残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

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 2014. 7. 1  社会福祉法人の内部留保を『活用』させても何も改善しないですよね? - 岡崎よしひろ
 2014. 7. 1 広島・介護施設入所者殺害:取り調べ映像再生 地裁公判 /広島
 2014. 7. 1 「あすなろ会」障がい者虐待:鳥取の支援施設、県に改善報告書 /鳥取
 2014. 7. 1 障害者支援補助金不正受給:地裁、有罪判決 /広島
 2014. 7. 1 高齢者向けマンション提訴…虐待、預金使われた
 2014. 7. 1 障害者虐待、解雇も検討 鳥取の法人が県に報告
 2014. 7. 1 自らの票の取りまとめを100万円で依頼 前平川市長を再逮捕 青森県警
 2014. 7. 1 障害者雇用で不当な賃金格差は勧告対象 厚労省研究会
 2014. 7. 1 シニアに必要な栄養成分は、たんぱく質!?夏バテ解消にも効果的な“肉”
 2014. 7. 1 糸賀一雄が取り持つ縁 45年ぶりに交流再開へ
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 2014. 7. 3 介護費不正請求:県、唐津の介護事業者を指定取り消し処分 /佐賀
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 2014. 7. 4 廃油バイオ燃料 姫路の福祉施設提供
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 2014. 7. 4 雨の日の介護も安心 自動雨よけテラス
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 2014. 7. 4 半数の介護施設が入居時に認知症を発症している人は「5割以上」と回答
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 2014. 7. 4 未届けホーム、一年で倍以上に急増- 厚労省調査
 2014. 7. 4 福島で不足する介護職員 厚生労働省
 2014. 7. 4 介護報酬を不正請求 広島・福山市内の介護施設が1億4千万円返還
 2014. 7. 4 介護従事者アンケート調査の集計結果を発表 横須賀市
 2014. 7. 4 施設における認知症ケアの実態調査結果
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 2014. 7. 5 障害者芸術:権利守る 作家と施設のトラブル回避へ アイサが著作権の研修会 近江八幡 /滋賀
 2014. 7. 8 広島・介護施設入所者殺害:放火殺人、懲役20年を求刑 「短絡的で残虐」 地裁論告
 2014. 7. 8 不正請求:障害福祉事業所、指定を取り消し 浜松市 /静岡
 2014. 7. 8 <高齢期の備えを調査>2014年版高齢社会白書を公表――内閣府
 2014. 7. 9 牛乳配達で障害者に活躍の場 盛岡・福祉バンク
 2014. 7. 9 介護業界〜人出不足〜景気回復、離職に拍車
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 2014. 7. 9 不正受給:宇佐市の介護支援「双葉」、県指定取り消し /大分
 2014. 7. 9 「大阪あんしん住まいるサポーター」が商品化
 2014. 7. 9 「福祉コンビニ」9月開店 大津市、障害者雇用促進で
 2014. 7. 9 毎月100万円の赤字!?障がい者雇用における現状と今後
 2014. 7. 9 <悪徳商法>健康食品送りつけ商法で高齢者のトラブル5年間で1.6倍に
 2014. 7.10 助成金不正受給 2団体に120万円返還請求 / 横浜市
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 2014. 7.10 障がい者支援策で市長に要望 公明党川崎市議団
 2014. 7.10 共に働き生きる福祉農場たつかーむがビオカフェをオープン!
 2014. 7.10 キリンビール横浜工場で障害者のある高校生が就業体験
 2014. 7.10 夜用尿とりパッドの使用により要介護者の「睡眠の質」が改善
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 2014. 7.11 また虐待か/懲りもせずに/茨城県社会福祉事業団/あすなろの郷
 2014. 7.11 返還請求の助成金 同じ福祉団体が受給か / PWL
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 2014. 7.20 介護保険、創設以来の大改正=自己負担増や特養入所厳格化も−関連法が順次施行へ
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 2014. 7.22 福岡県の九州自動車道で起きたバスジャック事件 ⇒ 小林容疑者は累犯者更生のグループホームで生活していた
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 2014. 7.23 FileMaker、介護分野における導入事例を発表 - 在宅復帰率を改善
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 2014. 7.23 認知症グループホーム職員の人口割合 青森県が全国1位
 2014. 7.24 遊ぶ園児を女性職員が放り投げ 頭蓋骨骨折の重傷負わせる 伏見の保育園に京都市が改善勧告
 2014. 7.24 人の役に立つことが幸せ 従業員の7割超が障がい者、日本理化学工業
 2014. 7.25 民俗学からみる介護 介護施設で「聞き書き」する職員・六車由実さん
 2014. 7.25 「生きた証しを残したい」少女の心臓、少年へ
 2014. 7.25 介護人材不足、都道府県別に将来推計 工程表策定へ
 2014. 7.25 4日間で入所者3人が死亡のフラワーヒル 被告の元職員大吉崇紘に懲役10年を求刑
 2014. 7.25 不正受給//訪問介護事業所はる介護サポート ⇒ 指定取り消し
 2014. 7.25 介護人材不足、都道府県別に将来推計 工程表策定へ
 2014. 7.26 2人の医師が語る理想的な“枯れ木”のような死に方とは
 2014. 7.26 電動車椅子訴訟:原告側が控訴 /和歌山
 2014. 7.27 不正受給:障害者自立支援2100万円 名古屋
 2014. 7.27 介護で来日の外国人2千人超す
 2014. 7.27 まるでカジノな介護施設 「ライセンス・パック」提供へ
 2014. 7.28 覚えておきたい「認知症の法則」 医師が解説
 2014. 7.28 市議20人中15人逮捕の青森・平川市で辞職8議席の補選 再実施も視野
 2014. 7.29 社会福祉法人課税に断固反対 老施協戦略セミナー開く
 2014. 7.29 介護施設「サロン」併設広がる 京都市内、厚労省も注目
 2014. 7.29 重度者に限定する特養入所の「例外ルール」、厚労省が公表
 2014. 7.29 AEDをコンビニへ 宝塚市が8月から設置
 2014. 7.29 「証言のみで判断苦労」 埼玉・特養施設暴行死判決で裁判員
 2014. 7.29 外国人の介護就労 深刻な人権侵害 早急に改善を
 2014. 7.29 入所施設に歯科保健についてのアンケートを実施 愛知県
 2014. 7.29 <大阪市立大学>食堂に障害ある店員 学生実地に学ぶ場にも
 2014. 7.29 糸賀氏生誕100年歌で祝う CD化へ
 2014. 7.29 「床傷付く」公立体育館、車いす競技利用断る
 2014. 7.29 少年時代壁越え古里へ…恵楓園・ハンセン病証言
 2014. 7.29 津波被害の特養老人ホーム、来月再開  慈恵園
 2014. 7.30 障害者虐待防止法 〜 障害者虐待とはどのようなものか?
 2014. 7.30 <元従業員を届け出>虚偽申請などでデイを一部の効力の停止に――広島県
 2014. 7.30 小規模デイの地域密着型への移行、定員18人以下が対象に
 2014. 7.30 「お泊まりデイ」届け出制とガイドライン 質の向上図る
 2014. 7.30 足こぎ車いす、県施設に寄付 横浜市の夫妻
 2014. 7.30 嘔吐した園児を殴った容疑、保育士逮捕 頭3針縫うけが
 2014. 7.30 <無罪判決>元介護福祉士の控訴断念、無罪確定へ 広島地検
 2014. 7.30 青森  障害者施設の職員ら入所者に暴行か 徳誠園
 2014. 7.31 安靖氷見共同作業所 梅干し作り初挑戦
 2014. 7.31 特別養護老人ホームフラワーヒル不起訴事件の真相は 別の女性入居者2人への暴行//さいたま地検はいずれも不起訴処分(嫌疑不十分)


■2014.7.1  三菱商事、障害者スポーツ支援を拡大
三菱商事は1日、財閥解体で分割された企業の大合同で発足した新会社の創立から60年を迎えたことを受け、障害者スポーツの裾野を広げ、認知度や理解度を深める活動を行っていくと発表した。

2020年のパラリンピック東京大会に向け、多くの障害者アスリートが活躍できるように、日本パラリンピック委員会(JPC)の活動▽ジュニア・ユース障害者アスリートの育成▽スポーツイベントの開催▽障害者スポーツ競技に対する支援に力を入れる。同社は「障害者スポーツの持つ勇気と希望と深い感動を共有し、応援の輪を広げたい」としている。同社は1991年から、世界最大の規模とレベルを誇る障害者スポーツ競技会「大分国際車いすマラソン」に協賛するなど、障害者への支援に取り組んでいる。

■2014.7.1  社会福祉法人の内部留保を『活用』させても何も改善しないですよね? - 岡崎よしひろ
し前に言われていた「一般企業は多額の内部留保をため込んでいるのだから、それを活用して働いている人の待遇改善や新規雇用に使うべき」とのお話が、今度は社会福祉法人に対して言われています。

少し前の記事ですが、朝日新聞は

財務相の諮問機関「財政制度等審議会」は30日にまとめた報告書で、特別養護老人ホームなどを運営する社会福祉法人(社福)が収益を巨額の「内部留保」としてため込んでいると指摘した。低賃金とされる介護職員の待遇改善に安易に税金を投入せず、まずは内部留保を人件費としてはき出すよう求めたものだ。
と報道しています。


なんとなく「その通り、現場で働いている人が大変な思いをしているのにお金を貯めこむなんてけしからん!」などと思ってしまいそうですが、安易に内部留保を吐き出せという考え方は非常に乱暴な考え方ですし、そのような議論になってしまうと、本当に重要なことへの議論がおろそかになってしまい、介護の現場で働いている方の待遇改善に結びつかない危険性があるのです。


■内部留保の大きさと特定の資産は紐づきません
さて、なぜ内部留保の活用という議論が介護の現場で働いている方の待遇改善につながらない危険性があるのでしょうか?それを明らかにするためにまず内部留保とはなんなのかについて考えていきたいと思います。

「内部留保を活用して」といった話が出る場合、おそらく「内部留保が大きい組織は現金を沢山持っているんでしょ?だったらその現金を使って職員の処遇を改善すればいいじゃない。」という風な発想があるように思われます。

しかし、残念ながら内部留保という言葉と現金は紐づかないのです。あくまで内部留保とは、資産をどんなふうに調達してきたかを示すだけの言葉なのです。

それなので、内部留保などほとんどなくて、多額の負債を抱えている組織であっても現金が潤沢な場合もありますし、非常に大きな内部留保を抱えていても、持っている資産の大部分が土地や建物で、現金はほとんど持っていないといったケースもあります。

このように、現金の多寡と内部留保の多寡は関係のない考え方なのです。


■個人の場合で考えてみます
個人の場合、資産とは現金とか預金になると捉えている方も多いとは思います。「私は貯金が100万円持っているから資産は100万円だよ」といった感覚です。しかし、会計的に考えれば個人の自宅や車、高価な時計なども資産になるのです。

そのため、例えばあなたが貯金のほとんどをはたいて高級車を購入したとしても、会計ではあなたの『貯金』という資産が『車』という資産に変わっただけと捉えます。あなたの『内部留保』は車を買っても減っていないのです。

また、仮に多額のローンを組んで高級車を購入しても、あなたの持っている『内部留保』は減りません。この場合は、借金で調達してきた『お金』が『車』に変わっただけですから、あなたがもともと持っている『内部留保』には影響を与えないのです。

このように、現金が何に投資されているかは内部留保のお話とは基本的には関係ないのですね。もっとも、車の価値は年月を経ると減少しますから、しばらくすればあなたの『内部留保』は減って行くという事はあります。(こういった考え方を減価償却と言います。)


■内部留保は設備を整えても減りません
さて、介護の仕事ををするためには大きな土地や建物が必要になると思います。特に特別養護老人ホームなどを運営している場合、大きな土地に大きな施設を構えて多数の人が働くといったイメージになりますよね。

では、設備を整えるためにお金を支出していたらどうでしょうか?上で指摘した通り、設備への投資と内部留保はあまり関係ありません。

例えば一億円をかけて土地を取得しその上に建物を自己資金で建てたとします。この場合、建物が建った段階では一億円の現金がなくなって、総額一億円の土地と建物になるだけです。

もちろん、建物の一億円は数十年かけて償却されて費用化されます。この意味で長い目で見れば内部留保の額は影響を受けます。しかし、土地は減価償却されません。そのため、短期的には一億もの投資をしたとしても内部留保の金額にはあまり影響を与えないのです。


■社会福祉法人の内部留保は誰にも還元されません
さて、「多額の内部留保を抱えているからには組織の運営側が儲けているに違いない」といった考え方もあるかもしれません。もしそうであるならば、「内部留保を働いている人の待遇改善につなげよう!」という発想にも納得できます。

しかし、内部留保を誰かに還元するといった仕組みを社会福祉法人は持っていません。株式会社であれば、ちゃんとした手続きに則れば、配当といった形で株主が山分けすることができますが社会福祉法人は配当という形で資金を流出させることができないのです。

そのためどれだけ内部留保があったとしても、組織の運営側が誰かが不当な利益を得ているというわけではないのです。

むしろ運営側が不当な利益を得ているような団体では、役員報酬などが過大に計上されたり、不透明な費用が支出されたりして、逆に内部留保が少なくなるはずです。

(不正とかの可能性は別の問題なので本エントリーでは触れません。)


■問題は内部留保ではない
このように、社会福祉法人は内部留保が多くてけしからんといった議論にはほとんど意味が無いように思われます。資産面に対して「多額の現金を持っていてけしからん」とか「株や債権に必要以上に投資していて本業がおろそかになっている」という内容なら、是非はともかくとして還元の原資にはなりえるでしょうが、資産面を考慮に入れずに内部留保に文句を言っても仕方がないと思います。

個人的にはもちろん、社会福祉法人で働いている方の報酬を増やすという事は必要だと思います。責任の重い大変なお仕事をされているわけですから、それに見合う報酬は獲得してしかるべきだと思います。

しかし、その報酬増の出所を内部留保に求めるのでは意義のある議論が難しいと考えられます。というのは、内部留保とは、上で見てきたように、現金の裏付けがあるかどうか分からないものです。また、永続的な待遇改善の原資として考えるならば、負債の額とのバランスや収支についてもみないといけないと思うのです。

仮に「3億円の内部留保があるけど、ウチは負債が100億円あるから…」とか「確かに内部留保は3億円あるけど、介護報酬の制度が変わったため、毎年1億円赤字になるんだよね…」といった状況では3億の内部留保があってもとても職員に還元できる状況では無いですよね。

このように内部留保についてだけ見ても職員に還元できるだけの余力はよく分かりませんよね。そして、そのような『よく分からないもの』を対象に議論しても、あまり生産性のある議論ができるとは思えません。

そのため、内部留保を活用してとか、多額の内部留保を持っていることを問題視するといった議論に対して、「そこじゃないんじゃないのかな?」と素朴な違和感を持っているのです。

■2014.7.1  広島・介護施設入所者殺害:取り調べ映像再生 地裁公判 /広島
東区の介護施設で2012年12月、寝たきりの高齢女性が布団に火を付けられ殺害された事件で、殺人と建造物以外等放火などの罪に問われた安芸太田町の元介護福祉士、入沢亜加音被告(22)の裁判員裁判の公判が30日、広島地裁(伊藤寿裁判長)であり、検察官の取り調べ状況を録音・録画した映像が再生された。

検察側と弁護側の双方が13年1月17日の逮捕後の検察官による取り調べ映像のうち、1月18日と25日分の一部を再生。映像では、入沢被告は18日の取り調べで「動機はセクハラをした同僚男性への腹いせ」と殺意を否定していたが、25日には「介護福祉士としてのプライドから、寝たきりの人を殺したいと思ったとは言えなかった」と供述を変え、「寝たきりの人が一人でもいなくなれば負担が減ると思った」と殺意を認めた。

取り調べを担当した検察官の証人尋問もあり、弁護側の質問に「25日の取り調べ後の証拠収集を経て、供述は信用性があると判断した」と証言した。

■2014.7.1  「あすなろ会」障がい者虐待:鳥取の支援施設、県に改善報告書 /鳥取
社会福祉法人「あすなろ会」(相沢英之理事長)は30日、運営する知的障がい者支援施設「松の聖母学園」(鳥取市白兎、影井愛巳施設長)の虐待問題で県に改善報告書を提出した。理事10人の中に障がいに関する知識を持つ人がおらず、障がいに明るい人を理事に迎えて理事会の強化を図る。記者会見した相沢理事長は「十分目が行き届かなかった。二度と起こさないようにする」と話した。

報告書は同法人が問題発覚後、法人内外の有識者で作る調査委員会を設置、その結果を踏まえ作成した。県が指摘した計13件の虐待を把握したが、7件のみ虐待と判断。残りは詳しい状況が把握できず「不明」などとした。

他に改善策としては、法人の本部事務局に6月から専任の法令順守担当2人を配置▽職員への各種研修▽利用者家族との意見交換の機会の充実−−などを明記した。

加害職員と、虐待を把握しながら報告しなかった施設長への処分は7月中旬の理事会で決める。刑事告発は客観的に証明できないなどとして見送る。

県は報告書を精査し、7月上旬に対応を決める。松田佐惠子県福祉保健部長は「法人全体として生まれ変わる対応を」と求めた。

■2014.7.1  障害者支援補助金不正受給:地裁、有罪判決 /広島
障害者支援制度を悪用して補助金を不正にだまし取ったとして補助金適正化法違反罪に問われた西区井口3のNPO法人元理事長、福田抄湖(しょうこ)被告(34)の判決公判が30日、広島地裁であった。岡崎忠之裁判官は「犯行は身勝手で、手口も巧妙で悪質。障害者自立支援制度に対する社会の信頼を損なった」として懲役2年6月、執行猶予5年(求刑・懲役2年6月、罰金300万円)を言い渡した。

判決によると、福田被告は2011年2月〜9月、厚生労働省の障害者生活支援のための補助金を申請する際、運営する施設の利用者を水増しして窓口の広島市に申請。10、11年度分の補助金約2400万円の交付を受けた。

■2014.7.1  高齢者向けマンション提訴…虐待、預金使われた
大阪市北区にある診療所併設の高齢者向けマンション「天六苑」に入居していた64〜94歳の男女5人が、介護放棄の虐待を受け、預金を使い込まれたなどとして、マンションを運営する診療所の代表者らに計約3000万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。提訴は6月16日付。

訴状などによると、マンションは9階建てで計30室あり、1階が診療所。5人は2008〜12年に入居し、生活保護を受給していた。認知症などで意思疎通が難しく、昨年2月、虐待の通報を受けて大阪市が立ち入り調査した際には、体が汚れたままで医療器具も不衛生な状態だったという。

市の調査後、市長の申し立てで、家裁が5人に弁護士各1人を成年後見人に選任。成年後見人が生活保護費の入金口座を調べると、賃料以外に1人計約700万〜約20万円が名目不明で引き出されていたという。

市は立ち入り調査後、いったん通報内容は確認できないとしたが、原告を含む入居者12人全員を別の医療機関などに移送し、調査を継続。一部の入居者について介護を放棄する虐待があったと認定した。ただ、「有料老人ホーム」としての届け出がなく、老人福祉法に基づく改善命令などの措置は取っていない。

原告側は「必要な医療や介護が受けられず、人間らしい生活を送る権利を侵害された。金銭管理にも不正の疑いがある」と主張。診療所の代表者は「コメントを控えたい」としている。

■2014.7.1  障害者虐待、解雇も検討 鳥取の法人が県に報告
鳥取市の社会福祉法人「あすなろ会」が運営する知的障害者らの支援施設「松の聖母学園」の虐待問題で、同法人は30日、改善勧告に基づく報告書を県に提出した。虐待は疑いも含めて13件あり、関わった男性管理職と女性嘱託職員(いずれも50歳代)、報告を怠った男性施設長について、解雇などの懲戒処分を検討しているとした。7月中旬までに対応を決めるという。

同法人によると、男性管理職は疑いも含め計12件に関与。報告書では「同じ職場に10年いる間に独善的になった」と分析し、遅くとも2013年4月には、暴言や威圧的行為が利用者に恐怖や心理的外傷を与える「心理的虐待」に該当する状態だったとした。また、虐待を知った施設長が法人に報告しておらず、閉鎖的な運営も問題とした。

加害職員2人の刑事告発については、「日時の特定が難しい」などとして見送った。法人役員は減俸などの処分にとどめ、障害専門の理事を迎えるなどして再発防止に努めるとした。

元経済企画庁長官の相沢英之理事長は「2度と同様のことが起きないよう対策を考え、実行したい」と謝罪。松田佐恵子・県福祉保健部長は「報告書を精査して判断したい」とした。

■2014.7.1  自らの票の取りまとめを100万円で依頼 前平川市長を再逮捕 青森県警
青森県警は1日、1月26日投開票の平川市長選に絡み、票の取りまとめの報酬として現金100万円を市議に渡したとして、公選法違反容疑で、落選した前市長、大川喜代治容疑者(69)を再逮捕した。大川容疑者の逮捕は3回目。

再逮捕容疑は、支援者だった社会福祉法人元理事長の水木貞被告(66)=同法違反罪で公判中=と共謀し、昨年10月4日ごろ、自分への投票や票の取りまとめの報酬として、男性市議に現金100万円を渡した疑い。

■2014.7.1  障害者雇用で不当な賃金格差は勧告対象 厚労省研究会
厚生労働省の有識者研究会は、企業が障害者を雇用する際の差別禁止や、職場環境で配慮すべき内容を示した報告書をまとめた。企業が障害者であることを理由に賃金や昇進で不利な取り扱いをすることを禁じるとともに、職場でのスロープ・手すりの設置や音声ソフトの活用など障害の特性に応じた配慮の具体例を明記した。

差別禁止や職場環境の配慮は、昨年成立した改正障害者雇用促進法で平成28年4月からの義務付けが決まっており、違反企業は指導や勧告の対象になる。厚労省は労使の意見も踏まえ、来年3月末までに指針を策定する予定。

報告書では、障害者の賃金を不当に健常者より低くすることや、キャリアアップのための研修を受けさせないなどの行為が差別になると定義している。

■2014.7.1  シニアに必要な栄養成分は、たんぱく質!?夏バテ解消にも効果的な“肉”
夏バテ解消にも効果的!“肉”の効果について
肉焼き総研が、食欲不振になりがちな夏に向けて、夏バテ解消にも効果的な“肉”の重要性について、シニアとたんぱく質の関係やシニアでも食べやすい“肉”をやわらかくする方法などについて紹介しまています。

“肉”を習慣的に食べ続けることが健康長寿の秘訣!?
“肉”は、良質のたんぱく質といわれ、必須アミノ酸のバランスなどに優れており、体内吸収率も、大豆などの植物性たんぱく質に比べて高く、たんぱく質が不足する傾向のある夏に積極的に摂りたい食材です。

とくに、“肉”に豊富に含まれているたんぱく質「アルブミン」は、老化指標ともいわれ、血液中の「アルブミン」の数値が高いほど死亡率や要介護リスクが低くなり、肉を習慣的に食べ続けることが健康長寿の秘訣であるともいわれています。


シニア向けにおすすめの“肉”レシピを紹介
ただし、高齢になると、虫歯や歯周病のリスクが増えるだけでなく、咀嚼力が低下したり、消化液の分泌量が減るなどで、“肉”を食べる機会が少なくなる傾向があります。

そこで、肉焼き総研は、肉焼き総研のホームページで、事前に“肉”を漬け込んでから焼く調理法など、シニア向けにおすすめの“肉”レシピを紹介しています。詳しくは下部リンクをご覧ください。


「夏バテは、万能食材“お肉”が解消!」肉焼き総研※@Press
http://www.atpress.ne.jp/view/48013

肉焼き総研ホームページ
http://nikuyakisoken.jp/

■2014.7.1  糸賀一雄が取り持つ縁 45年ぶりに交流再開へ
鳥取市出身で「障害者福祉の父」と呼ばれた糸賀一雄(1914〜68年)が設立した知的障害児入所施設「近江学園」(植田重一郎園長、滋賀県湖南市)と、糸賀の影響を受け設立された「皆成学園」(井上和之園長、倉吉市みどり町)が、約45年ぶりに交流を再開する。糸賀生誕100周年の節目に関係者は「互いの良い所を学び合いたい」と意気込む。

近江学園は戦災孤児や知的障害児の療育施設として46年に設立。糸賀は47年に当時の西尾愛治鳥取県知事に障害児施設を県内に設置するよう勧め、西尾知事は49年に米子市に「皆生学園」を設立。51年には倉吉市に移転し皆成学園となった。

県は当時、準備段階から職員を近江学園に派遣。障害児と生活を共にし、糸賀から直接、実践方法や理念を学んだ。両学園の交流は糸賀が亡くなるまで続いた。

交流再開は100周年記念事業を機に浮上。本年度は秋と冬にそれぞれ3週間程度、指導員1人を相互派遣する。少人数単位で家庭的な生活を実践している近江学園、障害児の自立を目指す教育に力を入れる皆成学園と、それぞれの“強み”を学び合う。施設内虐待の未然防止や職員育成などの共同研究にも着手する。

30日の本会議では長谷川稔県議の質問に対し、平井伸治知事が「それぞれ工夫の中で磨いてきたノウハウを交換することが重要」と意義を強調。来年度は長期の人事交流も検討する。

交流再開に、井上園長は「互いに糸賀の影響を受け、きょうだいのような存在の施設。視野を広げたい」と歓迎。植田園長は「全国的にも類似施設は少なく、課題を共有し、よりよい運営につなげたい」と話している。

■2014.7.1  全日本手をつなぐ育成会が解散届け 任意団体で再起へ
知的障害者の親などで構成する社会福祉法人「全日本手をつなぐ育成会」(久保厚子理事長)が62年の歴史に幕を閉じた。5月末で職員を全員解雇し、6月18日に東京都へ解散の届け出を提出。今後は任意団体の連合会として久保氏が会長に就き、各地の育成会が機能を分担しながら活動を続けるという。

社会福祉法人格を返上

「会員の皆様に心配をおかけして、申し訳ない」ーー。

全日本手をつなぐ育成会の理事長だった久保厚子氏は6月16日、兵庫県内で開いた権利擁護セミナーで、会員を前にこう切り出した。全日本育成会の社会福祉法人格返上を決議後、公の場で話したのは初めて。

不安な表情を浮かべる会員もいる中、久保氏は「後ろ向きの解散ではなく、先を見越して法人格を返上する」と強調し、今後は身の丈に合った経営をしていくと説明した。

セミナーの主催は「全国手をつなぐ育成会連合会」。各地の支部が会員となり、6月1日から暫定的に活動を始めた任意団体だ。執行部は全日本育成会の幹部がそのままスライドしたが、専従職員はいない。

セミナーに参加したある会員は「今日、会場で法人格を返上すると聞いた。今後も会員の声を政府に届けられるのだろうか」と驚いていた。

理由は会員の減少

法人格を返上する理由は、会員減少に伴う財政の悪化だという。

全日本育成会の主な収入の柱は、賛助会員による会費と、都道府県や政令市にある56支部の負担金。全国の支部を合わせた会員は約24万人に上るものの、そのまま本部の会費収入になるわけではない。

特に大きな割合を占めるのが、約3万人に上る賛助会員費だ。年3600円を支払うと、障害者施策の最新の解説などが載った機関誌が毎月届き、会員には貴重な情報源になっていた。2012年度の総額は1億2000万円ほどに上る。

ところが、ピーク時に5万部を発行していた機関誌は、補助金カットもあり、3万部ほどに落ち込んだ。久保氏は、地域ごとに差はあるとしながらも、「インターネットの普及で情報収集が容易になった影響は大きい」と語る。

一方で、各支部に、さらなる負担を強いることも難しい。そもそも負担金の総額は3200万円と、賛助会員費による収入の4分の1に過ぎない。ある都道府県の支部は「近年、障害者への法整備がある程度進んで支援メニューが増えたことで、運動体としての社会的役割は小さくなっているのでは」と話す。

社会福祉法人改革も影響

さらに、法人格の返上を決定的にした要因が、現在、政府や厚生労働省などで進む社会福祉法人改革だという。

近年、税制優遇される社会福祉法人に対する風当たりは強く、地域での社会貢献の義務化などが議論されている。ところが、全日本育成会が行う社会福祉法に基づく事業は、電話相談だけだ。

もともと全日本育成会は入所施設をつくるため、1955年に社会福祉法人格を取得したが、今は運営していない。「相談事業だけで社会福祉法人格を維持できる社会情勢ではない」と久保氏は言う。

今後は各地域で機能を分担

これまで全日本育成会が行ってきた事業は、7月24日にも正式に発足する全国育成会連合会が担う見通し。ただ、具体的な事業については、権利擁護事業は兵庫県支部、政策提言は静岡県支部というように、各支部が分担して引き継ぐ。事務局機能は久保氏のいる滋賀県支部が担う。

また、電話相談も続けたい考えで、機関誌の発行は外部団体に委託する。全日本育成会の基本財産については、国庫に返納せず、どこかの社会福祉法人が受け継ぐ予定だという。




久保理事長のインタビュー

なぜ社会福祉法人格を返上するのか

収入減が止まらないためだ。特に2007年からは運転資金がぎりぎりで、このままでは基本財産要件の1億円を維持できない。

破産だけは避けたいと13年9月から本格的に検討に入った。そして、14年2月から全国を回って意見を聞き、5月23日の評議員会・理事会で法人格の返上を決議するに至った。



事業縮小による存続は考えなかったか

今、社会福祉法人による社会貢献などが問われている中、そもそも社会福祉法人である意義を社会に説明することが難しい。社会福祉事業も電話相談だけだった。

もともと法人格は入所施設を建設するために取得したが、02年にはすべて手放した。その時返上する選択肢もあったと思う。



今後新たな連合会としての活動は

全日本育成会の事業は、各支部が分担して存続させる。今後専従職員を置く予定はなく、法人格の取得も未定だ。



解雇した職員と係争中のようだが

元職員の訴えについては、正常な団体交渉であれば全日本育成会の清算法人として、きちんと対応していく。



会員からは心配の声も漏れる

育成会は「我が子にも人権と幸せを」をスローガンに3人の親が「精神薄弱児育成会」として立ち上げた団体。精神薄弱という差別的意味合いの強い言葉を掲げるほど揺るぎない決意を持ち、知的障害者の人権回復に向けて運動してきた。そうした歴史に幕を下ろすのは断腸の思いだ。

ただ、全国各地に同じ悩みを持つ親がつながるという運動体としての強みはこれからも変わらない。より一層地域での活動が主役になるはずだ。政府へ意見を届ける役割もきちんと担っていく。

■2014.7.2  寝たきりが回復し海外旅行まで! 口から食べることの重要性 〈週刊朝日〉
家族の病気を通して「口から食べることの大切さ」を痛感し、多くの人に伝えようと活動をしている歯科医師がいる。

2000年7月、当時福岡歯科大学病院に勤務していた塚本末廣歯科医師は、神戸市に住む妻の母、呉本秀子さん(当時68歳)が倒れ、市内の病院に救急搬送されたと知らせを受けた。

「急性心筋梗塞および脳梗塞」と診断された秀子さんだが、いったんは回復。しかし9月になると血尿や発熱が続くようになり、だんだん弱っていった。

11月に塚本歯科医師が見舞うとベッドに寝たきりで、熱が続いているせいか目もうつろ。

「さらに病院からは、腎がんの可能性、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に感染、敗血症を起こしている、といったネガティブな検査結果が次々伝えられていて、これはもう死ぬんじゃないかと感じました」と、塚本歯科医師は振り返る。

歯科医師として何より気になったのは、入院以来ずっと栄養を流し込むIVH(中心静脈栄養)のカテーテル(管)が血管内に留置され、口からは何も食べていなかったことだ。食べられないからIVHを装着しているはずなのに、なぜか薬は口からのんでいる。

「食べさせていないだけで、本当は食べることができるんじゃないか」

そんな疑問が湧き上がった。とはいえ、何カ月も使っていない秀子さんの口の中はパリパリに乾燥し、口腔カンジダ症になっていた。免疫力が落ちたために、常在真菌のカンジダが異常に増殖した状態だ。

しかし、塚本歯科医師は大学病院に障害者歯科を立ち上げた経験から、「口腔ケアをすれば食べられるようになる」と確信した。そこで12月初旬、秀子さんを福岡市内のリハビリテーション病院へ転院させた。自ら通って秀子さんのケアができると考えたからだ。

転院してから秀子さんの容体は劇的に好転する。きっかけは、前の病院でずっと入れられていたIVHや尿を出すためのカテーテル、薬剤を投与する動脈内カテーテルをすべて抜いたこと。しつこく続いていた熱がスッと下がったのだ。

「抜いたカテーテルの先端、つまりからだの中に入っている部分にびっしりついていたバイオフィルム(細菌のかたまり)を検査してみたら、どれからもカンジダが検出されました。感染源のカテーテルを入れっぱなしにしていたら、発熱が続くのは当たり前です」(塚本歯科医師)

熱が下がって楽になった秀子さんは、翌日からペースト食を食べられるようになった。同時に口の中をきれいにする口腔ケアや、合わなくなっていた部分入れ歯を調整し、かむためのリハビリもスタートした。ほどなく粗めの刻み食へステップアップ。「食べる」という喜びを得たことで秀子さんは、リハビリにも積極的に取り組んで、みるみる回復した。年が明けた1月末には、元気に歩いて退院。その翌月には、海外旅行に行くまでになった。

その経過を追った画像や写真を見せてもらった。回復ぶりもさることながら、かめるようになってからは別人のように明るい笑顔ばかりだった。秀子さんは、その後穏やかに生活し、退院の10年後に別の病気で亡くなったという。

「IVHのように口や腸管を使わずに栄養補給する方法が長引けば、かむ、のみ込むといった口の機能が衰えるだけでなく、全身状態まで悪化させてしまいます。人間らしく、幸せに生きるためには口から食べることが基本だということを、心に留めておいてほしいと思います」

■2014.7.2  介護福祉士の養成課程見直しに賛否両論、現状維持を望む声も
介護・医療の改革に向けた法律が成立したことを受けて、介護福祉士の養成課程の見直しをめぐる議論が本格的に始まった。

厚生労働省は1日の有識者会議で、実施が延期されることになった見直しの内容を協議。いわゆる「実務経験ルート」に研修を義務付けることなどについて、委員の意見は大きく分かれた。厚労省は今後、今月末に開く次回の会合で一定の方向性を提案する予定だ。

介護福祉士の養成課程をめぐっては、6月18日に成立した介護・医療の改革に向けた法律で、来年度に実施されるはずだった見直しが1年間先送りされた。

先送りされたのは、いわゆる「実務経験ルート」に研修(450時間)を義務付けることと、「養成施設ルート」の条件に国家試験の合格を加えること。介護福祉士の資質を高めようと提案されていたが、資格を目指す人のハードルを上げることにもつながるため、与党内で「介護福祉士を目指す人が減る」という反発が強まった。

1日の有識者会議では、こうした見直しをそのまま実行するかどうかを議論。委員からは賛否両論があがり、専門家の間でも意見が分かれている現状が浮き彫りになった。

以下、会合であがった主な意見を紹介する。

桃山学院大学 川井太加子教授

介護福祉士は誰でも取れる資格だという認識が一部にある。実務が十分な人にも一定の研修を設けるべき。さらに、養成施設ルートにも国試を義務付けることで、本当に介護福祉士を目指す人が業界に入ってくるようになるのではないか。

NPO法人介護人材キャリア開発機構 山田尋志理事長

介護福祉士の入り口は高いハードルを設定すべき。実務経験ルートの研修は当然加えるべきだし、養成施設・福祉系高校については、制度の改革とともにそのあり方も検討すべきだ。

神奈川県保健福祉局 西條由人課長

実務経験ルートの研修は一刻も早く実施すべき。ただし、福祉系学生への国試の義務化は反対。介護分野での就労を目指す若者にとって最大のメリットがなくなれば、入学者の数はますます減少してしまう。

日本慢性期協会 武久洋三会長

実務経験ルートの研修は、介護福祉士を目指す人の減少につながる懸念がある。現行の実務経験3年を維持した方がいい。

潟潟Nルートキャリア 門野智彦氏

専門性を高めれば人が集まるという考えは幻想。入職者を増やしたいなら、向こう10年は今の制度を維持すべきだ。

■2014.7.2  転倒多いスロープ改修、市長に負担求め監査請求
兵庫県南あわじ市福良甲の淡路人形浄瑠璃館の屋外スロープで転倒する人が目立ち、市が6月末に階段に造り替えたことについて、市民が1日、中田勝久市長と副市長に対して給料などを10%返上して費用分を負担するように求める住民監査請求を行った。

同市広田中筋、無職坂本保直さん(78)がこの日、南淡庁舎内の監査委員事務局を訪れ、職員に請求書を提出した。受理されれば、60日以内に結果が公表される。

同館は2012年8月にオープンしたが、2階の受付に上がる外付けのスロープは亀の甲羅のような形状で手すりもなく、転倒する高齢者が多かったという。市議から「県の福祉のまちづくり条例に合致していない」との指摘を受け、市は当初施工したゼネコンとは別の地元の業者に発注して階段へ造り替え、2階の屋内にも手すりを設置した。

坂本さんは「不誠実な工事の手直しに787万5000円を支出したことは容認できない。まずは設計事務所と施工した業者に改修工事の費用を請求するべきで、できないのであれば市長と副市長が責任を負うべきだ」としている。

市議会は昨年度、手直し工事の予算を認める一方で、委員会が「費用は設計監理と施工の業者に請求すべき」とする付帯決議をしている。だが、市は設計段階で協議に加わっていて、業者への請求には消極的だ。

設計にかかわった遠藤秀平・神戸大教授は「費用請求の話は聞いていない。完成前に公的検査を受けて市に引き渡したもので問題はないと考えている」と話した。

■2014.7.2  <2,000万円不正受給>山口県の訪問介護事業者、「緊急介護雇用推進プログラム事業」を委託するも失業者雇わず
山口県は、6月20日、訪問介護事業所「テリーズ・アシスタンス」を運営する下関市のテリーズ合同会社について、「緊急介護雇用推進プログラム事業」(2010年度〜2013年度)に係る委託料の不正受給が判明したことを発表した。

県では、同日付で委託契約を解除し、支払済みの委託料約20,000万円の全額返還と、違約金約217万円の請求を行い、同日付で返還された。

県は、再発防止に向けて、今年度実施している同様の「介護人材確保・能力育成事業」については、契約時及び事業終了時に雇用保険関係書類等で雇用状況を確認するなど、委託業務の履行確認を徹底するとしている。

※緊急介護雇用推進プログラム事業とは、失業者等を雇用し、介護施設等で介護労働に従事させながら、介護資格を取得させるプロジェクトで、県が事業者に委託して実施しているもの。

■事業者の名称:: テリーズ合同会社(代表社員 武政良二)
■事業者の所在地::下関市新垢田南町1-14-5
■事業所名称::テリーズ・アシスタンス(訪問介護事業所)

■不正内容:
2011〜2013年度に受託した事業について、失業者等を雇用した実態がないにもかかわらず、毎年度2名を雇用したと虚偽の報告を行い、県から委託料合計約2,000万円を不正に受給していた。緊急介護雇用推進プログラム事業に係る業務が全く履行されず、委託業務の目的が達成されていないことから、全ての委託契約を解除し、支払い済みの委託料の全額返還及び違約金217万円あまりの請求を行った。※全額収納済み。

■支払い金額:19,870,449円
  2011年度/6,765,953円  
  2012年度/7,388,496円  
  2013年度/5,716,000円

■2014.7.3  精神障害者の割引進まず…鉄道3割・バスも地域差
障害者手帳による交通運賃の割引を精神障害者にも適用している事業者は鉄道の場合、3割にとどまり、大手はどの社も適用していないことが読売新聞の全国調査でわかった。

路線バスは7割の社が適用している。身体・知的障害は全社が半額割引を基本にしており、精神障害者は取り残されている形だ。


精神障害者の割引進まず…鉄道3割・バスも地域差


鉄道で3割・バスも地域差大きく

各社のホームページの記載、自治体や業界団体の情報、個別の問い合わせなどで全社の制度を調べた。

鉄道158社(ケーブルカーを除く)の中で、精神障害者にも割引するのは46社。うち43社は中小私鉄や第3セクターだ。JR6社、大手私鉄16社は適用せず、「新たな福祉割引は国や自治体の負担でやってほしい」などとしている。

公営の地下鉄でも適用は仙台市だけ。東京都や政令市の多くは、住民に限り、福祉予算で精神障害者を含めて無料パスなどを出しているが、交通事業者としては身体・知的障害にしか割引していない。

一般路線バス(高速バス、空港バス、コミュニティーバスを除く)は、450社のうち328社が精神障害者にも割引を適用、8社が一部地域で適用している。ただし地域差が大きい。25都県は全社が適用だが、山梨、愛知、愛媛、大分はゼロ。岩手、栃木、神奈川、京都、大阪、兵庫、高知、福岡も遅れている。

国土交通省は「障害の種類で扱いが違うのはおかしく、精神障害者にも割引を適用するのが望ましい」とし、各社に理解と協力を要望している。バスでは2012年7月に標準的な運送約款を改正して精神障害者も割引対象に加えたこともあり、適用する社が拡大したが、鉄道は同様の制度がない。事業者への補助などは検討していないという。

◆栄セツコ・桃山学院大教授(社会福祉学)の話
「国は3種類の障害の一元的な扱いを進めている。日本も批准した障害者権利条約は障害者が負担しやすい費用で移動できる措置を求めており、社会参加を促進する意味でも扱いの差をなくすべきだ。社会全体で解決方法を考える必要がある」


http://social-welfare.rgr.jp/img/dsddd55dddd.png

■2014.7.3  高齢者急増中なのに…なぜか会員減る老人クラブ
高齢者人口が増加する中で、全国の老人クラブの会員数減少が続いている。

ピーク時から3割弱、約240万人も減少し、クラブが担ってきた高齢者の「互助」の機能や地域の安全活動などにも影響が出かねない状況だ。

「団塊の世代」の老人クラブ離れも指摘される中、全国老人クラブ連合会(全老連、東京都)は「100万人会員増強」を目標に掲げ、今年度から5か年計画で会員獲得に乗り出した。

全老連によると、老人クラブはおおむね60歳以上の高齢者でつくる自主組織。ピーク時の1998年には全国で13万4200団体、886万人を数えたが、昨年は11万400団体、648万人となり、団体数は18%、会員数は27%も減った。九州・山口・沖縄の9県でも41万人減の97万人にまで落ち込んでいる。

一方、全国の65歳以上の高齢者人口は昨年、98年の1・5倍以上の3189万人に増加。高齢者が右肩上がりで増える中、会員の減少が止まらない状況だ。

「すでに見守り活動や清掃ボランティアに支障が出ており、焦りを感じている」。福岡市老人クラブ連合会の幹部は危機感を口にする。定年延長や生活様式の多様化に加え、マンションが立ち並んで住民の交流が少ない地域もあり、勧誘は容易ではない。

“若手”不足も深刻だ。

鹿児島市の老人クラブ「千年千寿会」(約70人)の中野則昭会長(77)は「新規加入が進まず、高齢化が止まらない」と嘆く。平均年齢は今や80歳に迫る勢い。坂の上にある小学校周辺で下校時の見守り活動を行ってきたが、「坂を上るのがつらい」との声を受け、活動場所を変更したという。

高齢者同士の声掛け、単身世帯の見守りなど相互の生活支援も、老人クラブの重要な取り組みの一つ。孤独死や、身元不明の認知症患者の問題などが相次ぐ中、「互助」機能も注目されており、厚生労働省は「各地に根付いた『地域資源』とも言える老人クラブを活用しない手はない」としている。

◆老人クラブ=戦後、社会福祉協議会の呼びかけで各地に広がった。歩いて集まれる地域で、30〜100人程度の規模を標準としている。老人福祉法で福祉増進のための組織と位置付けられ、国や自治体から支援を受けている。

■2014.7.3  介護費不正請求:県、唐津の介護事業者を指定取り消し処分 /佐賀
県は2日、介護給付費の不正請求があったとして、唐津市菜畑の障害者福祉サービス業「株式会社 ミヤモト」(宮本栄代表)を事業者指定取り消し(9月2日付)処分にすると発表した。実態のない利用記録を作成するなどして給付費約31万円を不正に受け取っていた。

県障害福祉課によると、宮本代表は運営する障害者通所施設「なばたけ障害者支援センター たんぽぽ」=同市=の職員に指示し、2012年8〜10月の間、利用者2人の名義を無断に使うなどして虚偽のサービス利用記録を計43日分作成。唐津市に介護給付費を不正請求したという。

昨年8月、不正請求があることを職員が県に通報。監査や聴聞で裏付けた。返還金は、不正に受け取った31万6670円と加算金12万6668円で、宮本代表はこのうち約23万円を既に返した。

「たんぽぽ」は10年4月に事業者指定を受けた。現在、精神障害者ら11人が通所しており、指定取り消しまで2カ月の猶予期間を設けた。

■2014.7.3  多摩モノレール、ヘルプマーク導入
義足などを使っている人や、内臓などに内部障害を持つ人らが、公共交通機関で周囲の配慮を受けやすくするための「ヘルプマーク」=写真=が、今月から多摩モノレールで導入された。

外見からは障害などが分かりにくい人を対象とした都独自の施策。

赤地に白抜きのマークはカードほどの大きさで、カバンなどに取り付けられる。多摩モノレールの駅務室などで対象者に配布しているほか、車内の優先席にステッカーを掲示し、周知を図る。

ヘルプマークは、2012年から都営大江戸線で導入が始まり、現在は都営地下鉄のほか、都バスや都電で導入されている。都福祉保健局によると、これまでに約4万5000個が配布されているという。

http://social-welfare.rgr.jp/img/ddadddfddd.PNG

■2014.7.3  知的障害者が共同生活 小豆島で初の施設
知的障害者が共同生活を送る「グループホーム ソレイユ」が2日、小豆島町二面の旧幼稚園舎を活用してオープンした。島内に入所施設ができるのは初めて。

島内の障害者はこれまで、保護者が亡くなるなどした場合、島外の施設へ入所せざるを得なかった。保護者や支援者から長年、地域で暮らせる施設を求める声が上がっていた。

ソレイユは鉄骨平屋約325平方メートル。食堂、リビング、浴室のほか、住居6室(1室はショートステイ用)を備える。昨年の瀬戸内国際芸術祭の展示会場にも使われた旧二生幼稚園を、町が約7000万円をかけて改修。土庄町の社会福祉法人「ひまわり福祉会」が指定管理者として運営する。

関係者約60人が出席した開所式で、開設に尽力した岡裕・同法人理事長は「待望の施設が完成した。今後も同様のホームを増やし、障害者が安心して暮らせる島にしていきたい」とあいさつした。

開設とともに入居した3人のうち、弓木志保子さん(43)は「みなさんのおかげで、こんなに立派なおうちができました」。父親の恒一さん(73)は「念願がかなった。夜、娘がいないのは寂しいが、今後を考えると一安心です」と話していた。

■2014.7.3  介護食品の生産量、前年比25%増
高齢者らが食べやすいよう配慮した食品の統一規格を定める日本介護食品協議会によると、同協議会登録の介護食品の昨年の生産量は1万1686トン、出荷額が134億8100万円で、いずれも前年比約25%増になった。

平成17年以降、9年連続の増加。軟らかさやおいしさを追求した食品開発が続き、登録食品は前年から171品目増え、計1200品目。硬く大きい食品をかみやすいように調理した食品区分の生産量と出荷額が、ともに前年比で70%近く増えた。

■2014.7.3  介護保険の2割負担 個々の所得で判断、倍額とは限らず
「地域医療・介護総合確保推進法(医療と介護の確保に関する法律)」が成立し、介護保険でもさまざまな変更が行われる。介護サービスの利用料は制度発足当初から1割負担だったが、平成27年8月から一定以上の所得の人は2割負担になる。負担が1割か2割かは、サービスを利用する個々の所得で決まる。2割負担になっても、費用は必ずしも倍額にはならない。慌ててサービスを削ることのないようにしたい。

埼玉県川越市に住む川崎功さん(69)=仮名=は介護保険制度の改正が気がかりだった。自己負担はこれまで誰でも1割だったが、今回の改正で、一定以上の所得の人は2割負担になることが昨年来、報道されていたからだ。

功さんの生活は、妻、恵子さん(65)=同=の介護が中心になっている。恵子さんは5年前に脳出血で倒れ、要介護度は最重度の「5」。以前は座った姿勢が保てず、寝たきりだったが、最近はリハビリの成果が出たのか、車椅子に座って過ごせるようになった。目に入る風景が変わり、表情も明るくなったようだ。

恵子さんが使う介護保険のサービスは、週3日のデイケア、デイケア前の訪問介護、週1回の訪問看護など。他に介護ベッドや車椅子も借りており、限度額はほぼいっぱい。毎月、利用料として1割に当たる約3万5千円を払う。

功さんは「これ以外に訪問診療や薬代などの医療費もかかる。介護サービスが2割負担になって、3万5千円が7万円になったら、いったい何を減らせばいいのかと思っていた」と話す。

功さんが心配したのは、自身が元サラリーマンで、約380万円という比較的豊かな年金収入があるからだ。

だが、恵子さんの費用負担は1割で変わらない。1割か2割かは世帯の所得ではなく、サービスを利用している個々の所得で決まる。恵子さんには基礎年金の収入しかないからだ。

2割負担になる人の基準は「合計所得が160万円以上」。年金収入だけなら280万円以上に当たり、介護保険の被保険者の所得上位20%を占める。来年8月以降、功さん自身が介護サービスを使うことがあれば、功さんは2割負担だが、恵子さんは1割のままだ。

だが、個人単位で所得を見ることにした結果、2割負担の人の世帯が、夫婦とも1割負担の世帯よりも世帯収入が少ない「逆転現象」も生じそうだ。

健康保険にも、高齢でも窓口負担が3割になる所得階層があるが、介護保険の方が対象範囲は広い。功さんは「(基準となる)年収280万円は高収入とはいえないのでは…」と漏らす。

厚生労働省は「1割負担の人が2割になっても、利用料は2倍になるわけではない」と理解を求める。介護保険には、自己負担が一定限度を超えたときに、負担額が頭打ちになる「高額介護サービス費」があるためだ。

頭打ちになる額は一般的な課税所得の人で3万7200円。所得の高い人には4万4400円のカテゴリーが設けられる予定。仮に要介護5で限度額いっぱいのサービスを使う人が2割負担になっても、自己負担は7万円ではなく、4万4400円か3万7200円になる見通し。詳細はケアマネジャーに相談したい。

功さんは「とりあえず、2割負担でないと分かってほっとした」と言う。胸をなでおろしつつ、「負担が上がるのは仕方ない。保険料は上げてもいいが、利用料は上げてほしくない。一番心配なのは費用のこと。状態が悪いときに支払う利用料が上がるのは不安が大きい」と話している。

配偶者課税なら施設利用料は増


恵子さんの負担割合が変わらないことに安堵(あんど)した功さんだが、気がかりはある。仮に恵子さんが施設入所をした場合、費用は上がる見通しになったからだ。

今回の改正で、特別養護老人ホーム(特養)などに入所する低所得の人への費用補助(補足給付)の仕組みも見直された。現在、グループ単位で生活する「ユニット型個室」の特養に入所した場合、標準的な利用料は月額13万円以上。食費、居住費、介護保険の1割負担などが含まれており、所得によって利用料が異なる。

現行制度では、恵子さんのように自身は課税されないが、夫には課税所得がある人が入所した場合も負担は軽減される。世帯分離をすれば、恵子さん自身は「低所得者」と見なされるためだ。恵子さんの場合、入所すると、月に13万円以上の入所費が5・2万円程度に下がり、差額は介護保険から施設に補填(ほてん)される。

だが、制度改正で、配偶者が課税されている場合、負担軽減はされなくなる。低所得の人への福祉的給付を、世帯の所得にかかわらず出すのは好ましくないとの考え方だ。

とはいえ、入所中で負担増になる人には打撃が大きい。施設によっては20万円近い利用料を設定している所もあり、負担が一気に跳ね上がりかねない。何らかの激変緩和措置が要りそうだが、厚生労働省は「経過措置を講じる予定は今のところない」としている。

このほか、預貯金などが一定額を超える人も費用補助の対象から外れる。目安は単身で1千万円超、夫婦世帯で2千万円超で、不正受給者には加算金が課される。当初は一定の評価額を超える不動産を所有している場合にも対象外とする方針だったが、今回は見送られた。

■2014.7.3  虐待や預金不正引き出し、高齢者向け賃貸経営者を提訴
大阪の高齢者向け賃貸住宅経営者らを提訴
預金を勝手に引き出されたり介護放棄などの虐待を受けたりしたとして、大阪市北区にある高齢者向け賃貸住宅「ドクターズマンション天六苑」の経営者らに約3000万円の損害賠償を求め、元入居者が大阪地裁に提訴した。

身体拘束や介護放棄などの虐待
原告は60代から90代の生活保護を受ける男女5人で、いずれも要介護度が4以上で認知症を発症している人もおり、判断能力が充分でない状態だという。

入居中、ベッドに拘束されたり入浴などの介護を受けられなかったりなどの介護放棄の虐待を受けていた。

大阪市では、昨年2月に立ち入り調査を実施し、これらの事実を確認している。その際に、当時入居していた全員を特別養護老人ホームや医療機関に移した。

入居者の口座から不正に引き出し
訴えによると、同マンションの経営者らによって、入居者の預金口座から合計で1800万円以上が引き出されている。

そのほとんどは使途不明であるとのことで、弁護士を通じて運営会社などに対し、慰謝料を含めた約3000万円を請求している。

■2014.7.3  認知症予防にもおすすめ!頭と指先をフルで使うタッチゲーム「フラッシュパッド」
光るアイコンを触るだけ!フィンガーアクションゲーム新発売
光るアイコンを触るだけで直感的に楽しめるフィンガーアクションゲーム「FLASHPAD(以下、フラッシュパッド)」が、株式会社セガトイズから2014年7月24日より発売予定です。

“日本おもちゃ大賞2014”共遊玩具部門優秀賞を受賞
「フラッシュパッド」は、赤や緑に点灯する16種類のアイコンをタッチするだけの簡単操作で楽しめる静電式のタッチセンサーを搭載したゲームパッドで、一般社団法人日本玩具協会が優れた玩具を表彰する“日本おもちゃ大賞2014”で、共遊玩具部門優秀賞を受賞。子どもから大人まで楽しめます。


ゲームは全部で8種類!1人でもみんなでも楽しめる
また、ゲームは全部で8種類あり、赤く光ったアイコンにタッチする「CHASE ME(チェイスミー)」や、複数の光ったアイコンを同時に押さえる「TWIST ME(ツイストミー)」などの簡単ルールで飽きがなく、認知症予防などにも効果が期待できます。

この他にも、2人で対戦できる対戦ゲームなどもあり、1人でもみんなでも楽しむことができます。


簡単・直感的な操作で頭と指先をフルに使う脳活ゲーム 「フラッシュパッド」株式会社セガトイズ※PR TIMES
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000128.000001909.html

フィンガーアクションゲーム「フラッシュパッド」株式会社セガトイズ
http://www.segatoys.co.jp/flashpad/

■2014.7.3  介護者の負担軽減、最先端マット 特区の岡山市
「在宅介護特区」の岡山市が市民に2月から貸し出している最先端マット「おだやかタイム」の効果について、岡山大学高齢社会医療・介護機器研究推進講座の坂野紀子講師が東京であった日本予防医学会で発表した。介護者の負担軽減の効果があったという。

マットは、ベッドや布団に敷いた上に寝た人の呼吸数や心拍数を、インターネット経由で離れた介護者に連絡する仕組み。一定時間を超えて寝床を離れたり、呼吸が止まったりすると警報を出す。

■2014.7.4  廃油バイオ燃料 姫路の福祉施設提供
姫路市打越の障害者就労支援施設「かしのきの里」は3日、市のごみ収集車の燃料として、各家庭の使用済み天ぷら油で生産したバイオディーゼル燃料(BDF)を提供する試みを始めた。市は今後、燃費や購入費などのデータを集め、継続的に使用可能か検討する。

バイオディーゼル燃料は、原料の天ぷら油などが菜種や大豆といった植物でできている。地球環境に優しく、石油のように枯渇する心配もない再生可能エネルギーとして注目されている。

同施設は知的障害者ら約30人が通所。7年ほど前から民間業者や市内の自治会などの協力でBDFの生産を始めた。支援業者が一般家庭から年間約1万5000リットルの使用済み天ぷら油を回収。飲食店など約50軒からも集めている。通所者はこの油をタンクで濾過ろかし、精製機にかけてBDFを作っている。

過去には運送会社などにBDFを販売。しかし、車両の交換などで中止になり、安定した販売先の確保が課題だった。今回、市は1リットル95円で160リットルを購入。ごみ収集車1台に試験的に使用する。支援している三和良夫さん(65)は「安定して販売できれば障害のある人たちの収入につながる。ぜひ軌道に乗せたい」と話している。

■2014.7.4  高砂の特養問題:尼崎の社福法人、施設建設を断念 住民反対で、代替地未定 /兵庫
住民の反対が続いていた高砂市中島3での市公募特養施設建設計画について、事業者の社会福祉法人博愛福祉会(尼崎市)が同所での建設を断念したことが分かった。市が3日、毎日新聞の取材に明らかにした。

市によると、事業者が断念を伝えてきた文書は6月9日付で、登幸人市長宛て。市はすでに受理した。

市建築指導要綱が定める関係住民らが自ら実施した署名活動で、空き家・不在の計8戸を除く82戸のうち71戸(86・6%)が建設地移転を希望。生活環境悪化への懸念が主な理由だった。このため、市が事業者に代替地探しを促していた。

今後は事業者が市内の別の地点を選び、市に伝える必要があるが、まだ決まっていないという。市は建設が進まないため、昨年度の県の補助金1億1600万円を全額返還したが、事業者が代替地を決め次第、再申請する方針。

■2014.7.4  地域リハ・ケアセンター:地元で尊厳ある一生を 米沢に10月誕生 置賜地方初、三友堂病院が運営 /山形
◇医療、介護、支援住宅結合

米沢市成島に医療・介護・生活支援を総合的に組み合わせた施設「三友堂地域リハ・ケアセンター」が10月に誕生する。一般財団法人「三友堂病院」(同市中央)が運営する。病院、介護施設、高齢者向け自立住宅を結合したものは、置賜地方では初のシステムで、県内でも珍しいという。どのようなものなのか取材した。【佐藤良一】

「最後まで尊厳ある一生を地元で生きられる小さな町づくりのようなものです」。こう語るのは、三友堂病院の系列病院「三友堂リハビリテーションセンター」の川上千之・地域リハビリテーション部長(71)。では、どんな「町」ができるのか。

リハ・ケアセンターは現在、総床面積約2300平方メートル、3階建ての建物を建設中だ。北側は田んぼに面して農村風景を一望できる。東側にはスーパーやドラッグストア、南側には道を挟んで書店、西側にはホームセンターがある。

リハ・ケアセンターの2、3階は全室バリアフリーのサービス付き高齢者住宅(サ高住)「おたかぽっぽ」になる。介護施設と違うのは、自立支援型の住宅であること。ヘルパーが24時間常駐し、入居者は安否確認と生活相談のサービスを受けることができる。平日は医師・看護師も常駐し、健康管理からみとりまで行う予定。食事は管理栄養士、調理師が手作りで提供する。いわば「ついのすみか」だ。

1階には訪問看護ステーション、訪問介護ステーション、通所リハビリテーション、居宅介護支援センターが入る。入居者が他施設のサービスを受けるのも自由だ。必要なものを必要なだけ、その人に合ったサービスを受けられる体制を目指す。川上部長は「1階には保育所も作ります。高齢者と子供たちが交流できるように工夫しました」と話す。

三友堂病院がバックアップすることで、「完成すれば、病院、リハビリセンター、サ高住の全部を網羅した地域包括ケア・システム構築になる」と川上部長。「センター内に町内会のような助け合いのコミュニティーを作りたい」と意気込みを語る。
厚生労働省も、急速に進む高齢化社会で介護施設の不足を考慮し、「介護漬け」でない自立した高齢者の生活環境づくりを目指している。背景には「最後まで住み慣れた地域に住み続けたい」という高齢者の思いがある。そのためには、従来の医療・福祉・介護の縦割りの壁を取り払い、地域全体で高齢者を見守る「地域包括ケア」の考えが必要になる。

デンマーク政府が1982年に打ち出した「高齢者福祉三原則」が日本でも参考になると指摘されている。第1に、高齢者の生活を継続できるようにする。第2に、老後の暮らしを高齢者自身の決定にまかせる。第3に、高齢者が自立できるための支援を行う。デンマークではこれ以降、介護施設が減少し、高齢者向け住宅が増加したという。

サ高住は、現時点では少し高額だが、県内でも建設が続いている。「サービス付き高齢者向け住宅」のホームページ(https://www.satsuki-jutaku.jp/index.php)で詳細が分かる。

■2014.7.4  触覚タグ:触って色が分かる 視覚障害者の服選びに 日本女子大チーム
視覚障害者が衣類の色を認識できる「触覚タグ」を、日本女子大の佐川賢・非常勤講師(人間工学)らの研究チームが開発した。タグには、衣類に使われている色が、触れるだけで分かる特殊な突起がある。全盲の人が色を知る目印の付いた衣類はなかっただけに、普及すれば、衣服を選ぶ際に感じていた不便さが改善されることが期待される。

研究チームは、濃い赤や薄い赤、無彩色の黒や灰、白などさまざまな色を示すサンプルを円形状に配置したタグを作製。これは色の配置場所が一定のルールで決まる「色相環」の概念を応用した。

その上で、衣服の色を示す色の部分にだけ、突起の大きさを変え、配置と手触りでどの色が使われているのかが分かるように工夫した。

30〜70代の全盲者10人に10分ほど、この仕組みを説明して試したところ、ほぼ全員が色を識別することができたという。

タグは東京都内のメーカーが作製し、すでにアパレル業界との交渉も始まっている。

研究チームは当面、配色が比較的単純なTシャツなどでの実用化を目指す方針で、佐川さんは「花柄模様などを伝える工夫も検討していきたい。色同士の関係を知り、コーディネートを楽しんでほしい」と話す。

■2014.7.4  雨の日の介護も安心 自動雨よけテラス
介護の手助けに、と自動車整備業の川口自動車工業(大阪府守口市)は、車両ドア上部に装着する雨よけ装置「雨やどりKD1300」を開発、6月に販売を始めた。リモコン操作でひさしを引き出し、雨の日でも介助者は両手を使って車いすなどの乗降を手助けできる。

「雨やどり」は、専用の金具かマグネットで車体に装着。内部にロールスクリーンのように布地を収めている。使ったあと、ひさしをしまい忘れて走り始めても、時速4キロでセンサーが感知し自動で収納する。

開発は5年前、大手自動車メーカー関係者との雑談から始まった。車いすを積める福祉車両を購入する人の多くが、乗降時の雨対策を求めていたという。「意外にも商品がなく、チャンスと思った」と川口晃信社長。

初代は手動式だったが今回、自動式を開発し、すでに介護施設から受注したという。バス会社から小型バスに取り付けたいという引き合いもあり、販路は広がってきた。川口社長は「大手が手がけない商品を開発していきたい」と話す。

http://www.ultravan.jp/

■2014.7.4  <テルモの流動食>胃食道逆流のリスクを考えた液体流動食を販売開始
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=363421&lindID=4
テルモ、胃食道逆流のリスクを考えた液体流動食「マーメッド」を販売開始

摂取時は液体、胃の中で半固形になるよう設計
胃食道逆流のリスクを考えた液体流動食
テルモ、「マーメッド」を新発売


テルモ株式会社は、栄養調整食品の液体流動食シリーズで、摂取時には液体で、胃の中で粘度を増して半固形状になるよう設計された新製品「マーメッド」を6月27日より販売を開始した。

医療・介護の現場では、食が細くエネルギーが不足してしまう方や高齢者向けに、エネルギーや栄養素を補給する栄養食品が使われている。液体流動食は胃の中まで入りやすい反面、寝たきりの人では、胃の中に入った流動食と胃液が食道を逆流して気管に入り、誤嚥性肺炎を引き起こすことがある。近年、日本人の死因第3位となっている肺炎のうち、高齢者の肺炎は70%以上が誤嚥性肺炎であると言われている。

テルモの「マーメッド」は、摂取する際は液体だが、胃の中では製品に含まれるアルギン酸塩(※)と胃酸が反応することで、適度な粘度の半固形に変化するよう設計されている。なお、「マーメッド」は株式会社カネカが技術開発し、テルモが販売。摂取のしやすさと胃の中での安定感を両立し、医療・介護現場の安心・安全へ貢献することが期待される。

※アルギン酸塩は昆布やワカメなどの海藻に含まれる水溶性食物繊維で、人工イクラや止血剤にも使用されている安全性が国際的にも認められた素材。

製品特長:
・pHの低下により粘度が上昇し、液体から半固形状になる流動食
・1日3食(900kcal)で、1日に必要なビタミンや微量元素を摂取可能
・水分量は84g/100kcalで統一されており、エネルギーは300kcalと400kcalの2タイプ

■2014.7.4  半数の介護施設が入居時に認知症を発症している人は「5割以上」と回答
高齢者向けの介護施設紹介事業を行う「あいらいふ入居相談室」は、主に首都圏の有料老人ホーム73施設を対象に「認知症ケア」についてのアンケート調査を実施しました。調査時期は5月。

まず、入居時に認知症を発症している人の割り合いを聞いたところ、最も多かったのは「5割以上〜8割未満」の51%だった。次いで、「3割以上〜5割未満」が23%、「8割以上」が14%、「3割未満」が12%となっている。

認知症専用フロアを設けていたり、ユニットケアを導入している施設は35%、認知症ケアの専用資格を持つスタッフがいる施設は34%。持っている資格で最も多いのは「認知症ケア専門士(22%)」で、「認知症ケア指導管理士」や「認知症ケア上級専門士」はそれぞれ1〜3%にとどまった。

症状緩和に効果のあるケアで、実践したことがあるものを聞いたところ、24%の施設が「音楽療法」、21%の施設が「アートセラピー」と回答。そのほか、「園芸療法(19%)」、「アニマルセラピー(10%)」、「回想法(9%)」などがあげられている。また、最も力を入れているケアについても「音楽療法(46%)」が最多で、ついで「園芸療法(14%)」、「回想法(7%)」、「アートセラビー(6%)」となった。


「音楽療法」に最も力を入れている理由については、「声を出すことで、食欲増進や複数の効果も考えることができるのです」(ツクイ・サンシャイン川崎宮前)、「気軽に行なえ、かつ参加型のレクリエーションである。歌や音楽を通じて時代の流れの中で回想も行なうことができる。入居者の心が穏やかになる」(ケアホームうらら一之江)、「誰でも受け入れやすく、年代に合わせた選曲をすることが可能」(ハートフル幕張)などの意見が寄せられている。


なお、家族に協力して欲しいことを聞いたところ、最も多かった回答は「症状の理解(33%)」で、「面会に来る(31%)」、「認知症であることの受け入れ(29%)」という意見も3割程度みられた。


家族に最も協力して欲しいことでは、「認知症をまっすぐに受け入れる事への心構えを少しでも持っていただけるようお願いしたい」(サニーパレス京橋)、「認識力や感情の表出が低下するので面会が遠ざかるケースが多いのですが、五感を働かせることが大切。声や香りなどで安心を感じられるケースが多いのも事実です。

安心のためにもできる限りの面会をお願いできればと思います」(ゆうらいふ世田谷)、「日常動作ができなくなった時、叱責せず、やさしく見守って欲しい。人格を尊重した言動をお願いします。日常生活行動の深い理解も合わせてお願いいたします」(敬老園ロイヤルヴィラ、ナーシングヴィラ八千代台)、「できるだけ面会に来ていただき、昔の話をしていただきたい」(ツクイ・サンシャイン南巽)などの意見が寄せられている。

■2014.7.4  141の有料老人ホーム、前払い金管理不適切
厚生労働省は3日、全国の141の有料老人ホームで、入居者から預かった前払い金の管理が不適切だったと発表した。経営破綻した場合でも返還できるような対策を取っていなかった。厚労省は指導を徹底するよう都道府県などに通知した。

昨年10月末時点での状況を調査。2006年4月以降に設置された有料老人ホームは、入居者1人につき最大500万円までの前払い金を保全するよう老人福祉法で義務付けられている。

調査によると、香川県高松市内1施設など全国1201施設で前払い金を徴収。うち高松市内の施設など1060施設は、金融機関と連帯保証契約を結ぶなどして返還できるよう対策を取っていたが、141施設は措置を講じていなかった。

■2014.7.4  未届けホーム、一年で倍以上に急増- 厚労省調査
老人福祉法で必要とされる届け出をしていない有料老人ホーム(未届け有料老人ホーム)が、昨年10月時点で全国に911施設あることが、厚生労働省の調査で明らかになった。2012年10月段階と比べ、倍以上に増加している。この結果を受け厚労省では、都道府県や政令指定都市、中核市の担当部局に指導の強化を求める通知を発出した。

有料老人ホームを運営する事業者には、▽開設前の都道府県への所定事項の届け出▽帳簿保存および情報開示▽前払い金の保全―などが義務付けられている。また、指導監査を担う行政には、立ち入り検査の権限が与えられている。ただ、未届け有料老人ホームでは、行政によるサービスの実態把握が難しく、安全性やサービスの質を確保する上で課題とされている。

厚労省の調査によると、昨年10月段階の全国の有料老人ホーム数は9827施設。そのうち、未届け有料老人ホームは911施設あり、前回調査(12年10月時点、403施設)と比べて、500施設あまり増加した。

また、12年10月から昨年10月の1年間で、新設されたり、行政側が必要な届出をするよう要請したりした有料老人ホームは1711施設あったが、そのうち38.5%に相当する658施設が、未届け有料老人ホームだった。さらに、前回調査で未届け有料老人ホームとされた施設の62.8%に当たる253施設が、今回の調査でも未届けのままだった。

■前払い金の保全措置なしは、141施設

入居一時金などの前払い金に関する調査では、06年度以降に設置された有料老人ホーム7042施設のうち、前払い金を受け取っているのは1201施設。銀行や親会社による連帯保証といった保全措置を講じていたのが1060施設だった一方、141施設では保全措置を講じていなかった。

こうした状況を受け、厚労省では、未届け有料老人ホームや、前払い金の保全措置を講じていない有料老人ホームへの指導の徹底を求める通知を発出。さらに、指導が進んでいない地方公共団体に対しては、個別にヒアリングを実施する方針も示した。

■2014.7.4  福島で不足する介護職員 厚生労働省
厚生労働省は、福島県相双地域等への介護職員等への応援について、結果をホームページで平成26年6月27日(金)に公表した。

厚労省では、平成26年6月4日付けで、福島県相双地域等への介護職員等の協力依頼をしていた。平成26年7月1日から9月30日までの第9期応援期間の条件調整を行った結果を発表している。

福島県相双地域では、特別養護老人ホームなどで職員が不足している。東京電力福島第1原子力発電所の事故が原因だ。


応援人員はまだ足りない
応援期間第1期・平成24年7月1日から始まった厚生労働省によるこの地域への協力依頼。応援人員を受け入れる施設と、応援する施設との条件を調節した上で、行われる。

しかし、受け入れ施設側の必要としている人員には、まだ応援が足りていないのが現状だ。

例えば、第9期では、南相馬市の介護老人保健施設・長生院の受け入れ希望が5人であるのに対し、1人の応援しかない。飯舘村のいいたてホームには、1人から2人の受け入れ希望に対し、応援が0だ。

不足を補うために、福島県社会福祉協議会で引き続いて応援事業の募集が行われる。



福島県相双地域等への介護職員等への応援
http://www.mhlw.go.jp/file/

福島県社会福祉協議会
http://www.fukushimakenshakyo.or.jp/

■2014.7.4  介護報酬を不正請求 広島・福山市内の介護施設が1億4千万円返還
福山市は同市内で特別養護老人ホームなどを運営する社会福祉法人「緑寿会」に対し、職員の配置人数が不足していたなどとして、介護報酬など約1億4千万円を返還請求し、納付されたと発表した。

市によると、同会は同市駅家町や新市町などで老人デイサービスや通所介護など11事業所を運営している。昨年8月、実地指導した際、職員の配置状況から報酬算定の条件を満たしていない疑いが判明し、今年1月に監査を実施。この結果、平成22年11月〜25年12月、介護福祉士や看護師などの職員が国の基準を満たしていないことが分かったという。

このため市は4月、同会に不正請求と加算金の計約1億4千万円の返還を求め、同11日に納付された。施設側の認識不足などがあり、悪質な不正請求ではないとして、事業者指定の取り消しはしない方針。

一方、同会によると、返還請求金額のうち約8200万円は過払いにあたるとして6月30日付で市に返還請求通知書を提出。今後、市と協議するという。

■2014.7.4  介護従事者アンケート調査の集計結果を発表 横須賀市
横須賀市は、7月1日、介護従事者アンケート調査の集計結果がまとまったとし、発表した。

なお、このアンケート調査は、平成26年1月に実施したもので、高齢者保健福祉施策を検討する際の重要な基礎資料になるという。

アンケート結果概要
横須賀市は756人にアンケート用紙を配布、うち460人から回答を得たとしている。

平成26年1月1日時点における介護従事者の年齢は、40代が最も多く、163名。次いで50代の103名だ。介護サービスの仕事に携わる経験年数では、10年以上と答えた人が241名にのぼった。

平成25年1月1日〜12月31日の収入は、300万〜400万円未満と答えた人が最も多く、157名。次いで250万〜300万円未満と答えた人は95名。

なお、利用者や家族から感謝されることに仕事のやりがいを見出している人が最も多く、仕事や職場環境などには、ある程度満足しているという回答が多い。

一方、課題や悩み、不安については、仕事内容のわりに賃金が低いこと、精神的負担が大きいことが多数を占めた。


平成27年3月を目途に計画改訂
横須賀市では、平成24年2月に「よこすか高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」を策定した。

現在、介護保険をはじめとした高齢者の保健福祉事業を推進中で、平成27年3月までの計画改訂をめざす。



横須賀市・介護従事者アンケート調査の集計結果
http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/3050/

■2014.7.4  施設における認知症ケアの実態調査結果
有料老人ホーム入居者の半数以上は認知症患者
高齢者向けの介護施設紹介事業を行う「あいらいふ入居相談室」(株式会社ザップ)では、2014年5月、主に首都圏の有料老人ホーム73施設を対象に、「認知症ケア」についてのアンケート調査を実施した。

厚生労働省推計によると2010年で、日本全国の認知症患者が200万人となり、高齢者人口の急増とともに2020年には325万人まで増加すると予測される状況の中で、有料老人ホームにおける「認知症ケアの実態」を把握することが目的だ。

調査結果によると、各施設の入居時に認知症である割合は50%以上であるため、約35%認知症対応の専用フロアを設け、34%の認知症ケア専門士や指導管理士などの専門有資格者をおいている。


注力する認知症ケア
個人の尊厳の確保と安全管理のために、居室の窓のロックやセンサーマットの導入などのさまざまな対策が実施されいる。症状緩和の効果的な認知症ケアとして実践、導入の多いものは、主流は「音楽療法」で、「アートセラピー」「園芸療法」「アニマルセラピー」などであることがわかった。

各施設の管理者は、入居者の中核認知症状の表出は環境や、精神状態の安定により抑えられるといわれるため、家族の「面会」や「理解」を求めていると考えられている。

アンケート結果の詳細については下記参考リンク「あいらいふ入居相談室」webページをご参照してほしい。



株式会社ザップ プレスリリース/PR TIMES
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000009232.html

あいらいふ入居相談室 アンケート調査結果詳細
http://soudan.i-life.net/asset/20140702_release_report.pdf

■2014.7.5  放火?:完成間近の老人福祉施設で出火 徳島 /徳島
4日午前7時10分ごろ、徳島市渋野町で新築工事中の老人福祉施設内で「煙が充満している」と工事現場監督が119番通報した。1階中央フロアの床約1平方メートルが焼け、2階ホールでも床約7平方メートルや段ボール、エアコンが焼けるなどした。

徳島東署によると、現場は徳島市渋野小の南側にある3階建て施設で、完成間近だったという。火の気がない複数の場所から出火していることから、何者かが侵入して火をつけた可能性が高いとみて調べている。

■2014.7.5  障害者芸術:権利守る 作家と施設のトラブル回避へ アイサが著作権の研修会 近江八幡 /滋賀
福祉関係者30人参加

障害のある作家の芸術活動に関する相談窓口「アール・ブリュットインフォメーション&サポートセンター」(アイサ)が、近江八幡市鷹飼町の県立男女共同参画センターで著作権保護に関する研修会を開いた。知的、精神障害などを抱える作家と、創作活動の場となる福祉施設の間で、作品の所有権や収益配分を巡るトラブルが起きないよう、県内外の福祉関係者約30人が権利保護の重要性について学んだ。【加藤明子】

県は2012年3月、障害者の芸術活動の拠点となっている福祉施設などで作品の価値が適切に評価され、作家の権利が守られるようにガイドラインを策定。作品販売時の収益や所有権の取り扱いについてまとめている。

研修会では著作権に詳しい稲田優花弁護士(滋賀弁護士会)が、作品をインターネット上で無断公開する▽作品の一部に手を加え、作品名を変更するなど、著作権侵害が疑われる事例を紹介。「作家本人の同意があれば問題にならないが、家族の同意は法律上、本人の同意の代わりにならない」と説明した。

また、大津市で共同作業所などを運営する「おおつ福祉会」がガイドライン策定を受けた取り組みを紹介。法人で独自規定を作成する際、授産製品と芸術作品の区別が難しいケースがあったり、収益の配分方法では職員間でも意見が違ったりしたことなどを説明した。収益を折半する際、事業所の配分は1万円までに制限するという現在の規定でトラブルは起きていないが、今後も見直しを続けるとした。

参加した佐賀市のNPO法人「ライフサポートはる」の上田諭さん(26)は「全国で(障害者芸術が)一番進んでいる滋賀の現状を学びに来た。試行錯誤を恐れず、芸術活動を支援したい」と話した。

アイサは障害のある作家や家族、福祉事業所などから相談を受け付けており、作品の出展希望や権利保護、成年後見制度などについて助言している。

■2014.7.8  広島・介護施設入所者殺害:放火殺人、懲役20年を求刑 「短絡的で残虐」 地裁論告
東区の介護施設で2012年12月、寝たきりの高齢女性が布団に火を付けられ殺害された事件で、殺人と建造物以外等放火などの罪に問われた安芸太田町の元介護福祉士、入沢亜加音被告(22)の裁判員裁判の論告求刑公判が7日、広島地裁(伊藤寿裁判長)であった。検察側は「仕事のストレスから犯行に及び、短絡的で残虐」として懲役20年を求刑。弁護側は「自白は不自然で、作られたうそ」と放火殺人について改めて無罪を主張し、結審した。判決は16日。

入沢被告は捜査段階で犯行を認めたが、公判では一転して否認。自白の任意性や信用性が争点となっている。

検察側は論告で、公判で再生した取り調べ映像を基に「自白に不自然な点はない」と指摘。誘導や威圧もなかったと述べた。弁護側は最終弁論で、入沢被告は取り調べで「やっていないのなら証拠をみせろ」などと怒鳴られ、苦痛から早く解放されるために自白したと主張した。入沢被告は最終意見陳述で窃盗の罪については認めた上で、「放火はやっていません。私は犯人ではありません」と述べた。

■2014.7.8  不正請求:障害福祉事業所、指定を取り消し 浜松市 /静岡
訓練等給付費などを不正請求したとして、浜松市は7日、障害福祉サービス事業所「どなるどの家」(同市中区)の障害者総合支援法に基づく事業所指定を取り消したと発表した。加算金と合わせて返還請求する。

市によると、どなるどの家はサービス提供時に市町村から支給される訓練等給付費(2013年度分)について、利用者がいない日も22万円を不正に請求、受領した。従業員の賃金改善などを要件に支払われる福祉・介護職員処遇改善加算(12年度分)も、虚偽報告で5万円を受領した。

利用者からさまざまな苦情があったため、同課が昨年10月に実地指導。指摘事項を確認するため今年3月に監査を実施した。この結果、不正請求のほかに▽サービス管理責任者が未配置▽非常災害対策の対応不備なども判明。悪質性が高いと判断した。

■2014.7.8  <高齢期の備えを調査>2014年版高齢社会白書を公表――内閣府
内閣府は、このほど2014年版高齢社会白書を閣議決定し、公表した。

今年度の高齢社会白書は、高齢化の状況や高齢者を取り巻く状況をまとめているほか、35歳から64歳までの男女2,707人を対象に実施した、高齢期に向けた「備え」に関する意識調査を掲載しているのが特徴。

2012年現在、日本人の平均寿命は男性79.94年、女性86.41年だが、2060年には男性84.19年、女性90.93年になると見込まれている。調査では、経済的な備えをはじめ、就労や社会参加、健康や住まいの備えについて訊ねることで、「人生90年時代」の「備え」の状況の一端を明らかにした。

主な調査の結果は以下のとおり。

■高齢期に備えて必要と思う貯蓄額は1,000万円〜3,000万円
世帯の高齢期への経済的な備えの程度についてみると、「十分だと思う」(1.6%)と「最低限はあると思う」(21.7%)を合わせた「備えはある」とする人の割合は23.3%で、経済的な備えに不安がないのは全体の約2割だった。
「少し足りないと思う」(16.5%)と「かなり足りないと思う」(50.4%)を合わせた「足りない」とする人の割合は66.9%で、若年層ほど「足りない」とする人の割合が高くなった。

世帯の高齢期に備えて必要と思う貯蓄額については、「2,000万円くらい」とする人が19.7%、「1,000万円くらい」が19.5%、「3,000万円くらい」が19.1%だった。一方、「わからない」は15.8%だった。

また、世帯で受け取れると思う年金額は月額10万円から20万円が中心で、高齢期の生計を「公的年金」で支えようと思う人が約8割だった。

先月、厚生労働省か公的年金の給付水準を物価動向にかかわらず毎年度抑制する仕組みを2015年度に導入する方針を発表した。すでに年金を受給している高齢者にも負担を分かち合ってもらい、年金制度の持続性を高めることが目的だが、将来的に年金受給額のさらなる減少が考えられるだけに、公的年金で高齢期の生活を支えようという人の多さは気にかかるところだ。

■65歳を超えても働くことを希望する人は約半数
60歳以降の収入を伴う就労の意向と就労希望年齢については、「65歳くらいまで」とする人が31.4%と最も多く、次いで「働けるうちはいつまでも」が25.7%、「70歳くらいまで」が20.9%だった。65歳を超えても働きたい人の合計は50.4%となっている。

60歳以降に働くことを希望する理由については、「生活費を得たいから」とする人が76.7%と最も多く、経済的な備えに不安がある66.9%とほぼリンクする結果となった。

60 歳以降の希望する就労形態については、「パートタイム(短時間勤務など)の社員・職員」が53.9%と最も多く、次いで「フルタイムの社員・職員」が24.2%だった。

■高齢期に希望する住居は持家が多いが、支援やサービスも重視
高齢期の健康に関する不安の程度は、「時々感じている」とする人が49.8%と最も多かった。「常に感じている」(23.1%)と合わせると、「不安を感じている」人は72.9%にのぼる。「あまり感じていない」(20.5%)と「考えたことがない」(4.1%)を合わせた「感じていない・考えたことがない」は24.6%だった。現役世代を含む調査の結果としては、健康不安を感じる人の割合は高いと言える。

高齢期に住みたい住居形態については、「持家(一戸建て)」とする人が62.2%と最も多く、次いで「持家(集合住宅)」が13.0%で、「持家」が75.2%を占めている。「サービス付き高齢者向け住宅」は9.2%だった。

高齢期に住みたい住居を選ぶ際の条件については、「引き続き住み続けられること」が59.8%と最も多く、次いで「家賃を支払う必要がないこと」が45.0%、「高齢者への支援・サービスが充実していること」が30.1%だった。

■2014.7.9  牛乳配達で障害者に活躍の場 盛岡・福祉バンク
心身障害者らの生きがい創出を目指す社会福祉法人盛岡市民福祉バンク(佐藤晴久理事長)は新たに牛乳配達を請け負い、障害者の活躍の場を広げている。担当する古舘盛男さん(44)は「やりがいがあり前向きになれる」と仕事をこなし、仲間の希望の星に。法人は新たな挑戦が自立につながることを、委託企業は間接的な社会貢献が「付加価値」になることを期待している。

業務委託したのは第三セクターの葛巻町畜産開発公社。古舘さんは週4日、盛岡市青山の同公社盛岡営業所を起点に同市と滝沢市の計約260軒にくずまき高原牧場牛乳を届け、空き瓶を回収する。

同バンクと同公社は牧場に飾るこいのぼりの提供やイベント出店などを通じて以前から交流があった。ベテラン配達員の交代期だった事情もあり、公社側から「障害者の就労機会の拡大に寄与できれば」と業務委託を持ちかけ、約1年がかりで準備してきた。

同公社の木村元思交流製造部次長(34)は「自然環境にも人にも優しい牧場を目指してきた一環。パートナーとして期待通り働いてくれている」と全幅の信頼を置き「障害者就労への理解が社会に広がるきっかけになれば」と願う

■2014.7.9  介護業界〜人出不足〜景気回復、離職に拍車
他業種へ流出、事業所閉鎖も

京都、大阪、兵庫の2府1県で介護事業などを手がける会社「にしがき」は今春、ケアマネジャー(介護支援専門員)が結婚退職した穴を埋められず、兵庫県内で運営していた居宅介護サービスの事業所を閉鎖した。同社はもともと京都府でスーパーを経営していたが、「高齢化社会を支えたい」と、8年前に介護事業に参入。事業所を15カ所まで増やしてきたが、人手不足に足をすくわれた。

「昨年から閉鎖はこれで3カ所目」。西垣俊平社長は顔をしかめる。元々、介護業界は仕事の過酷さなどを理由に離職者が多い。同社はやりがいを高めるため、社内資格制度による昇級の仕組みを作るなど人材のつなぎ留めに知恵を絞ってきた。しかし、景気回復に伴う飲食業界などとの人手争奪戦のあおりで「今年に入って、一段と人材が確保しづらくなり」(同社長)、都市部にある事業所では離職率が5割に上るところもあるという。

事情は他の介護事業者も同様で、人材仲介業者には依頼が殺到している。特別養護老人ホームなどに人材を紹介する大阪府内の業者は「介護施設への人材紹介料を今年3月、1人当たり40万円と従来の4倍に引き上げたが、常時50カ所から引き合いがある」と、明かす。

介護サービスは高齢化で需要が高まる一方、介護従事者の待遇改善が十分に進んでいない。平均月収(2013年)が全産業平均より最大11万円も少ない上、お年寄りの介護支援には体力も必要。仕事に耐えきれず、離職する人も多い。

景気回復はそれに拍車をかけた。米リーマン・ショック後の不況時には、受注が落ち込んだ建設業界から介護に転職する例も目立ったが、最近はマンションブームや東京五輪に向けた工事の急増で、介護から建設へ人の逆流が起きている。さらに、店の維持に給与をアップしている飲食業などへの人材流出も後をたたない。

人が集められず、介護事業所を手放すケースも出ている。中小企業のM&A(企業の合併・買収)仲介業「オンデック」(大阪市天王寺区)の舩戸雅夫副社長は「昨年、大阪府内の小規模介護事業所の経営者が後継者難に加えパートも補充できず、事業所を手放した」と明かす。介護事業所の売却相談は例年5〜10件程度だが、今年は半年足らずですでに7件。売却の可能性を探っている撤退予備軍も含めると、数十件に上るという。

小規模事業者の中には介護職員不足で人材倒産するケースも見られる。帝国データバンクによると、介護サービスや老人ホームの運営を行う老人福祉事業者の13年の倒産件数は46件に上り、00年以降で最多となった。同社は「人手不足が淘汰(とうた)を加速させている」と分析する。

厚生労働省は、高齢化に対応するため、介護職員数を25年には今より最大100万人増やす必要があると推計するが、足元では人手不足がますます深刻化している。

同省の有識者検討会は今秋にも人材確保策を打ち出す方針だが、国の財政難で介護報酬の大幅アップが難しい中、有効策は見えない。人手不足が社会保障の安心も大きく揺るがせている。

◇高齢化に追いつかず

介護職員数は2012年までの12年間で約3倍となったが、高齢化のスピードに追いついておらず、厚生労働省は25年には最大で、現在より約100万人多い約249万人の人手が必要としている。一方、介護職員の給与水準(ホームヘルパーの場合)は全業種平均と比べ月額10万円以上も安く、離職率の高さの主因となっている。

■2014.7.9  就業体験:障害のある生徒2人 キリンビール横浜工場 /神奈川
キリンビール横浜工場(横浜市鶴見区)が6月24〜27日、障害者の就業体験実習生を受け入れた。昨年に続く2回目の取り組みで、今回は県立三ツ境養護学校2年の前島竜也さん(16)と横浜市立盲特別支援学校2年の山平安奈さん(16)の2人が参加した。

「あ、何か違和感がある」。工場見学者向けの売店に出す商品の検品作業。倉庫で黙々と作業を進めていた前島君が声を上げた。菓子のパッケージの中身の並びが左右逆になっていた。指導担当者は「これはなかなか見つけられないわね」と驚きの声を漏らした。山平さんは1箱ずつ丁寧に検品し、「すべて問題ありませんでした」としっかりした口調で報告した。

試飲コーナーでの接客や清掃、洗車、レストランでの食器洗い、文書整理など、ここではさまざまな体験ができる。山平さんは「接客も楽しいし、伝票の整理や検品なども好き。自分の可能性が分かってうれしい」と笑顔で話した。

障害者雇用を巡っては、昨年4月から障害者雇用促進法で法定雇用率が2%に引き上げられたが、数値達成を焦る企業の受け入れ準備不足が原因で早期に辞めてしまうケースが少なくないことも指摘されている。

同社の実習生受け入れには、働く側と雇用側との相互理解を深め、ミスマッチを防ぐ目的がある。広報担当者は「県内のグループ企業と連携し、今後は人数や日数の拡大も検討していきたい」と話している。

■2014.7.9  不正受給:宇佐市の介護支援「双葉」、県指定取り消し /大分
県は8日、介護報酬計約790万円を不正受給していたとして宇佐市上庄の「双葉」(秋吉瑞枝・代表社員)の居宅サービス事業者と居宅介護支援事業者の指定を取り消すと発表した。31日付。

県によると、双葉の運営する2事業所は2012年12月〜今年2月、サービス実施記録を作らずに居宅介護サービス費を請求するなど計約2080件の不正請求を繰り返したという。保険者の宇佐市などが返還を求める。

また、同施設で勤務している小拂恵子ケアマネジャー(54)が虚偽の報告書を提出するなど違反行為があったとして、8日付で資格を取り消した。

■2014.7.9  「大阪あんしん住まいるサポーター」が商品化
高齢者と障がい者のための居住支援サービス
大阪府は、民間賃貸住宅に入居する高齢者と障がい者などのために、家賃債務保証や安否確認などの居住支援サービスを組み合わせた「大阪あんしん住まいるサポーター」が商品化したことを、平成26年7月7日に発表した。

大阪府は、住宅確保について配慮が必要な高齢者や障がい者なども安心して住まいを選び、入居できるための環境づくりに取り組んできた。

今回はその一環で、緊急雇用創出基金事業を活用したもの。居住支援サービスの提供についての企画提案公募で採択されたエイ・ワンHNG共同企業体が商品化を行った。


「大阪あんしん住まいるサポーター」とは
高齢者や障がい者が、民間賃貸住宅に入居する際、家主や管理会社は、個別で複数のサービスへの申し込みを面倒がったり、家賃滞納や失火や水漏れ、病気など緊急時を心配したりする。

「大阪あんしん住まいるサポーター」は、このような家主の不安を低減してくれる。家主と管理会社が契約者となる。申込窓口を一本化し、家主のニーズに応じたサービスを、簡易な手続きで提供してくれる。

サービスは次の6つで構成されている。他の入居者などに対する賠償責任保険・家財保険。孤立死などトラブルが起きた際にも原状回復費用を補償してくれる原状回復共済。

連帯保証人の不在や家賃滞納の不安を解消してくれる家賃債務保証。オペレーターが安否を確認するお元気コール、緊急時の駆けつけも行う見守りサービス。死亡時に残された家財道具の片付けを行ったり、室内の修繕費用を補償したりする費用保険。

それぞれの状況に応じた選択導入ができる。費用は、家財保険と原状回復共済、月1回のお元気コールの組み合わせで、月額税込み1,370円となっている。



「大阪あんしん住まいるサポーター」について
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/

■2014.7.9  「福祉コンビニ」9月開店 大津市、障害者雇用促進で
大津市は、大手コンビニチェーンの「ニューヤマザキデイリーストア大津市役所店」が九月中に、市役所新館一階に開店すると発表した。障害者雇用促進の一環で「福祉コンビニ」として従業員の一人は障害者とする方針。

コンビニ店は市民ロビー横の九十五平方メートルで午前八時から午後七時まで営業。食料品や日用品などの販売を予定する。病院内での食堂経営や給食を手掛ける企業「マック」(京都市左京区)が運営する。

同所では市内の社会福祉法人が喫茶店を運営していたが、使用料の支払いを不正に免れたことが発覚した影響で撤退。昨年度末で本館五階の購買コーナーなども閉店したため、市は市役所内で食料品を購入できる施設設置を進めていた。

コンビニ店の従業員は五人程度だが、越直美市長の提案もあって一人は市内在住の障害者にする。今後、ハローワークなどで公募するという。

越市長は「障害者の雇用を条件に(営業店舗の)公募をしていた。これからしっかり準備をしていく」と話した。

■2014.7.9  毎月100万円の赤字!?障がい者雇用における現状と今後
障がい者の雇用拡大とともにグループ求人が減少
福岡市を中心に「障がい者の方の雇用増と賃金アップを目的」に活動している一般社団法人障害者自立支援協会グループでは、障がいの状況に合わせた仕事を提供し、自立支援を行っている。

同グループが運営するブログ「日々の出来事」の7月5日付の記事では、障がい者雇用における現状について書かれていた。

賃金アップなど就労条件の改善が急務だが
記事によると、法定雇用率の引き上げなどの法改正により企業による求人や、A型事業所と言われる就労施設が増加しており、同グループの求人が減っているとのこと。

障がい者雇用の場が広がることは大変喜ばしい状況であり、同グループでも雇用を確保するため、4時間勤務者の時給引き上げ、勤務体系を6時間勤務や、8時間勤務者を増やすなど、賃金の向上に努めたいとしている。


障がい者のスキルアップ、生産性の向上がカギ
一方で、すぐには対応できない現状もあるようだ。同日付の別の記事によると、A型事業所では4時間勤務が圧倒的に多いと言う。

その理由として、現実にはスキル不足などにより生産性が低いことから、時給720円で6時間勤務にすると毎月約100万円の赤字を覚悟しなければならないそうだ。

同グループでは、現状を打開するには、障がい者の生産性の向上が課題であり、自前の職業訓練学校を早期に立ち上げるなど、スキルアップを図り、生産性の高い人を育成することが急務だとしている。


日々の出来事|一般社団法人 障害者自立支援協会
http://shogaisha.org/archives/category/

■2014.7.9  <悪徳商法>健康食品送りつけ商法で高齢者のトラブル5年間で1.6倍に
消費者庁は、6月17日、2013年度の「消費者白書」を公表した。

同庁によると、高齢者のトラブル件数(08〜13年度)の増加率は5年間で約63%(1.6倍)も増えており、高齢者人口の伸び(約13%)を大きく上回ったことを明らかにした。特に増加しているのが電話勧誘による「健康食品の送りつけ商法」で、高齢者がターゲットになっている実態が浮き彫りになった。

インターネット接続回線、携帯電話サービスなどのトラブルに関しては、全国の消費生活センター等への13年度の相談件数が、09年度の約1.7倍にあたる約4万件と増加傾向にある。中でも光ファイバーなどのインターネット接続回線の相談において、65歳以上の高齢者の割合が、13年度は09年度の1.5倍と、全体の4分の1を占めるまでに増加している。

高齢者の相談1件あたりの平均金額は、契約購入金額で約168万円、既支払額で約87万円で、65歳以下を2〜3割上回っている。また、詐欺的投資勧誘など、以前に遭った被害の救済を装って勧誘する手口である「二次被害」についても、2010年度以降大きく増加し、昨年は約7,800件寄せられた。

このように、高齢者がトラブルに巻き込まれるケースが年々増加しており、被害を食い止めるための見守りの強化が重要課題となっている。同庁では、その対策として、2013年度に高齢者を対象とした定期的な電話による見守りや悪質な電話勧誘の通話録音などを行うモデル事業を実施し、地方公共団体向けに対策の手引きを作成した。モデル事業で、「録音します」という警告メッセージを流す機能のある通話録音装置を設置した世帯では、悪質な電話勧誘が大幅に減少したという好結果が出ている。

◎消費者庁
http://www.caa.go.jp/index.html

■2014.7.10  助成金不正受給 2団体に120万円返還請求 / 横浜市
福祉事業を支援する助成金を不正に受給したとして、横浜市港北区社会福祉協議会が、障害者の余暇活動などを行う2団体に助成金計120万円の返還を請求していたことが9日、分かった。横浜市社協によると、助成金は各区社協で交付しているが、不正を理由とした返還請求は初めて。

返還を求められたのは、知的障害者の当事者活動を行う水泳クラブとパソコン教室。福祉事業を支援する目的の同区社協の助成金が、水泳クラブには2011年度までの4年間で計80万円、パソコン教室には10、11年度の2年間で計40万円が交付されていた。

同区社協が12年7月、要綱に基づき活動実態を確認したところ、2団体とも社協に提出した助成金完了報告書の記載内容と、保管義務のある領収書が一致していなかったほか、金融機関に振り込まれた助成金が当該年度中に引き出されないなど、不明瞭な点が多数発覚した。

 「団体固有の活動が認められない」と判断した同区社協は「虚偽の申し込み」と認定し同8月、2団体に返還を求めた。12年度分については、申請のあったパソコン教室の助成金交付決定を取り消した。13年度以降は申請していない。

パソコン教室は昨年6月に全額を返還したが、水泳クラブは未返還となっている。同クラブは活動実態を説明する追加資料を提出したが、同区社協は実態を認めていない。同クラブは返還請求を不服として返還しておらず、市社協は「引き続き返還を働き掛ける」と話している。

市社協によると、18区社協と市社協の12年度の助成金は計約2300件、総額約1億6600万円に上る。事前の計画通りに事業が行われず返還させた例はあるが、不正を理由にした返還はないという。

今回の返還問題を受け、市社協は再発防止のため14年度から、10万円以上の助成金を受ける団体に対し、翌年度に提出する助成金完了報告書に、領収書のコピーの添付を義務付けるよう要綱を見直した。

■2014.7.10  大阪でタンデム自転車を楽しむ会、寄付集めをFAAVO大阪で開始
「大阪でタンデム自転車を楽しむ会」は、タンデム自転車の購入や、パイロットを増やすための試乗会の開催の経費を捻出する寄付集めを地域密着型クラウドファンディング「FAAVO大阪」で8月7日まで行う。目標金額は30万円。


視覚に障害のある方が運転するパイロットの力を借りれば自由に好きなところに行けるようになるのがタンデム自転車。日頃、外出をしたり、自由に移動ができない人たちの願いが叶えられる。

同会会長の鈴木昭二さんは「我々視覚障害者の希望する自転車に乗車できるのはタンデム自転車だけです。今不足しているのはタンデム自転車とその運転をしていただくパイロットです。ぜひ、ご協力をお願いします」とコメントしている。

■2014.7.10  障がい者支援策で市長に要望 公明党川崎市議団
公明党川崎市議団(後藤晶一団長)はこのほど、市役所内で福田紀彦市長と会い、障がい者支援施設に関する要望書を手渡した。これには後藤団長のほか、岩崎善幸、山田晴彦、吉岡俊祐、河野ゆかりの各議員が同席した。

障がい者支援施設は、重度障がい者が入所し、自立訓練などの福祉サービスを受ける施設。川崎市の場合、定員が全国平均の3分の1程度にとどまっており、入所希望者の増大に対応できていない。ただ、定員や施設の建設は神奈川県の障害者福祉計画で定められているため、市が独自に決めることはできない。今年中に県が第4期福祉計画(2015年〜17年)を策定することから、定員増や施設の新規着工などが盛り込まれることが期待されている。

要望書では、(1)県に対する入所の定員増の要請(2)市南部に新たな施設を整備するための土地確保(3)入所施設とともにショートステイやリハビリが行える複合型施設の建設―の3項目を提案している。

席上、後藤団長らは「当事者だけでなく、保護者の高齢化も切実な問題となっており、県福祉計画に反映できるよう迅速な対応をお願いしたい」と伝えると、福田市長は「直接、県に要望を伝えていきたい」と前向きな取り組みを確約した。

■2014.7.10  共に働き生きる福祉農場たつかーむがビオカフェをオープン!
こだわりの有機農作物を提供
北海道有珠郡壮瞥町の合同会社農場たつかーむが今月、新たに敷地内に「ビオカフェたつかーむ」をオープンさせた。設立者の夫婦と養護学校の卒業生が離農跡地で共同生活をしながら始めた農場が、現在では、障がいがある人も、そうではないとされる人も、さまざまな人々が集まり共に働きあう場に成長。畑と家畜と人間が有機的に循環する農法を採用し、7haの畑で数十種類の有機農作物と、4,000羽の自然養鶏により有精自然卵の生産を行っている。

オープンしたビオカフェでは、「たつかーむ」において有機栽培した野菜や大豆、鶏卵などを使用し、手作りのスイーツや軽食を提供する。

カフェは、農場前を走る道から見える敷地の一角に建てたセンターハウスの2階に開設。あたたかみのある木材をふんだんに使ったナチュラルで開放的な空間で、テーブル席とカウンター席、あわせて60席を設けている。大きく開けた窓からは昭和新山や滝之町中心街が望め、景色も美しい。

就労による自立、カフェは交流の場にも
メニューは、季節の野菜とこだわりの有精卵を用いたオリジナルの「たつかーむプレート」をはじめ、農場で採れた大豆を活かした豆乳のスムージーやシフォンケーキ、おからを使ったガトーショコラなど、健康的で美味しい、スタッフ手作りのスイーツ・軽食が中心。町内産のリンゴやブドウをまるごと使用したジュースも提供し、ゆっくりと過ごせるカフェになっている。

農場たつかーむは、2006年の障害者自立支援法施行を機に、任意団体から合同会社として法人化、障害者と雇用契約を結ぶ就労継続支援A型事業所と、就労移行支援の多機能型事業所として運営する“福祉農場”となっている。

また農場で働くメンバー、さらに地域の福祉サービスを充実させるため、NPO法人サポートセンターたつかーむを設立し、ケアホームや地域活動支援センター「ノンノ」の運営、相談支援・居宅介護・ガイドヘルプサービス事業も行っている。これらが両輪の輪として機能することにより、経済的にも社会的にも自立した生活が実現しているという。

「ビオカフェたつかーむ」は、地域の人々に利用してもらうことで、より交流を深められる場にしていきたいそうだ。営業時間は月〜金曜の13:00〜16:00。問い合わせは、合同会社農場たつかーむまで。


合同会社農場たつかーむ ホームページ
http://www.tatukam.jp/

■2014.7.10  キリンビール横浜工場で障害者のある高校生が就業体験
キリン株式会社の障害者雇用への取り組み
キリン株式会社は、2011年に制定したキリングループ障害者雇用憲章に基づいた、障害者の活躍の場を広げる活動に取り組んでいる。

その一環として首都圏の本社部門をメインに地域の特別支援学校、就労支援センターと連携して、知的障害のある高校生の体験就労を実施、継続している。その結果2012年1名、2013年6名、2014年10名が採用され、各部門で活躍している。

2工場でも就労体験を実施
2013年度からは中野本社をはじめ、キリンビール横浜工場、キリンビバレッジ湘南工場でも体験就労を実施。中野本社では1週間の就労期間中、16種類の仕事を体験。横浜工場では商品の検品、文書廃棄、緑地管理、伝票整理など実習生が日頃就労訓練を行うような内容の仕事を体験した。

2014年も6月24日(火)から27日(金)までキリンビール横浜工場(横浜市鶴見区)が
県立三ツ境養護学校と横浜市立盲特別支援学校から各1名ずつ計2名の障害者の就業体験実習生を受け入れた。

工場見学者向けの売店に出す商品の検品作業、試飲コーナーでの接客や清掃、レストランでの食器洗い、文書整理などさまざまな体験ができるため、実習生は仕事への意欲がわき、どのような仕事が自分の適性なのかが分かる。


事前の実習が仕事のミスマッチを防止
同社は実習生を受け入れることで、雇用前に働く当事者側と雇用する企業側双方の理解を深め、職場、仕事内容のミスマッチを防いでいる。

障害者雇用については採用する企業が増加する一方で、企業側の配慮が足りず、適応できなかった障害者の早期退職の問題も起こっている。

雇用前の丁寧な実習が障害者が生きがいを持って仕事ができる障害者雇用の成功につながる好例といえよう。

キリンホールディングス多様性推進に向けた取り組み
http://www.kirin.co.jp/csv/diversity/promote.html

キリンホールディングス障害者雇用の取り組み
http://www.kirinholdings.co.jp/csv/human_rights_labor/
http://social-welfare.rgr.jp/img/koyou-kirin0022.png

■2014.7.10  夜用尿とりパッドの使用により要介護者の「睡眠の質」が改善
ユニ・チャーム株式会社は、広島大学大学院総合科学研究科林光緒教授と共同で実施した紙おむつ使用高齢者の睡眠の質に関する研究内容を、第27回『日本老年泌尿器科学会』および第39回『日本睡眠学会』で発表した。

紙おむつ使用者は「睡眠の質」が低下
この研究は、老人福祉施設に入居する紙おむつ使用高齢者の睡眠時の脳波を測定し、睡眠状態の確認と「睡眠の質」を改善するケア方法の検証を行い、その結果をまとめたもの。

研究によると、対象となった紙おむつ使用高齢者は、健康な80代の女性と比べ「睡眠の質」が低下していたことが判明した。


夜用パッドの使用とケアの介入により、睡眠効率が改善
そこで、全員の就寝時に使用していた尿とりパッドを、尿の逆戻りを抑える機能を持つ夜用パッドに変更し、夜中のおむつ交換を中止した。使用した夜用パッドは、皮膚表面の水分量を抑え、おしりをドライでかぶれにく状態に保つ働きがある。

さらに、夕食時からカフェインフリー飲料へ変更したり、就寝2時間前に足浴や体操を実施したりするなど寝入りを促進するケアを実施することで睡眠効率の改善が見られたという。


生活リズムの改善につながった例も
ケアを実施した高齢者や施設介護者からは、「とても気持ち良かった」「良く眠れた」「表情が穏やかになった」などの感想が聞かれたとのこと。また、睡眠の質を改善することで生活リズムを取り戻し、日中の活動性が向上した事例もあったという。

ユニ・チャームでは、尿の逆戻りを抑えた夜用パッドが「睡眠の質」を高めることに貢献できたことについて、大変喜ばしいことであり、今後も、高齢者と介護者の生活の質を向上させる活動を推進していきたいとしている。


ユニ・チャーム株式会社のニュースリリース
http://www.unicharm.co.jp/company/news/

■2014.7.11  無免許で利用者送迎2年半 障害者施設の職員
兵庫県小野市内の障害者支援施設で働く女性職員(43)が、2年半の間、無免許で車を運転して施設利用者を送迎していたことが10日、神戸新聞社の取材で分かった。4日に追突事故を起こして発覚した。施設は無免許だったことを把握していなかったという。

施設の園長(62)らによると、女性職員は生活介護事業の支援員。2012年1月に酒気帯び運転をして免許取り消しとなったが、施設に報告せず勤務していた。利用者の送迎は週1回程度担当していたという。4日は自家用車で帰宅中に車に追突する物損事故を起こした。

施設を運営する社会福祉法人が処分を検討しており、女性職員は自宅待機している。園長は「真面目な職員で信用していた。無免許運転に気付くことができず、利用者やご家族には大変申し訳ない」と話している。

■2014.7.11  また虐待か/懲りもせずに/茨城県社会福祉事業団/あすなろの郷
利用者の男性を虐待したとして、県が知的障害者総合援護施設「県立あすなろの郷」(水戸市杉崎町)を運営する県社会福祉事業団に再発防止などを求める勧告を行っていたことが10日、県などへの取材で分かった。

県などによると、同施設の常勤嘱託の男性職員が6月17日、同施設の作業所で、短期入所していた知的障害者の男性に薬を飲ませようとしたところ、男性が抵抗。職員はカッとなって男性の左太もも裏を蹴ったという。監視カメラに映っていたことから発覚。同事業団が翌18日、県に報告し、県は「虐待」と判断した。職員はすでに依願退職している。同施設の遠西豊所長は「再発防止に努めたい」と話した。

■2014.7.11  返還請求の助成金 同じ福祉団体が受給か / PWL
横浜市港北区社会福祉協議会が障害者団体に助成金の返還を求めている問題で、助成金を事実上受給していたのは同市内のNPO法人だった可能性が高いことが10日、神奈川新聞社の調べで分かった。団体の関係者は「法人の活動だったが、個人名で申し込んだ」「受け取った助成金は法人側に渡した」と証言する。これに対し、法人側は「各団体とNPO法人は別人格」と否定している。

港北区社協は2012年8月、知的障害者の当事者活動を行う水泳クラブに11年度までの4年分80万円、パソコン教室には2年分40万円の「港北みんなの助成金」の返還を求めた。提出された助成金完了報告書の内容と保管義務のある領収書が一致していないことなどから、「団体固有の活動が認められない」と判断した。

2団体の代表は助成金申請当時、いずれも市内で障害者グループホーム(GH)などを運営していたNPO法人「PWL」(横浜市中区、箕輪一美理事長)の職員だった。

関係者の一人は「団体の活動はPWLの事業の一環で、参加者もPWLが運営する事業の利用者」と説明。この助成金は「1団体1事業」と規定されており、結果的にそれに反した申請だったと認める。申請に必要な3カ月の活動実績については「要件を満たす活動はなかった」と話す。

助成金の使途について、ある関係者は「自分名義の口座に振り込まれたものを引き出し、PWLの出納担当に渡した」と証言。助成金完了報告書などで「講師謝金」を受け取ったとされる関係者は「受け取っていない。領収書があるなら偽造だ」と強調した。

また、「助成金をもらえる方法を考えるようにと、法人役員から指示された」「PWLの名前ではもらえないので、個人名で申し込むよう、法人役員に頼まれた」と証言する関係者もいる。

こうした証言は、港北区社協の「団体固有の活動が認められない」との見解とも符合している。

同区社協は助成金の返還請求に合わせ12年8月、同様にPWLの職員が代表者を務めていた新規2団体について、実態が不明として12年度の支給決定を取り消した。新規団体の関係者は「幹部に『名前を借りる』と言われ、法人の利用者名を使い申請した。団体の実体はなかった」と打ち明ける。

PWLは神奈川新聞社の取材に対し、新規も含めた計4団体について「基本的に活動はPWLの事業ではない。会計面でも混同していない」との見解を示す。「役員に頼まれた」との証言があることに対しては、「PWLが助成金を申請することはなく、(証言内容は)あり得ない」と否定している。

PWLは同市内で展開する障害者GHなどの運営で指導を受けたほか、介護保険事業所の指定を取り消されるなど、問題が相次いで発覚。7月までに、GHと日中活動5事業を同市保土ケ谷区内の社会福祉法人に引き継ぎ、公的事業から事実上撤退している。

◇「公金の認識欠如」

「福祉事業の従事者には、一般より高い倫理観が求められている。だからこそ、性善説に基づいて制度がつくられている」。元横浜市中福祉事務所長で、現在はNPO法人「よこはま成年後見つばさ」理事長を務める須田幸隆さん(70)は、そう強調する。

定められたルールを守ることは社会で生活する上での大前提だとする須田さんは、横浜市港北区社会福祉協議会の助成金を事実上受け取っていたのがPWLだったとすれば、「福祉に求められる倫理観以前に、ルールを守るという当然のことが行われていなかった上、助成金は納税者や寄付者から預かった公金だという認識が欠如している」と指摘する。

社協側のチェック機能強化とともに、「公金を扱う以上、甘えは許されない」と受給側にも法令順守の徹底を求めている。

■2014.7.11  子供も高齢者も手話を楽しもう 富山にデイサービス施設
耳の不自由な人に対応するデイサービス施設が5月、富山市にオープンした。全日本ろうあ連盟によると、手話のできる職員が常駐し、子供から高齢者まで受け入れる全国でも珍しい施設。「聴覚障害のある老若男女が楽しく利用できる」と歓迎する声が上がる。

「大きな手小さな手」と名付けられた施設では、手話のやりとりに笑い声が起きる。週に1度通う70代の女性は「他の施設では人の言っていることが分からないから話に加われないが、ここでは話ができて楽しい」と喜ぶ。

入浴や食事など日常生活の支援をするデイサービス施設の利用者は大半が高齢者だが、利用に条件を設けたくないと、「大きな手小さな手」は障害の有無や年齢に関係なく受け入れるようにした。子供が大人と触れ合うことで手話を覚え、社会勉強につなげることが狙いだ。

施設を運営するNPO法人代表で、手話通訳として長年、聴覚障害者と関わってきた金川宏美さんは「みんな、本当はおしゃべりが大好きなんです」と話す。

金川さんは施設立ち上げの初期費用を抑えるため、中古の木造2階建て住宅を購入。来客を光で知らせる装置を備え付けたり、人の動きが目で分かるようガラス戸を増やしたりして改装し、構想から2年後、開所にこぎつけた。

富山県内のデイサービス業者らでつくる「富山ケアネットワーク」の惣万佳代子会長は「手話が使えることで、聴覚障害者の安心につながる。利用者の新しい選択肢として浸透していけば」と期待している。

■2014.7.12  女性下着などを盗み、施設職員が懲戒免職 宮城県社協
県社会福祉協議会(仙台市青葉区)は11日、大和町の障害者支援施設に勤める笠原雄(ゆう)主任主査(58)を懲戒免職処分にしたと発表した。処分は10日付。

同社協によると、笠原主任主査は休暇中の2月1、6、14日に、岩手県奥州市水沢区の3カ所のコインランドリーから女性用下着など計71点を盗んだとして、3月10日に岩手県警水沢署などに窃盗容疑で逮捕された。6月27日には、水沢簡易裁判所で懲役1年6月(執行猶予3年)の有罪判決を受けた。

■2014.7.12  電動車いす購入費、請求棄却 和歌山地裁「必要性認められず」
電動車いすの購入費用について、障害者自立支援法に基づく支給決定を撤回したのは不当だとして、重度の身体障害がある橋本市の上田新さん(26)が同市に取り消しを求めた訴訟の判決が11日、和歌山地裁であり、橋本真一裁判長は「自力で電動車いすを操作できない者に対してまで支給の必要性は認められない」として請求を棄却した。

橋本裁判長は判決理由で、「電動車いすの基本的な操作能力を有しない上田さんへの車いす費の支給は、支給の前提条件を欠く」と指摘し、「支給決定を取り消さず存続させた場合、上田さんや第三者の生命身体に危険を及ぼす恐れがあり、公益上の不利益が大きい」とした。

上田さんは体幹機能障害により自力歩行が困難となり、電動車いすなどを使いながらリハビリを続けてきた。平成23年12月、橋本市に電動車いすの買い替え購入費支給を申請し、市はいったんは支給を決定しながらも、その後一転して取り消していた。

判決を受け上田さんは「新しい車いすに乗り、皆さんを応援したかった。本当に残念です」とコメントした。上田さんの弁護団は「本人と相談し、控訴するか決めたい」と話した。

■2014.7.12  朝日新聞社を提訴 記事巡り賠償請求
朝日新聞の記事で名誉を傷つけられたとして、川崎市の社会福祉法人ひまわりの会と理事長が、朝日新聞社に計3300万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴訟を東京地裁に起こした。提訴は5日付。

対象となった記事は、朝日新聞が5月26日付の朝刊で掲載した連載「報われぬ国」。「ワンマン理事長“暴走”」の見出しで、同会が寄付された土地を売却したことについて、監査に入った川崎市の担当者が「土地の使い方を理事会にはかった形跡はない」と話したなどと報道。また、理事長が、同会が運営する施設の浴槽改修工事に親族の会社を参加させるよう提案したなどと報じた。

訴状で理事長側は、「土地売却は理事会の全会一致で承認・可決された」などとして記事の内容は真実ではないと主張。「理事長が私腹を肥やすために同会を利用しているとの印象を抱かせ、利用者も減った」として損害の賠償などを求めている。

〈朝日新聞社広報部の話〉 訴状をよく読んで、対応を検討します。

■2014.7.12  北海道の障害者支援「パレット」、開設3年を迎え好調
施設利用者も増加、現在は23人が働く事業所に
北海道紋別郡遠軽町の障害者支援事業所「パレット」が、この7月で開設3年を迎えた。働く障害者は当初の5人から23人に増加し、仕出し弁当作りなどに励んでいるという。

「パレット」は、障害者らと直接雇用契約を結ぶ就労継続支援A型事業所。遠軽町では唯一のA型事業所で、将来は一般企業への就職を希望する障害者も含め、より一般就労に近いかたちでさまざまな作業に従事し、社会的自立に向けて、必要な知識や技術の修得を目指している。

前身は木工品を製造販売する「遠軽民芸舎」だったという「パレット」。当時から障害者を雇用していたが、2007年に現在の井田吏絵代表理事が「パレット企画」として引き継ぎ、木工品のみならず、仕出し弁当の宅配や町役場内の食堂経営も手がけるようになった。

2011年に就労継続支援A型事業所の認可を受け、あらためてスタート。木工品製造を主に仕出し弁当・オードブルの受注・宅配、町役場内にある食堂パレットの運営を続けている。働く障害者の自立を支援するため、生活記録日誌や、訓練計画表なども作成しているそうだ。

順調な運営の一方で就職につながるケースは少ないといった課題も
手作りの仕出し弁当は地域で評判を呼び、町役場内の食堂も好評となるなど、この3年間で飲食関係の売り上げが伸び、木工品を上回るまでになったという。食堂では毎週水曜日限定の「手打ち蕎麦」がとくに人気だ。

職員7人とともに働く23人の障害者は、それぞれの障害特性を活かし、支援を受けながら、やりがいをもって働いているそうだ。接客を担当することを好む人も多いといい、井田氏は今後はそうした分野の仕事も増やしていきたいとしている。

だが、順調な運営の一方で課題もある。昨年は1人が就職を果たしたそうだが、雇用の場・機会は少なく、なかなか一般就労にまでつながっていないという。より理解と受け入れ体制が進み、共に気持ちよく働くことのできる社会構築の実現が望まれる。


就労継続支援A型事業所 パレット
http://nice-heart-net.jp/member/?id=692

■2014.7.12  ユニバーサル農業。障害者やニートの就労に効果あり(栃木)
今年度第1回の研究会で実証事業の成果を報告
栃木県では、障害者をはじめ子どもや高齢者など、誰もが農業に取り組める「ユニバーサル農業」を推進するため、2011年に「とちぎユニバーサル農業研究会」を設置している。

就労支援や教育などと農業が連携することで、多面的な効果をみせはじめているという。

7月4日(金)に栃木県庁で「2014年度第1回とちぎユニバーサル農業研究会」が開かれ、農業や福祉関係者、学識経験者など約30人が出席した。

障害者やニートの就労支援、農家の人手確保などに成果
研究会では、昨年度から始まった障害者や若年無業者(ニート)が、農家で農作業を行うユニバーサル農業実証事業についての報告があり、障害者の工賃確保やニートに対する職業訓練、農家の人手確保など、いくつものメリットがあることが分かった。

報告では、「障害の異なる施設でも合同で作業にあたることができ、農家のニーズにあわせて大人数の就労確保も可能。」「能力に合わせて農作業を細分化。事前に確認すべき事項をリスト化することで、受け入れ農家と施設の調整がスムーズになった」などの成果事例が挙げられた。

実証事業を継続しながら、さらなる下地づくりを目指す
本年度の計画についても話し合われ、引き続き実証事業を実施し、農業と福祉、教育など複数の分野にまたがって連携するにあたっての注意すべきチェックリストを整備するとした。

さらに県農業振興事務所や、福祉施設などの関係機関による情報交換の場を設け、地域の実情に合わせたネットワークの構築も進めていくとしている。

県民を対象にしたセミナーの開催も
来年1月には、県民の理解を深めることを目的に、「ユニバーサル農業」のセミナーの開催を予定しているとのこと。

県では、「施設によって障害の程度や作業能力が異なるので、事例を共有しながら、研究会を通じて、円滑にユニバーサル農業の裾野を広げていければ」と話している。


平成26年度第1回とちぎユニバーサル農業研究会の開催について
http://www.pref.tochigi.lg.jp/g01/houdou/h26universal0704.html

■2014.7.12  「お泊まりデイ」に横浜市が指針
横浜市は、市内の通所介護施設が行う「お泊まりデイ」について、事業実施の届け出や安全基準の順守を求める指針を策定し、7月から行政指導に乗り出した。

お泊まりデイは高齢者に対する宿泊介護サービスで、「狭き門」となっている特別養護老人ホーム(特養)の代用という側面もある。だが、介護保険が適用されないため指導の対象外で、実態把握が遅れていた。市によると、県内初の取り組み。

市介護事業指導課によると、市内の通所介護施設は815か所(6月1日現在)で、昨年12月の調査では、少なくとも85か所がお泊まりデイを行っていた。利用者は、家族の冠婚葬祭での不在などによる1週間程度の短期利用が多い。

利用者の家族からは「急な出張や入院などに対応してくれ、コストも抑えられるサービスは本当に助かる」との声が事業者に寄せられているという。

ただ、連続で年間361日以上の長期利用者がいた施設が10か所に上るなど、特養の入居待機施設として利用されている面もある。市の特養待機者は5290人(4月1日現在)と3年前の1・29倍で、今後も増える見込みだ。お泊まりデイの需要も高まるとみられるが、介護保険の適用外であるため、利用者数や事故の報告は義務付けられていない。

指針では、お泊まりデイを行う事業者に対し、サービス開始時に市への届け出を求めているほか、容体の急変時にも適切な処置を行えるようにするため、サービスの対象者をデイサービス利用者に限定した。また、災害時の安全確保やプライバシーへの配慮から、宿泊定員の上限は日中の利用定員の半分とした。

宿泊中に事故が起きた場合の対応は、これまで市主催の事業者向け講習会で自主的に報告するよう呼びかけていたが、指針では事故状況や処置について記録し、市に報告書を提出するよう明記した。

市が把握した2011〜13年度のお泊まりデイでの事故は計39件。13年度に起きた23件の内訳は、打撲が14件と最も多く、次いで骨折7件、薬の誤投与2件。死亡事例はなかった。

指針に強制力はないが、市にはデイサービス事業に対する指導監督権限があるため、市介護事業指導課は「指針の効果は期待できる」としている。

■2014.7.13  大阪の介護会社「寿寿」 フィリピン人採用で誓約書
関西地域の介護会社「寿寿」(大阪府東大阪市)が、フィリピン人女性を介護職員として採用する際に、本人が死亡しても会社の責任は問わず、「永久に権利放棄する」との誓約書を提出させていたことが12日、共同通信の取材で分かった。

フィリピン人の女性職員からは「労働条件が厳しい」との苦情が出ており、宿直勤務を月間13回させた書類も残っている。職員が死亡した場合に会社を免責する誓約書に署名させていた理由や、休日取得などの実態について、厚生労働省が調査に乗り出した。

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■2014.7.13  大阪の介護会社寿寿、外国人から強制天引き
外国人職員に死亡時の免責誓約書を提出させていた介護会社「寿寿」(大阪府東大阪市)が、フィリピン人職員から、法令に違反した積立金を毎月の給与から天引きしていたことが13日、分かった。

これまでにフィリピン人職員約30人を雇用しており、積立金は給与などとは別の口座で会社が管理していた。職員採用の契約書や覚書によると、フィリピン人職員に貸し付けた日本への渡航費などの 返済が焦げ付いた場合に備え、天引きしていたとみられる。

■2014.7.13  精神障害の「労災請求」が過去最多 職場で「悲惨な事故」を目撃して発症した人も
厚生労働省の発表によると、仕事による強いストレスなどが原因で精神疾患を発病し、労災申請した人数が2013年度に1409人と過去最多を記録したという。そのうち労災認定されたのは436人で4年ぶりに減少したが、昨年の475人に次いで過去2番目に多い。

出来事別の支給決定件数は、「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」と「ひどい嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」がそれぞれ55件。「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が49件あったという。

休日なし2週間連続勤務で15人発病

「仕事内容・仕事量の大きな変化」とは、何らかの理由で困難な仕事や莫大な量の仕事を抱えてしまったケースを指す。厚労省の基準によると、仕事量が倍増し、休日や休憩をとるのも困難な状況となると、心理的負荷が「強」と認定される。

公開資料には具体的なケースが書かれていないが、厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」に掲載されている「死亡災害」事例集には、長時間労働による過労自殺の例が紹介されており、参考になるものと思われる。

ある会社では、男性がシステム部長に就任したことで業務が増えて長時間労働が続き、深夜まで同僚と打ち合わせした後、そのまま会社で自殺した、というものがあった。管理職と営業職を兼務し、月の残業が110時間以上になり自殺に至ったというものもある。痛ましいという言葉しかない。

今回、労災認定された人の時間外労働時間を見ると、「20時間未満」が89人で最多だったものの、次が「100時間以上120未満」で46人と一気に跳ね上がる。「160時間以上」という人も31人いた。休暇なしで2週間以上の連続勤務が精神疾患の原因になったと認定された人も15人おり、うち2人が自殺している。

「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」ケースは、業務中に本人は軽傷や無傷だったものの、状況によっては死んでいたのではないかと思わせる事故や事件を経験して強いショックを受けた、というものが当てはまる。

上司や経営者の責任は重い

前出の事例集には、ここには例をあげないが、職場内の作業中にかなり悲惨な事故にあって死亡したというケースが複数あった。こうした業務中の事故では、同じ職場で働く人が事故現場を目撃していたり、救出作業に当たったりする場合があり、同僚の精神に強い影響を与えることになる。

厚労省の担当者は、今回、精神疾患による労災申請件数が過去最多となった背景について、こう説明する。

「精神疾患で病院に通う人が増えて、『業務に関係して病気になった可能性がある場合には労災申請をする』という認識が広まったという要因もありそうです」

そのような労働者の行動の変化自体は、特に悪いことではないだろう。ただ、職場の事故は不可抗力の場合もあるとはいえ、少なくとも「長時間労働の放置」はパワハラとともに上司がきちんと労務管理をしていれば、防げるものも多いはずだ。部下を死に至らしめた怠慢上司の責任は重い。

また、「名ばかり管理職」に仕立て上げられた人には、相談できる上役がおらず、誰にも頼ることができずに追い詰められた可能性が高い。業績しか見ず、従業員に過重な責任を負わせた会社経営者の責任も追及されるべきだ。

■2014.7.13  社説:社会福祉法人 時代に合った見直しを
特別養護老人ホーム(特養)や障害者施設、保育園などを運営する社会福祉法人に対し、厚生労働省の検討会は「公益活動の推進」や「法人運営の透明性」を求める改革案をまとめた。社会福祉法人は法人税や固定資産税が非課税で、各種助成金制度も優遇されているが、最近は多額の内部留保や金銭授受を伴う法人の合併・事業譲渡などが批判されている。抜本的な見直しは当然だ。

公的な補助金を得ての収益事業しか行わない法人が現在は多いが、戦後の引き揚げ者や孤児などの対応に行政が苦慮していたことから民間の篤志家が私財を投じて始まったのが社会福祉法人だ。行政の認可がなければ設立できず、解散する際には残余財産を国庫に納付しなければならない。日本独特の制度である。

現在は全国で約1万7000法人がある。20年前の1.7倍だ。2000年に始まった介護保険制度で株式会社やNPO法人の参入が本格化してから、社会福祉法人の優遇ぶりが問題視されるようになった。同種の収益事業をやりながら株式会社やNPO法人は課税されるのだ。厚労省の調査では社会福祉法人が経営する特養で1施設あたり平均3億円を超える内部留保があることも明らかになった。

「老朽化した施設の建て替えや修繕のためには積立金が必要」などと社会福祉法人の経営者らは反論するが、内部留保がないNPO法人が銀行から建設費を借金する例も珍しくはない。公的な補助金で事業を運営する一方で、2世や3世が経営を継承し、複数の親族を職員にして収益を給与に充てるなど「私物化」への批判も根強い。経営実態が不透明な法人が多いことから、政府の規制改革会議は財務諸表の公表を提言したが、12年度分を公表した法人は全体の52%(13年9月末現在)にとどまっている。

社会福祉法人への風当たりが強まる一方で、従来の収益事業では手の届かない問題も増えてきた。孤立や失業から起きる生活困窮、独居や夫婦のみ高齢世帯の認知症、児童虐待などである。行政や地域住民の自主的な取り組みだけでは対応が難しい。こうした公益活動こそが本来の社会福祉法人の役割ではないのか。今後も収益事業しかやらないのであれば社会福祉法人だけ優遇税制を続ける必要はないだろう。

一つの施設しか運営していない小規模な社会福祉法人が多いのも事実だが、複数の法人で共同して公益活動を実施している例もある。監督責任のある厚労省や自治体も法人任せではなく、強い指導力を発揮して時代のニーズに応えられる社会福祉法人へと脱皮させなければならない。

■2014.7.13  佐賀市の障害者雇用 合格後面接→非常勤→不採用
佐賀市が昨年の職員採用試験で、身体障害者の採用枠に応募した市内の男性(24)にいったん合格通知を出しながら、採用直前になって「能力を見極めたい」と非常勤で雇用、2カ月間の試用期間後に解雇していたことがわかった。男性の支援者らは「本人の能力は採用試験の段階で判断すべき。障害者雇用のモデルとなるべき行政が、社会参加の意欲を摘んでいる」と疑問を投げ掛けている。

男性は中学生時代に脊髄を損傷、手足にまひがあり車いすを使っている。国立大学を卒業し、昨年、身体障害者を対象にした佐賀市の職員採用試験を受けた。

12月に合格通知が届いたが、その後、市人事課から2、3月に計2回呼び出しを受け、面接でトイレの失敗がないか聞かれたり、机の上に並べられたバインダーやホチキスを使えるかを試されたりしたという。

面接後、同課は「職務遂行の能力を判断したい」として、4月から2カ月間を試用期間として非常勤職員で採用。男性は配属先の課でファイルとじやパソコン入力などの事務作業に当たった。試用期間経過後、市は「総合的に判断し、業務遂行はできないと判断した。採用を見送らせてほしい」と、男性を解雇した。

男性は「大学でもパソコン入力や資料作成などの作業は問題なかった。正式採用を前提とした措置だと思っていたのに…。また就職活動で1年間を棒に振ってしまう」と肩を落とす。

身体障害者枠の採用試験は、健常者の一般事務Bと同一で筆記と面接があり、障害に特化した内容ではないという。市人事課は「実際に職務がこなせるか、採用試験の面接ではわからなかったため、試用期間という形を取った。周囲の職員からの聞き取りなどを踏まえ、本採用すべきかどうかを判断した」と説明する。

障害者雇用促進法では、事業主の責務として、障害者である労働者が有する能力を正当に評価し、適当な雇用の場を与えることなど努力義務を規定している。

障害者雇用に詳しい佐賀女子短期大学の前山由香里講師(健康福祉学)は「職務を遂行する能力は採用試験で把握すべき内容で、合格を決めた以上、市は本人の能力が発揮できるよう配属先を考慮し、さまざまな支援措置を講じる必要がある」と話す。


■2014.7.13  自閉症スペクトラム障害者は、自分の動作を真似された時の脳活動が少ないことが明らかに
生理学研究所は、自閉症スペクトラム障害者は、自分の動作を真似されている時の脳の活動が、健常者に比べて減少していることを明らかにした。

自閉症スペクトラムは発達障害の一種で、この障害を持つ人は対人コミュニケーションを苦手とする。この障害を改善する方法として、他者の真似をし、真似されたことを理解する訓練が知られている。これについて、「他者の真似をする」時の脳の働きについては研究がおこなわれていたが、「自分の動作を真似される」時の脳の働きについては解明されていなかった。

今回の研究では、自閉症スペクトラム障害者19名と健常者22名による実験をおこなった。その結果、健常者は自分の行動が真似された時に脳の視覚野にあるEBAと呼ばれる領域の活動が高くなったが、自閉症スペクトラム患者にはそのような傾向は見られなかった。この結果は自閉症スペクトラム患者のEBAが真似をされたときにうまく働いていないことを示している。

近年、自閉症スペクトラムを軽減させるために行動を真似する訓練が有用であることが示されており、本研究成果は病態解明だけでなく訓練の効果を判定するのにも役立つと期待されている。

■2014.7.14  障害者の娘に熱湯 逮捕の母親「約束守らず、いらいらした」 千葉
千葉県警市原署は14日、障害のある中学生の長女(14)に熱湯をかけてやけどを負わせたとして、傷害の疑いで無職の母親(37)=市原市玉前=を逮捕した。

逮捕容疑は、昨年1月19日夕、自宅浴室で一緒に入浴していた長女の背中に熱湯をかけて重いやけどを負わせた疑い。

市原署によると、長女は両親と3人暮らし。知的障害があり、特別支援学級に通っていた。母親は「約束を守らないのでいらいらしてやった」と供述。父親は家にいたが気付かなかったという。

長女は児童相談所に保護され、現在は社会福祉施設に入所している。

■2014.7.14  <常勤管理者不在>グループホームを一部効力の停止処分――東京都大田区
東京都大田区は、6月30日、人員基準違反などで、区内の認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)に対し、指定の一部効力の停止処分にすると発表した。
処分は7月1日から9月30日までの3か月間で、この間、同事業所は新規利用者の受入れの停止、介護報酬の上限が7割となる。

■事業者の名称:株式会社アイケアパートナーズ東京(代表取締役 滝野昇)
■事業者の所在地:東京都大田区蒲田三丁目23番7号松本ビル2F
■事業所の名称:グループホームアイケア中央
■事業所の所在地:東京都大田区中央三丁目11番3号
■サービス種類:(介護予防)認知症対応型共同生活介護

■処分の理由
・人員基準違反
当該事業所の管理者と申請した者が常勤専従の管理者として勤務していなかった。

・運営基準違反
当該事業所の管理者と申請した者による共同生活住居の管理が適正に行われていなかった。

・虚偽の答弁
大田区の監査において当該事業所の管理者と申請した者の出勤状況について虚偽の答弁を行った。

■2014.7.14  知的障害者サッカー世界大会に岐阜から出場「自分らしく」
サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会後の8月、同じブラジルで開催される知的障害者サッカーの世界選手権に岐阜県内から唯一出場する中津川市駒場、会社員下村憲成さん(19)の激励会が、市役所で開かれた。

下村さんは小学校4年生からサッカーを始め、高校2年のときにはU―18代表に選ばれ、オランダで開かれた国際大会に出場した。同選手権は国際知的障害者スポーツ連盟が4年に一度、W杯の開催国で開いており、「もう一つのW杯」と呼ばれている。今回は、日本代表を含む16か国が参加し、8月13日から24日まで熱戦を展開する。

青山節児市長の激励に対し、下村さんは「ボールキープには自信があり、自分らしいプレーができれば」と大会での健闘を誓っていた。

■2014.7.14  訪問看護69人分の情報盗難…愛知・津島市民病院
愛知県津島市の津島市民病院は13日、40歳代の女性看護師が車上狙いに遭い、訪問看護利用者69人分の個人情報が書かれたリストを盗まれたと発表した。

同病院によると、女性看護師は12日午後2時半頃、同市内の自宅駐車場に止めた乗用車の窓ガラスが割られ、車内からリストの入った手提げ袋などがなくなっているのに気づいた。リストには69人の氏名、住所、電話番号、傷病名のほか、主治医の住所、氏名、電話番号も記載されていた。手提げ袋は女性看護師が帰宅した11日午後7時頃から車の後部座席に置き忘れたままになっていたという。

県警津島署は窃盗事件として捜査している。車内からは注射器や未使用の針などの医療器具を入れたかばんも盗まれていたという。

同病院では利用者から連絡があった際、すぐ対応できるようリストを持ち帰ることは許可していた。同病院管理課は「個人情報の取り扱いに注意するよう全職員に周知徹底し、再発防止に努めたい」としている。

■2014.7.14  株式会社寿寿 関連記事
「人間に対して冷たいクールジャパン」 フィリピン人に不当な誓約書要求で日本のネットユーザーも激怒


少子化で減る労働力人口をカバーするために、外国人労働者の大量受け入れが議論されているが、そんな中、日本の外国人労働者の環境があまりにひどいと批判を集めている。

報道によると、関西地域で介護施設を経営している「寿寿」社が、フィリピン人女性職員を採用する際に、本人が死亡しても施設の責任を問わないで「永久に権利放棄する」という誓約書をこれまで30人程度書かせていたという。共同通信が配信した記事の画像を拡大すると、次のように読める。


「私、〇〇は自分の自由意志において、これによって宣言して明示します」
「私は、日本にいる間に自然な状況による文末の署名者が死亡した場合、その状況から発生する全ての金銭あるいは他の任意義務行為から、ジュジュ社、その役員、管理者、代表者、又は、社員を、開放し、権利放棄し、又、永久に放棄します」



「日本の若者ですら使い捨てにする国が」

同社で働いていたフィリピン人女性は、同社が建て替えた渡航費数十万円を借金として抱えさせられ、転職したくても辞めることができない状況だった。さらに宿直を月13回させられ、給与の一部が積立金として天引きされていた。

天引きは渡航費返済の焦げ付きに備えて行っていたというが、厚生労働省大阪労働局は寿寿に対し、この積立金の返済を命じたという。このニュースには、ネットユーザーから強い批判が集まっている。


「世界よ、これが日本だ!」「屑過ぎて笑えない」
「飛行機にペット乗せる時の誓約書みたい。狂っている」
「人間に対して冷たい、これがCOOLJAPAN」

このほか、「日本人の若者ですら使い捨てにする国が、外国人を大事に扱うわけがない」と、弱者から搾取する日本の企業社会の根深い問題だと指摘する人もいる。

寿寿の児林健太代表取締役は、ウェブサイト「大阪の社長.tv」のインタビューに対し、「日本での全国展開は考えていません」「2015年までに日本の介護を、中国や台湾といった『お箸の文化』がある地域に輸出していきたい」と答えている。

その一環で外国人労働者の受け入れを進めていたのかもしれないが、これでは単に「海外アジアから安い労働力を調達して儲けたかっただけ」と非難されてもしようがない。

出稼ぎ先を韓国、台湾に切り替えるアジア人

元々日本は、外国人労働者に人気がない。7月9日放送のNHK「クローズアップ現代」では、日本へ「外国人技能実習生」を供給するミャンマーの学校の様子を紹介していたが、ここでは入学者の4割が途中で辞め、出稼ぎ先を日本から韓国に切り替えるという。

これまで実習生を日本に送り出してきたベトナムでも、日本ではなく台湾が出稼ぎ先に選ばれている。日本では外国人労働者は「見習い」の実習生として扱うのに対し、韓国、台湾ではきちんと労働者として扱う。また、仲介業者頼みの日本に対し、韓国と台湾では政府が積極的に受け入れ事業を行なっているという違いがある。

さらにこの2国では、行政が外国人労働者の環境が守られるよう様々な対策を行なっている。定期的な査察のほか、韓国では、職場で不当な扱いを受けたバングラデシュ人が、政府の支援を受けて別の会社に転職した事例もあった。

職場に抗議をして失職すると本国に帰らなくてはいけなくなる日本とは大違いだ。渡航の初期費用の面でも、日本は100〜300万円かかるのに対し、韓国はその3分の1から5分の1程度で済む。

「AERA」7月14日号によると、外国人技能実習生の手取りは月5万円以下で「時給数百円」になるケースも珍しくないという。「国家公務員一般労働組合」のブログによると、2012年の外国人実習生問題シンポジウムでは、ジャーナリストの安田浩一氏が雇用契約書に「会社の言うことは絶対に守らなくてはいけない」「男女交際をしてはいけない」と書かれていたケースを紹介したそうだ。

国交省が「建設分野」からメス

実習中に死亡することもある。国際研修協力機構の「外国人技能実習生の死亡事故発生状況」によると、実習生の年間死亡者数は2008年度に最高の35人を記録。2012年度も19人死亡している。

早朝にベッドで心肺停止状態になっていた中国人女性を始め、20〜30代の突然の死亡事例が複数あった。過酷な労働環境と、なんらかの関係があるのではないか。

日本でも、一部で対策を進めている。国土交通省が建設分野で働く外国人労働者に、同じ技能を持つ日本人労働者と同等以上の報酬を支払うことを定めた法整備を進めているという。

今回のフィリピン人女性職員がどのような資格で働いていたのかは不明だが、人口減による労働力不足を「海外移民」で補おうという意見もある中で、日本人従業員を含めた日本企業の労働環境の健全化が求められることは確実だ。

■2014.7.14  クリニコ/介護食「やわらか亭 ステーキ丼」新発売、肉求める高齢者にこたえ
森永乳業の100%子会社であるクリニコは、介護食「やわらか亭 ステーキ丼」を7月15日に新発売する。

牛の1枚肉をやわらかく食べやすいように加工したステーキと、国産米をやわらかく炊き上げたご飯をセットにした。和風ソースを使用、さっぱり食べやすく仕上げたという。

戦後、肉類の摂取率が年々増加した時期に壮年期を過ごした現代の高齢者の、肉類を食べたいというニーズにこたえる商品として開発した。

■商品概要
種類別:介護食
容量:250g×6食セット
自社通信販売価格:3304円(送料・税込)

■クリニコ オンラインショッピングサイト
http://www.clinico.co.jp/ec/

■2014.7.14  <阪急電鉄>優先座席の色を赤紫色に変更
阪急電鉄は15日から、一般席と同じ緑色だった優先座席の色を赤紫色に変更する。保有する1315両の座席を、定期点検に合わせて8年程度かけて交換する。従来は窓のステッカーで優先座席であることを示していたが、乗客により分かりやすくする。

ステッカーの内容も刷新し、内臓などに外見から分かりにくい障害がある「内部障害者」のマークを追加。車椅子優先スペースには、ベビーカーを折り畳まずに使えるスペースを示す「ベビーカーマーク」も掲示する。

優先席付近では、携帯電話の電源を切るのがマナーとされてきたが、関西の鉄道事業者は今月から混雑時に限って切るよう緩和した。阪急も15日から各編成に1両ずつ設定した「電源オフ車両」を取りやめる。

総務省は昨年1月、ペースメーカーへの携帯の影響を防ぐ指針を改正。携帯とペースメーカーを離す距離について、技術革新を受けて従来の22センチ以上から15センチ以上に見直した。

■2014.7.14  介護を「やりがい」ある仕事として続けるには? - 人材確保・定着について 賃金が低いから離職率が高い? 介護職員処遇改善交付金 
「やりがい」を求めて介護の世界に入り、自分の職業に誇りを抱いている介護職が、なぜやめてしまうのか? その原因は、収入の低さだけが原因ではない、という点にフォーカスし、考えてみた。

「賃金が低いから離職率が高い」は正論か?

2009年までの介護業界では、「仕事の負担が多いわりに賃金が安い。だから人がすぐ辞める」とよく言われてきました。また、マスコミも「介護は高齢者の尊厳を守る専門的、ヒューマンな仕事なのに待遇が悪く人が集まらない」と労働条件が悪いことを強調してきました。

介護職の離職防止策として、ほかにもいろいろ対策があるなか、もっとも普遍的で即効性があるのが、「報酬を上げること」だからです。

介護保険給付が膨らむなか、介護報酬改訂の水面下で、常に団体間の熾烈な分捕り合戦が繰り広げられてきたのもそんな理由からです。なかでも医療関係や介護施設関係の業界・団体は力が強く、影響力が大きいのに反し、在宅介護系の事業所団体や介護職の職能団体は力があまりないのが現実です。日本介護福祉士会以外、会員数の多い介護職の団体は存在せず、訪問介護員に至ってはホームヘルパー協会のように、従事者個人の組織と言うには及ばないものしかありません。

看護協会や医師会のような政治的圧力団体にはなり得ず、力不足の状況が見られます。そんなことから今までは、老人施設協議会、在宅協議会のような経営者の立場からでしか、介護報酬アップの戦いに挑んできませんでした。

介護保険が普及するにつれて、介護従事者への理解や同情が国民に広まり、マスコミは、老後に不安を感じる中高年を味方につけました。介護従事者の待遇の悪さを問題視するキャンペーンが功を奏して、平成21年に介護職の離職対策の一つとして実現されたのが「介護職員処遇改善交付金」です。

離職対策の切り札として登場した「介護職員処遇改善交付金」

目的と概要

平成21年、介護職員と他業種間の賃金格差を縮め、介護事業者の雇用の場としての成長を促すため、賃金改善に要する経費の一部を支給して介護職員の処遇改善を図ることを目的として実現しました。事業の実施主体は都道府県ですが、実際の支給は各都道府県の国民健康保険団体連合会に委託されます。対象となる事業者は、介護事業サービスを平成21年10月から平成24年3月まで提供する見込みがあり、都道府県の承認を受けていることが条件です。平成24年以降もこの事業は継続されています。

交付金の額

「介護報酬総額×交付率」で決まります。平均して職員1人あたり月額15,000円程度になりますが、売り上げが悪い、もしくは介護職員数が多い場合、当然1人あたりの月額金額は少なくなってしまいます。ひと月の介護報酬総額×1.9%をすれば、事業所全体のひと月の交付金の額がわかりますのでそれを職員数で割れば、金額の目安となります。

支給総額(福利厚生費を含む)が交付金を上回る必要があるので、仮に15,000円とすると実際受け取る額は12000〜13000円程度になります。支給方法は毎月の給与、または賞与に上乗せするか、年度末に一括して支給することも可能です。

対象者

介護職員に限定されますが、事務員でも、食事介助や見守りを行って介護職員として常勤換算に加わっている場合、管理職と介護職を兼務している場合は、支給対象に入れることができます。また介護職員に平等に配分する必要はなく、役職者や勤続年数の長い職員に手厚くして、新人やパート職員に支給しないことも認められています。看護師でも基準を超えて採用している職員を介護職員との兼務で常勤換算すれば、支給対象に入れることができます。

ただし看護職員専任、生活相談員、栄養士(専任)、管理者(専任)、計画作成担当者(専任)の場合は介護職員として常勤換算されていないので、交付金を分配することができず、もし交付金を分配した場合は返還請求されます。

その他の制約

交付金は職員の待遇改善のために支給するので、他の用途に使用することはできず、用品用具を購入したり、研修会費用などは認められません。また、使い切らなかった交付金は返還しなくてはなりません。平成26年も継続されますが、キャリアパスに関する制度を定めて届出をしなければ、最大で20%の減額となります。

支給のしかたは事業者に委ねられている現実

問題は、交付金は職員に一律に支給する必要がないので、役職や勤続年数、職務態度、勤務形態などによって差を設けたり、もらえる人ともらえない人が出てきたりする点です。また管理者を形式上だけ介護職員と兼務にしているケースもあり、管理者に多額の交付金を配分し、一般の職員には支給していないこともあります。

つまり、経営がある程度うまくいっていて、処遇改善加算の算定を行える事業所であるかどうかで、明暗が分かれるということです。もらえなかった事業所や介護職からは、批判や疑問の声もあるでしょう。またすべての介護職に平等、一律に分配され、給与に上乗せされるわけではないので、微々たる額しかもらえなかった介護職からは、待遇改善効果はないと評価される傾向もあります。

しかし、厚生労働省の報告によると21年度で80%以上の事業所が申請し、24年度介護労働実態調査でも70%以上の事業所が実際の算定に結びついているのですから、ある程度一定の効果があったと見るべきでしょう。

介護は精神的満足度を得られる「やりがい」ある仕事

「人はパンのみにて生きるにあらず」と同様に、賃金のためだけに働くのではありません。

賃金が安すぎても人は集まりませんが、介護や医療の職業は賃金と待遇だけで選ばれるものではなく、そこに「やりがい」という働くうえでの精神的満足度が大きく関係してきます。仕事のやりがいは、人それぞれの価値観によって大きく違ってきますが、介護と深くかかわる福祉や医療、教育などの仕事は、ヒューマンサービスという、人の役に立ちたいという気持ちが職業選択の際の大きな動機となっています。

介護労働安定センターの「平成24年度介護労働実態調査」のB調査結果によると、介護の仕事を選んだ理由として、「働きがいのある仕事だと思った」が54.9%で1位、「今後もニーズが高まる仕事だから」が38.4%で2位 となっています。15年前に、自分がこの分野を選んだ動機と全く同じでしたので、嬉しい気持ちになりました。実習に来る介護系学校の学生も同じ志望動機をあげていますから、時代に左右されることはないのだと安心しました。同調査における仕事の満足度では、「仕事のやりがい」が45%で一位、「職場の人間関係」が29% 、「雇用環境」が19% 、これらは自分の仕事の満足度にも一致しています。

イメージアップ戦略と人材を大切にすることが、定着率につながる

こういった精神的満足度を高めるために、まず私が必要だと思っていることは、「介護のイメージアップ戦略」です。

「介護は、お年寄りや障害のある方の日常生活を支え、個人の尊厳を尊重し、自己実現を可能にさせる重要な仕事である」という魅力的なイメージを、もっと介護業界やマスコミなどが強調すれば、介護職の社会的ステータスが高まり、誇りと自信をもって働く介護職が増えるでしょう。最近のテレビドラマや映画で、介護施設の様子や在宅介護の場面、そしてそこで働く職員のイメージが、昔より綺麗で明るくなっているのはうれしいことです。

もうひとつは、業界全体、特に事業者が、「ヒューマンサービス」の原点に立ち返り「良い介護は明るくやる気のある介護者によってこそ実現する」という当たり前のことについて再考することです。つまり、従事者をもっと大事にするということ。事業者が、経営努力で職場環境を改善し、雇用の安定を目ざせば、ケアの質は上がり、回りまわって利用者の増加と経営の改善にもつながっていくでしょう。

これこそが、従来の多くの介護事業所、特に零細な事業所において、もっとも欠落しがちな点でした。介護における貴重な資源「人材」を大事にするための建設的アプローチとして、事業の組織づくりやマネジメントを改善すること、そして職場環境・風土を変えていくことが求められています。そのために、経営者自身も「ヒューマンサービス」である介護の意義を、再認識する必要があるでしょう。それにより、「明るい職場」が実現し、働きたい職場、人材の定着につながります。ひいては、将来的に離職率を下げることにつながっていくと思うのです。

■2014.7.15  介護会社、免責誓約書を書き換え 理事長「無効と判断」 一般社団法人キョーエイグループ 寿寿
フィリピン人職員に死亡時の免責誓約書を提出させていた介護会社「寿寿」(大阪府東大阪市)が、誓約書の書き換え手続きに入ったことが15日、分かった。新たな文書の内容は明らかになっていないが、「職員が死亡しても会社側の責任は追及しない」とする内容を見直したとみられる。

寿寿を傘下に置く一般社団法人「キョーエイグループ」の児林秀一理事長は「これまでの文書は無効と判断した」と話している。

関係者によると、寿寿は7月10日、東大阪労働基準監督署の立ち入り調査を受けた。その後、フィリピン人職員たちに新たな文書を示し、署名を求めている。

■2014.7.15  株式会社介護NEXT 通所事業所が効力停止処分
東京都は、7月14日、介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」)第77条第1項及び第115条の9第1項の規定に基づき、指定通所介護事業所及び指定介護予防通所介護事業所に対して、指定の一部の効力の停止処分を行うことを決定した。

■事業者の名称:株式会社介護NEXT 代表取締役 赤星良平

■所在地:群馬県伊勢崎市鹿島町440番地1

■事業所名、指定の一部の効力の停止の期間及び内容等
(1)
●事業所名 GENKINEXT東十条
●事業所所在地 東京都北区東十条一丁目8番10号 1階
●サービス種別(事業所番号) 通所介護、介護予防通所介護(1371704923)
●指定年月日 平成23年11月1日
●指定の一部の効力の停止期間及び内容 平成26年7月14日から平成27年1月13日までの6か月間、新規利用者の受入れ停止

(2)
●事業所名 GENKINEXT江戸川東小岩
●事業所所在地 東京都江戸川区東小岩五丁目37番22号 リバティーハウス1階
●サービス種別(事業所番号) 通所介護、介護予防通所介護(1372306207)
●指定年月日 平成23年11月1日
●指定の一部の効力の停止期間及び内容 平成26年7月14日から平成27年1月13日までの6か月間、新規利用者の受入れ停止

(3)
●事業所名 GENKINEXT足立竹ノ塚
●事業所所在地 東京都足立区竹の塚六丁目16番10号 テラス竹ノ塚1階 W103
●サービス種別(事業所番号) 通所介護、介護予防通所介護(1372108488)
●指定年月日 平成23年12月1日
●指定の一部の効力の停止期間及び内容 平成26年7月14日から平成26年10月13日までの3か月間、新規利用者の受入れ停止

■介護保険法に基づく処分理由
(1) GENKINEXT東十条(通所介護、介護予防通所介護)
不正の手段による指定申請(指定取消等要件:法第77条第1項第9号、第115条の9第1項第8号)
指定申請時に当該法人の他事業所で勤務していた介護職員等について、当該事業所で勤務することの意思確認をしないまま、労働契約書の就業場所を改ざんするとともに、異動を発令したかのように見える人事通達を添付の上、当該事業所に勤務する介護職員として指定申請を行い、指定を受けた。

(2) GENKINEXT江戸川東小岩(通所介護、介護予防通所介護)
不正の手段による指定申請(指定取消等要件:法第77条第1項第9号、第115条の9第1項第8号)
指定申請時に当該法人の他事業所で勤務する予定だった介護職員について、当該事業所で勤務することの意思確認をしないまま、労働契約書の就業場所を改ざんするとともに、異動を発令したかのように見える人事通達を添付の上、当該事業所に勤務する介護職員として指定申請を行い、指定を受けた。

(3) GENKINEXT足立竹ノ塚(通所介護、介護予防通所介護)
虚偽の報告(指定取消等要件:法第77条第1項第7号、第115条の9第1項第6号)
平成23年12月1日(指定日)から平成24年2月6日までの間、生活相談員の資格がある者が勤務していなかったにもかかわらず、実地検査において、実際には勤務しなかった指定申請上の生活相談員が、指定月及びその翌月に勤務していたとする2か月分の出勤簿を提出した。
また、実地検査において、実際には勤務しなかった指定申請上の管理者兼介護職員が、指定日から3か月間勤務していたとする出勤簿を提出した。

■2014.7.16  障害者ラーメン店奮闘…広島・福山
福山「絆の家」が来月中旬まで出店

広島県福山市新涯町の障害者就労支援施設「絆の家」が同市内にラーメン店を出店し、施設の利用者が調理や接客に奮闘している。

営業は8月中旬までの期間限定で、施設管理者で店長の上田晋資さん(43)は「最初は失敗ばかりだったが、みんなの頑張りで仕事をてきぱきとこなせるようになった」と喜んでいる。

「絆の家」では、障害者約20人がしいたけ栽培に取り組み、地元のスーパーや道の駅に卸している。

ラーメン店は、上田さんの友人が店を経営していた縁で、閉鎖していた店舗を活用して実現。ラーメンの調理は、製麺や麺のゆで加減など、複雑な作業や独特のこつが必要など、障害者には難しい面もあるが、可能性を広げようと取り組む。

6月初めにオープンしたラーメン店は、同市南本庄の「尾道ラーメン朱鳶(あかとび)」。JR福山駅から西に約800メートルのJR山陽線沿いで、赤いのれんと白いちょうちんが目印だ。午前11時から午後3時までのランチ営業。テーブルとカウンターの計20席あり、メニューは唐辛子と野菜が入った「朱鳶ラーメン」など3種類を提供する。

勤務は同施設の利用者4〜7人が交代で行い、店内をふき掃除したり、食材の野菜を切ったりと開店前から忙しく働く。客が来ると「いらっしゃいませ」と大きな声であいさつ。麺の硬さやスープの辛さは客が選べるが、注文用紙に丸を付けて店員に手渡してもらうことで、ミスがないように工夫している。

勤務する障害者は当初、野菜を同じ大きさに切りそろえるのに苦労したり、麺をゆでるのに硬すぎたり、柔らかすぎたりと失敗も多かった。しかし、毎日の経験で克服し、お客さんの満足度も高まり、今では1日20〜25食を売り上げる。

「初めは不安だったのか声が小さかった」と振り返る上田さん。「しかし、限られた人としか接触のない施設では味わえない経験を通し、仲間と助け合う気持ちや新たな仕事への自信を付け、大きな声も出せるようになった」と成長に目を細める。勤務する楠正光さん(37)は「接客はいろんな人と出会えて楽しい」と声を弾ませた。

福山市障がい福祉課は、「福祉施設がラーメン店を経営するのは珍しい。利用者が前向きに取り組むのは素晴らしい」としている。

同店の営業は平日のみ。

■2014.7.16  介護報酬を不正請求 新里町の訪問介護施設、県、指定取り消し 群馬県
県は14日、NPO法人ルピナス(長澤荘二理事長)が運営する訪問介護ルピナス(桐生市新里町山上)に対し、訪問介護事業所と介護予防訪問介護事業所の指定を8月31日に取り消すと発表した。今年3月から行われた計4回の監査で、同事業所の介護報酬の不正請求などが発覚した。

県によると、1人の訪問介護員が同時に2人の利用者に介護サービスを提供したり、実際には介護サービスを提供していない訪問介護員がサービスを提供したとする虚偽の記録で介護報酬を不正に請求していた。不正が行われた期間は2012年11月〜14年2月で、47万7790円を受け取った。保険者は桐生、前橋、伊勢崎の3市で、うち25万1180円を桐生市から受給、返還については各市が対応する。

不正請求のほかに県は処分の理由として、人員基準違反と運営基準違反を挙げている。訪問介護事業所に義務付けられている常勤サービス提供者について、ルピナスでは常勤の実態がないことを確認、これを人員基準違反と判断した。また、訪問介護計画について作成していない、サービスの変更を反映していないなど不適切な点があったこと、管理者が必要な指揮命令を行っていないことなどから運営基準違反とした。

NPO法人ルピナスは有料老人ホームルピナス(同市新里町山上)を運営しており、現在10人が利用。施設入居者への介護サービス提供のため訪問介護事業を行っている。

長澤理事長は不正受領などがあったことを認めており、今後は「現在(施設に)入っている利用者のみなさんに迷惑をかけないよう対応を進めていく」と話している。

■2014.7.17  定数20で15市議逮捕、補選2回の可能性も 元社会福祉法人理事長水木貞被告(66)逮捕は5度目
青森県平川市長選を巡る選挙違反事件で、県警は16日、新たに市議6人を公職選挙法違反(被現金買収)の疑いで逮捕した。

定数20の同市議会は、市議15人が逮捕される異常事態となった。補欠選挙の告示が20日に迫る中、新たな逮捕者が出たことで補欠選挙が2回行われる可能性が強まってきた。

新たに逮捕されたのは、いずれも同市議、古川敏夫(69)(平川市館田東)、福士恵美子(70)(同市本町)、古川昭二(64)(同市柏木町)、対馬実(63)(同市館山)、成田敏昭(71)(同市碇ヶ関)、佐々木利正(50)(同市碇ヶ関)の6容疑者。また、落選した前市長の大川喜代治被告(69)(公選法違反で公判中)の支持者で元社会福祉法人理事長水木貞被告(66)(同)も同法違反(現金買収など)容疑で再逮捕した。水木被告の逮捕は5度目だ。

発表によると、水木被告は昨年8月上旬頃、平川市内で古川敏夫容疑者ら6市議に、大川被告への投票のとりまとめなどを頼み、報酬として現金数十万円ずつを渡し、6市議は受け取った疑い。県警は、現金の受け渡しは別々に行われたとみている。

一連の選挙違反事件の全容解明に向けて、県警の捜査も正念場を迎えている。県警などによると、これまでに逮捕された9市議(5人は辞職、失職)は逮捕時に容疑を認めていたという。捜査関係者によると、今回の逮捕者の中には、これまでの任意の事情聴取で容疑を否認していた容疑者も含まれているという。

          ◇

またこの事件を巡っては、市政運営への影響も懸念されている。

逮捕された15人の市議のうち、有罪が確定するなどして市議を辞職・失職したのは5人。5人の欠員に伴う市議補選が20日告示、27日投開票で行われることが決まっている。

県警によると、残る10人の市議の中には、容疑を認めている市議もいるという。補選の欠員数は告示日前日に決まるが、仮に告示日以降に、裁判で公民権停止が確定するなどし、辞職・失職する市議が4人以上出た場合、再度補選が行われることになる。ちなみに、今回の補選で市が払う費用は約2800万円だ。

■2014.7.17  虐待対応、市町村で差 台帳不備も NPO調査
弁護士らでつくるNPO法人「子どもの虐待防止ネットワーク鳥取」(CAPTA、事務局・鳥取市)は16日、全19市町村が設置する「要保護児童対策地域協議会」に関するアンケート結果を公表した。一部で虐待事案の対応などを取りまとめた進行管理台帳の不備があるなど、取り組みに差があることが判明。同法人は対応の統一が必要とし、来年中に全協議会が加盟する連絡会の設立を目指す。

協議会は、児童福祉法が改正された2005年度以降に全市町村が設置。児童相談所や警察など関係機関も入る。調査は12年7月から13年8月に実施した。同協議会を対象にした調査は全国的にも珍しいという。

同法人によると、県内の担当職員は計54人。1人しかいないのが8自治体で最も多く、専任職員は11人(20%)、正職員も40人(74%)にとどまった。

また、同法に基づいて虐待の通告受理マニュアルを作成しているのは5自治体だけで、「作成していない」は13自治体、「無回答」も1自治体あった。個別のケースごとに対応を記した管理台帳は、13自治体しか作成していなかった。

共通した管理態勢が整っていないと、他の市町村と比較検討も困難で、同法人理事長の安田寿朗弁護士は「経験や情報を共有し、専門性向上につなげていくことが重要。アンケートを協議会の充実につなげたい」とした。

連絡会の設立は、9月に倉吉市で予定するシンポジウムで提案するという。

■2014.7.17  盲導犬「2頭」寄贈 千葉県ヤクルト販売など
千葉県ヤクルト販売(石川隆明社長)は16日、県に盲導犬2頭の育成資金として約400万円を寄贈した。県視覚障害者福祉協会(伊藤和男会長)に寄付される。

2000年から毎年行っており、昨年度までに29頭分を寄贈。千葉ヤクルト工場(蝦名秀昭社長)、ヤクルト本社首都圏支店(相馬武彦支店長)も募金に協力し、ヤクルトレディーによる売り上げの一部や従業員の募金などで集めた。

県の中岡靖健康福祉部長に目録を手渡した石川社長は「盲導犬を必要とする方はまだまだ多い。有効に活用してほしい」とあいさつ。伊藤会長は「視覚障害者で最も困難なことは移動。寄贈は大変ありがたい」と話し、3者に感謝状を贈った。

■2014.7.17  介護装置:ベッド、車椅子、スムーズ移動 安川電機開発、今秋から老人施設で実証実験 /福岡
介護ベッドと車椅子の間をスムーズに移動するための介護装置が、北九州市で報道陣に公開された。安川電機(北九州市)が開発した。

介護の現場では、移動の際、要介護者を抱きかかえる際の負担軽減が課題となっている。このため、経済産業省などによるロボット介護推進プロジェクトとして、今秋から市内の特別養護老人ホームなど11施設で実証試験をすることとなった。

安川電機の装置は、アームでシートに乗せた要介護者をベッドから抱え上げた後、体の向きを調整して車椅子に座らせる。従来のつり上げ式のリフトと比べ、安定性が増すという。

移乗実演で要介護者役となった女性は「包み込まれるような自然な乗り心地でした」と評価した。安川電機のヒューマンアシスト事業推進チームの山中太チームリーダーは「新しい介護機器を発信したい」と語った。

■2014.7.18  職場の障害者虐待393人 13年度、厚労省集計
職場で雇い主や上司から虐待を受けた障害者は2013年度の1年間で393人に上ることが18日、厚生労働省のまとめで分かった。虐待があったのは253事業所で、前年度にも虐待で労働局から是正指導を受けていた事業所も数件あった。

多くは賃金の未払いなど「経済的虐待」だったが、中には複数の人から物を投げつけられた上「死ね」「殺す」などの暴言で追い詰められ、退職を余儀なくされるケースもあった。

国は、障害者雇用を促すため、企業が雇用すべき障害者の割合(法定雇用率)を昨年4月から引き上げた。働く障害者が増加する中、安心して働ける職場づくりが課題となりそうだ。

■2014.7.18  若者愛用ドッグタグ意外な層に人気 認知症家族が親の身元証明用に購入
眼鏡部品製造販売の木村金属工業(本社福井県鯖江市御幸1丁目、木村博健社長)が取り扱うチタン製ドッグタグが、高齢者の身元証明用として売れている。アクセサリーとしてのデザイン性が高いため、もともと若者に人気があった商品だった。それが2011年の東日本大震災を機に、認知症患者の息子世代が贈り物として購入するケースが増えているという。

ドッグタグは米軍兵が首にぶら下げている身元証明の認識票が、犬の鑑札に似ていることに由来する商品。ファッション性の高さからアクセサリーとして若者の人気を集めている。

同社は眼鏡枠を軽量化するための独自技術「チタン空洞技術」を応用し、チタン製アクセサリーを展開。06年からドッグタグの製造販売を始めた。企画、制作、仕上げまで福田淳専務が一貫して行い、オーダーメードでも受け付け。彫刻文字は最小1・2ミリまで対応している。

東日本大震災の津波被害を受け、海水や汗に強いチタン製タグが身元証明グッズとして注目を集めた。同社のチタン製ドッグタグの文字は国内でも数少ない日本語対応をしており、東北地方を中心に認知症患者の息子世代となる40〜50歳代からのネット注文が倍増。現在も震災前の1・5倍の受注がある。

チタンは金属アレルギーの心配が少ない上、摩耗しにくい。軽量で扱いやすいために「高齢者にも抵抗なく贈れる」と福田専務。別売りの鎖を付ければ、ネックレスやブレスレットとして楽しめる。今ではアクセサリーの売り上げのうち、4割近くを占める主力製品となっている。

福田専務は「家族や仲間、パートナーとの絆をチタンに彫り込めればと思って始めた事業。高齢化が進む中、今後も需要は高まるだろう」と期待している。最近では疾患を持つ人が万一、倒れたときの身元証明のために購入するケースもあるという。

日本語対応  チタンドッグタグ(IDプレート/認識票/迷子札)/T3-J
http://online.titankobo.co.jp/dogtag/dogtag-T3J.htm

■2014.7.18  川越の2事業所 介護報酬1100万円不正受給 市、指定取り消しへ
川越市は十七日、同市下広谷の医療法人「恵雄会」が運営する二つの介護事業所が介護報酬約千百万円を不正受給していたとして、二事業所の事業者指定を九月一日付で取り消すと発表した。虚偽のサービス記録を作って居宅介護サービス費を不正請求するなどしており、市は詐欺罪での刑事告訴も検討している。二事業所の利用者については、他の事業者に引き継ぐよう指導した。

指定取り消しとなるのは、高齢者約六十人が入居する「川鶴ナーシングホーム」の訪問介護事業所と居宅介護支援事業所。市によると、二〇一二年四月〜一三年十月に、架空のサービス記録を作ったり、実際には行っていないサービスを行ったように虚偽の記録を作ったりして、延べ約五千件の居宅介護サービス費を不正請求したとされる。これらの不正は介護支援専門員の支持で組織的に行われていたという。

二事業所が不正請求を行っているとの情報提供を受けた市が昨年十一月に監査に入り、発覚した。 

■2014.7.19  正社員化で競争力強く 変わる非正規依存
パートや契約社員など非正規社員を正社員に登用する動きが広がってきた。背景には、景気回復に伴う人手不足の解消だけでなく、若年労働力人口の減少が招く「採用氷河期」を見据えて人材を確保したい企業の狙いもある。経営者は、デフレ経済下で人件費を競うように削ってきたが、国内市場の縮小やグローバル化で経営環境が変わる中、人材への投資が競争力強化の優先事項になりつつある。

全日本空輸の客室乗務員、亀山裕子さん(32)は別の企業で働いた後、契約社員として採用され、現在は正社員として働く。念願の職場で働く使命感に加え、4月の人事制度改定が「職場の活気を呼んだ」と感じている。

全日空はコスト削減を目的に平成7年、客室乗務員は入社して3年間は契約社員とする制度を導入。契約社員は、チームのまとめ役にあたるチーフパーサーへの昇格や、事情に応じた休職制度もなく、「下積み期間」と位置づけられた。

しかし、4月からすべて正社員雇用に切り替わった。人事制度改定の理由について、ANA人財大学の西島克博人事部リーダーは「優秀な人材の確保と早期戦力化による質の向上」と説明する。格安航空会社(LCC)や外資の参入で競争が激しくなる中、「サービス差別化は人材。勝ち残っていくための未来への投資だ」と戦略を変えた。

全日空の就職内定者の中には、非正規採用を嫌って他の航空会社や業界を選ぶ人もいた。だが、27年度採用の応募は前年比10%増と、制度改定の効果は早くも出ている。

米国生まれの人気コーヒーチェーンの日本法人スターバックスコーヒージャパンも今春、希望する全契約社員を正社員化した。スターバックスは8年に第1号店をオープン。3月末時点で全国1040店、約2万4千人のスタッフを抱える大規模コーヒーチェーンに成長した。荻野博夫執行役員は「若手だったスタッフも育児や介護といった転機を迎えている。安心して長く働ける環境を整える必要が出てきた」と語る。

一方、「スタッフを募集しても何カ月も集まらない店舗がある」と明かすのは、カジュアル衣料「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングだ。愛知県や静岡県の一部で、店舗に必要な人員の充足率が80%台前半という厳しい事態に陥っている。

ファストリは、数年かけて非正規社員の半数超にあたる約1万6千人を転勤を伴わない「地域限定正社員」とする計画だ。19年に続く2度目の正社員化の取り組みだが、前回はフルタイム勤務を条件としたため、希望者は目標に及ばなかった。今回は時短勤務や土日の出勤可否などの要望を可能な限り受け入れる。

うどんやそばのチェーン店を展開するグルメ杵屋(大阪市)も7月から、パートやアルバイトを対象に時間や地域を限定した正社員への転換制度を始めた。直営店440店で最低1人ずつ、正社員を増やす計画だ。現状では年間3千〜4千人のパートやアルバイト社員が入れ替わる。定着化をはかりたい思いもある。

正社員化は人件費増の要因となるが、「(人材が定着すれば)サービスが向上し、採用・教育コストが減る」(グルメ杵屋)、「働く人と会社の信頼関係があってこそ丁寧な対応や心地よい空間を作り出せる」(スターバックス)と意に介さない。

経済の低成長が続き、企業は新卒採用を控え、安価で雇用調整しやすい非正規の労働力に依存してきた。非正規雇用者数は昭和63年の755万人から平成25年には1906万人に膨れあがった。しかし、この流れが人手不足と押し寄せる少子高齢化の波により変わろうとしている。大和総研の広川明子主任コンサルタントは「うわべの正社員化でなく、人件費を投資と考えて魅力的な職場にしてこそ真の人材確保やサービス向上につながる」と提言している。

■2014.7.19  非正規労働者の正社員化へ法案 厚労相、15年通常国会で
田村憲久厚生労働相は19日、若い非正規労働者の正社員化を促す対策を盛り込んだ新しい法案を2015年の通常国会に出す考えを示した。与党と調整し、若者の技能向上や正規への転換を後押しする施策を盛り込む。

田村厚労相は北海道で記者団の取材に応じ、「正社員化に向けた一大ムーブメント(運動)を起こしたい」と述べた。政府が企業に促してきた賃上げで一定の成果が出ていることから、正社員化を次の狙いに定める。

厚労省は今月から全国の企業に対し、非正規労働者を正社員に転換するよう求める。労働局の幹部が非正規比率が高い企業を訪れ、働く場所や時間を限った限定正社員の仕組みを紹介するほか、正社員にすることの利点を説明する。

■2014.7.19  スマホにつぶやいて記録・共有 9月から国内販売開始
スタッフ間で即時に共有
在宅医療や在宅介護の現場では多職種が治療や介護に関わることが多い。その中で情報を共有することが、患者や利用者のためには必要不可欠だ。

株式会社東芝は、ケアに当たるスタッフが患者や利用者の症状や様子をスマートフォンにつぶやくだけで、音声と文字による記録ができ、ケアに携わる他のスタッフ間で即時に情報を共有できるソーシャルネットワーキングサービス(以下、SNS)を開発した。

つぶやいて記録
医師、訪問看護師、介護士などは、訪問先に置かれたノートにその日の患者・利用者の様子、症状などを書き込むことでコミュニケーションを取っている。

しかし、限られた時間の中でたくさんの情報を記入することは大変難しく、また、他の関係者の記入事項を同時に確認することはできないため、最新の情報をより詳細に、そして相互に知りたいというニーズがあった。

今回のサービスは、ケア中など気づいたときスマートフォンにつぶやくだけで、音声と文字で記録することができ、気づいたことや連絡事項をSNS上で他スタッフと同時に共有することができる。

在宅医療・介護サービスを行う事業者に向けて、9月より国内での販売をスタートする。

今後はさらに、システム内に記録した時刻や場所、治療や介護に重要なキーワードを活用し、データ分析するサービスを展開していく予定だ。



株式会社 東芝 プレスリリース 2014年07月15日

在宅医療・介護サービス向けソーシャルネットワーキングサービスの販売開始について
−スマートフォンにつぶやくことによって患者情報を音声と文字で記録・共有−

当社は、医師や介護者などが患者の症状や様子をスマートフォンにつぶやくだけで音声と文字によって記録ができ、その患者のケアに携わる多職種の関係者間でリアルタイムに共有できるソーシャルネットワーキングサービス(以下、SNS)を開発しました。医療法人や社会福祉法人など在宅医療・介護サービスを行う事業者に、9月から国内で販売を開始します。

本サービスは、自宅で医療・介護を受けている患者の情報を、医師や訪問看護師、介護士など多職種の関係者間で共有できるSNSです。スマートフォンに、患者の症状や様子について気付いたことをつぶやくだけでその内容を音声認識し、記録時間や場所などの情報と併せて音声と文字を記録し、セキュリティを確保した注専用のSNS上で共有することができます。

従来、在宅医療・介護の現場においては、医師、訪問看護師、介護士など多職種の関係者間で治療や介護を行うことが多く、情報を共有するために、患者の自宅に置かれたノートに患者の症状や様子などを書き込んでいました。しかし、限られた時間内に多くの内容を記入することは難しく、他の関係者の記入事項をリアルタイムに確認できないため、より最新でより詳細な情報を相互に知りたいというニーズがありました。本サービスでは、気付いたときにスマートフォンにつぶやくだけで、音声と文字で記録することができるため、より細やかな気付きや伝達事項をSNS上でリアルタイムに共有することができます。

また、今後はシステム内に記録された時刻・場所・治療・介護に重要と思われるキーワードを活用したデータ分析サービスも順次展開していきます。

本サービスは、7月16日〜18日に東京ビッグサイトで開催される「国際モダンホスピタルショウ2014」で紹介する予定です。

当社は、「ヘルスケア」を事業の柱の一つとして位置付け、「予防」「診断・治療」「予後・介護」「健康増進」の4事業分野に注力して展開しています。今後も、医療従事者や家族、介護者の負担を軽減するとともに、看護や介護を受ける方のQOL(Quality of Life)向上につながるサービスの提供に努め、みんなが健康でいきいき生活できる社会を目指します。

■2014.7.20  「障害者福祉を食い物に」 国に是正要望へ
障害者の就労を支援する国の事業を巡って国や自治体からの給付金を不正に請求する事業所などが相次いでいる問題で、全国の障害者関連団体などが加盟するNPOは「障害者福祉を食い物にする大きな問題だ」として、近く厚生労働省に是正を求める要望書を提出することを決めた。

障害者の就労を支援する事業は、自治体の指定を受けた事業所が障害者に作業や訓練を提供して一般企業などへの就労を後押しするもので、事業所には国や自治体から1日1人当たり数千円の給付金が支給される。

しかし、事業所が障害者の人数や利用日数を水増しして給付金を不正に請求した額が5年間で5億1000万円余りに上ることが、NHKの取材で分かったほか、制度を悪用して利用者の労働時間を短くし、給付金と賃金との差額を稼ごうというケースも出ている。

この問題で、全国100余りの障害者関連団体などが加盟するNPO法人「共同連」は「障害者福祉を食い物にする悪質な貧困ビジネスと言わざるをえない」として、給付金と賃金との差額を稼いでいる事業所の実態調査や、給付金制度の効果的な見直しを求めて、近く厚生労働省に是正を求める要望書を提出することを決めた。

厚生労働省は、来年4月の障害福祉サービスの報酬改定でさらに報酬を減らすなど、対応を検討することにしている。

■2014.7.20  ミリ単位で正確さ追求 横浜の福祉作業所 野球ボール、手作業で修繕
全国高校野球選手権神奈川大会で熱戦が続く中、横浜市港北区の福祉作業所で、障害者たちが傷んだ硬式野球のボールを新品同様に生まれ変わらせている。注文は、全国の高校や大学の野球部、社会人チームから相次ぐ。「自分が縫った球が役に立つのがうれしい」と、障害者たちも球児の活躍を応援する。

練習でぼろぼろになった革をはがして真っ白な牛革に張り替え、一針一針、赤い糸で縫い合わせる。縫い目の幅は、きっちり七ミリ。「良いボールを返したいので、最後まで細かく糸を整えている」と作業所に通う大木正男さん(61)は話す。

運営するのは、山形県新庄市の福祉会社「ユニオンソーシャルシステム」。六年前、障害者の就労支援を目的に硬球の再生事業を始めた。山形県内七カ所と横浜市内二カ所の作業所で、障害者約三百人が月平均七千〜一万球を修繕している。

「ミリ単位まで正確な作業を繰り返すことができる障害者の職人技が生きています」。横浜市内の作業所を担当する同社の加藤翔さん(29)は、品質の高さに胸を張る。

高校では県内約二十五校のほか、昨夏の甲子園出場校の日大山形(山形)や愛工大名電(名古屋)、仙台育英(宮城)からも注文を受ける。料金は一球二百三十円で新品を購入するより安く、部費の節約にもなるという。

「何度でも挑戦できる」という思いを込めて、同社は再生した球を「リトライ」と名付けた。加藤さんは「障害者が地道に修繕した球で練習を頑張り、世界で活躍する選手になってほしい」と願っている。

■2014.7.20  介護保険、創設以来の大改正=自己負担増や特養入所厳格化も−関連法が順次施行へ
介護保険制度が2000年4月の創設以来、大きく改正される。
先の国会で成立した「医療・介護総合推進法」は、一定の所得がある人や軽度の人に対する給付を抑え、真に介護が必要な高齢者にサービスが行き渡るようにするのが狙い。

来年4月から順次施行されるが、自己負担が引き上げられたり、特別養護老人ホーム(特養)に入所できなかったりと負担が増える人も出る。市町村によってサービスに格差が生じるとの指摘もある。

▽年金280万円以上は2割負担
介護保険サービスの費用は現行では、原則1割を利用者が負担し、残りの9割が介護保険から支払われる。財源は半分が国と自治体の公費で、残り半分が40歳以上の人が月々納める保険料。1947〜49年生まれのいわゆる団塊の世代が75歳以上になる25年には、費用は現在の10兆円から21兆円に倍増、月々の保険料も約5000円(全国平均)から、約8200円に上がる見通しだ。

制度持続へ向け、改正では、経済力のある利用者の自己負担を引き上げ、特養への入所者を要介護度の高い人に限定、要介護に至らない「要支援」者へのサービスは市町村に委ねる。自己負担は制度スタート以来、所得にかかわらず原則1割だったが、15年8月から年金収入280万円以上の人は2割とする。厚生労働省は、約50万人が2割負担になるとみている。

特養の入所条件の厳格化は15年4月から。原則として要介護3以上の中・重度者に限定し、要介護1、2の軽度者は新たには入所できなくなる。背景には深刻な施設不足があり、同省調査によると、入所希望の待機者は13年10月1日時点で全国に52万人余。うち要介護4、5で入所の必要性が高い人は8万人以上に上る。

▽要支援者サポートは市町村が
要介護には至らない「要支援」者向けに、プロの介護士らが全国一律に提供しているホームヘルプやデイサービスなどは、15年4月から3年かけて市町村事業に移管する。厚労省は、要支援者の多くが、食事や衣服の着脱など身の回りの動作には問題ないが、買い物や調理などに不自由を感じている実態に合わせたと説明。市町村の工夫次第で、NPOやボランティアによる代行、手伝いなど多様な生活支援が生まれると期待する。

だが、事業には介護保険からも経費が支出されるものの、市町村の財政力や福祉への意識により、サービス内容に差が生じる恐れはある。入浴などやはりプロの介護が必要なケースもあり、同省は市町村に対応を求めていくとしている。

■2014.7.22  デイサービスの一部効力停止 広島
広島県は、不正申請と虚偽報告をしたとして、有限会社ケイアンドケイが経営する広島県竹原市の通所介護「デイサービスセンターあさがお竹原」の一部効力停止を行うと平成26年7月11日に発表した。

同センターが、指定更新申請時などに、雇用関係のない元従業員を生活相談員として雇用していると偽って申請していたことが、処分理由だとされている。

同センターは、指定居宅サービス事業者指定更新申請及び指定介護予防サービス事業者指定更新申請時に、既に退職した元従業員の氏名を使って、生活相談員として雇用していると偽り、不正な申請をした。

また、営利法人重点監査の際にも、同じように元従業員を生活相談員として偽り報告していた。管理者は、これらの申請と報告に当たり、従業員の管理と業務の実施状況を把握しておらず、指定基準上管理者に課せられている管理者としての責務を適正に果たせていなかった。

処分は、平成26年8月1日付けで行われる。指定の一部効力停止期間は6ヶ月。新規利用者の受け入れが停止され、介護給付費の請求割合の上限3割が減らされる。

なお、既にサービスを利用している人については、この間も引き続いてサービスが提供される。


処分対象事業者
開設者
名称等 有限会社ケイアンドケイ(代表取締役 平田 宗一郎)
所在地 東広島市西条土与丸二丁目7−33

■2014.7.22  1千万円超の不正請求で居宅と訪介を指定取消//介護支援専門員が不正行為を指示
埼玉県川越市は、7月17日、市内の居宅介護支援事業所と併設の訪問介護事業所を指定取り消し処分にすると発表した。

処分の理由は、訪問介護事業所が訪問介護サービス提供記録の未作成や虚偽の提供記録を作成することを繰り返し、居宅介護サービス費を不正に請求し、受領していたため。居宅介護事業所は、介護支援専門員が訪問介護事業所の不正行為を指示していたため。

事業者が不正に請求した介護報酬は1,120万1,896円にのぼる(2012年4月1日から2013年10月31日まで)。
処分の発効は9月1日。

■法人の名称:医療法人恵雄会(理事長 相原吉雄)
■法人の所在地:埼玉県川越市大字下広谷1113番地22

■事業所の名称:川鶴ナーシングホーム訪問介護事業所
■事業所の所在地:埼玉県川越市大字下広谷1108番地2
■サービスの種類:訪問介護、介護予防訪問介護

■事業所の名称:川鶴ナーシングホーム居宅介護支援事業所
■事業所の所在地:埼玉県川越市大字下広谷1108番地2
■サービスの種類:居宅介護支援

■処分の理由

1.訪問介護・介護予防訪問介護 
・運営基準違反、介護給付費の不正請求(訪問介護)
指定居宅サービスのうち訪問介護に該当するサービスについて、サービス提供記録を作成していないにもかかわらず訪問介護に係る居宅介護サービス費を不正に請求し、受領した。

1人の訪問介護員が、同日同時間帯に別室にいる複数の利用者に対し訪問介護サービスを提供したとして訪問介護に係る居宅介護サービス費を不正に請求し、受領した。

訪問介護員がタイムカード上勤務していないことが明らかな時間帯であるにもかかわらず、訪問介護サービスを提供したとする虚偽のサービス提供記録を作成し、訪問介護に係る居宅介護サービス費を不正に請求し、受領した。

訪問介護サービスを提供する業務に従事しない者が、訪問介護サービスを提供したかのように装い、虚偽のサービス提供記録を作成し、訪問介護に係る居宅介護サービス費を不正に請求し、受領した。

訪問介護員が排泄などに関して自立していると認識している利用者について、排泄などの訪問介護サービスが提供されていないものがあるにもかかわらず、訪問介護サービスを提供したかのように装い、虚偽のサービス提供記録を作成し、訪問介護に係る居宅介護サービス費を不正に請求し、受領した。

訪問介護サービスに係る介護報酬が居宅介護サービス費等区分支給限度基準額に達するよう調整するため、実際には訪問介護サービスを提供していないにもかかわらず、訪問介護サービスを提供したかのように装い、虚偽のサービス提供記録を作成し、訪問介護に係る居宅介護サービス費を不正に請求し、受領した。

・法令違反(介護予防訪問介護)
川鶴ナーシングホーム訪問介護事業所が訪問介護事業所と介護予防訪問介護事業所を一体的に運営していたところ、訪問介護事業所の運営において法第77条第1項第4号及び第6号に該当する違反行為を行っていた。

2.居宅介護支援
・運営基準違反、居宅介護サービス計画費の不正請求
居宅介護支援事業所に併設されている川鶴ナーシングホーム訪問介護事業所において、当該訪問介護事業所が受け取ることができる介護報酬が居宅介護サービス費等区分支給限度基準額に達するよう調整するため、実際には、訪問介護に該当するサービスを提供していないにもかかわらず、虚偽のサービス提供記録を作成するよう川鶴ナーシングホーム居宅介護支援事業所の介護支援専門員が、川鶴ナーシングホーム訪問介護事業所に指示し、虚偽の給付管理を行い、居宅介護サービス計画費を不正に請求し、受領した。

・運営基準違反
介護支援専門員が、訪問介護サービスを提供する業務に従事しない者がいることを知りながら、その者が訪問介護サービスを提供したとするサービス提供記録を作成するよう、川鶴ナーシングホーム訪問介護事業所に指示した。

■2014.7.22  福岡県の九州自動車道で起きたバスジャック事件 ⇒ 小林容疑者は累犯者更生のグループホームで生活していた
福岡県の九州自動車道で20日起きたバスジャック事件は、発生から約30分後に福岡県警機動捜査隊員がバス内に突入し、負傷者を出さずにスピード解決した。2000年の西鉄高速バス乗っ取り事件後に導入が進んだ車両の「SOS表示」で多数の110番が寄せられるなど対策が生きた。

「後ろから出てきた赤いTシャツに黒い帽子をかぶった男が運転手にナイフを突き付け『警察に110番しろ』と言って(バスジャックが)始まった」。福岡県直方市を出発し約35分後、若宮インターチェンジ(IC、福岡県宮若市)付近を走行中、北九州市八幡西区の60代女性は最前列の席で目撃した。00年5月の西鉄高速バス乗っ取り事件が頭をよぎり「怖かった」。

バスには男性運転手(32)と18〜82歳の乗客24人(女性20人、男性4人)が乗っていた。車内の中央付近に座っていた70代女性は「怖くて座席にうずくまって隠れた」。小林優之容疑者(26)は刃物を向けたまま「警察に電話しろ」「サービスエリア(SA)についたら自分が対応する」と声を上げていた。直方市から福岡・天神に買い物に行く途中だったという女性(33)は「いきなり大声を上げたり、怖かった」と振り返る。

だが、運転手は冷静に対応した。発生後間もなく緊急連絡装置を押して会社に伝え、同時に車両後部にSOSも表示させた。更に無線で「バスジャックされた。真っすぐ進めと言われた」と伝えた。

福岡県太宰府市の渋滞でバスが減速した時だった。乗客が非常ドアを開けようとして、車内で非常ベルが鳴った。「何の音だ」。小林容疑者に尋ねられた運転手はとっさに「外に出ないと分からない」と答えた。小林容疑者の指示で運転手が降りたところで、後ろの車両にいた機動捜査隊員が突入した。

県警によると、110番はSOS表示を見た後続車両などの目撃者から十数件あった。捜査関係者は「通報でバスのナンバーも分かり早く特定できた」と振り返る。記者会見した西鉄の森慎二業務部長は「容疑者を刺激しないように、交信は1回だけだったが、速やかなSOSが容疑者の身柄の確保につながった。バスジャックマニュアル通りの対応だった」と話した。

関係者によると、小林容疑者は軽度の精神障害者の治療や累犯者更生などのためのグループホームで生活していた。今年3月中旬ごろ入所し、これまで施設でのトラブルはなく、おとなしい性格だったという。

この日は午前9時ごろ「ちょっと出かけてくる」と言って、他の入所者に1000円を借りて外出した。バスやパトカーなどの乗り物やパソコンが好きだという。

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福岡県の九州自動車道で20日に起きた高速バス乗っ取り事件で、銃刀法違反容疑で逮捕された無職小林優之容疑者(26)が入所していた同県福智町のグループホームから包丁やナイフがなくなっていないことが21日、関係者への取材で分かった。

県警は、事件で使われた刃渡り約12センチのペティナイフ(小型の包丁)を小林容疑者が事件直前に入手した可能性があるとみて調べている。

関係者によると、小林容疑者は今年3月から、罪を犯した障害者らの自立を支援するグループホームに入所している。ホームでは包丁やナイフを施設側が管理しており、事件後にホームにあった5本すべての所在を確認したという。

小林容疑者は20日午前9時ごろ、「気分転換をする」と言って施設を出た。所持金は千円程度だったとみられる。

小林容疑者は同10時半に同県直方市の西鉄直方バスセンター発の高速バスに乗り込み、同11時ごろ、同県宮若市の若宮インターチェンジ付近を走行中に運転手にナイフを示して「高速を真っすぐ行け」などと指示し、バスを乗っ取ったとされる。県警は小林容疑者が事件前にホームや直方バスセンターの周辺でナイフを入手した可能性があるとみて、事件前後の行動を詳しく調べている。

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バスジャック容疑者送検 人質強要処罰法違反で
九州自動車道で西日本鉄道の子会社「西鉄バス筑豊」(福岡県飯塚市)の高速バスが乗っ取られた事件で、福岡県警は22日、銃刀法違反容疑で現行犯逮捕した福岡県福智町、無職小林優之容疑者(26)を同容疑と人質強要処罰法違反容疑で福岡地検に送検した。

発表によると、小林容疑者は20日午前11時頃、同県鞍手町付近の九州自動車道下り線を走行中のバス車内で、男性運転手にナイフを突きつけて「そのまままっすぐ行け」などと指示。さらに乗客24人もバス車内に監禁し、人質にして「携帯で110番しろ」と指示するなどした疑い。

県警は同日午前11時38分頃、小林容疑者を現行犯逮捕。運転手と乗客にけがはなかった。

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過去にも乗っ取り予告…九州道バスジャック逮捕の男
九州道で20日、高速バスが乗っ取られた事件で、逮捕された男は過去にもバスを乗っ取る予告をし、刃物を所持したとして逮捕されていたことが分かった。

銃刀法違反の疑いで逮捕された福岡県福智町の小林優之容疑者(26)は20日、九州道太宰府インターチェンジ付近を走行中、高速バス内で刃物を所持した疑いが持たれている。入所するグループホームによると、小林容疑者は2011年、福岡市内のビルにバスを乗っ取る予告の張り紙をして自ら通報し、近くで刃物を所持したとして逮捕され、その後、実刑判決を受けていた。

小林容疑者が入所するグループホームの担当者:「一所懸命、作業していた。気分転換と言って外出の許可を出した」
警察は、人質強要処罰法違反容疑での立件も視野に動機などを調べている。

■2014.7.23  介護用おむつ向けに排泄物を広げないシートを発売
育児用具国内最大手のピジョンは23日、高齢者介護用おむつ向けに、排泄(はいせつ)物がおむつの中で広がるのを防ぐシートを新開発し、8月初旬から販売を始めると発表した。表面に細かなポケットがついており、真下に尿や便が垂れ下がるため、おむつからの漏れを少なくできる。今後、事業拡大を目指す介護関連事業の中核商品とする方針だ。

介護用では、おむつの内側に、尿とりパッドを入れるのが一般的だが、ビジョンの新シートは、その尿とりパッドの上に置く。これまで水分の多い便では、お尻の割れ目やおむつと体の隙間を通じて、おむつからあふれることが多かった。新シートは隙間を埋める効果もあり、尿便は真下に落ちるため、おむつの汚れる面積は、従来の3分の1程度に抑えることができるという。25枚入りで、本体価格は350円。

■2014.7.23  不正請求で訪問介護事業所を指定取消 特定非営利活動法人ルピナス
群馬県は、7月14日、サービス提供責任者の不適切業務などで桐生市内の訪問介護事業所を指定取り消し処分にすると発表した。
処分の発効は、8月31日。
 
■事業者の名称:特定非営利活動法人ルピナス 
■事業所の名称:訪問介護ルピナス
■事業所の所在地:群馬県桐生市新里町山上1387番地8
■サービスの種類:訪問介護、介護予防訪問介護

■処分の理由
・人員基準違反
常勤のサービス提供責任者が配置されていないことを確認した。

・運営基準違反
訪問介護計画が適切に作成されていないことを確認した。
サービス提供責任者が運営基準に規定するサービス提供責任者の業務を適切に行っていないことを確認した。
管理者が従業者および業務の管理を一元的に行っていない、また、従業者に運営基準を遵守させるために必要な指揮命令を行っていないことを確認した。

・不正請求
1人の訪問介護員が同日同時刻に2人の利用者に対し指定訪問介護を提供したとする虚偽の記録で不正に介護報酬を請求し、受領していた事例を確認した。
実際にはサービス提供を行っていない訪問介護員がサービス提供を行ったとする虚偽の記録で不正に介護報酬を請求し、受領していた事例を確認した

■2014.7.23  江戸川区の老人ホームで介護福祉士が入所者に暴行
東京都江戸川区の老人ホームで、入所者の80代女性に暴行を加え、顔を負傷させたとして、警視庁葛西署は23日、傷害の疑いで介護福祉士松岡陽祐容疑者(33)を逮捕した。女性は骨盤や肋骨が折れ、内臓を損傷する大けがをしており、関連を調べる。

葛西署によると、松岡容疑者は「右の拳で殴った」と容疑を認めている。女性は認知症で、松岡容疑者は周囲に「女性が転んで、ベッドの手すりに顔をぶつけた」と説明していたという。

逮捕容疑は、4月18日午後4時45分ごろから翌19日午前7時ごろの間に、江戸川区の老人ホームベストライフ江戸川で勤務中、女性に暴行を加えた疑い。

容疑を認め、「職場の人間関係でストレスを抱えていた。夜中に顔を殴った」と供述しているという。

■2014.7.23  「もっとほめられたくて殴った」元職員、起訴内容認める 特養施設連続不審死
埼玉県春日部市の特別養護老人ホーム「フラワーヒル」で平成22年、女性入居者が相次いで死傷した事件で、傷害致死罪に問われた元職員、大吉崇紘被告(30)=同県松伏町=の裁判員裁判初公判が23日、さいたま地裁(河本雅也裁判長)で開かれた。大吉被告は「間違いありません」と起訴内容を全面的に認めた。

起訴状などによると、大吉被告は22年2月18日、当時勤務していたフラワーヒルで、入居者の三笠みさゑさん=当時(95)=の胸部を数回殴って骨折させ、心不全、もしくは出血性ショックで死なせたとしている。

検察側は冒頭陳述で、事件前に別の入居者の体調の異変に最初に気付き、施設長からほめられた大吉被告が、もっとほめられるために入居者を殴って異変を伝えようと考えたと指摘。「介護施設職員が一方的に暴行を加えた残虐な犯行」と主張した。

一方、弁護側は「適応障害の被告は『もう一度異常を報告してほめられたい』という一心で、けがをさせる気持ちはなかった」と主張。情状酌量を求めた。

フラワーヒルでは同年2月15〜18日の4日間で、三笠さんを含む入居者3人が死亡、1人がけがをした。大吉被告は今回の事件のほか、女性入居者2人に対する傷害と傷害致死容疑でも立件されたが、いずれも不起訴処分(嫌疑不十分)となった。女性の遺族が処分を不服とし、さいたま検察審査会に審査を申し立てている。

■2014.7.23  FileMaker、介護分野における導入事例を発表 - 在宅復帰率を改善
ファイルメーカーは、iPadとFileMaker Goを用いたFileMakerプラットフォームの導入事例を発表した。

事例は、福島県いわき市の介護老人保健施設サンライフゆもとが、FileMakerプラットフォームを用いて開発した「在宅復帰支援シミュレーター」の導入成果で、在宅復帰率を15%から40%超への向上に寄与したというもの。同社Webサイトで紹介している。

サンライフゆもとは、福島県第1号の老人保健施設として1988年に開設された施設で、医師・看護師、介護福祉士、理学・作業療法士、栄養管理士など専門家が高齢者の医療、看護、介護、リハビリテーションなどを地域に提供している。「在宅復帰支援シミュレーター」は、"在宅重視・自立支援"を勧めるためのプログラムとして、サンライフゆもとが、開発した成果物でFileMakerプラットフォームで動作する。ホストされているFileMaker ServerにWi-Fiで接続、施設入所者の基本情報や各専門士からの評価をiPadで把握できる。

費用の自動計算やリハビリの様子も動画や写真で確認でき、家族と一緒に介護に取り組めるシステムで、Webサイトでは、それまで15〜17%だった在宅復帰率が導入後にコンスタントに40%を越えていった様子がつぶさに紹介してある。

FileMakerプラットフォームは、ノンプログラミングで画面を作成、デザインと機能を備えたデータベースを提供できるFileMaker Pro、インストールや各種設定など手軽な操作ながら、堅牢なサーバーを構築できるFileMaker Server、iPadやiPhoneでFileMakerソリューションを実行させるFileMaker Goから成り立ち、iPadやiPhoneで使える柔軟なシステムを開発することが可能になる。

■2014.7.23  サンライフゆもと:独自開発の在宅復帰支援シミュレーター活用で在宅復帰率が向上  ★FileMaker、介護分野における導入事例を発表 - 在宅復帰率を改善
医療法人社団 秀友会(福島県いわき市)は、入所者の在宅復帰に向けた支援の取り組みを強化している。在宅復帰委員会を設置して自宅退所援助のワークフローを見直すとともに、FileMakerで構築した「在宅復帰支援シミュレーター」を活用している。居宅サービスの組み合わせから、家族が最も気にかける自己負担額を算出でき、入所者の回復状況を説明するうえでも、効果を上げている。

在宅復帰率向上に向け自宅退所援助への取り組み見直し

福島県で初めて老人保健施設の認可を受け、1988年11月に100床で開設した「サンライフゆもと」は、1994年に認知症専門棟(50床)、2004年にはリハビリテーション棟を増設した。また、短期入所療養介護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、グループホームなどの事業所も運営している。

2012年の介護報酬改定では、在宅復帰支援型の介護老人保健施設(以下、老健施設)の機能を強化する観点から、在宅復帰の状況やベッドの回転率などを指標とし、機能に応じた報酬体系への見直しが行われた。いわゆる「在宅復帰強化型老健施設」に移行できれば増収が見込める一方、その基本要件は退所者の在宅介護移行(在宅復帰)率が50%以上と厳しいものだった。

「入所者の在宅復帰は、自宅でも介護できる目処が立った時点で家族や本人が納得できる状態で行われるべきで、復帰率を上げることを最優先にしようとは思っていません。私たちは以前から一貫してこう考えていますが、一方で生き残りを図るため、自宅退所援助への取り組み強化は大きな課題でした」。施設長の箱崎秀樹氏はこう話し、2012年度改定で新設された在宅復帰・在宅療養支援機能加算を取れる在宅復帰率30%以上を目指した取り組みを始めたと振り返る。

在宅復帰率向上に向けた取り組み強化は、それまで実施してきた自宅退所援助ワークフローの見直しから始めた。「入所者は、歩行困難になったり、認知症の進行で暴れるようになったなど、家族による介護が困難になった方が少なくありません。支援相談員による家族指導中心の退所援助だけでは、なかなか自宅退所につながらないのが現状でした。そこで、在宅復帰委員会を設置して、自宅退所援助ワークフローを見直し、家族の理解が得られることを第一に、自宅退所に向けてのアプローチと情報提供のあり方を再構築しました」(リハビリテーション室室長の齊藤隆氏)。

自宅退所援助ワークフロー見直しに当たっては、全国老人保健施設協会(全老健)が普及を進めるケアマネジメント方式「R4システム」を導入し、目標達成後に再度、在宅訪問調査と実現可能な在宅復帰のシミュレーションを繰り返していくこととした(図1)。実際には、FileMakerで開発した「在宅復帰支援シミュレーター」を用い、在宅介護で利用する居宅サービスの組み合わせと想定自己負担額を提示して家族の不安の解消に努めるほか、入所者の回復状況の映像などを家族に見せて、在宅復帰の理解を得られるようにした。

家族の不安を解消する在宅復帰支援シミュレーター

在宅復帰支援シミュレーターは、退所後の在宅生活を想定した居宅サービスの組み合わせと、そのサービス単位が利用者の区分支給限度額に収まるかどうかを自動判定するもの。1カ月に短期入所や通所リハビリ、訪問リハビリなどを何日利用し、訪問介護ヘルパーを何回派遣するかといったサービスの組み合わせで、サービスの合計単位がどれくらいになり、自己負担額がいくらになるかを利用者家族に提示するツールである。

「在宅介護でどのようなサービスを利用すべきか、それによってどれほど介護の負担を軽減できるかは、家族にとって、在宅復帰に伴う大きな課題です。また、サービス利用にどの程度の費用がかかるのかについても、家族は大きな不安を感じています。そこで、家族の要望に応じてサービスの組み合わせを柔軟に変更し、想定される自己負担額を即座に提示することで、家族の納得のいく説明を可能にしようと開発したのが、在宅復帰支援シミュレーターです」(齊藤氏)。

従来は、支援相談員が手書きやワープロで作成した資料を基に家族に説明していたが、作成は煩雑で手間がかかり、家族の要望で利用するサービスを変更すると資料を作り直さなければならなかった。在宅復帰支援シミュレーターでは、当該月のカレンダー画面上で利用するサービスを選択していくだけで簡単にシミュレーションできるため、利用サービスを変更したときにも、すぐに自己負担額などを家族に提示できる。

「以前は、カレンダーを表示した用紙に通所リハビリや訪問リハビリが何曜日、ヘルパー派遣が何曜日など、利用するサービスを書き込み、1回1回サービス合計額と自己負担額を計算して提示していました。iPadで在宅復帰支援シミュレーターを利用することにより、相談室で家族と面談しながら、要望に沿ってサービスを自在に組み合わせて負担額を提示できるようになりました」(在宅復帰支援室室長の笹島みつ子氏)。

在宅復帰支援シミュレーターによる説明は、入所前、入所直後、退所前に行うことを基本としているが、家族の理解を深められるよう、必要に応じて活用しているという。在宅復帰支援シミュレーターを使う本来の目的は、自己負担額を提示して家族の不安を解消するためのものだが、それ以上に重要なのは、職員がそれぞれの専門的な立場から入所者にどのようなアプローチを行っているか、それによってADL(日常生活動作)がどの程度回復し、在宅生活が可能になりつつあるのかを家族に知ってもらうことにある。なお、在宅復帰支援シミュレーターは利用者管理データベースに組み込まれていて、入所者のケア記録などを活用できるようになっている。

在宅復帰支援シミュレーターを支えるFileMakerプラットフォーム

サンライフゆもとでは、理学療法士である齊藤氏が1996年からFileMakerを用いたシステム構築を進めてきた。これまでにケアマネージャーが利用するツール(要介護認定予測、サービス担当者会議録、R4システムに基づくケアプラン作成など)や、リハビリ部門のツール(リハビリカンファレンス、リハビリ実施計画書、個別リハビリ記録、身体機能評価表など)をはじめ、各部門向けの多くの書類作成、職員勤務管理、連絡掲示板などを構築している。

「介護保険施行時に介護ソフトベンダーのパッケージ導入も考えましたが、市販のパッケージでは、当施設で伝統的に行ってきたアセスメント手法によるサービスの質を維持するのが難しく、カスタマイズの投資負担も大きかったため、FileMakerによる独自開発を選びました。当時、Macintoshを使いこなしていた理事長の勧めもあって、施設全体でFileMakerをプラットフォームとする利用者管理システムを構築してきました」(齊藤氏)と、経緯を話す。

現在の利用者管理システムの職員ポータル画面には、連絡申し送り事項を掲載した掲示板をはじめ、過去6カ月の在宅復帰状況、過去3カ月のベッド回転状況などが表示されている。「在宅復帰率40%ライン、50%ラインまで何人かといった目標数値などを掲げるなど、現在の施設の運営状況を職員全員で共有することが、業務に対するモチベーション向上につながっています」(齊藤氏)という。

在宅復帰支援シミュレーターとリレーションしている情報(データベースのファイル)は、入所者管理台帳(R4システムにおけるA1、A2インテークシート)、生活機能アセスメント情報(R4システムのA3シート)、各専門職の情報(ケアプランに記載する各職種の考え方など)、ケアプラン総合計画書、栄養評価情報、リハビリ実施計画書、iPadなどを用いてリハビリ実施状況を写真・映像で記録したファイルなど。これらをFileMaker Serverで管理し、FileMaker Proをインストールしたデスクトップ端末(Macintosh)25台と、リハビリ現場や相談室で用いるiPad10台で運用している。

在宅復帰に向けて家族にどのような情報を提供すれば理解してもらえるか、工夫を重ねたと齊藤氏は話す。その中で、意外にも効果的だったのはリハビリ状況の写真や映像だった。「自宅に帰るに当たって家族が最も望んでいるのは、身体の機能が改善すること。入所によってどの程度、動作回復しているのかを示すのに写真・映像は効果的でした」(笹島氏)。リハビリ室の理学療法士はほとんどがiPadを使用しているため、カメラ機能を使った写真や動画の撮影は簡単。iPadからシステムへのデータ取り込みの容易さも、FileMakerならではの機能だ。

シミュレーター運用で在宅復帰率が上昇、スタッフのモチベーションも向上

在宅復帰支援シミュレーターなどを利用した新たな自宅退所援助ワークフローの運用により、15%程度だった在宅復帰率(6カ月間)が常に30%以上に上がり、高い月には50%を超えるようになったという。「昨年4月からの半期で、積極的な支援を実施した入所者のうち自宅退所となった成功率は、一般棟で35.7%、認知症専門棟で61.5%となり、全体で約42%を達成できました」(齊藤氏)と成果を強調する。

在宅生活での身体的負担と経済的負担を、iPadを使って視覚的かつ即座に確認しながら説明できるようになり、利用者や家族が在宅生活のイメージを把握しやすくなったことが、在宅復帰率向上の一因になっているという。

さらに、シミュレーター活用などで職員のモチベーションが向上したことが在宅復帰率向上のカギになったと笹島氏は強調する。

「入所前後から、支援相談員やケアマネ、医師、看介護、リハビリ部門、栄養部門の各スタッフが早期退所に向けて取り組んでいます。自分たちが在宅復帰支援で何ができるか、どうすれば在宅生活に戻ったとき、家族に負担を掛けないレベルに持っていけるかについて意識を強く持つようになり、スタッフの退所に向けた関わり方のモチベーションが大きく変化したと感じています」(笹島氏)。

現在、施設の面談室などで行う家族への説明に在宅復帰支援シミュレーターをiPadとWiFiで活用しているが、自宅訪問した際にも在宅復帰支援シミュレーターを使用できる環境が欲しいと笹島氏。「VPN接続で施設内のFileMaker Serverにアクセスして運用することは、今でも技術的には可能。ただ、入所者情報をネットワーク経由で施設外から利用するには、安全性の確かな担保が不可欠です。また、施設のポリシーに合致するかどうかについても十分な検討が必要です」(齊藤氏)と、システム運用の利便性向上に向けた今後の取り組みについて述べた。


■病院概要


名称:医療法人社団 秀友会
介護老人保健施設 サンライフゆもと
所在地:福島県いわき市常磐藤原町大畑13-1
開所:1988年11月
入所定員:一般棟100床、認知症専門棟50床
関連施設:グループホーム「サンファミリー」、通所リハビリテーション「サンライフゆもと」、短期入所療養介護(ショートステイ)「サンライフゆもと」、訪問リハビリテーション「サンライフゆもと」
Webサイト:http://www.sunlife-yumoto.com/index.html
導入システム:ファイルメーカー「FileMaker Server 13、FileMaker Pro 13、FileMaker Go 13」、アップル「iPad」ほか

■2014.7.23  認知症グループホーム職員の人口割合 青森県が全国1位
本県の認知症グループホーム(GH)で働く職員の人口千人当たりの割合(2012年度)が全国1位であることが22日、厚生労働省の統計を県が独自にまとめた調査で分かった。訪問介護職員(ホームヘルパー)の割合も全国2位と高い水準にあり、福祉関係者は「GHや訪問介護は民間が参入しやすく、事業所も多い」と背景を分析。一方で「高齢化に伴い、介護職員のニーズは今後さらに増えるため、職員の育成・定着策が必要」と語る。

県は、厚労省の12年度介護サービス事業所調査を基に、人口千人当たりの職員数を割り出した。

それによると、県内の全体の介護職員数は1万6055人。人口千人当たりでは11.8人(全国平均8.2人)で全国7位だった。

施設・事業種別に見ると、認知症GHの千人当たりの職員が2.4人(同0.95人)で全国1位。ホームヘルパーは3.0人(同1.5人)で、和歌山県に続いて2位だった。

一方、特別養護老人ホーム(特養)、老人保健施設(老健)など入所施設系の本県の職員割合は3.1人(同2.6人)で全国25位だった。

県老人福祉協会の中山辰巳会長は「GHや訪問介護事業は確実に収益が見込まれ、大きな建物や広い場所も必要としないため、比較的参入しやすく、介護保険開始当初から、多くの民間企業が事業所を開設した。本県では安定した雇用の場も少ないので、職員を確保できている」と説明した。

県認知症グループホーム協会によると、県内には約320のGHが登録されている。下田肇会長は「GHの職員数が多いことは悪いことではない。しかし、夜間のより安全な運営体制などを考えると十分な人数とは言えない。

今後も認知症が増えると見込まれるため、一層の職員の確保と働きやすい環境づくりが重要になる」と述べた。青森市でGH、有料老人ホーム、ヘルパー事業所を運営する矢野工務店の櫻庭剛さん(介護事業部長)は「県内では、有料老人ホームと一体となってヘルパー事業所も開設されるケースが多い。土地代も他県に比べ安いので民間も参入しやすい」と説明し「GHでは、利用者の重度化に伴って職員の負担も増しており、質の良いサービスを提供できる人材を手厚く配置することが今後の課題」と話した。

■2014.7.24  遊ぶ園児を女性職員が放り投げ 頭蓋骨骨折の重傷負わせる 伏見の保育園に京都市が改善勧告
京都市伏見区の民営認可保育園「春日野園」で6月に体操教室の時間中に5歳の男児が頭を打ち、頭蓋骨を折る重傷を負った問題をめぐり、市は23日、男児を放り投げたとされる30代の女性職員が投げ出し行為とケガとの因果関係を認めたことを明らかにした。これまで女性職員はケガとの因果関係を認めていなかった。男児の保護者は警察への被害届の提出を検討しているという。市は同園の運営体制の問題点も指摘し、同日付で改善勧告を行なった。

同園に対し、1〜11日に実施した特別監査をもとに、市議会教育福祉委員会で報告した。

報告書などによると、6月13日午前10時〜10時40分、体操教室で男児を含む複数の園児がふざけて棚に入った。用務員の30代女性職員が棚で寝転ぶ園児たちを園庭に放り投げたところ、置いてあった太鼓か樹脂製のカラーボックスに男児が頭をぶつけたとされる。その後3時間放置された男児は市内の病院に運ばれたが、頭蓋骨の陥没骨折と診断された。

女性職員は保育士資格を持っておらず、当初は保護者に「つまずいて転んだと思う」と説明。同園も投げ出し行為を隠していた。問題自体は17日に市への匿名の通報で発覚した。

また、報告書では同園の運営体制の問題点も指摘。離職率が高く保育士が不足し、無資格者による保育が常態的に行なわれていたという。園長の親族とされる女性職員は、実際は半日勤務のところを終日勤務とするなど不適切な勤務実態があったことも指摘した。

市は責任の明確化や再発防止策の策定を求め同園に対し改善勧告を行なった。市保健福祉局は「安心安全であるべき保育所で命に関わる事態が起きたのは由々しきこと。問題の背景にある園の運営も含め抜本的な改善を求めていく」としている。

■2014.7.24  人の役に立つことが幸せ 従業員の7割超が障がい者、日本理化学工業
粉が飛散しない「ダストレスチョーク」で国内トップシェアを誇る日本理化学工業は、「従業員のうち7割以上が知的障がい者」というユニークな会社だ。川崎市高津区にある工場を訪ね、大山泰弘会長に話を聞いた。

安心して働ける環境を

国内シェア3割を占めるトップメーカーのイメージは気持ちよく裏切られた。工場内では、家内工業的にチョークを作っている。驚きの手作り! そこで活躍しているのは機械ではなく人間だった。材料を量る。混ぜて練る。成形する。乾燥させる。箱に詰める。それぞれの工程を丁寧にコツコツと、障がいをもつ従業員がこなしていく。

なかには文字や数がわからない人もいるので、理解力に合わせた工夫がされている。たとえば時計の時間がわからない人は砂時計を使う。文字が読めない人のために材料は色分けされた容器に入れ、同色のおもりで計測する。「すごい!」と感嘆。アイデアにも心が通っている。「安心して作業できる環境を整えれば、一生懸命働いてくれる」と、大山会長はニコニコ。

こんな逸話を教えてくれた。ハンガリーから取材に来た記者が感心し「マニュアル文化のヨーロッパと違い、日本には職人文化がある。だから、こんなことができるのでは」と言った。会長は「働く人に合わせ手取り足取り教えることを職人文化というなら、中小企業をはじめ多くの企業が持っているはず」と言う。「これを活用すれば、もっと障がい者の働く場を増やせるのではないか」

「皆働社会」目指して

「人間の幸せは人の役に立つこと。このシンプルな真理に気づくことができたのは、障がいのある人たちと出会ったおかげ」と、会長は語る。

日本理化学工業が障がい者雇用をスタートしたのは1960年のことだった。都立青鳥養護学校の先生に「施設に入る前に一生に一度、働く経験をして卒業させてあげたい」と頼みこまれ、2人の少女を実習させたことがキッカケとなる。昼休みのチャイムにも気づかないくらい一心不乱にラベル貼りをする彼女たちに心打たれた従業員が、「彼女たちを正式に雇って」と申し出たのだ。

「施設にいる方が楽なのに、なぜ彼女たちは働きたがるのか」と不思議に思っていた会長は、禅寺のお坊さんから「人間の幸せとは、人に愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること」と教えられる。そして「福祉施設で大事に面倒をみてもらうことが幸せではなく、働いて役に立つことこそ幸福なのだ」と気づいた。

障がいのある人を福祉施設で受け入れると、年間500万円の費用がかかるという。「国が最低賃金150万円を保障し、雇用を促進すれば350万円以上の財政削減ができる」と、会長は提案する。「誰もが会社で役に立って働ける『皆働社会』が実現できるのではないか」

「役に立っている」という実感を得るのは難しい。そのためには働く場の環境作りが大切なのに実行している会社は少ない。仕事ができて当たり前という空気の職場が多いのではないだろうか。本当は幸福ってすぐそばにある。そばにあるからこそ見失いがちなのかもしれない。

幸せ運ぶチョーク

ダストレスチョークに続く商品として、日本理化学工業が力を入れているのが、ガラスに書けて消せるチョーク「キットパス」だ。私がその存在を初めて知ったのは、「Get in touch」を法人化する前のアートイベント。参加者に落書き感覚で自由に絵を描いてもらった。子供たちはもちろん、大人もどんどん夢中になる。そして、言葉を交わさなくても、ガラス越しの相手が太陽を描けばこちらは雲や鳥を描く。そんなステキなコミュニケーションツールになるのだ。私自身もキットパスを手にガラスに向かうと、ムクムク何かを表現したくなった。童心にかえるとはこういうことなんだろう。

■2014.7.25  民俗学からみる介護 介護施設で「聞き書き」する職員・六車由実さん
気鋭の民俗学者が大学を辞め、介護職員として働き始めた。それから5年。いまは静岡県沼津市のデイサービスで働く六車由実さんは、お年寄りの言葉を丁寧に「聞き書き」する独特の介護を続けている。多くの「忘れられた日本人」との出会いがあったという高齢者介護の世界。外から来た目に何が、どう映ったのか。


――どうしてまた、大学教員のポストをなげうって介護の仕事を始められたのですか。

「よく聞かれるんです。こんな大変な世界によく来ましたねって。でも、その言葉には介護への偏見が混じっていませんか。社会的な評価が低すぎると思います。私はここに来て初めて、ずっと感じていた生きにくさから解放されたんですよ」

 「大学では雑務も多く、研究も学生との関係も思うようにいかなかった。若くて不器用だったのでしょう。行き詰まったんです。体調を崩し、このままでは壊れる、いったん大学を離れようと決めました。実家に戻って3カ月後、失業保険の手続きでハローワークに行ったら、ヘルパーの講習会があるよと窓口で勧められた。それがきっかけです。もう大学に戻る気はありません」

――なぜ聞き書きをやろうと?

「デイサービスには在宅で暮らすお年寄りが日帰りで通ってこられます。朝9時から夕方まで、体操、入浴、食事、娯楽と予定がびっしり。いくつもの仕事を覚え、人並みにこなすので精いっぱいでした」

「ある日、隣に座った大正生まれの女性が関東大震災のときに竹林に逃げた体験を語り始めたんです。すると向かいの人も『私も』と切り出した。びっくりしました。民俗学の調査では出会えなかった大正一桁(ひとけた)、明治生まれの人から鮮明な体験談を聞けたわけですから。えっ、ここはどこなんだと。しかも民俗学と違って偶然の展開に任せるため、想像を超えたお話が聞けるのです」

 ――たとえば、どんな話ですか。

「無口で気むずかしい要介護度5の男性がいました。出身が宮崎県と知り、話の糸口にと思って、『私も宮崎の椎葉(しいば)村に行ったことがあるんですよ』と話しかけたんです。かつて柳田国男が訪れた、民俗学発祥の地ともいわれる山奥の村です。そしたら『俺も行った』と話し始めた。電線を引くお仕事でした。高度経済成長期、電線の技術をもった人が集団で家族も連れて村々を渡り歩き、奥さんたちが炊事をして共同生活していたというんです。現代にも漂泊の民がいたのかと驚きました。お話をまとめてご自宅のかたにも渡したら、こんな話ができるなんて、と喜んでくださった」

「蚕の『鑑別嬢』の話も初耳でした。雄と雌、日本種と中国種を分ける仕事で、かつて大勢の若い女性が地方に派遣されていたというんです。列島をくまなく歩き、人々の暮らしを記録した宮本常一の言葉を借りれば、介護の現場はまさにこうした日本の近代化を舞台裏から支えてきた人々、『忘れられた日本人』に出会える場だ、民俗学にとって宝庫なんだと気付いたのです」

――でも、聞き書きは介護の役には立たないのではありませんか。

「前の施設で、同僚から『それは介護じゃない』と批判されました。介護とは食事、排泄(はいせつ)、入浴の3大介護の技術を効率よく提供するサービスだ、という前提に立てばその通りでしょう。実際、多くの現場ではそう割り切っている。でないと効率が上がりませんから。でも数をこなすだけの現場は、やがて疲弊します。夢を持って働き始めた人ほど幻滅して辞めていく」

「介護はケアをする側、される側という関係にあります。する側のほうが優位に立っている。ところが聞き書きを持ち込むと、聞く側、話す側という新しい関係が生まれます。関係は時に対等になり、逆転もする。人と人との信頼関係が築かれていく実感があるのです。それが結果的にケアもよくしていく。そこに意味があると思っています」

   ■     ■

――認知症の場合も可能ですか。

「会話が成り立たないと思われがちですが、根気強く言葉をつないでいけば、その人なりの文脈が見えてきます。その土地の忘れられた歴史が浮かび上がり、不可解だった行動が理解できることもある。たとえば女性が部屋の隅で立ったまま排尿するのは、かつては畑で女性も普通に立ちしょんをしていた、という過去の記憶からだとか」

 ――人は老いると自分の人生について語りたくなるものでしょうか。

「体力や気力が衰えると社会や家族との関係も希薄になる。『ひとの世話になるだけで生き地獄だ』と絶望の言葉を吐くかたもおられます。でも、聞き書きを始めると表情が生き生きしてくる。いまを生きるために心のよりどころにしておられるのは、自分が一番輝いていた時代の記憶なんです。生きていたという実感のある時代に常に意識が戻っていく。そこを思い、語ることで何とか前を向いて生きていける」

「私が本当に面白がって、驚いて聞いているせいもあるはずです。じゃあ、もっと話そうかと思うのが人間でしょう。聞き書きが面白いのは、そうやって相手の人生の深いところまで触れられることです。人生の厚みを知り、その人が立体的に見えてくることで、より敬意をもって関われるようになるのです」

――それには聞き書きの技が必要ですね。ないと難しいのでは。

「関心さえ持てば方法はいくらでもあります。ビデオ映像に残したり、話を録音したり、耳を傾けるだけでもいい。要は人として正面から向き合うということですから。それも介護の一つだと受け止める、施設のマネジメントが大事です」

「できれば記憶は何か形に残してほしい。私は伺ったお話を可能な限り『思い出の記』にまとめ、家族にも渡して読んでもらいます。雑誌に書くこともある。それは民俗学でいう記憶の継承とも重なります。近代化が進み、地域で伝承されてきた文化が失われていく危機感から始まったのが民俗学でした。どんな作物を、どう調理して食べてきたのか。人々の暮らしのすべてを記録し、文化の喪失を何とか食い止めて次の世代に引き継いできた。形にすれば、その人が生きた証しを家族や社会に残すことができます。私はこれを介護民俗学と名付けています」

   ■     ■

――外の世界から飛び込んで、介護の世界はどう見えましたか。

「ケアの現場では、相手の表情や態度、身ぶりから気持ちを察することが大事だとよく言われます。でも私は、相手の言葉そのものにもっと耳を傾け、理解するほうが大事だと思うんです。コミュニケーションは本来そうであるはずなのに、ケアになった途端になぜか違ってしまう。言葉より気持ち、表情だと。それは結局、相手の力を軽視しているからではありませんか」

「介護の世界には、昔の話を聞くことで記憶を呼び起こしてもらう回想法という技法がありました。でもテーマや話の進行があらかじめ決められ、聞き手が場を仕切る。自由に話してもらう私たちの聞き書きとは違います。そもそも私は効果を目的にして話を聞くことに違和感がある。私たちは相手を理解するために話を聞きたいのです」

「仲間の利用者が亡くなられても、あえて周りに伝えない対応にも疑問を感じました。『動揺させてしまう』というのが理由です。でも皆さん、長い人生で数多くの別れを経験してこられたんですよ。死の受け止めは私たちより達者です。むしろ、その力を信じるべきです。そう思って先日、初めて偲(しの)ぶ会を開きました。ビデオや写真を見ながら、亡くなられた仲間の思い出をみんなで語った。いい会になりました」

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――ただ現実には、介護職員の質の低さや営利優先の姿勢が問題になっている施設も多くあります。

「いま、小規模のデイや有料老人ホームはものすごい勢いで増えています。競争にさらされ、料金もどんどん安くなって、千円足らずで泊まりをするところまである。安ければいいのか。人生の最後に、どんな介護を受けたいのか。利用者もご家族も考えるべき時期を迎えています。選択肢が生まれているわけですから。その結果、劣悪な事業所は淘汰(とうた)されていく。そういう競争こそ必要だと思います」

「介護の世界はすごく閉じられているようにも感じます。多くの目にさらされない世界では虐待も起こり得る。外に開いていくこと、いろんな経験をへた人に関心をもって入って来てもらうことが大事です。民俗学を学ぶ後輩にも来てほしい。そうすれば介護の現場は、もっと豊かな世界になっていくはずです」

     *

むぐるまゆみ 70年生まれ。東北芸術工科大学准教授をへて09年から介護職員。「すまいるほーむ」管理者。民俗学研究者。著書に「驚きの介護民俗学」。



六車さんが働く通所施設は泊まりはしていない。だが私が訪ねた日、要介護度5から要支援までの女性5人は話が盛り上がり、「今度みんなで泊まりをしたいね」とうなずきあっていた。支え合いながら、残された日々を共に楽しく過ごしたい。そんな生活の場が、地域や家庭では失われた関係を回復する場にもなっているように思えた。

■2014.7.25  「生きた証しを残したい」少女の心臓、少年へ
日本臓器移植ネットワークは24日、北海道大病院(札幌市)に脳血管の病気で入院していた10歳以上15歳未満の少女が、改正臓器移植法に基づき、脳死と判定されたと発表した。

15歳未満の脳死判定は5例目。25日午前に心臓の摘出手術が行われ、大阪大病院で10歳代の少年に移植される予定。

同ネットワークによると、家族が提供を承諾した臓器は心臓のみ。家族は「娘の身体を傷つけたくないのですが、何か一つだけ生きてきた証しを残したいという思いで、子どもでは提供の少ない心臓を承諾することにしました」とコメントした。少女は日頃から「人の役に立ちたい。薬剤師か看護師になりたい」と言っていたといい、家族から臓器提供を申し出たという。

■2014.7.25  介護人材不足、都道府県別に将来推計 工程表策定へ
介護を担う人材が不足している問題で、厚生労働省は25日、2025年に向けて人材確保策をまとめたグランドデザイン(工程表)をつくる方針を明らかにした。都道府県ごとに不足数の将来推計をし、年内の取りまとめを目指す。

厚労省は、団塊の世代が75歳以上になる25年にはホームヘルパーなどの介護人材が237万〜249万人必要になると推計。12年時点と比べて最大約100万人を新たに確保する必要があるとしてきた。

ただ、この数字は08年データを元にした粗い試算。このため同省は、各都道府県に対して将来の介護サービス見込み量に基づく算定を改めて依頼し、25年の人手不足数を精査する作業を始めた。この推計を参考に、必要となる対策を工程表にまとめていく考えだ。

同省はまた、国家資格である介護福祉士の取得にからみ、専門学校卒業生らにも国家試験の受験を義務づける時期を、予定されていた16年度からさらに延期する方針を明らかにした。介護福祉士の質の向上のため受験義務化が07年に決まったが、介護の人手不足が続く中、実施時期が当初予定の12年度から15年度に延期となった。さらに今年6月にも1年先送りする法改正がされたばかりだ。

■2014.7.25  4日間で入所者3人が死亡のフラワーヒル 被告の元職員大吉崇紘に懲役10年を求刑
春日部市の特別養護老人ホームで2010年、入所者の女性(当時95歳)に暴行を加えて死亡させたとして傷害致死罪に問われた元職員の無職、大吉崇紘被告(30)=松伏町松伏=に対し、検察側は24日、さいたま地裁(河本雅也裁判長)の裁判員裁判で懲役10年を求刑した。

検察側は「寝たきりで最も介護を必要とする被害者を狙い、胸骨や肋骨(ろっこつ)5本が折れるほどの暴行を一方的に繰り返した。(異変を見つけて)ほめられたいという動機は愚かで短絡的だ」と指摘した。弁護側は「大けがさせるつもりはなく、死亡は予想外の結果。ほめられたいという理解しがたい動機には適応障害の影響があった」と執行猶予などを求めた。

大吉被告は最終意見陳述で「尊い命を奪ってしまったのは許されることではない。生涯、罪を償いたい」と謝罪した。

■2014.7.25  不正受給//訪問介護事業所はる介護サポート ⇒ 指定取り消し
介護報酬を不正受給したとして、徳島県は24日、訪問介護事業所「はる介護サポート」(石井町浦庄、岩佐実代表)について、介護保険法に基づき事業者としての指定を同日付で取り消したと発表した。

徳島県長寿保険課によると、はる介護サポートは2012年9月から今年1月まで、訪問介護員が勤務していない時間にもサービスを提供したとする虚偽の書類を作るなどし、計約93万円の介護報酬を不正に受け取ったという。昨年12月に郵便で情報提供があり、今年2月から監査したところ、はる介護サポートは不正を認め、3月末で営業を停止した。

請求書類は代表の妻が作成。1人の訪問介護員が同じ日の同じ時間帯に別々の利用者にサービスを提供したとする内容を記したり、具体的なサービスを記載しなかったりしたケースもあったという。中本頼明・県長寿福祉局長は「不正受給分の返還を求めるとともに詐欺罪での刑事告発も検討したい」と話している。


■2014.7.25  介護人材不足、都道府県別に将来推計 工程表策定へ
介護を担う人材が不足している問題で、厚生労働省は25日、2025年に向けて人材確保策をまとめたグランドデザイン(工程表)をつくる方針を明らかにした。都道府県ごとに不足数の将来推計をし、年内の取りまとめを目指す。

厚労省は、団塊の世代が75歳以上になる25年にはホームヘルパーなどの介護人材が237万〜249万人必要になると推計。12年時点と比べて最大約100万人を新たに確保する必要があるとしてきた。

ただ、この数字は08年データを元にした粗い試算。このため同省は、各都道府県に対して将来の介護サービス見込み量に基づく算定を改めて依頼し、25年の人手不足数を精査する作業を始めた。この推計を参考に、必要となる対策を工程表にまとめていく考えだ。

同省はまた、国家資格である介護福祉士の取得にからみ、専門学校卒業生らにも国家試験の受験を義務づける時期を、予定されていた16年度からさらに延期する方針を明らかにした。介護福祉士の質の向上のため受験義務化が07年に決まったが、介護の人手不足が続く中、実施時期が当初予定の12年度から15年度に延期となった。さらに今年6月にも1年先送りする法改正がされたばかりだ。

■2014.7.26  2人の医師が語る理想的な“枯れ木”のような死に方とは
「部品も壊れ、燃料も切れそうなボロボロの飛行機を無理やり飛ばすのは、とても正しいことだとは思えない。でも今はみんなそうだから……」

こう問いかけるのは、東京都世田谷区にある特別養護老人ホーム「芦花ホーム」に勤務する石飛幸三医師(78)。かつて切って切って切りまくっていた石飛医師が、介護の最前線で目にしたのは、強制的に栄養を与えられ、意思に反して生かされつづける高齢者の姿だった。結果、「なにもしない」医療にたどり着いた。その言葉に深く同意するのは、3月に慶應病院を定年退職し、「近藤誠がんクリニック・セカンドオピニオン外来」で第2の人生を始めた近藤誠医師(65)。元祖、「何もしない」元放射線科医だ。今回は、同じ慶応大学医学部卒の先輩・後輩対談をお届けする。

近藤「芦花ホームに行かれたのはおいくつのときですか」

石飛「ちょうど70歳のときですね。当時、このホームはしょっちゅう救急車が来る状態でした。もう体は受け付けないのに、1500キロカロリー食べなきゃいけないって、胃瘻をつけて無理やり食べさせるんだから、そりゃ“墜落する飛行機”は増えますよ。自然の摂理で人生の坂を下っているのに、本質を見てないんです」

近藤「昔はどこも似たようなものでした。いまのホームはどうですか?」

石飛「だいぶ変わってきました。最初に気づかせてくれたのが三宅島の人です。三宅島には年取って食べられなくなったら、枕元に水だけ置いておけば、静かに眠るように逝けるという言い伝えがあるんです。食べないから死ぬんじゃなくて、死ぬんだから食べないんだって。人間の知恵ですね。だから息子さんに、管をつけた母親を見るのは辛いと言われたんです。それで僕たちはとんでもない間違いをしていたと気づかされた」

近藤「三宅島の知恵と言われましたが、医療がこんなに発達するまでは日本全体にあった文化ですよね」

石飛「そういうことです。見ててわかりますからね。食いたくなくなるんだから、食べなきゃいい。よけいなことやらないでくれよって。胃瘻や点滴で栄養を補給すると、水ぶくれになって、亡くなってもぶよぶよしています。ところが胃瘻も点滴もしなかった人は、体によけいな水分が残ってないから、まるで枯れ木のように自然な姿のままなのです。当たり前のことがやっとわかってきた。このホームでの最期って自然なんです。だから救急車がこなくなった。実は私も、最初は老衰なんて書いていいのかと悩みましたが」

近藤「ガンで亡くなるのは、素晴らしいというとあれだけど、いろんな死に方があるなかで、わりと理想的な死に方だと思うんです。治療しない場合、体力がどんどん落ちていくのは最後の1、2カ月。でも、食べられなくなるのは最後の1週間くらいで、それまでは日常生活もできて、本当に最後にコトッて逝ける。闘病期間が短いし、みんなに悲しんでもらえるしね。介護期間が長いと、亡くなって赤飯炊かれたりしますから(笑)」

石飛「日本では8割の人が自宅で死にたいと願いながら病院でなくなります。必要のない延命治療をするんですね。うちのホームでは入居者の8割が病院ではなく施設でなくなっていますよ」

■2014.7.26  電動車椅子訴訟:原告側が控訴 /和歌山
電動車イスの購入費の支給決定を橋本市が取り消したのは不当として、処分の取り消しを求めて訴訟を起こしたものの、一審の和歌山地方裁判所から請求を棄却された男性が、判決を不服として、きょう(25日)大阪高等裁判所に控訴した。

控訴したのは、橋本市の上田新さん26歳。

上田さんはおととし(2012年)、橋本市が、リクライニング機能付き電動車イスの購入費の支給を決めたにもかかわらず、県の判断に基づき、支給を一転取り消したことを不当として、橋本市からの支給を認めるよう求めていた。しかし、今月(7月)11日に言い渡された和歌山地裁の判決で、請求を棄却されていた。

上田さんは「一審判決で認められなかったのは不服」として、きょう(25日)大阪高裁に控訴した。上田さんの弁護団は、控訴した理由として「上田さんにとっての、電動車いすの必要性が認められていないことが、納得できない」としている。

これに対し、橋本市は「訴訟が届いていないのでコメントできない」としている。




2014.7.12
電動車いす購入費、請求棄却 和歌山地裁「必要性認められず」

電動車いすの購入費用について、障害者自立支援法に基づく支給決定を撤回したのは不当だとして、重度の身体障害がある橋本市の上田新さん(26)が同市に取り消しを求めた訴訟の判決が11日、和歌山地裁であり、橋本真一裁判長は「自力で電動車いすを操作できない者に対してまで支給の必要性は認められない」として請求を棄却した。

橋本裁判長は判決理由で、「電動車いすの基本的な操作能力を有しない上田さんへの車いす費の支給は、支給の前提条件を欠く」と指摘し、「支給決定を取り消さず存続させた場合、上田さんや第三者の生命身体に危険を及ぼす恐れがあり、公益上の不利益が大きい」とした。

上田さんは体幹機能障害により自力歩行が困難となり、電動車いすなどを使いながらリハビリを続けてきた。平成23年12月、橋本市に電動車いすの買い替え購入費支給を申請し、市はいったんは支給を決定しながらも、その後一転して取り消していた。

判決を受け上田さんは「新しい車いすに乗り、皆さんを応援したかった。本当に残念です」とコメントした。上田さんの弁護団は「本人と相談し、控訴するか決めたい」と話した。

■2014.7.27  不正受給:障害者自立支援2100万円 名古屋
名古屋市は25日、障害者への自立支援給付金計約2100万円を不正受給したとして、障害福祉事業所「リリーフケアサービス」(同市東区)に対し、障害者総合支援法に基づき、加算金と合わせた約2900万円を返還請求すると発表した。新規利用者の受け入れも8月から3カ月間、停止となる。

市によると、80代の男性ヘルパーが、2011年4月〜13年11月、身体に障害を持つ20代男性の介助について、記録をつけたり利用者の確認を得たりせずに報酬を請求した。

また同日、介護報酬約440万円を不正請求したとして、「ヘルパーステーション欅(けやき)」(同市緑区)と、運営する「コンバインサポート」(愛知県豊明市)を、半年間の新規利用者受け入れ停止などの処分とした。

■2014.7.27  介護で来日の外国人2千人超す
EPA以外590人、支援が課題

介護施設で働くために来日する外国人は、累計で2千人を超える見通しになったことが27日、分かった。経済連携協定(EPA)による受け入れが約1540人に上る。このほかに約590人のフィリピン人女性が30都道府県の施設で採用されている。

EPAに基づいて働く人には日本語や介護研修に公的支援があるが、それ以外の外国人には適用されない。渡航費などの借金返済や厳しい労働条件といった問題を抱えている場合もあり、介護サービスの質を維持するには、EPA以外の外国人への支援が課題になる。

厚生労働省の推計によると、国内の介護労働者は約149万人。

■2014.7.27  まるでカジノな介護施設 「ライセンス・パック」提供へ
機材やツールから研修まで提供
株式会社日本エルダリーケアサービスは、カジノをイメージした介護施設「デイサービス・ラスベガス」の事業を拡大するために、機材や研修などを提供する「ライセンス・パック」の提供を2014年7月25日から開始した。

「デイサービス・ラスベガス」は、同社が独自に開発し、バカラや麻雀、パチンコなどの遊具施設が設置されており、遊びを通じて機能訓練が強化できる。


「ライセンス・パック」について
「ライセンス・パック」は、リースを基本とされている。フランチャイズ方式とは異なるので、開業前の加盟金、開業後のロイヤリティは発生しない。

パックにはバカラやブラックジャック、麻雀などのカジノ設備だけでなく、架空通貨ベガス、利用者用のパスポートなど独自の運営ツールも含まれる。

最大30日間の研修があり、介護施設としての運営方法やディーラーとしての教育も提供される。介護事業の経験、未経験は問わないとしている。

リース価格は、導入設備や企業の与信力により変動するが、1月あたり約10万円から15万円の支払い、5年リースに収まる。

当初、フランチャイズ方式での展開も検討したという同社。しかし、運営ノウハウの改善や発展に協力し合えるパートナーであるべきだと、ロイヤリティが発生せず加盟企業の収益を圧迫しない「ライセンス・パック」としての提供を行うことにしたという。



(株)日本エルダリーケアサービスのプレスリリース
http://www.dreamnews.jp/press/0000096582/

株式会社日本エルダリーケアサービス
http://www.elderly.jp/

■2014.7.28  覚えておきたい「認知症の法則」 医師が解説
親が認知症になった場合、どのように対応するのがいいのだろうか。思わぬ症状や行動に戸惑ったり、時には苛立つこともあるかもしれない。そんな時に知っておきたい「法則」を、専門家に話を聞いた。

認知症治療に詳しい杉山孝博医師(川崎幸クリニック院長)は、こう断言する。

「症状の表れ方にはパターンがあることを理解すれば、優しく接することができ、家族の負担も大幅に軽減します」

まず押さえておきたいのは、「症状の出現強度に関する法則」だ。症状は、身近な相手に強く出る傾向がある。例えば、暴力的な行動は、介護をしてくれる家族に向かうことが多い。

「家族としては、せっかくお世話をしているのになぜ?と思うでしょうが、一番、心を許している相手でもあるのです」

「自己有利の法則」は、自分が不利なことを認めたがらない傾向を指す。失禁をしても「自
分ではない」と否定することは珍しくない。

少し想像しにくいのは、「感情残像の法則」。嫌な出来事があった時、何が起きたかは忘れるが、「嫌な気持ち」だけ残像のように残る。なぜか声を掛けても無口で機嫌が悪く、あとから「デイサービスでほかの利用者とけんかをしていた」などと分かることがある。

「こだわりの法則」は、入浴時に足ばかりを洗ったり、夜中に洗濯物をたたみ続けたりと、一つのことにこだわる。

杉山さんによると、家族の気持ちは、「戸惑い・否定」「混乱・怒り」「割り切り・諦め」そして「受容」の4ステップをたどる。このステップを早く進めるには、適切な情報を得て介護保険サービスを上手に使うことだ。

「全国に支部がある『認知症の人と家族の会』では、定期的に家族の集いを開いています。ここで気持ちを共有したり、情報を得たりするといいでしょう。時にはショートステイ(短期の施設入所)を利用して、家族が息抜きをするのも必要です」

■2014.7.28  市議20人中15人逮捕の青森・平川市で辞職8議席の補選 再実施も視野
1月26日投開票の青森県平川市の市長選に絡む公選法違反事件で、市議20人中15人が逮捕され、うち8人が辞職、失職したことに伴う市議補欠選挙は27日投開票され、8人の当選者が決まった。元職と新人の計9人が立候補し、それぞれ市政や市議会の刷新を訴えたが、投票率は39・87%にとどまり、前回2011年7月の市議選の73・97%を大幅に下回った。

逮捕された市議の残る7人が今後、辞職や失職し新たに4人以上の欠員が出れば、再び補選が行われる可能性がある。投票した農業の男性(66)は「これだけ逮捕されると1票に何を託せばいいか分からない。もう一度補選があっても、投票に来ないと思う」とうんざりした様子だ。

市は補選費用として、約2800万円の予算を計上した。県警は2月以降、票の取りまとめの報酬に現金を授受したなどとして公選法違反容疑で市議15人のほか、前市長、大川喜代治被告(69)や支援者で社会福祉法人の元理事長水木貞被告(66)を逮捕した。

■2014.7.29  社会福祉法人課税に断固反対 老施協戦略セミナー開く
政府税制調査会が社会福祉法人を含む公益法人課税を見直す意向を示したことを受け、全国老人福祉施設協議会(石川憲会長)は22日、都内で社会福祉法人戦略セミナーを開いた。老施協幹部は社会福祉法人への課税に断固反対する姿勢を示し、非課税措置を維持するため福祉に戻ろうと呼びかけた。

村上勝彦副会長は参加者約350人に「施設から地域にアウトリーチしたり、刑務所出所者を施設で受け入れたりする必要がある。介護保険が始まって以来、福祉という言葉がなくなった。我々はもう一度福祉に戻って進んでいかなくてはならない」と話した。

7月14日付で国立病院機構に出向した古都賢一・前厚生労働省大臣官房審議官(社会・援護など担当)は「社会福祉法人は非営利たる成果を示さないといけない」とし、制度のはざまの問題などに取り組み、地域に貢献するよう求めた。

また、法改正によって義務付ける予定の「公益的な活動」の定義付けは、社会福祉法人が柔軟に取り組めるようにする必要があるため、厚労省にとって難しい宿題だとした。

社会福祉法人を含む公益法人への課税案は、今年5月9日の政府税制調査会検討グループで浮上。政府税調は年末までに結論を出す。老施協は6月以降、自民党の国会議員らに陳情している。

■2014.7.29  介護施設「サロン」併設広がる 京都市内、厚労省も注目
地域住民が気軽に訪れる「サロン」を介護施設内に併設する動きが京都市内で広がっている。これまでサロン活動は生きがいづくりや孤立を防ぐ場として注目されてきたが、在宅で暮らす高齢者を介護と医療が連携して支援する「地域包括ケア」の実現に向けた「切れ目ない支援」の方策としても期待が寄せられている。

「顔なじみの人がいたし、ここがあってよかった」。右京区山ノ内宮前町の地域密着型サービスセンター「welcome やまの家」を利用する近くの中嶋榮二郎さん(88)は、施設に併設された喫茶スペースの常連客だった。昨年12月に体調を崩して1カ月入院したため、なじみのセンター施設を利用し始めた。施設にとっては入院以前の中嶋さんの姿を把握しているため、「どんな状態に戻せばいいかを踏まえた支援が可能だった」といい、現在は1人暮らしを続けられるまで回復した。

喫茶スペースは、施設職員がスタッフを兼務し、ほぼ毎日、利用者も含め、世代を超えた人が集うサロンの場としても活用する。訪れた人は介護専門職へ暮らしの悩みを気軽に相談できるため、介護保険などの専門サービスを検討する「入り口」となる。同センターは「制度が補えない隙間は必ずある。ここが拠点となって地域のまちづくりにつなげたい」と意気込む。

北区紫野大徳寺町の地域密着型総合ケアセンター「きたおおじ」は、昨年4月からサロンを始めた。第2・4土曜、日曜に飲食物を提供するサロンスペースを設け、地域介護予防推進センターと介護予防事業も行う。「顔が見える関係」で地域で暮らす高齢者の情報を共有する場も目指しており、「地域を支える住民を専門職がサポートする役割を果たす」とする。

介護や高齢者支援の先進的な取り組みを進める福岡県大牟田市では小規模多機能施設にサロンの併設を義務付けるなど、同様の取り組みは全国で広がる。厚生労働省は6月に成立した「地域医療・介護総合確保推進法」で、これまでの介護予防事業に替わる活動指針の一つにサロンを掲げた。同省振興課は「地域包括ケアの重要な役割を果たす」とし、今月中にも自治体に事業対象となるサロン活動のガイドラインを示す予定だ。

市内では両施設が中心となり、併設するサロンの機能や枠組みなどを考える検討会が続けられている。中心となっている京都地域密着型サービス事業所協議会の山田尋志会長(67)は「介護が必要になる前の高齢者と関わることは、これまでのケアに欠けていた視点。住み慣れた町で最後まで暮らせるようにするために、介護や医療など、さまざまな分野の人が『伴走』する新たなスタートラインになる」と話す。

■2014.7.29  重度者に限定する特養入所の「例外ルール」、厚労省が公表
来年4月から、原則として新たな入所者を要介護3以上に限定する特別養護老人ホームについて、厚生労働省は28日、要介護1・2でも特例として入所できるケースを指針として示した。


特例による入所は、

・認知症や知的障害、精神障害などにより、日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁にみられ、在宅での生活が困難

・家族による深刻な虐待が疑われることなどにより、心身の安全・安心の確保が困難

・家族などによる支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の提供が十分に認められないことにより、在宅での生活が困難といった事例で検討される。

入所の是非を決める各施設が判断するときに、その基準に大きな差が出て不公平が生じることのないよう、特例を考えるべきケースの条件を一定のルールにした形だ。介護保険を担当する老健局の辺見高齢者支援課長が、自治体の担当者を集めた会議でこうした内容を説明した。

指針ではこのほか、特例の申し込みを受けた特養に市町村への報告を義務付けている。報告を受けた市町村は、そのケースに特例を適用することの妥当性・必要性について、特養側に意見を伝えることが可能。判断のプロセスに市町村を関与させ、特例の安易な広がりを防ぐのが狙いだ。

特養は全国に約7800施設あるが、要介護3以上で入所を待っている在宅の高齢者が約15万3000人(2013年度)もいる。厚労省は、より必要性の高い重度者を優先して入所させるべきと判断。6月に成立した医療と介護の改革をまとめた法律で、入所者を原則として要介護3以上に限定する措置をとった。

■2014.7.29  AEDをコンビニへ 宝塚市が8月から設置
心臓突然死を防ぐ効果が期待されるAED(自動体外式除細動器)。いつでも市民が使えるようにしようと、宝塚市は8月から、市内のコンビニエンスストアに置いてもらう計画を進める。これまで公共施設や学校への設置を進めてきたが、休日や夜間に対応できないところが多く、24時間営業の利点に目をつけた。

AEDは電気ショックを与えて心臓の働きを正常に戻す小型機器。医療従事者に限らず、一般の市民が持ち運んで使うことができる。

街で突然、だれかが倒れた時、周りの人が最寄りのコンビニに駆け込む。店でAEDを借りて現場に戻り、いち早く救命にあたる。市はそんな状況を想定する。

■2014.7.29  「証言のみで判断苦労」 埼玉・特養施設暴行死判決で裁判員
春日部市一ノ割の特別養護老人ホーム「フラワーヒル」で平成22年に発生した入居者に対する傷害致死事件。元職員の大吉崇紘被告(30)が傷害致死罪に問われた裁判員裁判は28日、懲役8年の判決が下った。事件発生から4年以上が経過し、物的証拠が極めて少ない中での審理。判決後に会見した裁判員3人からは「証言のみで、苦労した」などと、判断の難しさを指摘する声が聞かれた。

事件は発生直後、県警の本格的な捜査が行われる前に遺体が火葬され司法解剖が行われなかったことなどもあり、公判時に検察側から提出された物的証拠は遺体のCT画像のみだった。

裁判員を務めた40代の男性会社員は「逮捕までの経緯が知りたかったが、それは明らかにされず、起訴状と証言のみで判断するのは苦労した」と話した。

50代の男性裁判員は「特養施設の理事長と、入居者が搬送された病院の医院長が同じ人物というのが疑問だった」と語った。さらに、今度同様のケースがあった場合に備え、「施設や病院が警察に届け出る義務があるように制度を構築する必要があるのではないか」と語った。

フラワーヒルでは同年2月15〜18日の4日間で、入居者3人が死亡、1人がけがをした。大吉被告は同月16、17日に起きた別の女性入居者2人に対する傷害と傷害致死容疑でも立件されたが、いずれも不起訴処分(嫌疑不十分)となった。女性の遺族が処分を不服とし、さいたま検察審査会に審査を申し立てている。

公判では大吉被告が、別の女性入居者2人に対する暴行を認めている。50代の男性裁判員は、1人に対する刑罰のみを決めることは非常に難しかったとする一方、「『3人も死んだ』という国民感情はあるが、過大な刑になってしまうことも踏まえ、(起訴されている)本件に絞って考えた」と述べた。

懲役8年という結論には「みんなで考えて納得した結果」。50代の男性裁判員は「介護士の犯行として、社会に与えた影響は大きい」としながらも「被告も人。更生の道をつくることも必要だと考えた」などと話した。

■2014.7.29  外国人の介護就労 深刻な人権侵害 早急に改善を
介護現場の人手不足を解消するため、政府は先月示した成長戦略に外国人の就労拡大を盛り込んだ。既に2千人以上が来日しているが、働く施設などでは過酷な労働や深刻な人権侵害が起きている。

実態把握と就労者を守る仕組みづくりが急務だ。と同時に、国内の人材育成や労働環境改善を怠り、安上がりな労働力を海外に求める政策を、根本から改めねばならない。

外国人就労者には、日本と経済連携協定(EPA)を結んだインドネシア、フィリピン、ベトナムの政府機関仲介による介護福祉士らのほか、民間団体の仲介による「出稼ぎ」のフィリピン人がいる。

出稼ぎに関しては研修も待遇も民間任せだ。関西の介護会社では、本人が死亡しても会社の責任を問わないとの誓約書を採用の際に提出させ、過酷な勤務をさせていた。

会社は日本への渡航費など数十万円を貸し付け、返済が焦げ付いた場合に備えて積立金を給与から天引きし、通帳や印鑑を管理。転職も帰国もできない状態にしていた。明らかな労働基準法違反だ。しかも借金の内訳は不透明だという。

借金で自由を奪った上で働かせ、使い捨てにするなど、人権侵害も甚だしく、断じて許せない。日本語がよく分からず研修が不十分な実態も指摘されている。これでは介護される側にも危険がつきまとう。厚生労働省が調査に乗り出したが、関係者は氷山の一角だという。国の責任ある監視体制の構築を求めたい。

背景にはさらに根深い人権侵害がある。出稼ぎのフィリピン女性の多くはかつて日本で働き、日本人男性の子どもを出産。未婚で子どもを連れて帰国し、貧しい暮らしをしてきた。同様の境遇の女性は10万人にも上るとされる。

関西の会社は職員募集時に「会社が子どもの日本国籍を取得する」と勧誘。父親の認知が必要なため、手数料を取りながら実現しない例もありトラブルが絶えないという。

母と来日した子は、宿直勤務のたびにアパートでひとりの夜を過ごす。日本語も分からず、学校に行かなくなる子もいるという。女性の弱みにつけ込み、子どもまで虐げる状況に怒りを禁じ得ない。

日本の良心が問われる問題だ。国内の人材育成をした上で、なお頼らざるを得ないのなら、十分な支援は最低限の条件であり国の責務だろう。搾取や人権侵害を解決しないまま労働市場の開放を進めれば、外国人の使い捨て利用として海外から厳しい目を向けられ敬遠されるに違いない。

超高齢化時代に、安心して委ねられる介護態勢をいかに整えるのか。一から考え直さなければならない。このままでは、日本人にとっても明るい未来はない。

■2014.7.29  入所施設に歯科保健についてのアンケートを実施 愛知県
障がい者施設と要介護施設へのアンケート
愛知県は、障がい者入所施設と要介護者入所施設の歯科保健サービスの提供状況を明らかにするために、県内の入所施設にアンケート調査を行い、結果を2014年7月23日に発表した。

今後の歯科保健対策のために、基礎資料を得ることが目的。アンケートは、郵送と訪問で実施された。訪問は、アンケートを回収でき、訪問許可のあった施設のみに行われた。

歯科医師や歯科衛生士が配置されていない障がい者施設は80%以上、要介護者施設は60%以上であることが、結果から分かった。また、配置されている施設でも、「嘱託」の歯科医師が90%近く、「嘱託」または「非常勤」の歯科衛生士が半数を占めた。


入所者のニーズは満たせている両施設
歯科医による歯科検診を入所者が受ける機会があるかどうかとの問いに、「ある」と回答した障がい者施設が95%、要介護者施設が62%であった。

歯の磨き方や歯科保健についての指導を受ける機会があるかどうかの問いに対し、「ある」と回答したのは、障がい者施設で93%、要介護者施設で74%となった。

歯科検診や歯の磨き方などの指導を受ける機会の頻度については、障がい者施設では「年1回」と回答した施設が一番多く、要介護者施設では「年3回以上」が一番多いという結果であった。

両方の施設は、歯科保健については「入所者のニーズを満たしている」と回答している。障がい者施設で入所者のニーズが満たせていない理由としては職員の体制と知識不足、障がい特性などの入居者の状況が挙げられていた。

要介護施設でニーズが満たせていない理由として最も多かったのが、口腔ケアに費やせる時間が不足していること。次いで多かったのが、口腔ケアについての知識や意識の不足が挙げられていた。


平成25年度障がい者・要介護者等口腔保健実態調査
http://www.pref.aichi.jp/0000073434.html

■2014.7.29  <大阪市立大学>食堂に障害ある店員 学生実地に学ぶ場にも
大阪市立大の杉本キャンパス(大阪市住吉区)にある食堂「野のはなハウス」で、障害のある店員の支援に、福祉を学ぶ学生が入り実習の場として活用されている。障害者の就労訓練をしつつ、大学の授業に生かす“一石二鳥レストラン”として注目を集めている。

同キャンパスでは、大学生協が昨年、学術総合センターにある食堂の事業から撤退したため、事業者を公募。外食産業など9事業所が応募し、大阪府内で約70人の障害者が働く喫茶店などを運営する社会福祉法人「野のはな」(同府阪南市、西尾京子理事長)が選ばれ、今年1月から営業を始めている。

市大には社会福祉士の受験資格などが得られる生活科学部人間福祉学科があり、実習は1年生を対象に今年度から始まった「共生社会演習」(上半期)。履修生約40人は、実際に学外の社会福祉施設で学ぶが、「身近な場所で障害のある人と関わることで進路を考えるきっかけにもなる」と、「野のはなハウス」も実習対象にした。

履修生らは授業時間外に食堂を訪れ、知的障害や身体障害のある7人の店員が注文を聞いたり、配膳したりする際のサポートをしている。1年の辻出有希さん(18)は「初めは戸惑ったが、障害のある人の特性などが時間を積み重ねて見えてきて、話も弾んできた」と話す。食堂で働く岸本都美さん(23)は「年齢の近い人とスポーツなど好きな話もできて楽しい」と話す。

食堂運営を民間に委託する大学は増え、社会福祉法人が参入する例も、市大の他、群馬大などである。「野のはなハウス」は、店舗改装や新メニューの考案などでも学生のアイデアを取り入れて大学などと連携する。市大の西沢良記学長は「自然な共生社会の場としての大学を目指したい」と話す。「野のはな」の西尾理事長は「障害のある店員に、より多くの賃金を払える事業に育て、地域に開かれた食堂にしたい」と意欲を見せている。

■2014.7.29  糸賀氏生誕100年歌で祝う CD化へ
「障害者福祉の父」と呼ばれ県内に障害者の入所施設を開いた社会運動家の故・糸賀一雄氏(1914〜68年)の生誕100年を記念し、作詞・作曲された楽曲「ほほえむちから」のレコーディングが、このほど栗東市内で行われた。

楽曲はフォーク歌手の小室等さんがプロデュース。小室さんが作曲したやわらかいメロディーに、詩人の谷川俊太郎さんがつづった「くるしむわたし くじけるあなた でもほほえむちから こころにひめて」「いるだけで かがやくいのち」といった詞がのせられている。糸賀氏が残した「この子らを世の光に」の言葉を思わせる仕上がりだ。

楽曲は当初、3月に栗東市内で行った記念式典で披露するだけの予定だったが、「とても良い歌だ」と好評だったため、CD化が決まった。

今月下旬、栗東芸術文化会館さきらで行われたレコーディングには、県内外のプロ、アマチュアの音楽家約200人が参加した。地元では「さきらジュニアオーケストラ」が弦楽を演奏した。

チェロを弾いた大津市立平野小5年、山本光心君(11)は「レコーディングを体験したのは初めてで楽しかった。命を題材にした良い歌で、たくさんの人に聴いてもらいたい」と話していた。

CDは秋に完成し、11月に同会館で開催される「糸賀一雄記念賞第13回音楽祭」でも披露される予定。

■2014.7.29  「床傷付く」公立体育館、車いす競技利用断る
千葉県内の一部公立体育館が、車いすのバスケットボールやラグビー競技の利用を「床に傷が付く」などの理由で断っていたことがわかった。

県は「認識が甘かった」として、模擬試合で床への影響を確認した上で利用を認める方針だが、「難しい」とする自治体もある。

車いすバスケの利用を断っていたのは、県教委が所管する県総合スポーツセンター(千葉市)の体育館第1競技場。今夏の県高校総体では、バドミントンの会場となる。

同センターでは、車いすで転倒した際、床を傷付ける恐れがあることやゴールポストの老朽化、トイレの段差を理由に、正式な申し込み前の相談段階で利用を断っていた。

 センターの運営が県教委から指定管理者へ移行する前の2008年度までは利用制限はなく、県教委は今年に入って利用希望者の指摘などから制限を把握。制限の開始時期や回数について、県教委と指定管理者は「わからない」としている。

日本車椅子バスケットボール連盟(東京都)によると、競技用車いすにはバンパーもついており、転倒で大きな傷は付かないという。野口美一会長は「海外では傷が付くなどの理由で制限される例は聞いたことがない」と話す。

県教委は「障害者を排除する意図はない。転倒で床が大きく傷付くという思い込みもあり、認識が甘かった」としている。

また、木更津市の市民体育館では今年度、「ウィルチェアーラグビー」(車いすラグビー)の利用を申し込んだ利用者が「前例がない」と利用を断られた。同市は「他の団体も使うため床を保護するシートを用意してもらわないと貸すのは難しい」と説明する。

同種目でパラリンピックロンドン大会日本代表の官野一彦さん(32)も数年前、千葉市内の公立体育施設で利用を断られた経験を持つ。官野さんは、「車いすというだけで利用に難色を示されることはまだある。東京でのパラリンピックが決まったが障害者スポーツへの理解は進んでいない」と話している。

一方、千葉市では今年度、市内のスポーツ施設「ポートアリーナ」で床の保護を目的に、連結して使う樹脂タイルを購入する。1辺約25センチのタイルを約2万1000枚購入するため2000万円を計上。これまで市立のスポーツ施設では、ウィルチェアーラグビーなどの使用には、保護タイルの持ち込みを利用者に求めていた。しかし、負担が重いことを考慮し、購入を決めたという。

県では6月、20年の東京五輪・パラリンピックに向けた基本方針を公表。「キャンプの誘致に向け受け入れ体制の整備」を掲げ、障害者スポーツ普及にも力を入れる方針を示している。

■2014.7.29  少年時代壁越え古里へ…恵楓園・ハンセン病証言
国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園(熊本県合志市)で昨年9月から続けられている入所者の証言を記録として残す取り組みで、前入所者自治会長の工藤昌敏さん(84)への聞き取り調査が行われた。

隔離政策の下、施設の壁を越えて脱走したことや、社会復帰を果たすまでの歩みを語った。

聞き取りは、園の内外を隔てる壁のそばで行われた。

工藤さんは大分県出身。12歳で入所したが、「初めて壁を見たとき、これで古里と身内から消されていくんだ、と覚悟した」と振り返った。最初は怖くて、「帰る」と言って暴れたという。

15歳になると、巡視の目を盗んでは、たびたび園を囲む壁を乗り越えて実家に戻り、1週間程度滞在した。「園内に点呼などはなく、職員が入所者の生活の場に顔を出すことはなかった。入所者仲間も助け合っていたから、ばれないように黙って知らんぷりしてくれた」

20歳代前半で、園内で同い年の女性と結婚。ただし、子どもを作ることは許されなかった。「自分は家に帰ることが望まれていない。そんな苦しみを子どもにさせるのかと考え、あきらめた。ここで暮らすにはそれしかなかった」と表情を曇らせる。

30歳の頃、夢に見続けていた社会復帰を果たしたが、詳しい手続きは覚えていないという。「当時の園内の出来事は自分で消そうとしていたから」と、様々なつらい記憶の存在をにじませた。

古里に戻ることはできず、妻と東京に出た。数か月間、職探しの末に時計の製造販売会社に就職できた。理解ある経営者らに囲まれ、自分で稼ぐことを実感しながら29年近く働いた。

妻の病気を理由に再び恵楓園に戻った。その妻も2年前に亡くなった。「これからは、たばこと酒で暮らさないと仕方ないかな」と笑いながらも表情は寂しかった。

調査は、園内にある資料館「社会交流会館」が行っており、工藤さんで6人目となった。

■2014.7.29  津波被害の特養老人ホーム、来月再開  慈恵園
震災の津波で入所者と職員49人が死亡・行方不明となった宮城県南三陸町の特別養護老人ホーム「慈恵園」が8月4日、内陸に移転して約3年半ぶりに運営を再開する。

当時、入所者の救助に当たった職員の佐々木博美さん(53)は、助けられなかった命を悔やみながらも、「たくさんの人に穏やかな時間を過ごしてほしい」と願っている。

あの日、勤務中だった佐々木さんは、沿岸部で煙が立ち上るのを見た。津波だと気づいて入所者と高台に逃げたが、海から約1キロ、海抜15メートルの場所にあった施設は瞬く間に濁流にのみ込まれた。

波が引いた後に戻ると、平屋建ての施設には天井近くまでがれきが流れ込み、「助けて」という声が聞こえてきた。カーテンを担架替わりにして、職員らと約30人を高台に移したが、冷たくなっていく入所者もいた。「まさかここまで津波が来るなんて。対策がおろそかだった」。1994年の開業当時から勤める佐々木さんは自分を責めた。

佐々木さんも町内の自宅を流され、避難所に身を寄せることになったが、翌日から施設で入所者の持ち物を探し、通帳や印鑑などを見つけた。遺族に届けると、「本当にお世話さまでした」との言葉が返ってきた。「亡くなった方のことを思うと、つらくて仕方なかった。でも、ご家族の励ましで、もう一度頑張ろうと思えた」と振り返る。

2011年9月から、高齢者と障害者が暮らす町内のグループホーム型仮設住宅で働きながら、施設の再建に動き出した。施設長らと安全対策マニュアルの見直しを行い、自然災害を想定した避難訓練の実施を新たに盛り込んだ。災害用伝言ダイヤルを使った非常時の職員の連絡網も整備した。

新たな施設は木造平屋建てで2970平方メートル。海から5キロ離れた内陸の民有地約8700平方メートルを借りて建てられ、総事業費11億円は国の補助金などで賄った。入所者は長期が50人、ショートステイが20人で震災前とほぼ同じ。長期の入所申し込みは町内外の約100人からあったという。

県長寿社会政策課によると、県内では特別養護老人ホーム82施設が被災した。慈恵園が開業すれば、運営再開は80施設となる。佐々木さんは「立ち止まると震災のことを思い出してしまうから、とにかく走り続けてきた。今度こそ、安心して過ごせる施設にしていきたい」と話している。

■2014.7.30  障害者虐待防止法 〜 障害者虐待とはどのようなものか?
今月、厚生労働省が「障害者虐待の状況」をとりまとめて発表した。概要は次の通り。

1)
使用者による障害者虐待が認められた事業所は253事業所
虐待を行った使用者は260人
(事業主215人、所属の上司29人、所属以外の上司2人、その他14人)

2)
虐待を受けた障害者は393人
(知的障害292人、身体障害57人、精神障害56人、発達障害4人)

3)
使用者による障害者虐待が認められた場合に採った措置は389件
 ・労働基準関係法令に基づく指導等341件(87.7%)(うち最低賃金法関係308件)
 ・障害者雇用促進法に基づく助言・指導37件( 9.5%)
 ・男女雇用機会均等法に基づく助言・指導2件( 0.5%)
 ・個別労働紛争解決促進法に基づく助言・指導等9件( 2.3%)

障害者虐待防止に関する制度は、一見すると雇用者側に厳しく、労働者側(障害者側)に多大な配慮をしたかのようだ。しかし、あまりにも厳しい運用が行われると、雇用者側・労働者側の双方が共倒れになりかねない。

資料1は『障害者虐待の具体例』であるが、雇用者側にとってわかりにくいだけでなく、労働者側に過度の期待を持たせてしまいかねない内容だ。それを受けて資料2のような救済スキームが用意されているが、これでは労使双方の繋ぎ役が不在なため紛争解決が円滑に進まない可能性がある。個別の労働者(障害者)と雇用者を繋ぐ役割を担う機能が必要だ。


http://social-welfare.rgr.jp/databox/yyyy66yyyc2.png

■2014.7.30  <元従業員を届け出>虚偽申請などでデイを一部の効力の停止に――広島県
広島県は、7月11日、虚偽申請などで竹原市内の通所介護事業所を指定の一部効力の停止処分にすると発表した。
処分は8月1日から6か月間で、この間新規利用者の受け入れができなくなる。また、同期間の介護給付費の請求は上限の3割減となる。

■開設者の名称:有限会社ケイアンドケイ(代表取締役 平田宗一郎)
■開設者の所在地:東広島市西条土与丸二丁目7-33
■事業所の名称:デイサービスセンターあさがお竹原
■事業所の所在地:竹原市西野町水田平2080-5(管理者 松原房江)
■サービスの種類:(介護予防)通所介護事業所

■処分の理由
・虚偽の指定申請
指定居宅サービス事業者・指定介護予防サービス事業者の指定更新申請について、すでに退職して雇用関係がない元従業者の氏名を使い、生活相談員として雇用していると偽り、不正な申請をした。

・虚偽の報告
営利法人重点監査の際、元従業者を生活相談員と偽って報告した。

・運営基準違反
指定更新申請や営利法人重点監査の報告に当たり、管理者は、必要な従業者の管理および業務の実施状況の把握を行わず、指定基準上管理者に課せられた管理者としての責務を適正に果たしていなかった。

■2014.7.30  小規模デイの地域密着型への移行、定員18人以下が対象に
6月に成立した介護保険制度の改革に向けた法律で、新たに「地域密着型サービス」に位置づけられることになった小規模なデイサービスについて、厚生労働省は利用定員が18人以下の事業所を対象にする考えだ。位置づけの見直しは2016年4月に実施する。

自治体の担当者を集めて28日に開催した会議で、こうした方針を説明した。今後、来年度の介護報酬改定に向けたプロセスのなかで、より具体的な基準や報酬をめぐる議論を深めていく。

小規模なデイを地域密着型に移すのは、その生活圏域に根ざした特性をさらに伸ばしつつ、効率的な体制の構築につなげていくことが狙い。市町村が指定・監督を担うスキームに変えることで、運営の透明性や計画との整合性を向上させ、地域との連携を強めていく考えだ。

地域密着型となる小規模な事業所は、利用定員が18人以下のところ。今の介護報酬上の「小規模型」は、前年度のひと月の延べ利用者数が平均で300人以内とされているが、位置づけを変えるうえでより固定的な基準に改める。

実際に移行する時期は、第6期の事業計画期間が始まる2015年度から1年間遅らせ、2016年4月とした。市町村の負担に配慮した措置で、人員や設備などの運営基準についての条例は、移行から1年以内に制定すればよいという。

■2014.7.30  「お泊まりデイ」届け出制とガイドライン 質の向上図る
デイサービス施設が昼間の利用者を宿泊させる「お泊まりデイ」について、厚生労働省は利用定員などを定めたガイドラインをつくる方針を明らかにした。来年4月に都道府県などに通知し、サービスの質の向上を図っていく。同時に届け出制の導入も促す。

28日に市町村の介護保険担当課長を対象に開いた会議で表明した。

お泊まりデイは、介護保険のデイサービスを提供する通所介護事業所が、介護保険の枠外で利用者を宿泊させるサービス。入所施設ではなく、国の基準もないため宿泊環境が不十分で、一部では狭い部屋に高齢者が詰め込まれているといった指摘がある。

このため、厚労省は利用定員や1人当たりの床面積、職員配置の基準を示したガイドラインを作成。通所介護事業所を管轄する都道府県と指定市、中核市に通知する。施設の実態把握とチェック機能の強化のため、お泊まりデイの届け出制の導入も求めていく。

一方、厚労省はこの日の会議で、6月に成立した地域医療・介護推進法に基づき、来年度から市町村に移管される要介護度の低い「要支援」者向け事業の運用を定めたガイドラインも示した。このなかで、総費用の増加を、各市町村の75歳以上人口の増加率以下にすることも正式に求めた。

また来年度から新規入所が原則、要介護3以上に絞られる特別養護老人ホームについては、要介護1、2の人が特例で入所できる基準も示した。@認知症で行動や意思疎通が困難A知的、精神障害があるB家族による虐待が疑われるC独居や老老介護などで介護できる家族が近くにいなくて、在宅での生活が困難――の四つで、この場合は入所申し込みができるとした。施設や自治体で協議して可能な場合は入所が認められる。

■2014.7.30  足こぎ車いす、県施設に寄付 横浜市の夫妻
障害のある子どものリハビリに役立ててもらおうと、横浜市都筑区の税理士、千葉昭夫さん(67)と妻圭子さん(70)が、県教育委員会に「足こぎ車いす」15台を寄付した。県立の特別支援学校7校と県立こども医療センター(横浜市南区)で使われる。

母親の遺産を「社会貢献に使いたい」と考えていた圭子さんが思いついたといい、「未来のある子どもたちが歩けるようになることが楽しみ」と話す。横浜市や東日本大震災の被災地の特別支援学校などにも合計8台を寄付するという。

足こぎ車いすは、東北大学と連携するベンチャー企業「TESS」(仙台市)が開発。足を置く部分にペダルが付いており、自分でこいで車いすを動かすことができる。脳卒中や脊髄(せきずい)損傷などでまひした足のリハビリなどに使われている。

■2014.7.30  嘔吐した園児を殴った容疑、保育士逮捕 頭3針縫うけが
保育園児の頭を水筒で殴って軽いけがをさせたとして、宮城県警は30日、保育士、村上智亮容疑者(35)=仙台市泉区=を傷害の疑いで逮捕し、発表した。容疑を認めているという。

仙台北署によると、村上容疑者は16日正午ごろ、勤務する仙台市青葉区の保育園で、同区に住む男の園児(5)が給食のサラダを食べた際に嘔吐(おうと)したことに腹を立て、自分のステンレス製の水筒で園児の頭を殴り、3針縫う全治1週間のけがを負わせた疑いがある。

■2014.7.30  <無罪判決>元介護福祉士の控訴断念、無罪確定へ 広島地検
広島市東区の介護施設で2012年12月、高齢女性の布団に火を付け殺害したとして殺人と建造物等以外放火の罪に問われ、広島地裁から無罪判決を受けた元介護福祉士の入沢亜加音被告(23)=広島県安芸太田町=について、広島地検は30日、控訴を断念した。控訴期限の31日午前0時で無罪が確定する。地検は「控訴審で原判決を覆すに足る立証を行うことが困難と判断した」と説明している。

入沢被告は弁護団を通じて「本当に良かった。今後は家族と一緒に支え合いながら生活していきたい」とのコメントを出した。

地裁判決は、殺人と放火について「自白の信用性に疑いが残る」として無罪(求刑・懲役20年)とした。同僚の財布から現金を抜き取った窃盗罪では懲役1年6月、執行猶予3年を言い渡したが、被告弁護側も控訴しない。

■2014.7.30  青森  障害者施設の職員ら入所者に暴行か 徳誠園
去年11月、青森市内の障害者支援施設で、入所していた男性の脇腹を殴るなどして、ろっ骨を折る大けがをさせたとして、元職員と職員の2人が傷害の疑いで逮捕された。

逮捕されたのは、青森市の障害者支援施設「徳誠園」の元職員で、介護福祉士の小笠原龍一容疑者(38)と、職員で介護員の瀧本侑弥容疑者(25)の2人。

警察の調べによると、2人は、去年11月下旬、施設に入所していた当時42歳の男性の脇腹を殴るなどして、ろっ骨を折る大けがをさせたとして傷害の疑いが持たれている。

警察によると、男性が手当てを受けた青森市内の病院が、けがの具合から暴行された可能性があるとして、警察に通報したということで、関係者の証言などから暴行は合わせて2日間行われた疑いがあるという。

警察の調べに対し、2人は暴行したことを認めているということで、警察は動機などを詳しく調べている。

徳誠園の事務長は「2人の職員が過去に施設内で問題を起こしたという話は聞いたことがない。今は何も答えることはできない」と話している。

一方、今回の事件を受けて、施設を監督する青森市障害者支援課は「事実確認を急ぐとともに、再発防止に向けた注意喚起を行いたい」。

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障害者施設で暴行 介護福祉士ら逮捕 「組織的虐待も」

青森署は30日、青森市の障害者支援施設内で、入所していた男性(43)=茨城県=に殴るけるの暴行を加え、肋骨を折るなどの重傷を負わせたとして、傷害容疑で介護福祉士ら2人を逮捕した。

男性側の弁護団は「入所者に対する組織的・継続的な虐待の可能性がある」とコメントした。施設長は報道陣の取材に「逮捕容疑が事実なら被害者に申し訳ない」と謝罪したが、組織的な虐待を「全くない」と否定した。

逮捕されたのは、同施設に勤めていた介護福祉士の小笠原龍一容疑者(38)=青森県外ケ浜町=と介護員の滝本侑弥容疑者(25)=青森市飛鳥岸田。

調べでは、小笠原容疑者は昨年11月22日に、滝本容疑者は同26日に、男性に暴行を加えて肋骨を折るなどの重傷を負わせた疑い。2人は容疑を認めている。


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<障害者施設>入所男性に傷害容疑 元介護福祉士ら2人逮捕

青森県警青森署は30日、青森市内の障害者支援施設「徳誠園」に入所していた男性(43)に別々に暴行し、いずれも骨折の重傷を負わせたとして、介護福祉士ら当時の職員2人を傷害容疑で逮捕した。2人とも容疑を認めているという。

逮捕されたのは、同園に勤務していた介護福祉士、小笠原龍一(38)=同県外ケ浜町蟹田=と、同園の介護員、滝本侑弥(25)=同市飛鳥=の両容疑者。

容疑は、小笠原容疑者は昨年11月22日午前8時ごろ、園内で男性の左脇腹付近を蹴り、全治約1カ月半の肋骨(ろっこつ)骨折をさせ、滝本容疑者は同26日午後9時ごろ、男性の右脇腹付近を殴って肋骨を折ったとしている。

同署によると、昨年12月上旬に男性が腹部の痛みを訴え、別の職員が病院に連れて行ったところ、病院が事件の疑いがあると判断して同署と同市に通報した。市障がい者支援課は立ち入り調査をしたが、暴行を確認できなかったという。

男性の弁護団は30日、暴行について「入所者全般への組織的、継続的なものの可能性がある」との声明文を発表した。男性が「他にも殴られた人を見た」と話した▽男性のけがについて、同園が病院に「ベッドから落ちた」と説明した−−ことを理由に挙げたが、他の被害者は確認できていないという。

同園の担当者は毎日新聞の取材に「事実とすれば申し訳ない。(暴行は)まったく把握していなかった」と話し、暴行が組織的に続いているとの弁護団の指摘は否定した。

■2014.7.31  安靖氷見共同作業所 梅干し作り初挑戦
氷見市阿尾の精神障害者通所施設「安靖(やすらぎ)氷見共同作業所」は今夏、開設以来初めて梅干し作りに取り組んでいる。地域の住民から提供を受けた特産の稲積梅やシソを使い、30日は利用者らが天日干し作業に汗を流した。

利用者は6月下旬、同市指崎の扇浦一男さんが管理する山で梅の収穫を体験し、約20キロを摘み取った。ジュースも作り、約15キロを梅干しに加工するため塩漬けにした。シソも地域の住民が畑で育てたものを提供してもらった。

この日は強い日差しが照り付ける中、利用者やスタッフが屋外で作業に励んだ。直径65センチの竹ざるを用意し、まんべんなく日光が当たるように一粒一粒丁寧に並べた。

塩漬けして天日干しする作業をもう1度行い、8月下旬以降に梅干しやシソのふりかけを同市比美町の福祉の店「はーとふる安靖」で販売する予定。金谷正和所長は「皆さんの好意で作業ができ、ありがたい。協力して仕上げていきたい」と話していた。

■2014.7.31  特別養護老人ホームフラワーヒル不起訴事件の真相は 別の女性入居者2人への暴行//さいたま地検はいずれも不起訴処分(嫌疑不十分)
春日部市の特別養護老人ホーム「フラワーヒル」で平成22年に発生した入居者に対する傷害致死事件。さいたま地裁は元職員の大吉崇紘被告(30)に懲役8年の判決を下した。事件はこれで一つの区切りとなるのか。別の傷害致死事件の被害者とされた女性=同(78)=の次男(46)は「納得できない」と心境を吐露した。

大吉被告は公判の中で、起訴された事件の被害女性=当時(95)=のほか、別の女性入居者2人への暴行も認めている。

フラワーヒルでは、大吉被告が勤務を始めた直後の同年2月15〜18日の4日間で、入居者3人が死亡、1人がけがをした。県警は判決が言い渡された事件のほか、84歳の女性への傷害容疑と、78歳の女性への傷害致死容疑でも大吉被告を立件したが、さいたま地検はいずれも不起訴処分(嫌疑不十分)とした。死亡したもう1人については事件化されていない。このうち、78歳の女性の次男が今年2月、処分を不服とし、さいたま検察審査会に審査を申し立てている。

公判を傍聴した次男は「2人への暴行が裁かれないことを分かった上で、情状酌量を求めるために暴行を認めたのでは」と話す。

事件発生当時の行政の対応も不信感を募らせるものだった。施設は入居者の死傷事案が相次いだ後、大吉被告による虐待の可能性を春日部市に報告。しかし、市は大吉被告に直接の事情聴取はせず、書面での回答のみで調査を終えていた。昨年11月には、身内の市幹部のみで構成された「検証委員会」が、「おおむね対応は適切だった」とする結論を出している。

次男はこうした関係機関の対応に、高齢者虐待防止法などの本来の趣旨が生かされていないと指摘し、改善の必要性を訴えている。

「どうして私も遺族として法廷に立てなかったのか、納得できない」

のんびりと余生を過ごすはずだった母親が、信頼していた介護職員に暴行されて死亡したとすれば、「真実を知りたい」と思うのは当然だ。だが、複数の事件の経緯が闇に埋もれかけようとしている。大吉被告の弁護人は判決後、「厳粛に受け止めるしかない。控訴するかは本人と相談して決めたい」と話している。

 

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