残しておきたい福祉ニュース 1996〜社会福祉のニュース

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残しておきたい福祉ニュース

 2012年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

 2012. 4. 2 障害者の被災状況 著書に…福島
 2012. 4. 3 大阪の白山病院に指定取り消し処分- 近畿厚生局
 2012. 4. 4 自分の介護、「金銭面に不安」が9割- 第一生命経済研究所が調査
 2012. 4. 5 一歩・障害を越えて:懐かしい味と香り、好評「うめジャム」 月ケ瀬の梅使い、生活支援員らと手作り /奈良
 2012. 4. 5 千葉の医療法人、16億円所得隠し…国税が指摘  圭春会
 2012. 4. 6 発達・学習障害:理解深めて 県が支援冊子を発行 /岩手
 2012. 4. 6 救急車と隊員、病院に常駐
 2012. 4. 7 温泉からレジオネラ菌…宮崎 串間温泉いこいの里
 2012. 4. 9 運営基準減算違反で指定取り消しへ- 長野のケアマネ事業所  有限会社カネサン
 2012. 4.10 送迎拠点保育所がオープン・市内全保育所を巡回 吉川市
 2012. 4.12 被災地のアルコール依存症]酔って大声、仮設で孤立
 2012. 4.12 一歩・障害を越えて:社会福祉法人「萌」の拠点施設、完成し披露 パン工房、来月開店 生駒 /奈良
 2012. 4.12 入浴中の障害者が死亡 事件性なしと警察 大阪 金剛コロニー
 2012. 4.13 東京のニューオータニで59人食中毒 ノロウイルス
 2012. 4.13 介護企業2社が今月新規上場- ウチヤマHDとチャームケア
 2012. 4.14 <てんかん患者>免許取り消しが急増、昨年292件 クレーン車事故契機、啓発活動を強化
 2012. 4.14 免許更新で無申告「遺憾」=患者らに周知―てんかん協会
 2012. 4.18 「ケアホーム職員から暴行」 元入所者が損害賠償求め提訴 ケアホームひまわり恵の家
 2012. 4.19 「特養も軽度者の在宅復帰考えるべき」- 全国老施協・桝田氏
 2012. 4.20 車いすで乗り降り可能 淡路島内に福祉タクシー
 2012. 4.20 高温シャワーかけ死なす:元介護福祉士に有罪判決…静岡 元介護福祉士、藤沼佑介被告(27)
 2012. 4.21 心臓移植、対象5歳引き上げ64歳まで…厚労省
 2012. 4.21 EXILEのメンバー、認知症男性を送り届ける
 2012. 4.21 障害児:優しい心で見守って 外見から判断しにくい子どもへの理解求め、小山市が要望受けバッジ作成 /栃木
 2012. 4.21 青森の福祉施設不適切対応:障害者就労支援事業所で2件 利用者押さえ付けなど /青森
 2012. 4.27 松阪の福祉施設 大型犬襲撃、3人けが 民家から逃げ出す ハートフルみくも
 2012. 4.28 松阪の福祉法人が不適正資金運用 三重 社会福祉法人太陽の里


■2012.4.2  障害者の被災状況 著書に…福島
人工呼吸器つけ車椅子/玄関にスロープなし 県点字図書館長「支援あれば救助も」

福島県点字図書館館長の中村雅彦さん(65)が、東日本大震災で被災した県内の障害者の状況を調べ、著書「あと少しの支援があれば」にまとめた。中村さんは「あと少し周囲の支援があれば、助かったかも知れない人がいる。この教訓を県内外で共有していきたい」と呼び掛けている。

中村さんは、1972年から35年間、県内の特別支援学校で勤務した。いわき市の県立平養護学校には2度勤め、浜通りには、これまでの教え子が200人近くいる。震災後、その安否を訪ねて回るなかで、同市久之浜に住む卒業生の男性(35)が津波の犠牲になったことを知った。

男性は難病のため、重さ約4・5キロの人工呼吸器と電動車椅子で生活し、わずかに動く指先でパソコンを使った仕事をしていた。

「周囲に誰もいないはずがないのに、なぜ……」。自宅を訪ねると、近くでがれきを片付けていた住民から、「そんな障害のある人が住んでいたなんて。知っていたら助けに入ったのに」と聞かされた。津波が来る直前、男性宅へ救助に駆けつけた親族が、波にのまれながらも男性の手をつかんだが、男性は「もういい」と言って手を離し、流されたと知った。

ほかの障害者についても気になり、浜通りの10市町に問い合わせると、震災による障害者の死亡率が一般の人に比べ3割ほど高いことがわかった。中村さんは半年間で約100人の障害者やその家族に話を聞き、31人の話を著書に記した。

相馬市の10代の知的障害者の男性は、同居する祖母に家の中にいるよう言われ、祖母とともに津波にのまれた。双葉郡の60歳代の車椅子の女性は、玄関付近で遺体で見つかった。玄関にスロープがなく、自力で逃げ出せなかったとみられる。いずれも、「もし地域の人の手があれば、助けられた」と中村さんは強調する。

避難生活で苦労する障害者も多い。中村さんの調べでは、昨年3月12日から8月31日に亡くなった身体障害者の人数は、沿岸部の2市2町で計630人で、昨年同期の1・1〜6倍。聞き取りでは、段差の多い仮設住宅暮らしで外出もままならない現状が浮かび上がる。中村さんは「通院や買い物を我慢し、体調を崩したのでは」とみる。

緊急時に障害者が孤立しがちな背景として、中村さんは障害を知られたくないという本人の思いと、個人情報を保護しようという自治体の考えがあると指摘する。中村さんは「名前や障害の度合いなど細かいことまで知らなくていい。せめて民生委員の間で、近所に障害者がいることさえ共有できればよかった」と振り返る。

その上で、「災害時は特に障害者が後回しになってしまう。本を読んで、いざというときは助け合おうと思う人が少しでも増えてくれれば」と期待している。

本は、1470円。問い合わせは出版元のジアース教育新社(03・5282・7183)へ。

■2012.4.3  大阪の白山病院に指定取り消し処分- 近畿厚生局
医療法人泰仁会(大阪市、白山鴻鍵理事長)が経営する白山病院(一般、療養164床)が、近畿厚生局から保険医療機関の指定取り消し処分を受けていたことが分かった。処分は2日付。診療報酬を不正に請求したためで、取り消し期間は6月1日から5年間。

近畿厚生局によると、白山病院は2009年6月から10年1月までの間、実際は薬を使っていないのに、投薬したように見せかけて請求したり、高額な医薬品を使用したように偽って申請したりするなどして、計約246万円の診療報酬を不正に受け取っていた。
 
大阪市保健所の担当者は、「医療の提供が途切れない方向で検討している」と話しており、別法人の引き継ぎを含めて調整している。

■2012.4.4  自分の介護、「金銭面に不安」が9割- 第一生命経済研究所が調査
30−60歳代の9割は、自分に介護が必要となった場合、金銭面や家族への負担が増すことを不安と感じていることが、第一生命経済研究所の「自分の介護の準備に関する調査」で分かった。調査では、大多数の人は介護に関心を持っているにもかかわらず、制度や公的保険に関する知識については十分ではない人が多い実態も明らかになった。同研究所では「情報不足が介護への不安を増大させているのではないか」と分析している。

第一生命経済研究所では、昨年11月29日から12月13日にかけて、全国の30歳から69歳までの男女1200人を対象に調査を実施。1092人から回答を得た。

将来、自分に介護が必要になった時の不安に関する項目では、「自分の介護にいくらお金がかかるか分からないこと」について、47.1%が「かなり不安に思う」と回答。「ある程度不安に思う」という回答と合わせると、91.8%に達した。同様に「家族に精神的負担をかけるかもしれないこと」や「家族に肉体的負担をかけるかもしれないこと」についても、不安を感じていると答えた人(「かなり不安に思う」「ある程度不安に思う」)は、90%を超えた。

■自分の介護のための準備「特にしていない」が半数近く

一方、自分に介護が必要になったときのための準備については(複数回答)、「特に準備はしていない」が45.7%で最も多く、以下は「預貯金をする」(43.5%)、「公的介護保険制度について情報を集める」(17.4%)、「介護の手段や方法について情報を集める」(16.2%)、「地域の人とのかかわりをもつ」(12.7%)などと続いた。

介護に関する知識を尋ねた質問では(複数回答)、「公的介護保険のサービスを利用した場合の自己負担割合は原則1割」について知っている人が42.6%、「65歳以上の人は原因にかかわらず介護が必要になった場合に公的介護保険のサービスが受けられる」ことを知っている人は41.2%にすぎなかった。「公的介護保険の保険料は40歳から納める」ことを知っている人も69.0%にとどまった。

調査を担当した第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部の水野映子上席主任研究員は、同じ調査で、公的介護保険の制度の仕組みや公的介護保険のサービスを受けるための方法などについて、80%以上の人が「関心はある」と答えていることに着目。「介護への関心は高いのに、正しい情報を得る機会が少ないことが、かえって将来への不安を生んでいるのではないか」と話している。

■2012.4.5  一歩・障害を越えて:懐かしい味と香り、好評「うめジャム」 月ケ瀬の梅使い、生活支援員らと手作り /奈良
知的障害者の就労支援をしている「セルプたいよう」(山添村切幡)の利用者が、約1万本の梅林で知られる奈良市月ケ瀬地区の梅を使用して手作りした「うめジャム」が人気を集めている。介護福祉士の向井久美子さんは「梅の香りと味わいを生かした昔ながらのジャムを楽しんでほしい」と話している。
 
セルプたいようは社会福祉法人「大和会」(同)が運営。うめジャムは梅本来の風味を生かすため、無添加、無着色にこだわり、材料は梅と砂糖のみ。ほどよい酸味とさわやかな甘さが特徴だ。作り始めたきっかけは09年、職員の知人の神社で、利用者と共に梅を収穫したことだった。とった梅を梅酒やジャムに加工して販売すると、好評を得て約100本を完売。翌年は、月ケ瀬地区の梅農家から約100キロの梅を仕入れた。梅のへた取りから、砂糖に漬けて炊き、瓶に詰めるまでの作業に、約10人の利用者が携わっている。
 
生活支援員の村部光紀さんは「障害のレベルに応じて、できることをやってもらっている。みんな一生懸命に作っている」と話す。同施設や道の駅「針テラス」などで販売している他、電話注文も可能。1本140グラム、税込み350円。問い合わせは、セルプたいよう(0743・87・0918)。

■2012.4.5  千葉の医療法人、16億円所得隠し…国税が指摘  圭春会
総合病院などを経営する医療法人社団「圭春会」(千葉県野田市)が、東京国税局から2010年3月期までの6年間に、約16億円の所得隠しを指摘されていたことがわかった。

医療品の仕入れ値を意図的に水増しするなどしていたと認定された。重加算税を含む追徴税額は約6億円とみられる。

同会は「小張総合病院」(同)や「小張総合クリニック」(同)など3病院を経営。関係者によると、同会は、病院で使うタオルなどの医療用消耗品について、取引先からの仕入れ値を水増ししたり、架空の仕入れを経費に計上したりするなどして、法人所得を少なくしていた。隠した所得の一部は、同会と関係のある法人へ支出されていたという。同会の代理人を務める弁護士は、取材に対し「故意ではないが、既に国税局の指導に従って修正申告し、納税も済ませた」と説明。その上で「個別、具体的な事項は圭春会の業務に関する内部情報であり、回答できない」としている。

■2012.4.6  発達・学習障害:理解深めて 県が支援冊子を発行 /岩手
県は、親や保育士などに、発達障害や学習障害を理解し対応方法を知ってもらうため「いわてこども発達支援サポートブック」を発行した。県内の各保育所、幼稚園などに配布し、子育ての現場で役立ててもらう。
 
サポートブックは、県内の児童精神科医や保育園長、発達障害の子どもを持つ親などの意見を聞き、家族向けのリーフレットとA5判の冊子(23ページ)▽「保育者編」のA4判の冊子(47ページ)の3種類を作成。例えば子どもが食事の時間に落ち着いて座っていられない場合「砂時計の砂が全部落ちるまで」などの目標を作って、できた場合はほめ、少しずつ成功体験を増やすなど、具体的な対応例を多く盛り込み、相談窓口の連絡先も掲載した。
 
県障がい保健福祉課の石川豊主事は「子どもの状況に合わせて周囲が簡単にできる工夫をたくさん載せているので、参考にしてもらいたい」と話した。県のホームページからもダウンロードできる。

関連ファイルダウンロード
http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?nd=4151&of=1&ik=1&pnp=51&pnp=4149&pnp=4151&cd=38080

■2012.4.6  救急車と隊員、病院に常駐
須賀市消防局3院と提携 教育拠点/医師同乗で現場へ

神奈川県横須賀市消防局は、市立うわまち病院、市立市民病院、横須賀共済病院と協力して26日から、救急車と救急隊員を病院に常駐させる派遣型救急ワークステーションを県内で初めて開始する。

隊員が病院で実習を行うほか、医師を救急車に乗せて出動することも可能で、市消防局と医療機関の連携を図ることで救急体制の向上を目指す。

市消防局の救急隊員102人が参加、3人1組で平日午前8時半〜午後5時15分、3病院のいずれか1か所に常駐する。隊員は病院を救急医療の教育拠点として、医師から最新知識や技術を学ぶ。また、救急車に医師を同乗させて現場に行くことで、医師が直接治療したり、隊員が医師から指示を受けて処置したりすることが可能になる。

昨年9月から今年3月までの80日間の試行期間では、127件の出動回数のうち89件で医師が同乗した。昨年12月には、けいれん発作が続いて呼吸困難になった女性(68)に対し、先着救急隊が気道を確保、医師が薬を投与してけいれんを治めたケースがあったという。同10、11月には、50歳代と60歳代の男性が低血糖発作で意識障害を起こしたが、医師のブドウ糖投与で意識が戻ったという。

市消防局は、「すべての救急隊員が最新の教育を受けることで、市民に対する救急活動の質の向上につなげたい」としている。

■2012.4.7  温泉からレジオネラ菌…宮崎 串間温泉いこいの里
串間の施設基準値2〜16倍、運営休止

宮崎県串間市は6日、同市本城の温泉宿泊施設「串間温泉いこいの里」の温泉水から、国の基準値(100ミリ・リットル当たり10個未満)の2〜16倍のレジオネラ菌を検出したと発表した。

運営する指定管理者は昨年9月の検査で把握しながら、保健所への報告を怠っていた。健康被害の報告はないが、市は当面の間、運営を休止する。

温泉施設は串間市の所有で指定管理者のビルメンテナンス業・MKホールディング(宮崎市)が運営。昨年9月の検査で源泉をためるタンク2か所から100ミリ・リットル当たり20個と160個の菌を検出したという。

県の条例で基準値を超えるレジオネラ菌を検出した際は保健所への速やかな届け出が義務付けられているが、同社は報告しなかった。タンクは消毒後、同10月の検査で基準値を下回る結果が出たが、同12月にはヒノキ風呂1か所から40個を検出したという。

今月3日に同社が日南保健所に提出した年度末報告で菌の検出が発覚。同保健所は4日、温泉施設を立ち入り調査して、同社に再検査を指導した。串間市は福祉保健課に相談窓口(0987・72・0333)を開設して午前8時半〜午後7時に受け付ける。

串間温泉いこいの里は1996年にオープンし、昨年の利用者は19万人だったという。

■2012.4.9  運営基準減算違反で指定取り消しへ- 長野のケアマネ事業所  有限会社カネサン
必要な運営基準減算を行わずに、介護報酬約240万円を不正請求したとして、長野県はこのほど、「有限会社カネサン」(上田市)が運営する居宅介護支援事業所「大学前薬局」(同)について、介護保険法に基づいて指定を取り消すと発表した。取り消しは5月10日付。

県によると、同事業所は2008年2月から11年4月までの間、▽利用者へのモニタリングの実施・記録を行っていない▽サービス担当者会議を開催していない▽利用者のアセスメントを実施していない―といった運営基準違反があったにもかかわらず、必要な減算をせずに介護報酬を満額請求していた。
 
今回の違反は、営利法人が運営する介護事業所への県の監査で発覚した。

今後は、保険者の上田市が不正請求額を確定した上で、返還を求めることになるという。

■2012.4.10  送迎拠点保育所がオープン・市内全保育所を巡回 吉川市
JR吉川駅南口に近い吉川市木売1丁目に、吉川市内全8か所の認可保育所への送迎拠点「認可保育園コビープリスクールよしかわステーション」(小林わか子施設長、社会福祉法人コビーソシオ運営=小林照男理事長=)が1日、開所した。吉川市によると、市内すべての保育所へ送迎を行うのは県内初だという。
 
同送迎保育は吉川市の委託事業。今年度予算は589万7000円。「よしかわステーション」では、平日朝預かった児童を在籍する認可保育所へバスで送り、保育が終わると再びバスで迎えに行き、最長午後8時まで保育を行う。満1歳以上の延長保育児童が対象で、月極利用と一時利用がある。いずれも登録制で定員があり、別途利用料金がかかるが、働く保護者にとっては心強い。
  
同送迎の定員は20人(ほかに1日利用10人)。4月3日現在で51人が登録した。15人が朝夕の利用をしている。利用料は月極めが月額4000円(朝・夕の送迎保育が何度でも利用可能)。朝の送迎保育1回100円、夕方の送迎保育1回300円(午後8時までの延長保育とおやつが含まれる)。
 
送迎がスムーズに行われるよう道路との間に横長の敷地を活かした広い車寄せを配置。保育所内は、全長50bの大空間や可動式間仕切りを多用し、年齢の異なる園児が交流できるようにしている。また、幼児の目線で調理が行われるよう床を35a下げたキッチンスタジオは全面をガラス張りにし、調理課程を見せることで食育にとり組むという。
 
「認可保育園コビープリスクールよしかわステーション」の保育定員は80人。既に0〜3歳児はいっぱいだが、4、5歳児はまだ余裕があるという。

■2012.4.12  被災地のアルコール依存症]酔って大声、仮設で孤立
東日本大震災の被災地では、アルコール依存症対策も心のケアの重要なテーマの一つだ。アルコール依存症が心配される仮設住宅の住民を、保健師が定期的に訪問し、精神保健福祉士らで作る日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会(ASW協会)が支援する活動を続けている。

保健師が定期訪問

宮城県石巻市で3月中旬に開かれた仮設住宅の飲酒問題を話し合う会議。同市の保健師が、アルコール依存症が疑われる男性のケースを報告した。男性は酔って大声を出すことがあり、苦情が寄せられていた。

「これまで訪問した時はいつも酔っていたのですが、前回は飲んでいないので、逆に驚いてしまいました。全く話をしてくれず、テレビを見ているばかり。私も早々に引き揚げました」

ASW協会会員で、仙台市の東北会病院勤務の精神保健福祉士、菊池郁民ふみひとさんがアドバイスを送った。

「『前の訪問で大声を出された時は怖かった』と言ってみると良かったですね。気持ちを正直に伝えることで、男性が心を開き、意思の疎通がうまくいくようになる可能性があります」

記憶が残る時に、男性に酔った時の状態を振り返ってもらう。それが健康な生活を取り戻したいという気持ちを呼び起こし、医療機関受診のきっかけになる。こうした好循環が生まれるには、訪問者との信頼関係が不可欠だ。この日は保健師と菊池さんの2人で男性を訪問することになった。



精神保健福祉士は、精神病患者が社会生活を送れるように支援する専門職。飲酒問題に関わる機会が多い精神保健福祉士が1986年にASW協会を設立した。会員は約200人。精神科病院や更生施設などでアルコール依存症などの患者を援助している。

阪神大震災の中高年男性の孤独死は、約3分の1が過度の飲酒と関係があるとされる。同協会は当時、仮設住宅での相談などの活動に従事した。東日本大震災での支援は、石巻市からの要請を受け、昨年9月から開始。2週間ごとに2人の会員が現地に行き、相談に応じたり、訪問に同行したりしている。

アルコール依存症と思われる仮設住宅の入居者で、同市の保健師が訪問しているのは約10人。震災前から問題を抱えていた人がほとんどだという。

ある保健師は「震災前は地域の人に助けられ、人間関係もかろうじてつながっていた。仮設住宅では『酒で騒ぐ人は出て行ってほしい』といわれ、孤立したせいでさらに酒量が増える悪循環に陥っている」と話す。

しかし、保健師が飲酒問題を正面から持ち出すと相手に拒まれ、それまでに築いた関係を絶たれる心配がある。ASW協会会員はこうした会話のさじ加減についてもアドバイスする。

冒頭の男性の訪問から帰った保健師は「きょうも酔っていなかったので、初めて『どなられて怖かった』と言えました」と報告した。

菊池さんは「男性は『酒で失敗してきた』と率直に話していました。この気持ちの変化が重要で、『もう飲むまい』という次の段階に進む期待が持てます」と指摘し、「そのうえで医療機関の受診や、アルコール依存症患者が支え合う断酒会の参加などにつないでいってほしい。断酒に向かう患者の思いに周囲が気づき、支えていくことが何より大切です」と話している。

■2012.4.12  一歩・障害を越えて:社会福祉法人「萌」の拠点施設、完成し披露 パン工房、来月開店 生駒 /奈良
精神障害者の支援事業に取り組む社会福祉法人「萌」(本部・大和郡山市小泉町、仲田昭七理事長)の生駒市の拠点施設「ブルームビル」(3階建て延べ約320平方メートル)が同市本町に完成した。近鉄南生駒駅前にあったリサイクル店「エコショップひだまり」が移転する形の「パン工房ひだまり」が1階に入り、5月7日にオープンする。

市内に分散していた施設を集約した。指定障害福祉サービス事業所「ひだまり」と、障害者の地域活動と生活支援をするセンター「コスモールいこま」が入る。パン工房は就労プログラムに組み込まれており、製造、接客、配達などを行う。

11日に完成式とお披露目会があり、餅つきなどで施設完成を祝った。

■2012.4.12  入浴中の障害者が死亡 事件性なしと警察 大阪 金剛コロニー
大阪府は12日、府立知的障害者支援施設「金剛コロニー」(同府富田林市)で利用者の40代女性が入浴中に死亡した、と発表した。地元署は現場検証と職員への事情聴取の結果、事件性はないと判断したという。

府によると、9日午後3時35分ごろ、入浴中の女性の具合が悪くなり、脱衣場で見守っていた職員が浴槽から引き上げて心肺蘇生を試みるとともに救急要請。まもなく病院に搬送されたが死亡した。持病の発作を起こし、水を吸い込んだことによる窒息死としている。

府は「施設の対応に問題はなかったが、安全に一層配慮した運営に努める」としている。
http://social-welfare.rgr.jp/databox/houdou-hukushi_11.pdf

■2012.4.13  東京のニューオータニで59人食中毒 ノロウイルス
東京都福祉保健局は13日、ホテルニューオータニ(千代田区)の宴会場でノロウイルスによる食中毒が発生し、客の男女59人が発症したと発表した。千代田保健所は14日から6日間、発生源とみられる調理場と宴会場を営業停止とする処分を出した。営業停止期間中は別の調理場を使用し、宴会や結婚式はホテル内のほかの宴会場に振り替える。

ホテル側によると、7日昼に二つの宴会場で企業の招待会と出版社の会議があり、洋食と中華料理をビュッフェ形式で出した。

9、10日にそれぞれの宴会の参加者から吐き気や発熱、下痢の症状が出たとの連絡があり、保健所が12日に男性従業員からノロウイルスを検出した。男性従業員は果物の調理を担当していた。保健所によると、発症したのは24〜75歳で、入院患者はいないという。

■2012.4.13  介護企業2社が今月新規上場- ウチヤマHDとチャームケア
介護付有料老人ホームの運営などを手掛ける介護企業2社が、4月下旬に相次いで大証ジャスダック市場に新規上場する。

新規上場するのは、北九州市に本社を置くウチヤマホールディングス(ウチヤマHD、20日上場)と、大阪市に本社があるチャーム・ケア・コーポレーション(チャームケア、27日上場)の2社。

ウチヤマHDは、介護付有料老人ホーム(21施設)や住宅型有料老人ホーム(13施設)、認知症高齢者グループホーム(6施設)といった居住系サービスを、福岡県を中心に展開。また、通所介護事業所(14事業所)や訪問介護事業所(9事業所)、小規模多機能型居宅介護事業所(3事業所)などの在宅系サービスも提供している。展開数の合計は、4月1日時点で89施設・事業所。
 
ウチヤマHDの介護事業の2011年3月期通期の業績は、売上高が68億5900万円(前期比11.8%増)、営業利益が11億円(同5.0%減)だった。12年3月期第3四半期累計期間(11年4−12月期)の業績は、売上高56億8400万円、営業利益9億9200万円。

ウチヤマHDは、13年3月期中に有料老人ホーム6施設の新設を予定しており、担当者は「上場に伴い、今後は開設スピードを上げていきたい」と話している。

 また、チャームケアは、大阪府内を中心に関西地方で介護付有料老人ホームなど14施設(計977室、4月1日時点)を展開している。
 
11年6月期通期の業績は、売上高39億7100万円(前期比34.9%増)、営業利益5億8000万円(同79.6%増)。12年6月期第2四半期累計期間(11年7−12月期)の業績は、売上高21億5600万円、営業利益2億9800万円だった。

上場による調達資金についてチャームケアの担当者は、「13年6月期中の新設を予定している3施設の建設資金に充てる計画」としている。

■2012.4.14  <てんかん患者>免許取り消しが急増、昨年292件 クレーン車事故契機、啓発活動を強化
てんかん患者が運転免許を取り消されるケースが11年は292件と前年の172件から大幅に増加したことが警察庁の調べで分かった。昨年4月の栃木県鹿沼市で起きた小学生6人がクレーン車にはねられ死亡したてんかん発作による事故を機に、警察が免許更新者などに適性相談を受けるよう啓発活動を強化したのが主な要因とみられる。

警察庁によると、てんかん患者の免許取り消し件数は▽07年167件▽08年191件▽09年190件▽10年172件と、ほぼ横ばいで推移。しかし昨年は120件増えて292件に達した。

てんかん患者の免許取得は02年の道路交通法改正で可能になり、医師が「運転可能」と診断することなどが条件とされた。運転免許試験や更新の際、自己申告で症状をチェックする制度も導入された。

全国の免許センターなどは昨年、鹿沼市の事故を受け、てんかん患者による事故対策を強化。警察庁は適性相談を受けるよう働きかけた結果、相談者数が増え、処分者増につながったと分析している。

■2012.4.14  免許更新で無申告「遺憾」=患者らに周知―てんかん協会
京都市東山区で軽乗用車が暴走し歩行者7人が死亡した事故で、社団法人日本てんかん協会(鶴井啓司会長)は13日、死亡した藤崎晋吾容疑者(30)が免許更新時にてんかん治療を受けていることを申告していなかったとされることについて、「きわめて遺憾と言わざるを得ない。痛ましい事故が繰り返されないためにも、無申告での運転免許取得は絶対にしないよう強く訴える」とする声明を発表した。

さらに「今回の事故により、法律を守り生活をしている多くのてんかんのある人に対する社会の偏見が助長されることのないことを、心から願っている。今後も法制度の周知と患者・家族、社会に対する啓発活動に一層努めていく」とした。

■2012.4.18  「ケアホーム職員から暴行」 元入所者が損害賠償求め提訴 ケアホームひまわり恵の家
ケアホーム入所中に、職員の男(70)から平手でたたかれるなどの暴行を受けたとして、元入所者の男性(29)が、男とケアホームを運営するNPO法人(特定非営利活動法人)を相手取り、慰謝料など約1300万円の損害賠償を求める訴えを18日、東京地裁に起こした。

訴えを起こしたのは、自閉症で知的障害を持つ男性で、訴状によると男性は平成19年3月から東京都江東区のケアホーム「ひまわり恵の家」に入所。23年3月ごろから、入浴中などに職員の男から頭や肩、背中を平手でたたかれるようになったという。

男は、昨年11月に暴行罪で起訴され、懲役8月、執行猶予3年の1審東京地裁判決が確定している。

原告側は「法人は極めて不適切な介護状態を放置し、こうした監督不行き届きが本件暴行虐待事件を招いたことは明らか」と主張している。

■2012.4.19  「特養も軽度者の在宅復帰考えるべき」- 全国老施協・桝田氏
全国老人福祉施設協議会(全国老施協)の桝田和平・介護保険事業経営委員長は19日、「2012年度トップセミナー」で講演し、特別養護老人ホーム(特養)に入所する軽度者について、施設側は在宅復帰の可能性を考えるべきとの見方を示した。

施設の経営戦略をテーマに講演した桝田委員長は、特養入所者の約1割を占める要介護1、2の軽度者について、「特養の中でほとんど自立できている。自分で歩けるし、生活できる」と指摘。その上で、「今後は、在宅復帰できないかを、真剣に考える必要がある。(入所の)最初から『要介護度を改善し、自立できるようになったら、家に帰って生活しませんか』と利用者に伝え、家族に理解してもらうケースをつくっていく必要がある」と訴えた。

桝田委員長はまた、歯科衛生士が介護職員に対して、入所者の口腔ケアに関する技術的助言や指導を行った場合に算定できる「口腔機能維持管理体制加算」(30単位/月)について、「300円では、(報酬が低いために)『加算を取る気が起こらない』という理由で、算定していないのかもしれないが、金額の問題ではない」と指摘。口腔ケアによって入所者の健康状態が向上し、医療機関に入院する入所者が減少すれば、安定的な施設経営につながるとして、口腔ケアに取り組む重要性を強調した。


■2012.4.20  車いすで乗り降り可能 淡路島内に福祉タクシー
車いすのまま乗り降りできる福祉20+ 件タクシーのサービスが淡路島内で初めて、兵庫県洲本市内で始まった。淡路タクシー(洲本市宇山1)が、普通のタクシーとしても利用できる車いす対応のワゴン型車両2台を導入。「使いやすい」「移動が苦にならない」と利用者には好評で、同社は「需要をみて島内全域での運行、増車も検討したい」としている。

車両は日産自動車が福祉20+ 件タクシー向けに開発した「NV200バネット」。車いす利用者が安全かつスムーズに乗り降りできるスロープに加え、一般の利用客にも優しい電動式スライドステップ、自動スライドドアなどユニバーサルデザインを備える。車いすの乗り降りは後部から行い、後退防止ベルトなどの装備で安全性を確保する。

ベース車両はニューヨーク市の次世代タクシーにも採用された。

同社などによると、車いす利用者向け車両にはこれまで、ホームヘルパーの同乗が必要だったり、利用回数制限があったりした。また一般のタクシーでは、車いすをトランクに入れて乗り降りするなど手間がかかっていたという。

同社は利用客の要望を受け、新型車両を導入。洲本市が市民生活に必要な交通のバリアフリー化を進める事業計画を整備し支援することで、国からの助成を受けることができた。

3月中旬に運行開始以来、1日平均で数件の利用があり、毎週の定期利用者もいるという。通院や買い物のほか、岡山県内までの観光利用もあったという。

一般のタクシーと同じように、事前予約がなくても利用できる。定員4人だが、車いす利用の場合は2人が同乗できる。料金は小型タクシーと同じ初乗り530円から。

■2012.4.20  高温シャワーかけ死なす:元介護福祉士に有罪判決…静岡 元介護福祉士、藤沼佑介被告(27)
静岡市清水区の介護施設に入居していた当時93歳の男性に高温のシャワーをかけ死なせたとして、業務上過失致死罪に問われた同区折戸3、元介護福祉士、藤沼佑介被告(27)に対し静岡地裁は20日、禁錮3年、執行猶予4年(求刑・禁錮3年)を言い渡した。原田保孝裁判長は「湯温を確認する基本的な注意義務を怠った。被害者に約5分間高温の湯を浴びせ続け、過失の程度は重い」と述べた。

判決によると、藤沼被告は10年4月24日午前4時半ごろ、男性にシャワーを浴びせて体を洗う際、湯温が適温か確認を怠って男性の胸や腹などに熱傷を負わせ、死亡させた。

罪の重い傷害致死容疑で逮捕され、弁護側は捜査の違法性を訴え公訴棄却などを求めていたが、退けられた。

■2012.4.21  心臓移植、対象5歳引き上げ64歳まで…厚労省
日本循環器学会は、心臓移植を受ける患者の年齢上限を、現行より5歳引き上げて65歳未満とする提案をまとめ、厚生労働省が検討を始めた。社会の高齢化や65歳まで雇用継続の動きなどを踏まえた。

同学会などの合同委員会が1997年に決めた「60歳未満が望ましい」との基準により、60歳を超えて発病した患者が心臓移植を望んでも待機リストに登録されるのが非常に難しかった。提供数が少ない心臓を、社会復帰が望める勤労世代に回すための措置だったが、60歳代の患者は事実上、移植の扉が閉ざされていた。

同学会によると、一律の年齢制限は国際的にも例がないという。欧米では、心臓移植が始まった80年代には60歳以上の移植患者は約10%だったが、手術技術の進歩などで、この10年で約25%に上昇。米国では約30%が60歳以上で、今年3月には、米国のチェイニー前副大統領が71歳で心臓移植手術を受けた。

同学会の見直し案は、心臓提供があった場合、まず60歳未満の待機患者を対象とするが、提供者が高齢過ぎるなどの理由で患者が移植見送りを申し出たなどの場合、60歳以上の患者を対象とする、としている。

現在の年齢制限は、昨年保険適用された埋め込み型補助人工心臓の治療でも、問題を生じさせている。小型で外出も可能で、1年後生存率は8割以上と高い有力な治療法だが、保険の適用は「心臓移植を待つ患者」に限られ、移植の対象にならない60歳以上の患者は治療を受けることが難しい。

同学会の提案を受け、厚労省の専門作業班は、年齢基準の引き上げと移植待機順位案の是非などを検討している。

同学会の提案を取りまとめた東京医科歯科大循環器内科の磯部光章教授は「提供者の意志を最大限生かす視点が大切だが、定年延長に対応した対象年齢の引き上げは欠かせない。ただし、人工心臓は高価であり、重症度によって対象を絞る必要がある」としている。

心臓移植 脳死者からの心臓提供を受けて行う。日本臓器移植ネットワークによると、1997年の臓器移植法施行後、今年4月20日までに127人(122人が生存)が移植を受け、患者の年代では20〜50歳代が計111人と87%を占める。60歳代は6人いる。

■2012.4.21  EXILEのメンバー、認知症男性を送り届ける
人気グループ「EXILE(エグザイル)」メンバーのSHOKICHI(本名・八木将吉)さん(26)が20日早朝、東京都渋谷区の路上で87歳の認知症男性を保護し、タクシーで区内の自宅に送り届けた。

男性の長男(63)は「親切で優しい青年だった」と感謝している。

長男によると、午前5時頃、自宅に若い男性が父親とともに訪ねてきた。男性は本名を名乗ったが、話をしているうちにエグザイルのメンバーだとわかった。本紙の取材に、SHOKICHIさんは所属事務所を通じて、「路上を徘徊(はいかい)していたので心配になって何度も声をかけたら住所を言ってくれた。無事にご家族のもとに帰すことができてよかった」と答えた。

■2012.4.21  障害児:優しい心で見守って 外見から判断しにくい子どもへの理解求め、小山市が要望受けバッジ作成 /栃木
小山市は、外見からは分かりにくい障害のある子どもへの周囲の理解と協力を得るためのバッジを作成した。市役所福祉課窓口で配布し、書類などの提出は必要ない。
 
バッジのマークはピンクのスマイルハート。「優しい心で温かく見守ってほしい」「純粋な心」の二つの意味を込めた。市民からの要望を受け、市が市内にある療養施設2カ所の利用者の保護者にアンケートを実施したところ、67%があった方がいいと回答した。
 
市では、子どもたちに必要な支援や情報が書き込めるサポートファイルも作成。バッジとあわせて配布する。ファイルには、かかりつけ医や苦手なこと、パニックになったときの対応方法などを書く欄がある。環境が変わっても何度も同じ説明をせずにすぐに理解してもらえ、どこでも誰からも支援を受けやすくなる。
 
橋本まり・福祉課主任は「知的障害や発達障害などは外見からは判断しにくく、言動により誤解されつらい思いをすることがよくある。バッジを見たら障害に気づいて、優しい心で接してほしい」と話した。

■2012.4.21  青森の福祉施設不適切対応:障害者就労支援事業所で2件 利用者押さえ付けなど /青森
青森市の障害者就労支援事業所で、運営するNPO法人の職員が利用者に不適切な対応をした疑いのある問題で、市は20日の市議会常任委員協議会で調査結果を報告。職員が利用者の体を押さえ付けるなど不適切な行為2件を確認したことを明らかにした。一方で、「現時点では虐待の認識まではない」として引き続き、事業所への調査を行う。
 
市は、施設関係者から不適切な対応に関する情報が寄せられたため、3月に県と合同で事業所の職員や利用者に聞き取り調査を行い、苦情処理関連の書類を確認した。その結果、11年9月にバスの車内で職員と利用者が口論となり、職員が利用者の体を押さえ付ける行為があったことを確認。それに先立つ同5月にも、職員同士の口論のため利用者が精神的に不安定になっていたことを確認した。
 
市は今月17日に県と合同で立ち入り検査を実施。苦情処理や事故発生時の対応などの規定が作成されておらず、本来区別すべき事業ごとの会計が区別されていないことも分かった。

■2012.4.27  松阪の福祉施設 大型犬襲撃、3人けが 民家から逃げ出す ハートフルみくも
二十六日午後三時四十分ごろ、松阪市曽原町の福祉施設「ハートフルみくも」の玄関先で、同施設の利用者を迎えに来た家族の男性(63)がシェパード犬にかまれたり、押し倒されたりするなどして、手足や頭などに軽傷を負った。犬を追い払おうとした同施設の女性介護職員(45)と男性介護職員(30)も、手足をかまれた。

同施設を運営する同市社会福祉協議会や松阪署によると、シェパード犬は、成犬の雌で、体長は約一メートル。施設近くの住民の家で飼われていたが、鎖を引きちぎって逃走し、同施設内に入り込んだという。シェパード犬はすでに確保され、飼い主の元に戻っている。

■2012.4.28  松阪の福祉法人が不適正資金運用 三重 社会福祉法人太陽の里
県は二十七日、松阪市の社会福祉法人「太陽の里」が資金流用など不適正な運用をしたとして、措置命令を出し、改善と原因究明を求めた。県が昨年十二月と今年三月に実施した監査で分かった。

県福祉監査課によると、二〇〇七年九月、法人の関連会社が取引先から借りた五億円の返済に、法人が銀行から融資を受けた五億円を流用した。同年七月には別の関連会社が、法人にグループホーム駐車場用地を一億四千万円で売却。その後、法人側から売買価格の二倍の二億八千万円が関連会社に支払われるなど不適正な資金運用がされていた。

本紙の取材に、太陽の里は「県の指摘で初めて重大さに気付いた。真剣に受け止めており、運営を改善していく」と答えた。

県によると、太陽の里は松阪市内で特別養護老人ホームやケアハウスなど計十三施設を運営している。

 

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