、患者や家族を支える社会の仕組みづくりが必要だ」と指摘している。

http://social-welfare.rgr.jp/databox/cccvcaas-2.PNG

■2014.4.26  2県が虐待里親に委託継続 / 登録消さず児童福祉法違反の疑い
何らかの事情で親と暮らせない子どもを養育する里親制度で、群馬県と滋賀県が、子どもを虐待したと判断した養育里親に子どもの委託を続けていたことが26日、分かった。児童福祉法は都道府県などに、虐待した養育里親の登録を取り消すよう定めており、同法違反の疑いがある。

厚生労働省は里親委託を進めているが、一部で制度のずさんな運用が明らかになったことから「経緯を調べたい」としている。

厚労省の発表を基に共同通信が調べた結果、2009〜12年度に里親による虐待は少なくとも13道県市で19件あったことが判明。うち委託が続けられていたのは群馬、滋賀両県の各1世帯だった。2県以外は登録抹消などの措置を取っていた。

滋賀県は09年度に里親が男児を虐待したと判断したが、そのまま男児の養育を続けさせている。群馬県では11年度、里親が子どもをたたくなどし、県が虐待と判断。この子どもの委託を解除し、別の子どもを委託した。ともに子どもにけがはなく刑事事件にならなかった。

この2世帯は里親名簿に登録されたまま。滋賀県は虐待が判明した別の2世帯の登録も続けているが、委託継続の有無は公表していない。

担当者は「ひどい虐待ではなく、児童相談所から指導されたり、研修に参加したりして里親に改善が見られた」(群馬県)、「居場所を変えるのは子どもにとってよくないと判断した」(滋賀県)などと、委託を続けた理由を説明している。

和泉短大の桜井奈津子教授(児童福祉学)は「1、2回の暴行なら仕方がないと判断したのであれば言語道断で、虐待する側と同じ論理だ。絶対に起きてはならないという考えに立たなければ、虐待は撲滅できない」と指摘する。

児童福祉法の改正で、里親や施設職員らによる虐待は、本人や周辺からの通告を受けて都道府県などが調査し、公表するよう09年度から義務付けられた。

■2014.4.27  くらしをひらく:低い賃金、介護疲弊
過酷さの割に賃金が低いと指摘される介護職。政府も手は打ってきたものの、依然、他業種との格差は埋まらない。人材確保には、賃金アップか外国人の活用か。ここへきて国の姿勢も揺れている。

◇相次ぐ離職「仕事夢ない」

常夜灯がぼんやり照らす廊下を、おむつやタオル、ごみ箱を積んだ台車が行き来する。11日深夜。東京都葛飾区の特別養護老人ホーム(特養)「葛飾やすらぎの郷」に勤めて3年目、生活援助員の宮崎梓さん(22)の夜は長い。

1フロアには約40人が入居する。大半は80〜90歳代で7割は認知症だ。同僚と2人、一晩で4回は巡回し、おむつを替え、トイレを介助し、体位を変える。消灯後も徘徊(はいかい)する人はいるし、繰り返し呼び出しボタンを押す人もいる。

ひと息つけるのは午後11時の食事と2時間の仮眠の間だけ。「朝方トイレに行きたくなりそう。でも、呼ばないようにする」。そう気遣う女性入居者に、宮崎さんは「気にしなくていいんですよ」とほほ笑んだ。

月4〜5回の夜勤日は、午後5時前から翌朝10時前までの勤務。しかし、この日は引き継ぎ書類の記入やシーツの交換に追われ、朝食にありつけたのは昼近くになっていた。

◇平均を9万円下回る

正規職で介護福祉士の資格を持つ宮崎さんの月給は、手取りで約18万円。15万円を切るという同業の友人よりは「恵まれている」と感じる。とはいえ、介護労働者の賃金は他業種に比べて低い。全国労働組合総連合のアンケート調査(昨年10月)では、手当を除く正規職の平均賃金は20万7795円。厚生労働省調査の全産業平均(29万5700円)を約9万円下回る。

長らく介護は主婦による家事労働とみなされてきた。職業としての確立が遅れ、低賃金から抜け出せない。介護労働安定センターによると、介護職の離職率は17・0%(2011〜12年)で、全産業平均(14・8%)を上回る。求職者1人に働き口がいくつあるかを示す2月の有効求人倍率は2・19倍。全産業平均(1・05倍)の2倍だ。

「家族を養えないからな」。首都圏の介護施設に勤める30代の男性介護福祉士は、結婚を機にそう言って「寿退社」していく仲間を大勢見送ってきた。この道7年目。専門学校の同期80人のうち、続けているのは十数人。自身の手取りは初任給から2万円ほど上がり、ようやく月約23万円となった。が、同業の妻は初めて産んだ子の育休中。共働きでなければ生活は成り立たず、保育所を確保できるかが不安でならない。

「仕事に夢を見られない。このままなら、なり手はどんどんいなくなる」

日本海に臨む金沢市郊外の特養「やすらぎホーム」。入居する母(83)の昼食介助に隣の石川県野々市市から訪れる主婦(64)は通ううちに介護職員の疲弊を知り、入居者の家族と職員の処遇改善を求める署名に取り組むようになった。

母親が入居したのは06年10月。脳梗塞(こうそく)で半身不随となり、食事、排せつなどすべてに介護が必要だ。感情が高ぶるとパジャマを歯で切り裂く。そんな母をてきぱき世話してくれる職員たちも、入居当初からの顔なじみは3人に1人ほど。慣れた頃にはいなくなるからだ。この主婦は訴える。「親の面倒を見るかのようにしてくれた職員が、どんどん辞めている。専門職にふさわしい給料が必要です」

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■2014.4.28  松江城山ウオーキング:障害者と警察学校生が交流 /島根
松江市殿町の松江城山公園で27日、障害のある人と警察学校の学生が交流する「松江城山ウオーキング」があった。

障害者への理解を深めてもらおうと、知的障害者やその親たちで作る「松江市手をつなぐ育成会」が企画。障害のある45人と警察学校の学生66人が参加した。

ウオーキングでは、警察学校の学生が障害のある人に語りかけ、互いに笑顔で園内を散策した。松江市の黒田淳子さん(37)は「かっこいい学生さんに囲まれて楽しかった」。外谷睦巡査(28)は「明るい方ばかりで会話がはずんだ。いろいろな立場の人との交流を通じ、頼れる警察官になりたい」と話していた。

■2014.4.28  清掃事業で随意契約20年以上 兵庫県西宮市「不適切だった」と見直す方針 一般社団法人西宮高齢者事業団
兵庫県西宮市が公園などの清掃委託事業の一部について20年以上、市内の3団体と随意契約を続けていたことが28日、分かった。障害者や高齢者の雇用確保を理由に、平成25年度は51事業中40事業を占めていた。市は「時代に合わず不適切な面があった」として、契約方法を再検討する方針。

西宮市によると、随意契約は失業対策事業が終了した4年に始まり、25年度の契約額は約4億4800万円。契約していたのは高齢者や障害者の雇用確保を目指す「西宮高齢者事業団」など3団体で、少なくとも元幹部を含め、市のOB5人が再就職している。市は20年度から新規参入を促すため、一般入札に切り替える方針を示したが、3団体が経営難を理由に反発。規模を縮小して随意契約を続けていた。

■2014.4.29  知的障害者に虐待 県、改善勧告など検討 社会福祉法人あすなろ会
鳥取市の社会福祉法人あすなろ会(相沢英之理事長)が運営する同市白兎の障害者支援施設「松の聖母学園」で知的障害のある複数の利用者に対し、頭を湯船に押さえ付けたり、けがをさせるなどの虐待があったことが28日、鳥取県の発表で分かった。県は改善勧告や施設の指定取り消しなどの対応を検討する。

県によると、昨年からことしにかけて50代の男性生活支援員が利用者に、食事を食べないと目の前でバケツに捨てる▽大きな外傷があっても受診させない▽頭を押さえて湯船に顔を付ける−などの虐待をした。男性は七つある入所者のグループ(ユニット)のうち、20〜70代の30人のユニットを管理していた。

また50代の女性生活支援員が昨年9月、手を出してきた利用者を払いのけようとバインダーで頭部を叩き、4針を縫う裂傷を負わせた。

記者会見した同法人の木村宏副理事長は「大変申し訳ない。調査委を設置し、関係者の処分を検討する」と陳謝。県福祉保健部の日野力参事監は「ユニット内の虐待が常態化し、運営上の問題も大きい」と指摘している。

3月下旬、県に内部告発文書が届き発覚。県と市は聞き取り調査と、障害者総合支援法に基づく立ち入り検査で7件の虐待を確認した。同施設には170人が入所。障害者支援施設としての規模は県内最大という。

■2014.4.29  虐待:あすなろ会、障がい者施設で 施設長把握も届け出ず /鳥取
県は28日、社会福祉法人「あすなろ会」(相沢英之理事長)が運営する障がい者支援施設「松の聖母学園」(鳥取市白兎、影井愛巳施設長)の職員2人が、2013〜14年、知的障害のある複数の入所者に虐待していたと発表した。うち1件は発生直後に影井施設長が把握しながら県に届け出ていなかった。県は近日中に、園や法人を処分する。

県が3月26日に内部告発を受け今月3日から調査。職員らから聞き取りするなどし、20〜70代の男性30人が入所する特定のグループ内で虐待を把握した。グループを統括する50代の管理職男性が30代入所者の顔を湯船に無理やりつけるなど5人に虐待していた他、複数の入所者を居室に閉じ込める虐待もあったという。

他に昨年9月、同じグループの50代女性職員が、近づいてきた30代入所者を振り払おうとした際、手に持っていたバインダーで頭を殴って切り傷を負わせた。県の調べでは、このグループで管理職男性の下、虐待が常態化していた恐れがあるという。

28日、同法人は県庁で記者会見を開いて謝罪した。法人も独自調査で8件の虐待を把握。県把握分と重なる4件は両職員とも虐待を認めているが、残り4件は加害者とされる管理職男性が否定しているという。法人は5月中に調査委員会を設け、詳しく調べる。

影井施設長も会見に出席し、バインダーで切り傷を負わせた件は昨年9月中に把握して虐待と認識したが、「報告が遅くなったことを指摘されるのが怖くなった」と弁明した。

■2014.4.29  介護報酬を引き上げへ 15年度、人手不足解消狙う
政府は2015年度に介護サービスの報酬を引き上げる検討に入った。介護福祉士の待遇を改善し、人手不足を解消する狙い。ただ、介護の費用は年々、膨張が続く。必要な人に必要な介護を行き届かせるには、給付の無駄の排除や事業者のサービス向上も課題になる。

厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会の専門分科会で28日、報酬改定の議論を始めた。

介護報酬は介護サービスの公定価格で、事業者向けに国が定めている。原則3年に1度、物価変動や政策の必要性から見直してきており、来年度が改定年にあたる。今年末までに上げ幅を決め、15年4月からの適用を目指す。

09年度の改定では、介護職員の処遇改善などを理由に初めて報酬全体を引き上げ、以後増額の流れが続いている。今回の焦点は、人手不足が深刻な介護の現場で、職員の待遇をどう良くするか。28日の会合でも改善を求める声が相次いだ。

介護業界は離職率が10%台後半と高く、人手不足が続く。いわゆる「団塊の世代」が75歳以上になる25年度までに、職員数を今の約150万人から約250万人に100万人増やす必要があるとの試算もある。賃金面など「魅力ある職場」に環境を変えなければ、この状況に対応できない。

具体的には、賃上げに取り組んだ事業者への報酬を増やす「介護職員処遇改善加算」の拡充策が浮上している。厚労省によれば、12年度は職員の平均月収が約6千円、13年度は約7千円増えた。厚労省は加算措置を拡大し、さらなる賃上げを促す考え。

仮に介護報酬を1%引き上げれば、14年度予算ベースで介護サービスの費用は計930億円増える。15年度時点では、高齢化の進展による自然増も加わって、額はさらに大きくなる見込みだ。

財源は消費増税分を想定しているが、将来、保険料や自己負担の引き上げにつながる可能性もある。このため、28日の分科会では「報酬を将来的に上げ続けるのは難しい」(委員の堀田聡子・労働政策研究・研修機構研究員)との指摘が出た。

今回、介護報酬を上げるもう一つの理由は消費増税に対応するため。4月増税にあわせ、事業者の仕入れコストが増える分を利用者から回収できるよう政府は介護報酬を0.63%引き上げた。

さらに、28日の分科会は、15年10月に消費税が10%に引き上げられた場合、15年度改定で対応することを了承した。

■2014.4.30  神戸のNPO法人が340万円不正受給 就労支援の指定取り消し
障害者の就労支援に対して国などから支払われる訓練等給付費約340万円を不正受給したとして、神戸市は30日、同市長田区のNPO法人「ウィズ」(金井邦浩理事長)が区内で運営する障害福祉サービス事業所「Ohana Hale Kobe(オハナ ハレ コウベ)」の指定を取り消した。同法人は今後5年間、就労支援サービスを提供できなくなる。

市障害者支援課によると、同事業所は昨年8〜12月、利用実績がない4人が働いているように装ったり、利用者5人の労働日数を水増ししたりして、訓練等給付費の架空請求を繰り返していた。外部からの通報を受け、市が調査していた。

市の聴取に、金井理事長は「認識が甘かった。個人的な流用はしていない」と説明し、全額返還する意思を示しているという。市は刑事告訴も視野に長田署と相談している。

同事業所は2011年10月に指定を受け、菓子類のシール貼りなどの仕事を障害者に提供していた。今年3月時点で33人が利用しており、市は利用者が別の施設で働けるよう同事業所に対応を指導したという。

 

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