残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2012年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

 2012. 3. 1 障害者ら孤立死防止で全国調査を 手をつなぐ育成会が要望
 2012. 3. 1 障害者がグループ就労 笠岡 多機能型事業所かさおか
 2012. 3. 2 岐阜県の訪問介護事業所が指定取消――サ責なりすまして検査妨害も
 2012. 3. 2 知的障害の2少年に暴行 三重・四日市の施設
 2012. 3. 2 熱海で病院など経営、翔健会が破産- 入院患者は全員転院  医療法人社団翔健会
 2012. 3. 3 特養職員、入所者を虐待…隠し撮りビデオで判明 海南市社会福祉事業団 南風園
 2012. 3. 4 シンポで触法障害者への支援訴え 大阪で開催
 2012. 3. 7 フリースクールで再出発 小田原 学校法人・湘南ライナス学園閉校
 2012. 3. 9 精神障害理由の入店拒否で提訴 「憲法違反」と都内の男性
 2012. 3. 9 老健運営停止、7施設を廃止…栃木
 2012. 3. 9 誰にもみとられず…震災仮設住宅で孤独死18人
 2012. 3. 9 「家族心配、つらかった」6割…石巻赤十字医師ら葛藤浮き彫り
 2012. 3. 9 発達障害と犯罪報道 記事検証とともに記者教育を
 2012. 3. 9 看護師ら3人書類送検、電源停止で患者死亡…宮城 宮城県立循環器・呼吸器病センター
 2012. 3.11 高齢者の肺炎目立つ…「震災関連死」1479人
 2012. 3.12 運営会社代表も逮捕 介護施設で暴行容疑 デイサービスセンターほたる 介護士、 北浦一樹被告 (25) 廣瀬有城容疑者 (28) 松田崇容疑者 (33) 
 2012. 3.13 広島の診療所経営の医療法人に破産開始決定- 負債約2億円の見込み
 2012. 3.15 磯田さんにリリー賞(精神障害者自立支援活動賞) 久留米
 2012. 3.15 給付費不正請求:神戸の福祉事業所、県が指定取り消し /兵庫 セイコー自立援護センター
 2012. 3.16 <東京都>1世帯2人割れ 1.99人、独居高齢者が増加
 2012. 3.16 視覚障害者の転落事故防げ ホームで電子白杖実験
 2012. 3.16 大胆な作風に脚光 障害者アート 富山県内でも浸透 
 2012. 3.17 孤立死か 77歳の母と障害の息子病死 横浜で昨年末
 2012. 3.19 医師国試、合格率90.2%- 9割台は3年ぶり
 2012. 3.19 学校別合格率、兵庫医科大が99%でトップ
 2012. 3.19 歯科医師国試、合格率は71.1%- 昨年とほぼ同じ水準
 2012. 3.19 ヘルマンハープ教えます ドイツ生まれのバリアフリー楽器
 2012. 3.19 障害年金不正受給、診断書作成の医師に懲役8年
 2012. 3.19 夜中のナースコール嫌…睡眠導入剤を無断投与
 2012. 3.20 高齢者や障害者向けにグルメマップ作成 佐世保市
 2012. 3.20 災害時の障害者支援…安否確認、個人情報の壁
 2012. 3.21 愛知の豊岡会、診療報酬を数十億円不正受給- 看護職員数水増しで
 2012. 3.22 不正請求などで3介護事業所の指定取り消し- 静岡 アイクラシエサポートセンター
 2012. 3.22 通所介護事業所の1割弱がお泊りデイを実施し、1年以上の連泊者も 神奈川県
 2012. 3.22 不正請求で訪問介護指定取り消しへ- 岡山  まごころケア・ヘルパーステーション
 2012. 3.24 ヤクルトさんが孤立死防ぐ…母死亡の障害者救助
 2012. 3.26 不正請求でケアマネ事業所指定取り消しへ- ケアプラン未作成も・和歌山 なづなケアプランセンター
 2012. 3.27 障害者の著作権保護を提言 滋賀
 2012. 3.28 介護福祉士国試、過去最高の合格率- 63.9%、合格者数も過去最多
 2012. 3.28 高齢者虐待事件受け 福祉施設が緊急研修 和歌山
 2012. 3.28 准看を正看と偽り、訪看ステーションの指定を取り消し――熊本県 訪問看護ステーションほたる
 2012. 3.29 介護福祉士の国家試験合格 インドネシア人
 2012. 3.29 介護福祉士:県内から受験のインドネシア人4人が合格 /徳島
 2012. 3.29 介護福祉士:EPA受け入れ、外国人36人合格 合格率37.9%に
 2012. 3.29 訪問介護事業者が破産手続き開始決定- 東京
 2012. 3.29 不正請求で訪問、通所介護の指定取り消し- 徳島 ホームヘルパーステーションSmile
 2012. 3.30 インドネシア女性介護福祉士合格
 2012. 3.30 PT・OTの合格率、8ポイント超アップ
 2012. 3.30 南島原の福祉法人に改善命令 入所者の預金着服 社会福祉法人ほかにわ共和国
 2012. 3.31 課長が1450万円着服/県ふじみ園
 2012. 3.31 介護保険料19・5%上昇…平均月額4972円
 2012. 3.31 福祉施設転落死:逸失利益770万円で和解 社会福祉法人名北福祉会
 2012. 3.31 不正請求:静岡のNPO、障害者利用日水増しで760万円 県、事業者指定取り消し /静岡 NPO法人地域で暮らす・笑顔で生きる
 2012. 3.31 老人ホームで孤独死…87歳女性、1週間後発見 サンシャイン・ヴィラつくば倶楽夢くらぶ


■2012.3.1  障害者ら孤立死防止で全国調査を 手をつなぐ育成会が要望
障害者と家族の「孤立死」が各地で相次いで発覚したことを受け、知的障害の子を持つ親の全国組織「全日本手をつなぐ育成会」(東京)が1日、障害者手帳を持ちながら福祉サービスを利用していない家庭の実態を調査するよう、国や自治体に求める声明を発表した。

声明は「個人情報保護は、その人に不利益になることまで許容しているわけではなく、行政は自らの責任をプライバシーの問題にすり替えている」と指摘。再発防止策の検討組織も設置するよう国に求めている。

札幌市で1月、病死した姉と、凍死した知的障害がある妹の遺体が見つかるなどした。

■2012.3.1  障害者がグループ就労 笠岡 多機能型事業所かさおか
笠岡市社会福祉事業会が運営する多機能型事業所「かさおか」(同市金浦)に通う知的障害者5人が、紳士服販売の青山商事井原商品センター(井原市大江町)でグループ就労に取り組んでいる。「かさおか」が障害者雇用納付金制度に基づく障害者能力開発助成金「グループ就労訓練請負型」を井笠地域で初めて活用。来年4月から、1人が同センターのフルタイムパート従業員に採用される予定で、各自が意欲的に仕事をしている。

20〜43歳の男性3、女性2人が毎週月―金曜日に各4時間勤務する。「かさおか」の指導者1人のもと、靴下などに値札シールを貼る。貼り残しがないか確認するなど仕事は丁寧。1月中旬から始め、作業スピードも上がってきた。

同センターは全従業員83人のうち知的、精神、身体の各障害者が計18人勤務する。昨年夏、細川孝志副センター長(41)と「かさおか」の岡田圭二管理者(46)が倉敷市内で岡山県内企業の事例を聞き「活用できる」と意気投合した。

同助成金「グループ就労訓練請負型」は、社会福祉法人などが企業から業務を請け負い、障害者3〜5人が一緒に企業内で就労訓練を受ける方式。グループで長期的に仕事ができることで、障害者にも企業側にもがメリットがある。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が来年3月まで、指導者1人に月額24万円まで、協力事業主への費用として月額5万円までを助成する。

岡田管理者は「グループ就労なので障害者が仕事に入りやすく、現場で成長できる」。細川副センター長は「施設から指導者に来てもらえるうえ、障害者の仕事ぶりを長期的に見られるので、より適正を見極めてから採用できる」と話している。

■2012.3.2  岐阜県の訪問介護事業所が指定取消――サ責なりすまして検査妨害も
岐阜県は、2月23日、同県各務原市の訪問介護事業所「ヘルパーステーションにじ」に対し、介護報酬の不正請求などを理由に2月29日付けで指定を取り消すと発表した。

「ヘルパーステーションにじ」は、株式会社日本ライフサービス(愛知県あま市)が運営。2011年3月1日に指定を受け、訪問介護・介護予防訪問介護サービスを手がけていた。県によると不正請求額は約370万円にのぼり、今後保険者が金額を精査した上で返還を求める方針。

■指定取り消しの理由:

不正請求
2003年4月から9月までの間に、在籍していないスタッフを利用者宅に派遣して訪問介護サービスを提供。事業所のホームヘルパー以外では請求できない介護報酬を不正に請求した。
また、同年4月から10月までの間において、一人のスタッフが同一時間帯に複数の利用者に対してサービスを提供。訪問介護では同時に複数の利用者にサービスを提供することは認められていないにもかかわらず、それぞれの利用者について報酬を請求した。

虚偽報告
201年10月3日に実施した検査において、事業所従業者の雇用期間や勤務実績について虚偽の帳簿書類を提出した。

検査妨害
2011年9月5日に実施した検査において、管理者やサービス提供責任者に 事情聴取を行った際、別の職員を管理者やサービス提供責任者になりすまさせて事情聴取を受けさせ、虚偽の 回答をして検査を妨げた。

■2012.3.2  知的障害の2少年に暴行 三重・四日市の施設
三重県四日市市の知的障害児施設「聖母の家 あゆみ寮」で昨年、職員3人が、入所する少年2人に暴行を加えたとして、県が施設に立ち入り調査していたことが2日、分かった。県は、日常的に暴行が行われていた可能性もあるとみて、行政処分も視野に調べている。

県や施設によると、昨年7月29日午後、入所中の少年(17)がドアノブを激しく揺らすのをやめないという理由で、20代の男性職員=昨年10月に辞職=が近くにあった椅子を蹴り上げたところ、少年の左目付近に当たり内出血するけがを負った。同10月16日夕には、別の少年(14)が他人を椅子に座らせないようにしていたことから、別の30代の男性職員が髪を引っ張った上、顔をたたいて打撲を負わせた。
この少年は、同11月13日夜に別の20代の職員からも太ももを蹴られるなどの暴行を受けたという。


■2012.3.2  熱海で病院など経営、翔健会が破産- 入院患者は全員転院  医療法人社団翔健会
静岡県熱海市で熱海温泉病院(医療療養113床)などを経営する医療法人社団翔健会(西田佳史理事長)が、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けていたことが分かった。

決定は1日付。保全管理人の弁護士事務所によると、同病院と系列の診療所は2月29日に閉院。職員は全員解雇された。

一方、53人(同14日現在)いた同病院の入院患者は、全員転院を終えたという。東京商工リサーチによると、申請時点の負債総額は24億4700万円。

県は2011年1月、同病院内の介護療養型医療施設について、約4億3000万円の介護報酬を不正受給していたとして、介護保険法に基づく指定取り消し処分を行った。これが発端となり、東海北陸厚生局静岡事務所が監査を行った結果、06年7月から11年1月までの間、看護師数の水増しによる入院基本料の請求で、約20億円に上る診療報酬を不正受給していたことも発覚。

翔健会は今年2月10日、東京地裁に破産を申請し、同日に保全管理命令を受けていた。

■2012.3.3  特養職員、入所者を虐待…隠し撮りビデオで判明 海南市社会福祉事業団 南風園
和歌山県海南市の市社会福祉事業団(理事長=宮脇昭博副市長)が運営する特別養護老人ホーム・同市立南風園で、複数の職員が認知症の入所者らに対し、 執拗 ( しつよう ) に頭を揺さぶったり、暴言を浴びせたりしていたことがわかった。

隠し撮りされたビデオ映像から判明したといい、県と市は入所者への虐待が常態化している可能性があるとみて、調査している。

県などによると、映像は1月、「南風園利用者を守る家族の会」名で、県や市に送られてきた。DVDに約40分間、数人の職員が浴室で、車いすに乗った裸の高齢入所者らの頭をつかんで何度も揺すったり、男女混浴をさせたりする場面が収められていた。

また、ホースで水をかけられて「冷たい」と訴える入所者に、職員が「水がかかったくらいで死なん」「やかましい」などと暴言を吐く様子も記録。添付された手紙には、職員が日頃から入所者に浴びせているとされる暴言が具体的に列挙されており、「想像以上の現場に言葉を失った。どうか守ってください」と書かれていたという。


■2012.3.4  シンポで触法障害者への支援訴え 大阪で開催
2007年1月に大阪府八尾市の歩道橋でクッキー販売中の知的障害者の男(46)が、通り掛かった男児を投げ落とし重傷を負わせた事件をテーマに、罪を犯した障害者の支援を考えるシンポジウムが4日、大阪市内で開かれた。

男は懲役5年6月の刑が確定し、現在服役中。定期的に面会する支援者は、男が他の受刑者とトラブルを起こすなどして繰り返し懲罰を受けている状況を報告。「彼の心は荒れるばかりで、本当に必要な処遇を刑務所にどう働き掛けていくかが課題だ」と訴えた。

■2012.3.7  フリースクールで再出発 小田原 学校法人・湘南ライナス学園閉校
財政難にあえぎつつも、神奈川県内で唯一、発達障害の児童・生徒を専門に受け入れ続けてきた小中高一貫校「学校法人・湘南ライナス学園」(小田原市風祭)が、31日に解散、閉校する。

4月からはフリースクールとして再出発する予定。学園などへの取材で明らかになった。17日に行われる最後の卒業式では、児童・生徒13人のうち中学、高校生計5人が巣立ち、残る小学〜高校生8人は、同スクールや通信制高校などへ学舎まなびやを移すという。

学園は、障害を抱える子どもの親を対象とした勉強会やフリースクールとして、藤沢市でスタート。その後、校舎を持たなくても開校可能な「構造改革特区」を利用し、学園を支援しているNPO法人「ライナスの会」会長の吉崎真里さん(65)と、夫で学園理事長の芳郎さん(64)夫婦が私財を投じ、「国立病院機構」(東京都)から土地・建物を借りて2005年に開校した。

インターネット上に06年11〜12月、学園を中傷する内容が書き込まれ、風評被害が広がって退学者が相次いだ。その後、児童・生徒数は最多だった約50人から3分の1以下に急減し、経営難に陥った。

同機構から10年9月には、07年9月頃から月額約116万円の賃料を滞納しているとして、横浜地裁に土地、建物の明け渡しと未払い賃料の支払いを求める民事訴訟を起こされた。地裁から11年8月に土地・建物の明け渡しと約5000万円の支払いを命じる判決を言い渡され、東京高裁へ控訴したが、今年2月23日に棄却。

その後、裁判費用の捻出が困難として最高裁への上告を見送り、解散と閉校を決めた。児童・生徒や保護者への説明は、今月2日に行って理解を得たという。

学園によると、私学助成金は昨年3月を最後に過大な負債があるとして交付が停止され、授業料や助成金の蓄えを切り崩しながら学園を運営していたが、同10月に底をついた。その後は、芳郎さんが私費を投じて自転車操業状態で学園を支えてきた。保護者らも寄付や募金活動、チャリティー絵画展を通じて学園の存続を呼びかけていた。

吉崎会長は「教育内容ばかり考えていて、(経営者としては)甘かった。ライナスしか居場所がない子供たちに迷惑をかけてしまうことは胸が痛み、苦しい」と話している。また、増田和也校長(34)は、児童・生徒の心の傷や特性を考えながら、一人ひとりに時間と手間をかける学園の教育方針を説いたうえで、こう力をこめた。「私たちの教育を必要としている子供たちがいる。終わりにしてしまう訳にはいかない」

■2012.3.9  精神障害理由の入店拒否で提訴 「憲法違反」と都内の男性
精神障害を理由に入店を拒否したのは違憲、違法として、東京都国分寺市に住む統合失調症の男性(42)が9日、同市内でインターネットカフェを運営する会社と代表者に計200万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。男性の弁護士は、精神障害が理由の入店拒否で提訴するのは初めてのケースと説明している。

訴状によると、男性は2010年1月に近所の店で会員登録。15回程度利用していたが、同年3月23日に店を出て帰宅後、精神障害者保健福祉手帳がないことに気付き、店に電話で問い合わせた。手帳はその後、自分のかばんから見つかったが、翌日以降、入店を拒まれた。店側は「過去に別の障害者による無銭飲食があり、それ以来、障害者の利用は断っている」と説明したという。

■2012.3.9  老健運営停止、7施設を廃止…栃木
介護老人保健施設「花みずき」(栃木県足利市常見町)が適切な介護サービスを提供できていないとして、県から2か月間の運営停止とされた問題で、県は8日の県議会生活保健福祉常任委員会で、医療法人栄城会(竹下正昭理事長)から同施設の廃止届が提出され、受理したことを報告した。

県によると、栄城会と関連会社の有料老人ホームなど7施設が廃止となった。このうち入所施設は3か所で、8日現在、計20人の入所者の移転先が見つかっていない。

■2012.3.9  誰にもみとられず…震災仮設住宅で孤独死18人
宮城県は8日、東日本大震災の仮設住宅で一人で暮らし、孤独死した被災者が12人(7日現在)いたことを明らかにした。

うち7人は65歳以上の高齢者だった。岩手県では、読売新聞の取材で5人(2月末現在)が確認されていたことが判明。福島県では県警が集計を進めており、少なくとも1人が確認されている。

宮城県警が8日の県議会で、仮設住宅に一人で暮らし、遺体発見後に県警が検視した人数を明かした。今回の震災で集計した数字が公表されるのは初めて。

■2012.3.9  「家族心配、つらかった」6割…石巻赤十字医師ら葛藤浮き彫り
震災直後から石巻市で唯一機能し、多くの患者が詰めかけた宮城県の石巻赤十字病院で、「家族などを心配しながら勤務したので、つらかった」と答えた職員が全体の6割近くに上ったことが、同病院の職員アンケートでわかった。

医療従事者であり、被災者でもあった医師や看護師の葛藤が改めて浮き彫りになった。

アンケートは昨年12月、全職員965人を対象に行い、786人が答えた。職種では看護師・准看護師が48%、事務職が19%などだった。

アンケートでは、どんな思いで働いていたのかを聞いたところ、家族の安否や家の状態を心配しながらの勤務で「つらかった」(59%)が最も多く、次いで「もっとできることがあったかもしれないと思う」「患者や被災者のために、と必死で働いていた」(各38%)が多かった。

震災後、多数の患者が集中した。負傷の状況を判別するトリアージで緊急度の高い患者から診療していたため、「普段ならできることができなかった」「もっと手厚く診療できたはずなのに」とのジレンマを抱える職員も多かった。

死亡、行方不明となった家族がいながらも、本人の希望で働き続けた人もいたという。「精神的に苦痛を感じたことはあるか」との質問には、8割近い620人が「あった」と答えた。

当時、同病院の職員873人は全員無事だったが、職員の家族32人が死亡し、9人が行方不明となった。自宅も全壊が118人、大規模半壊93人など、4割以上の383人が被災した。

■2012.3.9  発達障害と犯罪報道 記事検証とともに記者教育を
昨年12月7日、名古屋地裁岡崎支部は、愛知県豊川市の一家5人殺傷事件の裁判員裁判で被告の長男(31)に懲役30年(求刑無期懲役)の判決を言い渡した。長男には自閉症や知的障害があり、裁判で殺意と責任能力の有無が争点となったが、判決では殺意を認め、完全責任能力もあったとして、有期懲役の上限である懲役30年が相当との判断が示された。

近年、猟奇的事件の背景に自閉症や知的障害、アスペルガー症候群など、障害と事件が絡む報道が増えている。その都度、自閉症の人やその家族らは世間から犯罪予備軍とみなされる冷たい視線を受けることになり、社会問題としてたびたび浮上する。しかし、事態は改善されず、現場を取材する記者も自閉症などの障害に関する十分な知識を持ち得ず、事件のたびに朝令暮改を繰り返しているのが実情だ。この事件に関する一連の報道から、自閉症や知的障害と犯罪報道について考えてみた。

事件は2010年4月17日未明、会社員宅で起こった。当日の中日新聞夕刊の初報では、15年ほど前から、ひきこもっていた長男が家族にインターネットを解約されたことに腹を立て、同居する父親(当時58歳)と1歳8カ月のめいを包丁で刺して死亡させ、母親ら家族3人にけがをさせたとしている。さらに長男は以前から父親らとたびたびけんかをし、事件の数日前にも長男と次男が激しく口論し、パトカーが駆けつけたことなどを報じたが、この段階では自閉症や知的障害などについては触れられていなかった。

長男の自閉症と知的障害は裁判の中で、検察側証人の医師が精神鑑定の結果を証言し明らかにされた。医師は「障害が犯行の背景にあったのは間違いないが、影響は間接的で、善悪の判断能力や行動を制御する能力が失われたり、著しく害されていたとはいえない」とし、長男が犯行を決意して家族を殺傷し、放火して逃げた一連の行動は「一貫していて乱れがない」と説明した(2011年11月29日付中日新聞朝刊社会面)。

これ以降の報道で長男に関して「自閉性障害」や「知能指数が低い」などに触れた記事が載るようになった。

こうした報道に対し、自閉症の子どもを持つ親から「学校でも友だちと遊んでもらえない。他の親からも白い目で見られ、苦しんでいる。配慮してほしい」などの声が中日新聞・編集局の読者センターに寄せられた。中には地方版で展開した自閉症に対して理解を促す記事や、支援団体の発言などについて好意的に受け止める読者もいた。

事件を担当した豊川通信局の記者は、すべての公判を傍聴し、その都度裁判の傍聴記を地方版で展開した。その中で長男と面会したことや、証人尋問で母親が証言した瞬間に顔を紅潮させ、目を潤ませた様子に触れ、「被告の人間らしさをもっと早く、もっと頻繁に引き出せていれば、事件が未然に防げたかもしれない」と書いた。その記者も「自閉症が先天的な病気とは知らなかった。取材する中で障害について知り、身につまされた」と述懐している。

ただ、一連の報道で批判的な声は少なかったという。実際に読者センターには「的確な記事だ」「こういう記事(地方版)は社会面に載せて広く読者に知らせるべきだ」「家族や被告がもう少し生きやすい世の中になるといい」など、自閉症に対する一定の理解を示したうえで、好意的な声が多く寄せられた。

●日本自閉症協会が求める報道する際の自制と配慮

社団法人日本自閉症協会は05年に「メディア・ガイド(報道機関で働く皆さんへ)」と題した冊子を発行し、事件の背景にある自閉症やアスペルガー症候群に触れた報道に注意を喚起している。「障害名をことさら強調したような報道」や「障害名を早く突き止める競争が過熱したように思えるケース」などに触れ、「こうした報道の影響で、多くの自閉症やアスペルガー症候群の人々や家族が偏見や誤解にさらされています。過度に危険視され、地域での日常生活に支障が出ている」として、報道側に次のような配慮を求める。

まず、事件と障害の因果関係が詳しく分からない段階では障害名はできるだけ報道しないでほしいとしたうえで、(1)障害名を報道する場合は、見出しには取らないなど読者に強い印象を残さないよう配慮を、(2)自閉症・アスペルガー症候群に関する報道で迷うことがあれば、日本自閉症協会か専門家に見解を求めてほしい―としている。

冊子では03年の「長崎事件」(中学生が幼児を駐車場から突き落とし死亡させた事件)や、2000年の「豊川事件」(高校生が当時63歳の女性を殺害した事件)にも触れ、いずれも複数の新聞が「広汎性発達障害」「自閉症」「アスペルガー症候群」などの障害名を見出しに取り、「その強烈なイメージが事件の猟奇性や不可解さと結びついて人々の記憶に残る」と指摘している。

自閉症やアスペルガー症候群などの障害は、事件と直接結びつかなくてもさまざまなトラブルの要因となることが多い。中日新聞では10年4月に計4回にわたって健康面で「『変わってる!?』と言われて 大人のアスペルガーを考える」をテーマに連載した。記事は予想外に好評で、連載終了後に読者からの多くの反響を特集。発達障害の診断を受けないまま社会生活を送り、さまざまな苦悩を抱える当事者や家族の本音が紹介され、周囲や地域社会の理解がいかに必要かを訴えた。

社会が複雑化し、地域のコミュニティーが機能不全に陥る現代社会にあって、この種の犯罪は今後も繰り返されるだろう。報道側はこれらの問題を考える企画記事や検証記事を繰り返し報道し、絶えず社会の意識喚起を促す使命がある。と同時に記者教育などの機会を通じ、一人ひとりの記者が自らの問題として常日ごろから考える訓練と必要性を強く感じる。(「ジャーナリズム」12年3月号掲載)

■2012.3.9  看護師ら3人書類送検、電源停止で患者死亡…宮城 宮城県立循環器・呼吸器病センター
宮城県栗原市の県立循環器・呼吸器病センターで昨年7月、心肺維持装置の電源が切れたことが原因で男性患者(当時82歳)が死亡した医療事故で、県警は8日、センターの女性看護師(42)と男性臨床工学技士(48)を業務上過失致死容疑で、男性主治医(33)を医師法(異常死体の届け出義務)違反容疑でそれぞれ仙台地検に書類送検した。

県警捜査1課によると、看護師は、7月24日夕から夜、装置が正常に作動しているかどうかの確認を怠り、コンセントが抜けて停止しているのに放置し、患者を死亡させた疑い。臨床工学技士は医療機器安全管理責任者として、看護師らに研修を受けさせるなどの指導を怠り、患者を死亡させた疑い。主治医は死因に不審な点があるにもかかわらず、24時間以内に警察署に届け出る義務を怠った疑い。

男性は、同月12日に急性心筋梗塞こうそくなどでセンターに救急搬送され、事故があった24日も集中治療室で治療を受けていた。心肺維持装置が停止したことで心機能が低下。異常を知らせるアラームや表示が機能していたにもかかわらず、現場にいた職員は異常事態であると気付かないで放置したため、患者は同日午後9時頃、死亡した。

さらに、センターは、電源が停止したことが原因となった異常死と認識していながら、警察への届け出をせず、男性が同月26日に火葬された後、事故を公表していた。

センターを運営する県立病院機構(仙台市)は「患者と家族におわびする。二度とこのようなことが起こることがないよう万全を期す」とのコメントを出した。

■2012.3.11  高齢者の肺炎目立つ…「震災関連死」1479人
東日本大震災で被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県で、震災関連死と認定された人が2月末時点で1479人に上ることが、各自治体への取材で分かった。

1973年に認定する制度ができて以降、最多だった95年の阪神大震災の921人を上回った。避難生活で体力の落ちた高齢者が肺炎などを発症して死亡するケースが多いという。

各自治体によると、2月末時点で3県への申請は計1916人分。そのうち福島で699人、宮城613人、岩手167人が関連死と認定された。

市町村別では、福島県南相馬市の266人が最も多く、宮城県石巻市の178人、仙台市の143人が続いた。福島県浪江町では、認定した76人のうち59人が震災発生から3か月以内に亡くなった人だった。

■2012.3.12  運営会社代表も逮捕 介護施設で暴行容疑 デイサービスセンターほたる 介護士、 北浦一樹被告 (25) 廣瀬有城容疑者 (28) 松田崇容疑者 (33) 
紀の川市貴志川町北山の介護施設 「デイサービスセンターほたる」 に通う認知症の高齢者に介護士らが暴行を加えた事件で、 岩出署は10日、 同市下鞆渕の介護士、 北浦一樹被告 (25) =同日付で処分保留、 別の暴行罪で起訴=と、 岩出市中迫の介護福祉士、 廣瀬有城容疑者 (28) =同日付で処分保留=の2人を暴行容疑でそれぞれ再逮捕。 同施設の運営会社、 鰍ォずなの代表取締役で、 同市波分の松田崇容疑者 (33) を同容疑で逮捕した。

北浦容疑者は昨年5月6日ごろ、 同市南大池の女性 (当時88) の頭を平手で殴った疑い。 廣瀬容疑者はおととし10月9日ごろ、 海南市船尾の男性 (当時81) の頭を平手で殴った疑い。 暴行を受けた男性は同年12月25日に肺炎で亡くなっている。 また、 松田容疑者は昨年4月28日ごろ、 紀の川市上田井の視力障害者の男性 (79) に対し、 ビーチボールを顔面に数回投げ付けるなどの暴行を加えた疑い。 松田容疑者は 「遊んでいる時にボールが当たったことはあります」 と容疑を否認しているという。

■2012.3.13  広島の診療所経営の医療法人に破産開始決定- 負債約2億円の見込み
診療所などを経営する医療法人社団トリプレット(広島市佐伯区)が、広島地裁から破産手続きの開始決定を受けていたことが分かった。決定は2日付で、東京商工リサーチによると、負債総額は約2億円と見込まれる。

法人登記や東京商工リサーチによると、トリプレットは2005年8月の設立で、内科や循環器科などを標榜する有床診療所「吉見園コーストパーククリニック」や、無床診療所「美鈴が丘東クリニック」を同区内で経営。吉見園コーストパーククリニックには、介護事業所を併設していたが、市保健所によると、11年4月までに事業を停止していた。

■2012.3.15  磯田さんにリリー賞(精神障害者自立支援活動賞) 久留米
精神障害者の社会参加や自立に尽力した人や団体に贈られる「精神障害者自立支援活動賞」(リリー賞)を、久留米市の磯田重行さん(42)が受賞した。自らも統合失調症を患いながら精神疾患の患者に寄り添い、長期入院者の退院促進や住居確保などの支援活動を10年続けてきた功績が評価された。

同賞は今年で8回目で、NPO法人「地域精神保健福祉機構」(千葉県市川市)が全国47の個人・団体から2個人・2団体を選出した。

磯田さんは24歳で統合失調症を発症。2002年に当事者の立場で精神障害者を支援する「ピアサポート」のスタッフとして久留米市障害者生活支援センターに就職した。精神障害者の自己管理プログラムの普及などに取り組み、現在は福岡市早良区の地域活動支援センター「ぷらっと」の施設長を務める。

2日に都内であった授賞式で磯田さんは「家族や周囲のサポートのおかげで回復できた。当事者の気持ちに立ってさまざまなチャレンジを応援していきたい」と語った。

■2012.3.15  給付費不正請求:神戸の福祉事業所、県が指定取り消し /兵庫 セイコー自立援護センター
障害者の自立支援給付費を不正に請求したとして、県は障害福祉サービス事業所「セイコー自立援護センター」(神戸市長田区)の指定を15日付で取り消すと発表した。同センターには知的・身体障害のある人約20人が通い、靴の加工や古紙・アルミ缶の回収など就労訓練サービスを受けていたが、他の事業所に移る予定。

県障害者支援課によると、同センターは指定を受けた09年から昨年7月、人工透析や入院などで通所できなかった男性2人が通所したと虚偽の申請をし、計37日分の訓練等給付費計約21万円を神戸市から不正に受給していた。同センターは不正を認め、市も不正に支給した分の返還を求めるという。

昨年1月に実施した神戸県民局の監査で、不正が発覚した。

■2012.3.16  <東京都>1世帯2人割れ 1.99人、独居高齢者が増加
東京都は15日、1世帯当たりの平均人数が1・99人となり、1957年の調査開始以来初めて2人を下回ったと発表した。都は「元々単身の若者が多い上、独居高齢者が増加している」と分析している。孤立死・孤独死が問題化しているほか、首都直下地震への備えでも懸念材料となっており、都は、独居高齢者を見守る仕組み作りを強化していく。

元日現在の住民基本台帳を基にまとめた。人口は1268万6067人、世帯数は636万8485世帯で、いずれも過去最高だった。57年に4・09人だった1世帯当たりの人数は一貫して減少。区部では05年に1・99人となり、今回1・91人に低下。町村部でも減少しており、今回、市部の2・19人に対し、町村部は2・17人だった。

都によると、約26万戸ある都営住宅では、既に約10万世帯が高齢者だけで、うち6割強が独居。昨年末公表の長期計画では、10年に約264万人だった65歳以上の高齢者が、20年には321万人に増加。うち4人に1人に当たる84万人が独居となると予想している。都は特に災害時に「要援護者」となる独居高齢者の対策を重点に掲げるが、支援する人材の不足も心配されている。石原慎太郎知事はこの日、「2人割れ」について報道陣に聞かれ「由々しきことだ。家族がバラバラになった感じ」と述べた。

総務省が11年3月末時点でまとめた住民基本台帳データでは、1世帯当たりの人数が少ない都道府県は東京(2・00人)、北海道(2・06人)の順。多いのは福井(2・94人)、山形(2・93人)の順で、全国平均は2・36人。

■2012.3.16  視覚障害者の転落事故防げ ホームで電子白杖実験
視覚障害者が駅のホームから転落する事故を防ごうと、国土交通省関東運輸局は16日、足元の落差を音や振動で知らせる電子白杖の実証実験を横浜市泉区の相模鉄道いずみ野駅で行った。

この白杖は愛媛大大学院理工学研究科の岡安光博准教授が開発中。ホームの端や下り階段が前方に迫ると、落差を赤外線センサーが感知する。

関東運輸局によると、前方の障害物を超音波でとらえて知らせる電子白杖は既に市販されているが、地面の落差は感知が難しく、まだ実用化されていない。

■2012.3.16  大胆な作風に脚光 障害者アート 富山県内でも浸透 
NPOの支援が結実

障害者ら専門の美術教育を受けていない人の芸術作品「アールブリュット」に接する機会が、富山県内で増えてきた。十五日に知的障害のある荒見真央さん(21)=高岡市答野島=が個展を開くなど、障害者アートを支援するNPOの活動が実を結んできた。アールブリュットの認知度が高まって県立近代美術館(富山市西中野町)も関連書籍を常設展示。型破りな作風と独自性が評価されている。

荒見さんの初めての個展「Maoful ZOO!(マオフル・ズー)」は、四月八日まで富山市古沢のファミリーパークで開催。段ボールに直接描いた大胆な構図が特徴で、動物園のシロクマや猿など五十二点を披露した。

支援学校に通っていた三年前、美術部顧問の紹介でNPO「障害者アート支援工房ココペリ」(射水市)に月二回ほど通い始めてから動物を題材に。昨年十一月には、富山市で開かれた公募展「越中アートフェスタ」で奨励賞を受賞。母の奈保子さん(47)は「何時間も集中し、描き終えると達成感に満ちた顔をする。徘徊(はいかい)くせもなくなりました」とほほ笑む。

ココペリには現在、障害のある十九〜二十六歳の男女八人が通う。今月十七日に富山市安住町のサンシップとやまで、十七〜三十一日には富山市桜町の「元麻布ギャラリーTOYAMA」でグループ展を開く。米田昌功代表は「一般の人にはまねできない色づかいや構図になる。作り手に計算や作為がないからこそ生まれる魅力がある」と話す。

県立近代美術館は十三日、アールブリュットの提唱者であるフランスの画家ジャン・デュビュッフェ(1901〜85)の著作や作品を常設展に加えた。八木宏昌学芸課係長は「アールブリュットが知られてきたので、基礎を学んでもらいたい。福祉ではなく、アートとして作品を評価する機運が高まりつつある」と語る。

■2012.3.17  孤立死か 77歳の母と障害の息子病死 横浜で昨年末
横浜市旭区中希望が丘の住宅で昨年12月、2人暮らしの母親(77)と重い障害がある息子(44)が相次いで病死していたことが17日、神奈川県警旭署への取材で分かった。周囲に気づかれずに死亡し、死後しばらくして発見される「孤立死」とみられる。

同署によると、昨年12月6日、息子が3カ月前まで通所していた同市内の福祉施設の男性職員が、2日続けて母親が電話に出ないのを不審に思い自宅を訪問。玄関は施錠されていたため、鍵がかかっていなかったトイレの窓から中をのぞいたところ、あおむけで倒れている息子を見つけ、110番通報した。駆けつけた同署員が、台所で倒れている母親も見つけた。

解剖の結果、母親の死因は解離性大動脈瘤(りゅう)破裂、息子は肺気腫などによる呼吸不全。母親は死後約1週間、息子は発見前日に死亡したとみられる。

同署によると、息子は小児まひに加え、知的障害もあり、1人で歩いたり食事をすることができなかった。息子は昨年9月まで福祉施設に通所していたが、母親の意向で通うのをやめた後は、自宅で母親が介助していたという。

◆地域とのつながり希薄

関係者らによると、親子と地域とのつながりは希薄だったようだ。親子は町内会に入っておらず、近所付き合いもなかったという。母親に何度も町内会に入るよう勧めたという無職男性(72)は「親子が今、どういう状況なのか、知るすべがなかった」と肩を落とす。

親子が住む地域は、民生委員が70歳以上のみの世帯を定期的に訪問している。だが、この親子の世帯は40代の息子がいるため、その対象から外れていた。民生委員の60代の女性は「どんな家族構成かも知らなかった」と話した。

男性は福祉施設への通所を昨年9月からやめていた。母親は11月、「息子が施設に行きたがらない」と区に相談していた。

孤立死の発覚が全国で相次いでいることから、横浜市は今月下旬から、生活保護や高齢者福祉、障害者福祉などの担当者を集め、対策を検討する予定という。川崎市や相模原市は高齢者世帯への見守り活動を強化するよう、民生委員らに依頼したという。ある担当者は「年齢だけで世帯の状況を把握している現状では、障害など個々の事情を見抜くのは難しい」と明かした。

■2012.3.19  医師国試、合格率90.2%- 9割台は3年ぶり
厚生労働省は19日、第106回医師国家試験の合格者を発表した。合格率は90.2%で、昨年の89.3%から上昇した。90%台の合格率は3年ぶり。合格者は7688人(昨年は7686人)。新卒のみの合格率は93.9%だった。

合格率を男女別に見ると、男性が89.2%で、女性は92.4%。合格者数のうちの男性の割合は68.2%(5247人)で、女性は31.8%(2441人)だった。

■2012.3.19  学校別合格率、兵庫医科大が99%でトップ
厚生労働省が19日に発表した、第106回医師国家試験合格者の学校別合格率では、兵庫医科大が99.0%でトップとなった。2位は、自治医科大と浜松医科大で、合格率は98.1%だった。

今回の医師国家試験の合格率は90.2%で、3年ぶりに9割台となった。新卒のみの合格率は93.9%。学校別の合格率では、国立が90.5%、公立が93.9%、私立が90.2%だった。

学校名では、1位の兵庫医科大は、新卒が100%で、既卒が92.3%だった。2位の自治医科大と浜松医科大は、既卒がそろって100%だった。

■2012.3.19  歯科医師国試、合格率は71.1%- 昨年とほぼ同じ水準
厚生労働省は19日、第105回歯科医師国家試験の合格者を発表した。合格率は71.1%で、昨年(71.0%)とほぼ同じ水準だった。合格者は2364人(昨年は2401人)。新卒のみの合格率は81.4%だった。

合格率を男女別に見ると、男性が68.3%で、女性は75.6%。合格者数のうちの男性の割合は59.4%(1404人)で、女性は40.6%(960人)だった。

学校別合格率では、東京歯科大が97.4%でトップとなった。2位は阪大歯学部で90.8%、3位は東北大歯学部で90.2%だった。


■2012.3.19  ヘルマンハープ教えます ドイツ生まれのバリアフリー楽器
高齢者や障害者も楽しめるドイツ生まれのバリアフリー楽器「ヘルマンハープ」の講習会が31日午前10時半から、福岡市・天神の都久志会館である。楽器の普及を図っている日本ヘルマンハープ協会(兵庫県西宮市、梶原千紗都理事長)が主催。同協会が初めて出版した教則本を使った講習も行う。

ヘルマンハープはドイツの農場主ヘルマン・フェーさんが、ダウン症の息子が演奏できる楽器として1987年に開発。チターに似た弦楽器で、ボディーと弦の間に、はじく弦の順番を記した楽譜をはさみ、それに従って弾けば楽に演奏できるように工夫されている。梶原理事長がヨーロッパ滞在中に福祉用品の見本市で出合い、演奏法を学んで帰国した2004年から国内に広めている。

障害者だけでなく、高齢者の生きがいづくりにもつながって愛好家が増加。現在、全国で約1700人が演奏しているという。同協会で指導者養成も行っているが、テキストのニーズがあることから梶原理事長が、教則本「ヘルマンハープの奏法〈基礎編〉」(音楽之友社)をまとめ3月末に出版予定。

■2012.3.19  障害年金不正受給、診断書作成の医師に懲役8年
聴覚障害を偽装した障害年金不正受給事件で、虚偽の診断書を作成し障害年金1億6800万円をだましとったとして、詐欺罪などに問われた耳鼻咽喉(いんこう)科医の前田幸よしあき被告(77)の判決が19日、札幌地裁であった。

前田被告は起訴事実を全面否認していたが、園原敏彦裁判長は懲役8年(求刑・懲役15年)を言い渡した。

判決によると、前田被告は2002〜07年、患者の耳が聞こえないとするうその診断書を作成し、社会保険労務士の香田清被告(70)(1審・懲役8年、控訴中)が患者の手続きを代行、計42人に総額約1億6800万円の障害年金を不正受給させたとされる。

■2012.3.19  夜中のナースコール嫌…睡眠導入剤を無断投与
兵庫県三田市の市立三田市民病院で、高齢の入院患者数人に睡眠導入剤を無断投与したなどとして、県警捜査1課が、同病院の元看護師の男(34)(兵庫県丹波市)を医師法違反(無資格医業)と窃盗の両容疑で書類送検していたことが、捜査関係者への取材でわかった。

元看護師は、「夜中にナースコールを鳴らされるのが嫌で患者を眠らせたかった。仕事のストレスがたまっていた」と容疑を認めているという。

書類送検は16日付。捜査関係者によると、元看護師は昨年1〜5月頃、ナースステーションから睡眠導入剤を無断で持ち出し、当直勤務中に担当する70〜80歳代の数人に点滴をする医療行為を行った疑い。

■2012.3.20  高齢者や障害者向けにグルメマップ作成 佐世保市
佐世保市の理学療法士や福祉施設職員などでつくるボランティア団体「ユニバーサルライフ研究会」(下釜豊広代表)は、同市内や周辺でお年寄りや障害者が安心して利用できる飲食店をまとめたガイド本「バリアフリーグルメマップ」を発行した。

同団体は、障害がある人も気軽に街歩きを楽しめるよう2009年に佐世保市と一緒にホームページ版マップを作成。今回は国の交付金350万円を活用して既存のマップを改良、冊子にした。グルメマップには、メンバーがこの1年で情報収集するなどした和洋中の飲食店71店を掲載。出入り口や店内の勾配をはじめ、通路幅、テーブルの高さ、車いすでトイレに入室できるかなど写真を使って分かりやすく説明している。

代表の下釜さん(49)は、情報不足や周囲の視線を気にして、お年寄りや障害者が外出を手控えるケースはなお多いと指摘。「少なくともマップで外出への不安を取り除きたい。市民、飲食店側にもノーマライゼーションの考え方が広まるきっかけになれば」と期待を込める。

オールカラーA4判、174ページで2千部発行。初版分は市役所や市内の福祉施設などにすべて配布したため、4月に増刷して書店での販売を予定している。

■2012.3.20  災害時の障害者支援…安否確認、個人情報の壁
東日本大震災では、自治体による安否確認が遅れ、多くの障害者が孤立した。民間の障害者団体も安否確認に乗り出したが、個人情報保護が壁になり、ほとんど実を結ばなかった。災害時に素早く障害者を支援するための課題を検証した。

自治体、開示に消極的

「後ろを見るな!」。祖父の言葉を聞かず、男性(26)は振り向いた。一家5人を乗せて逃げる車の窓から見えたのは、我が家が大津波にのみ込まれる瞬間だった。福島県南相馬市で漁業を手伝っていた男性はその日から誰とも話さず、布団の上で座ったままになった。

避難所を転々とした後、新潟県で3か月過ごした。子供の頃、学習に遅れがあったものの、社会生活に問題はなかった。しかし、被災のダメージは深刻で、精神科を受診しても状態は変わらなかった。南相馬の仮設住宅に入居した昨年7月以降も部屋にこもった。そんな状態の男性を見つけたのは、市と障害者団体による安否確認チームだった。

震災後、南相馬市は、障害者団体「日本障害フォーラム」(東京)の協力で、障害がある市民825人の安否確認を行っていた。男性の病状を知った市は、同フォーラムに生活支援を依頼。男性は11月から市内の作業所に週5日通いはじめた。仲間と缶バッジ作りをし、最近は大きな声であいさつができるようになった。

震災後、被災市町村では行政機能も被災し、障害者の安否確認は難航。それに協力しようと、障害者団体が障害者手帳などを持つ住民の個人情報の開示を求めた。しかし、読売新聞が6月に行った調査では、津波を受けた沿岸や福島第一原発からの避難をした地域で開示の要望を受けた8市町村のうち、応じたのは南相馬市のみ。多くは、個人情報保護を理由に開示を拒んだ。

岩手県宮古市もその一つ。支援活動をする「ゆめ風基金」(大阪)は昨夏、市街地に遠い仮設住宅で、通院手段に困る人工透析患者3人を見つけた。震災から半年後、ようやく3人は送迎の支援を受けられるようになった。同基金の八幡隆司理事は「今も新たに支援を求める人が多く、安否確認は十分ではない」とする。

孤立が生命の危機にもつながる障害者の安否確認を早く行えば、適切な支援が可能になる。福島県三春町の山あいに立つ仮設住宅。身体、知的障害がある葛尾村の松本雄太さん(21)が入居したのは昨年7月だ。同村は、避難所にいた障害者が仮設住宅に入居する際、もとの地域住民のつながりを保つよう配慮した。顔を見れば声をかけ、家を訪ねる人も多い。

1000戸以上の応急仮設住宅を設ける20市町を対象に、読売新聞が2月末に実施した調査では、身体、知的、精神障害の合計で、応急仮設住宅には3041人、借り上げのみなし仮設には1061人の障害者がいた。しかし、岩手県陸前高田市、山田町、宮城県仙台市、石巻市、女川町、山元町、亘理町、福島県南相馬市、大熊町の9市町は、仮設住宅などに住む障害者を十分に把握できていないと回答した。うち4市町はすべての人数が不明だった。5市町が人手不足を、調査が行き届かない理由にあげた。女川町は「コミュニティーができていない地区が多く、見守りができていない」とする。

体制作りへ

教訓を生かすには、災害時の安否確認に障害者団体などが速やかに協力できる新しい仕組みが必要となる。今年2月には、日本障害フォーラムが体制整備を国に要望した。

まず必要なのが個人情報開示のルール作りだ。自治体の個人情報保護条例は、情報を本来の目的以外に利用することを禁じているが、公共目的の場合は例外で、災害時はこれにあたると考えられる。さらに、障害者団体と行政の協力関係も欠かせない。岩手県の担当者は「名刺1枚では開示の決断はしにくい」と話す。遠方から来た見ず知らずの団体に、すぐには開示しにくい。自治体と団体の協定など事前の体制作りも重要だ。

国も動き始めた。内閣府は来年度、開示のルール、民間団体との協力のあり方を議論し、「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」に盛り込む意向だ。東京都も、災害時には本人の同意がなくても、個人情報を利用できることを示したパンフレットを作成している。障害者支援とプライバシー保護のはざまで、市町村独自の判断が難しい問題だけに、国や都道府県が明確な方向性を示す必要がある。

ルール決めて備えを

個人情報保護に詳しい一橋大学の堀部政男名誉教授の話「今はどの自治体でも個人情報保護条例が作られているが、保護にこだわるあまり、個人情報が有効に利用できなくなる傾向がある。災害時の障害者支援などに利用することは、むしろ法の趣旨に沿っている。条例などを設けて開示のルールを決め、他の目的に利用しないよう歯止めを設けたうえで、緊急時に素早く対応できるようにすべきだ」

応急仮設住宅に住む障害者 <岩手・宮城・福島県>
http://social-welfare.rgr.jp/databox/houdou-shogaisya_kvof_01.jpg

■2012.3.21  愛知の豊岡会、診療報酬を数十億円不正受給- 看護職員数水増しで
愛知県豊橋市の医療法人「豊岡会」が、昨年までの5年間に診療報酬を数十億円規模で不正受給していたことが21日までに分かった。愛知、静岡両県で運営する4病院すべてで、看護職員数を水増しし、入院基本料を過大に請求していた。

豊岡会によると、必要な看護職員数を置いておらず、夜勤勤務時間の限度(看護職員1人当たり月平均72時間)を超過しているにもかかわらず、本来算定すべき「特別入院基本料」ではなく、より報酬が高い「療養病棟入院基本料2」を請求していた。東海北陸厚生局の適時調査の際には、虚偽の記載をした「勤務割表」を提出していた。
 現在は4病院のいずれも、正しい入院基本料を算定しているという。

不正受給額について、報道では「50億円超」とされているが、豊岡会は21日に発表した文書で「自主計算によれば相当に多額に及ぶことは間違いございませんが、50億円超には至っておりません」としている。

豊岡会をめぐっては昨年10月、介護報酬約25億円の不正受給が明らかになり、入所者受け入れ一時停止などの行政処分を受けている。
 
豊岡会では、不正受給した介護報酬の返還を進めており、診療報酬についても全額を返還する方針。
また、長期にわたり不正受給が続いた原因として、▽組織運営に対する理事長の認識の甘さ▽医療事務の担当者への教育・研修の機会が不十分▽正しい請求をしているかどうかの内部チェック体制の不備▽各施設の事務責任者の知識・経験の不足―などを挙げており、再発防止のため、保険制度に関する教育・研修制度の義務付けや、労務管理の強化、コンプライアンス経営の導入などの措置を講じるという。


■2012.3.22  不正請求などで3介護事業所の指定取り消し- 静岡 アイクラシエサポートセンター
介護報酬を不正に請求したなどとして、静岡県はこのほど、「株式会社ライフサポート静岡」(静岡市)が運営する訪問介護と介護予防訪問介護の両事業所「アイクラシエサポートセンター」(同)について、介護保険法に基づいて指定を取り消すと発表した。系列の居宅介護支援事業所「ケアプランアイクラシエ」(同)の指定も併せて、31日付で取り消す。

アイクラシエサポートセンターは、住宅型有料老人ホームに併設され、入居者にサービスを提供している。県によると、同事業所は2010年11月から11年9月までの間、入院中や外出中の入居者にサービスを提供したと偽るなどして、介護報酬を不正に請求。また、1人の職員が同時に複数の入居者にサービスを提供するなどの運営基準違反もあった。このほか、常勤・専従と規定されているサービス提供責任者らが、有料老人ホームの職員を兼務しており、人員基準にも違反していた。

また、ケアプランアイクラシエは、10年8月から11年10月までの間、サービス担当者会議の未開催やケアプランの未作成などの運営基準違反があったにもかかわらず、必要な減算を行わずに介護報酬を不正に請求したほか、サービスの実態とは異なる不適正なケアプランを作成するなどの違反もあった。

3事業所の不正請求額は合計約190万円。今後は、保険者の静岡市と焼津市が不正請求額を精査した上で、返還を求める予定。

■2012.3.22  通所介護事業所の1割弱がお泊りデイを実施し、1年以上の連泊者も 神奈川県
神奈川県は、通所介護事業所のお泊まりデイサービスについて、昨年11月に実態調査を行い、2月にまとめを発表した。

それによると、回答した1342事業所のうち、122事業所がお泊まりデイサービスを実施しており、17事業所では1年以上連泊している利用者がいた。宿泊形式については、個室35事業所、2人部屋28事業所で、その他が83事業所に上り、66事業所が「部屋が男女別ではない」と答えている。1泊の平均宿泊料は1,000円以下が最も多かった。

自由回答欄には18件の意見が寄せられており、「家族の急病、法要など、緊急時の対応のみに限定している」「緊急時に普段利用しなれていない施設に泊まるのは利用者の不安と混乱の素なので実施している」など、あくまでも緊急的措置であるとする回答が目立った。

また、「スタッフ人員配置などの問題から連泊は不可としている」「平均3名の利用者を職員1名でケアし、必ず20分に1回は安否確認を行っている」など、安全面への配慮がうかがえる回答もあった。とはいえ、緊急時に備える協力医療機関については、88事業所が「ない」と答えており、宿泊時には79事業所でヘルパーや看護師の資格を持たない職員が従事しているなどの現状が浮かび上がってきた。

お泊まりデイサービスは、介護保険事業の対象外で、国の法制基準はなく、事故報告の義務付けもない。新聞報道によると、県内で把握できている一例として、川崎市では2人に死亡事故が起き、横浜市でも2年間で心不全による死亡事故を含む9件の事故が起きているという。

■2012.3.22  不正請求で訪問介護指定取り消しへ- 岡山  まごころケア・ヘルパーステーション
介護報酬約54万円を不正に請求していたとして、岡山県はこのほど、「有限会社アカデミー」(倉敷市)が運営する訪問介護事業所「まごころケア・ヘルパーステーション」(同)について、介護保険法に基づいて指定を取り消すと発表した。介護予防訪問介護の指定も併せて、31日付で取り消す。

県によると同事業所は、2010年6月から11年7月までの間、実際には訪問介護サービスを提供していないにもかかわらず、サービスを提供したと偽るなどして、介護報酬を不正に請求していた。
 
今後は、保険者の倉敷市が不正請求額に4割の加算金を上乗せした約75万円の返還を求める予定。

同事業所をめぐっては、介護給付費約160万円を不正請求したなどとして、県が今年2月に、障害福祉サービスの居宅介護と重度訪問介護の指定を取り消している。

■2012.3.24  ヤクルトさんが孤立死防ぐ…母死亡の障害者救助
埼玉県入間市の民家で新聞が山積みになっているのを不審に思った「ヤクルト」の女性配達員が同県警狭山署に通報し、孤立死となる可能性があった重度障害のある男性(45)が救助されていたことが分かった。

世話をしていた同居の母親(75)は遺体で見つかった。病死で死後10日ほどたっていたとみられる。介助する親族が死亡して障害者らがその後に餓死する事例が相次ぐ中、通報により家族全員が犠牲になる最悪の事態を防いだ。

捜査関係者や消防によると、配達員は22日昼頃に通報し、駆けつけた狭山署員が1階で死亡している母親を見つけた。2階の部屋も調べると、布団の中で息子が倒れていた。意識がもうろうとした状態で、病院に運ばれ入院した。母親が死亡した後、十分な食事をとっていなかったとみられ、栄養失調状態だった。親子は2人暮らしで、母親が息子を介助し、近所づきあいもほとんどなかった。

■2012.3.26  不正請求でケアマネ事業所指定取り消しへ- ケアプラン未作成も・和歌山 なづなケアプランセンター
必要なケアプランを作成しないなどのケースがあったにもかかわらず、介護報酬約1885万円を不正に請求していたとして、和歌山県はこのほど、「有限会社奈瑞菜」(和歌山市)が運営する居宅介護支援事業所「なづなケアプランセンター」(同)について、介護保険法に基づいて指定を取り消すと発表した。取り消しは4月1日付。

県によると、同事業所は、ケアプランの第1表から第3表までを作成せずに、介護報酬280件分を不正に請求した。また、作成したケアプランについて利用者の同意を得ていなかったり、サービス担当者会議やモニタリングの記録がなかったりしたにもかかわらず、必要な運営基準減算をしなかったケースも2267件あった。さらに、認知症加算や独居高齢者加算などの算定に必要な資料を取得せずに、1052件分の加算を不正に請求していた。

県が確認した不正請求額は、2007年1月から11年5月までで計約1885万円。今後は、和歌山市など17保険者(5府県)が、40%の加算金を含む約2639万円の返還を求めることになるという。

■2012.3.27  障害者の著作権保護を提言 滋賀
「県障害のある作家の権利保護のあり方研究会」は26日、障害者が手掛けた芸術作品の著作権を作者や家族、後見人、施設などが連携して守っていく方策をまとめた報告書を、嘉田由紀子知事に提出した。障害者芸術の権利保護に向けた自治体の取り組みは全国でも例がなく、県は4月から造形活動をしている施設などへの支援に生かす。

県内は、美術の専門教育を受けていない障害者らの芸術「アール・ブリュット」が盛んで、評価が高い作品の販売や使用を求める声もある。

そんな中で、報告書は、作品の扱いを自分で決めることが難しい障害者の著作権をどう守るかが課題となっている点を指摘。

家族や後見人、施設などに著作権への理解を持ってもらうため、研修を受けてもらったり、行政が芸術情報を提供したり、と支援していくよう提言している。

県内の障害者団体や施設職員、弁護士ら13人の委員が、県の呼びかけを受けて昨年7月から5回にわたり議論し、意見をまとめた。

報告書を提出した信楽学園(甲賀市)の山田宗寛園長が「障害のある人だけでなくすべての人の著作権を守ることにつながってほしい」と話すと、嘉田知事は「作品が社会的に認められれば争いも起こる。この報告が、アール・ブリュットの権利保護の世界的なプラットホームになるといい」と答えた。

■2012.3.28  介護福祉士国試、過去最高の合格率- 63.9%、合格者数も過去最多
厚生労働省は28日、第24回介護福祉士国家試験の合格発表を行った。合格率は63.9%(前回比15.6ポイント増)で、1989年の試験開始以来、過去最高を記録した。合格者数も8万8190人(同1万3758人増)と急増し、過去最多となった。

試験は、1月29日に筆記試験、3月4日に実技試験が行われた。
 
合格者の内訳は、男性が22.9%、女性が77.1%。受験資格別の合格率では、障害者福祉施設の介護職員が69.1%で最も多く、これに老人福祉施設の介護職員や福祉系高等学校の卒業者(65.5%)、訪問介護員(65.3%)などと続いた。

合格者数の急増や合格率の急上昇について厚労省では、2009年4月に導入した介護福祉士養成施設における教育カリキュラムの内容を反映した初めての試験であることから、「試験内容の変更が合格率の変化などに影響した可能性はある」(社会・援護局福祉基盤課の定塚由美子課長)としている。

今回の合格者が加わることで、国内の介護福祉士登録者は100万人を超える見通し。

厚労省内の合格発表会場では午後1時の発表前から、受験者や家族、関係者らが列をつくった。家族と共に合格を確かめた女性は、「自分の中にある介護のレベルをいつまでも上げていける介護福祉士になりたい。勤務先の施設は利用者の人数が多いので、一人ひとりに向き合って丁寧な介護を心がけたい」と、今後への意気込みを語った。

■2012.3.28  高齢者虐待事件受け 福祉施設が緊急研修 和歌山
岩出市で高齢者を虐待した介護士が逮捕され、 海南市でも虐待を疑われる行為が発覚したことを受け、 高齢者虐待防止の緊急研修会が27日、 県勤労福祉会館プラザホープ (和歌山市北出島) で開かれた。 県・県老人福祉施設協議会 (小林弘会長) 主催で、 県内の老人ホーム関係者ら約400人が訪れ、 メモを取るなど真剣に講演に耳を傾けた。

関西国際大学教育学部教育福祉学科講師の山本秀樹さんは 「高齢者虐待の防止に向けて」 と題し講演した。

山本さんは、 高齢者の虐待が発生する要因として、 居宅や老人ホームなどの施設が外部の人の目が入りにくく密室性を持っている▽介護者と要介護者に力の差がある▽介護者にストレスがあり、 介護に肯定感を持てないことの3点を挙げた。

特別養護老人施設などの職員による虐待は、 高齢者を子どもとして扱ったり、 個別のニーズを無視するといった特徴があるとし、 「職員の性別や属性で、 虐待をしやすいという共通点は考えにくい。 虐待を行っている施設自体が変わらないと駄目」 と指摘。 施設としてより良い介護を目指すために、 「トップの立場の人はリーダーシップを持って、 より適切なケアができる環境を整えて。 職員が必要以上のストレスをためないよう、 必要なものを取りやすい場所に置くとか、 小さなことも改善するのが大切」 とし、 「施設で実習生を積極的に受けるなど、 第三者から見られるという 『評価の視点』 を持つべき」 と呼び掛けた。

■2012.3.28  准看を正看と偽り、訪看ステーションの指定を取り消し――熊本県 訪問看護ステーションほたる
熊本県は、介護報酬を不正請求したとして、株式会社大地が運営する「訪問看護ステーションほたる」の訪問看護事業と介護予防訪問看護事業の2事業所の指定を3月16日付で取り消したと発表した。

県高齢者支援課によると、同事業所は、2009年4月〜2010年10月までの間、准看護師がサービス提供を行ったにもかかわらず、看護師がサービスをしたとして介護費を不正に請求したり、管理者が午前中のみの勤務だったにもかかわらず、1日勤務したかのように報告し、支払いの事実がないにもかかわらず虚偽の支払い明細書を提出したりしていた。

現段階で確認できている不正請求額は約12万円。今後、各市町村において確定して、返還請求を行っていく。

【指定取り消しの理由】
訪問看護事業所
(1)2009年4月〜2010年10月までの間、准看護師がサービス提供を行ったにもかかわらず、看護師がサービスをしたとして介護費を不正に請求した。
(2)実態がないのに、管理者が常勤しているかのように虚偽の勤務表を提出し、虚偽の支払い明細書を提出していた。
(3)監査時において、事業者の代表が、管理者の勤務実態について虚偽の答弁をした。

介護予防訪問看護事業所
(1)実態がないのに、管理者が常勤しているかのように虚偽の勤務表を提出し、虚偽の支払い明細書を提出した。
(2)実態がないのに、サービス提供を行ったかのような「訪問看護記録」を提出した。
(3)監査時において、事業者の代表が、管理者の勤務実態について虚偽の答弁をした。

■2012.3.29  介護福祉士の国家試験合格 インドネシア人
魚津の特養で研修 実る
インドネシア人・レスタリさん
一日5時間 日本語の勉強

経済連携協定(EPA)に基づいて来日し、魚津市の施設で働いてきたインドネシア人のレスタリ・ラハイユ(27)さんが28日、介護福祉士の国家試験に合格した。異国の地で3年間、日本語を学び、介護の研修を続けた苦労が実り、職員と共に吉報を喜んだ。

レスタリさんはこの日、職員らと共にインターネットで合格を確認した。「心臓が止まりそうだった。受験番号を見つけた時は、本当にうれしかった。周囲の人に支えて頂いたおかげです」と笑顔で語った。

インドネシアのスマトラ島出身で、日本の介護福祉士の資格取得を目指して、2009年1月から魚津市の特別養護老人ホーム「新川ヴィーラ」で働きながら勉強してきた。

「最初はひらがなもカタカナも分からなかった」とレスタリさん。職員の指導のもと、利用者の食事や手洗い、風呂など介護の実務を学ぶ一方で、週2回の日本語学習のほかに一日5時間ほど自分で日本語の勉強を続けた。指導をした元職員の女性は「3年目に入って日本語で質問をしてメモを取るようになった。手応えがあった」と言う。

今年1月末の筆記試験(1次試験)に合格。今月4日の実技試験では、時間が少々足りない部分もあったというが、見事難関を突破した。「タリさん」の愛称で利用者や職員に親しまれたレスタリさんについて、施設を運営する新川老人福祉会の林照夫会長は「人間性がすばらしく、職員が見習うべき部分も多かった」と評価する。

レスタリさんは今後も「新川ヴィーラ」で働く予定で、新規に施設が受け入れ予定の介護福祉士候補研修生の指導役も担う。「とりあえず、一度故郷に帰って両親に合格を伝えたい。将来の目標としては、母国で日本での経験を生かしたい」と抱負を語った。

EPAに基づき、今年の介護福祉士の国家試験を受けたインドネシア人とフィリピン人は計95人で、うち36人が合格した。介護福祉士国家試験は3年の実務経験が必要なため、協定下で来日した人たちの受験は今回が初めてだ。

■2012.3.29  介護福祉士:県内から受験のインドネシア人4人が合格 /徳島
介護福祉士の国家試験の合格者が28日発表され、経済連携協定(EPA)に基づいて来日し、県内から受験したインドネシア人4人が合格した。吉野川市の特別養護老人ホームでは、同施設などで働く3人が合格を報告し、「待ちに待った合格でうれしい」などと喜びを語った。

4人は08年に来日。社会福祉法人、健祥会(徳島市)の施設で研修を続け、EPAに基づく来日者としては今回が初の受験となる。同会で研修中のインドネシア人は合格者を含め7人が受験した。

インターネットで合格を確認した3人は、職員や入所者に報告。お祝いの花束をもらったフィトリ・ワハユニングシーさん(26)は「合格はスタート。将来、インドネシアと日本で役立てるよう、もっと勉強したい」と抱負を語った。

施設によると、合格した4人は介護福祉士として4月以降も県内で働き、不合格だった3人も来年度に再受験する予定という。

■2012.3.29  介護福祉士:EPA受け入れ、外国人36人合格 合格率37.9%に
厚生労働省は28日、経済連携協定(EPA)に基づきインドネシアとフィリピンから受け入れた介護福祉士候補者95人中36人が国家試験に合格したと発表した。介護福祉士候補者の受験・合格発表は今回が初めて。合格率は37・9%で、日本人を含む全体の合格率(63・9%)を下回ったが、厚労省は「予想以上に高かった。合否を分析して支援の充実に努めたい」としている。

合格したのは08年に来日したインドネシア人94人中35人と、国内で通算3年の実務経験を持つフィリピン人1人。施設で働きながら勉強を続けた。今後は福祉の現場で働くことを条件に、在留期間を何度でも更新できる。

介護福祉士候補者は4年の滞在が認められているが、日本人と同じ3年以上の実務経験が必要で受験の機会は1回限り。不合格者は帰国しなければならない。08〜09年に来日した候補者には日本語の学習支援がほとんどなく、特例で一定以上の得点があれば1年間の滞在延長が認められ、もう一度受験できる。今回の不合格者59人中47人が対象。厚労省は来年から試験問題すべての漢字にふりがなを振り、試験時間を延長する方針。

■2012.3.29  訪問介護事業者が破産手続き開始決定- 東京
訪問介護事業所などを運営していた「まりも訪問介護ヘルパーステーション」(東京都八王子市)が、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けていたことが分かった。決定は2月29日付で、負債総額は2973万円。

同社は2007年3月の設立で、訪問介護事業所などを運営していた。しかし、介護報酬の不正請求があったとして、09年に介護保険法に基づく事業所の指定取り消し処分を受けた。これに伴い、保険者から2000万円を超える返還金を求められたが、内部留保に乏しかったために返還できず、事業継続のめどが立たなくなった。

■2012.3.29  不正請求で訪問、通所介護の指定取り消し- 徳島 ホームヘルパーステーションSmile
介護報酬約1900万円を不正に請求したとして、徳島県はこのほど、「有限会社Smile」(阿南市)が運営する訪問介護事業所「ホームヘルパーステーションSmile」(同)と、通所介護事業所「Smile」(同)について、介護保険法に基づいて指定を取り消した。それぞれの介護予防サービスの指定も併せて取り消した。

県によると、訪問介護事業所は、2010年1月から11年12月までの間、1人のホームヘルパーが同時に2人の利用者にサービスを提供したとの架空の介護記録を作成し、介護報酬を不正に請求。また、勤務実態のない職員が同社役員にサービスを提供したとする不正請求もあった。このほか、サービス提供責任者(サ責)が、系列の通所介護事業所で勤務しているにもかかわらず、常勤・専従のサ責として働いていると偽った指定更新の申請書を提出していた。

また、通所介護事業所は、11年1月から10月までの間、看護職員が勤務していないにもかかわらず、必要な減算をせずに介護報酬を満額請求した。県による監査時には、虚偽の出勤簿などを提出し、看護職員が勤務しているように装っていた。

不正請求をめぐっては、既に阿南市など3保険者が加算金を含む約2600万円の返還を求めているという。

■2012.3.30  インドネシア女性介護福祉士合格
経済連携協定(EPA)に基づく外国人介護福祉士の受け入れ事業で、初めて外国人が受験した介護福祉士の国家試験に、県内からは唯一、北広島町の特別養護老人ホーム「正寿園」で研修するインドネシア人女性、アナ・グストリアニさん(31)が合格した。29日に県庁へ合格の報告に訪れたアナさんは「立派な介護福祉士になりたい」と喜びを語った。

同国第2の都市・スラバヤ市(ジャワ島)出身。同国の看護師資格を持ち、2008年8月に事業の1期生として来日し、09年1月から北広島町で研修。当初は「雪がたくさん降るし、方言が難しかった」と戸惑いもあった。

滞在期限は原則4年間で、3年以上の勤務経験が必要。今年1月に行われた試験が「最初で最後」になる可能性もあったため、週5日の勤務のほか、週6時間の日本語と試験の勉強に励んだ。夜や休日も自習を欠かさずにインターネット教材などと向き合い、難解な専門用語を理解するよう努めた。

本職の介護ではそうした苦労を見せず、笑顔を絶やさない明るさとやさしさで、入所者の人気者に。水晴男施設長は「介護に必要な資質が、彼女にはある。本当に素晴らしい仕事ぶり」と太鼓判を押す。入浴介助が好きで、気持ち良くなったお年寄りが口ずさむ童謡を覚え、一緒に歌う。講師役の看護師唯保咲子さんは「母国に入浴の習慣がないのに、すっかり通じ合えるのが彼女のバイタリティー」という。

28日午後、インターネットで合格を確認。アナさんは「お年寄りが私よりも喜んでくれた」と笑顔を見せながら「私もうれし涙が出た」と話した。

佐々木昌弘・県健康福祉局長は「医療や介護へ関わる人たちを勇気づけてくれた」とたたえた。

■2012.3.30  PT・OTの合格率、8ポイント超アップ
厚生労働省は30日、第47回理学療法士(PT)と作業療法士(OT)の国家試験の合格発表を行った。PTの合格率は、前回より8.1ポイント高い82.4%、OTは、8.6ポイント高い79.7%となった。

PT国家試験の受験者は、前回比1481人増の1万1956人で、合格者は2064人増の9850人だった。また、OT国家試験の受験者は、3人減の5821人、合格者は499人増の4637人だった。

合格基準は両試験とも、総得点が280点中168点以上、実地問題が120点中43点以上。また、いずれも一般問題を1問1点、実地問題を1問3点とした。

■2012.3.30  南島原の福祉法人に改善命令 入所者の預金着服 社会福祉法人ほかにわ共和国
南島原市加津佐町の社会福祉法人ほかにわ共和国(志賀俊紀理事長)が運営する知的障害者グループホームで準職員として働いていた女性(58)が、入所者の預金計約240万円を着服していた問題で、県は29日、同法人に改善命令を出した。

県監査指導課などによると、元準職員は2006年12月から約1年間にわたり、着服を繰り返していた。07年12月に発覚したが、同法人は利用者への弁済や再発防止策を取っていなかった。

2月に理事長の妻・志賀冨美子元理事から報告を受けた県は特別監査を実施。同法人が運営する別の施設で、07年度に利用者から預かった生活費などの残金約125万円を返却していなかったことも発覚した。

改善命令は▽元準職員への厳正な措置▽グループホームの管理者だった理事長と元理事が、発覚後に適切な対応を取らなかったことへの責任の明確化▽原因究明−などを求める内容。

着服金は理事長夫妻が肩代わりして完済。元準職員は、着服理由について「生活費と借金返済のため」としており、理事長夫妻に全額返済する意思を示しているという。同法人は、2月の理事会で元準職員を刑事告発する方針を決めている。

■2012.3.31  課長が1450万円着服/県ふじみ園
香川県立の障害者支援施設「県ふじみ園」(香川県丸亀市飯山町)を運営する社会福祉法人県社会福祉事業団は30日、同園総務課長の男性職員(53)が、事業団の積立金や職員親睦会の預金から約1450万円を着服していたと発表した。調査に対し本人も着服を認めており、事業団は懲戒処分と刑事告訴を行う方針。

同事業団によると、総務課長は2004年10月から12年1月にかけ、会計を担当していた職員親睦会の預金から約230万円、事業団の積立金から約1222万円を着服した。

親睦会の決算処理に不審を抱いた職員の訴えを受けて事業団が調査した結果、総務課長の着服が発覚。その後の調べで、園長名の印鑑を不正に使い事業団の5口座から積立金を引き出していたことも判明した。県の監査には決算書を偽造して提出していたため、着服が分からなかったという。

総務課長は「子どもの学費や生活費に使った」と着服を認め、すでに全額を弁済したという。現在は出勤停止中で、事業団は被害額などの確定後に懲戒解雇し、刑事告訴する方針。また、県の指導を受け、監査体制の強化など再発防止策を講じるとしている。

県庁で会見した林学・園長は「利用者や県民の信頼を損ね、大変申し訳ない」と謝罪した。

同事業団は、ふじみ園運営のため1979年に設立。06年からは同園の指定管理者となった。総務課長は81年に採用され、07年から現職。

■2012.3.31  介護保険料19・5%上昇…平均月額4972円
厚生労働省は30日、65歳以上の人が支払う介護保険料が4月分から全国平均で月4972円となり、現行より812円(19・5%)上昇するという集計結果をまとめた。

また、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度については、2012〜13年度の全国平均の保険料月額(見込み額)が、10〜11年度より312円(5・9%)増の5561円になると発表した。いずれも高齢化などが原因。

介護保険料は3年に1度見直され、今回、月5000円を超える市町村(広域連合含む)は32・3%に上る。最高は新潟県関川村の6680円、最低は北海道奥尻町、津別町、鹿児島県三島村の各2800円。

後期高齢者医療の保険料を都道府県別で見ると、最高が東京の7872円(656円増)、最低は岩手の3113円(34円減)。43都道府県で上昇する。

■2012.3.31  福祉施設転落死:逸失利益770万円で和解 社会福祉法人名北福祉会
福祉施設で死亡した知的障害者(当時15歳)の遺族が、施設を運営する社会福祉法人「名北福祉会」に、将来の仕事で得られたはずの「逸失利益」を含む約7600万円の損害賠償を求めた訴訟は30日、名古屋地裁で和解が成立した。倉田慎也裁判長は就労の可能性を認め、逸失利益約770万円を支払うよう勧告、両者が応じた。

死亡したのは重度の知的障害者だった名古屋市の伊藤晃平さん。訴状によると、伊藤さんは07年12月、名古屋市北区の短期入所施設で階段から落ち、頭を打って死亡した。同会と損害保険会社は、賠償として慰謝料や葬儀費用など計1700万円を提示する一方、「将来、就労の可能性はない」として逸失利益をゼロと算出した。

遺族側は「障害者でも健常者でも命の価値は平等だ」と訴え、全労働者の平均賃金を基準にして伊藤さんの逸失利益を約4000万円と算定。慰謝料3000万円を合わせ、計約7600万円の支払いを求めていた。

この日の弁論で地裁は生命の価値は等しいことなどを考慮し、障害年金の受給額を基準に逸失利益を約770万円と算定、総額3700万円の支払いを勧告した。

記者会見した遺族側代理人の岩月浩二弁護士は「不十分ながら障害者差別の是正を図ることができた。大きな意義がある」と語った。母の啓子さん(54)は「裁判所から大きな評価をいただいた。息子に報告したい」と話した。一方、名北福祉会は「早い解決を望んでいた。遺族におわびし、晃平君の冥福を祈っている」とコメントした。

岩月弁護士によると、重度知的障害者の逸失利益が認められるケースは少なく、09年12月に札幌地裁で最低賃金を基準にした和解が成立したのが国内初。青森地裁でも同月に認める判決があり、今回が3例目という。

■2012.3.31  不正請求:静岡のNPO、障害者利用日水増しで760万円 県、事業者指定取り消し /静岡 NPO法人地域で暮らす・笑顔で生きる
県は30日、静岡市葵区長沼のNPO法人「地域で暮らす・笑顔で生きる」(石田賢吾理事長)に対し、障害者自立支援法に基づき障害福祉サービスの事業者指定を取り消すと発表した。取り消しは31日付。
 
県によると同法人は設立された10年4月から11年5月まで、同市内の就労継続支援事業所2施設で、障害者12人の利用日数を水増しするなどの方法で1083日分、約760万円の訓練等給付費を不正に請求した、としている。情報提供を受けた県が11年6月、監査に入り発覚した。
 
2施設は葵区竜南で菓子箱製造の下請けをする「アスカ」と、駿河区小黒で古着を販売する「どろんこ」。両施設の利用者20人は、他の事業所に移った。
 
同法人の所在地は、昨年10月に同様の不正が発覚し事業者指定を取り消された福祉サービス業「寺子屋 匠(なる)」と同じ。同社の代表が同法人の監事となっていた。
 
県は課徴金約300万円と合わせ計約1060万円の返還を求めるよう静岡市に要請する。県の聴聞に応じないなど、同法人とは連絡が取れない状態だという。

■2012.3.31  老人ホームで孤独死…87歳女性、1週間後発見 サンシャイン・ヴィラつくば倶楽夢くらぶ
茨城県つくば市の有料老人ホーム「サンシャイン・ヴィラつくば倶楽夢くらぶ」で、入居者の女性(87)が、死後約1週間たってから発見されたことがわかった。

女性は要介護者ではなく、専用居室で一人暮らしをしており、職員らも気付かなかった。

運営する医療法人社団「みなみつくば会」(今川民子理事長)によると、24日午後7時頃、女性の親類から「電話に出ない」と連絡があり、職員が合鍵で入室、浴室に裸で倒れている女性を見つけた。つくば中央署は、急性心不全による病死とみている。

室内には新聞が17日朝刊からたまっていたが、外からは見えない構造になっていた。女性は15日に胸の痛みを訴え、職員に送迎されて市内の総合病院を受診している。16日頃、入浴しようとして容体が急変したとみられる。居室や浴室にナースコールのボタンがあったが、呼び出しはなかった。

 

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