残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2012年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

 2012. 2. 1 障害福祉サービス:事業者報酬2.0%上げへ 厚労省改定案
 2012. 2. 1 発達障害を就学前から支援 保育所・幼稚園で取り組み広まる
 2012. 2. 2 耳の不自由な裁判員が質問 通訳介し2回
 2012. 2. 2 京都の病院が保険医療機関の指定取り消し- 不正請求は億単位か 医療法人回生会第二京都回生病院
 2012. 2. 3 聴覚障害者の裁判員「やり通せた」 4日間の審理終える
 2012. 2. 3 インフルエンザ流行、全国で警報レベルに- 過去10年の同時期で3番目の水準
 2012. 2. 6 不正請求で訪問介護指定取り消しへ- 事業者は争う構え・長野
 2012. 2. 6 障害者の雇用環境改善 枚方の企業、社福と連携 アスク 社会福祉法人くにみ会清水園 社会福祉法人路交館桜の園 
 2012. 2. 7 不正請求で訪問介護と障害の指定取り消しへ- 宮城
 2012. 2. 7 介護施設で3人死亡…ノロウイルス集団感染か 菜の花
 2012. 2. 9 滋賀・多賀町の介護施設でノロウイルス 19人症状 多賀清流の里
 2012. 2.10 ノロウイルス21人感染 沖縄本島中部の高齢者施設
 2012. 2.12 特養でインフル29人感染 笠間
 2012. 2.12 老人ホームでインフル集団感染、女性2人死亡 サニーライフ君津
 2012. 2.13 老人ホーム入所者に暴行容疑 介護福祉士ら3人を逮捕 はぴね神戸学園都市 松田光博(40) 島田淳子(39) 節句田穣容疑者(24) 
 2012. 2.15 知的障害者の生活調査 旭川
 2012. 2.17 村木さん賠償金3千万円寄付 知的障害者の社会復帰支援 社会福祉法人南高愛隣会
 2012. 2.18 入居障害者の預金530万円着服容疑、グループホームの元副理事長逮捕/横浜 NPO法人障害者フルライフサポート・ユーリカ
 2012. 2.20 共通番号制度 きめ細かな福祉に欠かせない
 2012. 2.21 インドネシアから来日の女性 介護福祉士 筆記に合格
 2012. 2.21 知的障害の男性に無罪 佐賀、選挙ポスター破りで
 2012. 2.22 障害福祉サービス原則無料化見送り 政府・民主
 2012. 2.22 母が病死、障害のある4歳息子衰弱死 東京・立川
 2012. 2.23 浜松の社会福祉法人、ジュース工場新設 生産者と組み商品開発
 2012. 2.23 「福祉大国」日本で年間50−100人が餓死
 2012. 2.23 兵庫の老人ホームが4億所得隠し 大阪国税局指摘
 2012. 2.23 車椅子に優しいタクシー
 2012. 2.23 社会福祉法人で理事長が不正受給 大分市
 2012. 2.24 介護の指定取り消し、10年度は103件- 11年間累計で880件
 2012. 2.24 広島市 福祉法人の監査強化 社会福祉法人ひまわり福祉会
 2012. 2.25 福祉バス「ルシア号」運行廃止へ、優待券制度助成拡充で対応/横須賀
 2012. 2.25 震災で“置き去り”も…障がい者や高齢者、外国人 災害弱者に愛の手を 水戸でNPOら意見交換会
 2012. 2.25 走行音体験会:環境に配慮、視覚障害者は? 福祉協会が安全策訴え /滋賀
 2012. 2.25 馬の蹄鉄(ていてつ)を使ったグッズ
 2012. 2.25 デイサービス送迎中に事故、女性死亡
 2012. 2.25 老健施設に運営停止処分 医療法人栄城会
 2012. 2.26 介護施設職員、同居少女の首絞め殺害した容疑 介護施設職員長谷川一樹容疑者(27)
 2012. 2.28 障害者おしゃれ楽しんで
 2012. 2.28 ヘルパー、利用者輝ける場に…障害の男性居宅介護起業
 2012. 2.28 車いすの男性、踏切ではねられ死亡 愛知・犬山
 2012. 2.28 書くのが苦手、発達障害の20歳合格 鳥取大、PC使う
 2012. 2.28 清掃業務:就労に生かして 障害者対象に嘉麻で講座、プロが指導 /福岡 つばさ学園
 2012. 2.29 高齢者に「安心キット」配布
 2012. 2.29 不正請求で居宅介護の指定取り消しへ- 島根 株式会社いずみ


■2012.2.1  障害福祉サービス:事業者報酬2.0%上げへ 厚労省改定案
厚生労働省は31日、障害福祉サービス事業者の報酬について、12年度から平均で2・0%引き上げる改定案をまとめた。職員の待遇改善とサービスの質向上を図る。

施設に入所する障害者が地域で暮らす「地域移行」のための訪問相談や外出支援、緊急時の連絡態勢の確保など4月から始まる新サービスについての報酬も設定した。

訪問看護や就労支援などサービスごとの改定案について意見を公募した上で3月に告示する。報酬改定は3年ごとに行われ、事業所の経営状況に改善が見られたとして5・1%増だった前回09年度の報酬改定よりも上昇の幅を抑えた。

■2012.2.1  発達障害を就学前から支援 保育所・幼稚園で取り組み広まる
小学校入学の準備が進む季節。意思疎通などに困難を抱えやすい発達障害は、親や周囲が早期に子どもの特性を把握し、適切な支援や環境調整をすることで、社会に適応しやすくなるとされる。埼玉県内でも、保育所や幼稚園など、就学前から支援する取り組みが広がっている。

■絵活用・専門家助言も

給食が配膳された子どものテーブルを、保育士が回る。静かにするよう注意を促す絵を描いたボードを持っている。食事が始まると部屋の後ろに、給食の残り時間を示すタイマーが、ボードと一緒に置かれた。本庄市児玉町児玉の「児玉保育園」の光景だ。

石田亜由美園長は「言葉より目で見たほうが分かりやすい子がいるので」と言う。教室に備えられた「やめて」「静かにして」などのイラストカードは、保育士や、気持ちを言葉にするのが苦手な子どもが使う。

園児約200人のうち約1割が、発達障害だと診断されたりその疑いがあったりして、支援が必要だという。石田園長は「今は預かる時間が長く、保護者よりも早く(発達障害の疑いに)気づくことが多い。0歳から見ていると、2歳ぐらいには分かる」と言う。

入園1年目のある子どもは当初、教室に一歩も入れなかった。母親は「わがまま」と受け止めていたが、園は発達障害の特性を感じ取った。別室通園から始まり、興味のある物で徐々に教室へ近づけた。パニック時に1人になれる避難場所も確保し、今ではほとんどの時間を集団で過ごせるようになったという。

園は約20年前から、親と専門家の言語聴覚士らが交流する「ひまわり会」を開いている。対象は当初、重度の障害児だったが、今では発達障害児やその疑いのある子どもがほとんどだ。

専門家は隔月で来園し、子どもの様子を見る。保育士だけでなく、親も交えて報告会をし、家での育児法を助言する。親同士が「自分だけじゃないんだ」と共感し、前向きな気持ちになれる場にもなっている。

課題はある。異年齢クラスなので保育士を複数配置できているが、支援が必要な子どもが増えると足りない。医師の診断か障害者手帳がないと制度上、職員は増やせない。親の支援では保健師ら地域と連携したいが、十分ではない。「多くの保育所が悩んでいると思う」と、石田園長は言う。

■中学まで巡回継続

朝霞市は、就学前から中学校まで途切れない支援を目指し、2009年度から「育み支援バーチャルセンター事業」を始めた。

中核は巡回相談。対応に苦慮する現場を支援するため、年2回、小児神経科医ら専門スタッフと市職員が市内の全保育所、幼稚園、小中学校を訪問する。

1月、市内の保育所を臨床心理士や作業療法士らがスタッフとして訪れた。5歳児たちの遊びや給食の様子を観察した後、保育士と情報交換をした。

「信号を見ずに飛び出そうとするので、手を離せない」「人の輪に入ろうとするけれど、はじき出されがち」。保育士が気になる子どもへの対応法を相談すると、スタッフが観察を踏まえ、「助けてあげられる子を周りに配置したら」「視覚情報の方が頭に入りやすい」などと助言した。保育所の園長は「対処法を確認でき、助かる」。気になる点を保護者に伝える時も専門家の見解が支えとなり、安心できるという。

スタッフの中心は、医師でもある「日本赤ちゃん学会」の小西行郎理事長。障害児対象の保育所巡回で市に携わり、自身も年1回は全所を巡回する。市保健センターで開く専門相談も担当。親の理解が必要な時、園や学校からは伝えづらいとして、その役割も担う。

「発達障害は日々の生活上の問題で、周囲の子どもを含めた環境調整が大切。親や保育士、教師らの理解や連携が欠かせない」

事務局は保健センターが担う。保健師は全戸訪問や乳幼児健診で、最初に親子と接触する立場にある。巡回では、保健師がこれまでつながりがなかった幼稚園や小中学校に同行する。

早期支援には、親の「気づき」と理解が必要だが、保育や教育の現場ではまだ難しいという。市健康づくり課の担当保健師は「継続して育ちを見ることができる保健師がつなぎ役になれれば」と話している。

■保育士・親向けに県が冊子 現場の工夫や特性解説

埼玉県は発達障害支援に力を入れるとして昨秋、保育士や幼稚園教諭向けのガイドブック3万冊を作り、政令指定都市のさいたま市を除く県内の全施設に配った。

「大切な話をする時、じっとしていない」など、気になる行動を例に挙げ、困っている原因を考えるよう促し、児玉保育園など支援に取り組む現場の工夫も紹介している。

保護者用の啓発冊子も作り、23万冊を配った。気になる行動やその理由、対処法のほか、発達障害児やその保護者に対する偏見を持たぬよう、特性などを解説し、理解を求める内容になっている。

県は「早期発見・支援のためには、就学前の日常生活での理解と支援が必要」と狙いを説明する。保育所や幼稚園の職員向けに「支援サポーター研修」を実施し、県内の8割以上の施設から約1600人が参加しているという。

■2012.2.2  耳の不自由な裁判員が質問 通訳介し2回
耳の不自由な男性が裁判員に選ばれた前橋地裁の裁判員裁判。1日、強盗致傷罪に問われている被告の元少年(24)=埼玉県=に対し、男性が手話通訳を介して質問した。傍聴席には聴覚障害者数人の姿もあった。

「何か、聞きたいことはありませんか」

同日午後の被告人質問で、高山光明裁判長が裁判員6人に促すと、傍聴席から見て左から3人目に着席した、この男性がスッと右手を挙げた。

男性はこれまで、証人尋問などで質問していなかった。

男性は、検察側との間に腰掛けた手話通訳の女性に対し、時折言葉を発しながら、手話で質問を投げかけた。女性通訳は男性の手話を読み取ると、首からぶら下げたマイクで代わりに質問した。「もし社会に復帰し、再び共犯者に万引きや恐喝に誘われたらどうするか」

元少年が「絶対にありません」と答えると、2、3度うなずき、「その言葉を守れますか」と手話で通訳に伝えた。元少年の「(もう犯罪行為をすることは)ないです」との返答に、「わかりました」と手話で応じ、うなずいた。

検察側は論告で、元少年に懲役5年を求刑。弁護側は弁論で、執行猶予付き判決を求めた。男性は判決を決める評議に参加し、判決は3日に言い渡される。

この日、数人の聴覚障害者も傍聴に駆け付けた。

高崎市の40代の主婦、原沢久代さん。同じ耳の不自由な男性が裁判員を務めていると1日の朝刊で知り、初めて裁判所に足を運んだという。取材に筆談で応じた。

被告人質問などを傍聴した原沢さんは、男性裁判員の姿に「本当にすごいと思う」と感心していた。

一方で、公判の内容については、「ほとんどわからなかった」。手話通訳は裁判員に向かっているため傍聴席からは手ぶりがよく見えず、手話通訳の口元も見えないからだ。

原沢さんは、今後も裁判所に来る機会があると良いと答えた。一方で「傍聴するにはどうしても通訳が必要だ」。

■2012.2.2  京都の病院が保険医療機関の指定取り消し- 不正請求は億単位か 医療法人回生会第二京都回生病院
京都府向日市にある医療法人回生会第二京都回生病院(一般、療養病床210床)が、近畿厚生局京都事務所から保険医療機関の指定取り消し処分を受けていたことが分かった。

診療報酬上の施設基準を満たせなかったためで、処分は1月30日付。監査で判明している水増し請求額は約1124万円だが、同事務所では、「最終的に億単位に上る」とみている。同病院は救急病院に指定されているため、府や市、そして病院側は、新たな法人を設立し、そこに経営を委譲する方向で調整している。

近畿厚生局京都事務所によると、第二京都回生病院は2008年6月から10年9月までの間、障害者病棟の入院基本料に関して虚偽の届け出を2回行ったほか、一般病棟や療養病棟の入院基本料についても必要な届け出を行わず、診療報酬を不正に受け取っていた。いずれも、看護職員一人当たりの月平均夜勤を72時間以内とする算定要件を満たしていなかった。指定取り消し期間は5月1日から5年間。

同病院の担当者はキャリアブレインの取材に対し、「平均夜勤72時間以内の要件が入る前は、看護職員や患者の数で加算が付いていた。その感覚が抜けていなかった」と話している。病院の職員や患者については、新法人が引き継ぐ見通しという。

■2012.2.3  聴覚障害者の裁判員「やり通せた」 4日間の審理終える
前橋地裁の裁判員裁判で裁判員として審理に加わっていた聴覚障害者の男性が3日の判決後、記者会見に応じた。聴覚障害者が裁判員を務めることについて、「私も最後までやり通せた。心配せず、どんどん参加して欲しい」と話した。

群馬県内に住む都丸貴之さん(40)。3歳の頃に病気で聴覚を失った。強盗致傷事件の裁判で、廷内の手話通訳に被告の証言などを伝えてもらい、被告に質問もした。

4日間の審理を終え、都丸さんは「ホッとしています」。裁判所や検察、弁護側から十分な配慮があったとして、「感謝しています」と述べた。

審理中、証人の声が小さく手話通訳が聞き取りづらそうにしていることに高山光明裁判長が気づき、休憩時に「合図してくれれば私たちが『大きな声で』と伝えますよ」と言われたという。1日の証人尋問の際、都丸さんが裁判官に合図し、高山裁判長が証人に「マイクを口に近づけて」と促す場面があった。

■2012.2.3  インフルエンザ流行、全国で警報レベルに- 過去10年の同時期で3番目の水準
インフルエンザ定点医療機関(全国約5000か所)当たりの患者報告数が、1月23−29日の週は35.95人で、全国で警報レベル(30人)となったことが2月3日、国立感染症研究所感染症情報センターのまとめで分かった。前週の22.73人に比べて1.6倍増で、この時期としては過去10年で3番目の多さ。この値を基に同センターが推計した定点以外を含む全医療機関の受診患者数は約173万人に上る。

都道府県別では、福井の74.88人が最も多く、以下、高知(66.69人)、愛知(60.48人)、三重(54.58人)、岐阜(49.87人)、和歌山(48.32人)、静岡(48.07人)、石川(47.72人)などの順。3週連続で、全都道府県で報告数が増加した。

推計患者数を年齢層別に見ると、5−9歳が最も多い28.9%だったほか、10−14歳が19.1%、0−4歳15.0%と、小児科が担当する14歳以下で63.0%を占めた。このほか、30歳代が9.2%、40歳代が6.9%、60歳以上が6.4%などとなっている。

警報レベルを超えている保健所地域は、前週の141か所(33府県)から285か所(42都道府県)へと倍増。注意報レベルのみ超えている保健所地域は214か所(41都道府県)だった。

2011年12月19日―12年1月22日の5週間に検出されたインフルエンザウイルスは、A香港型が約90%で、B型が約9%。インフルエンザ2009が1%弱だった。

■2012.2.6  不正請求で訪問介護指定取り消しへ- 事業者は争う構え・長野
介護報酬約500万円を不正に請求したなどとして、長野県はこのほど、「アート企画株式会社」(長野市)が運営する訪問介護事業所「マザーズ・アップル訪問介護事業所」(千曲市)について、介護保険法に基づいて指定を29日付で取り消すと発表した。一方、同社は不正を否認しており、訴訟を起こして全面的に争う構えだ。

同社は住宅型有料老人ホームを運営しており、併設の同事業所が入居者に対する訪問介護サービスを提供している。県によると、同事業所は2009年12月から10年8月までの、主に午前8時から午前8時45分の間、ホームの複数の入居者に対して同時に食事介助サービスなどを提供、1人当たりのサービス時間が算定要件の20分に満たなかったにもかかわらず、介護報酬を不正に請求していた。また、報酬を請求する根拠となる訪問介護計画を作成していなかったり、サービス提供時間を記録していなかったりするケースもあったという。
今後は、千曲市など5保険者が不正請求額の返還を求める方針。

一方、県の指定取り消し処分について同社の塚田俊明社長はキャリアブレインの電話取材に応じ、「職員が入居者に1対1で介護サービスを提供しており、事実無根。どの職員がどの入居者に対して行ったサービスが不正なのか、県は明らかにしていない」と反論。その上で、月内にも、取り消し処分の無効や、損害賠償などを求めて訴訟に踏み切る考えを示した。

■2012.2.6  障害者の雇用環境改善 枚方の企業、社福と連携 アスク 社会福祉法人くにみ会清水園 社会福祉法人路交館桜の園 
精密部品加工を手掛けるアスク(大阪府枚方市津田山手)が社会福祉法人くにみ会清水園(枚方市津田)と社会福祉法人路交館桜の園(守口市八雲北町)の両法人と連携し、障がい者就労支援事業所の新たな収益源を生み出すべく、自社開発の電線剥離機「電線マン」を使ったビジネスモデルづくりに挑戦している。

障害者支援事業所が「電線マン」を使い、企業から出る廃電線を銅線と被覆部に剥離し再資源化。廃電線の仕入れと再資源化した銅の販売の差額を収入にする。低賃金と仕事の減少に悩む就労支援事業所で利用者の自立に向けての後押し的存在として期待される。

アスクの長倉貞雄相談役が、通勤中の電車内で事業所に通う子たちと出会ったのが、今回のスキームに取り組む一つのきっかけという。毎朝、熟睡する長倉相談役を津田駅で起こしてくれる彼らが、いつもよりうれしそうにしている。聞けば給料日だという。「その金額を聞きがくぜんとした」と長倉相談役は話す。

大阪府内のこれら事業所での賃金の平均は1万円前後という。さらに景気停滞の影響もあり仕事量が激減、仕事の確保とともに先行きの賃金確保が懸念される状況だ。

「何とかならないものか」という長倉相談役の思いに合わせるように、同社が入居する工業団地・津田サイエンスヒルズまちづくり協議会の和泉幸男事務局長が、電線剥離機を使った作業が就労支援事業所の新たな仕事にできるのではと考え、近隣の社会福祉法人くにみ会清水園と同社を引き合わせた。

清水園の杉田匡史施設長は「請負業務と違い、納期が無いのは魅力。他の業務の合間に取り組める」と、仕事量に波がある現状の解決策として期待する。

桜の園の栗栖琢磨さんは、電線剥離の作業自体が▽電線を分ける▽電線をまっすぐに伸ばす▽電線を機械に通す−など、作業を分担でき「利用者それぞれの特性を生かした作業分担ができる」と利点を挙げる。また同作業が加わり職種が増えたことで、他の作業を終えて電線作業をしたいという目的意識からか「他の仕事が早くなるなど、目に見えて効果があった」と話す。

桜の園では牛乳パックのリサイクルで長い付き合いのあるリサイクル業者から廃電線の提供を得られたが、「回収業者やリサイクル業者がすでに存在している現状で、うちが仕事を得ることでどこかが仕事を失うのも事実」(栗栖さん)。作業所支援という形で会社のイメージアップが図れることから「(廃電線の安価での提供など)同意してくれる人にいかに集まってもらえるか」(杉田施設長)と、両者とも廃電線の安価で安定的な確保を課題に挙げる。

同社は現在、再資源化されずほとんどが埋め立て処理に回されている細径ハーネス線は安価での確保が容易と考え、専用剥離機の開発を急ぐなど、モデル実現に向け、さまざまな模索を続けている。

■2012.2.7  不正請求で訪問介護と障害の指定取り消しへ- 宮城
架空のサービス提供記録を基に報酬を不正に請求したとして、宮城県はこのほど、「有限会社湯元」(仙台市)が運営し、介護保険と障害福祉の両サービスを手掛ける「ゆもとふれあいの杜」(同)について、介護保険法と障害者自立支援法に基づいて指定を取り消すと発表した。取り消しは24日付。

県は、介護保険法関係では、訪問介護と介護予防訪問介護の指定を取り消す。また、障害者自立支援法関係では、居宅介護と重度訪問介護の指定をそれぞれ取り消す。

県によると、訪問介護事業所は2009年12月から10年9月までの間、実際には提供していないサービスの提供記録を作成するなどして、介護報酬約42万円を不正に請求した。また、障害福祉サービスの居宅介護と重度訪問介護でも、ほぼ同様の方法で、09年11月から11年3月にかけて約250万円を不正に請求した。

県が確認した不正請求額は、介護保険と障害福祉の両サービスを合わせて約290万円。今後は、仙台市が返還を求めることになるという。


■2012.2.7  介護施設で3人死亡…ノロウイルス集団感染か 菜の花
岐阜県は6日、同県各務原かかみがはら市鵜沼山崎町、介護老人保健施設「菜の花」で、入所者や職員計29人が下痢や嘔吐おうとなどの症状を訴え、このうち70歳代1人、90歳代2人の女性入所者計3人が死亡したと発表した。

死亡した2人を含む6人からノロウイルスが検出され、県は集団感染とみて感染経路を調べている。

発表によると、症状が出始めたのは先月29日からで、今月3日から5日にかけて3人が死亡した。ウイルスが検出された70歳代と90歳代の各1人の直接の死因は、吐いた物をつまらせたことによる誤嚥ごえん性肺炎だった。6日現在、11人が下痢などの症状を訴えているが、重症者はなく、快方に向かっているという。

同施設は5階建てで、入所者91人、職員67人。症状が出た29人の内訳は入所者23人、職員6人。発症した入所者のうち、16人が4階に集中していた。県は、食事による集団感染の可能性は低いとみている。

同施設を運営する医療法人誠道会の磯野倫夫理事長は「感染防止策の不備や徹底不足が原因とみられ、大変申し訳ない」と陳謝した。

■2012.2.9  滋賀・多賀町の介護施設でノロウイルス 19人症状 多賀清流の里
滋賀県多賀町佐目の高齢者介護施設「多賀清流の里」(湯本佳代子施設長)は9日、入所者と職員計19人がおう吐や下痢などを訴え、うち5人からはノロウイルスが検出されたと発表した。また、8日に入所者の90歳代女性が肺炎で死亡したが、感染との因果関係は不明としている。

同施設によると、集団感染があったのは特別養護老人ホーム棟。今月3日以降、下痢やおう吐の症状を訴える入所者や職員が相次いだ。検査の結果、80〜90歳代の入所者4人と、職員1人からノロウイルスが検出された。現在も入所者1人が入院しているが、容体は安定しているという。

彦根保健所が9日、施設に立ち入り、感染経路を調べた。湯本施設長らは同日会見し、感染経路について「ショートステイ施設にも同じ食事を提供しているが、感染者は確認されていない。ウイルスが食べ物から感染した可能性は低い。職員や訪問者が持ち込んだと考えている」と説明した。


■2012.2.10  ノロウイルス21人感染 沖縄本島中部の高齢者施設
県健康増進課は10日、中部福祉保健所管内の高齢者福祉施設で、70、90代の入・通所者と職員ら計21人がノロウイルスによる感染性胃腸炎を発症したと発表した。うち6人が入院したが、同日現在、全員回復している。

同課によると、6日にかけて入・通所者らが下痢や嘔吐(おうと)、発熱などの症状を訴えた。9日、病院を受診した患者のうち5人の便からノロウイルスを検出。10日、中部保健所が立ち入り調査し、予防策などを指導した。

同課によると、ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口感染し、ヒトの腸管で増殖して嘔吐や下痢などを起こす。1年を通して感染例はあるが、沖縄では12月ごろがピークで、4月中旬まで発症が多い。

施設などの予防策として、下痢や嘔吐などの症状がある人は食品を直接取り扱う作業をしないことや、患者の便や吐ぶつを適切に処理するよう促している。

また、(1)抵抗力が弱い子どもや高齢者などは、加熱が必要な食品は中心部まで加熱して食べる(2)調理器具の洗浄・殺菌─などを呼び掛けている。


■2012.2.12  特養でインフル29人感染 笠間
茨城県は11日、笠間市土師の特別養護老人ホーム「すずらんの里」(立川孝子施設長)で、入所者や職員など計29人がインフルエンザに集団感染し、そのうち入所者の80歳代男性が死亡したと発表した。県保健予防課によると、今冬、インフルエンザの集団発生で感染者が死亡したのは2例目。

同課などによると、集団感染したのは、77〜97歳の男女で入所者17人、短期入所者3人、通所者5人の計25人と、30〜46歳の男女職員4人。2人を除き、B型のインフルエンザウイルスが検出された。入所者3人は入院中だが、快方に向かっている。

先月25日、通所者1人が最初に発症。今月2日になって80歳代男性が体のだるさや高熱を訴え、インフルエンザと診断された。男性はタミフルを服用したが、肺炎症状が現れて8日に入院、10日に細菌性肺炎で死亡した。

同施設では、入所者と通所者の生活スペースがドアで仕切られており、接触する機会はないという。立川施設長は「通所者の家族や短期入所者の方から感染した可能性がある」と話した。発症者のうち26人は予防接種を受けており、死亡した男性も昨年11月に受けていた。

■2012.2.12  老人ホームでインフル集団感染、女性2人死亡 サニーライフ君津
千葉県は12日、同県君津市東猪原の有料老人ホーム「サニーライフ君津」で入所者、職員合わせて71人がインフルエンザに集団感染し、うち女性入所者2人(81歳と92歳)が肺炎で亡くなったと発表した。

県疾病対策課によると、1月30日に職員1人がインフルエンザに感染。その後入所者に広がり、今月11日時点で入所者57人と職員14名が感染、女性2人はいずれも同日に死亡した。感染者のうち80〜90代の男女6人が現在、入院している。

■2012.2.13  老人ホーム入所者に暴行容疑 介護福祉士ら3人を逮捕 はぴね神戸学園都市 松田光博(40) 島田淳子(39) 節句田穣容疑者(24) 
老人ホームの複数の職員が70代の女性入所者に暴行していたとして、兵庫県警は13日、神戸市西区の「はぴね神戸学園都市」の介護福祉士ら3人を暴行容疑で逮捕し、発表した。家族が設置したビデオカメラの映像が決め手になった。女性は鎖骨などが折れており、暴行との因果関係も調べる。

逮捕したのはいずれも介護福祉士の松田光博(40)=神戸市須磨区白川台6丁目=、島田淳子(あつこ)(39)=同区高倉台8丁目=両容疑者と、ホームヘルパー節句田穣(せっくでん・ゆたか)容疑者(24)=兵庫県加古川市東神吉町神吉。

捜査1課によると、1月2〜3日、入所していた女性(73)に対し、松田容疑者はほおをたたくなど、島田容疑者は右上腕部をたたくなど、節句田容疑者は下腹部を圧迫するなどの暴行をそれぞれ加えた疑いがある。松田容疑者は「ほおをたたいたことに間違いない」とほぼ容疑を認めているという。島田容疑者は「たたいたことはない」、節句田容疑者は「腹を押したのは小便をさせるためで暴行していない」と否認しているという。

家族らによると、女性は2010年6月に入所したが、昨年夏から「助けて」と訴えるようになった。不審に思った家族が今年元日にカメラを設置し、暴行を確認。女性を退所させて検査したところ、鎖骨とあばら骨数カ所が折れていた。家族は1月6日に県警に被害届を出した。

施設側は1月21日、「虐待に気づかなかった」と家族に謝罪。3人は職場の人間関係などに不満があり、ストレスがたまって暴行していたと説明し、2月4日に懲戒解雇したという。

■2012.2.15  知的障害者の生活調査 旭川
札幌市内のマンションで40代の姉と知的障害の妹が遺体で見つかったことを受け、知的障害者の状況調査に乗り出す旭川市は14日、調査の対象となる福祉サービスや福祉施設を利用していない人は540人いることを明らかにした。近く現在の生活ぶりを尋ねる文書を対象者全員に送付する。さらに1人世帯や、親またはきょうだいなどとの2人世帯で障害が重い46人は、市職員が直接訪問する。

市障害福祉課によると、1月末現在、市内には知的障害と認定され療育手帳を持っている人は3095人いる。このうち18歳以上で、福祉サービスを受けていたり、福祉施設に住民票がある人などを除いた540人が調査の対象となる。

特に障害が最重度、重度で1人または2人世帯の46人については緊急性が高いとして、来週から職員が2人一組で、自宅に行き面接する。現在の暮らしや仕事をしているか、町内会に加入しているかなどを聞き取る。

社会的に孤立をしていると判断された場合には、福祉サービスの受給や町内会への加入を進めるなど地域とのつながりが持てるよう対応する。

3人世帯以上については文書送付後、《1》返信が遅い《2》仕事をしていない《3》自由記述欄に不安な様子が感じられる―場合は、職員が自宅を訪問する。

市は、送付する文面が対象者に十分に理解してもらえるかどうか、知的障害者の親による組織「旭川手をつなぐ育成会」と相談した上で文面を作成したという。

市障害福祉課は「早期に実態把握し、障害者を地域から孤立しない状態をつくり出したい」と話している。

■2012.2.17  村木さん賠償金3千万円寄付 知的障害者の社会復帰支援 社会福祉法人南高愛隣会
郵便不正事件で無罪判決が確定した村木厚子・厚生労働省元局長(56)=現内閣府政策統括官=が17日、国側が違法捜査の責任を認めて支払った賠償金を、社会福祉法人「南高愛隣会」(長崎県雲仙市)に寄付することを明らかにした。

同会は、刑務所を出所した知的障害者らの社会復帰を支援している。賠償金約3770万円から、弁護士費用を除く約3千万円を寄付する。村木さんは「国民の税金を、最も光が当たりにくい人々のために使いたい」と話している。

村木さんは無罪判決確定後の2010年12月、事件の真相を明らかにしたいと国などを相手取り、起訴による休職で失った給与や慰謝料など約4100万円の損害賠償を求めて提訴。国側は請求の大部分を認め、賠償金を支払った。


■2012.2.18  入居障害者の預金530万円着服容疑、グループホームの元副理事長逮捕/横浜 NPO法人障害者フルライフサポート・ユーリカ
横浜市のグループホームに入居する知的障害者の預金530万円を着服したとして、県警捜査2課と泉署などは18日、業務上横領の疑いで、NPO法人「障害者フルライフサポート・ユーリカ」(同市泉区)の元副理事長矢ケ部恵美容疑者(60)=同市戸塚区原宿1丁目=を逮捕した。県警によると、530万円のほか、同容疑者が利用者の口座を管理していた2005年4月〜昨年6月の6年余で、利用者約20人の口座から約1億円が使途不明となっており、県警は着服した可能性もあるとみている。

逮捕容疑は、同法人が運営する泉区のグループホームの管理者として重度の知的障害がある60代の男性から預金通帳などを預かり、05年4〜5月、男性の口座から4回にわたり計530万円を引き出し、着服した、としている。

県警によると、同容疑者は「引き出したことは間違いない」と供述。1月の神奈川新聞社の取材には「(法人の)事業に関わることに使い、不正な流用は一切ない」と話していた。

同法人をめぐっては、昨年6月に県の調査で、この男性と別の40代の男性の口座から、05年4月〜昨年9月に計約3千万円が引き出され、約2千万円が使途不明になっていたことが発覚。県警が捜査していた。

県などによると、同法人は04年11月に設立し、横浜市内で知的障害者対象のグループホームなど計8カ所(定員25人)を運営。県は昨年6月、指定障害福祉サービス事業者の指定を取り消している。

■2012.2.20  共通番号制度 きめ細かな福祉に欠かせない
納税や社会保障の複雑な情報を結びつけ、きめ細かな福祉政策を実現するには、国民一人ひとりが固有の番号を持つ必要がある。それは超少子高齢時代の要請と言えよう。

政府は、社会保障と税の共通番号を創設するための「マイナンバー法案」を今国会に提出した。2015年1月から番号の利用を開始する方針だ。

自公政権で打ち出された構想とほとんど同じであり、必要性は与野党の大半が認めている。早期に成立させるべきである。

共通番号は、住基ネットのシステムを活用して全国民に付与される新たな番号だ。これを「カギ」として使うことで、個人所得や年金、医療・介護の自己負担や給付などの記録を結びつけることが可能になる。

国民は、納めた税金や保険料、受けた医療や介護の内容、将来の年金額などをいつでも確認できるようになる。行政にミスがあればすぐに訂正を要求できる。

施策の幅も広がる。消費税の負担感が大きい低所得世帯に還付金を出したり、子ども手当のような現金給付を家庭の状況に応じて柔軟に設計したりできる。本当に困窮している人に、確実かつ効果的に福祉が届くだろう。

共通番号には、大災害の際に役立つ面も期待できる。

災害時は、被災地に持病のある人や介護が必要な人が何人いて、どんな薬や物資がどこにどれだけ要るか、早急に把握しなければならない。東日本大震災の前に共通番号が導入されていれば、それができたに違いない。

懸念されるのは、個人情報の漏洩ろうえいや不正使用だ。

法案には、監視機関として独立性の強い「個人番号情報保護委員会」を設置することや、情報漏洩行為に対して最高で懲役4年の罰則も盛り込まれている。

共通番号は、同じ人物の納税状況や社会保障の情報を結びつけるが、各制度のデータはこれまで通り別々に管理される。このため芋づる式に情報が漏れる危険性は少ない、と政府は説明している。

こうした対策を、国民に丁寧に示す必要がある。

内閣府の世論調査では、昨年11月時点で、国民の8割以上が番号制度の内容を知らないという。政府のPRが不足している。

与野党は法案の審議で、番号の必要性とともに、情報漏れの懸念と対策など細部の議論を詰めてもらいたい。それが国民の理解を深める近道にもなる。

■2012.2.21  インドネシアから来日の女性 介護福祉士 筆記に合格
魚津で研修熱心に勉強 「実技も頑張ります」

魚津市大光寺の特別養護老人ホーム「新川ヴィーラ」で研修しているインドネシア人のレスタリ・ラハイユさん(27)が、言葉の違いを乗り越え、国家試験である介護福祉士の筆記試験(一月二十九日)をパスした。三月の実技試験に合格すれば資格を取得する。

筆記試験は、日本人でも合格率50%ほどの難関。今回の筆記試験にインドネシア人は、全国で九十四人、県内で二人が受験した。

ラハイユさんは、日本・インドネシア経済連携協定(EPA)に基づくインドネシア人看護師・介護福祉士候補者の受け入れ事業で二〇〇八年に来日。滞在期間は四年だが、試験で三年の実務経験が求められたため、実質一回の受験機会だった。合格すれば在留を延長できる。

「通知を開ける時は緊張した。とてもうれしい」とラハイユさんは流ちょうな日本語で喜び、「実技も頑張ります。資格が取れたら今の施設で働きたい」と話した。

三年間指導した介護福祉士の谷川幸子さん(70)は「テキストが傷み、ノートが真っ黒になるまで予習復習を繰り返すほど熱心」と頑張りについて語った。

■2012.2.21  知的障害の男性に無罪 佐賀、選挙ポスター破りで
佐賀市で2009年8月、選挙運動用ポスターを破ったとして、公選法違反の罪に問われた知的障害のある無職の男性(59)の判決で、佐賀地裁(若宮利信裁判長)は21日、無罪を言い渡した。求刑は罰金30万円。

検察側は「客観証拠があり、男性の犯行であることは明らか」と主張。男性は初公判でポスターを破ったことを認めたが、弁護側は「被告にはポスターを破ることはできず、責任能力もない」と指摘していた。

男性の訴訟能力について、佐賀地裁は弁護側の求めに応じて精神鑑定を実施。「知的障害があり、訴訟能力はない」とする鑑定結果を証拠採用した。

起訴状によると、男性は09年8月18日、佐賀市内で衆院選候補者のポスター4枚を破ったとしている。

■2012.2.22  障害福祉サービス原則無料化見送り 政府・民主
政府・民主党は22日、今国会に提出する障害者自立支援法改正案の概要をまとめた。

名称を「障害者生活総合支援法」に改めるが、障害福祉サービスの原則無料化を見送るなど、同法廃止を掲げた平成21年衆院選マニフェスト(政権公約)に事実上反する内容にとどまった。

自立支援法は障害福祉サービスの利用者に原則1割の自己負担を求めており、政府は政権交代後の22年、廃止を決めていた。

■2012.2.22  母が病死、障害のある4歳息子衰弱死 東京・立川
東京都立川市羽衣町1丁目のマンション室内で、この部屋に住む母親(45)と知的障害のある息子(4)とみられる2人の遺体が13日に見つかっていたことが、立川署への取材で22日わかった。いずれも死後1〜2カ月が経過していたという。同署は女性が先に病死し、男児は食事ができずに衰弱死したとみて調べている。

同署によると、司法解剖の結果、女性の死因はくも膜下出血で、男児は栄養不足の状態だったとみられる。1DKの室内で女性は床に倒れ、男児はそばのソファで死亡していた。男児の体重は9キロで、4歳児の平均の半分ほど。テーブルに弁当が置いてあり、冷蔵庫には食料が残っていたが、胃の中に食べ物はほとんどなかった。

この部屋は母子2人暮らし。息子は一人で歩けるが、言葉をしゃべることができず、自分で食事をとれなかったとみられる。親族から「長い間連絡が取れない」と通報を受け、立川署員が遺体を見つけた。


■2012.2.23  浜松の社会福祉法人、ジュース工場新設 生産者と組み商品開発
障害者の共同作業所などを運営する社会福祉法人の復泉会(浜松市、永井昭理事長)は食品加工事業を始める。

浜松市内にジュース工場を新設し、2013年4月に稼働させて特産のミカンなどのジュースを生産する。隣接地では乾燥野菜などの加工品も手掛けてホテルなどに供給する。地元の生産者や食品会社と連携して農産物の需要を拡大、農業活性化につなげる。

新工場は復泉会のくるみ共同作業所(浜松市)と同じ敷地内に建てる。詳細についてはこれから詰めるが、建屋や生産設備に2億円程度を投資する予定。ミカンやブルーベリーなどのジュースを1日800リットル生産する計画だ。

現在、生産ノウハウを学ぶため長野県内の食品会社で研修を受けている。研修先に生産委託したミカンジュース(180ミリリットル入り)を195円で販売している。

ジュース生産に先立ち4月から乾燥野菜や果物の粉末などの加工を始める。同作業所の一画に乾燥機や粉砕機などを今月末に導入する。乾燥機は電子レンジに使われる「マイクロ波」で真空に近い状態で乾燥させる。食材の色味や栄養分を損なわずに加工でき、地元ホテルの料理人の評価が高いという。ホテルや食品加工会社に原材料として供給するほか、一般消費者にも販売する。

永井理事長は「浜松は農業が盛んだが、市内に農産物の加工施設が少ない」と話し、食品加工事業への参入を決めた。生産者や食品会社との連携組織「浜松フルーツミュージアム」を設立。特産品を生かした食品を開発する。

24日に浜松市内で加工品見本市を開き、販路開拓を目指す。 障害者の働く場を確保する狙いもある。復泉会は自動車関連の下請け作業を手掛けてきたが、リーマン・ショック以降、仕事量が減少している。食品加工事業で30人程度の雇用を生み出せるという。

■2012.2.23  「福祉大国」日本で年間50−100人が餓死
日本で飢え死にする人が毎年50−100人に達しており、日本社会に衝撃を与えている。餓死者は死亡後数日から数カ月たって発見される孤立死のケースが多く、「福祉大国」という言葉も看板倒れの状況だ。

今月20日、埼玉県さいたま市北区のアパートで60代夫婦と30代息子の3人が遺体で発見された。3人はやせ細っており餓死した可能性が高く、死後2カ月程度とみられている。部屋には水の入ったペットボトルはあったものの、食料は全くなく、現金は1円玉が数枚だけだった。料金を滞納し、電気とガスは止められていた。

13日にも、東京都立川市のマンションで死後1−2カ月が経過した母親(45)と息子(4)の遺体が見つかった。警察は、母親が病気で死亡後、男児が助けを求められず衰弱死したとみている。男児の体重は9キロで、同年代の平均(16キロ)の半分ほどだった。

また、北海道札幌市のマンションでも先月、死後相当期間が経過した姉妹の遺体が発見された。警察は、病気の姉(42)の死亡後、知的障害のある妹(40)が飢えと寒さで死亡したとみている。

日本政府は、餓死者や凍死者を出さないための保護策を設けている。収入のない若者も、申請が通れば1人当たり月6万−8万円ほどの生活保護を受けられる。地域ごとに民生委員がおり、低所得者に対する相談や支援を行っている。だが、餓死した家族や凍死した姉妹は生活保護を申請しておらず、行政の支援を全く受けられずにいたことが明らかになった。

日本政府は餓死者を出さないよう、料金滞納でガスや電気を止める場合は事業者と自治体が連携し、生活保護の受給を勧めるなどの対応を取るよう通知しているが、個人情報の保護を理由に事業者が情報提供を拒んでおり、効果を上げられずにいる。

■2012.2.23  兵庫の老人ホームが4億所得隠し 大阪国税局指摘
兵庫県姫路市の「老人ホーム太陽園」が大阪国税局の税務調査を受け、2010年度までの2年間で約4億円の所得隠しを指摘されたことが23日、分かった。追徴税額は重加算税を含め約1億5千万円に上るとみられる。

太陽園は、同じ福祉グループ内の別会社が運営するテーマパーク「太陽公園」(姫路市)が経営難に陥ったため、施設の減価償却費や人件費を肩代わりした。国税局はこれらの行為について、意図的に所得を圧縮し納税額を少なくしたと指摘した。

太陽園の担当者は「障害者が働いているという意味で、同じ組織との認識があった。今後は誤解を招かないようにする」とコメントした。

■2012.2.23  車椅子に優しいタクシー
日田市のイサゴタクシーは、車椅子に乗ったまま乗車できるユニバーサルデザイン(UD)タクシー1台を導入し、運行を始めた。同市では初めて、県内では3台目。

UDタクシーは車椅子利用者をはじめ、足腰の弱い高齢者や妊婦、ベビーカー使用者など、だれでも乗りやすく設計されたタクシーのこと。車椅子利用者は、車の後ろからスロープを使って乗り込み、後部座席を倒した空間に固定する。ワゴンタイプで車高が185センチあり、かがまずに楽に乗ることができる。スライド式の電動ドアが開くと、自動的にステップが出てくる。

定員は通常4人、車椅子使用の場合は3人。運賃は小型車両と同じ初乗り620円。

■2012.2.23  社会福祉法人で理事長が不正受給 大分市
障害者の就業を支援する大分市の社会福祉施設で女性理事長が10年以上にわたって交通費240万円あまりを不正に受給していたことが分かりました。

この社会福祉施設は多機能型の障害者自立施設で障害者の就業などを支援しています。大分市から年間8200万円あまりの給付を受けて運営されています。この施設のトップで理事長を務める女性が、2001年度以降自宅から施設までのバスの定期券を購入したように装って交通費を申請し、およそ10年にわたって合計240万円あまりを不正に受け取っていました。

また、この施設は、市の元幹部職員が役員をつとめています。女性理事長は市の指摘を受けて交通費を23日までに施設に返還しています。社会福祉法人を管轄する市では今後、施設に対して行政指導する方針です。

■2012.2.24  介護の指定取り消し、10年度は103件- 11年間累計で880件
厚生労働省は23日、2010年度に指定取り消し処分となった介護保険施設・事業所が103件だったと発表した。介護保険制度が創設された00年度以降で3番目の多さ。また、00−10年度の11年間で指定を取り消された施設・事業所の合計は880件に上った。

厚労省が、同日の「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」で示した。

10年度の取り消し件数を介護サービスの種類別に見ると、訪問介護(37件)が最も多く、これに介護予防訪問介護(17件)、居宅介護支援(12件)、通所介護(5件)などが続いた。法人の種類別では、営利法人(79件)が全体の4分の3超を占め、以下はNPO法人(13件)、医療法人(7件)、社会福祉法人(4件)の順だった。

指定の取り消し理由(複数回答)では、「不正の手段により指定を受けた」(51件)、「介護給付費の請求に関して不正」(46件)、「人員について、厚労省令で定める基準を満たすことができなくなった」(36件)などが多かった。

また、11年間の累計を見ると、取り消し件数が最も多かったサービスは、訪問介護(298件)で、以下は居宅介護支援(191件)、通所介護(75件)、介護予防訪問介護(73件)などの順。法人の種類別では、営利法人(665件)が最多で、以下は医療法人(78件)、NPO法人(72件)などと続いた。

■2012.2.24  広島市 福祉法人の監査強化 社会福祉法人ひまわり福祉会
「ひまわり」不正流用 書面のほか詳細項目も
広島市は23日、社会福祉法人「ひまわり福祉会」(安佐南区)が公金を含む保育所運営費約2億8000万円を不正に流用していた問題を受け、社会福祉法人に対する監査体制を見直し、チェック体制の強化や職員の増員を明らかにした。この問題を巡り、県は、不正流用で同法人に計約3200万円の損失を与えたとして、前理事長ら4人を背任容疑で告発している。

市議会厚生委員会で市側が報告した。今回の問題では、ひまわり福祉会が、購入していないテレビやカーペットなどの領収書を偽造したり、架空の職員に給与が支払われていたりしたが、監査では見逃していた。

社会福祉法人への市の監査はこれまで2年に1回(保育園などは年1回)、主に書面の確認で1日で済ませてきた。今後は4年に1回、〈1〉物品購入の必要性や現物の確認〈2〉土地や建物の賃貸物件の必要性や現地確認〈3〉給与規程と給与台帳との照合――など詳細な項目を決め、3日間かけて行う。さらに2年に1度の書面監査も続ける。

担当の市監査指導室(6人)は体制を強化するため、税務署OBの嘱託職員を含む2人を配置する。一方、市はひまわり福祉会から保育所運営費など約370万円の返還を受けた。

■2012.2.25  福祉バス「ルシア号」運行廃止へ、優待券制度助成拡充で対応/横須賀
横須賀市は市内で運行している福祉バス「ルシア号」を来月末で廃止する方針を固めた。高齢者や障害者の社会参加を促すための足として走ってきたが、近年では利用が伸び悩んでいた。別に整えている既存のバス乗車券制度を継続させることで、代替手段を確保する。

ルシア号の運行は1995年度から始まった。現在は火〜土曜に、市内10コースを日替わりで走っている。高齢者手帳や障害者手帳などの所有者が無料で利用できる。

利用者数は2008年度には3万8千人を超えてピークとなったが、その後は減少傾向。10年度は3万3千人で「11年度予測もピーク時の82%」(市高齢福祉課)にとどまる見込みだ。10年に市が実施した事業仕分けでも、福祉バス運行については「より効率的な方法にすべき」として、仕分け人全員が「不要」と結論付けた。

ルシア号の運行は京浜急行バスに委託されており、市は年間3千万円の費用を計上している。12年度にはバス車体が更新時期を迎えて費用がかさむことが予想されていた。

市は京急バスと協力し、09年から時限的に65歳以上の市民を対象にした市内バス路線の乗車券「はつらつシニアパス」を導入してきた。6カ月間の乗り放題の乗車券について価格の一部を助成する制度で、もとは緊急経済対策として導入された施策。今後は福祉事業としてあらためて位置付け、福祉バス廃止後の輸送需要に対応する計画。 

■2012.2.25  震災で“置き去り”も…障がい者や高齢者、外国人 災害弱者に愛の手を 水戸でNPOら意見交換会
大災害や原発事故に巻き込まれたら障がい者や高齢者、外国人はどうしたらいいのか−。東日本大震災の経験を基に「災害時要援護者」の防災対策を考える意見交換会が水戸市であった。福祉系のNPO法人や障がい者施設の関係者ら十五人が参加し、災害弱者の置かれた苦しい現状や課題が明らかにされた。

同会は被災者の支援活動を行う水戸市の茨城NPOセンター・コモンズの主催。二十二日に県労働福祉会館であり、古河市で施設を運営する男性は震災で「知的障がい者の避難に二時間かかった」「支援してくれるはずの民生委員や町内会が動かなかった」などと報告した。コモンズの横田能洋事務局長は、避難所が分からないブラジル人は数日間、食料が手に入らず何も食べることができなかったことを伝えた。

障がい者福祉を研究し、自らも車いすで生活する茨城大の有賀絵理客員研究員(31)は「障がい者は周りに迷惑をかけることを気にして避難所に行かなかった。(災害弱者が困らないよう)地域や行政とのネットワークが大切だ」と指摘した。

今後の課題について、取手市で障がい者らの避難マニュアル作りを進めるNPO法人「活(い)きる」の宮脇貞夫さんは、障がい者が対象の防災訓練が行われていないとして訓練の実施と「しっかりとしたプログラム作りが必要」と訴えた。

一方、原発事故など原子力災害があった場合の対応に戸惑う参加者は多く、「事故を想定した訓練を施設だけでできるのか」との意見も出された。

同様の意見交換会は、三月七日に日立市の多賀市民会館でも行われる。

コモンズは会で出た意見を報告書にまとめ、県内や全国の関係機関へ提案していく方針。

■2012.2.25  走行音体験会:環境に配慮、視覚障害者は? 福祉協会が安全策訴え /滋賀
視覚障害者が電気自動車とエンジン車の走行音を聴き比べる「走行音体験会」が23日、彦根市の県立彦根総合運動場であった。普及が進む電気自動車は環境にやさしい一方で走行音が小さいため、社会福祉法人・県視覚障害者福祉協会青年部が初めて企画し、20余人が参加した。

自動車販売会社の担当者が電気自動車の特徴などを説明後、エンジン車と電気自動車を交互に低速で走らせ、参加者が走行音を聴き比べた。電気自動車は20キロまでの徐行時には接近音が出るが、1〜2メートル離れた参加者は「自動車の通過を予測していてもモーター音や接近音は聞こえない。音もなく近づく車は恐怖」などと話した。

全盲の彦根市の女性(41)は「駐車場から出てきた電気自動車に足をひかれたことがある。発進時や歩行者に近づく際は、もっと高い音が出るようにしてほしい」と訴えた。

同青年部の河合進一部長(41)は「命に関わるので、国や自動車業界に安全策をとるよう訴えていく」と話していた。

■2012.2.25  馬の蹄鉄(ていてつ)を使ったグッズ
大和郡山市の障害福祉サービス事業所「みんなの広場らんまん」に通う障害者が、馬の蹄鉄(ていてつ)を使ったグッズを作り、「うま(馬)くいく」開運グッズとして好評だ。25、26日は市内の「イオンモール大和郡山」である展示即売会で売り出す。

所長の須川映治さん(58)が昨年夏、「障害者の自立のために、話題になる商品を作りたい」と、日本中央競馬会(JRA)に蹄鉄の提供を依頼。競走馬を訓練する茨城県美浦村の美浦トレーニング・センターが、使用済みの蹄鉄を無償で譲ってくれるようになった。

優勝馬が履いたものも含まれるといい、千枚通しや金ブラシで汚れをきれいに落としたあと、油性絵の具で色を付けていく。初めは丸や三角を描くだけだったが、いまは全面に明るい色を塗ったり、花柄をあしらったりとデザインも進化。担当する男性(53)は「楽しんで描いています。商品を買って飾ってもらえたらうれしい」と話す。

障害者施設が出品する即売会では数十個が売れ、インテリアや交通事故防止のお守りとして好評という。須川さんは「手がける障害者の収入が増え、自立につながればうれしい」と話す。

 1個300円。飾りのマットなどとのセットは600円。

■2012.2.25  デイサービス送迎中に事故、女性死亡
25日朝、群馬県高崎市で介護施設への送迎をしていた乗用車が交差点を右折しようとしたところ、直進してきた乗用車と衝突した。この事故で、送迎の車に乗っていた88歳の女性が死亡した。

午前9時ごろ、高崎市緑町の交差点で介護施設のデイサービスの送迎をしていた乗用車が右折しようとしたところ、交差点を直進してきた乗用車と衝突。

この事故で、送迎の車に乗っていた無職の小鮒久子さん(88)が頭などを強く打って死亡し、車を運転していた介護施設職員の女性(60)が軽いけがを、直進してきた車を運転していた男性にけがはなかった。

警察によると、小鮒さんは25日、介護施設のデイサービスを利用するために施設の送迎を受けていたという。

■2012.2.25  老健施設に運営停止処分 医療法人栄城会
経営悪化 県、入所者35人移転命令

県は24日、経営が悪化した足利市常見町の介護老人保健施設「花みずき」の開設者の医療法人栄城会(竹下正昭理事長)に対し、同施設を2か月間の運営停止にするなどの行政処分を行ったと発表した。電気料金の支払いが遅れていることなどから適切な介護サービスが提供されていないと判断した。入所者35人は別施設への移動を強いられる。

発表によると、併設されている診療所に磁気共鳴画像(MRI)装置など高度医療機器を導入したことや、特定の従業員に対して高額な給与を支払っていたことなどから経営が悪化していた。昨年10月に施設の管理者である医師が辞めた上、従業員の給与などの支払いが遅れていた。関連会社が運営する有料老人ホームなどを含めて、当初は150人だった従業員数は2月24日現在84人にまで減少。残っている従業員の多くが退職を希望している上、3月12日には送電が停止される可能性があった。

竹下理事長は、介護報酬の不正請求で運営していた居宅介護の事業所が行政処分を受けたこともある。県が再三にわたり、事業所の経営の立て直しについて指導してきたが、再建の見通しはたっていないという。

県は、2か月の運営停止に加え、入所者や診療所に入院している患者などを3月7日までに別の施設へ移転させるよう命じた。安足健康福祉センターに入所者や家族などの相談窓口を設け、県も支援を行う。

■2012.2.26  介護施設職員、同居少女の首絞め殺害した容疑 介護施設職員長谷川一樹容疑者(27)
神奈川県警は26日、栃木県小山市間々田、介護施設職員長谷川一樹容疑者(27)を殺人容疑で逮捕した。

発表によると、長谷川容疑者は1月9日午後2時頃、横浜市緑区新治町のアパート室内で、同居する無職小野寺沙季さん(当時19歳)の首を絞めて殺害した疑い。調べに対し、長谷川容疑者は「別れ話をしていた。衣服で首を絞めて殺した」と容疑を認めているという。

同月10日午後、長谷川容疑者が住む2階の部屋でぼやがあり、室内で倒れている小野寺さんが見つかり、アパート外階段の下で、左胸に刺し傷のある長谷川容疑者が倒れていた。長谷川容疑者は入院し、当初「誰かに刺された」などと説明していた。

県警は、長谷川容疑者が、別の者の犯行に偽装しようとしたとみて調べている。

■2012.2.28  障害者おしゃれ楽しんで
【新ファッションショー/来月4日草津 立大生企画/巻きズボン・上下分離ドレス・・・車いすで自らモデル役も】

体が不自由な人が着やすく、おしゃれも楽しめる服を紹介するファッションショーが3月4日に草津市のショッピングセンターで開かれる。立命館大学の障害者支援サークル「VAN」が企画し、趣旨に賛同した車いすの障害者らが自らモデル役を務める。学生たちは「障害のある人たちにも、おしゃれをして出かける喜びを知ってほしい」と話す。

「音楽に合わせて、もう少しゆっくりと進んで」。VAN代表の村上実麻さん(21)の声が響く。今月19日、大津市大萱5丁目の障害者支援施設「まちかどプロジェクト」の一室で、車いすや杖をついたモデル約10人が、ランウエーを進む練習を繰り返していた。

イベントを発案したのは副代表の藤野結衣さん(22)。「夢があっても、障害があることで一歩踏み出せない人たちにメッセージを送りたかった」と話す。

VANでは、障害者のユニークな活動を取材し、ブログで紹介している。ある日、自動車レース中の事故で車いすの生活になりながらも、ジーンズをはきたい一心で障害者向けの衣料ブランドを立ち上げた元レーサーと出会った。「できない」は「できる」に変えられる――。多くの人に考えてもらう場をつくろうと、動き始めた。

メンバーの1人で、脳性まひの障害がある中川佑希さん(22)も「自分たちの選択肢が、とても狭いことが気になっていた」と話す。服選びも機能性ばかりを重視して、ファッションは二の次だった。進学や就職も、最初から選択の幅は狭い。約10人の仲間と話し合い、まずは身近なおしゃれについて考えようと、ファッションショーを開くことにした。

実現に向け、様々な企業に協力を求めた。車いすに座ったままではける「巻きズボン」や床ずれしにくいジーンズ、上下セパレート型のウエディングドレスなどの衣装のほか、服がよく見えるよう昇降機能付きの電動車いすなどの提供も受けることになった。資金面でも約10社の協賛が決まった。

当日は17人がモデル役となって服を紹介するほか、お笑い芸人を目指す中川さんの漫才も披露される。藤野さんは「価値観を変えるショーにしたい」と話す。

■2012.2.28  ヘルパー、利用者輝ける場に…障害の男性居宅介護起業
地元住民と交流スペースも

脳性まひで身体に重い障害を持つ福井県福井市加茂河原の酒井正輝さん(52)が今月、障害者向けの居宅介護事業所「在宅支援 輝き」を開設した。

酒井さんは8年半前からヘルパーの訪問介護を受けて一人暮らしをしており、「長時間勤務などヘルパーに苦労が多い介護の現状を変えたい」との思いで自ら事業を始めた。県によると、県内の障害者向け居宅介護事業所は2011年4月現在で94あるが、障害者が運営する事業所は珍しいという。

酒井さんは36年間、石川、福井両県の施設で過ごし、03年9月に一人暮らしを始めた。「地域の中で暮らし、人とふれあいたい」と強く思ったからだ。

食事、入浴、外出など生活を支えてくれたヘルパーは、県立大看護福祉学部の学生らで多い時に15人いた。介護を受けるうちに、ヘルパーの労働環境の厳しさを知った。

何人もの介護を担当して拘束時間が長く、力仕事が多いのに賃金が低い――。「どうすればヘルパーに不満なく働いてもらえるのか」。5年ほど前、友人に悩みを打ち明けると「自分で介護事業を興せばいい」と言われた。

当初は「手も足も動かせないのに無理だ」と感じたが、知人が県の事業者指定に必要な手続きを手伝ってくれたほか、多額の財政援助も受け、今月、介護事業所として認められた。

自宅横の空き家を改修した事務所内には、車椅子や土足で入れる交流スペースを設け、地元の住民も気軽に集えるようにした。ヘルパーや住民を招いて定期的に交流会を開くという。スタッフは学生ヘルパーを含め12人。今のところ、契約者は酒井さんだけだが、口コミなどで利用者を徐々に増やしていくつもりだ。

酒井さんは「事業所の財政事情やヘルパーの勤務日程のやり繰りをみんなに詳しく伝えることで、お互いの立場を理解し合い、笑顔がたくさんある環境にしたい」と話している。

県立大看護福祉学部の小林明子教授(社会福祉学)は酒井さんの挑戦について「利用者がどんな介護を求めているかがわかるヘルパーを養成できる。重度障害者でも経済的に自立できるという実例は、他の障害者の励みになり、意義深い」と話している。

■2012.2.28  車いすの男性、踏切ではねられ死亡 愛知・犬山
28日午前9時45分ごろ、愛知県犬山市羽黒の名鉄小牧線楽田―羽黒駅の楽田13号踏切で、車いすの男性が普通列車(4両編成)にはねられ、死亡した。乗客約25人にけがはなかった。犬山署は、男性が踏切を渡りきれずにはねられた可能性もあるとみて、状況を調べている。

同署や名鉄によると、現場は遮断機と警報機のついた踏切。死亡したのは近所に住む70歳くらいの男性とみられ、1人で横断していたという。運転士は「踏切に車いすに乗った人がいたため、ブレーキをかけたが間に合わなかった」と話しているといい、約40メートル通り過ぎて止まった。

周辺は住宅街。単線の踏切で幅は約2メートル、渡りきるまで約5メートルある。線路と枕木との間に数センチの溝がある。同署によると、目撃した女性は「(死亡した)男性は普段からよく通っていたが、今日はとても手間取った様子で横断していた」と話しているという。

午前11時ごろまで犬山―小牧駅で運行を見合わせ、約400人に影響が出た。

■2012.2.28  書くのが苦手、発達障害の20歳合格 鳥取大、PC使う
字を書くのは苦手だが、パソコン(PC)を使えばスラスラと文章を書ける。発達障害のある受験生が、入試でパソコンの使用を認められ、鳥取大地域学部に合格した。受験を諦める障害者が多いと言われる中、「画期的」と評価する声があがっている。

合格したのは同大付属特別支援学校、専攻科2年の斉藤真拓(まひろ)さん(20)。発達障害の一つのアスペルガー症候群で、難解な文章の読みはできるが、文字を書くのが苦手だ。特に漢字は小2の水準という。

大学進学を決意したのは高2のとき。数式を見ると「美しい」と感じる感性を知った教諭から「大学で勉強すべきだ」と助言されたのがきっかけだ。特別支援学校に通い始めた19歳から受験勉強を始めた。


■2012.2.28  清掃業務:就労に生かして 障害者対象に嘉麻で講座、プロが指導 /福岡 つばさ学園
嘉麻市下臼井の障害者支援施設「つばさ学園」で27日、障害者を対象にした清掃業務の公開講座が開かれた。筑豊地区の支援施設から利用者やスタッフら約25人が参加した。

プロの指導で清掃業務の技量を上げ、日ごろの業務に生かしたり、就労のチャンスにつなげたりする狙い。県内のさまざまな施設の清掃・管理を請け負うトキワビル商会=飯塚市花瀬=が企画した。

講師は同社統括業務主任の御手洗清雄さんで、清掃スタッフが年1回受ける研修と同じ内容。受講生は、安全で効率的な作業につながる、ほうきやモップの基本的な持ち方、作業方法などの説明を聞いた後、実際にほうきなどを手にして作業し、姿勢や手順などの指導を受けた。

50代の女性は「清掃の仕事ができたらいいなと思い参加した。分かりやすく、受講して良かった」と話していた。

■2012.2.29  高齢者に「安心キット」配布
福岡市は新年度、一人暮らしの高齢者や障害者に、緊急連絡先などの情報を記入する用紙とプラスチック製容器のセット「安心情報キット」を配布する。地震や火事にも構造的に強い自宅の冷蔵庫に容器を保管することで、急病や災害で本人が意識を失った場合でも、近所の住民や救急隊員がかかりつけ医や親族に連絡し、迅速に対応できるようにする。

キット配布は北海道小樽市での取り組みを知った城南区の民生委員たちの提案で、2009年度から堤地区自治協議会などで始まり、区全体に拡大。住民の評判も良いことから、市も「市内全域に広げる必要がある」と予算化に踏み切った。

市内には65歳以上の単身者が約6万人おり、新年度は介護が必要な高齢者に障害者を加え約3万人が対象となる。

キットの配布は、校区社会福祉協議会や自治協議会、民生委員に委託する予定。用紙に家族などの緊急連絡先、かかりつけ医、常用している薬などを記入し、容器に入れて冷蔵庫に保管してもらう。キットの配布を通して、住民が高齢者に声を掛けるきっかけができ、地域の見守り活動を強化する効果も期待できるという。

地域の全世帯に配布している堤地区自治協議会の山口繁実会長(77)は「子どもと離れて暮らしている高齢者から『キットがあれば安心』と、喜んでもらっている。市内全域に広がることは喜ばしい」と話している。

■2012.2.29  不正請求で居宅介護の指定取り消しへ- 島根 株式会社いずみ
介護給付費約209万円を不正請求したとして、島根県はこのほど、「株式会社いずみ」(松江市)が運営する同名の居宅介護事業所について、障害者自立支援法に基づいて指定を取り消すと発表した。取り消しは3月31日付。

県によると、同事業所は2010年4月から11年3月までの間、居宅介護サービスを提供していないにもかかわらず、提供したと偽ったり、同法人の施設内で提供したサービスを利用者の居宅で提供したと偽ったりして、介護給付費を不正に請求していた。県が確認した不正請求額は約209万円。今後は松江市が不正請求額を精査した上で、その40%を加算して返還を求める。

同事業所をめぐっては、11年2月、利用者が「受けていないサービスの請求がある」と県に相談。これを受け、県が4月から監査を実施するなどして、不正請求を確認した。

 

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